議会報告

2011年9月定例市議会 原田のぶゆき議員

市民会館・第一庁舎建て替えに関わる住民投票条例に対する市長の意見表明について

福祉と防災に強いまちづくりについて

浅川ダムの安全性について

自主防災会の避難訓練について

原発事故による放射能汚染と風評被害について

高齢者福祉について

◆原田誠之
29番、日本共産党長野市議団の原田誠之です。ちょっと失礼いたしましたので、おわび申し上げます。
 質問項目の順序変更と特養については、時間があれば質問します。

市民会館・第一庁舎建て替えに関わる住民投票条例に対する市長の意見表明について

◆原田誠之
 まず、市民会館・第一庁舎建て替えに関わる住民投票条例に対する市長の意見表明についてであります。
 住民が条例制定を求めている根拠は、市長の言うような説明や議会の議決という問題ではありません。鷲澤市長は、市長選挙で市民会館は白紙に戻すと言い、市長になったら、あれは選挙戦術だと居直りました。また、市民会館建設に当たり、4か所の候補地から権堂B1地区市街地再開発に組み込んだが、株式会社イトーヨーカ堂に断られ、即東街区に変更したが、市民や議会から反発を受け撤回を余儀なくされ、現地建て替えとしました。
 時間をかけ、市民の声を聴く耳を持たず、建設先にありの姿勢は明らかです。さらに、合併建設計画にもなかった庁舎建設を強引に押し込むなど、市民をだまし続けてきました。重要な政策決定に当たり、首尾一貫しない市長の態度に市民から疑問と批判の声が上がるのは、当然であります。
 今回の住民投票を求める動機は、市政の根幹に関わる政策問題で、長野市の将来にわたる事業の決定に当たり、まちづくりの主体である市民自身が住民投票により直接意思表示する場を求めているものであります。大震災の後、長野市政もその在り方が問われております。現在でも、毎年200億円の借金返済の上に、さらに市民会館や第一庁舎は2つで130億円余、100億円にも及ぶ国からの借金となります。さらに、市の大型事業は今後1,000億円が計画されております。今後の財政運営にも大きく影響を与えるものであり、建て替えではなく耐震という主張には道理があります。
 市長の公約違反の政策決定や、議会多数派による議決が民意とかい離しているときに、住民投票で賛否を問うことは法律が認めており、法定数をクリアした今回の場合は、当然行使されるべきものであり、日本共産党はこの立場で一貫しております。法定必要数を大きく上回る2万2,843筆の署名を添えた住民投票条例の制定を求める請求に対し、住民投票は不必要と言う市長の態度は、民主主義を著しく軽視するものでありますが、見解を伺います。

◎市長(鷲澤正一君)
 お答えをいたします。
 私は、市民の直接発案を担保する直接請求という制度自体を否定しているわけではありません。私が、今回の事案に関しては住民投票条例の制定は不要と申し上げましたことには、意見書で申し上げたとおり大きく2つの理由がございます。
 一つは、両施設の建て替えについては、防災拠点機能や市民サービス機能の在り方、文化芸術の振興拠点の在り方、今後のまちづくりや財政計画など、多面的、総合的に検討した上で判断する必要があることから、単に事業に対する賛否の数だけを問う方法ではなく、市民意見をお聴きした上で、十分に時間をかけて議論をすべき事案であると考えるからであります。ただ単純に、事業費や起債額の大きさだけにとらわれるのではなく、様々な要素を長期的な視点から冷静に判断し、議論することが必要であると考えるものであります。
 2つとして、今回の意思決定に当たっては、有識者等による専門的な検討を行いながら広く市民に情報を公開し、節目節目で様々な意見をお聴きした上で、地方自治の二元代表としての議会との協議により方針を決定するというように、平成20年度以降3年にわたり市民や議会の理解を求めながら、丁寧に手続を重ねてまいったからであります。
 市民への説明責任を果たしつつ、今日の地方自治制度の根幹である議会制民主主義に基づき、市民代表である議会と十分に議論を尽くし、議会の議決を経ながら決定するということは、民主主義のルールにのっとった進め方であり、民主主義を軽視するとの指摘は全く当たりません。
 なお、事業の財源として見込む合併特例債につきましては、元利償還の際に国が7割を交付税措置する有利な起債であり、補助金や市の積立基金を考慮すると、事業に対する市の新たな負担額は3・5億円から10億円となり、将来の市の負担を最小限に抑えることができるとともに、財政推計での検証の結果、今後予定する大型プロジェクト事業を含めて、健全な財政運営を維持することが可能であると考えております。
 以上です。

