議会報告

2011年12月定例市議会 小林よしかず議員 一般質問

再生可能エネルギーへの転換について

市有施設等の自動販売機の削減と省エネについて

環境や人に優しい公共交通について

灰溶融炉の中止について

都市内分権について

医療費負担が困難な市民の救済制度の拡充について

長野市版放課後子どもプランについて

◆小林義和
 37番、日本共産党市議団小林義和です。
 質問通告のうち、(一)のアの(イ)及び(二)のイは時間を見て質問いたします。

再生可能エネルギーへの転換について

◆小林義和
 私は、3・11東日本大震災と原発事故の教訓を踏まえて、原発から本格的に自然再生可能エネルギーに転換する原発ゼロ社会の実現と、住民自治の在り方及び今日、COP17が最終日ですが、京都議定書延長が流れになっている中で、日本は反対して孤立しているようですけれども、人類的課題の温室効果ガス削減の低炭素社会アクションプランの検証をベースに質問いたします。
 ヒマラヤの清き雪解け水で心を洗ってくれたブータン国王夫妻、私はブータンで首相側近研究員を務めた御手洗瑞子さんの公務員レポートを読んで驚きました。自給率400%の電力は持続不可能な原子力や化石燃料でなく、99%が持続可能な水力発電。自然や生物多様性を破壊する大規模ダム無しの流れ込み式マイクロ水力発電所で送電線無し、建設費安く寿命は長く、国民の電気代は無料、ブータンは次世代型の国かもしれません。
 福祉環境委員会では、鬼無里府成地区の民間第1号の小水力発電を視察しました。オーストリアのベルフェンベンク村との交流から始まった小水力発電は、農業用水路の落差工事で滝をつくり、水車を回して最大108W発電、鳥獣被害防止の電気柵や育苗施設の電源に使用、県の補助はあるが地元負担は大きく、河川法などの手続も困難と、相談役の風間さんは訴えます。
 そこで、市の小水力発電促進計画と補助制度の新設についてお伺いをいたします。

◎市長(鷲澤正一君)
 小林義和議員さんの御質問にお答えをいたします。
 鬼無里府成地区の小水力発電は、自然エネルギーを生かして環境に優しい特色ある地域をつくろうと、自主的に取り組んだ事業であり、中山間地域の皆さんが知恵を出し合って、地域の活性化に取り組まれていることに対して敬意を表するものであります。
 今回の108Wの設備については、県から約170万円の支援を受け、地元では約90万円を負担されたように、小水力発電は安価な初期投資で導入できる事例が余り無く投資額の割に発電量が少ないこと、導入後もごみの除去や発電機の維持管理などが必要になることから、採算性が低いという課題があります。しかしながら、ある程度の水流があれば、技術的にはどこでも発電でき、天候による発電量の変動が少ないこと、夜間でも発電できることなど、自然エネルギーの活用策として着目すべき点もあるわけでございます。
 今後も地域で身近な農業用水路などを活用し、設置するケースが考えられますが、太陽光発電の場合と比較してコストが著しく高く、温暖化対策という面からは、新たな補助制度の導入は、現段階で効率的とは言えないと考えております。今後、量産型の安価な機器の開発等技術革新に期待したいところであります。
 一方、市有施設については、平成19年度の大岡に続き、平成25年度に奥裾花観光センターに導入を計画しており、その後も随時検討していく予定であります。
 次に、設備の設置に当たって河川法等の手続が煩雑で、許可に時間を要するなどの課題については、信州大学工学部が県内自治体と規制緩和のための総合特区申請を検討する動きもあるため、これらの動きと同調することも念頭に規制緩和に向けた方策について検討してまいりたいと考えております。
 次に、発電した電力の全量買取りや固定価格買取制度についてですが、買取価格は少しでも高く採算性の上がるものが望ましいと考えますが、詳細については未定でありますので、今後の国の動向を見守ってまいります。
 最後に、市民参加型の取組についてですが、今後、飯田市の事例も参考にしながら、地産地消型のエネルギー自給という観点から、新たな仕組みづくりについて研究してまいりたいと思います。
 以上です。

◆小林義和
 ドイツで脱原発が進むのは自治の強さにあると、信毎社説が書きました。コミュニティによる地産地消型再生可能エネルギーは、原発など巨大拠点集中型開発方式とは違って、小規模分散で地域に根ざし、農林業の振興や地域に暮らす人の心に明かりをともします。
 しかし、おっしゃるように初期費用がネックですので、市長が言ったようにですね、飯田市のような住民参加型の取組を長野市でも検討をお願いしたいと。
 併せて再質問しますけれども、私、再生可能エネルギーの転換というのは、電力と自治を地域住民と自治体の手に取り戻すことだと思います。原発事故後、視察者が急増している高知県檮原町は、2050年までに消費電力の100%を再生可能エネルギーで生み出し、住民の電気料無料の目標に挑戦しています。長野市も低炭素・原発ゼロアクションプランに発展させ、再生可能エネルギーの地産地消目標を設定したらどうか、お伺いいたします。


