議会報告

2012年9月定例市議会 原田誠之議員

オスプレイ配備撤回と低空飛行訓練中止を米政府に求める請願に対する総務委員会委員長報告に反対の立場から討論

■原田誠之
  三十九番、日本共産党長野市会議員団の原田誠之です。
 請願第二十一号オスプレイ配備撤回と低空飛行訓練中止を米政府に求める請願に対する総務委員会委員長報告に反対の立場から討論を行います。
 請願項目の一つは、米海兵隊輸送機MV22オスプレイの沖縄配備の撤回を求めること。二つは、ブルールート初め全国での低空飛行訓練は行わないこととしています。
 請願趣旨では、オスプレイは米海兵隊に配備され、沖縄からカムチャッカ、インドネシア、バングラデシュから中国全土まで飛ぶことができ、空中給油すれば、イラン、イラクまで飛行可能と言われ、配備目的は日本を防衛するのではなく、中国封じ込めや中近東を含む米国の戦争のための突入部隊として配備されるものと指摘しています。
 そして、今年四月にモロッコ、六月にはフロリダで墜落。開発当初からの墜落事故は八回を数え、量産されてきた二〇〇六年から二〇一一年までの五年間で五十八件の事故を起こしていて、構造的欠陥を持っている機体だと厳しい指摘です。しかも、全国七つの低空飛行訓練ルートで、日本の航空法では認めていない地上六十メートルから百五十メートルの超低空飛行訓練を実施するものです。長野県下では、訓練空域がブルールートと呼ばれ、乗鞍、上高地、大町・白馬・小谷、鬼無里、信濃町、妙高、飯山・栄村、群馬・新潟県境が予想コースと考えられています。
 危険極まりのない、構造的欠陥のあるオスプレイは配備するなと、沖縄初め、全国の地方自治体の首長さんを先頭に大きな声が上がっています。長野県知事も同様に、配備と低空飛行訓練反対の要請を行っております。
 長野市議会でもこのような趣旨を受け止め、国へ意見書を上げてほしいが請願者の願意であります。
 本請願の審査で紹介議員は、九月九日の沖縄での、オスプレイ配備反対、普天間基地撤去と銘打った県民集会には、県民九十万人のうち十万三千人、県民の一割以上が参加したことを紹介。さらに、沖縄の県議会、市長会、安全でこそ経済は成り立つと参加した沖縄経済界を代表する商工連合会、基地で働き賃金を得て生活の糧としている基地労働者は、これほど危険な軍用機の飛ぶ下で仕事はできないと、この種の集会に初めて参加した米軍基地労働者九千人を抱える全駐留軍労働組合など連合沖縄、婦人連合会など、県民の連帯はこれまでの歴史になかった画期的な集会であったことを紹介。
 さらに、オスプレイは、一九八一年開発開始、八九年に試作機が飛んだが、事故多発で開発はやめて二年間お蔵入りしたものを、二〇〇〇年から開発を再開したが、この間、十二年間安定飛行できず、主な事故六回と、米軍の軍用機では一番事故の多いオスプレイの危険を警告してきた、オスプレイ担当の米国防分析研究所の主任分析官のリボロ氏は、消えることのない安全上の懸念を指摘しています。また、アメリカ本国やハワイでも、住民や専門家が風圧で遺跡が壊れる、貴重な生物が危険にさらされると中止を求め、飛行をやめていることなどを詳しく説明し、請願の採択を求めました。
 さらに、請願者も参考人として意見を述べ、請願の趣旨を丁寧に委員に説明し、趣旨を受け止め、国に意見書を上げてほしいと要望しました。
 ところが、新友会のある委員は、尖閣諸島問題があるからと、あたかも中国への対応にはオスプレイは必要との発言がありました。オスプレイ配備は、米軍の力をかりた日本の国防力で、中国に対し力を見せ付けるということだとすれば、平和外交で双方がテーブルに着いて冷静な立場で、歴史的な経過を含めた理詰めの交渉はできません。この発言は筋が違うし、問題ありと撤回を求めました。
 さらに、新友会の委員は、ネットによれば、オスプレイは市販されている、つまり販売の対象となっている。市販の対象となっている機体は、車と同じで安全でなければ販売できないかのように言い、安全であることは当然かのような発言をされました。この委員は、ネットでの確たる証拠については言いませんでしたが、私もオスプレイと軍事産業について調べました。
