2011年9月定例市議会 宮崎としゆき議員
東日本大震災後の長野市のまちづくりについて
液状化対策について
原発をなくし再生可能エネルギーに転換することについて
災害時に対応できる支所機能の充実について
大型開発中心の市政から福祉を充実し暮らしを守る市政への転換について
長野市農業の課題について
住宅リフォーム補助事業の充実について
◆宮崎利幸
30番、日本共産党市議団宮崎利幸です。
質問に当たって、私はこれまで6期24年間、長野市議会議員として市政に住民の声を届け、憲法九条を守り、平和で安心・安全な住み良いふるさとづくりに努力してまいりました。この間、公平公正な同和行政、松くい虫対策、地域奨励作物支援事業、保育園の計画的建て替え、小・中学校の臭いトイレの解消や改修、道路・水路の新設改修、災害対策等の市民要求を取り上げ、市民の暮らしと営業を守る活動に取り組んでまいりました。今回最後の質問となりますが、理事者からの適正なる答弁をお願いします。発言通告の順に一問一答で質問します。
一のイについてはダブりますので除きます。時間があれば、その他でごみ焼却場問題を取り上げます。
最初に、市長の政治姿勢について4点伺います。
東日本大震災後の長野市のまちづくりについて
◆宮崎利幸
1つとして、3月11日発生の東日本大震災後の長野市のまちづくりについてです。大地震、大津波に加えて原発事故による被ばく、放射能汚染、日本の歴史上かつてない大被害、その被害額は16兆円から25兆円と言われ、原発被害も加えれば50兆円を超すのではないかと言われております。この国難とも言われる被災者支援、そして復興をどうするのか、これからの日本をどの方向に持っていくかが問われています。復旧・復興は政治、経済、文化、スポーツなど各分野にわたっています。
このような状況の中で、日本共産党は救援復旧活動に取り組み、震災募金は8億8,000万円を集め、ボランティア活動に1万1,000人以上が参加し、岩手、宮城、福島の各県と84の自治体、54の漁業協同組合、24のJAや商工団体等に募金を届けてきました。我が長野市議団も5月に3日間行ってきました。こうした中で、これからの安全・安心な長野市のまちづくりをどう進めるかが問われています。特に原発については、作られた安全神話が次々と暴露され、財界、政界、大企業、官僚、巨大メディアによって国民がだまされてきたことが明らかになりました。
市長は、常に競争の原理を働かせる、民間にできるものは民間にと、官から民への移行と指定管理者制度を導入して合理化を進めてきました。今回の大震災の教訓として、人と人とのきずなが大切、集落ごとの助け合い、お隣近所の日常的なつながりや家族の在り方等が問われ、見直されてきております。市長は、地方自治体として本来の地域住民の自治と福祉の向上に努めるという役割が果たされずに、今日のルールなき経済社会といわれ全てにわたって自己責任論が問われ、社会的連帯や共同が否定されてきたこの状況をどう見直し、正していくのか伺います。
◎市長(鷲澤正一君)
東日本大震災を踏まえての私の政治姿勢についての御質問にお答えをいたします。
私は、市長就任以来一貫して、「入りを量りて出ずるを為す」を政策5原則の1つに掲げ、健全財政を維持することを大前提とし、選択と集中の考え方の下、財源の有効活用を図りつつ課題解決に向けてめり張りのある施策を実行することに心掛けてまいりました。また、行政が全てをやることが不可能な時代となる中で、民間活力の導入を1つの柱に据え、民間経営のノウハウを必要な部分に効果的に導入すると共に、行政自身も新しい力、やり方を取り入れ、従来の発想を転換していくことで行政サービスの質の向上とコストの削減を進めてまいりました。
指定管理者制度の導入に当たりましても、幅広い分野での民間と行政との役割分担の再構築を行いながら、利用者サービスの向上と経費の削減との両立を図ってきたところであり、例えば市立公民館の指定管理については、地域の実情を熟知している住民自治協議会のみを受任者とするなど、それぞれの施設の設置目的や利用状況などを考慮する中で、最もふさわしい形態への移行ができるよう配慮してまいりました。