◎市長(鷲澤正一君)

 理想的には確かにそうだと思います。
 ただ、それが可能かどうかということについては、とても私もまだ実証できませんので、ただ、いずれにしてもですね、ある程度のあらゆるもの、例えば風力もあり、バイオマスもあり、もちろん太陽光もありというようなことで、そういうものを総合的にやっていくことによって、できるだけ地産地消といいますか、自分たちが使うものは自分たちで出せるんだということがどこまでできるか、そういうことについては勉強していきたいと、そういうふうに思っています。

市有施設等の自動販売機の削減と省エネについて

◆小林義和君
 是非研究していただきたいと思います。
 次に、市有施設等の自動販売機の削減と省エネについて伺います。
 日本の自動販売機の台数は、約521万台で25人に1台、原発1基分に相当し、人口・面積比で世界一、長野市の市有施設設置の自動販売機は232台、第1庁舎1階の売店入り口に自動販売機4台の光景は異様です。3・11以降、東海村や多摩市など、自動販売機を削減する自治体が増えています。
 環境部長は、4月から全市有施設のエネルギー使用状況を一元的に管理し、全事務事業に環境の視点を導入したと明言しました。アクションプランには、市と事業者が主体で自動販売機台数削減と書いてあります。庁内自動販売機の消費電力総量と削減計画、エネルギー管理の現状についてお伺いいたします。

◎環境部長(水野守也君)
 お答えを申し上げます。
 議員さん御指摘のアクションプランにつきましては、地球温暖化対策地域推進計画を指すわけでございますが、また同時に、長野市では環境マネジメントシステム、通称NEMSというわけですけれども、こちらでは市有施設全体のエネルギー使用状況を一元的に管理するために、各施設単位で電気、灯油、ガスなどのエネルギー使用量を把握することにしてございます。
 お尋ねの自動販売機に限定した電力使用量という点で申し上げますと、現在把握しておりません。庁内には自動販売機の他に、例えば事務機器としてはパソコンとかコピー機なども配備されているわけでございますが、これらにつきましても、同様に単独での電気使用量の把握はしてございません。
 また、御質問で232台というお話もございましたが、私どもその後、若干削減しまして、市有施設全体では、5月末現在で223台設置をしております。この自動販売機につきましては、電力使用の抑制に向けた省エネタイプの機器の導入、あるいは照明カット等による対策が講じられているところでございます。
 以上でございます。

◆小林義和
 エネルギー使用の一元的管理ということで、自動販売機の削減に向かっていただきたいと思います。
 家庭や事業所の省エネ対策は、目標を明確にし、市民の努力が目に見えてこそ進みます。市は何か方策を検討していますか。また、長野市地球温暖化防止活動推進センターは見える化推進というけれども、センター自体が市民に見えません。今後の取組をお伺いいたします。

◎環境部長(水野守也君)
 お答えを申し上げます。
 まず、家庭や事業所での省エネ対策を推進するためには、議員さん御指摘のように、努力した成果が分かるような工夫が必要であると私どもも思っております。
 このため今年度でございますが、広報ながのに省エネ対策関連で4回の特集記事を掲載いたしまして、この中で、例えば具体的な省エネメニューをチェックシート形式で紹介させていただいたところでございます。また、昨年10月に開設をいたしました長野市地球温暖化防止活動推進センターでの啓発事業にも力を入れておりまして、長野市地球温暖化防止活動センターの活動成果と今後の取組については、12種類の体験教材をそろえて、御家庭の電力使用量を簡単に計測できる機器等の貸出しをいたしましたり、市民向けの身近な啓発として、地球温暖化防止活動推進員を11名ですが、育成をいたしまして、出前講座等できめ細かなアドバイスを行っているところでございます。
 この推進員につきましては、これまで公民館、あるいは小学校などでの17回の講習会や各種イベントで啓発を行いまして、1年間で延べ900人以上の皆様に参加をいただきました。また、温暖化防止関連のイベントへの支援、またホームページの充実にも努めまして、市民の皆様のニーズに合わせたタイムリーな啓発活動を実施してまいりたいと思っております。
 なかなか見えないというお話でございますが、同時にセンターそのものについても周知をできるだけ図りまして、このセンターそのものの利用促進を図ってまいりたいと思っております。
 以上でございます。

