2010年12月定例市議会 小林よしかず議員代表質問
市長の政治姿勢について
市役所第1庁舎・市民会館建て替え計画の見直しについて
TPPについて
平和の発信について
市民会館と文化行政に対する教育委員会の責任について
来年度予算編成方針、合併特例債などについて
公共交通の再生等について
市民生活を守るセーフティーネットの構築について
国民健康保険の広域化について
児童虐待防止法等について
雇用を守り、また地域経済を活性化する点について
地域密着型公共事業への転換
元気な商店街づくり、
中心市街地の活性化基本計画・市街地再開発事業の見直しについて
広域連合ごみ焼却施設の規模と灰溶融施設について
◆小林義和
27番小林義和でございます。私は、日本共産党市議団を代表いたしまして、市政全般について質問いたします。
質問6のウは、時間を見て再質問の中で行います。
市長の政治姿勢について
◆小林義和
まず、市長の政治姿勢について4点伺います。
初めに、地域主権改革についてであります。
民主党政権は、地域主権戦略大綱を策定し、自公政権時代の地方分権改革を継承し、推進しています。その本質は、憲法と地方自治法の精神を踏みにじるもので、第1に、国の社会保障などへの最低基準の保障責任を解体し、住民福祉の機関としての自治体の機能と役割を弱め、第2に、道州制導入で大企業、多国籍企業が活動しやすい条件を作ってやる。第3に、二元代表制を事実上、否定。地方議会の形がい化と、住民自治の破壊・縮小に導く。
先行モデルがあります。橋下大阪府知事は、地域主権戦略会議議員であり、大阪湾岸開発推進のため、福祉・教育予算を大幅削減、市場化テストで税務窓口をスイスの多国籍企業に、府立図書館は東京の企業に引き渡す究極の構造改革を進めています。河村名古屋市長は、議員リコールに失敗し、辞職をしますが、区役所民営化や住民自治より首長の経営力を強調、市長に刃向かう議会は定数も歳費も削減を主張。2人は、二元代表制見直し論者であります。地域主権改革について、市長の見解をお伺いいたします。
◎市長(鷲澤正一君)
小林義和議員さんの御質問にお答えをいたします。
初めに、私の政治姿勢についての御質問のうち、地域主権改革に対する私の考え方についてお答えをいたします。
思い返せば、戦後、日本国憲法に地方自治の根幹的部分が制度として規定され、その後、地方の時代という言葉も登場しました。以来、地方分権、地域主権と言葉は変わってきておりますが、中央集権へのアンチテーゼとして、その考え方は基本的には同じものだと思っております。戦後社会の中でこれらが言葉を変え、ずっと主張され続けてきたということは、言い換えれば、憲法に規定された地方自治のあるべき理想の姿には、いまだ至っていないということであろうと思います。
そのような中、平成12年に施行された地方分権一括法は国と地方が対等・協力の関係になったとされる点で画期的なものであり、真の地方自治へ向け、このときからやっと本格的に動き始めたのかなと感じております。国と地方の役割分担はいまだ明確化されず、税財源についても、現在の地方の仕事量に見合った配分がなされていないなど、不十分な点は多々ありますが、一歩一歩変わりつつあるというふうに思います。
さきの国会で、地域主権改革関連3法案が継続審議となったわけでありますが、これまでの歩みをとどめることなく着実に進め、この改革が目指すところの地域住民が地域の実情に応じ、自らの責任で政策を決定できる社会が実現されるよう、その動向を注視しているところであります。
市役所第1庁舎・市民会館建て替え計画の見直しについて
◆小林義和
次に、市役所第1庁舎・市民会館建て替え計画の見直しについて、お伺いをいたします。
市長は、市民会館建て替え方針を市民世論と議会決定の力で現在地建て替えに変更し、2案を示して12月中に決めるとしています。飽くまで、合併特例債の期限大前提で強行的に進めています。現在地の2案では、庁舎の在り方や市民会館との連携も検討が必要であります。市民ワークショップや建設検討委員会に十分な議論の時間があるのか、市民会議など市民の声を聴くプロセスはとらないのか。更なる迷走を招かないよう、権堂地区再開発同様、合併特例債に拘泥せず、庁舎・市民会館の在り方を白紙に戻して再検討すべきであります。見解をお伺いいたします。
さて、新たに建築専門家から建築文化の観点で大きな声が上がっています。日本建築家協会は、市長に長野市民会館の保存・活用に関する要望書を提出、専門家として可能な協力を表明されました。近現代建築史研究会は、メールで知事、市長、文化庁あてに、長野市民会館の保存を呼び掛けました。いずれも、現市民会館は役割と機能は変わりなく利用され、建物全体がまちの風景を形成し、多くの市民、県民にとって歴史的文化財に値する建築と判断すると述べ、使い続けることこそ文化や歴史をつくる。耐震補強は可能。設備更新も含め改修の検討を行い、この建築物の継続使用を要望いたしました。
私ども市議団は、これまで一貫して庁舎も市民会館も耐震改修とリニューアルで使い続けるべきと議会内外で市民の皆さんに訴え続けてまいりました。また、県民主権をすすめる会は世論調査の結果を踏まえて市長に、第1庁舎も市民会館も耐震改修してできるだけ長く使うべきと要望いたしました。世論調査回答は、市民会館建て替え賛成と耐震改修すべきほかがきっ抗し、第1庁舎は耐震改修と支所の活用などが多数で、建て替え賛成は少数でした。これら市民世論の最新の動向や建築文化の観点からも、耐震改修と使いやすくリニューアルして保存を求める専門家の見解に対する市長の判断をお伺いいたします。
◎市長(鷲澤正一君)
次に、市役所第1庁舎及び長野市民会館の建て替えについてお答えをいたします。
両施設の建設地については、先月22日に現在地の敷地条件や配置を検証するための配置案を公表し、26日には建設検討委員会と市民ワークショップに市の基本的な考え方を説明し、御意見を伺いました。また、より議論を深めていただくため、12月中にも何度か御検討をいただき、御意見を伺う予定であります。
特に、市民ワークショップからは、これまでの活動内容を議会の皆さんにも説明したいとの要望があり、6日に開催された特別委員会において、ワークショップの代表者から意見を述べる機会を頂いたところであります。
また、市民意見については建設地の方針を決める過程で、現在地を含めて十分に伺ってきたところでありますが、12月1日の広報ながのに続き、12月5日の新聞に配置案を掲載して、改めて意見を募集しているほか、市のホームページ、支所、公民館、市立図書館においても閲覧できるようにしております。このような様々な手段により、広く情報を提供しており、御質問の市民説明会などの開催につきましては、予定しておりません。
今後も、市民意見や建設検討委員会、市民ワークショップを初め市民会館を利用されている文化芸術団体など、利用者や主催者の意見などをお聴きした上で、議会とも十分相談し、12月中には、現在地における望ましい配置案として取りまとめてまいります。
次に、合併特例債の活用でありますが、財政負担を軽減できる大変有利な財源であり、特例債を活用できる条件にあります。特例債の活用には期限が定められておりますが、基本計画や基本設計など、それぞれの検討段階において随時市民の皆様にお示し、御意見を伺いながら、両施設の建設を進めてまいりたいと考えております。
次に、第1庁舎・長野市民会館の在り方につきましては、本年2月に建て替えとする基本構想を決定したもので、3月には建設に向けた関連予算を議決いただいており、現在もその考えは変わっておりません。
また、日本建築家協会などから、改修により保存・活用すべきとの御意見も頂いておりますが、市民会館は役目を終えた単なる歴史的施設ではなく、今後も市の文化芸術活動の中心的役割を果たす施設であり、現在の市民ニーズに合った機能的な施設とするために、建て替えは必要と考えております。
なお、市民に愛着ある外観を継承するため、現市民会館に使われているレンガやステンドグラスなどの素材を新たな建物でも活用できるかどうか、検討してまいりたいと考えております。
このように第1庁舎・長野市民会館の在り方については、議会や市民の御意見を頂いた結果、政策決定したもので、今後ともその姿勢を貫いてまいります。
<<再質問>>
◆小林義和
市民会館の問題ですが、市長は市民会館は役割は終わったと発言された。教育長はですね、相変わらず文化財の価値は低いと、こういう答弁でございました。