◆原田誠之
 市長は、今、3年かけて議論してきたというふうに言われましたけれども、3年かけてもなおかつ市民は住民投票、自分たちに政策決定させてほしいと、こういうふうに言っているわけです。この市民の2万数千に及ぶ投票条例の制定を求める署名については、大変重いものがありますが、改めてこの市民のですね、投票への期待、思い、是非これは実現されなければいけないというふうに思います。
 併せて佐久市では、謙虚に市民に信を問うための住民投票を行いました。佐久市長は賛成して条例案を提出したわけでありますけれども、そういうことを思えば、市長自ら謙虚に市民のこの思いに対してしっかり応えるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

◎市長(鷲澤正一君)
 佐久市の問題等を今、例に出されましたけれども、佐久市と長野市の事情は全然違いますんで、経過がね、そういうことからして住民投票の関係、私どもと一緒になるとはとても思えません。また、2万何ぼの方々が署名をされたわけではありますが、それだからこそ私としては、これを提出するということは、市長として義務が生じたわけですね、だから議会に提案をするということは、私は別にそれは法律の規定で決められたことですから、提出いたしました。
 以上です。

◆原田誠之
 改めて不必要という意見については、厳しく問題ありということで指摘しておきます。

福祉と防災に強いまちづくりについて

◆原田誠之
 次に、福祉と防災に強いまちづくりについて伺います。
 まず、防災拠点である第一庁舎の速やかな耐震化工事の着手についてであります。
 震度5強以上の地震で倒壊のおそれがあるとする第一庁舎は、大勢の市民が毎日利用し、職員も働いております。また、防災の拠点としても重要な役割を果たすところであります。6月30日に松本市を襲った震度5強の地震は大震災に誘発されたもので、同程度かそれ以上の地震はどこでも起こり得ると言われ、日々発生しています。長野市役所第一庁舎の耐震化は一刻の猶予もありません。耐震補強、免震工法ならすぐにでも着手できます。しかも、建て替えの4分の1の予算で済み、今後20年から30年は使い続けられると市の資料でも明記されております。
 市内では、県庁、裁判所、貯金事務センター、中央警察署など、それぞれ耐震補強、免震工法で対応しています。昭和34年築と長野市の第一庁舎よりも更に古い松本市役所は、3年前に耐震工事を済ませており、被害はありませんでした。教訓を生かし、市民や職員の安全・安心な居場所、防災拠点の第一庁舎の耐震化工事に直ちに着手することを求めますが、見解を伺います。

◎総務部長(小林隆之君)
 お答えいたします。
 第一庁舎につきましては、既に建て替えを決定し、本年3月議会におきまして予算を議決いただき、建て替えに向けて事業を進めております。これまでも御説明しておりますが、現在の第一庁舎は、築後46年が経過し、耐震強度の不足、設備の老朽化、バリアフリーが不十分、市民窓口の分散、廊下や階段が狭いなど数々な課題があることから、平成19年度以降、耐震改修、建て替えを含めて検討してまいりました。
 耐震改修で施設を継続利用する場合、免震による耐震改修経費に加えて、建物維持のための全面的な工事が同時に必要となり、建て替えと同等かそれ以上の経費がかかる上、使い勝手等の課題が満足に解消できるものではございません。また、20年から30年後に建て替えが必要となった際には、合併特例債のような有利な財源が見込めず、市民負担は逆に増えることも考えられます。
 これらのことから、防災拠点としての機能や市民窓口サービスの向上、財政計画や費用対効果などを総合的に判断した結果、平成22年2月の基本構想において建て替えを決定したものでございます。
 なお、免震工法の場合、免震の実施設計が半年から1年程度必要でございます。これら改修の工期を含めると、現在の建て替え計画としゅん工時期で大きな差はございません。
 また、他施設で耐震改修をしている事例につきましては、建て替え場所の確保や財源となる基金等の有無、庁舎機能の課題など個々に条件が異なるため、それぞれの施設で最良の工法を選択すべきものというふうに考えます。本市におきましては、建て替えにより耐震改修やリニューアルでは実現できない優良な財産として、施設を後世の市民に引き継ぐことができるものと考えております。
 私からは以上でございます。

◆原田誠之
 県庁でさえ、あの大きな建物でさえも今、免震工法でやっております。防災拠点でありますので、一刻も早い工事の着手を求めておきます。

 次に、福祉・教育施設の耐震化についてであります。

 老人憩の家、保育園、児童館などの耐震化の促進についてであります。
 対象範囲の見直しで、老人憩の家や保育園、児童館などが対象となりました。本来であれば、弱者の皆さんの居場所ですので終わっていて当然でした。耐震化率の目標は、平成27年度90%で4年先です。予算の前倒しも含めて早期の完了を求めます。また、地震多発のときですので放置できません。応急措置を含めた対策を講ずることを求めますが、見解を伺います。