◆小林義和
 もっと見えるようにお願いをしたいと思います。

環境や人に優しい公共交通について

◆小林義和
 次に、環境や人に優しい公共交通について伺いますが、市長は猫のたま駅長で有名な和歌山電鐵貴志川線を視察し、元気がある地方鉄道を見て考えさせられたと、メルマガに書いてありました。ふるさと長野の屋代線にはどんな思いをはせたのでしょうか。
 明治学院大学原武史教授の著書=震災と鉄道を読んで感動しました。三陸鉄道という第三セクターの赤字路線は、震災直後に社長自ら現場を視察して回り、とにかく一刻も早く列車を動かすと決断し、震災5日目に部分的だが敢然と列車を走らせた。原爆投下から3日目に電車を走らせた広島電鉄、列車はまちの動脈、動いている列車を見ると、このまちは死んでいないと思える。鉄道は人の心を支える。被災した鉄道の復旧は、道路の復旧とは根本的に違う。それは高校生や高齢者や自家用車を津波で流された人々の足となるばかりか、震災によって失われた公共的空間を回復させる。また、このようにも書いています。当日早々復旧を断念したJR東日本は、東京電力と企業体質が似ている。
 松代・若穂・篠ノ井・更北・川中島地区住民自治協議会は、LRTによる屋代線の再生と、公共交通体系に関する請願を出しました。鉄路の再生で地域を元気にしたい。この住民提案を受け止め、真摯に検討すべきですが、市長にお伺いいたします。

◎市長(鷲澤正一君)
 市長は故郷長野市に帰って、屋代線を見て何か感じるところがあったかと、あるいは貴志川線を見て感じたことを言えと、こういうお話でございました。
 和歌山電鐵貴志川線は、和歌山市の中心部の和歌山駅から紀の川市の貴志駅まで結んでおりまして、要するに一番中心地に向かっていると、中心地が入っているということでございました。実はいろいろお話を聞いてみますと、沿線の人口は増加を続けていると。要するに貴志川線の沿線は人口が増えていると、こういう状況だそうでございます。また、輸送人員が年間200万人を超えて、路線の長さが14・3kmでありますが、屋代線は輸送人員が年間50万人にも満たず、路線の長さが24・4kmであり、なおかつ市の周辺部を通っていることから、必ずしも人の動きと合っていないと考えられます。そのため、ちょっとこれを比較すること自体に無理があると考えます。
 屋代線は大正11年に開通をして、地域の重要な交通機関として役割を果たしてまいりましたが、利用者数の落ち込みによる経常損失の拡大や、車両の更新、変電所、線路等の施設の更新に多額な投資が必要となるなど、自助努力は限界に近づき、長野電鉄株式会社単独での存続は大変厳しい状況でありました。大正11年の開通のときの必要条件は、屋代と須坂のまゆ=生糸を当時の国鉄へつなぐということが一番重要な役目だったと、私は聞いております。そういうことですけれども、生糸とかそういうものがなくなったということで、随分環境が変わってしまっているということだろうと思います。
 そうしたことから、長野市、須坂市及び千曲市では、長野電鉄株式会社と共に長野電鉄活性化協議会を平成21年5月に設立して以来、総合連携計画の策定、実証運行の実施、各種調査の実施、啓発のためのシンポジウムの開催など、各種事業を実施し、協議を重ねて、今年2月の協議会において、バス代替による地域の交通手段の確保という結論に至ったわけでございます。
 結果につきましては、着実に過程を踏んで決定したものでございますので、委員の皆様の協議の結果であることを重く受け止めたいと考えております。
 時代の変せんや社会情勢の変化など、様々な要因により屋代線が廃線となることは非常に残念ではありますが、バス代替交通により従来の屋代線利用者の移動手段を確保することはもちろんのこと、地域ニーズや需要動向に応じて、様々な運行サービスが可能であるバスのメリットを最大限に生かして、地域交通を支える持続可能な公共交通体系を確保してまいりたいと考えております。
 今後とも公共交通の活性化については、一層推進してまいりたいと思います。
 次に、お話のありましたLRT、松代の皆さんからいろいろ提案ございますが、LRTによって屋代線の復活で地域を元気にしたいという住民の願い、これを正面から検討すべきとの御質問にお答えをいたします。
 LRTは、車両の低床化など、乗降の容易性、定時性、速達性、快適性などの面に優れた特徴を有する次世代の交通システムであると思います。将来の本市の公共交通の在り方を考えるときには、新交通システムの導入、これはLRTを含めてということでございますが、その導入については、十分検討する価値はあるものの、新たなシステムの導入にはまちづくり、地域のコンセンサス、関連インフラの整備、既存の交通機関に及ぼす影響及び財政負担など、多方面からの検討が必要であると考えます。
 さらに、LRTの特性は、車両の低床化によりバリアフリーに対応できる他、市街地における道路路面走行により、自動車などの一般車両と混在できることがあります。また、利用者の新たなニーズ及び地域の実情に応じた柔軟な路線設定が困難であることが想定される他、低床式車両に合わせたホームの改良などが必要となり、現在の屋代線への乗り入れを前提にしたLRTの検討は課題が多いと思います。したがって、LRTの導入と屋代線の鉄路復活の問題は別に考えるべきものであると考えております。今後、LRTの具体的な提案がなされた段階で、対応について検討してまいりたいと考えております。
 以上です。

