議会報告

2011年3月定例市議会代表質問 野々村ひろみ議員

鷲澤市長の政治姿勢について

市民の暮らしと鷲澤市長の市政運営について

子供たちを支援する諸施策について

安心して老いることのできる長野市にするための諸施策について

どこに居住していても安心して暮らすことのできる長野市を目指して

若者と生活弱者への支援策について

まちづくりについて

長野電鉄屋代線の存続について

住宅リフォーム助成制度の創設について

鷲澤市長の政治姿勢について

◆野々村博美
 28番野々村博美でございます。日本共産党長野市議団を代表して質問をいたします。
 最初に、鷲澤市長の政治姿勢について伺います。
 国民の大きな期待を受けて誕生した民主党政権ですが、今や国会は惨たんたるものです。来年度予算案は衆院本会議で強行可決されましたが、成立の見通しは立ってはおりません。国民の政治不信は募るばかりで、内閣支持率は20%を切りました。来年度予算に求められることは、厳しさを増している国民の暮らしを支え、経済の健全な成長を図ることです。民間賃金は、この12年間で年収で平均61万円減少し、年収200万円以下の働く貧困層は1,100万人に達し、今春卒業予定の大学生の就職内定率は68・8%と過去最悪です。
 その一方で、大企業の内部留保は244兆円まで膨れ上がり、現預金など手元資金だけでも64兆円という空前の金余りです。この異常な構造が内需を冷え込ませ、日本経済の健全な発展を妨げています。大企業を応援すれば日本経済はうまくいくという路線の破綻は明らかです。
 ところが、政府の予算案は、財界の言いなりで1兆5,000億円の法人税減税を行い、証券優遇税制も2年間延長し、財政難と言いながら大企業、大資産家への減税は約2兆円に上ります。このばらまきをやめれば、国民の暮らしを応援する予算を組むことはすぐにでも可能です。また、高速道路や巨大港湾など、従来型の大型公共事業の予算も温存され、さらに巨額の軍事費が聖域とされ、米軍への思いやり予算総額を5年間維持するなど、アメリカ優先の姿勢も一層強められています。
 日本共産党は、組替え提案で総合的な賃上げ政策、雇用の確保と安定、社会保障を削減から拡充に向けること、子ども手当の増額分は保育所建設など総合的な子育て支援に回すことなどを求めました。鷲澤市長の見解を伺います。

◎市長(鷲澤正一君)
 野々村博美議員さんの質問にお答えをいたします。
 初めに、私の政治姿勢についての御質問のうち、新年度政府予算案についてお答えをいたします。
 新年度予算案は、一昨年の政権交代以来、政府が初めてゼロから取り組んだ予算であり、昨年の6月に示された財政運営戦略に基づき、財政規律の堅持という課題を抱えつつ編成された予算でもあります。しかしながら、前年度に引き続き、新規国債の発行額が税収を上回る状況に陥っており、これは極めて異常な事態と言わざるを得ず、財政の健全化に向けた取組を加速させ、歳出・歳入の抜本的改善を図ることを強く要望するところでございます。
 新年度予算案は、今日の景気の足踏み状態から元気な日本を復活させるため、新成長戦略の実現に向けた三段構えの経済対策の最終ステップとして、成長と雇用を最大テーマに、重点分野に新成長戦略の実現、子ども・子育て支援、農業、一括交付金及び雇用対策を掲げたものとなっており、円高とデフレ経済からの早期脱却を図り、日本経済を持続的成長軌道に乗せるものであると思います。
 日本の景気を良くするためには、先進国の中で最も高い水準にある法人実効税率を引き下げ、国内企業の国際競争力強化と外資系企業の立地を促進し、雇用と国内投資の拡大を図るとともに、積極的な財政出動を図り、公共事業を最大限取り入れることによって経済効果を地域に波及させることが最も有効な施策であると考えます。
 また、少子高齢社会の進展等により、年々膨らむ社会保障関係費の増加もやむを得ないと思いますので、全体的にはバランスのとれた予算だと思ってはおります。ただし、次の世代に課題を先送りすることなく、税制改革を初め、将来を見据えた大胆な制度の見直しと新たな制度構築を図り、国民に安心と夢を与える明るい未来への展望を早期に示していただく必要もあるものと考えております。
 いずれにいたしましても、長野市としては景気回復、デフレ脱却が早期に対応すべき重要課題であると考えますので、国の施策に沿って、国、県の支援制度を十分に活用しながら、本市における地域経済の活性化と住民福祉の向上にまい進する所存であります。
 なお、混乱が続く現在の国会情勢でありますが、予算案及び予算関連法案の審議を速やかに決着させ、国民や地方が抱く不安を払拭する中で、新年度予算の円滑な執行が図られるよう改めて最善の対応を強く要望いたすところでございます。

◆野々村博美
 過日、地域の商店街の方が、今まで何とか店を開いてきたが、消費税が上がれば閉めざるを得ないと言われていました。下請業者や商店は消費税を価格に上乗せできずに苦しめられています。黒字の大企業には減税し、国民には負担を強いることは認められません。消費税増税について、市長の見解を伺います。

◎市長(鷲澤正一君)
 次に、消費税についての見解を申し上げます。
 我が国の財政は、国及び地方の長期債務残高が平成23年度末には約900兆円に達する見込みで、先進国において類を見ない、極めて深刻な状況にあります。こうした中、少子高齢社会の進展に伴い、今後とも社会保障関係費等の財政需要が大きく増大する一方で、税収の大幅な伸びが期待できない状況下では、医療、福祉、年金など、市民生活と密接不可分な行政サービスを持続的かつ安定的に提供していくためには、これらの財源を確保すべく税体系の再構築が不可欠であります。
 消費税は景気に左右されにくく、税収の偏在性が少ない安定的な財源として、社会保障財源の中核となるものと認識しており、将来にわたる国民生活の安心・安定を担保するには、消費税の引上げを含む税制の抜本的な改革は避けて通れない喫緊の課題であると考えております。
 政府においては、税と社会保障の一体改革に向けた論議を開始したところであり、社会保障給付の水準をどこに置き、国民負担をどこまで求めるのか、併せて低所得者層等の負担に対する配慮、これも含めて国政の場において十分な議論を尽くして、国民的な合意形成を図っていただくことを要望するものでございます。いずれにしても、一番には全体スキームが見えないことが、私は国民を不安にしているというふうに感じております。
 なお、消費税については、現在の仕組みについてちょっとお話をいたしますと、国税としての消費税が4%、地方消費税が1%となっておりまして、地方消費税の収入額の2分の1が各市町村の人口と従業者数により案分されて、地方消費税特例交付金として各市町村に交付される仕組みであります。本市の23年度当初予算案では、交付金は42億7,600万円となっております。市にとって貴重な財源となっておるわけでございます。
 なお、先ほど申し上げた税と社会保障の一体改革ということにつきまして、なかなかこれ難しい問題ではございます。竹中平蔵氏の意見によりますと、それは間違っているんだと、経済と財政の一体改革なんだというような議論もしておられます。
 私は、いずれにしても、消費税の引上げは、やがて必要になりますが、その前にデフレ低成長を克服することが必要であるという竹中氏の論理に賛成でございます。

◆野々村博美
 また、TPPについても、その影響は計り知れません。農家1戸当たりの耕作面積は、アメリカが日本の100倍、豪州は1,500倍です。最初から競争などできないのです。食料自給率を上げることは大きな安全保障であるはずです。にもかかわらず農業に壊滅的な打撃を与え、保険、金融、雇用など、あらゆる分野の関税撤廃や規制緩和を進め、国民の生存や安全を脅かします。
 背景に、アジアで経済的な足場を築きたいアメリカの思惑があります。今、必要なことは、食料主権を貿易のルールにすること、東アジア諸国と平等互恵の経済連携を進めることです。鷲澤市長の見解を伺います。

◎市長(鷲澤正一君)
 次に、TPPの影響についてお答えをいたします。
 議員さんのお話のとおり、原則として関税撤廃の例外措置を認めないTPP協定に日本が参加した場合には、国内の農業生産や食料自給率及び農業・農村の多面的機能の維持・存続を根底から揺るがすのみならず、情報、金融、郵政等幅広い分野に、さらには雇用への深刻な影響も懸念されることは十分認識しているところでございます。2008年の穀物価格急騰時、食料輸出国においては輸出制限がされており、また最近ではロシアが小麦の輸出規制を行いました。しかし、幸い輸入量は確保できております。しかし、将来的には小麦等穀物の輸入量の確保が危惧されるというような事態も発生する危険性はもちろんあるわけでございます。
 このような状況の中、食料の安全保障という観点から、国の食料自給率の向上が叫ばれており、今後進展する貿易面においても、何らかの対応策を講ずる必要があると考えます。
 日本の対外貿易の比率を見ますと、2009年の日本の輸出入総額に対するASEAN諸国プラス中国・韓国が占める割合は35%と高い比率となっており、今後も中国、韓国等の東アジア諸国との経済連携を進めていくことは、重要性が高いものと考えます。
 しかしながら、日本は戦後、自由貿易体制によって再生をしてきた国であり、TPP協定についても、全面的に否定すべきではないと私は考えております。
 このようなことから、私は国におけるTPPを初めとする経済連携協定--EPA及び自由貿易協定--FTAの推進に当たっては、世界の貿易体制の方向性、マクロの視点、並びに国内産業、国民生活への影響を見極め、国がとるべき道を考え、それにきちんと対応していくべきであると考えております。

市民の暮らしと鷲澤市長の市政運営について

◆野々村博美
 次に、市民の暮らしと鷲澤市長の市政運営について伺います。
 長野市は、平成18年度から財政構造改革プログラムを実施し、在宅福祉介護料の大幅引下げ、成人学校の受講料の大幅な値上げ、ごみ収集手数料有料化など、弱者切捨て、サービス水準の低下、市民負担の強化を行ってきました。その目的は、ストックに頼らない健全財政への道筋をつけ、財政の健全化と大規模プロジェクトの実施という困難な課題の両立のためとしていました。高齢化社会を支えるとか、子育て支援を強化するためという目的は何も示されませんでした。
 平成18年度の財政推計を見ると、平成22年度の財政調整のための基金残高は109億円、しかし実際の22年度財政調整のための基金残高の見込額は約209億円です。推計より100億円も多いのです。市民生活を犠牲にして、予想以上の基金を確保することができたのではありませんか。見解を伺います。

◎財政部長(久代伸次君)
 私からは、まず平成18年度財政構造改革プログラムで推計した基金残高と実際の残高との差は、市民生活を犠牲にして確保できたのではないかとの御質問にお答えいたします。
 財政構造改革プログラムは、平成18年2月に長野市財政構造改革懇話会の提言を踏まえ、改革事項及びその工程表とともに、財政の健全化、財政基盤の強化に努めるべく中期財政推計を作成したものであり、平成22年度までを改革期間として、行政サービス・補助金の総点検、使用料・手数料の見直し、公共施設の再編、総人件費の抑制及び増収対策などを図ってきたところでございます。
 これまでに実施してきました本市における行財政改革の推進は、持続可能な地域社会、市民の自立が促進され、意欲が引き出される地域社会、公平性が確保される地域社会、安心して暮らせる地域社会を目指して推進してきたもので、市民生活を犠牲にしたものではございません。
 18年の財政推計に比べ、予想以上に財政調整等基金の残高が大きくなりましたのは、当時の財政推計は16年度からの三位一体改革により大幅に減額されつつありました地方交付税に危機感を持ちながら、大変厳しい状況の中で作成したものでありましたが、その後地域主権の推進のため、地方の財政基盤の充実を図るとした国の施策によって地方交付税が大幅に回復したことなどが大きな要因であると考えております。

