議会報告

2011年12月定例市議会 野々村ひろみ議員

第一庁舎・長野市民会館建設基本計画の見直しを求める請願

◆野々村博美
 38番、日本共産党長野市議団野々村博美でございます。
 請願第26号第一庁舎・長野市民会館建設基本計画の見直しを求める請願を採択すべきという立場から討論を行います。

 長野市民会館の取り壊しが進んでいるようです。多くの市民は、この光景をどのような思いで見ているのでしょうか。新しいすてきな市民会館が建設されることをわくわくするような思いで見守っているのでしょうか。残念ながら、そうではありません、とても複雑な、むしろ白けた気持ちで見ているのではないでしょうか。結局、自分たちの思いは通じない箱物行政大好きな長野市として、その姿が映っていることと思います。

 多くの人命と財産となりわいの糧が失われた東日本大震災、福島第1原発事故から9か月が過ぎ、日本の歴史のみならず、世界の災害史に刻み込まれることとなった2011年もあと僅かとなりました。大震災後、日本人の価値観はどのように変わったのかという、インターネットを使った20代から60代までの男女各1万人を対象にした調査結果を関西学院大学社会学部の鈴木謙介准教授が分析をされていました。
 その結果、社会性のベクトルを表す4つのキーワードが浮かび上がったといいます。その一つが他者への貢献です。被災直後、首都圏のまちは帰宅難民であふれました。しかし、こっちに温かいお茶があります、バス停はこちらですよなど、見知らぬ人たちが声を掛け合う姿があちこちで見られたとのこと。見知らぬ人同士が声を掛け合うことは危険が伴うことで、どちらかというと避けたいという思いがあったが、それでも多くの人が機会があればと答えたのは、意識の変化があったからではないかと分析をしています。
 また、貢献というイメージは自己犠牲を伴うことを想像しがちですが、8割近くの人が自分の関われる範囲内で手助けをしていきたいと回答し、余り無理をせず自分のできることであればというスタンスで協力したい人が多いようだとしています。

 2つ目のキーワードが物より心です。支援に対する考え方について、金銭的な価値よりもその支援に対する明確な目的を持つことや気持ちを込めていることを重視する傾向が明らかになった。子供の教育については、偏差値や社会でのポジションよりも他者への思いやり、社会への配慮、周囲との交友関係を重視する結果だったといいます。
 また、女性は配偶者や恋人などパートナーにどのようなことを求めているのだろうかという分析では、自分の信念を貫くリーダーシップがある男性よりも、他人への気遣いができ、協調性を保つ男性が好まれることが分かった。特に、独身女性は異性のパートナーだけでなく、他人への気遣い、思いやりができること、73・6%、協調性が高く、他人の存在、意思を尊重できること、59・9%と、答えた人は半数を超えており、社会性の高さを感じる男性を好む声が目立ったとしています。
 また、ボランティアについて、阪神・淡路大震災のときにはボランティア元年と呼ばれたが、震災後、1、2か月後にはボランティアの参加人数がかなり減少した。一方、東日本大震災が発生した直後は、素人が現地に行っても迷惑になるだけだといった声があり、ボランティア抑制の動きが働いた。そのため、震災直後にボランティアに参加する人はなかなか増えなかったが、6か月以上経過した今でも、ボランティアの数はそれほど減少していないということです。

 3つ目のキーワードは、広範囲で協力です。近所付き合いが希薄化していますが、この調査でも、地域社会との関わりについて、生活面での協力や家族ぐるみの付き合いをしている人は、全体で11・4%にとどまり、最も多い60代女性でも16・6%と少なく、希薄な関係が浮き彫りになっています。
 その一方で、今後、誰と関係を築いていきたいですかという質問で、地域や近隣、近所、付き合いの無い人も含めた近隣者と答えた人は52・6%と半数を超え、またまちで困った人を見ると手助けしたいと答えたのは、震災前の自分の気持ちは55・8%だったのに対し、震災後は70%になっています。生活圏の人々への協力を惜しまない姿勢がうかがえたとしています。
 この結果から、鈴木氏は広範囲で協力というキーワードが浮かび上がった。手助けをしたいというときには、家族や友人など身近な人をイメージする人が多いと思う。しかし、身近な人だけでなく少し外側の人たちにも協力することが大事なのではないかといった意識が見られたとしています。

 最後のキーワードは、次世代志向です。
 例えば、日々の生活について、今が快適に暮らせればよいというわけではなく、未来を視野に入れて行動する人が目立った。ただし、遠い未来というわけではなく、子供や孫のことを考えるという人が多いとしています。今、長引く不況、将来への展望が見いだしにくい時代の中で、今回の震災を一つの契機にして、人々の心の変化、価値観の変化が生まれています。

 この間、市役所第一庁舎・長野市民会館の建て替えに対する市民意見の聴取が行われてきました。決して多くの市民が積極的に賛成しているわけではない。厳しい反対の声も多数あったにもかかわらず推進し、さらに住民投票条例の制定を求める請願も議会は不採択とし、さらに今回、合併特例債の発行期限延期が予定され、再び市民合意を得る時間的な余裕が与えられたにもかかわらず、現行計画を推し進めようとしています。
 そのような進め方をすればするほど、市民の長野市を愛する心、郷土を誇る心が失われていきます。大震災後の人々の心の変化を考えれば、ますますその傾向が強まることが懸念されます。
 今議会の委員会審査の中で、被災地で多くのアーティストが支援活動を行い、被災者を励ましていたことに対して文化芸術の力を感じているという発言がありました。しかし、被災地では立派なホールで演奏が行われたわけではありません。学校の体育館やお寺や地域公民館や仮設住宅の集会所などで一流と言われる人たちまでもが被災者のために、祈りを込めた演奏、演劇、創造活動が行われてきたのです。
 また、文化団体の皆さんから会場確保に四苦八苦していると窮状が訴えられ、早期の市民会館建設をという請願も出されています。しかし、他施設の利用率の変化を見れば、十分活用されていないことは一目瞭然です。篠ノ井市民会館を初め、各地域にあるホールなどを使い勝手の良いものに、あるいはグレードを高めるなど改修して、広大な面積を有する長野市民が、できるだけ公平に文化芸術に触れ合うことができるよう考えることこそ、大震災から私たちが学ぶべき教訓ではないでしょうか。

 また、市役所第一庁舎については、今後の財政負担を軽減するためにも、また安全性を直ちに確保するためにも、今ある建て替えのための基金を活用して、直ちに耐震補強の工事に取り掛かるべきです。
 先日、岩手県の県都盛岡市を議会運営委員会の委員として視察しました。視察の目的は別の課題でしたが、盛岡市庁舎は耐震改修の工事中でした。昭和37年度建設の市庁舎ですから、ほぼ長野市と同じです。耐

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