これら私の基本的な政治姿勢は、新しい時代のまちづくりを考える中で導き出されたものであり、当然のことながら、最大の市民満足を達成したいという強い思いに基づいているものでございます。
東日本大震災がもたらした惨禍は、私たちの社会や心のありようを大きく変化させるものでありました。地方、中央を問わず、物があふれる一方で、人と人のつながりが希薄になっている現代社会において、足元からもう一度見詰め直し、私たちが向かうべき未来はどの方向にあるのか、改めて考え直す転機ではないかと感じております。
かねがね私は、地域コミュニティの再生ということを申し上げてまいりました。これは、私たちが失ってしまった人と人とのきずなや小さな助け合いが支える思いやりのある社会といった、日本社会が古来持っているぬくもりのある地域社会の回復を目指すものであります。市民とのパートナーシップによるまちづくりや、この具体的な仕組みの一つとなる都市内分権は、正に地域コミュニティの再生を通じて社会的連帯や支え合う人間関係が重要であると考える私の政治姿勢を明確に表したものであります。
今回の大震災においても地域コミュニティが大きな力を発揮した場面が多く見られたと聞いており、いみじくも私が目指す地域コミュニティの再生という方向性に誤りがなかったという思いを強くしているところであります。残された任期中におきましても、これまでの基本姿勢を堅持し、市民の皆様の幸せを実現できるよう精一杯取り組むとともに、新しい時代に合った政策と施策の展開に力を尽くしてまいりたいと考えております。
以上です。
◆宮崎利幸
市長の答弁についてですが、やはりまちづくりの一番大事な点は人材をいかに作っていくかということが大変大事だと思いますので、この辺のところをしっかりとやっていただきたいと思います。
液状化対策について
◆宮崎利幸
2つとして、液状化対策について伺います。
今回の地震によって、日本各地で液状化による被害が生まれました。特に湾岸沿いの大コンビナート等の埋立地、河川沿いの低湿地帯、内陸部でもいたるところで発生しております。茨城県水戸市では、市役所、水道局、消防局等の庁舎が傾いて本部の役割が果たせませんでした。液状化に対する対応が大変遅れており、防災計画や復旧の対策はどうなっているのか、また発生が予測される場所の調査、地域への規制や指導基準等がありませんので、市としてどう対応していくのか、また国や県に対して液状化対策を求めるべきと考えますが伺います。
◎建設部長(倉澤孝君)
私から、液状化対策についてお答えいたします。
さきの東日本大震災では、沿岸部の埋立地だけではなく内陸部でも液状化現象が見られ、建物が傾くなど多くの被害が報告されたところでございます。本市におきましても、70年前の長沼地震において、千曲川沿いの地区に泥が噴出したとの記録があり、液状化現象によるものと考えられます。
本市では、地震に対し市民の意識啓発を図るため、昨年度地震防災マップを作成いたしました。この地震防災マップは、想定する地震に対して市内各地の最大震度を示した揺れやすさマップ、建物の倒壊の危険性を示した地域の危険度マップの他、液状化の危険性を示した液状化危険度マップを地図上に表示しております。この液状化危険度マップでは、発生が想定される地区はもちろん、危険度の割合を色別で表示しており、市民により分かりやすい地図としております。また、周知については地震防災マップをホームページに掲載するとともに、これまでに28地区の住民自治協議会で説明をし、各地区からの要請を受けての出前講座も6回実施しております。
このようなことから、市民が建築工事をする際には、このマップを大いに活用していただき、液状化に対して安全な建物としていただきたいと考えております。
なお、復旧対策については、国土交通省が今回の液状化被害の発生を受け、被害実態把握や発生メカニズムの確認等を行い、液状化対策の検討につなげるための液状化対策検討委員会を五月に設置したところであり、この検討委員会での結果を受け、今後、国からの技術指導があるものと考えております。その際には、市民にもその内容を積極的に情報提供をしていきたいと考えております。
以上でございます。
原発をなくし再生可能エネルギーに転換することについて
◆宮崎利幸