<<再質問>>
◆野々村博美

 それぞれ御答弁を頂き、ありがとうございました。再質問をさせていただきます。
 まず、財政推計がこの後、各会派に説明があるということなんですが、本来来年度の予算編成が行われ、予算案が提出をされた段階で、議会に対して財政推計の説明があって当然ではなかったかと思うんですけれども、その辺はどのように財政部長、考えていらっしゃいますでしょうか。私どもが質問するに当たって大変貴重な資料になるわけで、もっと早く提出をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

◎財政部長(久代伸次君)
 お答えいたします。
 本来ですと、御指摘のとおりできるだけ早目に示せる方がいいというのは、これは重々承知しております。ただ、予算編成は大変な作業でございまして、それが出来上がって23年度の予算編成したものをベースに財政推計というのを作るという形にしておりますので、どうしても予算の編成と若干のタイムラグが生じます。そこは御理解をいただければと思います。どちらにいたしましても、毎年毎年作ることに意味があると思っておりますので、23年度の編成作業が終わった後に、速やかにやって出したいということで思っております。少し時間を頂ければと思います。
 以上です。

<<再質問>>
◆野々村博美

 私どもも、かねてから財政推計をきちんと毎年行ってほしいということを要望申し上げてきて、やられるようになったということですが、予算編成が終わった段階で、すぐにやはり予算案の説明と併せて、是非来年度からは財政推計を併せて御説明をいただければと思います。これは要望しておきます。
 平成22年度、23年度の比較がまだ出ていませんので、22年度版の議会事務局の作成した調査年報で中核市36市ですが、都市の比較をちょっと見てみました。長野市の予算、どういうところに特徴があるのかということを見てみますと、改めて痛感することは普通建設事業費、特に単独の建設事業費が際立って高いということですね。中核市の平均6・7%、長野市は10・2%、それから扶助費、これは際立って低いということです。中核市の平均24・2%、長野市は13・4%です。
 先ほど、市長の御説明と財政部長の御説明の中にもありましたが、普通建設事業費が非常に高くなっているというお話ありました。大型プロジェクトをたくさん抱えておりまして、普通建設事業費が高くなることは予想されていたわけです。そこへ持ってきて、18年度の段階ではなかった市庁舎・市民会館が途中から、21年度の段階で位置付けられたということで。
 これは、厳しいから財政構造改革を行ったわけで、その財政構造改革を行っている中で、地方交付税が予想以上にたくさん付いたから基金残高も増えたんだという先ほど御説明ありましたけれども、地方交付税が増えたのであれば、先ほど申し上げましたように、成人学校の受講料が当時3,000円台だったものが、今度8,000円にまでなるという、このようなところにやはり市民の皆さんの負担を引き下げるように、本来使うのが筋であろうと私たちは考えております。
 長野市の普通建設事業費が他都市に比べて非常に高い問題、その一方で扶助費が低い、この辺のことについて鷲澤市長はどのように考えておられるのか、市長の予算編成の姿勢として、どのように考えておられるのか、改めてお伺いをしておきたいと思います。

◎市長(鷲澤正一君)
 御意見として、そういう御意見があることは結構でございますが、私どもとしては財政全体を考えた上で、しかもある意味ではロングレンジで物を考えた上で、そういう形をとっております。
 以上です。

<<再質問>>
◆野々村博美

 長野市が、もう一つの特徴として持っているのが、中核市36市に比較して公債費ですね、公債費。平成22年度の、これは予算の段階ですけれども、構成比17・6%、中核市の平均12・1%です。公債費が非常に高くなっています。やはり普通建設事業費、特に単独の普通建設事業費が多額になっているということで、ハード事業が相当多くなっている中で、今後の財政負担、後年度の財政負担が非常に高くなっているということも一つの特徴であると思います。
 そういう中で、私たちは市庁舎・市民会館については、後年度負担が高くなる中で、ますます財政状況も厳しくなる、地方交付税もこれから減額されてくる、そういう状況があるわけですので、合併から10年が経過をするという、10年で完全に一本算定されていくわけですので、地方交付税の額が下がっていく中で、後年度負担が高くなる、このような予算編成についてはいかがなものかということで、市庁舎・市民会館については耐震改修で、できるだけ後年度負担がなくなるような方向を考えるべきだと主張してきましたが、残念ながら強行された経過があります。
 このことは、今後も市民の皆さんの間から合意がない中で、新たな市民運動として、このことについては運動が起きてくることも報道されていますので、是非再度御検討をお願いしたいと思います。要望をして、次に移ります。

◆野々村博美
 その結果、平成18年度の段階では、大規模プロジェクトには入っていなかった市庁舎・市民会館の建て替え計画が一挙に浮上しました。そして今、耐震改修で十分対応できるにもかかわらず、また市民の合意もないままに、市庁舎・市民会館の建て替えが強行されようとしています。大規模プロジェクトに市庁舎・市民会館が加わった経過について伺います。

◎財政部長(久代伸次君)
 
 次に、市役所第一庁舎と長野市民会館を大規模プロジェクト事業に加えた経過についてお答えいたします。
 市役所第一庁舎と長野市民会館の在り方については、19年度以降、在り方懇話会において建て替えの可否を含めて協議をいただいてまいりました。その後、在り方懇話会からの報告を受け、21年4月に市として建て替えが必要との方向性を示す基本的方針を公表し、市民の皆様に御意見を伺うとともに、議会においても御議論をいただいてまいりました。この平成21年度の時点で、今後具体化が見込まれる事業として、大規模プロジェクト事業に新規に位置付けたものでございます。
 その後、市民意見、議会での議論、建設検討委員会での検討をいただく中で、平成22年2月に基本構想をまとめ事業費を算出したことから、同年3月に大規模プロジェクト事業として財政推計に反映をさせたものでございます。
 この時点で策定いたしました財政推計は、将来を見据えた財政運営の指針となるもので、今後10年の間に具体的に事業化が見込め、かつ、総事業費30億円を超える事業を大規模プロジェクト事業と位置付けております。
 経済情勢の変化や国の制度改正等によって、推計値は大きく変わってまいりますが、特に最近の状況は、その傾向が顕著でありますことから、より的確なものとするため、昨年度から当初予算編成時に併せて更新をしていくものとしたところでございます。今年度の財政推計につきましては現在策定中であり、間もなくお示しをさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。

◆野々村博美
 厳しい経済状況の下、労働者の賃金は12年間で61万円も下がり、年金生活者も社会保障料の負担増、税金の引上げで生活は苦しくなるばかり。そして、失業、就職難。市民の暮らしがこんなに大変になっている中で、長野市はそれに追い打ちをかけるように、市民サービスの切捨て、負担の強化を行ってきました。こうやって維持してきた基金を、市役所・市民会館の建設に使うのではなく、市民の暮らしを支え、応援するためにこそ使うべきと考えます。見解を伺います。

◎財政部長(久代伸次君)
 次に、基金を第一庁舎・市民会館に使うのではなく、市民の暮らしを支え、応援するためにこそ使うべきとの御質問にお答えいたします。
 新年度予算については、小・中学校の耐震化事業を中心とした大規模プロジェクト事業の本格化や医療、介護、福祉、生活保護など社会保障関係費の大幅な伸びに適切に対応しながら、市民ニーズを踏まえた重点性、優先性の高い施策の実現を念頭に編成作業を行ったところでございます。
 また、新年度においては、第4次長野市総合計画の多くの施策の中から、子育ち・子育て支援の推進、エネルギーの適正利用、公共交通機関の整備に優先的に財源を配分したところでありまして、一般会計予算総額の約8・7%に当たる約134億円を計上しているところでございます。加えて、引き続き県の基金を活用した緊急雇用創出事業を更に拡大するなど、選択と集中の徹底による施策の厳選を図ったところであります。
 いずれにいたしましても、新年度予算につきましては、限られた財源を最大限有効に活用し、現下の厳しい経済・雇用状況に配慮しつつ、1月補正予算と一体の連続した予算として編成したものであり、地域活性化や地域の雇用の確保につなげる予算としたところでございます。厳しい財政事情の中ではありますが、国、県の補助制度や有利な市債の借入れ、基金の有効活用等により必要な財源の手当てを図りながら、市民の暮らしを支え応援するための予算となったものと考えております。
 私からは以上でございます。

子供たちを支援する諸施策について

◆野々村博美
 次に、人と暮らしが大切にされる長野市政の実現を目指して、最初に子供たちを支援する諸施策について伺います。
 長野県は、来年度から30人規模学級を中学1年まで拡大することを発表しました。新年度が近いということもあり、現場では一定の混乱もあると聞いておりますが、長野市の各中学校の準備状況はいかがでしょうか。また、少人数学習集団編成の選択も可能ということですが、各学校の対応はどうか伺います。

◎教育次長(新津吉明君)
 最初に、県が来年度から導入する中学校1年生の30人規模学級の実施見通しについてお答えをいたします。
 現時点で、長野市の30人規模学級の対象校は8校あり、そのうち5校が30人規模学級を導入し、3校は少人数学習集団編成を選択、実施の予定でございます。30人規模学級を導入した場合、現在の1学級在籍生徒数が最大40名から最大35名となり、教科指導だけでなく教育相談などにおいても、より細やかな指導が期待できるとしております。一方、導入による1学年の学級数の増加は、当然教科の指導時数の増加につながり、指導時数の増加に応じた教員数が必要となります。
 少人数学習集団編成を選択、実施とした3校のうちの2校は、30人規模学級を導入した場合、指導時数の増加に伴う必要な教員の配置が困難であることをその事由としております。残りの1校は、30人規模学級を導入しても加配教員の配置が見込めず、教員数が現状のままであること、またこれまでの少人数学習集団編成による指導の成果も見られることから、少人数学習集団編成を選択する方が子供たちにとってメリットが大きいと判断しております。
 なお、今後の新年度入学予定生徒数の推移によっては、対象校が変化することもあり得ます。

<<再質問>>
◆野々村博美

 長野市は、来年度30人規模学級を中学1年生まで拡大する中で、8校のうち5校が30人規模学級をやると、3校については少人数学習集団編成を行うということですが、教員が確保できなかったので、2校については少人数学習集団で行うということなんですが、これは非常に残念なことだなと思います。各学校の校長先生が教員を確保することとして取り組まれていたようですが、教育委員会全体でこれを支援するということは実際に行われたのかどうか、最大限の努力をされたのかどうか、その辺、教育委員会にお聞きをしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。

◎教育次長(新津吉明君)
 お答えいたします。
 教員の配置ができなかった一番の原因は、県の方からの正式な通知を大分遅い段階で御連絡いただいたということで、私どもも教育委員会としまして、該当校の校長と最後の最後まで連絡、相談等しまして、出てきた結果が5校導入、そして2校は残念ながら少人数学習集団編成、1校は少人数学習集団編成のメリットもあるのでということで選択した次第で、私どもも精一杯限られた時間ではありましたけれども、学校の相談に乗らせていただいたと、そんなふうに認識はしております。