◆小林義和
 3・11を経て、意識は変わっているんですよね。未来型、未来志向という是非閉ざさないようにしていただいて、震災と鉄道という本、是非読んでいただきたいと思います。
 市のアクションプランは、渋滞箇所又は既存交通の無い生活拠点を結ぶ手段として、LRT等の新交通の導入とはっきり書いてあります。市のLRT導入計画、そして国の補助制度がどうなっているのか、部長にお聞きをしたいと思います。

◎企画政策部長(湯原正敏君)
 お答えをいたします。
 LRTシステムの整備ということで、国には地域公共交通確保維持改善事業というのもございまして、その中でLRTシステムの整備という項目がございます。この整備は車両購入と停留所整備に対して、補助率は3分の1となっております。
 ただ、実際にLRTを検討していく中では、この車両と停留所以外に、いろんな事業が考えられるわけでございます。その部分につきましては、ケースバイケースで、その都度の補助を取り入れていくということになるかと思います。
 以上でございます。

◆小林義和
 国土交通省はこれを推進しているので、是非研究してもらいたいというふうに思います。
 次に、電気自動車等についてお伺いをいたしますが、松本市は全国で初めて電気自動車タクシー導入や充電設備設置に補助を行い、電気自動車は市内で17台走り、充電設備は16か所です。交通・観光事業者と市の協働で、電気自動車を上高地や安曇野など、広域観光の交通手段とするEⅤ観光を始めました。長野市は電気自動車を3台購入し、早稲田大学研究グループが国の委託事業で電動バス実証実験を始めましたが、電気自動車の普及とまちづくりへの活用、電動バスの実証実験後の方向についてお伺いをいたします。

◎環境部長(水野守也君)
 私からは、御質問のうち、最初の電気自動車の普及と活用について、まずお答えを申し上げたいと存じます。
 地球温暖化対策を進める上では、二酸化炭素排出量が少ない電気自動車、ハイブリッド車等のいわゆるエコカーの普及促進が有効と考えられます。御紹介の松本市では、電気自動車のクリーンなイメージに着目しまして、周辺の観光地への交通手段として活用を始めたところでございますが、本市では、かねてからハイブリッドバス車両の導入に対して補助金を交付するなど、公共交通の分野でも地球温暖化対策に配慮してまいりまして、この度中心市街地での循環バスに最適な電動バスの普及に向けた実証実験が御紹介のとおり開始されたところで、私どもとしては、その結果に期待しているところでございます。
 また、電気自動車の普及促進に向けて、昨年度から公用車に試験的に導入を始めたところでございますが、今後、その実績を基にいたしまして、このメリット、デメリットを検証いたしまして、ハイブリッド車を含めたエコカーの拡大を図ってまいりたいと思っております。
 また、普及に向けましては、今の松本市のような活用方法に加えまして、例えば市民とのカーシェアリングでありますとか、購入費補助制度などの事例もございますし、また電気自動車に搭載されております蓄電池のスマートハウスへの活用ですとか、災害時の電源としての利用など、まちづくりへの活用も考えられますので、今後、より効果的な方策を検討いたしまして、充電設備などのインフラ整備も含めまして、普及促進を図ってまいりたいと思っております。
 以上でございます。

◎企画政策部長(湯原正敏君)
 私から電動バスの実証実験をぐるりん号コースでやった後、どう発展させるのかとの御質問についてお答えを申し上げます。
 今回の実証実験は、環境省のチャレンジ25地域づくり事業を早稲田大学が受託したもので、技術は確立されているが、効果、検証がなされていない先進的対策を事業性、採算性、波及性等を検証することを目的としておるところでございます。
 早稲田大学が本市を実験の舞台として選んでいただいた理由として、本市の気候や地形的条件が実験に適している上、環境対策への取組を評価されたためと考えております。本市としても実験が成功裏に終わりますよう、協力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
 実験は、去る11月20日からスタートしておりますが、2年を超える期間の中で、中心市街地循環バスの他に電動バスの可能性を多角的に検証するために、スクールバスやシャトルバスとしての用途での実験も計画をしておるところでございます。
 車体が大きく乗車人員も多いバスにおいても、将来的には電動自動車が普及すると考えておりますが、今回の実証実験は電動バス普及の鍵となる事業性、採算性を検証するということから、まずは実験の結果を見て、電動バスの本市への導入について検討してまいりたいと考えておるところでございます。
 私からは以上でございます。