第3に、原発をなくし再生可能エネルギーに転換することについてであります。
被害をなくすためには原発はやめること、これが第1です。第2は被災者の救援と補償です。第3はエネルギー政策の転換であります。再生可能エネルギーの活用==太陽光の利用、火力、風力、地熱、水力の利用、バイオマス利用など、あらゆる可能な新エネルギーを活用する施設を創設して利用すれば、今の原発を全部とめてもその40倍のエネルギーを創出できると言われております。既に長野市でも太陽光利用、小水力発電、バイオマス利用発電等が行われておりますが、更にここを発展強化すること。
町の総電力使用量の160%を自然エネルギーに頼って作り出している岩手県葛巻町を視察してきました。町では町民の意見を聴き、集約に基づき、創意工夫を凝らして省エネルギービジョンを作成し、これに基づいて様々な事業を実施しています。長野市でもまちづくりの方針にしっかりと位置付けて進めることが求められています。市は、新エネルギーを利用した安全・安心なエネルギー確保政策の計画を立て進めるかを伺います。
◎環境部長(水野守也君)
私からは、自然エネルギーの利用による安全・安心なエネルギーの確保についてお答えを申し上げます。
自然エネルギーの利用につきましては、長野市地球温暖化対策地域推進計画や長野市バイオマスタウン構想に基づきまして、温室効果ガス削減を図る施策として取り組んでいるところでございます。この中で、太陽光発電は平成11年度から開始いたしました補助制度によりまして、昨年度までに3,044件、約1万2,000kWの設置ができました。これは、最近全国的に話題になっておりますメガソーラー発電が1か所当たり1,000kWでございますので、既に市内に12か所分が設置されたことになります。ちなみに、浜岡原子力発電所でございますが、約362万キロワットの規模でございます。
今後、地域推進計画では、平成32年度までに1戸建て住宅の約15%に当たります1万4,000件、約5万3,000kWを実現したいと考えております。
また、小水力発電では既設の大岡浅刈発電所に続きまして、無電化地域にございます奥裾花観光センターなどへの電力供給設備の建設準備を現在進めているところでございます。
宮崎議員さん御指摘のように、岩手県の葛巻町では、様々な自然エネルギーを利用しまして高い電力自給率を実現しております。本市とは地理的条件や産業構成が異なりますので、そのまま比較することはできませんけれども、太陽光発電にとどまらず小水力やバイオマスを利用した発電についても工夫をしながら、地域に合った導入ができないか、検討を進めてまいりたいと思っております。
差し当たり、国で現在制度化を検討しております全量買取制度を契機にいたしまして、例えば民間資金を活用した事業の検討を進めてまいりたいと思っております。また、藻を原料にいたしますバイオマス燃料、あるいは液体シリコンの高性能太陽光電池など、新しい研究や技術開発などの動向に関する情報収集を積極的に行うなど、様々なエネルギーの活用についてあらゆる可能性を探ってまいりたいと思っております。
さらに、今回の東日本大震災の教訓から、安全・安心なまちづくりを進める上で、災害時の避難施設、物資配送拠点施設、また病院あるいは老人福祉施設等への優先的設置も検討を進めてまいりたいと思っております。
いずれにいたしましても、今後具体化が可能なものから順次その実現を図りまして、できる限り電力の地産地消と安全・安心なエネルギー確保を進めてまいります。
私からは以上でございます。
◆宮崎利幸
それから、原発をなくして再生可能エネルギーへ転換をするという点では、太陽光発電など大変努力をしていただいているわけでありますけれども、長野市は太陽光あるいは水、それからバイオマス、大変自然に恵まれているわけであります。そういう点で、この有利な条件を生かして、長野市を一層再生可能エネルギー活用の先進都市にしていくという計画をしっかり立てて進めていただきたいと、こういうふうに思うわけでございます。
災害時に対応できる支所機能の充実について
◆宮崎利幸
第4に、災害時に対応できる支所機能の充実について伺います。