<<再質問>>
◆野々村博美

 了解しました。来年度ももちろん続行されていくので、30人規模学級が成功するように、是非頑張っていただきたいと思います。

◆野々村博美
 また先日、県教育委員会が持つ小・中学校の教員人事権の移譲に向けて、長野市教育委員会が検討していると報道されました。検討内容と今後の見通しについて伺います。

◎教育長(堀内征治君)
 私から、教員人事権についてお答えいたします。
 中核市の教育長で組織する中核市教育長連絡会は、今日の多様化する教育ニーズの中で、中核市が主体性を発揮し、権限と責任を明確にして、創意工夫しながら質の高い特色ある学校教育を実現していくことを求めております。そのために、人事権の移譲を受けて、既に権限が移譲されている服務監督権及び研修権と一体となった系統的な人材育成を図り、地域に根ざした教育を目的に、教職員が全力で実践に当たれる環境を構築することを目指しております。
 このように、中核市教育長連絡会などで人事権の移譲の推進を図ろうとする動きもあります。長野市といたしましては、全県人事を基本とする長野県との関係や周辺市町村への影響も考慮すると、極めて慎重に議論を重ねていくことが必要であり、移譲に関しての見通しは立っておりません。
 しかし、地方分権が進む行政改革の大きな流れの中で、教職員の人材確保や事務局体制、また教職員給与等の人件費、学級編制基準等についての調査や議論は必要であると考え、教育委員会内の関係部署の職員による検討プロジェクトを昨年9月に立ち上げたところであります。今後、国の動向や他の中核市の状況把握など、研究を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

◆野々村博美
 次に、発達支援室の設置について伺います。
 長野県特別支援教育連携協議会は最終の報告書をまとめ、公立小・中学校に発達支援室を設置することを提言しました。発達障害を持つ児童・生徒が増加している中で、全ての子供たちに豊かな学びの場を保障していくために大変重要と考えます。現段階では、専任職員の配置が保障されてはいませんが、専任職員を配置し専門機関との連絡調整などがスムーズに行われるよう、長野市としても本格実施に向けた取組を要望したいと思います。見解をお伺いいたします。

◎教育次長(新津吉明君)
 次に、発達支援室の設置についての御質問にお答えをいたします。
 今回の長野県特別支援教育連携協議会の報告案にある発達支援室(仮称)は、その目指すべき方向性として、一部特別な支援を必要とする児童・生徒が通常の学級を基盤に、ニーズに応じて適切な支援を受けられるよう連続的で多様な教育対応を展開できる体制を目指す必要があるとし、すべての小・中学校に発達支援室を設置して適切な支援を行うことを検討する必要があるとしています。
 また、特別支援学級や通級指導教室は現行のままとし、対象児童・生徒を絞って支援を行うというものであり、指導に当たる担当者については、新たな教員配置を含め検討する必要があるとなっております。さらに、地域における中核となる特別支援教育コーディネーターの配置について、一定の地域ブロックの中核となって特別支援教育を推進するコーディネーターを専任として配置すると提案しております。
 長野市では既に、平成17年度の特別支援教育を推進するための制度の在り方についての中教審の答申を受け、特別支援教室(仮称)制度に関する研究の、実践的研究に取り組んでまいりました。
 この取組の過程で、特別な教育的支援を必要とする全ての児童・生徒への指導と支援を実現するためには、担任等のフットワーク、校内教職員や保護者のチームワーク、関係機関等を含めたネットワークにより適切な指導と必要な支援を行うこと及びその子のニーズに沿った内容、人、場所を用意するという長野市特別支援教育さんさんプランを作成し、その実践を進めてまいりました。この取組は、協議会の提案と同じ方向性を持つものと考えております。
 市教育委員会といたしましては、障害のある児童・生徒に弾力的な対応ができる可能性が高い、この協議会の提案は歓迎すべきものであると受け止めており、本市の実践から得られた課題である、発達支援室を担当する教員はその学校の特別支援教育コーディネーターを充てるべきこと、中核特別支援教育コーディネーターを配置する学校を固定しないことなどについて、提案してまいりたいと考えております。

<<再質問>>
◆野々村博美

 それから、発達支援室については、難しい御説明がされて十分私も理解できなかったんですけれども、現段階で中学校には通級の指導教室はないわけですね。やはり、小学校ではそういう通級の指導教室があって学びの場を保障されていた子が、中学校へ行って非常に混乱をする事例があるとお聞きをしていますが、その辺は長野市の、この間の特別支援教育の充実を目指して取り組んできた中で解決の方向として、今回の県の新たな発達支援室の提唱と併せて中学校での特別支援の充実というのは、具体的にはされていくのかどうか。その辺をお聞きしておきたいと思います。

◎教育次長(新津吉明君)
 お答えをいたします。
 今の議員さんの御指摘のとおり、市内に発達障害等の通級指導教室は小学校で2校、中学校にはございません。私どもとすれば、当然小学校を卒業した子供さんは中学校に進学するわけですので、小学校の通級指導教室の新規増設等を要望いたしましたり、当然中学校における、この県で言われる発達支援室等の設置についても要望したり、あるいは検討したりする必要があるというふうな認識を持っております。
 以上でございます。

<<再質問>>
◆野々村博美

 通級の指導教室と併せて、特別支援学級ですか、あるわけですが、やはり発達支援室というトータルで子供の居場所が確保できる場所、発達支援室というものはやはり是非設置が必要だろうと思います。残念ながら県の方では、その専任教員の配置というものがまだ保障されていないということですので、是非それは強力に要望もし、私どももまた要望していきたいと思いますが、これは専任の先生を置いた発達支援室が設置されるよう頑張っていただきたいと思っております。

◆野々村博美
 私は、昨年の3月議会で、スクールソーシャルワーカーの配置を求めました。現在は長野県が県下に5名配置をしていますが、福祉の専門家を教育委員会に配置することは待ったなしの課題です。子供たちの7人に1人は貧困状況に置かれ、また心や体を壊している親御さんも増え、ひとり親家庭も急増しています。子供たちを社会全体で守っていく仕組みづくりが急がれています。福祉の援助が必要な子供たちを把握できるのは学校です。長野市として教育委員会に福祉の専門家を配置することを求めます。御見解を伺います。

◎教育次長(新津吉明君)
 続きまして、スクールソーシャルワーカーの配置についてお答えをいたします。
 不登校や様々な課題を抱える児童・生徒に支援を行う際、学校内だけでは解決できないケースが年々増加傾向にあります。本年度、上半期の不登校に関する調査では、不登校のきっかけとして、家庭内の不和や親子関係を巡る問題等、家庭に起因するものの比率は、小学校では約50%、中学校では約20%と高く、保護者や家庭への支援が課題になってきております。
 各校では、教頭や不登校対策コーディネーターが中心となり、連絡や調整を行い、教育関係機関との連携の下、児童・生徒や保護者への支援を行っており、必要に応じ市の保育家庭支援課や厚生課、また児童相談所、医療機関との連携も行っております。加えて、社会福祉機関等と連携が必要な場合には、北信教育事務所のスクールソーシャルワーカーも活用し、児童・生徒を取り巻く環境の改善、特に保護者への支援のためのコーディネートをしており、その件数は昨年に比べ増加傾向でございます。
 本市といたしましては、引き続き教頭や不登校対策コーディネーター、市教育委員会、北信教育事務所のスクールソーシャルワーカー等がコーディネートを行い、医療機関、社会福祉機関等との連携を継続してまいりたいと考えております。
 また、本年度から県の補助事業としまして、児童・生徒や保護者への支援等により、不登校の未然防止及び不登校の長期化防止を図る、不登校及び不登校傾向児童生徒のための人間関係力育成事業を実施しております。来年度は、この事業の中の笑顔で登校支援員としまして、社会福祉や精神保健福祉等の専門的な知識や技術を持ち、特に社会福祉関係機関とのネットワークの構築、連携、調整を行い、児童・生徒を取り巻く環境の改善を図る支援員の学校への派遣を検討してまいりたいと考えております。
 したがいまして、御要望にございました福祉専門の相談員を教育委員会内に配置する予定はございませんが、御理解をお願いをいたします。

<<再質問>>
◆野々村博美

 それから、スクールソーシャルワーカーの配置についてですが、新津教育次長さんは、やはり不登校対策としてのスクールソーシャルワーカーの配置というお考えだと思うんですが、確かに不登校の問題は大きな教育の課題となっておりますが、それだけではないと思うんですね。不登校だから支援しなければいけないとかではなくて、もっと本当に子供全体を応援していく、福祉の分野から子供たちが置かれている状況をしっかり把握して、必要な支援をしていくということで、不登校対策として考えてはいただきたくないなと思うんですけれども。
 その辺、その結果として学校に行けるようになったということはもちろん結構なことなんですが、子供の全人格を保障する、子供をより良い環境で育てる、そういう立場で是非スクールソーシャルワーカーを教育委員会、長野市の教育委員会に配置をしていただきたいと思います。そのことについて、御答弁いただければと思います。

◎教育次長(新津吉明君)
 お答えいたします。
 私どもも議員さんの御指摘のとおり、不登校に特化したスクールソーシャルワーカーの配置というふうには考えておりません。これは、スクールソーシャルワーカーは飽くまでも家庭環境ですとか、医療のいろいろな課題ですとか、そういう環境を変えるという目的があるかと思います。ということで、不登校の改善にも貢献するでしょうし、今議員さんおっしゃられた社会福祉の関係ですとか、医療の関係ですとか、そんなような働きを当然私の方も期待しているところでございます。
 以上です。

◆野々村博美
 次に、全国学力テストについて伺います。
 長野県教育委員会は、昨年4月に行われた全国学力・学習状況調査の結果が全国平均を下回ったことを受けて、新たな学力向上策を検討していますが、長野県教職員組合では、教育現場では新たな困難が持ち込まれることが予想されるとし、学力問題に関する県民的な論議を呼び掛けています。
 当市議団は、子供たちを苦しめている過度な競争主義的な教育から脱却するためにも、全国学力テストは中止を求めていくことが教育者として必要なことと思います。そして、子供の人格の全面発達を保障するために公教育は何をなすべきか、何を変えなければならないのか、広く議論していくことが必要です。学力テストの順位が下がったこと以上に、子供たちが置かれている状況は深刻です。子供たちに今どのような力を付けていかなければならないのか、真剣な取組が求められています。教育委員会委員長の御所見をお伺いいたします。

