2011年3月定例市議会討論 野々村ひろみ議員
長野市一般会計予算について、反対の立場から討論
◆野々村博美
28番、日本共産党長野市会議員団野々村博美でございます。
議案第4号平成23年度長野市一般会計予算について、反対の立場から討論を行います。
観測史上4番目の大地震となった東日本大震災、栄村を襲った長野県北部地震から12日余りがたちました。今なおライフラインが復旧しない中、せっかく助かった命さえも、乳幼児、高齢者、障害者及び病人など、命を維持していくことが困難な事態に置かれていることに本当に心が痛みます。
3月11日を契機に、日本の国は大きく変わらざるを得ないだろうと思います。国民一人一人が足元の生活を見直し、今までの価値観を問い直し、この国難とも言える非常事態をどのように乗り越え、希望をつくり出していくのか、真剣な模索が始まっています。
被災地では、深い心の傷を負った子供たちが、心温まる卒業式やボランティアの方々の支援、自らも被災しながらお互い助け合う大人たちの姿に励まされ、新しい歩みを始めようとしています。そして、国内ばかりでなく、世界中の人たちが被災者を応援し、様々な救援・支援の活動が始まっています。
長野市でも、市民の皆さんの何とか支援をしたいという思いが、たくさんの救援物資や救援募金となって連日寄せられています。私も何度か街頭で募金活動に参加していますが、障害を持った方があるいは高齢者がずっしりとたまった小銭を袋に入れて、手紙とともに届けてくださる姿に涙があふれる思いでした。
福島原発の今後の行方は、通電には成功しましたが、機能の全面回復には相当な時間と危険性が伴い、予断を許さない事態が今後も続くものと考えられます。放射線の影響は、大気中ばかりでなく、農産物や土壌に、さらに海の汚染へと広がり、原子力発電を過信してきた電力会社と政府の責任は、今後厳しく問われてくるでしょう。原発の安全神話は崩壊し、新たなエネルギー政策に早急に取り組まなければなりません。
さて、25日には、長野市として災害支援本部が立ち上がると発表されました。連日の救援物資の対応など、職員の皆さんも大変御苦労されています。しかし、県都長野市の対応が遅いのではないかという批判の声があるのも事実であります。既に数家族の皆さんが長野市に避難されていますが、今後、多くの被災住民の受入れが予想されます。市民の皆さんの協力もいただきながら万全の対策をとるよう要望いたします。
来年度予算案については、3月11日以前に編成されたものであり、防災対策は重視すると言われていたものの、今までどおりの方針でありました。今後については、専門家の協力もいただき、内陸直下型地震、土石流災害、千曲川を初め洪水対策など、長野市の特徴を分析し、起こり得る災害を的確に予想して、早急に長野市防災計画を見直すことを要望し、それにふさわしい財源措置を講ずることを要望いたします。
来年度予算について見直しを求める幾つかの事業について申し上げます。
まず第1は、免震・制震工法などを含む耐震対策を行えば使い続けることができる長野市役所第一庁舎や、耐震診断さえもやらないまま新築するとした市民会館については、基本設計委託料や取壊しのための予算が計上されましたが、国のお金を当てにして建設することは、今や許されない事態であることは明らかです。今回の大震災という事態を受けて、改めて市民会館については時間をかけて検討すること、市役所第一庁舎については、すぐに耐震事業に着手し、その財源は基金を使うことを要望いたします。
次に、長野市公共交通活性化・再生協議会負担金について、バス共通ICカードの導入のための経費については当面凍結し、国からの補助金が変更されるような事態になっても、市民の足の確保を最優先に進めるよう見直しを求めます。
次に、長野県に設置される長野県地方税滞納整理機構に加入することについては、反対いたします。厳しい経済情勢が続く中、悪質滞納者だけでなく、払いたくても払えない人たちに厳しい取立てが行われることが懸念されます。また、収納業務を丸ごと民間委託するトータル収納サービスについては、利益を上げることを目的とする民間会社に市民の個人情報を行政が丸投げする危険があり、さらに収納という本来市の業務の根幹とも言うべき仕事を民間に行わせることは納得できません。市民の生活や心に寄り添いながら、収納業務や滞納整理に取り組んでいくことこそ、全体の奉仕者としての市職員の責務と考えます。
次に、権堂B1地区再開発事業について申し上げます。
市民会館の建設地が、権堂B1地区から現在地に移ったにもかかわらず、権堂B1地区再開発事業は白紙に戻さず、平成22年度事業の継続で、1万6,000
その一方で、権堂再生のためと検討委員会が設置され、市民ワークショップも開催され、多くの市民がそのような計画が進行していることも知らされないまま熱心な討議が行われ、権堂B1地区についてだけは今年9月までに結論を出すことが迫られています。余りに市民を愚弄するやり方ではありませんか。全面的な見直しを求めます。
また、同和事業の廃止と、人権同和政策課の名称は人権課に改めることを要望いたします。
最後に、浅川ダムについて申し上げます。
大震災を受けて、今、多くの市民が改めて浅川ダムは中止してほしいと切実に願っています。ダムは絶対安全という前提は通用しないのです。その上、建設すれば下流域の内水災害は一層ひどくなることが、県知事自ら報告をされました。浅川ダム建設を強力に推進してきた鷲澤市長の責任は重大です。浅川ダム建設推進の運動をする住民団体に、税金を使っていまだに補助金を出す長野市の姿勢は、厳しく問い直されるべきです。
以上申し上げまして、私の反対討論といたします。