昨年の集中豪雨で、この災害に対して信更地区は、地区区長を中心に地元の人たちと支所がしっかりと連携して大きな役割を果たしました。人的つながりの組織、職員の体制等しっかりと生かしています。それぞれの地域における支所の役割は大変重要な役割を果たしております。特に土木・福祉関係についてはしっかりと対応すべきですが、この点について伺います。
◎総務部長(小林隆之君)
私から、災害時に対応できる支所機能の充実についてお答えを申し上げます。
昨年発生しました信更地区での豪雨災害では、消防団、自主防災会の皆さんが災害発生時の初期対応に取り組んでいただいたことで、被害の拡大を最小限に食い止めることができました。また、地区内の被害状況や道路状況などにつきまして、各地区の区長さんから支所に御連絡をいただいたことで、情報の共有が図られました。これによりいち早く全庁的な応援体制を整えられ、適切な対応ができたものと考えております。このことから、災害発生時には地域の皆様と支所との協力、連携が欠かせないものと考えております。
支所は、災害発生時における情報の集約や地域住民への避難等の情報発信、また災害発生後における復旧活動の拠点として重要な役割を担っております。したがいまして、地域での災害発生時には迅速な対応ができるよう支所災害支援職員を動員するとともに、災害復旧時には全庁的な応援体制により早期の復旧に努めております。
なお、地域福祉につきましても、各地区の地域福祉ワーカー、住民自治協議会等と協働することにより、きめ細かな対応ができるよう取り組んでまいります。
いずれにいたしましても、これまでの経験も踏まえ、地域の皆様の安全・安心につながるような体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
◆宮崎利幸
それから、支所機能については、やはり災害時だけではなしに、そういうことも一番大事でありますけれども、拠点支所の考え方など、全部の支所を強化するというわけにはいきませんので、そういう点を一層発展させていただいて、地域の住民が安心して暮らせるような形にしていただきたいと思います。このことを要望いたしまして、次に入りたいと思います。
大型開発中心の市政から福祉を充実し暮らしを守る市政への転換について
◆宮崎利幸
次に、大型開発中心の市政から福祉を充実し暮らしを守る市政への転換について伺います。
今年6月から、日本共産党長水地区委員会が市民アンケートを市内のほぼ全戸に調査用紙を配布して行いました。市民からの回答が既に1,200通寄せられており、市議団報告の中で市民に公開しております。この回答の中から、市政で力を入れてもらいたいことは何ですかについては、第1位は高齢者福祉の充実、51%、第2位は医療体制の充実、
昨年11月、市が行ったまちづくりアンケート、3,400人の回答では、行政施策に求めるものの第1位は安定した雇用確保、第2位はバスや鉄道等の移動手段の確保、次に介護予防サービスの向上、医療体制の整備充実と続いています。要求、要望を自由にお書きくださいでは、高齢者医療費が1割と3割では同じ国民として不平等だとか、50歳を過ぎて給料が上がらない、税金を上げないで、五輪大橋を無料にしてなどなどいろいろあります。さらに老人憩の家の使用料、公民館講座の受講料等々の手数料、使用料の値上げによる年間総額8億円もの市民への負担増、これをやめてという声などたくさん寄せられております。
これらの回答から見えてくるものは、大型箱物事業よりも暮らしや福祉を重視した市政運営にしてほしいという市民の切実な思いが伝わってきます。調査なくして発言権なしと先輩の高川秀雄元議員は著書の中で言っておりますし、ディミトロフブルガリア元首相も言っております。調査した結果を注目し、市長は市民の声を聴いて市政運営を行うべきと思います。また、昨日も議論されましたが、住民投票条例制定を求める市民の声は聴くべきと思いますが、どうか伺います。
◎市長(鷲澤正一君)
私の市政運営の基本姿勢は、みんなの声がながのをつくるであり、これまでも繰り返し申し上げてまいりました。この基本姿勢を基に市内全地区で各地区住民自治協議会が主催で実施しておりますまちづくり市民会議には、私自らが出席し、市民の皆様の声を直接お聴きする他、様々な団体や地域の取組を視察しながら、市民の皆様と直接意見交換を行うみどりの移動市長室を実施しているところであります。