◎教育委員会委員長(近藤守君)
 全国学力テストについてお答え申し上げます。
 全国学力・学習状況調査は、義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童・生徒の学力や学習状況を把握、分析し、教育施策の成果と課題を検証しその改善を図ることや、児童・生徒への教育指導や学習状況の改善等に役立てることを目的として行われております。本市におきましても、その結果を分析し、児童・生徒の学力及び学習状況を向上させる目的で、調査結果を基に教師の指導改善や学校の教育課程改善を行い、児童・生徒への基礎学力の保障を図ることに活用しており、過度の競争主義的な教育を促すものとは認識しておりません。
 全ての子供に対して、ひとしく教育を受ける権利を保障する公教育の役割を考えたとき、学校、家庭、社会の3者が連携を図りつつ、地域とのつながりを大切にし、多様な人間関係の中で、子供同士がお互いに関わりながら楽しい学校生活を送ることや、個々の子供たちが確かな学力を身に付ける中で保護者の期待に応えられるよう、教育の充実に努めていくことが大切であると考えております。
 本市は、長野市教育大綱の理念の下に、学校教育、家庭教育、社会教育の3者の総合的な教育により、深く豊かな人間性の実現を目指しております。まずは、その具現に向けて努めてまいる所存であります。また、確かな学力を子供たちに付けるためには、的確に子供たちの学力の実態を把握し、授業改善に活用していくことが必要になり、全国学力・学習状況調査もその一つと考えております。
 なお、全国学力・学習状況調査につきましては、その実施方法等について様々な論議があり、国の今後の情勢を把握しながら適切に判断してまいりたいと考えております。よろしくお願いします。

◆野々村博美
 次に、子供条例の制定と児童相談所の設置について伺います。
 2月20日、子育ち子育て検討会として、子供条例についての研修会を早稲田大学喜多明人先生を迎えて行いました。教育次長さんを初め、関係課の皆さんにも御参加をいただきました。現代の子供、若者が抱えている自己肯定感の低さと生きづらさの問題、学力の低下は学習意欲の低下から来ていることなど、大変説得力のあるお話でした。改めて、子供支援とは自分育ちを応援する環境を整えていくことと理解しました。
 そして、今までの青少年健全育成というのは、大人のニーズに合わせて子供を育てようとするもので、一方、子供条例は、子供の側の意思を尊重しようとするものであると指摘をされました。知らない人にはついていかない、大声を出すという、人間不信を小さいうちから持たなければならないような警察頼みの地域社会の崩れは深刻で、この現実を変えていくのが子供支援のまちづくり条例の制定であり、もう待ったなしの課題とされました。若者たち、そして専門家から成る検討委員会を設置して制定の準備を進めていただきたいと思います。教育次長さんの感想や制定に向けての意欲について伺います。

 同時に、制定に向けて関係者が現状を共有し、連携して取り組んでいく過程が大変大切と考えます。また、子供の視点からのまちづくりも、暮らしやすいまちをつくっていく大変重要な課題であります。御見解をお願いします。

◎教育次長(新津吉明君)
 最後に、長野市議会子育ち子育て検討会の皆様が実施された、子供条例に関する研修会に参加しての感想についてお答えをいたします。
 講演された早稲田大学の喜多明人教授からは、子供の現状把握から子供の自己肯定感の低下や大人の意見やニーズではなく、子供のニーズの視点に立って、子供が自己の意思と力で育つ自分育ちの保障などに関する指摘がございました。先生の講演は、新学習指導要領の理念である生きる力、取り分けいかに社会が変化しようと自ら課題を見付け、主体的に判断し、行動し、より良く問題を解決する資質や能力の育成につながっており、生きる力を育むという理念を実現するための取組に共通した課題でもあると感じたところでございます。
 また、子供条例を今後考えていく上で、大人が主体ではなく、子供が参加したり関わりを持つことの必要性やまちづくりの視点からの取組など、大変興味深いお話もあり、今申し上げたとおり、子供条例を考えていく折には様々な視点から検討しなければならず、また時間もかけなければならないと感じた次第でございます。そして、本研修会に参加した者は子供条例に対する理解が深まり、同じレベルでスタートラインに立てたのではないかというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、昨年4月に策定しましたながの子ども未来プランで子供条例の制定を検討することとしておりますことから、関係する保健福祉部の保育家庭支援課、人権同和政策課、教育委員会の学校教育課及び生涯学習課の四課において、条例の必要性、方向性、内容などについて調査研究を進めてまいります。
 以上でございます。

◆野々村博美
 また、中核市である長野市は、児童相談所を設置することができます。虐待や貧困から子供たちを守っていくためにも専門機関が必要です。見解をお願いいたします。

◎保健福祉部長(戸井田一成君)
 私から、最初に児童相談所の設置についてお答えいたします。
 児童福祉法の改正により、平成18年度からは中核市においても児童相談所を設置することができることとされておりますが、児童相談所の設置、運営については、人的、財政的にも負担が大きいため、児童相談所を設置している中核市は、横須賀市、金沢市、熊本市の3市のみとなっております。
 本市においては、現在、保育家庭支援課及び厚生課篠ノ井分室に兼任の職員も含めて4名の正規職員と2名の家庭児童相談員を配置し、児童相談及び児童虐待に対応しておりまして、夜間、休日においても、緊急時の体制がとれるようにしております。児童虐待に対する市民の皆様の関心も高まっていることから、相談通報件数等は増加しておりますが、市内には長野県中央児童相談所が設置されていることから、個別のケースごとに地区を担当する県の児童福祉司と相談、連携し、児童虐待の内容が悪質又は緊急性を有すると思われるケースは児童相談所と協力して対応しております。
 今後も関係機関と連携を図りながら、迅速な対応を図るとともに、長野市要保護児童対策協議会のネットワーク機能を十分に活用し、積極的に児童虐待の防止に努めてまいりますが、児童相談所の設置については、市の負担も大きいことから十分に調査研究してまいります。

安心して老いることのできる長野市にするための諸施策について

◆野々村博美
 次に、安心して老いることのできる長野市にするための諸施策について伺います。
 この間、所在不明の高齢者問題など、高齢者の社会的な孤立が深刻な社会問題として浮き彫りにされてきました。急速に進む少子高齢化社会を支えるシステムを構築しておかなければ、社会はますます混乱していきます。私自身が最近気になることは、認知症のあるお年寄りが地域に放置されているということです。金銭管理ができなかったり、家の片付けができず困っていたり、何よりも、その方々自身が自分の変化に困惑し、混乱して不安におびえています。
 介護予防ケアマネジメントと併せて、総合相談支援、権利擁護などに取り組む施設が地域包括支援センターで、その役割はますます重要になっています。長野市には、現在直営が3か所と民間委託で9か所、計12か所あります。増設の見通しと現状を伺います。

◎保健福祉部長(戸井田一成君)
 次に、地域包括支援センターの強化についてお答えします。
 地域包括支援センターは、地域に暮らす高齢者の課題に対応するため、包括的支援事業として心身の健康や生活に係る相談から権利擁護、虐待防止、介護支援専門員のサポート、介護予防教室まで幅広い業務を行い、さらに介護予防プランの作成も行っています。本市では現在、市内3か所に設置した直営の地域包括支援センターを基幹型センターと位置付け、9か所の民間委託の地域包括支援センターを統括する体制としています。
 1点目の、地域包括支援センターの設置目標についてですが、第4期介護保険事業計画において、平成23年度までに地域包括支援センター4か所を整備するものと目標を定めております。現在までに、民間委託により3か所は開設することができましたが、あと1か所の委託先の確保ができておりません。センターの増設は早急に必要と考えておりますので、地域包括支援センター運営協議会に諮り、取り組んでまいります。

<<再質問>>
◆野々村博美

 次に、地域包括支援センターですけれども、目標に対して、あと1か所足りないということですが、この見通しというのは立っているのでしょうか。やはり、非常にこの地域包括支援センターそのものに、なり手がないというお話をお聞きしております。やはり、きちんとした支援が、財政的な問題も含めて支援がないとなかなか受けにくいという問題があるんではないでしょうか。是非財政的な支援、人的な支援も含めて御答弁をお願いしたいと思います。

◎保健福祉部長(戸井田一成君)
 お答えいたします。
 地域包括支援センターは、あと1か所まだ確保できておりません。ただ、これはあと1か所、地域割の中で次のところを考えておりますので、そういった状況の中では、今現在ちょっと具体的に見通しが立っている状況ではございません。そんな中で、私どもとすれば、鋭意また期間の中で設置できるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

<<再質問>>
◆野々村博美

 やはり、行政の支援を強めなければ目標達成できないと思いますので、是非お願いをいたします。

◆野々村博美
 また、地域包括支援センターは、看護師など専門資格を持った3人の職員の配置が義務付けられていますが、この体制で機能を十分発揮することができるのでしょうか。地域の民生委員さんなどと連携しながら、地域で安心して老いていくことができる体制を支援していく重要な役割を担っています。しかし、介護保険の改悪により、認定の再申請など、介護予防マネジメントに追われ、本来の地域包括支援センターとしての機能を十分果たせずにいる実態があるのではないでしょうか。
 高齢者福祉事業が介護保険中心に組み替えられ、自治体の優れた高齢者福祉事業は縮小又は廃止となり、それと並行した格差の広がりの中で高齢者の孤立化が進みました。中核市の地域包括支援センターへの委託料を比較すると、長野市の場合、決して良い方ではありません。本来の役割を果たすための人件費の上乗せ、また各センターによるサービスに違いがないよう十分な研修、交流など、地域包括支援センターの一層の機能の充実を求めたいと思います。今後の取組などお願いをいたします。

◎保健福祉部長(戸井田一成君)
 次に、2点目の地域包括支援センターの職員体制についてですが、センターでは保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーの専門資格を持った職員が、相互に連携しながらチームとして包括的支援業務に当たっており、市から委託料として専門職員3人分の人件費相当額を支払っております。委託している包括的支援業務については、専門職の3人により効果的に実施されているものと考えております。
 次に、3点目の介護予防マネジメント業務に追われている実態があるのではないかとのことですが、相談支援業務全般が複雑、困難な事例が多くなっている状況の中で、本市でも一部のセンターから介護予防プランに時間がかかり、地域の高齢者の課題に十分対応できないとの声がありますので、居宅介護支援事業所へプラン作成をお願いしたり、直営のセンターが支援するなどの対応をしてまいります。
 次に、4点目の人件費の上乗せ、研修、交流などによる機能の充実と今後の取組についてですが、中核市の比較のお話がありましたが、センターの業務内容や管轄する面積、人口等の事情が異なりますので、他市とは単純に比較はできませんが、3職種の人件費に相当する基本委託料は、本市は悪い方ではありませんので、委託料については当面現行どおりと考えております。
 本市では、センターによって市民サービスに格差が生じないよう、直営のセンターが民間委託のセンターの困難事例の支援など、必要に応じて後方支援する体制をとっております。また、研修会や3職種の専門連絡会などを開催し、地域包括支援センター全体の質を高めるよう努めております。
 なお、平成23年度は民間委託の地域包括支援センターに対して、本市の設置運営方針を示し、併せて運営状況の自己評価を行うこととしています。今後も公平性、中立性を確保し、高齢者の総合相談窓口としての機能が最大限に発揮できるよう、市としての責任を果たしてまいります。

◆野々村博美
 また、地域包括支援センターという名前は大変分かりにくいと思います。関係者の間からも名称の変更が求められていますが、例えば高齢者総合相談センターなどの名称に変えた方がよいのではないでしょうか、御見解を伺います。

◎保健福祉部長(戸井田一成君)
 次に、5点目の地域包括支援センターの名称につきましては、包括という言葉が分かりにくいという声もありますが、地域や関係機関との連携を深めながら実績を重ねて定着してきておりますので、今後もこの名称を継続していきたいと考えております。また、各地域において、機会を捉えてPRをしてまいりたいと考えております。