市長はですね、3月の議会でもう予算が可決されたと、議会は建設を認めたと、こういうことですが、これは権堂の西街区で地盤調査・測量、この予算でしたね。ですから、議会のこの判断は必ずしもそういうことじゃなくて、その後の動き、私が先ほど申し上げました建築専門家の指摘、最新の市民世論調査、こういうことに対して市長は考慮に入れずに、科学的な耐震診断もやらない、そして文化財としての価値の専門的な検証も行わないで進めていくと、そういうふうに私ども受け止めてよろしいんですか。
◎市長(鷲澤正一君)
私の先ほどから申し上げていることにつきましては、そのとおりであります。
要は、今年の3月の議会で決めた、確かにおっしゃるとおり、あそこの土地整備とかですね、そういう問題の、やはり私どもとしては市民会館、あるいはあの時点では、あそこ東街区、西街区の問題はありますけれども、基本的には市民会館と市庁舎は建て替えるということを決めてあるわけです。建て替えるということを決めて、その関連予算が決められたと、私はそういうふうに理解をしております。
以上です。
<<再質問>>
◆小林義和
私はそういうふうに理解しておりません。
TPPについて
◆小林義和
次に、TPPについてお伺いいたします。
菅政権が新成長戦略で提唱した自由化路線の加速のため、環太平洋パートナーシップ==TPP協定参加に踏み出そうとしています。これは農業者、国民の願いを踏みにじる農産物自由化につながり、政府自身の自給率50%の決定にも反します。TPPは、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど9か国で交渉が進められ、協定は例外品目を認めず、関税撤廃が原則で極めて強力です。農水省試算では、自給率は14%に急落、就業機会の減少は340万人となり、日本農業は壊滅です。
農業は、地域維持発展や地球温暖化を防ぎ、生物多様性など自然環境保全にとっても欠かせないことは、歴代政府も認めてきました。政府はTPP参加は絶対にやめるよう、地方自治体としても要求すべきであります。市長の決意をお伺いいたします。
併せて本日御出席をいただきましたが、長野市で食料自給率の向上を目指し、安全・安心な食料を国民、市民に安定的に供給するため、長野の大地に根を張り農地を守って頑張っておいでの長野市農業委員会大谷会長の見解もお聞きをいたします。
◎市長(鷲澤正一君)
次に、TPP協定についてお答えします。
原則として、関税撤廃の例外措置を認めないTPP協定に日本が参加した場合には、国内の農業生産や食料自給率及び農業、農村の多面的機能の維持、存続を根底から揺るがすのみならず、情報、金融、郵政等幅広い分野、さらには雇用への深刻な影響も懸念されることは十分認識しているところであります。
本市におきましても、農業従事者の高齢化や後継者不足が進み、耕作放棄地が増加するなど、農業生産基盤の弱体化が進んでいることから、TPP協定が本市の農業に与える影響は甚大であり、地域経済や集落機能の低下が懸念されるところであります。
TPP協定について私は、日本は戦後、自由貿易体制によって再生してきた国であり、その中であえて弱点といえば農業ということだと認識しております。その弱いところをどうするかということについては、個々の問題としてきちんとフォローして最大限に努力することであり、世界の貿易体制がどういう方向に向かっているか、国がとるべき道を考え、それをきちんとやるべきだと考えております。
このため、TPP協定への対応に当たっては、自由貿易を含めた経済連携の推進と、農業、農村の振興や農業者の教育及び食料自給率の向上とが両立されるよう、十分な検証と国民的議論を尽くすべきであると考えております。
◎農業委員会会長(大谷幸男君)
小林義和議員さんの質問にお答えをいたします。
例外なき関税撤廃を原則とする環太平洋連携協定==TPPの交渉には、全国の農業委員会も絶対反対を表明しております。
議員さんの御指摘のとおり、関税が撤廃された場合、我が国の食料自給率が40%から14%に低下するとの政府の影響試算も出ており、農業・農村地域に与える壊滅的な打撃について、農業委員の多くが強い危機感を抱いており、そのことが交渉への参加に反対する最大の理由であります。
試しに米の場合でございますが、長野市では50アールを超す水田を栽培されている農家は200戸に足りません。ほとんど80%を超す農家は自家用米だと、こういう皆さんに今お聞きしますと、米が10kg1,000円以下で買えるんなら、私どもも米を買って食べると、こういう意見が圧倒的でございます。現在でも、非常に荒廃農地が増えている中で、こういうことが起きますと、さらにそこに輪をかけて荒れた田畑が広がると、こういうことになると思います。
去る12月2日に、東京の九段会館におきまして、全国農業委員会会長代表者集会が開催され、食料・農業・農村の危機突破のための政策提案や包括的経済連携に関する要請などが決議されました。また、長野県の農業会員も県選出の全国会議員に御出席をいただきまして、選挙区ごとに、12月4日以降にこの反対の要請をしております。
これは、農業者の高齢化、農業所得の減少、さらには先の見えない米価の下落に加え、TPPについて関係国との協議開始などを内容とする基本方針の策定により農業者の閉そく感が強まる中、食料・農業・農村政策の再構築を求めるものであります。全国農業委員会としては、このTPPへの参加は断固反対であり、この集会で農業・農村の危機突破に向けて、農業委員会系統組織の結集が図られたものであります。
しかしながら、将来国はTPPに参加することも考えられます。そのようなときに備えまして、長野市におきましては、農業が壊滅的なダメージを受けないよう今から農家の体質強化と、各種農産物の生産体制を充実するとともに、市内から海外へ農産物の輸出をすることも視野に入れた検討が必要であると考えます。
御承知のとおり、長野市の中で主力の農業の生産物であります果物は、世界のトップクラスのものであり、世界中どこへ出しても絶対に負けないと、こういう品目がたくさんあるわけでございますので、そういったものを今から力を入れて指導していただきたいと、かように考えます。
<<再質問>>
◆小林義和
さて、TPPの問題で今日、農業委員会会長にお出ましをいただきまして、現場からのですね、怒りの発言、農業委員会全国挙げて、このTPPに反対と、こういう御発言でございました。
そういう中で、市長はですね、十分な検証と国民的議論を尽くすと、自由貿易体制が日本のそもそもの生命線だというふうな、こういう発言でありましたが、この農業委員会会長の御発言の中で、もしTPPが通ったら、本当に競争の波にのまれると、そのために準備をせざるを得ないというような、こういうリンゴのことで御発言ありましたが、そんなことまで、今、農業者の皆さんが考えなきゃならないというようなこの事態、私は市長には、今全国でも何人かの市長もですね、次々とTPPに反対の表明をしておりますが、この市長の十分な検証と国民的議論を尽くさなければというこうとは、反対というふうに私は受け止めてもいいかと思うんですけれども、もう一度市長ですね、その見解をお伺いしたいというふうに思います。
◎市長(鷲澤正一君)
私の発言をどうおとりになるかは、それはそれで解釈は勝手でございますが、私は記者会見でも申し上げましたけれども、自由貿易体制というものがですね、日本を今日まで発展させてきた基であるということについては、それはもう事実だと思っております。
以上です。
<<再質問>>
◆小林義和
市長のこういう態度では、本当に長野市の農業が、本当に壊滅状態になる、先ほど8割の米づくりの農家が、やめると、こういうことになりかねない、そのことを容認するということになりますので、厳しく私は市長の態度について指摘をしておきたいと思いますが、その中で、農業委員会会長がですね、行政の支援、担い手育成について、もっと中野市の例も挙げ、外国の例も挙げて支援をすべきだというふうに御発言されましたが、その点について、市の方はどんなふうに考えておいでか、発言を求めたいと思います。
◎市長(鷲澤正一君)
私はですね、前の質問、あれは質問というよりも意見だろうと思いますが、それとの関連で申し上げますとね、私は自由貿易体制というのは絶対に必要だというふうに思っておりますが、だからといって、一番弱いところは先ほども申し上げたとおり農業なんですよ。だから、農業をどうするかということについてはもっと考えなきゃいけないということだけは申し上げているところでございます。
ですから、そのことについては両々あいまってやっていかなきゃいけないということをひとつ御理解いただきたいと同時に、長野市としてはですね、ここで少し、これから先、もうちょっと検討させていただきますが、農業、特に後継者づくりという問題については、根本的な形になるのかもう答弁で申し上げていますけれども、そういう根本的なところで政策を考えたいというふうに申し上げておきます。