また、市政に対する御意見や御要望などを気軽にお出しいただけるよう、みどりのはがきを実施しており、議員さんの御質問にもあったまちづくりアンケートも市民の皆様の意識を市政に反映させていくために実施しているものであります。
様々な方法により頂きました市民の御意見、御要望や意識等の傾向などは、できる限り市政運営に反映させてまいりますよう努めているところでありますが、現下の大変厳しい財政状況から、全ての御意見、御要望を反映させることができないことも現実であります。これからも長野市が発展し続け、市民の皆様が住んで誇れ、住んで良かったと思えるまちをつくっていくために必要な事業について市民の皆様の御意見をお聴きしながら、必要性はもとより緊急性を判断し、実施してまいりたいと考えております。
住民福祉向上のため、今後とも社会経済環境とともに財政状況を見定めながら、安定した行政サービスを継続して実施してまいる所存であります。
私からは以上です。
◆宮崎利幸
市民の声を聴いて市政を運営していくというのが基本だと、こう言っておりますが、やはり昨日からのあの住民投票条例制定の問題など、やはりもっとしっかり聴く必要があるんじゃないかと思うんです。やはりこの福祉やあるいは健康、そういうハードづくりにはそんなに財政負担がないわけでありますけれども、大型事業は大変かかるんですよ。そういう点をしっかりと考えて進めていただきたいと思うわけでございます。この点について市長にちょっともう一言お願いします。
◎市長(鷲澤正一君)
住民投票条例の問題については、昨日からも十分議論をしてきていますので、ここで繰り返すことは私は避けさせていただきたいと思います。ただ大型プロジェクト事業にお金がかかるかかからないかという問題、それはもちろん大型、その時点ではそのとおりかもしれませんけれども、福祉関係の費用、その時点その時点では余り大きな金額とはいえませんけれども、長期的にこれは続くものでございますから、これもはるかに大きなお金が動くということも、ひとつ是非御認識をいただきたい。
以上です。
長野市農業の課題について
◆宮崎利幸
次に、長野市農業の課題について伺います。
食料自給率向上のため、市地域奨励作物支援事業の充実強化を進めることが重要です。この事業は平成16年から始め、今年で8年目となります。小麦、大豆、ソバは年々作付面積も出荷量も増加し、荒廃農地の解消と食料増産に大きな役割を果たしています。この制度を更に充実強化していく必要がありますが、品目や予算の増額等、どのように進めていくのか伺います。
農地の災害復旧について関連で質問します。
地震、台風、大雨による農地の崩壊、流出、土砂の流入に対して、これらの復旧に地元負担金が今度2割から1割に減額になりましたが、それでも1割かかります。昨日の質問でもありました。大きな被害を受け、収入もないのに多額の費用がかかる農地の復旧、昨年7月16日の集中豪雨災害については、地元負担金を5%にしましたが、今年も5月末から6月初めにかけて大量の雨が降り、市内各地に大きな被害をもたらしました。この被害総額、面積、箇所数などはどのようになっておるでしょうか。この復旧事業について地元負担金をなくすか軽減すべきと思いますが、いかがか伺います。
次に、私は農作物への霜、降ひょう、竜巻、突風等の地域限定型の農作物の被害に対して、市が独自の見舞金制度を作るべきと思いますが伺います。
TPP問題についてです。菅政権は昨年10月、TPP==環太平洋戦略的経済連携協定参加を打ち出し、今年6月までに農業構造改革を進め、10月にはTPP参加を決める行動計画を推進してきました。しかし、全国のJA関係団体や漁業関係者、食料生産者、消費者からの反対の運動が広がり、加えて東日本大震災があり、この参加計画は遅れ、菅内閣の支持率が低下しています。しかし、民主党はこの計画推進に躍起になっております。これを許せば日本の農業は壊滅的な打撃を受け、食料自給率は14%になると言われています。日本の国土と食料の安全・安心を守るためにも断固反対すべきと思いますが伺います。
◎産業振興部長(樋口博君)
幾つかお尋ねでございますので、順次お答え申し上げます。