◆小林義和
 十分検証して進めていっていただきたいと思います。

灰溶融炉の中止について

◆小林義和
 次に、灰溶融炉の中止について伺いますが、原発事故を受けて、未完成な技術で事故も多く、スラグの利用も進まない灰溶融炉に疑問と不安の声が大きくなるばかりです。しかし、長野広域連合は、灰溶融炉をセットで建設する計画を見直そうとはしていません。そこで、全国の灰溶融炉の事故、灰溶融炉の廃止や建設計画中止の事例、スラグの活用の現状、全体建設事業費と灰溶融炉の建設費やランニングコストなどについてお伺いをいたします。

◎環境部長(水野守也君)
 お答えをいたします。
 長野広域連合が計画をしておりますごみの焼却施設に併設されます灰溶融炉でございますが、まず1点目、全国の灰溶融施設事故につきましては、過去10年間でございますが、17件の事例があったと把握をしてございます。いずれも、原因は究明されまして、年間の発生件数が減少していると受け止めております。
 この灰溶融施設の数でございますが、昨年度末で218施設が全国で稼働しておりまして、今後も建設が計画されておりますので、私どもとしては安全性につきましては、確実に高まっていると思っております。
 長野広域連合では、この灰溶融施設につきましては、作業上の訓練を徹底するとともに、事故対策マニュアルを整備するなど、これまでの事故例を踏まえまして、徹底した安全体制を整えることとしております。
 次に3点目でございますが、灰溶融施設の廃止あるいは休止の点でございますが、平成14年度以降で見ますと、全国で14の施設の事例がございます。この事例につきましては、最終処分場が新たに確保されましたり、あるいは民間事業者による溶融とかセメント化、いわゆる資源化が可能になったものと考えてございます。
 なお、建設計画そのものの中止につきましては、私どもとしては把握できておりません。
 次に、溶融に伴って発生するスラグの活用状況でございますが、ちょっと2年前の数字でございますが、平成21年度の生産量は、全国で85・7万tでございます。これは、例えば道路用骨材等に利用するということでございますが、利用率は84・5%という状況でございます。
 このスラグにつきましては、長野広域連合では関係市町村で積極的なスラグの利用に努めながら、国あるいは県などへも利用推進に向けて働き掛けていくとともに、スラグ以外の民間委託による資源化も併せて検討することとしております。
 次に、ごみ焼却施設の建設費の点でございます。
 長野広域連合では、計画の中で焼却炉と灰溶融炉を一体の施設として整備するということでございまして、同規模施設の受注単価を基に、計画では全体で約243億円と算出されております。このうち灰溶融炉の建設費につきましては、今申し上げましたように、現時点では一体の施設として考えているわけでございますが、先行の他施設の契約事例を調査しましたところ、この灰溶融炉だけの建設費としましては、ちょっと幅がございますけれども、約15億円から20億円程度と思われます。
 最後に、灰溶融炉のランニングコストの点でございますが、他の自治体の例で考えますと、施設規模あるいは灰溶融炉そのものの稼働状況が非常に様々でありますので、これらも参考にしながら、現在、長野広域連合の方で積算を進めてございますので、もうしばらくお時間を頂戴したいと思います。
 私からは以上です。

◆小林義和
 他の自治体で積算されているところでは、ランニングコストは大変膨大でありますし、今、説明ありましたように建設費もですね、15億円から20億円以上見込まれると、こういう状況です。
 国は昨年、灰溶融炉を使うことは好ましくない、施設廃止でも国補助の返還を求めないと通知をしました。御存じだと思います。理由は、ダイオキシン対策が進展して飛灰や焼却灰のダイオキシン濃度が著しく低下した。3Rの推進で最終処分場に残余年数が増えた。灰溶融固化設備の廃止で、燃料等が削減されるので、温室効果ガスも削減されると、この3点です。
 灰溶融炉の撤退は、今14か所もあるわけですが、時代の流れだと私は思います。広域連合長の市長の見解を求めます。

◎市長(鷲澤正一君)
 長野広域連合のごみ処理広域化基本計画では、ダイオキシン類等の排出低減、最終処分量の縮減、資源化率の向上、それから最終処分場での環境負荷の低減等に効果があることから、灰溶融施設の設置が計画されているわけでございます。
 御指摘の国の通知でございますが、平成16年度までに国庫補助金が交付決定されたごみ焼却施設の灰溶融設備を対象に、焼却灰等の再生利用や適切な処分、最終処分場残余年数の15年以上の確保など、必要な条件を全て満たせば、補助金を返還せずに財産処分できる、やめてもいいということでございます。灰溶融炉を使うことは好ましくないということではありません。
 灰溶融施設の建設は、ばく大な建設費と維持費がかかるとの御指摘でございますが、施設整備に当たっては、焼却から最終処分まで安全性、確実性、継続性などを含めた総合的な視点で判断すべきであると思います。
 また、最終処分場が計画をされている須坂市においても、溶融処理により発生するスラグは埋立てを前提として地元協議を行っておるわけでございまして、本市といたしましては、長野広域連合のごみ処理広域化基本計画に基づき進めていくことが必要であると考えております。
 私からは以上です。