 現在配備されているヘリコプター輸送機CH46は、一機六百億ドル--約六億円。オスプレイは一機六千二百億ドルで一機約六十億円。異常に高く、事故が多く、しかも自動回転できないヘリコプターは構造的欠陥機で、軍用だけでなく日米の民間用にすら使えないと法律で定められているもの。軍需産業として売り込みたいが商売できず、構造的欠陥問題と事故多発についてひた隠しにしているなどと言われており、取引の対象物ではありません。市販されるものが安全だという理由は成り立ちません。今でも遅くはありません。市販される対象物という事実を資料でお示しいただきたい。
 さて、日本自然保護協会は、オスプレイ配備と訓練飛行に関わってレポートを発表しました。六つの低空飛行訓練ルートが、自然環境保全法で定められた重要な自然保護地域の上空を通過し、ルート下には絶滅危惧種であるイヌワシやクマタカ、ライチョウの生息域があることを明らかにしました。訓練ルートには、イヌワシの生息域が十二パーセントもあり、猛きん類の繁殖の失敗は、ヘリコプター飛行を伴う送電線鉄塔の建設、点検などを挙げ、航空機の騒音が、イヌワシの繁殖を阻害することがあると警告をしています。アメリカ、ハワイでは、絶滅危惧種などへの影響を懸念する声に配慮し、オスプレイの訓練計画を撤回したのと大違いです。
 自然保護協会の保護プロジェクト部長は、地上六十メートルでの飛行も想定されるオスプレイの訓練は、騒音や風圧などで、重要な自然環境に深刻な打撃を与えることが危惧されると指摘し、自然保護の知見を無視して、米国の都合で訓練を認めることに憤りを感じると言っております。
 米国内では、国内法で住民の安全や環境に配慮するのに、日米安全保障条約下の日本では、国内法があってもオスプレイの訓練が自由勝手に行われるという実態を浮き彫りにしています。
 オスプレイ配備に関係する沖縄県民や関係地域の住民、国民が求めているのは、事故が相次ぎ、危険な欠陥機オスプレイの配備を中止することしかありません。
 日米で運用の見直しをしました。低空飛行の規制、回転翼--プロペラの転換を基地内で行う、小・中学校、市街地など、人口の多いところなどはできるだけ避けるなど、当たり前のことにもかかわらず、米側は難色を示しています。それでもなお、合意した政府は、本当に住民の安全をまじめに考えているとは、とても思えません。これでは安全が守られる保障はありません。
 既に、今月の二十一日、岩国で試験飛行が行われました。オスプレイ配備に関わる日米の覚書や、先日交わした安全確保のための運用見直しで、人口密集地は避けるとしていたにもかかわらず、オスプレイは下関市の市街地上空を平気で通過しました。下関市長は、市民の不安を増長させる行為で、強く抗議したいと述べています。
 高知県では配備撤回を求め、自治体ぐるみで反対の闘いが始まっています。それは、安全確保について、米軍は運用基準を守ったことがない、戦争を初め、米軍の作戦上必要とあれば、早朝でも夜間でも、場所もところ構わずの飛行となると、米軍基地のある住民の指摘でありますが、早くもその指摘が証明されてしまいました。安全性が確認されるまでは飛行を差し控えるよう、粘り強く米国と交渉することなどの意見書が委員会で論議され、賛成多数で本会議へ提案されます。ところが、既に粘り強くどころか、岩国で訓練が始まり、試行訓練ですら運用を守らず、このような実態であります。
 危険なオスプレイが、日本全土で低空飛行訓練をすることが計画されていますが、エンジン故障が多発し、地面から五百メートル以下の高度で双方のエンジンが停止すれば安全に着陸できない軍用機が、高度六十メートルの低空を飛ぶわけですから、これほど恐ろしいことはありません。日本は人口が密集し、山国で気流の変化が激しい地形です。国民の安全の保障なしで、日本の安全保障はありません。
 オスプレイは、アメリカでさえ、安全性や欠陥問題を巡って、今でも論争が続いております。それに照らしても、オスプレイを日本に配備して、日本全土で訓練するなどは言語道断です。オスプレイ配備中止、撤去こそ求められています。
 同趣旨で請願第二十号、第二十二号の二本が提示されていますが、請願者の願意を酌み、本請願を採択し、国に意見書を提出するよう御賛同を訴えまして、私の討論とします。

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