まず、地域奨励作物支援事業の充実強化についてでありますが、本事業では農地の遊休荒廃化の防止、食料自給率の向上及び地産地消の推進を目的に、小麦、大豆、ソバについて出荷量に応じて奨励金を交付し、その生産拡大を図ってまいりました。それぞれの生産量を開始当初と現在とを比較いたしますと、小麦が332倍、大豆が2倍、ソバが8倍と大幅に増加してきておりまして、事業実施によります一定の成果があったものと認識しております。
また、生産量以外の具体的な成果として、奨励作物を水稲の転作作物として栽培し、経営規模の拡大を図る大規模農家の育成や遊休農地の発生防止・解消及び農地の利用集積などが着実に図られてきております。
一方で、本事業の奨励金の増加によりまして、本市の財政負担が高まっていることから、事業推進にブレーキがかからないよう配慮しつつ、奨励金単価の見直しを必要に応じてこれまでも行ってまいりました。本年度は戸別所得補償制度の本格実施によりまして、小麦、大豆、ソバに対する国からの交付額が大幅な増額となることから、国からの交付金額と市の奨励金額とを合わせた金額が昨年度の市の奨励金額と同額以上になるような内容で奨励金単価の見直しを実施いたしました。
御質問の今後の予算化に関する方針につきましては、今後も着実に事業推進が図られますよう本年度と同水準となるような単価設定をしてまいりたいと考えております。
また、対象品目につきましては、本制度の目的に照らし検討を進めておりますが、現状においては現在の3品目以外に適当な品目が見当たらないことから、来年度も小麦、大豆、ソバの3品目で実施する予定でございます。
次に、農地の災害復旧につきましてお答え申し上げます。
本年5月末日から6月にかけて発生しました大雨による農地災害につきましては、大岡、信州新町地区を中心にその被害額が約6,900万円、被害面積は約4・4ha、箇所数につきましては148か所でありました。市では過疎化、高齢化が進み、大雨による農地災害が多い中山間地域に対して、農業生産活動を支援し、耕作放棄地の拡大防止に努めておりますが、被災した農地の復旧を諦める農家が増えると、農地が担ってきた多面的な機能が失われるとともに、野生鳥獣被害が拡大し、更に耕作放棄地の増加を招くことが危惧されているところでございます。
そこで、被害に遭った農地がより多く復旧されるように、本年4月に遡り、農家の負担率を20%から10%に軽減させていただいたところでございます。これは激甚災害以外で国の補助対象になる災害での国による補助の上限が90%でございまして、農家には少なくとも10%の御負担をいただいているということ、さらに激甚災害に指定された場合には、農家の負担率はおおむね5%という形になりますが、激甚災害に指定されるような大災害では、今年度発生したクラスの災害と比較しまして、一戸当たりの被害額は大変大きいということが一般的でございます。
したがいまして、農家の負担率を5%とした昨年度の激甚災害と比較いたしまして、農家の皆さんに御負担いただく金額の点では、それほど大きな差異がないということが10%とした主な理由でございます。
また、農地は飽くまでも私有財産でございますので、応分の負担をしていただくというのが本制度の基本的な考え方でありますことから、受益者分担金につきましては、この度改定いたしました10%で御理解をいただきたいと考えております。
次に、農作物の自然災害への市独自の見舞金制度をとの御要望についてお答え申し上げます。
農作物被害が発生した場合につきましては、まず国の農業共済制度に基づきます農作物への災害補償が基本となっております。本市としましても、本制度への積極的な加入をお願いしているところでございます。しかし、農業共済制度につきましては、加入できる品目が少ないことや大変複雑な制度であることから、制度の見直しについて県連合会を通じ、国へ強く要望しているところであります。また、特に大きな被害が発生した場合には、農家の経営継続のために各種低利資金及び災害資金の借入れができるようにあっせん、紹介するとともに、借入金に対します利子補給についても現在実施しております。