◆小林義和
 先日、我が市議団で市長に予算要求したときに、市長さんは灰溶融施設、できることならやめてもいい、やめたいというような趣旨のことをおっしゃって、今おっしゃった須坂の問題、お話になりましたけど、広域連合長としてね、こういうことを考えておいでであれば、これから造るという計画ですから、総合的にこれ判断してですね、いろいろ調整する中でね、できれば何億もかかるランニングコストもこれ計算すれば、相当の金額になりますが、この点についてですね、調整していく、そういう決意をお聞きしたいと思うんですけれども。

◎市長(鷲澤正一君)
 先日の共産党市議団の皆さんの予算要望のときにそういう旨のお話、別にそのときにですね、変えるとは言っていないんですよ。ただ、私は個人的に言うと、確かに溶融炉というのは余り好きではないし、できたらそこで発生した電気をですね、外部に売ることによって、随分採算的によくなるねということだけは申し上げました。
 ただ、そのときに一番、実はこのことは是非御理解をいただきたいと思うんですが、一番今大変なのは、そういう意味では埋立地なんですよ。埋立地を確保できるならば、そういう方法もあると思います。
 ですから、要は須坂の皆さんに、これは広域連合としてお願いをしていることですけれども、最終処分地を須坂でお願いをするということを決めて、その時点としては、長野市というよりも広域連合からいわゆる灰溶融をしたペレット状態のものを持っていきますと、こういうことを申し上げているわけでございましてね、それに向けて、須坂ではいろいろ今、地元の皆さんとお話合いをしていると、そういうことでございまして、どちらが大切か、どちらが優勢的かということになれば、灰溶融をやめるとかそういうことじゃなくて、最終処分場をきちんと造るということが長野市というよりも、広域連合にとって最も重要なことであります。
 ですから、そのことについて、確かに皆さん方、どういうふうにお考えになるかは別として、私の方からそれを決断してですね、やめましょうと言うことは、現実に私どもが他にそういうものを持っていないわけですから、それは長野市というよりも広域連合にとっては大変な問題になると、私はそう思っています。
 ですから、今の議員さんのお話は、理想として私は個人的なというよりも、できればそういうふうにやりたいねとは申し上げましたけども、それは決してそれが可能であるかどうかということについては、私は今のところ自信は持てませんので、今はとにかく最終処分場をきちんと造ってもらうと、広域連合として造ると、これが今の喫緊の課題であると、私はそう思ってます。
 以上です。

◆小林義和
 国はやめてもいいという理由に、温室効果ガス削減というふうに言っているんですね。これはこれからの大きな課題ですので、そうは言わずに広域連合の中でもっと調整をするようなね、そういう立場でお願いをしたいというふうに思います。

都市内分権について

◆小林義和
 次に、都市内分権について伺いますが、福島県の50年間合併しない、人口2万人足らずの三春町は、原発事故の直後3月15日、原発周辺の自治体の中で唯一、安定ヨウ素剤を町民に配布した。原発が水素爆発を起こしたとき、風向きを調べ放射性物質が川に落ちてくる時間を予測して、その間は川からの水道水の取水を止めた。小さな町が独自に判断して住民の命を守った。
 市長は、最近、都市内分権とその具体としての住民自治協議会の確立が自分の一番の使命と強調されています。今、長野市の支所長の権限は課長級で、地方自治法上の出張所並みです。これでは災害時などに迅速に機能しない。もっと市長権限を元村長・町長の支所長に移さなければならない。これが都市内分権の柱だと思うんですが伺います。
 また、住民自治協議会は、私が3月議会で議論したときより更に進化していまして、市長の発想の枠をはるかに超えています。大豆島にはごみ焼却施設建設の同意権があります。5つの住民自治協議会が今回、合同で屋代線の再生や公共交通施策を提案している。こういうことでですね、もう自治基本条例で権限も位置付けるような段階ではないかというふうに思います。見解をお伺いいたします。