以上です。
平和の発信について
◆小林義和
続いて、平和の発信についてであります。
今日12月8日は、69年前、日本が破滅的な太平洋戦争に突入していった日、また1980年、暗殺されたジョン・レノンの命日です。
私は5月、ニューヨークセントラルパークの一角のイマジンの記念碑に手を合わせてきました。年が明けると、長野市民平和の日のつどいがやってきます。私は、毎回、市長に平和行政への推進を提案してきました。今年度初めて市政概要に平和行政への取組の項が載り、市政に平和行政が位置付けられたと歓迎をいたします。
今年2月の市民平和の日のつどいは、平和市長会議の広島・長崎両市との連携、学校の生徒の参加、核兵器廃絶署名コーナーの設置、市長の署名呼び掛けなど、平和の発信に大きく寄与いたしました。ただ、同時に厳冬の屋外という点で市民の参加は多くはなかった。広場の暖房の工夫、屋内施設の活用、隣接放送局の生中継、あるいは昼間のセレモニー、平和都市宣言の英語・中国語・韓国語版の作成など、在長野外国人へのアピールなども提案をいたします。来年の市民平和の日のつどいの構想をお伺いいたします。
次に、松本市が来年度、平和都市宣言策定25周年記念で、第23回国連軍縮会議を招致したとのことであります。多くの市民平和団体から歓迎と協力の声が上がっています。
そこで、松本市と張り合うわけではありませんが伺います。松本市に勝るとも劣らない市民平和運動も資源もある長野市は、自信を持って世界に平和都市を発信すべきと思います。
例えば、平和市長会議、冬季五輪開催都市の世界会議、日・中・米を結ぶ長野市・石家庄市・クリアウォーター市3都市会議、松代大本営と韓国及び済州島平和記念館などとの交流、開かれた善光寺を生かした世界平和宗教者会議、1校1国運動の世界交流などなど発想の転換が必要です。そして市民の英知を集める、例えば国際平和交流市民会議というようなものを設置したらいかがか、お伺いをいたします。
◎市長(鷲澤正一君)
次に、平和行政についてお答えいたします。
今年度の長野市民平和の日のつどいは、昨年度に続き、同時に行われる灯明まつりに併せてトイーゴ広場で開催する予定で、現在準備を進めているところであります。
平和への願いでつながっている灯明まつりと互いに連携する中で、昨年度は約450名の方に訪れていただきましたが、トイーゴ広場での開催がまだ2回と日が浅く、市民によく知られていない面もあったかと思います。今回も、昨年度以上に多くの人に参加をいただき、平和や命の大切さを願うメッセージを発信できるような企画を取り入れてまいりたいと考えております。
次に、世界へ平和都市としての発信をとのことでありますが、本市はオリンピック開催都市として、平和とスポーツの大切さを世界へ、また次の世代へと伝えていく責務もございます。御提案の国際的イベントについても、今後平和のつどい等を通じ、市民の皆様の機運の醸成が図られ、また平和都市宣言からの大きな節目の年などを契機に開催することも検討したいと思います。その際には、多くの市民の皆様が参画できる方法について研究してまいります。
市民会館と文化行政に対する教育委員会の責任について
◆小林義和
次に、市民会館と文化行政に対する教育委員会の責任について伺います。
11月26日の市民会館建設検討委員会に教育委員会は、新市民会館に求める文化芸術振興拠点の位置付けと役割を示しました。そして29日、長野市文化芸術振興審議会の1年ぶり2回目の開催、ほとんどが市教委の説明で、委員から疑問が相次いだとの報道であります。26日の建設検討委員会への提案原案は、この審議会で検討すべきではなかったか、こんな位置付け、あるいはプロセスで委員や市民の理解は得られません。1年前建設検討委員長だった教育長には、文化芸術振興審議会の位置付けや市民会館に対する教育委員会としての責任はないか、お伺いをいたします。
また、私の議会質問に教育長は何度となく現市民会館は文化財的な価値や文化財としての存在意義が低いと断言されました。この判断の根拠及び昨今のこの建築専門家の皆さんの見解、先ほど申し上げましたが、これについて考えをお伺いいたします。
◎教育長(堀内征治君)
文化行政に対する教育委員会の責任に関しまして、初めに文化芸術振興審議会についてお答え申し上げます。
この審議会は、昨年9月の文化芸術及びスポーツの振興による文化力あふれるまちづくり条例の施行と併せ設置したもので、その任務は文化芸術の振興のための施策の策定及び推進について調査、審議することとしております。
審議会の位置付けといたしましては、市民会館など個別の施設についての審議をお願いするものではなく、市の総合的な文化芸術振興について審議し、提言を頂く機関でございます。また、市民会館に対する教育委員会の役割でございますが、新市民会館の位置付けと役割を明確にし、新市民会館を拠点に文化芸術の振興を図ることと認識しております。
新市民会館の位置付けと役割については、まず文化芸術振興審議会で検討すべきとの御指摘でございますけれども、この位置付けと役割は、市民会館の建設に当たり文化芸術の振興拠点としての考えを基本構想と整合を図り、教育委員会として打ち出したもので、本年8月に市議会特別委員会でお示しし、10月に行われた市民説明会でも説明してまいりました。さらに建設検討委員会では、ハード面だけでなくソフト面においても十分御検討いただく必要があることから、11月に新市民会館の位置付けと役割を申し上げました。
市民会館という個別の中身を検討する機関は、建設検討委員会でありますので、審議会に諮ってから建設検討委員会等に示すという位置付けではなく、今回の御提示は順を踏まえたものと考えております。
審議会からは、今後とも市民会館の拠点としての位置付けや役割を踏まえ、市の総合的な文化芸術振興について御意見を頂き、施策に反映してまいりたいと考えております。
次に、市民会館の文化財的価値については、国土の歴史的景観に寄与しているもの、造形の規範になっているもの、再現することが容易でないものという国の文化財登録基準をもって登録文化財や指定文化財に相当するか否かを判断したものです。
日本建築家協会の方々の見解につきましては、その内容を拝見いたしましたが、私どもの見解としては、前回お答えしたとおりでございまして、有形文化財である建造物の場合には、社会構造や文化の変遷を経て、経済的、美的、歴史的、学術的な価値が付加され、現在的な存在意義が発揮されたものが指定文化財、あるいは登録文化財の対象となるものととらえております。
したがいまして、現市民会館につきましては、この点で文化財的な価値や文化財としての存在意義が低く、登録文化財や指定文化財のいずれにも該当しないと判断しております。
私からは以上でございます。
<<再質問>>
◆小林義和
そしてですね、教育長にもう一度お聞きしますけれども、建物全体がまちの風景形成して使い続けることが、文化と歴史をつくると、この専門家の指摘に対しては、どういうふうにお考えでしょうか。
◎教育長(堀内征治君)
専門家の御意見は承りましたけれども、国の登録文化財等々の基準を基にして判断すると、文化財的な価値が低いというふうに判断しているということでございます。
そして、市民会館は、市長も申しましたとおり、市の文化芸術の振興を図るという総合的な立場からも考えなければいけない。そういう中で、国の基準を見て、そして文化財的な価値という点で、守らなければいけないということになっていない以上は、この方針でよろしいんじゃないかというふうに思っております。
<<再質問>>
◆小林義和
松商学園ですね、松本の、校舎の保存をね、国の有形文化財にしていこうというこういう動き、それもまだ決まっていない段階でこういう価値を認めてやっていますね。
私はね、これは長野市は大変な誤りを犯すんじゃないかと、歴史と文化に対して、そのことを指摘しておきたいと……
来年度予算編成方針、合併特例債などについて
◆小林義和
次に、来年度予算編成方針、合併特例債などについてお伺いいたします。
予算編成方針は、世界同時不況と急激な円高で景気減速の懸念、国の債務残高は882兆円、経済情勢と深刻な財政事情下で地方自治体の財政運営は引き続き厳しい。市債残高の一層の縮減、基金残高の確保が必要。23年度から26年度、大規模プロジェクトが本格化する。計画的、堅実な財政運営が必要。そのため、事業のスクラップ・アンド・ビルドの徹底、例外なき事業見直し、必要性、緊急性の高いものの厳選、市有財産の有効活用等に留意すると言いつつ、1,000億円を超える8事業を改めて大規模プロジェクトと位置付けて、選択と集中で事業を推進すると宣言をしました。