◆野々村博美
 先日、訪問看護をされている看護師さんから切実な御要望が寄せられました。僅かな年金で暮らす患者さんの生活には心が痛む。昨年の猛暑ではクーラーを買うことができなかった。今年の寒さの中でストーブも買えず、心ある方からストーブを頂き寒さをしのいだ。しかし、灯油代が高いため、できるだけ使わないようにしていた。たくさん着込んでこたつに入って外に出ないようにしていたら、ますます体調が悪くなってしまった。せめて家賃だけでも補助してもらえる制度はないものかと。このような高齢者は増えているのではないでしょうか。
 貧困、虐待、孤立化、要支援などに対応できる施設は、措置制度として残されているのは養護老人ホームしかありませんが、不足しています。増床の必要性があると思いますが、御見解と今後の計画を伺います。また、この間、特別養護老人ホームの増床が行われてきましたが、待機者がどれほど改善されたのか伺います。

◎保健福祉部長(戸井田一成君)
 次に、養護老人ホームの増床と特別養護老人ホームの待機者についてお答えします。
 本市から入所している養護老人ホームにつきましては、長野広域連合管内で5施設があり、全体で定員は290人となっております。現在、本市からは144人が入所しておりますが、各市町村からの入所の状況により、施設によっては欠員を生じている場合もございます。入所を希望され、必要と認められる方につきましては、長野広域連合が設置する養護老人ホーム入所判定委員会での判定を経た後、日常生活の状態から入所順位を決めて入所していただいている状況でございます。
 介護保険サービスが充実したことなどもありまして、身体機能の低下がかなり進んでも、お一人で在宅生活を続けることが可能となったことや、生活環境が多少悪くても、住み慣れた地域での生活を望まれる方が多いことから、ケアマネジャーなどからの相談により、養護老人ホームへの入所を勧めても、御本人が拒否される場合も少なくありません。施設入所をちゅうちょされる方が多いことや、欠員を生じている施設もあることから、現状において養護老人ホームの入所定員を増やす必要性は低いものと考えております。
 なお、一人当たりの居室面積等が現在の施設基準に適合していない施設や、老朽化の著しい施設があることから、施設改善に向けた取組を計画的に進めることが重要と考えております。
 次に、特別養護老人ホームの待機者の状況でありますが、平成21年度末における特別養護老人ホームの入所申込者数は1,540人となっております。そのうち、入所の緊急性が高いと思われる要介護4及び5の重度の方で、在宅又は老人保健施設入所中の方は583人で、それに対し第4期長野市介護保険事業計画及び国の緊急経済対策により、特別養護老人ホームや認知症グループホームなどの入所施設で、平成23年度までに770床整備されることになっております。
 したがいまして、特別養護老人ホームの待機者の減少にはつながるものの、解消するまでには至らない状況でございます。

<<再質問>>
◆野々村博美

 それから、養護老人ホームなんですけれども、まだ欠員もあって不足はないという御答弁でしたが、潜在的には足りていないと思います。実際にお待ちの方も、待機者もいらっしゃると思います。希望すればすぐ入れるという状況ではないと思いますので、実際には養護老人ホームに入る方は緊急的な措置が必要な方も多いわけで、足りているという状況ではないと思いますので、是非これについては、増床についても検討をいただきたいと思います。

◆野々村博美
 次に、介護保険の改定と長野市の対応について伺います。
 厚生労働省は介護保険法を改正して、軽度の認定を受けた人からの生活援助のサービスを取り上げようとしています。生活援助は要支援者が多く利用している介護保険サービスで、ホームヘルパーによる掃除、洗濯、調理などがあります。政府は市町村の判断で要支援者の生活援助を制限し、新しく総合サービスと名付けたボランティアなどの配食や見守りに置き換えようとしています。総合サービスを行うかどうかは市町村が判断します。これは、要支援と認定された人を市町村判断で保険サービスの対象外にできる仕組みであり、給付費削減の強力な手段にされる可能性があります。要支援の方々が必要な生活サービスを使うことができるよう求め、長野市がどのように対応されていくのか伺います。

◎保健福祉部長(戸井田一成君)
 次に、介護保険の改定と長野市の対応についてお答えいたします。
 国では、平成24年の制度改正で日常生活を営むのに支障がある要支援者などに対して、介護予防と日常生活支援のためのサービスを総合的に実施することができる総合サービスの事業創設を予定しております。この事業は必須事業ではなく、市町村の任意事業として位置付けられております。
 現在、要支援者は介護保険の予防給付として、通所介護、訪問介護、福祉用具購入などのサービスを受けていますが、改正案では市町村が実施する事業として、新たな総合サービスを受けられるようになります。このサービスの中身は、従来の予防給付の内容に加え、配食や見守りなどのサービスも併せて受けられるとされております。なお、新たな事業を実施する場合でも、従来の予防給付の事業も継続実施しますので、要支援者が予防給付を受けられなくなることはありません。
 新たな総合サービスを受けようとする場合は、地域包括支援センターが利用者の状態や意向を踏まえ、利用者の意思を尊重した上で、従来の予防給付で対応するのか、あるいは新たな総合サービスを利用するのかを判断することになります。現時点では、詳細な内容については示されておりませんが、真にサービス利用が必要な方がサービスを利用できなくなることがないよう適切な対応に努めてまいります。

◆野々村博美
 次に、緊急通報システムの利用状況について伺います。
 ひとり暮らしの高齢者や高齢世帯に対して設置される緊急通報システムの利用状況はどのようになっていますか。孤独死を防いだり、高齢者の不安感を軽減するための補完策として有効であると思いますので、必要としている人全てに1日も早く設置できるよう負担の軽減と併せて要望をいたします。

◎保健福祉部長(戸井田一成君)
 次に、緊急通報システムの利用状況についてお答えいたします。
 緊急通報システムにつきましては、有料化に伴い新たなサービスを追加した新システムを導入し、本年1月から本稼働を開始いたしました。新システムへの移行に際し、旧システムを利用いただいておりました重度障害者を含む1,475人に対しまして、新システム継続利用について意向調査を実施したところ、810人の方が継続利用を希望されました。その後、新たな利用者も加わり、2月末現在で996人の方に御利用いただいております。その内訳といたしまして、65歳以上の独居高齢者が921人、75歳以上の高齢者のみ世帯が75人となっております。
 65歳以上の独居高齢者の利用率は、昨年の災害時要援護者台帳の調査基準日である平成22年7月1日現在の対象者8,563人に対しまして、約10・8%となります。緊急通報システム利用の契機としては、高齢者が自らの意思、あるいは親族の勧めで申込みされる場合もありますが、大半は民生委員さんの日常活動を通じての働き掛けによるものと考えております。昨年12月に委員の改選がありましたので、1月に各地区の民生児童委員協議会定例会で本事業の説明を行い、協力依頼をいたしました。
 また、平成23年度は、災害時要援護者台帳が3年ごとの全件調査の年に当たり、市内全ての65歳以上の独居高齢者が調査対象となりますので、調査に御協力いただく民生委員さんが訪問した際お勧めいただくなど、必要な方へ行き渡るよう努めてまいります。

◆野々村博美
 次に、生涯学習の保障と成人学校受講料の引下げについて伺います。
 先日、今話題の、くじけないでという99歳の柴田トヨさんの著書を読みました。先生という詩の中には、私に9足す9は幾つとか、今日は何曜日なんて聞かないで。小泉内閣をどう思うって、西條八十の詩はどう、そういう質問をしてほしい。こんな内容の詩がありました。福祉の充実は私たちが一貫して求めてきたことでありますが、同時に一人一人の能力をきちんと発揮できる社会、生涯学習を保障し人生を楽しむ支援をしていくことが大切です。特定高齢者への支援事業も行われていますが、改めて介護予防に果たす公民館活動に光を当てることが大切と思います。
 知り合いの80代前半の男性が、地域公民館のダンスクラブに通って生き生きと社交ダンスをされています。その地域はサークル活動が活発で、無料でダンスを楽しむことができるそうです。この間、成人学校の受講者が減少しています。その大きな要因は受講料の値上げです。
 受講者の約8割が60代から80代。定年退職後、安い料金で今までできなかったことを楽しむ、とても良い公民館活動です。成人学校は、介護予防としても大変良い取組であるし、人間関係を広げ、地域のつながりを強め、孤立化の予防にもなります。将来を見通せば、料金の値上げによって受講者が減少することは大きな負担となって跳ね返ってきます。成人学校の料金を引き下げることを強く求めたいと思います。見解を伺います。

◎教育次長(酒井国充君)
 私からは、二点についてお答えをいたします。
 初めに、生涯学習の保障と成人学校受講料の引下げについてお答えをいたします。
 公民館で実施しております成人学校は、多くの市民に学習機会を提供するため実施しており、実態として高齢者が多い状況にありますが、若者から高齢者まで全ての成人を対象とした初心者向けとして、学習のきっかけづくりに位置付けられる講座であります。
 議員さんからは、この料金を見直すようにとの御要望でございますが、平成18年2月に策定した長野市財政構造改革プログラムに基づく行政サービスの類型化作業に加え、行政評価におきまして様々な検討をする中で、民間への委託、移譲、あるいは事業の廃止などの選択肢の中で受益者負担をお願いした上で、継続実施することを決めたものでございます。
 成人学校の受講者数が減っている理由につきましては、受講料を年々値上げしたことも要因の一つと考えられますが、成人学校の開設時間が平日の昼間であることや、民間の生涯学習事業の増加、他の市有施設で類似講座の開催があることも要因と考えられます。
 そこで、受講者を増やす取組として、現在1回の開催時間は2時間で、1学期12回の3学期制となっておりますが、平成23年度につきましては、これまでどおり1学期24時間の開催とした上で、1回4時間の6回開催など、学習内容によりまして1回当たりの学習時間を変更し、受講者が参加しやすい設定にしてまいります。また、夜間の講座数の増加や、初めての試みといたしまして土曜日の講座も開催し、若者から高齢者まで多くの方に受講していただきたいと考えております。
 成人学校の受講料は、平成23年度に1学期8,000円となりますが、これは受益者負担の原則に基づき算出した額でありますので、御理解をお願いいたします。
 なお、平成23年度で受講料の段階的引上げが終了することから、今後受講者数の推移を見ながら事業の検証をしてまいりたいと考えております。
 なお、公民館事業ではありませんが、介護予防を初め老人向けの講座といたしましては、老人福祉センターの生きがいづくり講座、ふれあい交流広場などが、現在無料で開催されておりますので、こちらも多くの皆様に御利用をいただければというふうに考えております。

