議会報告

2011年1月臨時市議会 野々村ひろみ議員 討論

長野市民会館等条例の一部を改正する条例を可決すべきとした
  総務委員会委員長報告への反対討論

◆野々村博美
 28番、日本共産党長野市議団野々村博美でございます。
 議案第3号長野市民会館等条例の一部を改正する条例を可決すべきとした総務委員会委員長報告に反対する立場から討論を行います。

 この条例の可決によって、長野市は正式に議会から市民会館を一旦廃止して現市民会館を取り壊し、新市民会館を建設することに同意を得たことになり、市民に平成27年4月まで市民会館は使えないことを周知することになります。
 しかし、あえてこの市民会館を廃止する条例を議決する必要があるのでしょうか。この条例は、議会の議決に付すべき公の施設の利用及び廃止に関する条例の対象となり、第3条、特別議決を要する公の施設の廃止で、議会において出席議員の3分の2以上の者の同意を得なければならないということです。この施設の対象としては、長野市都市公園、長野市民会館、長野市営体育施設、大峰城、長野市上下水道事業施設となっています。この議決には大変重みがあり、理事者側の目的は議会の大きな賛成を背景に市庁舎、市民会館の建て替えを進めたいということでしょう。議会は特別議決というそのことをよく理解した上で慎重な判断が求められると思います。
 総務委員会の審査の中で、建て替えて再び使うことになる市民会館をあえて廃止する必要はないのではないかという質問が出されましたが、長野県に相談した結果、松本市でも一旦廃止して建て替えた経過もあり、その方がよいという指導を受けたということでした。私もあえて廃止をしなくてもよいのではないかと申し上げましたが、市民会館が特別議決の対象となっているので、廃止しなければ地方自治法違反になるという厳しい御答弁がありました。
 松本市の市民芸術館も建設を巡って当時激しく賛成、反対の議論がされていました。しかし、審査の中で明らかになったことは、残念ながらこのことについては総務委員会委員長報告には触れられてはおりませんでしたが、特別議決の対象となっている市営体育館については、かつて長野市がオリンピック開催に向けて市営体育施設を建て替えてきましたが、一度もこの条例を適用し、一旦廃止したことはなかったということです。ということは、長野市は地方自治法に違反してきたことになります。
 なぜ、あえて議会の出席議員の3分の2以上という厳しい基準をクリアして、市民会館の廃止を市民に宣言しなければならないのか。そこには、市民がどんなに反対しても市庁舎、市民会館は何が何でも建て直すという鷲澤市長の姿勢があるからではないでしょうか。この姿勢にこそ、市庁舎、市民会館建て替え問題が今日まで迷走してきた最大の原因があります。

 一昨年の市長選挙で、鷲澤市長は建て替えは白紙に戻すと公言されました。市長選後の議会では、市民の声に耳を傾けると政治手法に反省をされたかのような発言もされました。しかし、その後の市政運営は、公約はほごにされ、白紙に戻すといったのは選挙戦術と言われても仕方がないと開き直りと言われても仕方がない発言をされました。市民の声を聴くといっても、先ほどの我が党の阿部議員の市民合意はとれているのかという質疑については、平成21年度は400人、平成22年は450人から意見をお聴きしたと総務部長は答弁されましたが、この数字で市民の声を聴いたと言えるのでしょうか。
 佐久市では、市長が提案した住民投票条例によって総合文化会館の建設の是非が市民によって問われました。小諸市では、常設型、さらに18歳以上を対象にした住民投票条例が可決されました。住民参加の地方自治体の運営が大きく発展する時代を迎えていることを痛感します。ところが、この県都長野市が、400人、450人で市民の意見を聴いたといってはばからない、このような姿勢がどれほど市民からの信頼を失っているのか、よく考えていただきたいと思います。