 次に、小・中学校の耐震化の早期完了についてであります。
 耐震化率は、平成25年度までに90%にし、残りは平成31年度までに完了としています。児童・生徒は1日のうち3分の1を学校で過ごしています。また、住民のいざというときの避難場所です。大規模な地震で倒壊又は崩壊の危険性の高い学校をそのまま放置はできません。完了が平成31年度では悠長過ぎます。予算の前倒しを求めると同時に、応急措置、補強策は万全を期すことを求めますが、見解を伺います。

◎保健福祉部長(寺田裕明君)
 私から、老人憩の家等の耐震化についてお答えいたします。
 老人憩の家は市内に10か所ございますが、そのうち昭和56年以前の旧耐震基準の建物は松代、若槻、新橋、若穂の4施設で、これらは今後耐震診断を行い、その結果により耐震補強工事などを行う必要がございますので、計画的に耐震化を進めてまいりたいと考えております。
 なお、松代老人憩の家につきましては、今後の施設の再編、統合等について関係機関で協議を行っておりますことから、耐震化につきましても、この協議の中で検討してまいります。
 次に、公立保育園につきましては、計画的に耐震補強等を進めており、旧基準の保育園17園のうち既に10園が診断済みで、5園が補強済みでございます。今年度は、加茂保育園の耐震診断、東条保育園及び大岡保育園の耐震補強工事を計画しております。公立保育園につきましては、平成27年度までに長野市耐震改修促進計画の目標値である90%以上を達成できるように、年2園程度をめどに耐震化を図ってまいります。
 以上でございます。

◎教育次長(酒井国充君)
 私から、福祉施設、教育施設の耐震化のうち児童館、児童センターについてお答えをいたします。
 児童館、児童センターにつきましては、この度の耐震改修促進計画の見直しに合わせまして、40棟を新たに対象として加えたところであります。このうち、昭和56年の新耐震基準適用以前の建物13棟につきましては、今後、早期に耐震診断を行い、その結果に基づき大規模な地震に対して倒壊の危険性の高い建物を優先し、平成27年度を目標に耐震化工事を計画的に進めてまいりたいと考えております。

 次に、小・中学校の耐震化についてお答えをいたします。
 学校施設の耐震化につきましては、一年でも早い全棟耐震化を目指して、これまでも予算の重点配分とともに国の経済危機対策を活用するなど、財源の確保に努めてまいりました。耐震対策の推進には多額の費用を要することはもちろん、校舎等の改築が必要な場合には、設計を含めて3年から6年の期間を要するなど、時間的な制約もございます。
 本市におきましては、本年4月1日現在で耐震対策の必要な建物が85棟残っていることもあり、事業の完了までには相当な期間を要するのが実情であります。
 しかし、このような中でも、震度6強から7程度までの大規模な地震に対して倒壊等の危険性が高いとされるⅠs値0・3未満の建物21棟については、補強による3棟が既に事業に着手をしており、改築による18棟についても、平成24年度までに工事着手できるよう、最優先で耐震対策を進めているところでございます。
 これらの工事実施に当たっては、補強、改築いずれの場合も一部を除いて仮設校舎を建設する計画としており、Ⅰs値0・3未満の建物のうちの大部分について、平成24年度中に仮設ではありますが、耐震基準を満たす校舎へ移転することで、児童・生徒の安全が確保できるものと考えており、これら以外のⅠs値0・3未満の建物についても、平成25年度には改築工事が完了する計画でございます。
 なお、耐震改修促進法の基準では、Ⅰs値0・6以上で耐震性能を満たすとされておりますが、学校施設の補強に当たりましては、児童・生徒の安全性等を考慮いたしまして、Ⅰs値0・7以上を確保することとしているところでございます。
 今後とも、できる限り早期に耐震化率が100%となりますよう最大限の努力をしてまいりますので、御理解をいただきますようお願いをいたします。
 以上でございます。

