議会報告

2012年6月定例市議会 あべ孝二議員

一般会計補正予算に反対討論

◆阿部孝二
 36番、日本共産党市会議員団阿部孝二です。
 平成24年度長野市一般会計補正予算に反対、歳出第8款土木費、第5項土地区画整理費、3目都市再開発事業6億6593万9000円、市街地再開発に反対の討論を行います。

 初めに、長野市民の生活実態についてお話ししたいと思います。
 円高、ドル安、ユーロ安、ギリシャなどヨーロッパの経済不安などによる不安定な経済不安が進んでいる状況であります。労働者の賃金は、1997年、467万3000円だったのが2010年には412万円、55万3000円も下がっています。働いても働いても生活ができないワーキングプアの年収200万円以下の人が1700万人とも言われています。ハローワーク長野の募集状況では、正社員が僅か32・5%に過ぎないのであります。
 長野市の国民健康保険特別会計では、国の補助金が下がる中で、過去3年間で24・5%の値上げが行われ、平成22年度末でも9270世帯が滞納する状況になっています。また、国民年金の納付状況については、4割近くが納められない状況になっています。さらに、生活保護受給者は全国でも、長野市でも、過去最高の月平均2170人を超える人たちが生活保護の受給者になっています。

 再開発事業の事業計画を見ますと、権堂B1地区市街地再開発事業は、市民会館と再開発事業を東街区に建設を進めてきましたが、市議会全会派の反対、市民の意見による反対で断念をせざるを得ませんでした。その断念をした後、急きょと思われるほど、ほとんど同じ場所で、面積は縮小し、市街地再開発事業計画、マンション、商業施設及び公共施設が、昨年長野市の都市計画審議会に提案されましたが、決定されませんでした。委員や市民から必要性が無いとの意見で決定できなかったことが理由になっていると思います。
 そして、今年度、事業規模を約2億円の縮小程度で再提出されたものであります。本事業内容の提案された内容は、総事業費48億7000万円、国の補助金10億7000万円、県の補助金2億4000万円、長野市の補助金8億3000万円、保留床の処分金等の6億7000万円のうち、長野市が公共施設で買い取る6億2000万円、全部合わせると、税金投入は27億6000万円、事業費の56・67%にも達します。
 計画面積では、約0・6haになり、北棟では4階建て、床面積が約5000m2、公益業務施設と提案され、南棟では14階建て、面積が約9000m2で、商業施設、住宅80戸、立体駐車場、そして、真ん中に公益広場として1400m2の公園が計画され、組合参加としては、長野市とマンションデベロッパーが参加すると示されています。

 こういう状況の中で、反対の理由について、以下申し上げたいと思います。
 一つは、地域面積の西・南側に再開発事業に参加しない地権者がいることであります。本来、地形的にいっても参加し、再開発にすべきです。参加しないということであれば、計画そのものを断念すべきであります。現在の計画でも、19の地権者のうち7人しか残らないという報告であります。残留権利者が継続的3つの事業を行っていくという報告だけであります。
 次に、計画は新市民会館と再開発事業で断念後の計画、再開発事業であること。マンション建設80戸、税金投入が27億6000万円56・67%、同等のマンションと比較すれば、価格が大幅に安くなるのか、一括引き受けるデベロッパーが大もうけすることになるか、どちらとしても、民間でできるマンション建設ではないでしょうか。
 そしてまた、長野市内には空き家が16%、2万3000戸も空いていると報告されています。人口減少の中に、空き家を増やすための再開発になるのではないでしょうか。

 次に、権堂アーケード通り、18店舗が1階のみの空きがあると報告されています。しかし、2階以上になれば、更に増えていく。アーケードの北側、南側及び鶴賀の方にも空き店舗や駐車場が増えていると聞いています。商店街の活性化では空き店舗対策が目に見えて行われていないのではないでしょうか。
 空き店舗活用事業の利用は、商店街や商工会議所の利用ができるように早くから制度があります。しかし、この利用がされたことはないと聞いています。平成12年から個人や法人の事業者が利用できる、こういう変更によって毎年利用者があると言われています。以前、チャレンジショップを実施し、若い人の開業も行われたと聞いています。権堂では聞いていません。そして、今までの再開発事業の中で検証する必要があると思います。
 長野駅前の長野NCビルに入っていた1階から11階の飲食店、ホテルは移転をし、ホテルは近くで再開発事業を行ったビルに入り、長野駅前のビルは昨年の8月以降、空きビルになっています。再開発事業で空き店舗をつくっている状況であります。

 もう一つは、トイーゴで、以前、私が調査したところ、2階は2店舗のみでほとんど空いている状況であり、最近の新聞報道では、1階に3区画、2階が半分近くの500m2空いている、こういう状況であります。新聞報道によりますと、県の赤十字血液センターが入る予定とも言われ、これでは、新たな税金投入の公共施設になるのではないでしょうか。

 長野県の商工労働部が今年の3月、商店街実態調査をまとめ、新聞で報道されました。商店街の必要性について、生活に欠かせないと今回答えた方は33%であります。前回の2008年に調査したところでは49%、大幅に縮小されている現状であります。
 昨年、県内18の商店街で来店者100人を面談で聞いたところ、魅力的に商店街をするためには何に力を入れるべきか、の説明に対し、祭りなどのイベント推進、個別店舗の魅力アップ、共に38・0%で最高でした。もう一つは、242の商店街の代表者に対する調査であります。同じように、魅力的な商店街に必要なものはでは、個別店舗の魅力アップが最高で53・7%、2位では、買物弱者対策、27・7%、イベント推進は9・9%で8位にとどまり、実際の利用者と商店街の皆さんの回答が大きく違っているのが状況であります。
 さて、今年の2月に、市再開発促進協議会と長野市がまちづくり講演会をまち育てが専門の弘前大学教育学部副学部長の北原啓司教授を迎えて行った講演で、報道によると、地方の中心市街地を抱える空き店舗や空き地といった空間に人々の思いと生き生きとした行為が加わることで場所になる。まち育ては空間を場所に変えること。いろいろな人たちの協力でどうやって作っていくかが鍵となると言われています。
 今回頂いた再開発事業の資料の8ページで、権堂パブリックスペース、6月3日オープンとなっています。入居者らで作る有限責任事業組合が運営し、元呉服問屋の古い建物を再利用し、物販やデザインなど11事業所を開設し、権堂のにぎわいに期待が寄せられています。このように多様な業種や大学学生など、北原教授が講演したとおりのことではないでしょうか。

 以上、述べたとおり、市民の合意も権堂の活性化にもならない、一部の権利者の会社の立て直しとも言われる、またマンションを扱う会社がもうかる、権堂B1地区再開発事業は中止すべきであります。
 各議員の賛同を訴えて、反対の討論を終わります。

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