議会報告

2011年6月定例市議会福祉環境委員会委員長報告反対討論 宮崎としゆき議員

請願第11号国保の広域化ではなく、国の財政支援機能の強化を求め、顔の見える市町村国保で、健康と暮らしを守る請願を不採択とした委員長報告に反対

◆宮崎利幸
 30番、日本共産党市議団宮崎利幸です。
 私は、福祉環境委員会委員長報告のうち、請願第11号国保の広域化ではなく、国の財政支援機能の強化を求め、顔の見える市町村国保で、健康と暮らしを守る請願を不採択とした委員長報告に反対し、本議会において採択されるように討論を行います。
 平成22年度の長野市の国保加入者は5万3,568人、滞納総額は15億6,000万円です。そもそも今日、国民の中に国保料が高過ぎるので払えない、保険証はあっても医療費がなく治療できず、歯がなくなってしまった、国保料の滞納で子ども手当が差し押さえられたと、国民健康保険を巡って大変なことが起こっています。国保料が高過ぎて払えず、国保に入れない無保険者も多数生まれています。国保が最大の医療保険となり、皆保険の土台を成しています。
 こうしたことから、今、国保が加入者だけでなく国民的な課題になっています。政府は、国保の赤字を口実に再編・広域化を狙い、国が国庫負担を増やさず、国民の命と健康を守る責任を放棄しようとしています。
 国保法の改正==医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険法の一部を改正する法律が2010年5月12日に成立し、7月1日から施行されています。都道府県に広域化等支援方針==国保広域化推進のため、市区町村に対してどのような支援を行うかという計画の策定を促し、広域化推進のための制度改変がされました。広域化とは、現在の市区町村単位で行われている国保の運営を都道府県単位で統合することです。
 厚生労働省保険局長は、広域化等支援方針の策定についてを通知し、方針策定は義務ではないにもかかわらず、年内に策定すれば、特別調整交付金の減額==ペナルティーを免除する特権も示されました。都道府県が支援方針を作成する際の技術的助言として示した広域化等支援方針策定要領は、今後の医療保険について、将来、地域保険として一元化を図るという観点から、まずは市町村国保の運営に関し、都道府県単位による広域化を推進する必要があると述べています。
 12月までに策定を促し、7月末現在で30道府県が年末までに策定を予定しております。盛り込む項目は、医療費適正化の共同実施、収納対策の共同実施、保健事業の共同実施、都道府県調整交付金の活用、広域化等支援金の活用、収納率目標の活用となっております。政府は、保険料と医療費に差が生まれている小規模市町村は保険財政が不安定であるとし、こうした現状を逆手にとって、国は広域化を口実に国庫負担を増やさないことを狙っているのです。
 国保を都道府県で統合するに当たっては、保険料、減免制度と基準、収納率の統一などが必要になります。全ての項目はできないことから、収納率の目標を持ち、向上に努める県もあります。これまで以上に国保は相互扶助とするキャンペーンが強められます。
 このことから、広域化の問題点として、

  1. 県内で国保料が高い市町村の方に統一されることになります。市区町村の一般会計からの繰入れができなくなります。
  2. 各市区町村で行っている保険料と一部負担金減免制度が改悪されることになります。
  3. 事務所は県庁所在地に1か所置くだけで、事務職員は市区町村からの出向になり、細かい仕事は全て市区町村に任されますが、権限は持ちません。そのため、住民の生活実態に寄り添うこともできず、保険料を滞納すると機械的に短期保険証や資格証明書が発行され、差押えや徴収が実態を無視して強められ、今まで長野市が行ってきた独自の優れた施策ができなくなります。
  4. 議会が形骸化され住民の声が届かず、住民の声が反映されにくくなります。

 国は国庫負担や自治体からの繰入れ==全国で約3,700億円をやめる医療費抑制政策==医療費の増加が保険料値上げにつながる仕組みです。既に、政府管掌健康保険が都道府県単位になり、協会けんぽとなりました。国保の広域化は政府の狙う小さな政府の具体化と言えます。道州制を視野に置き、医療保険の一元化と企業負担の軽減という社会保障切捨ての政策です。

 以上、述べてきたとおり、私たち市民にとって大変重要な問題です。国民健康保険は戦前からありましたが、全国で国民皆保険として確立したのは1961年です。各地でその内容を良くしようと、条例改正の運動が行われておりました。国の財政難を口実に80年代臨調で、1984年に国庫負担を切り下げたため、国保料が各地で大幅に連続して値上がり、滞納者が続出しました。その後、滞納者に特別の事情がない限り、資格証明書、短期証の発行で保険証取り上げを合法化しました。
 保険証を取り上げられ、医療費を心配して医者にかかれず、手遅れで亡くなる人が後を絶ちません。払い切れない保険料のために滞納が広がり、強権的に差押えをするなど、徴税攻勢が激しくなっています。このような情勢の中でも、市区町村国保は住民に身近なことから、市民の生活状態を相談しながら、国保料納入の相談、徴収猶予など対応できます。現在、滞納整理機構に徴収を丸投げしている市区町村が増えていますが、各家庭の実情は無視され、機械的に差押えなどがされています。
 国民健康保険は国保法第1条で、「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民健康保険の向上の寄与することを目的とする。」と定め、社会保障と明記しております。憲法第25条や地方自治法では、国民・住民の生存権や福祉の増進を掲げていることからも、市町村国保を守ることが重要です。しかし、広域化により市町村繰入金が撤廃されますと、保険料が1人当たり平均9万2,000円から10万5,000円へ1万3,000円高くなります。
 このような状態となる広域化について、さきの委員会の中で、市当局は広域化を推進する方針としています。今日の不況と就職難の中、今、市民の生活と健康を守るためには、広域化を推進するのではなく、市町村が独自の国保体制を守るべきであります。議員各位の御賛同をお願いいたしまして、討論といたします。

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