◆原田誠之
 大きな地震が毎日起こっております。しかも、避難困難な弱者の居場所でありますので、一刻の猶予もありませんので、促進を求めておきます。

浅川ダムの安全性について

◆原田誠之
 次に、浅川ダムの安全性についてであります。
 大震災の後、浅川流域の住民や多くの市民から、浅川ダムは大丈夫かという不安の声が多く寄せられています。当市議団が行った市民アンケートでは、高齢者対策、医療の充実、国保・介護料の引下げの次に浅川ダムの中止・見直しが市民の声となっています。
 今、掘削工事を進めていますが、問題にしてきたF-V断層が、河床から右岸裾部にかけて危険性が指摘されていたダム堤体直下を横断している事実を、去る6日現地で見てきました。このF-V断層は、活断層と言う専門家もいます。長さ、深さ、幅などを調査し、科学的な活動度の判定、つまり活断層かどうか検証すべきです。さらに、ダムのたん水域に大型地滑り地域が存在しているということです。
 奈良県の大滝ダムは、たん水試験の際、地滑りが発生し、巨額の費用が費やされましたが、いまだにダムは使われていません。そこには安全神話と技術の過信がありました。浅川ダムも同じてつを踏むのではないか検証が必要です。また、浅川右岸尾根の線状くぼ地で表層部の割れ目が地下深く達していれば、岩盤地滑りの要因となります。割れ目の深さなど、きちんとした調査をすべきです。
 以上、大震災の後で不安が募っております。浅川ダムの安全性について、長野県に対して再検証を求めていただきたい。お答えください。

◎建設部長(倉澤孝君)
 お答えします。
 最初に、F-V断層につきましては、浅川ダム上流の河床付近に確認された断層で、長野県治水・利水ダム等検討委員会において活断層ではないかとの意見が出されましたが、地形に活断層であることを示す痕跡がないこと、岩盤の上の砂れき層にF-V断層の活動による変異がないことから、同断層はダム建設上、支障となる活断層ではないことが確認されております。
 次に、ダムたん水域に大型地滑り地域が存在することについては、浅川ダム地すべり等技術検討委員会において、現地の地形・地質的特徴について技術的、工学的見地から検討を行った結果、大きな地滑りは考えられず、地滑りブロックの選定及び規模の想定については、妥当であるとの結論が出されたものでございます。
 最後に、浅川右岸の線状くぼ地について、岩盤地滑りによるものとの意見がございますが、岩塊斜面の上部が前方に倒れて形成されたものなどによるものであり、現地で地質調査、掘削調査を行い、地滑りによるものではないことが確認されております。
 以上のように、浅川ダム建設地の地質や断層などの課題につきましては、議員さん御指摘の内容を含め、長年にわたり議論を重ね、慎重かつ十分な調査と検討がなされ、その安全性について確認できたため、昨年5月から着工し、同年11月の論点再確認作業の結果も踏まえて知事が建設継続の判断をしたものでございます。
 このようなことから、市といたしましては、浅川ダムの再検証を求める考えはなく、浅川全体の治水対策が早期に完成し、安全で安心して暮らせる地域が1日も早く実現するよう、引き続き県に求めてまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。

◆原田誠之
 この断層は、専門家の間でも評価は分かれております。また、想定マグニチュード7・4となっておりますけれども、実質もう既にマグニチュード9クラスが起きているわけですから、そういうことを想定した場合に、更なる検証が求められておりますけれども、改めて建設部長の見解を求めます。

◎建設部長(倉澤孝君)
 お答えします。
 このF-V断層につきましては、浅川ダム建設に支障となるものかどうか、3点ほど大きな論点がございます。今、答弁いたしました断層の上にたまっております中世、近代の砂れき層が切れていない。これは、善光寺地震のときに動いていないことを示すものでございます。ということで、活断層ではないという所見、それが1点。
 もう1点、このF-V断層がどのくらいの長さがあるものかという所見につきましては、浅川ダムの上流約500mで裾花凝灰岩層が砂岩層と変わります、地質が変わります。要するに、もしF-V断層がそこまで到達しているものであれば、当然そういった変異があると、そういうことで地質の境目以上は延びていないものだろうという判断。
 それから、浅川ダムの下流ですね、これは皆さん御存じのとおり、長野盆地西縁断層という有名な断層がございます。浅川ループラインの県道へ分かれていくところから田子方面へ行っている田子断層でございますが、もし万が一その断層とずっとつながっている場合でも、この2点間を結ぶと、1・6kmの延長がございます。1・6kmの断層だと仮定した場合、そこから発生する地震、これはマグニチュード6・8クラス以上というものは、今のところ理論上出ないと。そういった地震であれば、たとえ起きたとしても、地表に変異は起こらないという所見でございます。
 それともう1点ですね、このF-V断層付近に連続するような大きな断層がないということで、そちらからの万が一、断層変異というものが連動する可能性はないと。このような点から、この断層についてはダムには支障がないと、こういった所見が出ているというふうに承知しております。
 以上です。