しかし、庁舎・市民会館建設を巡るこの間の迷走は、総合計画にもない新文化交流施設まで飛び出す事態であります。予算編成方針に沿うならば、庁舎・市民会館建設も必要性、緊急性、市有財産有効活用、この観点で例外なき事業見直し対象とすべきであります。見解をお伺いいたします。
次に、合併特例債は、合併市町村の一体性や均衡を図るもので、平成17年合併建設計画は最も身近な支所の利便性の向上として支所庁舎施設整備事業を挙げ、平成21年度合併基本計画は、本庁舎建設事業を挙げています。合併特例債は、支所庁舎施設整備事業を本庁舎建設と読み替える解釈なのか、合併基本計画の本庁舎建設とは何なのか、お伺いをいたします。
次に、合併特例債の7割は、後年度地方交付税措置されるとは、後年度の普通地方交付税額に借金返済分を上乗せされるのか、また平成32年度からは、合併特例の地方交付税は一本算定となり、長野市は年に約24億円の地方交付税が減額されると、県は試算をしております。32年度以降の推計が極めて重要になります。27年度から31年度までの5年間は激変緩和期間から、この間の減少額の試算も含めて財政部長にお伺いをいたします。
◎財政部長(久代伸次君)
私からは、まず庁舎・市民会館の建設も例外なき事業の見直しや市有財産有効活用の観点で事業を見直すべきという御質問についてお答えいたします。
御指摘の予算編成方針の例外なき事務事業の見直しや市有財産の有効活用は、新年度の予算編成においてすべての事業に当てはまる共通の原則としてお示しをしたものでございます。このことは、庁舎・市民会館の建設においてもまた同様であり、耐震強度のほか機能性、バリアフリー、そして環境問題など様々な角度から精査し、なお一層の有効活用に資するものとするため、総合的に検討・協議を重ねた結果、本市として必要性、緊急性の高い事業と判断をしたものでございます。
新年度の予算編成においては、大規模プロジェクト事業として位置付ける中、今後必要な予算を重点的に配分することによりまして、事業の着実かつ円滑な推進を図ってまいりたいと考えております。
次に、合併特例関係の御質問についてお答えいたします。
合併特例債について、合併建設計画での支所庁舎施設整備事業を本庁舎建設と読み替えて認められるという解釈なのかとの御質問でございますが、支所庁舎施設整備事業は例示でありまして、合併建設計画の本文に庁舎を計画的に整備すると書かれていることから、本庁舎の整備も含まれていると考えているものであります。
次に、平成21年度の合併基本計画での本庁舎建設とは、合併推進債を使って何を建設するのかという御質問でございますが、主要事業として例示している本庁舎建設は、第1庁舎の整備を含めて想定したものでございます。第1庁舎については、合併特例債の活用を前提として考えておりますが、合併基本計画の作成段階においては、合併特例債の活用について検討中であり、また第1庁舎の附帯機能の整備等も考えられ、財源手当の観点から合併推進債の活用を可能としておくため、平成21年度の合併基本計画の本文に本庁舎を整備と明記したものでございます。
次に、合併特例債の7割が交付税措置されるとは、交付税額に借金返済分を上乗せして国が負担するのかという御質問でございますが、地方交付税は基準財政需要額と基準財政収入額との差額、いわゆる財源不足額が交付税として交付されてまいります。したがいまして、合併特例債が交付税措置されるというのは、借金返済分としての元利償還金が現金ベースで交付税額に上乗せされるものではなく、地方交付税を計算する際に、元利償還金の7割が基準財政需要額に算入されるという有利な措置が行われるものでございます。
最後に、合併特例の地方交付税が一本算定されると、約24億円の減額との県の試算であるが、措置が切れる平成32年度以降の試算について、激変緩和期間の減少額の試算も含めて示されたいとの御質問にお答えいたします。
県試算の約24億円の減額というのは、22年7月の普通交付税決定時点の数値に基づくものでありますが、合併算定替えの影響額は毎年決定される交付税額によって変動するため、特例措置が完全に終了する平成32年度以降の影響額を現時点で見込むのは困難であります。
ちなみに、本年3月にお示しした今後10年間の財政推計では、合併算定替えの影響も勘案しておりますが、推計は経済情勢の変化や国の制度改正等によって大きく変わりますので、的確なものとするために、毎年当初予算編成時に更新をする必要があるものと考えております。また、この推計は長期になればなるほど不確定要素が大きくなるため、直近の10年間での推計としており、それを超える推計については考えておりません。
なお、激変緩和期間の交付税の減少額については、制度といたしましては、27年度から31年度までの5年間、合併算定替えの影響額を1割、3割、5割、7割、9割と逓減させる仕組みとなっております。したがって、22年7月の決定額のまま今後推移するものと仮定すれば、約24億円を5年間で逓減させると、激変緩和期間の減少額自体は機械的に算出できますが、先ほど申し上げましたとおり、合併算定替えの影響額は毎年決定される交付税額によって変動するため、これを踏まえた毎年の当初予算編成時に作成する財政推計によって、今後の見通しを立ててまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
公共交通の再生等について
◆小林義和
次に、公共交通の再生等についてお伺いいたします。
長野電鉄活性化協議会で、市は運営スキームの検討に関する調査報告書により、市民は公共交通が必要と考えているが、屋代線を維持するには巨額の設備投資費用と赤字の補てんが必要で、今後の方向性は屋代線を休止か廃止し、代替バスを運行する2案、実証実験を3か月継続する一案と決め付けて提案しました。だから、協議会では多くの異論が出て決定できなかった。議会特別委員会も総合連携計画の3か年は結論を焦らず研究・分析を深めていくよう求めました。
そこで、協議会長の副市長に伺います。なぜ年度内決定を急ぐのか、もっと沿線住民や市民の意見や提案を集めてですね、例えば、おでかけパスポートの屋代線への実験適用とか、バスに導入予定のICカード、これを電車や商店街、公共施設等と連携活用する。そして、地域経済活性化に連動する方策なども研究する。地球環境や観光振興の観点も重要であります。結論を急がないことです。同時に、国に対しては補助金の引上げや地域公共交通総合連携計画期間の延長なども要請すべきであります。
次に、そもそも公共交通の再生がなぜまちづくりに重要なのか、これまでもモータリゼーションの育成策、公共交通の規制緩和で買い物難民など、生活交通の貧困、危機的状況が進み、市民の交通権の保障が喫緊の課題だからです。国の交通基本法の制定を待たず、福岡市は議員立法で生活交通条例を策定しました。地域公共交通総合連携計画を発展させたこの先に、市民、交通事業者、長野市の協働で市民の交通権の保障を定める条例について、市と議会の共同研究などを提案いたしますが、見解をお伺いいたします。
◎副市長(酒井登君)
公共交通の再生と公共交通基本条例の制定についてお答えいたします。
まず、長野電鉄屋代線の運営スキームの年度内決定を急ぐのかとの御質問でありますが、長野電鉄活性化協議会では、平成22年3月に策定いたしました長野電鉄屋代線総合連携計画に基づきまして、基本方針として掲げました。まず、日常の生活行動で抵抗なく使えるサービス水準の向上、それと屋代線を活用した人の動きの創出、地域が一体となった鉄道を支える仕組みづくり、これらを実現し、屋代線の活性化、再生を図ることを目的として実証実験等、主な推進施策を本年7月1日から9月30日までの3か月間で実施いたしました。
本年度の事業内容につきましては、本総合連携計画にもありますように、実証実験等推進施策と併せまして公的支援の方向性の検討を行いまして、そして屋代線の運営スキームの方向性の決定をすることとなっております。さらに、その詳細日程につきましては、本年5月に開催されました第7回の協議会で御説明申し上げ、11月に新たな運営形態への移行の決定をするとしており、これまで総合連携計画の策定、実証実験の実施、啓発のためのシンポジウムの開催など、各種事業を実施し、協議を重ねてまいりましたことから、計画に沿って進ちょくしているものと考えております。