どこに居住していても安心して暮らすことのできる長野市を目指して

◆野々村博美
 次に、どこに居住していても安心して暮らすことのできる長野市を目指して質問をいたします。
 長野市の特徴は、都市と多くの中山間地域の集落を持つまちであるということです。中山間地域は長野市の面積の74%を占め、人口の約10%が居住します。このほど中山間地域対策を総合的、計画的に展開することを目的に、やまざと振興計画が策定されました。
 この中で、各地域の現状と課題が明らかにされましたが、そのほとんどが生活道路の整備、買物、除雪、草刈り、役員のなり手、災害による集落の孤立化、就労場所、農業後継者、そして鳥獣被害などが課題として上げられました。同時に、伝統芸能や豊かな自然と歴史、そこに生きることの喜びも込められた計画となっていることは、これからの振興策への第一歩として評価をしたいと思います。
 当市議団として、この間の合併協議の際、合併市町村が行ってきた優れた施策については、長野市に合わせてなくすことではなくて、全市に広げていくことが大切と言ってきました。おでかけパスポートや公共交通などの前進面はあるものの、高校生の通学援助や保育料の軽減、若者支援の住宅施策など、人口を維持するための具体的な施策については大きく後退しています。
 やまざと振興計画の遂行に当たっては、かつての優れた施策の再検討も含め、人口増と中山間地域に住んでいても、安心して子供を産み育て、老いていけることが実感できる具体的な施策を実らせることができるよう取り組んでいただきたいと思います。決意と見解をお願いいたします。

◎市長(鷲澤正一君)
 次に、やまざと振興計画の充実についてお答えをいたします。
 本市では、中山間地域の活性化を重要施策に位置付け、これまでも農業生産基盤の整備や都市・農村交流、道路整備、移動手段の確保など、中山間地域の活性化に向けた取組を展開してまいりましたが、根本的な解決には至っておりません。
 そこで、本市の中山間地域が抱える課題を改めて明らかにし、現在進めている既存の施策や事業を整理、体系化することにより、国が指定する過疎地域を含む中山間地域の振興策を総合的、計画的に展開することを目的として、本計画を策定したものでございます。本計画の策定に当たっては、中山間地域13地区に配置している地域活性化推進員が実施した集落調査などの成果も反映し、住民自治協議会の皆さんと支所が協働作業で地域の課題のみならず、地域の魅力や資源を明らかにし、13地区ごとの現況と課題として計画の中に整理しているのが特徴であります。
 基本目標として、山里の持つ魅力や資源を生かし、未来につなぐ生き生きと元気な地域づくりを掲げ、基本方針として、魅力ある地域づくりの推進、地域資源を活用した農林業等の産業の振興、安全・安心な生活の確保という3つの視点の下に施策及び主要事業を体系別に整理をしております。
 これらの施策や事業は、産業振興ビジョンなど複数の既存の個別計画に盛り込まれ、それぞれの事業関係課において事業推進が図られてきたものでありますが、中山間地域の振興という共通のスキームの下に、一つの計画としてまとめたことにより、課題解決に向けての優先性や方向性が明らかになり、より有効な施策の展開が図られるものと考えております。
 今後、この計画を基に、各施策や事業の調整を図り、また当該地区の住民自治協議会等の代表に参加をいただく中山間地域市民会議において、施策や事業について提案を頂くなど、課題解決に向け必要な事業の具体化を図ってまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、計画の進管理をしっかりと行い、山里の持つ魅力や資源を生かし、総合的な中山間地域振興策を展開してまいります。

◆野々村博美
 次に、中山間地域の活性化と産業、雇用の創出について伺います。
 市長は所信表明で、新規就農者支援事業とともに、農業公社が出資する農業法人化事業や農産物加工施設等支援事業、薬草栽培、農家民泊の受入れなど積極的に取り組むとされていますが、これらをやまざと振興計画の6年間で実行していくことを要望いたします。今後の具体的な見通しと財源計画について伺います。

◎産業振興部長(小林隆之君)
 私から、4点についてお答えいたします。
 まず、中山間地域の活性化と産業・雇用の創出につきましてお答えいたします。
 中山間地域の活性化策といたしまして、農林業の再生、中山間地域と都市部との交流、新たな産業の育成により、新たな雇用を創り出すことを目的に様々な事業を推進しているところでございます。
 お尋ねのございました、農林業の再生として進めております農業法人化事業、これは平成21年度から農業公社が出資している事業で、本年度まで2件支援しており、平成23年度は3団体が法人化を計画しております。また、農産物加工施設等支援事業は、農産物加工施設等の整備に対して、平成22年度から実施している事業で、本年度1団体が導入し、次年度以降も農産物加工への取組に意欲を見せている団体が複数ございますので、農業者の法人化や付加価値を高める農業経営を積極的に支援してまいります。
 また、薬草栽培は、省力・軽量作物で、野生鳥獣の被害を受けにくいというメリットがあることから、契約栽培による産地づくりを目指して普及に努めており、この3月にトウキが初めて出荷される予定であります。平成23年度はトウキ、シャクヤク、アマチャで合計3ヘクタールの栽培、平成26年度には10ヘクタールの栽培により、産地化を目指してまいります。
 次に、中山間地域と都市部との交流でございますが、小・中学生の修学旅行等を地区の農業者組織が受け入れる、農家民泊誘致受入事業を実施しております。平成23年度には信里、鬼無里、大岡、中条地区のほか、芋井地区も受入れを予定しており、七二会、信更、戸隠地区でも受入組織の立上げが検討されるなど、都市部との交流が広がりを見せておりまして、今後も農業公社を事務局とする長野市子ども夢学校受入協議会を核として、更なる拡充を図ってまいります。
 これらの事業を、やまざと振興計画の中に盛り込みまして、この財源計画につきましては、それぞれ国や県の補助金を有効に活用しながら、第4次長野市総合計画後期基本計画との整合性をとり、中山間地域の振興に向けて総合的、計画的な展開を図ってまいりたいと考えております

◆野々村博美
 次に、農業の再生について伺います。
 新規就農者支援事業が発表され、大変期待の高い事業となっています。日本共産党は、農業は国の基幹産業と位置付け、手厚い保護政策をとる必要があると考えています。この事業は、是非成功させていただきたいと思います。研修制度の保障、住宅の確保、営農のための農地の確保と資金援助、またメンバー同士の交流や市民との交流、農業公社と専門家の支援体制など、事業成功のために今から総合的な支援体制を確立するよう求めます

◎産業振興部長(小林隆之君)
 次に、新規就農者支援事業につきましてお答えをいたします。
 農業後継者や担い手育成対策は喫緊の課題であり、農業生産を支える人づくり、組織づくりが急務であることから、新年度に新規就農者支援事業を創設し、農業の担い手を確保、育成する支援体制を構築するものであります。具体的には、まず研修費の助成といたしまして、県農業大学校などへ入学しての研修や県の新規就農里親制度を活用した研修など、新規就農に向けた実践的研修を行う方に対しまして、新規参入者には最長3年間、市内の農家子弟には最長2年間、それぞれ月額10万円以内を助成いたします。
 また、営農資金の助成につきましては、新規参入の方には月額10万円以内、市内の農家子弟の方には月額5万円以内の営農資金を就農から2年間助成をいたします。これらの助成の条件としては、おおむね40歳までの方で、所定の研修を受け、市内に専業で就農を予定し、就農後10年間以上営農を継続していただくということなどを盛り込んでおります。
 さらに、新規就農者の研修先といたしまして、受け入れることのできる里親農家の充実も重要でありますことから、新規就農者の研修先となり、研修や独立支援をおおむね2年間行った里親農家に対しまして、里親への支援といたしまして、研修修了時に研修生1人当たり40万円を指導謝金として交付するものであります。
 議員さん御要望のように、それぞれの場面において、本事業の対象者をバックアップする総合的な支援体制の確立が必要と考えております。具体的には農業委員会、農協、県農業改良普及センター、農業公社、市などで構成いたします支援組織を市内5ブロックごとに設置し、対象者が希望する農地や住宅のあっせん、紹介等を行うとともに、栽培指導、生活相談等を行っていきたいというふうに考えております。
 さらに、就農時における農業機械等の設備投資につきましては、国、県の助成制度の利用を促進するとともに、市の既存の農業機械化補助金事業の補助率等をアップするなど、支援を拡充してまいりたいと考えております。
 また、年度ごとに新規就農者のグループ化を図り、意見交換や情報交換等を実施し組織化していくことで、そういう人たちが中心になって農業を再生していくというような発想により、積極的に新規事業に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

◆野々村博美
 さて、長野市には既に豊かな長野市の自然の中で農業をしたい、そんな思いで就農している人たちがいますが、大変御苦労されているということです。また、市内の農業後継者として就農している人たちもいます。何らかの支援策を並行して考える必要もあるのではないでしょうか。また、定年退職後に故郷に戻る人についても、今まで以上に支援を強化していくことが必要ではないでしょうか。長野市の現状と見解を伺います。

◎産業振興部長(小林隆之君)
 次に、既に就農している人、IターンUターンへの支援につきましてお答えいたします。
 既に就農している人への支援といたしましては、従来から様々な施策を講じており、今後も農業生産基盤の整備を推進してまいります。まず、本市では、平成5年度から就農促進奨励金支給事業によりまして、専業農業者の就農を支援、激励しており、今後につきましても一部制度を見直しした上で、本制度を継続して実施し就農者を支援してまいります。
 次に、農業経営の改善を図るため、農業者自らが5年後の経営目標を設定した農業経営改善計画を、市が関係機関と協議して認定する認定農業者制度も推進しております。認定農業者は、個人でも市の農業機械化事業の補助対象となるとともに、農業制度資金も有利に借り入れることができます。
 また、規模拡大を図ろうとする農業者に対しましては、農地の利用権設定等促進事業による農地流動化を推進しておりまして、農業公社や農業委員などが仲介、あっせんして、新たに利用権を設定した借受人には助成金を交付しております。平成22年度からは、借受人の年齢や従事日数の要件を撤廃いたしまして、助成金の対象者を拡充するなど支援を強化しております。
 このほか、リンゴの新わい化栽培やブドウの新品種の導入及び野菜の施設栽培や花きの優良種苗の導入等に対する補助事業につきましても拡充しながら支援をしております。
 また、定年退職者も含め、これから本市へIターン、Uターンし、就農される方々も、本市の農業振興を図る上で欠かせない担い手でありますので、農業委員会、農業公社、農協、県農業改良普及センター等の関係機関と連携しながら、農業施策、制度の周知や栽培技術の指導等を行うとともに、こうした事業を農業者に有効に活用していただき、足腰の強い農業経営が図れるよう積極的に支援してまいりたいと考えております。

若者と生活弱者への支援策について

◆野々村博美
 次に、若者と生活弱者への支援策について伺います。
 児童センターは、本来18歳まで利用できる施設です。放課後子どもプランが教育委員会の所管になりました。中学生、高校生が利用できる施設についても、是非検討をいただきたいと思います。
 東京都杉並区のゆう杉並が全国的にも注目されています。県内でも茅野市のCHUKOらんどチノチノは、中学生、高校生世代の居場所として、若者と応援する市民が話し合いながら建設された施設です。長野市でも設置を考えていただきたいと思います。御見解を伺います。