◎市長(鷲澤正一君)
 支所に日常の住民の暮らしを支える権限を下ろし、いざというとき、迅速に仕事ができるようにすることが市長が考える都市内分権ではないか、との御質問にお答えいたします。
 都市内分権の根幹は、コミュニティの再生を図りながら、住民と行政との適切な役割分担に基づき、地域の実情に応じたまちづくりの仕組みを作り上げていくことでありますが、その際には、支所が重要な役割を担うものであると考えております。
 現在、支所は生活に密着した窓口業務の他、地区まちづくり活動や地域特性に応じた建設・土木担当の配置など、日常の住民の暮らしを支える機能を既に持っており、また危機管理の面でも、支所を災害対応の拠点とし、全庁を挙げて迅速に対応する体制が整っているものと考えております。こうした状況を踏まえ、職員の増加や財政負担が懸念されることなどから、当面、これ以上の新たな機能を本庁から支所へ分散することは考えておりません。
 今後、更に効果的で効率的な地域行政を目指し、支所業務の見直しを進める中では、27支所体制を維持することを前提とし、支所長を初めとする地区活動支援担当が住民と協働して展開する活動をマネジメントすることで、都市内分権の考え方にふさわしい地区まちづくりの活動の充実を図ることとしております。
 また、建設、土木や産業振興などの現地業務については、本庁の権限の一部を移譲することも含め、業務拠点の設置を視野に入れて検討してまいりたいと考えております。
 次に、住民自治協議会の権限拡充ということも、これ関係してくると思います。地域の実情に応じたまちづくりを進めるためには、住民の意見、要望、提案などを反映できる仕組みが必要でありますが、権限として定めるまでもなく、現在においても各種の審議会、パブリックコメントやみどりのはがきなど、様々な方法で担保されており、住民自治協議会からも地区の市民会議などを通じ、まちづくりに関する要望や提案を頂いているところであります。
 これらを自治基本条例などにルールとして明文化することにつきましては、将来住民自治協議会が発展し、現在の役割を超えた活動を求める機運が市民の中で高まるなどした場合には、議会や市民の皆様と共に研究する必要が生じてくるものと考えております。
 一方、ごみ焼却施設建設など、市全体に関係する案件につきましては、地元の皆さんの御理解と御協力をいただきながら、私ども行政や市政における唯一の議決機関である議会が市民全体の福祉向上のために総合的に判断する責務を負うものと考えております。
 したがいまして、このような案件につきましては、市として十分に説明責任を果たすとともに、住民自治協議会はもとより様々な方法で住民の皆さんの声をお聴きしながら、合意形成を図ってまいりたいと考えております。
 以上です。

◆小林義和
 あとの質問もありますので、今日は、ずっとこの議論はしていたので、続きは次の機会に行いたいと。市長の都市内分権論の真の姿をこれから議論していきたいというふうに思います。

医療費負担が困難な市民の救済制度の拡充について

◆小林義和
 次に、医療費負担が困難な市民の救済制度の拡充について伺いますが、貧困と格差が広がっている中で、大変受診抑制があります。長野市は国民健康保険法第44条に基づいて国保の窓口負担の減免、徴収猶予の要綱を作りましたけど、適用は1件だけです。国の通達では、国基準の減免費用の2分の1を国が負担する。自治体独自の上乗せや国保料滞納者にも認めています。長野市は滞納者を対象にしたりしているか、市独自の基準上乗せがあるか、お伺いをいたします。

◎生活部長(西沢昭子君)
 国民健康保険の被保険者が医療機関の窓口で支払う一部負担金の減免についてお答えします。
 まず、滞納者対応ですが、平成17年4月1日に施行した本市の要綱では、一部負担金の減免を申請する際に、過去の相当期間に国民健康保険料の著しい未納、滞納が無い者でなければならないとしておりますが、国では保険料の滞納の有無に関わらず対象とするよう配慮を求めておりますので、これを踏まえた上で、この規定の適用は個々のケースについて具体的に審査の上、慎重に行ってまいりたいと考えております。
 次に、長野市独自の上乗せについてですけれども、国の基準による範囲よりも広くした場合、その超えた部分については、市独自の財源で補填することとなります。御存じのとおり、国民健康保険は低所得の方が多いという構造的な問題を抱えております。市独自の財源をもって対象範囲を拡大することにつきましては、現状では非常に難しいと考えております。
 自己負担が重荷であることにより、医療機関等への受診をちゅうちょしたり、その結果として重症化することなどのないよう、御相談いただきたいと考えております。
 以上でございます。

◆小林義和
 
 昨年9月13日の参議院厚生労働委員会で、共産党の紙議員が同様に質問しました。厚労省は、減免制度を国基準以上に広げる上積みは望ましいと答弁しています。是非この立場で進めていただきたいというふうに思います。
 それから、無料低額診療事業が社会福祉法で規定されていますが、今、長野中央病院だけが実施しております。市民病院などにも広げることを是非お願いをしたいと。それから、これは入院食事代とか薬代は対象外ですので、高知市のように薬代の助成も是非やってもらいたいと、この点についてお伺いをいたします。