◆原田誠之
 ともあれ、不安のないようにきちんと再検証を県に求めてもらいたいと思います。

 次に、地震とため池対策についてであります。
 水田や防火に欠かせないため池は、市内に194か所あります。東日本大震災の後、国の新基準に基づき長野県のため池点検マニュアルで対象となるため池は31か所です。既に、5月に県と共同で現地での点検は終わっております。問題はなかったのか、その状況について伺います。
 今回の東日本を襲ったマグニチュード9クラスの地震で、福島県では745か所、翌日の栄村ではマグニチュード6強で、ため池やダムが決壊、被災しました。猫又池は、京急ゴルフ場建設に反対の運動の途上で、住民が漏水やはらみ出しを発見し、修復したことは記憶に新しいことです。
 浅川ダム建設地の上流には、比較的堤高の高いため池が多数あり、その直下に人家が建ち並んでおります。大きな地震を想定した点検や対策が求められますが、お伺いいたします。

◎産業振興部長(樋口博君)
 東日本大震災後のため池の点検につきましては、県が策定したため池点検マニュアルで点検が義務付けられております31か所のため池につきまして、5月下旬に長野地方事務所農地整備課と長野市農業土木課の職員が合同で現地調査を行いまして、ため池からの漏水や亀裂、取水施設等に異常がないことを確認しております。
 また、市内におきまして貯水量が特に大きいため池につきましては、阪神・淡路大震災後にこれを契機として国及び県から指導を受け、平成7年から18年にかけまして、土木コンサルタントによります漏水や亀裂等の全般的な調査を実施し、その安全性を確認しております。
 なお、猫又池等の浅川上流のため池につきましても、池の所有者であります浅河原土地改良区が毎年利用開始時、それからかんがい期、利用終了時に点検を実施するとともに、梅雨期及び台風の多発期につきましては、受益者でございます農家の皆さんが随時巡視を行い、異常を発見した場合には市へ通報していただき、県と市で速やかに対策を講ずる体制がとられております。
 多くのため池は、河川の堤防と同様に土を締め固めた、いわゆる柔構造==柔らかい構造でございまして、一般的に地震の揺れに強いと言われております。しかしながら、特に古いため池におきましては、施工方法等が不明なことから、東日本大震災のような、大変大きな地震に対する正確な評価は困難な状況でございます。
 一方、漏水箇所や亀裂箇所は地震時に拡大いたしまして、決壊の引き金となると考えられますことから、今後も関係する県と連携をとりながら、計画的な改修工事ときめ細かな日常点検によりまして、地域住民の皆様の安心・安全の確保に努めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 私からは以上です。

自主防災会の避難訓練について

◆原田誠之
 次に進みます。

 次に、自主防災会の避難訓練についてであります。
 大地震を初め様々な災害が頻発しており、御近所、隣組同士の地域防災組織、自主防災会の活動はますます重要になってきました。私の住んでいる上野では、全ての組の避難場所からお年寄りや障害者も含めて、地区の避難場所まで組長さんが誘導します。600人近い区民が自宅から避難場所まで行動する防災訓練です。地域力も醸成されます。また、病院や松寿荘を初め福祉施設と災害支援協定を結び、実地に訓練もしています。さらに、災害時のペットの対応についても、犬のふんの片付けを続けている地域の愛犬クラブと共同で災害時のペットの訓練もしております。
 市内の防災組織に生かせれば、実践的な自主防災組織に発展するのではないでしょうか。災害時要援護者への対応について、民生委員さんや地域との連携は欠かせませんが、見解を伺います。

◎消防局長(池内公雄君)
 私から、自主防災会の避難訓練についてお答えします。
 上野区自主防災会は、昭和58年に結成され、その後毎年、全世帯の半数近い600人ほどの住民の皆さんが参加した実践的かつ効果的な各種訓練が行われております。昨年度の例では、昭和の森公園を中心に、高齢者や近隣の安否確認訓練を初め、地域の特色を生かした東長野病院と連携した救護訓練や医療判定訓練、また先進的なものとしては、避難場所では愛犬を収容する訓練などが行われました。
 このように全世帯を対象として、特色のある効果的な訓練を実施していることから、今後は毎年消防局が開催している自主防災会長・防災指導員研修会で、その事例を紹介させていただきたいと考えております。
 また、市内の老人福祉施設などとの災害時の応援協定につきましては、78施設のうち66施設で地元の自主防災会と応援協定を締結されておりますので、有事の際に迅速な避難誘導などが行えるよう、地域の防災訓練にも取れ入れていただきたいと考えております。
 いずれにいたしましても、疑わしいときは自ら行動をとる、自分たちのまちは自分たちで守ることが基本理念でございます。今後は、各自主防災会がそれぞれの地域特性を生かした防災訓練を、毎年、全住民を対象に実施していただくように支援してまいります。