◎教育次長(酒井国充君)
 次に、中学生・高校生の居場所づくりについてお答えをいたします。
 本市の児童館、児童センターは、主に長野市版放課後子どもプランの実施施設として、小学生を対象に使用しております。
 さて、議員さんの御提案にあります杉並区の事例は、平成9年度にオープンした中学生・高校生専用の大型の児童館で、延べ床面積は約2,300m2で、体育室やホールのほか、音楽スタジオ、ミキシングルーム、学習コーナー等がございます。また、茅野市の例は、平成14年に茅野駅前のビルのテナント撤退に伴いまして、その建物内に茅野市こども館を設置したもので、乳幼児期の子供が利用する0123広場--おいちにさん広場と、中学生・高校生が中心に利用するCHUKOらんどチノチノ、これが併設をされまして、その中で中高生用には多目的スペース、ダンス室、音楽室、学習室等が設置をされております。
 このような施設を長野市にも設置してはとの御提案でありますが、例えば杉並区の施設は区の中心部にあることから、高校生の利用が多い反面、遠距離から来る中学生にとっては利用しにくい面もあるとお聞きしており、このような施設の課題についても、情報を集めていく必要があると考えております。
 なお、国におきましては、平成22年7月に子ども・若者育成支援推進法に基づく推進大綱である子ども・若者ビジョンを策定し、その中で中高生の放課後の居場所をつくり、地域コミュニティへの参加を支援するとしておりますが、全国での設置数がまだ少ないというふうにお聞きをしており、その状況を検証するとともに、今後の国の動向を注視しながら研究してまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。

◆野々村博美
 次に、パーソナルサポート事業について伺います。
 長野県がパーソナル・サポート・サービスを民間に委託して実施します。失業や住居喪失、病気、多重債務など多くの困難を抱える個人を総合的に支援する仕組みですが、本来なら福祉事務所の機能が十分にその役割を果たせば対応できるはずと考えます。しかし、現実はそうなっていません。長野県は中核を長野市に置くとしていますが、長野市はどのように受け止め、行政としてどう関わっていくのか、その体制など伺います。

◎保健福祉部長(戸井田一成君)
 次に、パーソナルサポート事業についてお答えいたします。
 国は、平成22年6月にパーソナル・サポート・サービスの本格的な取組を始めました。パーソナル・サポート・サービスは、失業中で借金や病気等の理由により自立した生活を送れない人、自力では必要な行政の支援策を利用することが難しい人に対して、県などが設置するパーソナル・サポート・センターを拠点にパーソナル・サポーターと呼ばれる専門員が対象の一人一人に応じた支援策を考え、ハローワークや福祉事務所等へ同行したり、アパート探し、心療内科等への付き添いや弁護士会の協力を得て多重債務問題等に取り組むものであります。
 国では、利用者への個別支援の具体的な検討をするために、モデルプロジェクト事業として、全国に募集をしたものであります。これを受けて、長野県では平成23年度から、パーソナル・サポート・サービスをモデル事業として実施することとしています。その概要は、長野市内に本部事務局を置き、県内3か所に地域パーソナル・サポート・センターを設置する予定であります。
 また、県レベルでの関係機関等との連携を図り、制度の受皿を構築するため、長野県パーソナル・サポート事業連絡会と地域ごとに地域パーソナル・サポート事業連絡会を設置し、ハローワーク、市町村、労働者福祉協議会、ながの若者サポートステーション等が構成員に加わる見込みであります。生活困窮者と就職困難者の支援を一体的かつ継続的に実施できる点に効果が期待でき、また県のモデル事業でもあり、本市としても事業実施に協力してまいりたいと考えております。

◆野々村博美
 行政がしっかりと支えていく姿勢を持たなければ、せっかくのシステムも生かせません。また、延べ388人になるという緊急雇用創出事業についても、パーソナルサポート事業と連携して取り組まれるよう要望いたします。見解を伺います。

◎保健福祉部長(戸井田一成君)
 次に、緊急雇用創出事業とパーソナルサポート事業との連携についてですが、緊急雇用創出事業は離職を余儀なくされた方の一時的な雇用機会を創出するもので、本市におきましては、平成23年度は43事業で臨時職員を雇う予定でございます。募集に当たりましては、ハローワークへの求人申込み等、公開で募集をするものと定められているため、特定の方の雇用を優先することはできませんが、パーソナルサポート事業で支援を受けた方が応募された場合は、適任でありましたら積極的に採用してまいりたいと考えております。

◆野々村博美
 次に、生活保護行政について伺います。
 貧困や失業に苦しむ人たちが生活保護を受給したからといって、それで問題が解決できるわけではなく、十分な支援体制が必要です。就労支援についても、働きなさい、ハローワークへ通いなさい、行ったところを紙に書いて報告しなさいという指導では、本人を追い詰めてしまうだけになる場合が決して少なくありません。病気のある人には、まず体を治してから、心の病の人には優しい言葉掛けや支える体制を、元気な人には親身な仕事探しを、それぞれに合った支援ができるよう体制の強化を求めます。
 私は、昨年3月議会で、釧路市の就労支援について御紹介しましたが、その後、改善されてきたのか含めて御答弁をお願いします。

◎保健福祉部長(戸井田一成君)
 次に、生活保護行政の就労支援の在り方についてお答えいたします。
 生活保護制度は、単に生活に困窮している者に対して、最低限度の生活を保障するということだけでなく、さらに積極的にそれらの人々の自立を助長することを目的としています。本市における就労支援の在り方は、主治医に保護受給者の病状等を確認し、就労が困難と判断された方については、病気治療等を優先しております。就労が可能と判断された方には、国からの指導に基づき毎月求職活動状況、収入申告書の提出を求めながら積極的に就労支援を実施しています。また、就労意欲が高く健康な方には、就労支援プログラムへの参加を促しています。
 就労支援プログラムに参加すると、ケースワーカーだけでなく、就労支援員やハローワークの専門相談員によるマンツーマンの就労支援が実施され、多くの保護受給者が就労に結び付いています。保護受給者数が増加している現状において、就労支援を行うに当たっては、保護受給者の健康状況等には十分配慮をするとともに、一人一人の状況に応じた適切な支援ができるよう、ケースワーカーの増員や就労支援員による自立支援プログラムの積極的な活用を図ってまいりたいと考えております。
 昨年3月議会で議員さんから、釧路市の先進的な取組事例を御紹介いただき、本市といたしましても就労支援員による自立支援プログラムの強化を図ってまいりました。具体的には、就労支援員が不在でありました厚生課篠ノ井分室においても、平成22年10月から就労支援員1名を配置し、現在、就労支援員2名体制で、より強力に就労支援の取組を進めているところでございます。

◆野々村博美
 また、生活保護の受給者が病院に通う際に支給される通院費について、厚生労働省は昨年10月、一部の自治体で支給条件の解釈が徹底されず、正当な支給を認めないケースがあることから、条件を明確化した通知を都道府県などに出しました。長野市でも、本来なら通院費を支給できるはずの人たちに支給していない実態がありますが、改善されているのかどうか伺います。

◎保健福祉部長(戸井田一成君)
 次に、保護受給者がバス、電車、タクシー等を利用し、医療機関に通院した際の交通費の取扱いですが、自治体によって認められるべき交通費が支給されないケースが見られたことから、国は平成22年3月に、交通費の額にかかわらず必要と認められる人が給付を受けられるよう、給付範囲の見直しをいたしました。
 本市においても、交通費の額に関係なく、必要に応じて交通費を支給しておりますが、保護受給者への説明において、制度の周知が足りず誤解を招くケースもありました。交通費の給付について再度徹底を図り、保護受給者との面接時に医療機関の受診状況を聞き取りする中で十分な説明をするとともに、必要と認められる場合は給付を行い、通院に係る交通費の適正な取扱いに努めてまいります。
 以上でございます。

まちづくりについて

◆野々村博美
 次に、まちづくりについて伺います。
 市役所・市民会館の建て替えについては、1月の臨時議会にあえて改正の必要のない市民会館の廃止条例を提出し、議会の賛成多数で議会の同意を取り付けました。しかし、今なお市民の間からやめてほしいという声が後を絶ちません。市民合意のないまま強行しようとしている鷲澤市長の姿勢に、市長応援団の間からも厳しい声が上がっていることは、鷲澤市長もお気付きのことと思います。そのことをどのように受け止められておられるのか伺います。

◎市長(鷲澤正一君)
 次に、市役所第一庁舎・長野市民会館の建設についての御質問にお答えをいたします。
 両施設の在り方につきましては、平成19年度から建て替えの可否を含めて有識者による検討、議会における議論を重ねていただき、併せて市民説明会やチラシの全戸配布など、可能な限り情報を公表して、市民意見をお聴きし、時間をかけて進めてきたものであります。また、長野市民会館等条例の一部改正につきましても、地方自治法の公の施設の廃止に関する考え方に基づき条例改正が必要と判断し、議決をいただいたものであります。
 このたびの両施設の建て替えのように、大きな事業を進めていくには、常に賛否両論はございます。そのため、重要性、緊急性、財政面などについて、時間をかけて検討し、市民の皆様の御意見を伺いつつ、最終的には市民の代表であります議会と協議する中で、総合的に判断して意思決定してきたものであり、決して一方的に推し進めているものではございません。

◆野々村博美
 次に、セントラルスクゥエアについて伺います。
 セントラルスクゥエアの活用と県庁緑町線についてです。
 過日、セントラルスクゥエア内へのポケットパークの設置とステージ跡地の活用方法が示されました。セントラルスクゥエアについては、オリンピック開催前、ホテル建設の再開発事業が計画され、長野市からも補助金が出されていました。しかし、頓挫いたしました。どのようにそれを清算され現在に至っているのか、最初にお伺いをしておきます。

 さて、過日セントラルスクゥエアの一部を取得し、大型バスの駐車場として検証実験すると発表されましたが、大変唐突な感がいたしました。善光寺表参道に大型バスの駐車場が必要という議論はかねてからありましたが、平成17年第4地区元気なまちづくり市民会議において、市長自ら、セントラルスクゥエアをバスの駐車場にしてはどうかという意見もあるが、敷地が狭く無理であると答えておられます。今回の検証実験は、今後もっと広大な土地を周辺に確保し、大型バス駐車場を設置するためのものと理解してよろしいのでしょうか
 平成21年12月議会で、市川武議員が県庁緑町線の進が難航しているという質問に対して都市整備部長が、線的な整備手法に加えてセントラルスクゥエアなど、周辺区域を含めた面的かつ総合的な環境整備や基盤整備を行う手法の検討が必要と答えていますが、今回のセントラルスクゥエアの土地の確保は、この面的整備手法と関係があるのではありませんか、お答えをお願いいたします。

◎産業振興部長(小林隆之君)
 次に、セントラルスクゥエアでの大型バス駐車場の実証実験についてお答えをいたします。
 長野オリンピックの表彰式会場として利用されました鉄骨のステージは、老朽化が進んでいることから、平成23年度に解体撤去し、新たにオリンピックのメモリアルとなるポケットパークを中央通り沿いに整備する計画でおります。この用地の取得に当たりまして、地権者の方は代替地を希望しており、市有地との等価交換によりポケットパーク用地のほか、そのステージ跡地も含めて土地を取得することで協議を進めているものであります。
 今回取得する土地は、中央通りでのイベントスペースの一部とすることや、大型バス駐車場の実証実験として暫定的に利用するものでございまして、実証実験につきましては、利用者などへのアンケート調査を実施し、土地利用を検討する際の基礎データを取得するものであります。観光客に善光寺の正面から歩いて参拝していただくことは、本市の長年の課題でございます。今後、セントラルスクゥエア周辺地域において、大型バス駐車場の用地を確保していくかどうかは実証実験の結果を踏まえて、市民や議会の御意見をお聴きしながら検討してまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。