◎保健福祉部長(寺田裕明君)
 お答えいたします。
 無料低額診療事業は社会福祉法第2条の規定に基づき、生計困難者が経済的理由によって必要な医療を受ける機会を制限されることのないように、無料又は低額な料金で診療を行う事業でございます。
 この事業を実施するには、生活保護受給者及び無料又は診療費の減免を受けた方の延べ数が取扱患者の総数の10%以上であること、あるいは医療ソーシャルワーカーの設置など、あらかじめ一定の基準を満たしている必要があり、固定資産税や不動産取得税の減免など、税制上の優遇措置がございます。現在、本市においては豊野病院に加え、本年7月から新たに長野中央病院がこの事業を行っております。
 この事業の対象者には、生活保護の受給者が含まれております。そして、生活保護では特定の医療機関を紹介することができませんので、生保受給者以外の方で該当すると思われる方から相談がありました場合は、この2病院でこのような事業を行っていることを紹介してまいりたいと思っております。
 また、公的病院への無料低額診療の拡充を求めること及び審査方法の簡略化をという御質問だと思いますが、この事業は事業を開始するかどうか、どういう方を対象にするかなどは、費用対効果も含めて医療機関が自主的に判断する問題であると考えております。また、経済的負担を軽減するため、福祉医療費給付金制度等も行っておりますことから、減免内容に市独自で付加することは考えておりませんので、御理解をお願いいたします。
 以上でございます。

◆小林義和
 高知市は独自にですね、初診から2週間ですけど、実施しているんです。よく研究をしていただきたいと思います。

長野市版放課後子どもプランについて

◆小林義和
 最後に、長野市版放課後子どもプランについて伺いますが、空き教室を使った子どもプラザ、今、希望する全児童が対象なんですけど、小規模校以外の25校は、もう留守家庭児童限定になっています。現状は、もう承知されているかと思いますが、今、学童保育は、国の児童福祉法でも明記されて、国と地方自治体が責任を負うわけですけれども、この現状は、もう限界であります。是非この現状を打開する方策を教育委員会として検討していただきたい。現場もよく見てですね、この空き教室利用というものにどこまでも拘泥していれば進みません、問題解決しません。よく現場から見直しをしていただくようにお願いしたいと思うんですが、見解をお伺いをいたします。


◎教育次長(酒井国充君)

 お答えをいたします。
 初めに、放課後子どもプランの打開の方法についてお答えをいたします。
 長野市版放課後子どもプランは、希望する児童に安全・安心な居場所を提供する学童保育にとどまらず、アドバイザーの活用によるスポーツや学習などの各種体験活動を提供する教育施策として推進することを方針としております。
 児童福祉法は、国及び地方公共団体の責任として、児童の保護者と共に児童を心身共に健やかに育成する責任を負うとしており、平成10年に同法に追加された放課後児童健全育成事業は、市町村は当該事業の利用の促進に努めなければならないと規定されております。本市では、この事業を放課後子どもプラン事業に取り込み、校内施設を活用することによって、利用の促進に努めてきております。
 これらの方針に基づきまして、平成20年度から既存の校外施設及び校内施設を活用することによって、プラン実施の拠点づくりを進めております。この拠点づくりにつきましては、順次可能なところから開設を進めることとし、現在、全56小学校区のうち44校区まで開設にこぎ着け、新年度は新たに7校区の開設を見込んでおり、ほぼ目標どおりに進んでいるところでございます。
 長野市版放課後子どもプランでは、最終的に全ての希望児童を受け入れることを目的としておりますが、当面は全小学校区へのプラン実施の拠点づくりを最優先に進めており、小学校の余裕教室や放課後使用することが少ない図工室や理科室などを活用し、一人でも多くの児童の受入れを目指しております。
 議員さんには、本プランが限界に来たことが明白という御指摘をいただきました。今、正に目標に向かって取り組んでいる途上であり、更に利用促進を図ってまいりますので、限界という認識は持っておりません。
 今後、全校区でのプラン実施拠点整備が済んだ段階において、なお一層学校に理解を求め、更なる校内施設の拡充を図り、順次対象学年の拡大を図ってまいりたいと思います。
 なお、緑ケ丘小学校の校内施設につきましては、ランチルームが使用できない場合に限定して理科室を使用しておりますが、1日当たり平均利用児童数を厚生労働省が定めるガイドラインに当てはめますと、理科室と体育館のミーティングルームの2室において、現在の利用児童の受入れは可能なものと判断しております。まずは、ランチルームの使用計画についても、学校と十分協議を行い、理科室を使用しなければならない状況を必要最小限にするなど調整を図ってまいりたいと思っております。
 私からは以上でございます。


◆小林義和

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

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