また、沿線住民や市民全体の意見や提案の反映につきましては、これは前年、平成21年度に屋代線沿線の3,500人に住民アンケート調査を実施するとともに、観光モニタリング調査、各種関係団体ヒアリング調査を実施しております。そして、今年平成22年度には沿線、沿線外の7,000人にアンケート調査を行い、併せて屋代線の利用者アンケート調査を実施いたしました。
さらに、21年度及び22年度のこの両年度にわたりまして、沿線住民、学校、医療機関、学識経験者、企業及び行政などで組織する沿線地域ワーキンググループや経営ワーキンググループによる検討を行いました。こうしたことから、沿線地域を初めとする住民の皆様の意見は十分取り入れたものとなっていると考えております。
先月開催の第10回長野電鉄活性化協議会では、現時点でバス代替対応を結論付けるのは拙速。このまま赤字をすべて長野電鉄に押し付けてはならない。あるいは公的支援については、住民のコンセンサスが必要などの意見を頂きました。今後、協議会委員の意識や考え方には若干の距離があることから、理解を深める努力をし、年度内に結論を出してまいります。
次に、ICカードにつきまして、長野電鉄、商店街、公共施設等での活用など、地域活性化に広く連動させていく方策を研究すべきとの御指摘にお答えします。
ICカードの導入につきましては、システム構築業務の事業者を選定するための公募型プロポーザルを先月実施したところですが、提案の募集に当たりましては、基本要件として長野電鉄など他の交通事業者への導入、公共施設等との連携、商業施設等での利用を想定し、実施の際には大幅な機器の入替えや大規模なシステム改修などが発生しないようあらかじめ考慮することと定め、御指摘の点につきましては、将来的に取り組めるような対応をしているところであります。
国に対して補助金の引上げ、期間延長の要請を行うべきという御指摘につきましては、県内の32法定協議会で組織する地域公共交通活性化・再生総合事業長野県連絡会が9月27日、長野県知事、県市長会及び県町村会と共に、国土交通省及び民主党に要請活動を行いました。
本市独自の取組といたしましても、3月29日と6月8日に市長自ら国土交通省及び民主党に要請活動を行うとともに、9月3日開催の第127回長野県市長会総会においても、須坂市、中野市及び伊那市と共に共同提案を行ったほか、長野市選出県会議員との懇談会で議題とするなど、機会あるごとに鋭意取り組んでおるところであります。
国土交通省は、平成23年度予算要求におきまして、地域公共交通活性化・再生総合事業を地域公共交通確保維持改善事業に統合するとしておりますが、協議会といたしましても、また市といたしましても、引き続き財源確保を求めてまいります。
最後に、地域公共交通総合連携計画の発展として、交通権の保障の責務を負う条例についてお答えいたします。
御紹介いただきましたこの福岡市の生活交通条例は、正式には公共交通空白地等及び移動制約者に係る生活交通の確保に関する条例といいまして、その第3条第1項では、市民の権利として、市民等はその居住し又は活動する地域に係る生活交通の確保に向けた取組に参画する権利を有すると規定するとともに、第2項で、市民等は市が実施する生活交通を確保するための施策に協働して推進するよう努めなければならないと、努力義務も定めております。
本市は、市バス、あるいは空白型の乗合タクシー、中山間地域輸送システムなどの運行に当たりまして、市民の皆様と繰り返し協議を行うことにより、御意見、ニーズの反映に努めており、その意味では、福岡市の条例が規定しました生活交通の確保に向けた取組に参画する権利を既に実施していると自負しております。
一方、国におきましては、交通基本法の制定を目指して検討会を開催し、大きな柱である移動権の保障についての論点整理を行っていると聞いております。当面は、地域公共交通総合連携計画の着実な実施に専念する中で、この国の動向を注視してまいりたいと考えております。
以上です。
市民生活を守るセーフティーネットの構築について
◆小林義和
次に、市民生活を守るセーフティーネットの構築についてであります。
年越し支援体制について伺います。
生活保護受給者は前年同期より20パーセント近く増加し、9億円近い補正予算が提案されています。景気低迷の影響で失業者も増え続けています。運送会社を失業した40代のある男性は、毎日ハローワークに通っているが、建築、土木、電気工事などは全く仕事がない状態が何か月も続いていると言っていました。今年の年末年始も住まいを失った失業者らへの閉庁中の生活保護などの相談、住居の確保など、福祉事務所を中心に部局横断で特別の年越し体制をとるべきだと思いますが、方針を伺います。
また、ケースワーカー1人の担当が100ケースでは過労状態であります。まして受給者に若い人が増えて、働きたくても働けないストレスが複雑な状況を生み出していますから、日々の相談に乗り、自立につなげていく高い専門性と広い経験が求められます。緊急に職員の増員をすべきです。見解を伺います。
次に、緊急通報装置の有料化についてであります。
市は、緊急通報システムを1月から月300円に有料化する方針です。昨年度のシステム利用者は1,422人、そのうち814人は継続するが、571人が返却、11月末申込みは975人。子供が市内に居住していても利用可能になったけれども、利用者は激減、21年度末市の見込みは1,100人です。返却した324人は新システムは使わないとの理由ですが、必要な生活状況だが、有料なので使わないという人は一体どのくらいいるのか。厳冬の1月、セーフティーネットから漏れる人に対する日常の見守り体制はどうするのか伺います。
年400万円未満の利用料収入のために、有料セーフティーネットからこぼれ落ち、孤独死、無縁死につながるような福祉制度でいいのでしょうか。無料化の継続を改めて強く求めます。見解を伺います。
◎保健福祉部長(戸井田一成君)
私から、まず生活困窮者や住居を失った人の年末年始支援体制等についてお答えいたします。
厳しい雇用情勢が続く中、生活保護世帯数は急増しております。こうしたことから、失業等による生活困窮者や住居を失った人に対して日常的な相談体制の中で、ハローワークや社会福祉協議会等の関係機関と連携し、生活支援に努めております。
本年は、生活に困窮する方が年末を前に早目に相談をしていただけるよう11月30日には、ハローワークを会場に職業相談だけでなく住居、生活支援の相談、手続ができるワンストップ・サービス・デイの開催に厚生課の生活保護相談員と住宅確保・就労支援員を派遣したところでございます。
また、12月13日から17日までの間、県内の福祉事務所、社会福祉協議会等で一斉に生活福祉相談、生活福祉資金貸付相談などを実施する生活支援強化キャンペーンに取り組んでまいります。特に、このキャンペーン期間中の12月14日、15日の両日は、ハローワークを会場に再度ワンストップ・サービス・デイを開催し、さらに12月16日には、厚生課職員と健康課保健師による市内のホームレスの実態把握と生活健康相談を実施してまいります。
年末年始の12月29日から1月3日までは、緊急を要する方に対応できるよう厚生課職員が自宅待機し、市役所警備員室等からの連絡により出動できる体制を整えてまいります。
次に、福祉事務所の職員体制の増強でございますが、生活保護のケースワーカーにつきましては、本年1月に2名、4月に1名増員し、また9月議会に補正予算をお願いし、10月から嘱託の就労支援員を1名増員したところでございます。今後もケースワーカーを増員するなど、生活保護を受給される方の自立につながるよう、福祉事務所の体制づくりに努めてまいりたいと考えております。
次に、緊急通報装置有料化についてお答えいたします。
緊急通報装置設置事業につきましては、長野市社会福祉審議会に同事業への利用者負担の導入について諮問いたしましたところ、利用者負担を導入すべきとの判断とともに、提供するサービスの充実、利用者負担の低減に努めること等を内容とする答申を頂いたことから、平成23年1月から有料化することとしたものでございます。
新システム導入の過程で、事業継続に関する意向調査を対象者1,475人に実施したところ、利用を継続しないとした方が571人となっております。その理由は、必要ないが324人、施設入所等が106人、家族との同居が57人、死亡が28人、その他が56人でございました。装置が必要な状況であるが、有料化を理由に利用を継続しない方の詳細は不明でございます。利用を希望されなかった方につきましては、担当の民生委員さんや福祉関係者の訪問や友愛活動の自宅訪問事業、さらには災害時要援護者避難支援計画事業等を推進する中で、地域での見守り活動を充実させていきたいと考えております。