 厳しい経済状況の下、ますます住民の暮らしや地域経済を支える中小零細企業の営業は追い詰められています。だからこそ、税金の使い方には厳しい批判の声を上げているのです。当市議団に寄せられた市民の声を御紹介します。
 メールでいただいたものです。匿名となっていますが、「企業には5つの基本的な経営要素がある。それは、人、物、金、情報、文化であり、本体事業には人、物、金、情報の要素を踏まえ、企業の社会的使命、堅実な経営で社会に貢献するというものがある。そうした上に初めて文化事業が成り立つものである。つまり本体事業を堅実経営してこそ、文化事業、社会貢献である。文化事業を一つの社会貢献として高い経営理念で本体事業を堅実に進めている会社も多い。本体経営事業なくして、文化事業は成り立たないのである。そういう意味で、市が進める市庁舎、市民会館の建設は、市の行政運営からしても本体の市民生活、暮らしが大変なときに借金までして文化的な市民会館が必要であろうか。まずは本体の市民生活、暮らしを最重点にすべきでしょう。今の市政は、企業であれば倒産です。市民の貴重な税金を市政に生かそうとすれば、当然、市庁舎、市民会館はなしでしょう。鷲澤市長の借金までして市庁舎、市民会館の建設は、経営的市政は破綻です」というものがありました。そういうメールをいただいております。
 市庁舎、市民会館の建て替えの前に生活道路の除雪をやってほしい。仕事を何とかしてほしい。今、地域を歩けば不満続出です。もちろん、関係職員の皆さんの御苦労はよく分かっています。しかし、住民の信頼を得られていなければ、すべて不満となって行政に跳ね返ってきてしまいます。立派な市民会館を建設して、芸術文化の活動を活発にしていく。市民活動を支援する拠点にしたいという説明もありました。しかし、これも市民の合意がなければ市民会館の管理運営への協力も得られません。

 本日の市民新聞にこういう投書がありました。「市民会館新築後の建物の維持管理に1億7,000万円もかかるという。借金返済プラス維持費は後々税負担になるのだが、それほど話題にされぬままの賛成は少し気にかかる」。今日の市民新聞の投書の記事です。
 今、発表されている市民会館の規模は現在の2倍の面積となり、市庁舎とほぼ同じ高さになるということですが、もう50年も市民会館に行ったことがないとか、一度も行ったことがないという人たちが多数いる現状を考えれば、今後、基本設計が明らかになればなるほど、市民からの厳しい意見が相次ぐことが予想されます。
 もう一つ、今日の市民新聞に投書がありました。「ハローワークの近くに住む私は、職を求めて通って来る車の長い列を毎日見ています。49歳の男性が給料は幾らでもよいからと職安のパネルに入力しても、結果は求人ゼロ。就職活動をしたことのない市長さんでも、一般市民の暮らしを足で歩いて見てください」。こういうものでした。
 合併特例債の期限にこだわらず、耐震改修して、市庁舎も市民会館も使い続けることも含めて、白紙から検討し直すこと以外、市民の信頼を取り戻すことはできないでしょう。長野市版都市内分権を進める今日、立派な市庁舎より身近な支所庁舎の拡充、格差社会の中で豊かな芸術や文化に触れることもできなくなっている子供たちに身近な学校や地域公民館を使って、誰でも参加できるような豊かな文化行事を実施していくことの方がどれほど望まれていることでしょうか。そういうことも十分審議し、その上に立って新しい文化の拠点とはどういうものが求められているのか検討すべきです。
 もう一つ、今日の市民新聞には、君は幸せかいという文章が載りました。市庁舎、市民会館問題で長野市の不誠実な態度に対して、「長野市に問いたい。不誠実ではありませんかと。そして自問するのだ。そんな長野市に住んで、しあわせかい」。市民がこんなふうに言っている長野市になっていいんでしょうか。私たち議会はしっかりとこの市民の思いを受け止めて、この判断をしなければならないと思います。
 議員各位においては、良識ある判断を示されるよう訴えまして、反対討論といたします。

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