 次に、災害援護者への民生委員や地域の対応についてお答えします。
 民生児童委員さんには、災害時のみならず日頃から地域での見守り活動を行っていただいておりますが、平成20年度から開始した災害時要援護者支援事業では、ひとり暮らし高齢者や要介護度3以上、身障手帳2級以上などの市が作成した災害時要援護者台帳により対象世帯を全戸訪問し、状況の把握と確認をいただいております。
 それを基に、体制の整った地区から住民自治協議会、消防団など、地域の防災関係者の皆さんとともに、要援護者一人一人の避難支援計画を作成いただき、災害に備えております。現在までのところ、市内32地区中、10地区で避難支援計画が策定され、10地区が策定中となっております。
 私からは以上でございます。

◆原田誠之
 是非、教訓は生かしてもらいたいと思います。

原発事故による放射能汚染と風評被害について

◆原田誠之
 次に、原発事故による放射能汚染と風評被害についてであります。
 地域住民や日本共産党の繰り返しの警告を無視し、安全神話で国民をだまし続けてきた東京電力と時の政府の責任は重大であります。原発事故は人災以外の何物でもありません。
 広がる一方の放射能汚染は、ついに腐葉土を通して長野市まで来てしまいました。市内の汚染の状況、線量計など検査体制はどうか、またホームページでも公表すべきです。農作物や牛や養豚、土壌汚染など、被害の実情と対応はどうなっていますか。また、風評被害については、東電に賠償請求すべきですが、見解を伺います。

◎環境部長(水野守也君)
 お尋ねの、原発事故による放射能汚染の分野は多岐にわたっておりますので、便宜上、私から現在の状況についてお答えを申し上げます。
 まず、空間放射線でございますが、県が環境保全研究所での精密測定や市庁舎、市内の小学校2校、戸隠奥社で簡易測定を実施しておりまして、通常の水準であることが確認されております。
 また、放射性物質につきましては、長野市清掃センター、長野市犀峡衛生センター、民間の産業廃棄物焼却炉、県の千曲川流域下水道2施設、市の下水道関係6施設の焼却灰又は脱水汚泥から放射性セシウムが検出されております。農畜産物、畑の土壌、牛肉、腐葉土につきましても、その一部から放射性セシウムが検出されております。
 これらにつきましては、それぞれ関係する省庁から示されております基準や処理方法に従いまして、適切な処理に努めているところでございます。
 なお、水道水からは放射性物質は検出されておりません。
 次に、お尋ねの2点目、測定体制でございますが、長野市では、簡易測定器を活用した空間放射線の測定を予定しております。現時点での案でございますが、まず1点目として、小・中学校や保育園、公園等を測定地点とした市内広範囲の現状把握、2点目として、数箇所を定点とした継続的な測定、3点目として、状況の変化に応じた随時測定を考えておりまして、この測定結果につきましては、順次ホームページ等で公表する予定でございます。
 私からは以上でございます。

◎産業振興部長(樋口博君)
 私からは、放射能によります被害状況及び風評被害についてお答えいたします。
 農作物、畜産関係及び土壌への放射能による被害状況につきましては、県下統一して対応し、風評被害を防ぐため県が一括して農畜産物等の放射能汚染の検査を実施しております。3月24日から7月末までの検査は、農作物関係として野菜、果実など83件、畜産関係では牛乳、牛肉、稲わら等九件、川魚が3件、農地の土壌が8件行われており、長野市分としては8件でございました。また、県内の製造業者が販売する腐葉土につきましては、3件実施しております。
 検査結果は、一部で放射能が検出されましたが、暫定基準値を大きく下回っており、特に6月以降の農畜産物関係の放射能検査結果では、一切検出されていない状況でございます。この結果から、農畜産物への放射能による影響は今のところ報告されておりません。今後も本市の農畜産物を含め、県において週1回程度検査を継続実施することとなっております。また、牛肉につきましては、安全・安心をより明確にするため、県で準備が整い次第、全頭検査を行うこととしております。
 次に、原発事故に伴う影響についてでございますが、現在のところ農作物関係ではないとお聞きしております。牛肉関係では、消費が伸びず平年より低価格になっているという状況はございます。
 現在、国及び東京電力株式会社では、農産物、牛肉など一旦出荷規制をした地域に対しましては、規制解除後の風評被害を含め補償することを決定しておりますが、長野県を含む出荷規制が出されていない地域に対する取扱いなどは、明確になっていない状況でございます。
 一方で、国は福島第1原発事故の賠償を支援する原子力損害賠償支援機構法を成立させまして、先頃、原子力損害賠償紛争審査会が賠償の目安となる中間答申を発表しております。今後もこうした一連の動向を注視いたしまして、万一、本市において具体的な被害等が発生した場合につきましては、県など関係機関と連携を図りまして、適切に対処してまいりたいと考えております。
 私からは以上です。