有料化は、市民負担の公平性を確保する観点から必要であり、不用になっても申出がない事例が多数あるなど、これまでの課題に対しても有効であります。また、利用者には設置しているという自覚を生み、主体的に利用するという意識が醸成されるものと考えております。
なお、1月からの利用料金は当初予定していた金額を引き下げ、月額300円とするものでございます。年明け1月から滞りなく新システムの本格的な運用が開始できるよう、万全を期して作業を進めてまいります。
国民健康保険の広域化について
◆小林義和
次に、国民健康保険の広域化について伺います。
新高齢者医療制度の検討と併せて国保の広域化が強力に進められようとしています。都道府県に広域化等支援方針の策定権限を与え、年内に策定すれば、保険料納付率が低い場合のペナルティーを科さないと誘導しています。広域化と国保料の基準の統一化が進むと、市町村が国保料引下げのために行う一般会計繰入れがなくなる。市町村独自の減免制度の後退、保険料徴収率確保のため、取立てや資格証明書発行など制裁的措置の拡大、市町村の健康維持増進サービスが後退など危ぐされます。
埼玉県志木市では、市のホームページに国保広域化について税率の統一化、税額や収納率、一般会計繰入れの格差調整、市民の健康づくりはだれが責任を負うのかと批判しています。国民健康保険法第1条は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与すると明記し、医療のセーフティーネットとしています。国保の広域化と社会保障制度であるとの位置付けについての見解、志木市のようなアピールの実施などについて、市長にお伺いいたします。
また、これまで私どもは200人を超す国保保険証の市役所窓口保管という事態が無保険者をつくっている、医療難民を生み出していると指摘し、早急の解決を求めてきましたが、どのように改善されたのか、併せてお伺いいたします。
◎市長(鷲澤正一君)
次に、国保の広域化等についてお答えをいたします。
国では、市町村単位の国保運営には限界があるとみて、財政運営の広域化を見据えて都道府県の権限と責任の強化を図りながら、将来的には被用者保険と国保を統合し、地域保険としての一元的な運用を図るため、平成25年度から実施予定の新たな高齢者医療制度の検討とともに、国保の広域化が進められております。
国保の広域化は、将来に向け持続可能な制度とするために必要であると考えておりますが、医療費の増大や景気悪化などに伴い、国保財政がひっ迫する状況の中で、国保財政健全化のための保険料率の見直しや一般会計からの繰入れなどの対応は市町村によって異なっておりますので、広域化実施の際は個別の市町村国保の負債や、あるいは支払準備基金などの財政事情は引き継ぐことなく、新しい国保としてスタートすべきだと考えております。
いずれにいたしましても、保険料の算定方式や保険料率の統一化など多くの課題がありますので、移行に伴う混乱は最小限にとどめる配慮が必要であると考えております。
次に、社会保障制度としての国保制度についてでありますが、国保は国民皆保険体制の中で最後の受皿として大きな支柱となっており、市民の健康の保持・増進になくてはならない重要な役割を果たしておりますので、セーフティーネットとして安定的な運営の確保が不可欠であると考えております。
次に、志木市のようなアピールの実施についてでありますが、私もホームページの記事を閲覧しました。記事の内容は、現在行われている国保の広域化の議論に関する国保料の料率や賦課方式などの課題事項に対する意見等が掲載されておりました。これは長野市も含め、全国の自治体の共通の課題であると考えておりますので、必要なことは国、県に対しまして意見、要望してまいりたいと考えております。
私からは以上です。
◎生活部長(町田良夫君)
私から、短期保険証の窓口保管はどのように改善されたかについてお答え申し上げます。
本市では、国民健康保険料を滞納している世帯の滞納状況によって6か月間有効の短期保険証を交付しております。この短期保険証の交付は被保険者間の負担の公平を図るため、保険証の有効期間を短くすることにより、日ごろ連絡がとれない滞納者と接触の機会を設け、保険料収入を確保しようとするものであります。
昨年度までは、滞納整理と絡めて短期保険証を発行しておりましたが、今年度からは1年以上保険料の納付のない滞納者のうち、保険料の軽減世帯を除外し、その上、納付相談のない方に対し、接触の機会を確保するために発行することといたしました。
その結果、昨年9月の短期保険証の発送件数1,938件に対しまして、今年9月の発行件数は59件となりました。また、昨年の短期保険証の保管数は286件に対しまして、今年は10件であります。
いずれにいたしましても、1日も早く本人に短期保険証を交付することができるよう引き続き電話連絡、あるいは納付指導員等による戸別訪問を行ってまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
<<再質問>>
◆小林義和
御答弁を頂きまして、国保の保険証のですね、改善、御努力をいただいた、有り難いことだと思います。それから、市長の国保の広域化についての見解はですね、反対という見解だというふうに受け止めました。
そういう中で、地域密着型公共事業についても、一定の努力をされているということは理解ができました。
児童虐待防止法等について
◆小林義和
次に、児童虐待防止法等についてお伺いをいたします。
先日、パートで働く32歳母親の新聞投書を目にしました。子供の虐待記事が報道されるたび、ひどい親だという反応に同意しつつ虐待してしまう親を否定し切れない自分がいる。夫に子育ての不安、虐待の不安を話したが、子育てはやはり母親の仕事となり、今では、子供に対して起きるこの心のやみについて、だれかに相談することはありません。身近な人に子供はかわいいと話すのと同じように、虐待の不安も話題にできて、受け入れられたら心が軽くなるのにというものでした。
児童虐待防止法施行から10年、虐待の通報は急増したが、予防、虐待を受けた子供のケア、再発防止などは遅れていると言われます。法改正で保護者への指導、支援体制整備など市町村の役割が明確になり、市の児童虐待にかかわる相談件数は、平成16年の80件が、昨年21年で466件と激増しています。
地域では、人間関係が希薄化し、家庭の経済事情も悪化し、虐待が起きるリスクは確実に高まっており、虐待死は全国で年50~60件で、6割はゼロ歳児でうち7割が生後1か月未満だそうです。長野市における保健師の家庭訪問などの取組や保育園における子育て支援センター、おひさま広場などが投書の母親のような子育ての不安を支える場になっていると思います。これまでの市の取組、児童福祉司の配置など、職員の専門性の向上と増員、子育てを支える保育園の職員体制、地域の子育て支援の仕組みづくり、市民への啓発研修などについてお伺いをいたします。
◎保健福祉部長(戸井田一成君)
次に、児童虐待防止法施行10年の現状と課題についてお答えいたします。
児童虐待の防止等に関する法律では、虐待児童を保護するため国及び地方公共団体は、関係機関等と連携を強化し、必要な体制の整備に努めなければならないとされました。また、平成16年の法改正では、通告先として児童相談所のほかに市町村が追加されました。このため、本市においても正規職員を2名増員し、体制の強化をしてまいりました。また、市と関係機関が連携を図り、児童虐待等への対応を行う長野市要保護児童対策地域協議会を平成17年度に設置いたしました。
この協議会は、児童相談所、民生児童委員、医療機関、教育機関及び警察など児童虐待の兆候を早期に発見する機会が期待される関係団体等27機関で構成し、要保護児童に係る情報を交換しながら、支援内容を検討・協議して適切な保護を行っております。
次に、産前産後からの虐待予防についてですが、若年の妊婦や出産後間もない時期の養育者は、産後うつ状態や育児ノイローゼ等により子育てに対する強い不安や孤立感を持ってしまいます。そのため、はじめまして赤ちゃん事業や医療機関などからの情報提供により、支援を必要とする対象者を把握し、保健師等の専門的な指導や育児支援訪問員による家事援助を定期的に行い、虐待や育児放棄にならないよう努めております。
また、今年度からは幼稚園、保育園を開放し、気軽に親子で遊び、ほかの親子などとのつながりを深め、保育士等による育児相談ができるおひさま広場を実施することで、子育てに関する不安の解消ができるようにしております。また、保育園は国基準を上回る職員配置をしております。