被災後においては農業経営を継続するための資金面を中心とした支援が重要なことから、御提案のいわゆる見舞金制度を設けることについては、現在考えておりませんので、御理解をお願いしたいと思います。
続きまして、TPP問題についてお答えいたします。
TPP協定は、原則として関税撤廃の例外措置を認めない内容となっており、日本が参加した場合には国内の農業生産や食料自給率のみならず、様々な分野への影響も懸念されることは十分認識しておるところであります。また、TPP協定参加については、農業団体を初め様々な分野の皆様からの反対意見もあることも承知しております。一方、国では5月にTPP交渉参加への判断時期を総合的に検討するとして先送りをし、国際的にも強い農業への体質強化策について見直すため、食と農林漁業の再生実現会議におきまして検討し、先頃農林漁業再生のための7つの戦略などが中間提言に盛り込まれたところであります。
今後はこの中間提言に基づき、国において東日本大震災の復興への対応なども含めて十分議論がされることとなっておりますので、その議論と方針等を注視してまいりたいと考えております。
また、日本は戦後、工業を中心としたものづくりの国として自由貿易体制により発展してまいりましたことから、TPP協定を全面的に否定すべきではないと考えております。国においては、世界の貿易体制の方向性をよく見極めていただき、二国間協定でありますEPAなども視野に入れて、総合的に判断されることを期待しているところであります。
私からは以上です。
◆宮崎利幸
お答えを頂きましたが、この地域奨励作物についてはもっと評価を高めなくちゃいけないと思うんですよ。大変大きな役割を果たしてきているんだから。それで、財政的な負担が高まるといっても、大体3,200~3,300万円でしょう。やはり農家に1億円ぐらい出しても長野市の農業再生、これがうんと大きくなるということになれば、これはもっと力を入れて評価しなくちゃいけないと思うんですよ。そのことを是非これからもしっかりやっていただくように要望をしておきたいと思います。
それから、農地の災害復旧の農家負担5%の問題ですけれども、これは進んでいる都市ではゼロにしているところがあるんですよ。そういうことも十分考えて、農地を荒らしちゃうんじゃなくてね、国土を守るという観点からも、しっかりとその点も進めていただきたいと思います。そのことを要望して次の質問に移りたいと思います。
住宅リフォーム補助事業の充実について
◆宮崎利幸
住宅リフォーム補助事業の充実について。
9月1日から実施されますこの事業、今市民の中に大変大きな期待と関心が寄せられています。東御市では8月からの実施が決まり、7月31日には徹夜で25人も受付を待ったとのことです。景気の向上、それから仕事おこしに大きな影響を及ぼすこの事業、不況対策の起爆剤になることは確かです。この事業の実施要綱も発表されて、来年3月までとなっていますが、さらに来年度は予算を組んで1億円規模で春秋に分けて行う予定とのことです。私はこれ以後、平成25年度あるいは26年度と状況を見ながら増額実施していくことが必要と思いますが、いかがか伺います。
◎建設部長(倉澤孝君)
お答えします。
地元経済の活性化のため、緊急経済対策として期待されております住宅リフォーム補助事業は、近年多くの自治体で実施されるようになり、現在全国の自治体の
御要望いただきました事業の拡充と強化、また平成25年度以降の継続のうち、補助事業の主な内容となります補助金額、補助率、補助対象工事金額や補助の対象となる工事の種類等については、これまで十分調査検討を重ねた上で、多くの方が利用しやすいものとしていることや、併せて申請年度による補助金額や補助率等の相違は、公平性の視点からも現時点での見直しは考えておりません。
また、事業予算の拡大と平成25年度以降の事業の継続につきましては、今年度と来年度の実施状況や要望、また御意見等も踏まえ、その時点での本市を取り巻く経済動向等を見定める中で判断をしてまいりたいと考えておりますので、御理解願います。
以上でございます。
◆宮崎利幸
いろいろありがとうございました。理事者、職員の皆さん、今後も住み良い長野市づくりのために健康でしっかりと努力をしていただくことを願いまして、私からの質問を終わらせていただきます。