◆原田誠之
 
 答弁ありましたけれども、特に保護者からは小・中学校や保育園の校庭、園庭は心配ないのかと、こういう声があります。是非、線量といいますか、検査をですね、していただきたいという声が強くありますけれども、この辺、いかがでしょうか。


◎環境部長(水野守也君)

 お答えを申し上げます。
 先ほど申し上げましたが、簡易測定器につきましては、来月、導入が予定されているということでございまして、これを効果的に使う予定でございます。市内を9ブロックくらいに分けまして、全体では30か所程度をまず測定したいというふうに思っております。また、その後ですね、市内で3か所から4か所程度選びまして、そこで定点の測定を実施したいと。この中に、今お尋ねの小・中学校、あるいは保育園をですね、何か所か入れる形で測定をしたいというふうに思っております。
 よろしくお願いを申し上げます。


◆原田誠之

 何か所というよりも、1度は全ての学校、保育園、幼稚園などですね、是非やっていただきたいというふうに思います。
 それから今、県内の肉牛、米の検査までやることになりました。深刻であります。1万本の使用済み核燃料の処理法も見付からないので、汚染地域は集団移住と、こういう状況も聞いておりますけれども、という意味では、原発からの撤退、自然エネルギーへの切替えも、国民・市民の声でありますので、市長の原発に対する現状維持という認識は、そういう観点からいっていかがでしょうか、改めていただきたいと思いますけれども、見解を伺います。


◎市長(鷲澤正一君)

 そういう御意見のあることは、私も承知をしておりますし、またその御意見が全てそうかなというふうには、必ずしも私は思っておりません。
 私は、原発は確かに減らした方がいいだろうなというふうには今思っていますが、一挙にこれを減らすことは事実上、私はできないんだろうというふうに思います。自然エネルギーの開発をきちんとやることによって、一定の水準になってきて原発を例えば減らすという方向が出てきたときには、当然のことながら、原発はやめていくという方向を求めていくということではないかなと、私はそんなふうに思っております。
 したがって、私どもとしては、自然エネルギーの開発に全力を挙げたいと、それは市町村としては全力を挙げてやっていきたいと、こういうふうに思っています。ただ、それで賄えるのかどうかということになると、何かちょっとまだ難しいなというのが今の一般的なお話ではないでしょうか。
 以上です。


◆原田誠之

 人の手によって抑えることのできないものでありますので、これはもう撤退しかありません。もちろん、自然エネルギーに切り替えていく方向は当然でありますけれども、前提は撤退して順次自然エネルギーに切り替えると、これが一番だと思います。福島県民の思いをしっかり受け止めてもらいたいというふうに思います。

高齢者福祉について


◆原田誠之

 次に、高齢者福祉について伺います。
 熱中症対策であります。
 高齢者にとって、最も怖い病気の一つと言われているのが熱中症です。長野市でも電力不足に備えるとして、節電で熱中症の疑いで救急搬送された人は、昨年同期の2・3倍。公民館や集会所、福祉施設など高齢者が暑さを避け、一時休めるような避難所を確保しているところもあります。熱中症対策の一つとして、施設の開放をしたらと思いますが、見解を伺います。

◎保健福祉部長(寺田裕明君)
 お答えいたします。
 本年も昨年に引き続き猛暑の日が多く、熱中症対策が課題となっております。高齢者は一般成人に比べて特に注意が必要とされております。本市におきましては、保健所健康課で熱中症の予防と対処法のリーフレットを作成し、あらゆる機会を利用して普及啓発や注意喚起を図っているところでございます。
 熱中症対策の一つとして、公民館などの施設を開放するという御提案でございますが、施設にはそれぞれ本来の利用目的があり、利用者は事前に利用申込みを行っております。そのため、猛暑日となった日に開放できる部屋があるかは不確かな部分があり、特に市街地の施設においては利用が多く、部屋を確保することが困難な状況もございます。
 また、受入れに必要な物品等の確保や人的な対応など受入体制を整備しなければなりません。施設によっては、エアコン等の設備がなかったり、机と椅子のみで休養をとるには適さない施設もございます。さらに、高齢者が開放施設へ行くための交通手段はあるのかといった課題もございます。このようなことから、公民館などの一時的な避難場所としての施設の開放につきましては、難しいものと考えております。
 しかしながら、市の施設には事前の利用申込みの必要がなく、広く市民が利用できる施設として図書館や、市内にお住まいの60歳以上の方ならどなたでも御利用いただける老人福祉センターなどもございます。また、市内に10か所ございます老人憩の家は、有料ではありますがお風呂もあり、暑い日中には広間等でゆっくりくつろぎ、静養することが可能な高齢者施設ですので、是非御利用いただきたいと思います。
 以上でございます。