次に、市民の皆様への周知につきましては、5月の児童福祉週間と11月の児童虐待防止推進月間に合わせて、広報ながのでの児童相談窓口の周知や虐待の疑いがあるケースを見たら、相談窓口に通報していただくよう協力をお願いしております。併せて、保育園の職員や民生児童委員等を対象とした児童虐待防止研修も実施し、早期発見ができるようにしております。
児童虐待は、件数の増加とともにその内容も複雑化しているため、体制の強化に努め、今後も児童にかかわる関係機関、団体との連携を更に深め、児童が安心して生活できるようにしてまいります。
雇用を守り、また地域経済を活性化する点について
◆小林義和
次に、雇用を守り、また地域経済を活性化する点について質問いたします。
まず、高校生、大学生の就職問題への支援であります。文科省調査では、来年3月卒業の大学生就職内定率は
このような深刻な事態を受けて、政府も就業進路選択支援の専門家の増員、既卒者を新卒者扱いで採用する企業への奨励金など、大企業も対象にする補助金を中小企業に集中して求人を下支えすることを提起しています。県高教組は、県商工会議所連合会に高校生の求人増を要請しました。
そこでお伺いいたします。長野市内高校生の内定状況の把握や長野商工会議所など企業側に市内高校生、大学生の採用の努力を要請したか、企業に補助金を出して高校卒業生の雇用を求める。あるいは、市職員の高卒の初級職採用の増員、現業職の新規採用も行うべきです。失業者に次の雇用までの短期の雇用・就業機会を提供している緊急雇用対策に高卒未就職者向け、1年程度の臨時職員枠を設けて、その間に就職活動の支援をする、あるいは福祉施設などで臨時職員として働きながらヘルパーなどの資格取得の支援を行って、市関連福祉施設などへの就業機会をつくるなど支援も検討すべきですが、お伺いをいたします。
◎産業振興部長(小林隆之君)
私から、雇用を守る労働行政の強化と産業振興・地域経済の活性化についての御質問のうち、まず高校生、大学生の就職問題についてお答えいたします。
北信地区の平成22年3月に卒業した高校生の就職内定率は、長野労働局の調査によりますと、
御質問の長野市内の高校生の就職内定状況につきましては、労働局からは発表されておらず、まだ独自には把握しておりません。
次に、企業等に対する要請活動につきましては、市内企業で構成され、本市及び長野商工会議所も参画しております長野労務対策協議会におきまして、ハローワークと共に高校生等の採用についてお願いをしております。
企業へ補助金を出して雇用を求めるという御提案につきましては、国の制度で3年以内既卒者トライアル雇用奨励金がございますので、企業に対しましてこの制度を紹介してまいります。
それから、長野市正規職員の初級職採用者の増員、現業職の新規採用につきましては、行政需要の増減を勘案した上で、定員を適正に管理しながら上級職等の採用と併せて考えてまいります。
臨時職員につきましては、平成20年度からの緊急雇用創出事業等の実施によりまして、昨年度末で延べ410人の雇用につながりました。その中には、未就職卒業者を市の臨時職員として雇用したという経緯もございます。臨時職員の募集につきましては、ハローワークを通して未就職卒業者に限らず広く募集しておりますけれども、未就職卒業者の応募者の中に適任者がいましたら、積極的に雇用をしてまいりたいというふうに考えております。
次に、緊急雇用創出事業を活用しました福祉・介護職員の確保のための事業といたしましては、地方自治体が福祉・介護の施設、事業所と委託契約を結び、離職失業者等を新たに雇用して資格取得ができるよう支援する介護雇用プログラム事業というのがございまして、これは既に県が実施主体となって行っております。
長野広域圏内では、合計74人が雇用されているとのことであります。今後も募集するようでございますので、この事業を御利用いただきたいというふうに考えております。
未就職者への支援といたしましては、長野市職業相談室でキャリアコンサルタントが面接の練習など、お一人お一人に合った就職の指導をしておりますので、大勢の皆様に御利用いただけるよう、今後も努めてまいります。
◆小林義和
次に、農業従事者を増やす方策についてであります。
2010年農林業センサス速報値ですが、農業就業人口はこの5年間で22%減少し、1985年以降、最大の減少幅とのことで、農業後継者や担い手育成は農業振興にとって死活問題であります。長野市は農業公社、県農業改良普及センター、農協等と連携して、担い手育成・確保に努めていますが、更に抜本的・具体的な担い手育成事業に取り組む必要があります。農業分野での雇用の拡大にもつながります。産業振興部長及び農業委員会会長に、担い手育成についての取組をお聞きいたします。
◎農業委員会会長(大谷幸男君)
次に、農業従事者担い手育成についてお答えをいたします。
新規就農への支援などを含めた明日の担い手政策の充実は、長野市だけの問題ではなく、日本全体にわたる農政の大きな課題であります。将来の農業・農村のあるべき姿に関する国の長期ビジョンの確立と政策の再構築が重要と考えております。国の農政の先行き不透明な中では、意欲を持って農業に取り組み、将来を担う若手農業者の確保、育成もおぼつかないところが現状でございます。
長野市でも議員さん御承知のとおり、40歳以下の新規就農者はここ10数年来10名以下ということが続いておるわけでございまして、市の農業を維持していくにはほど遠い人数であり、特に中山間地域では、50歳以下の担い手はほとんどゼロだと、こういうことであります。
私ども農業委員会は、行政が直接担い手の育成支援をする以外に方法はないと、こう思っております。フランス辺りでは、農業の担い手を育成するには、国が1人400万円からの資金を出して担い手を育てておると、こういうお話もあるわけでございますが、近いところでは、中野市は担い手1人に月5万円、年60万円支援金を出しておると、こういう話も聞いておるわけでございまして、もうそこまで行政がてこ入れをしなかったらどうにもならないと、こういう状態に落ち込んでおりまして、私どもの農業委員もそれぞれの立場で、大変この問題に対しては苦慮しており、それぞれ努力をしておるつもりなんですが、ほとんど効果が上がっておらないというのが現況だと思います。
また、農業委員の定数が減少する中でありますが、農業委員はそれぞれ地区の農業振興事業活動に取り組むとともに、若手の農業者グループと懇談会を開催するなど、地域農業の活性化に精一杯努めておるところでございます。
小林議員さんも一緒に農業委員を何期もやられておりますので、申すこともございませんが、これからも農業従事者を増やすために市の農業政策の充実を図っていただくことが何より大切であると考えております。今年も8月に農業委員会から、長野市の農業施策に関する建議書を市長に申し上げましたが、その中でも、担い手の確保育成は重要かつ喫緊の課題であると、こういう認識に立ちまして、その施策の充実を強く要望しているところでございます。
議員各位におかれましても、農業委員会の活動に対し一層の御支援と御協力をいただきますようお願いいたしまして、答弁に代えさせていただきます。よろしくお願いします。
◎産業振興部長(小林隆之君)
次に、農業従事者を増やす方策についてお答えします。
本市では、農業の担い手育成対策としまして、認定農業者制度を初め、法人や集落営農組織の育成などを農業委員会、農業公社、県農業改良普及センター等関係機関と連携しながら支援しております。認定農業者制度は、国の農業経営基盤強化促進法に基づき、効率的で安定した農業経営を目指す農業者が自ら作成する農業経営改善計画を、これ市が認定する制度でございまして、その計画達成に向けて様々な支援措置を講じておるものでございます。
なお、新規就農者に対しましては就農促進奨励金を支給いたしまして、支援、激励をしておるところでございます。
担い手の育成・確保は、重要かつ喫緊の課題と認識しておりますので、今後の農業の担い手となる人材の確保を強化・拡充するため、新規就農者を市内外から求め、農業技術、農業経営、経営資源など、就農全般についての支援をしていく施策についても新たに検討してまいりたいと考えております。
◆小林義和
次に、産業集積、企業誘致戦略の検証、NTTコールセンターの雇用などについて伺います。