◎都市整備部長(高見澤裕史君)
 私から、まず過去にセントラルスクゥエアになされた再開発補助金がどう清算され、現在に至っているのかについてお答えいたします。
 セントラルスクゥエアでは、権利者によりオリンピック前の昭和63年度にホテルを主体とした再開発が計画をされ、国の優良建築物等整備事業の認定を受け、事業計画や建築設計等に対し補助金が交付されました。しかしながら、再開発計画はバブル崩壊の中で頓挫し、地元経済界が共同出資した会社に補助金と併せて引き継がれ、オリンピックの表彰式会場やイベント会場等に活用されてまいりました。
 現在は、主に商店街利用者のための駐車場として利用されているところでございます。将来的な活用としましては、平成16年度の検討委員会で緑豊かな公園、イベント広場を中心に再生していくことが提案されております。
 なお、補助金については、国、県と協議する中で適正に処理され、補助対象事業としては終了しております。
 次に、今回のセントラルスクゥエアの土地の確保は、県庁緑町線で検討予定の面的整備手法と関係があるのかについてお答えいたします。
 県庁緑町線が難航している原因といたしましては、現況の土地と公図との不整合や権利者間での複雑な相続関係の調整などがございます。このような状況から、県庁緑町線の整備には道路部分だけの線的買収ではなく、区画整理のような面的な整備手法を導入しての対応が必要と考えておりますが、面的整備にも幾つかの方法がある中で、具体的な事業手法については現在研究中であります。
 今回のセントラルスクゥエアの土地確保は、県庁緑町線の整備とは直接関係のないものですが、近隣にあることから、県庁緑町線を面的に整備する際には、中心市街地の活性化に向けた土地利用やまちづくりの観点から、一体的に考えていかなければならないと考えております。
 以上でございます。

◆野々村博美
 さて、現在、権堂再生に向けて検討委員会が設置され、ワークショップもスタートしました。この検討委員会で、セントラルスクゥエアが検討する区域から除外されていることに対して疑問の声が上がっています。今後、セントラルスクゥエア全体の活用や後町小学校跡地の活用について、市民的な議論が行われていくことと思いますが、情報は全てオープンにして行政が一部民間と水面下で話を進め、その後、検討委員会やワークショップを立ち上げていくという手法は改めるべきと思います。
 市庁舎・市民会館の検討に当たっても、権堂先にありき、建設先にありきで検討されてきたことは明白であり、そのような手法が多くの市民の反発を招いてきました。また、市民団体が請求した情報公開では、当初部長会議の内容が一部黒塗りで公開されました。その後、厳しい批判があり、全文が公開されました
 ところが今、市民団体の皆様が部長会議の情報公開を請求しても、議論、検討されている個々の発言はなく、議題のみが示されているということです。これでは、長野市のまちづくりは暗やみとなってしまいます。堂々と市民に公開できないようなことが議論されているのかと、ますます不信感が広がっています。市民から信頼を得たまちづくりにしていくために、情報をオープンにした上で市民参加で取り組むよう根本から姿勢を正していただくことを求めます。御見解をお願いいたします。

◎市長(鷲澤正一君)
 次に、市民参加の推進と情報公開についてお答えをいたします。
 まず、庁舎・市民会館について、権堂ありき、建設ありきで検討されてきたとの御発言がありましたが、両施設とも施設の必要性を初め、将来のまちづくりや財政計画などを総合的に判断し、建て替えを決定したものであります。また、市民会館の建設地については、交通の便が良く市民が来やすい場所として、まちづくりの効果等を考慮し、当初、権堂地区を選定いたしました。いずれも、市民の皆様を初め、議会、建設検討委員会など多くの方々の御意見をお聴きし検討、決定したもので、建設ありき、権堂ありきとの御指摘は当たりません。
 次に、情報公開に際し、当初黒塗りで公開された資料が厳しい批判を受け、全面公開されたとの御指摘でございますが、この事例については、当初の公開請求の時点では対象となる資料に政策決定前の情報が含まれており、混乱を生ずるおそれがあったため、長野市情報公開条例第七条に規定する非公開情報に該当する部分をマスキングして公開いたしました。その後、同じ資料に対する再度の公開請求がありましたが、既に政策決定後であったため資料を全文公開したものであり、議員さんがおっしゃるように、批判を受けて公開内容を変更したものではありません。
 次に、部長会議の情報公開を請求しても、議論や発言が全く示されなくなったとの御指摘ですが、部長会議に関する情報公開請求につきましては、請求の内容に応じ、会議における発言の要旨をまとめた会議録や各部局が作成した会議資料を公開しており、議論や発言が全く示されないとの御指摘は当たりません。
 いずれにいたしましても、行政情報の透明性を確保し、市民の皆様が市政に参加しやすい環境を構築していくことは、まちづくりを進めていく上で欠かせないものでありますので、今後も積極的な情報の公開に努めてまいりたいと考えております。

長野電鉄屋代線の存続について

◆野々村博美
 次に、長野電鉄屋代線の存続について伺います。
 長野電鉄は、過日の活性化協議会で、3月中に国に廃止届を提出し、一年後に廃止すると正式に表明しました。住民が合意、納得していないにもかかわらず廃止を既成事実として、代替バス運行の議論に切り替えていこうとするやり方は改めるべきと考えます。当面、国への廃止届の提出を見合わせるよう長野市として長野電鉄に求め、存続を前提とする実証実験を行うべきと考えます。市長の見解を伺います。

◎市長(鷲澤正一君)
 次に、長野電鉄屋代線の存続についての御質問にお答えをいたします。
 初めに、住民が合意、納得していないにもかかわらず、廃線を既成事実として代替バス運行の議論に切り替えていこうとするやり方は改めるべきとの御意見につきましてお答えいたします。
 長野電鉄活性化協議会では、平成22年3月に策定した長野電鉄屋代線総合連携計画に基づき、平成22年度は実証実験等、主な推進策を実施いたしました。
 そして、実証実験の結果、3市の社会的状況、統計から見た屋代線の将来推計、経営分析及びアンケート結果の概要や費用対効果分析などから成る新たな運営計画に関する基礎調査などを基に協議をしていただき、今後の運営スキームの方向性を決定したとお聞きしておりますが、国の御指導をいただきながら多方面から検討、協議を重ね、着実に過程を踏んで結論に至ったものであり、御指摘のような改めるべき内容ではないと考えております。
 次に、廃止届の提出を見合わせるよう長野市として長野電鉄に求め、存続を前提とする検証実験の継続を行うべきとの御意見についてお答えをいたします。
 廃線届につきましては、鉄道事業法第28条の2の規定によりますと、鉄道事業者は鉄道事業の全部又は一部を廃止しようとするときは、廃止の日の1年前までに、その旨を国土交通大臣に届け出なければならないとしております。こうしたことから、長野電鉄では第13回協議会において、委員である社長本人が廃止の時期について、本年度中に廃止届を出し、1年後に廃止をしたい。また、不安を払拭できるよう、今後関係者の皆様としっかりと協議、調整を進めさせていただきたいと発言されております。
 いずれにいたしましても、廃止届につきましては、事業者の判断で提出されるものであると考えております。しかしながら、市といたしましては、これまでの経緯から長野電鉄に対し、沿線の皆様に対して廃線届のスケジュールや今後の対応について、十分説明するよう申し上げたところであります。長野電鉄では、早速沿線住民の皆様に御説明申し上げているとお聞きをしております。
 また、実証運行の継続については、協議会の決定を尊重し、バス代替による沿線住民の移動手段としての公共交通の確保につきまして、地元の御意見をお聴きしながら責任を持って対応してまいりたいと考えております。
 私からは以上です。

住宅リフォーム助成制度の創設について

◆野々村博美
 最後に、住宅リフォーム助成制度の創設について伺います。
 このほど、住宅リフォーム助成制度の創設が議会に報告されました。期間が限定されているとはいえ、厳しい経済情勢の下、地元中小零細企業を支援することができ、関係業者さんの期待も高まっています。午前中の御答弁では、耐震改修を優先するとしましたが、住宅リフォームだけの方は後回しにされてしまうという危険性があるのではないでしようか。予算を十分とり、リフォームだけでもこの制度が使えるよう、是非とも検討をお願いいたします。
 地元の業者に依頼することを条件としていますが、長野市でもより市民に利用されやすいよう、また地元業者を支援できるよう一層の工夫をお願いしたいと思います。
 以上、見解を求めて、この場所からの質問を終わらせていただきます。

◎建設部長(倉澤孝君)
 私から、住宅リフォーム助成制度の創設についてお答えします。
 緊急経済対策として、住宅リフォーム助成制度を創設する際の経済情勢の判断材料として、本市の新築住宅着工件数を注視してまいりましたが、依然として低い状況にありますことから、緊急経済対策の一環として、地元中小事業者の受注を拡大して地域経済の活性化を図り、併せて住環境の向上を目的とする(仮称)長野市住宅リフォーム助成制度を実施することとしたものでございます。
 現在、想定している内容でございますが、助成を行う対象者は長野市民とし、持ち家住宅の修繕、増築のほか、小規模な模様替え等も含めて考えております。また、長野市住宅・建築物耐震改修促進事業に伴う住宅リフォーム工事につきましては、優先してこの助成制度の対象にすることを考えております。
 なお、リフォーム工事の施工事業者は、市内に主たる事業所がある者に限定し、平成23年度の上半期には実施できるように人員体制等を整えてまいりたいと考えております。
 次に、助成対象工事費についてでございます。
 全国の自治体を調査いたしましたところ、本市と同規模の自治体である中核市におきましては、10万円から20万円以上を対象とする事例が大半でございました。御指摘の小布施町では、対象工事費が5万円からでございますが、本市とは予想される申請件数等が大きく異なるものと思われます。このため、施工限度額も含め、本市と同規模の中核市を参考に検討しているところでございます。
 以上でございます。

<<再質問>>
◆野々村博美

 それから、住宅リフォームのことなんですが、先ほどの御答弁にもありましたが、耐震改修を優先するんだという御答弁でしたが、ということは住宅リフォームだけを希望した方は、後回しになってしまうんではないかと。特に、予算枠がどのくらいになっているのか分かりませんが、そうするとなかなか、せっかく良い制度でも利用できない方が出てしまう、その辺是非改善をお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

◎建設部長(倉澤孝君)
 お答えします。
 先ほど申し上げました(仮称)長野市住宅リフォーム助成制度につきましては、想定しております耐震改修に伴うお宅につきましては、50戸程度であろうということで、非常に件数が少のうございます。それと、現実的に耐震改修をする場合に、やはりリフォームを皆さん行います。そういったことで、お金が大変かかりますので、リフォームの部分については皆さんと同じように対象にするということで、申込みの中でやはり僅かな戸数ですから、優先枠ということで、それに伴いまして耐震化を進めたいと、こういうことでございます。

<<再質問>>
◆野々村博美
 リフォームだけの方が後回しにされることのないように、是非その辺だけ強調しておきたいと思います。大変厳しい経済情勢の下で、市民の暮らしも本当に追い詰められています。是非それにふさわしい、市行政になっていただきたいと強く要望して終わります。

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