◆原田誠之
 次に、緊急通報システムの有料化についてです。
 ひとり暮らしの高齢者等の急病時や災害時に安否確認のできるシステムは、独居老人や障害者の命の綱です。平成21年度までは、高齢者のみで1,422名に無料で貸与していました。ところが、平成22年度からは障害者以外月額300円の負担金を払わなければならないと決めました。
 負担金徴収以降、平成23年度7月末の利用者は989名で、3割強と大幅な減少です。様々な理由があると聞いていますが、そのうち新システムを希望しない人が341名であります。有料化が重くのしかかっている高齢者もいるのではないでしょうか。その理由を聞かせてください。
 命の綱の緊急通報システム装置の負担金、年額3,600円は重いと思いませんか。これも行革による事務事業の見直しと自助努力、自己責任の押し付けでしょうか。身を粉にして働き続けて、社会のために尽くしてきた人たちに冷たくはありませんか。300万円ほどでできます。負担金をなくして、高齢者が安心して利用できるように直ちに元に戻すことを求めますが、見解を伺います。

◎保健福祉部長(寺田裕明君)
 お答えいたします。
 緊急通報装置設置事業につきましては、合併地区ごとのシステムの違いを統一するとともに、新たなサービスといたしまして、安否確認センサーによる生活の見守りやコールセンターからの月1回のお元気コールなどを導入し、平成22年10月から12月にかけて順次機器の設置を行い、平成23年1月から月額300円の利用者負担を導入したものでございます。
 有料化に当たりましては、経済的弱者に対する配慮として、生活保護世帯は無料としております。
 対象者につきましては、合併地区ごとの制度の違いを統一し、65歳以上のひとり暮らしの高齢者と75歳以上の高齢者のみの世帯としております。旧長野地区では、市内在住の子供がいないことといった要件を外したり、高齢者のみの世帯の年齢要件を80歳以上から75歳以上に引き下げるなどの対象者の拡大を図っております。
 市といたしましては、緊急通報装置は今後も見守りの重要なシステムの一つと考えており、必要とする方全てに設置いただけるようにするため、各地区の民生児童委員協議会定例会で事業の説明をし、民生委員さんに事業への協力依頼を行ったところでございます。その他、福祉推進員さんなどが企画した出前講座でも同事業の説明をし周知を図っており、これからも緊急通報装置の普及啓発に努めていきたいと考えております。
 新システム導入の過程で、それまでの1,475人の利用者に、利用の継続に関する意向調査を実施したところ、665人の方から利用を継続しないとの連絡をいただきました。その理由は、希望しないが341人、施設入所等が154人、家族との同居が61人、死亡が42人、その他携帯電話を所持していたり、家族が定期的に来てくれる等の理由が67人でございました。
 希望しないとされた方の中で、有料化を理由に継続しない方がどれだけいるか、詳細は不明でございます。
 平成21年度末で、1,422人の利用者が有料化後には810人に減少したわけでございますが、平成23年3月末には938人まで増加し、さらに平成23年7月末には989人となっており、有料化以降、利用者は179人増加している状況でございます。これは、安否確認センサーによる見守り体制などを充実させた緊急通報装置に対し、評価をいただいたものと考えております。
 また、これまで無料だったために、施設入所等で装置が不用となっても申し出ていただけないといった事態への対処策としても有効であり、利用者も設置しているという自覚を持って機器を大切に使っていただけるようになったと考えております。
 有料化は、行政サービスに対する市民負担の公平性を確保する観点からも必要であると考えておりますので、現状での御理解をお願いいたします。
 以上でございます。

◆原田誠之 平成22年度決算は26億円の黒字です。300万円程度のものは出せないものですか、改めてお尋ねします。

◎保健福祉部長(寺田裕明君)
 お答えいたします。
 ただ今も申し上げましたとおり、今回の新システムの導入に当たりましては、旧長野地区では市内在住の子供さんがいないことといった要件を外した、あるいは年齢要件を下げるといった対象範囲の拡大、それから旧合併地区ごとの制度の統一などを行いまして、サービスの向上を図ったものでございます。また、このシステムの維持に係る費用に対して、月額300円というのは非常に低額であると考えております。御理解をお願いしたいと思います。

◆原田誠之
 終わります。

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