議会報告

2012年6月定例市議会 原田のぶゆき議員

家族従業者の「働き分」を認めるための「所得税法第56条の廃止を求める意見書」採択を求める請願
    を不採択とした総務委員会委員長報告に反対の討論

◆原田誠之
 39番、日本共産党長野市会議員団の原田誠之です。
 請願第8号家族従業者の「働き分」を認めるための「所得税法第56条の廃止を求める意見書」採択を求める請願を不採択とした総務委員会委員長報告に反対の立場から討論を行います。

 請願文には、中小業者や農業者は地域経済の担い手として日本経済の発展に貢献してきましたとし、さらに自営業者の多くは、事業主とそれを支える家族従業者によって家業を行っているにもかかわらず、家族全員で力を合わせて働いて得た所得は、所得税法第56条の配偶者とその親族が事業をしたとき、対価の支払は必要経費に算入しないとの規定により、全て事業主の所得とみなされています。
 取り分け、配偶者である女性は家業の仕事をしながら、一方で家事、育児、介護と休む間も無く働いても、その働き分は自家労賃として認められず、事業主が控除される働き分は配偶者で86万円、家族で50万円、これでは社会的にも、経済的にも自立できない状況だとしています。
 参考人として総務委員会に招かれた長野民主商工会婦人部の請願者は、所得税法は個人が働いた所得について、その働いた分を個人に課税するという個人単位の課税原則を採用している。所得税法第56条の規定は、この個人所得課税の原則に反するのみならず、家族労働者個人の尊厳を踏みにじるとして、資料を示して訴えています。

 さらに、この請願は以前否決されてしまいましたが、2012年4月現在で、本請願に基づく意見書を採択し国に送付した団体は、全国の11税理士会、地方自治体では7県と338市町村になっていることを紹介し、長野市議会でも採択し、意見書を国に送ってほしいとの要望であります。
 青色申告は、申告者が労力を割いて記帳し申告をしたものであり、恩典のあるのは当然で、白色申告は労力を費やさないで申告したのだから、56条はやむを得ないかのような理事者の発言、あるいは56条を撤廃して、配偶者や家族労働に対する対価を認めるべきとの白熱した本請願審査の途上で、突然、日本は法治国家だからと発言した新友会の委員もいました。他の委員から、白色申告者はごまかしの申告をするということかとの再三の指摘に、一切答えることができませんでした。
 委員会閉会後、傍聴者からは、白色申告者への冒とくではないかとの怒りの声も寄せられています。もともと青色申告制度は、納税者の記帳慣行の育成と定着、申告の促進を目的に昭和24年にシャウプ勧告に基づいて導入されたもので、申告納税制度の定着をさせる役割を担ってきたものであります。
 青色申告にするかどうかは、納税者の自主的な選択の範ちゅうのもので、つまり納税者の任意であります。青色申告を選択しなければ、自動的に白色申告を選択することになります。白色は原則として簡易な記帳を採用できますが、青色は記帳の奨励を目的に一定の記帳義務化があります。青色申告制度が導入されてから62年がたち、現在ではパソコン会計の普及、同業団体が作っている工夫された記帳ノートが普及するなど、青色申告と白色申告との間には実質的な違いはありません。
 よって、所得税法第56条により、家族労働の対価について制度上で差別を受ける合理性はないのであります。このような青色と白色における申告の差別規定は、憲法第14条の法の下の平等からして憲法違反だと、専門家も指摘をしております。

 さて、国会の動きはどうでしょうか。参議院の財政金融委員会で日本共産党の大門実紀史議員は、国務大臣に対して、さきのような問題点を指摘しながら、昭和59年から白色も記帳、資料保存を義務化している。青とか白とか言わないで、全部必要経費に認めるべきだ。また、アメリカやイギリス、ドイツ、フランスなど、先進国にはこのような制度はない。韓国も同様の制度を作ったが、普及せずにやめたという経過もある。こんな差別条項は日本だけだと指摘し、もうそろそろやめるべきだとの指摘に、国務大臣は少し研究してみたいと答弁をし、また財務副大臣は担当官に対して更に詰めて考えるよう指示したとの答弁も引き出しています。
(大門みきしHP/2011年11月29日/財政金融委員会/国税通則法の改正について。白色申告者に記帳を義務化する問題を取り上げる)

 既に、全国商工団体連合会など諸団体、また税理士会、弁護士会など有識者もこの制度を置いておく根拠がないと、時代遅れの本制度の廃止を求めております。
 中小商工業者は、厳しい経営を余儀なくされている中、日本の経済の9割を担い、雇用では7割を支えていると言われております。そのうち、青色申告会員105万人、白色申告会員300万人は、同様に地域の経済を根っこから支えております。野田内閣は、命を懸けるとして自らの公約を投げ捨て、自民、公明にすり寄り、今でも消費税5%を転嫁できず、身銭を切って消費税を納めている業者は7割もおります。この中小業者に追い打ちを掛けるように、消費税10%増税を強行しようとしております。
 このようなとき、請願文にもあるように、地域経済の担い手、中小業者の暮らしを守るために、惜しみなく働いている家族従業者にせめて働いた分の所得を認めてほしいという思いに応え、本請願を採択し、国に意見書を送付してほしいという願いの実現のために、議員各位の御賛同をお願い申し上げ、私の討論とします。

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