市は、昨年4月、産業集積・企業誘致戦略を策定、将来にわたって発展可能な産業集積と地域産業の振興、市民福祉向上を目指してきました。戦略計画期間の第1次達成目標は、23年度末10件の企業誘致と新規雇用500人、誘致企業投資額約80億円であります。第2東部工業団地や川合新田産業用地などの造成や助成制度で投下した事業費と達成目標の現状など、費用対効果と今後の方向性について伺います。
次に、10月発表されましたみずほ総合研究所のリポート==製造業誘致の地方雇用創出に対する有効性は低下したのかを読みましたが、各自治体は高額の補助金を使って製造業の誘致合戦を行ったが、誘致に成功しても想定したほどの雇用が生まれていない。製造業の従業員数は、工場立地件数の増減にかかわらず減少傾向をたどっていると指摘しています。長野市の戦略は、研究開発を行う製造業、食料品製造業などの企業集積を想定していますが、みずほリポートについての見解を伺います。
また、松本市は報道によりますと、高齢化社会に対応した医療や健康関連の新産業創出を目指し、大手シンクタンクの三菱総合研究所と共同で、医療メーカーや研究機関を集積する構想を発表し、健康都市国際会議開催も考えて、高齢化社会のモデル都市を目指し、全国や世界に広げるとのことであります。
それでは、長野市の産業政策はどこを目指していくのか。長野市の戦略を再検討すべきではないか伺います。また、この戦略では、コールセンターなど都市型産業は、長野市への立地ニーズが高いと位置付けていますが、NTTコールセンターの現状は惨たんたるものです。もんぜんぷら座の改修費6億7,000万円ほか、補助7,000万円を投資しましたが、約束の400人の新規常用雇用で500人のにぎわいを新田町に生み出すどころか、議会質問のたび減って、現在は248人、正社員26人、契約社員187人、派遣社員35人と全くの契約違反であります。市のこれまでのNTTとの交渉、現状認識と今後の対応、また市の戦略のコールセンター立地可能性の検証が必要ですが、見解をお伺いいたします。
◎産業振興部長(小林隆之君)
続きまして、長野市産業集積・企業誘致戦略に掲げた達成目標の現状と費用対効果、今後の戦略推進の方向性についてお答えいたします。
戦略に基づいた事業を推進するため、平成21年度から現時点までに要してきた事業費の主なものとしましては、用地取得費や測量設計費、企業誘致活動に係る費用など、約7億4,000万円でございます。また、それにかかわる助成金など約2億7,000万円となっております。達成目標につきましては、現時点の達成率が20パーセントと考えられます。
企業誘致の費用対効果につきましては、経済波及効果はその業種によって異なるわけでございますが、投資額の
続きまして、みずほリポートに対する見解を申し上げます。
国際的な競争力が求められる中で、設備の高度化を図り、人件費の軽減を進めている今日においては、助成金などの支援策の充実と雇用の拡大が単純には一致しないものというふうに考えております。本市の戦略では、誘致した企業が市内の既存企業との取引増加や製品開発に結び付く業種を集積業種として指定しているものであります。
次に、健康寿命延伸都市の実現に向けた松本市の取組につきましてですが、信州大学医学部や医療系企業との連携など、地域の産業構造を生かした産業集積を目指していらっしゃるというものでございます。対象とする業種こそ違っておりますが、本市におきましても、信州大学工学部や長野高専、県工業技術総合センター等との連携によりまして集積を目指す、本市の戦略と共通点があるものというふうに考えておりますので、基本的には、今の戦略に基づいた産業振興を積極的に図ってまいりたいと考えております。
なお松本市では、これから計画を具体化していくということでございますが、本市として連携ができる分野につきましては、積極的にかかわっていきたいというふうに考えております。
次に、戦略に位置付けているコールセンターを立地する可能性について、お答えします。
戦略においては、情報サービス等の都市型産業を誘致するとしており、その一例としてIT技術を活用したコールセンター、それからバックオフィスの集積を考えているところでございます。これらの業種につきましては、本市への問い合わせが比較的多い業種となっております。また、来年の1月には、従業員約300人の事務処理センターが立地するということとなりますので、今後もこれら情報サービス関連企業の立地の可能性は高いものというふうに考えております。
◎都市整備部長(高見澤裕史君)
私から、まずNTTコールセンターの雇用要請などについてお答えいたします。
コールセンターの10月現在の雇用者数は248名でありましたが、11月末現在では、約300名の雇用者数となっていると確認しております。今後さらに、3月時点に約330名まで拡大する計画であると伺っております。この雇用者数の増加につきましては、新たな仕事が入ったことによるものではありますが、長野市との約束を踏まえ、社内的に調整する中で確保されたものでございます。
NTTとは定期的に会合を持ち、雇用状況と今後の拡大の見込みについて、その都度確認をしております。11月末には、私も現場の様子を改めて見せていただき、現在の状況をお聞きするとともに、雇用拡大への取組をお願いしたところであります。先方からは、常に当初の事業計画は意識しており、今後もこれに沿うよう努力してまいりますとの回答を頂いております。市といたしましても、今後も引き続きNTTに対して雇用の拡大を要望してまいる所存でございます。
次に、中心市街地活性化基本計画の事業評価方法の見直しも含め、基本計画の点検が必要ではとの御質問にお答えいたします。
市民ニーズ把握と情報公開についてですが、長野市中心市街地活性化基本計画の策定に当たっては、市長の諮問機関として基本計画策定委員会を設置し、市民ニーズを検討しつつ、計画策定を進め、その検討結果については、市のホームページに資料を掲載し、広く市民に周知するとともに、御意見を頂く中で基本計画を定めたところでございます。また、年度ごとのフォローアップにつきましても、ホームページで情報公開をし、市民の皆様に周知できるよう、最大限の努力をしているところであります。
続いて、事業評価につきましては、4つの数値目標の最新値を基に中心市街地活性化基本計画評価専門委員会の御意見を頂き、国で定めた5段階の評価方法により検証をしており、長野市だけで評価方法を変えることはできませんので、御理解をお願いいたします。
なお、個別の各事業の内容点検につきましては、庁内の幹事会で確認しながら、中心市街地活性化協議会や評価専門委員会の意見をお聴きする中で、必要に応じ手直し等を行っており、今後とも引き続き評価委員会の中で活発な議論をお願いしていきたいと考えております。
地域密着型公共事業への転換
◆小林義和
次に、地域密着型公共事業への転換についてであります。
政権交代で国民が期待した利権型政治の排除と財政の無駄遣いをなくして国民の生活と福祉の向上、安全・安心な環境をつくる政治が裏切られている中で、地方自治体は大型公共事業を見直し、地域の住民生活の安定と福祉の向上に寄与して、地域の中小企業の元気と雇用増につながっていく地域密着型公共事業への財源集中が求められていると思います。
そこでまず、住宅リフォーム助成制度の創設について伺います。
9月議会で、わが党阿部議員が秋田県の住宅リフォーム緊急支援事業を紹介し、長野市での実施を提案しました。秋田県は、住宅リフォーム工事費の10パーセント、上限20万円を助成し、工事費50万円以上で県内に本店を置く建設業者等の施工が対象で、県の予算額は13か月分で21億600万円で、今年度の経済波及効果は約512億円と試算しています。10月29日現在で、申請が1万1,697件、工事費は252億2,572万円、補助による効果は
1軒の仕事で、10業種の職人が入り、地元でお金が回る。じり貧だった県建設技能競技大会で、建築大工壮年の部で参加者が増えた。仕事があれば若い人は流出せず、後継者育成になる。業者の廃業も止まったと、効果絶大です。全国でこの事業を実施する自治体が増えていますが、市は耐震改修事業補助金などと併せて、実施についてどのように検討されているのか、お伺いをいたします。
次に、公共施設長寿命化修繕計画の促進、そして小規模工事の促進などについてお伺いをいたします。
道路、河川、上下水道、公営住宅、都市公園など、社会資本ストックが急速に老朽化する時代を迎え、長寿命化計画を策定し、点検から補修、更新に至る予防保全の計画的な実施等戦略的な維持管理が求められております。道路橋の予防保全に向けた有識者会議の提言では、地方の道路橋の定期点検は、市区町村の約83パーセントが未実施、長野市は道路橋の長寿命化修繕計画を策定していますが、道路橋の定期点検の実施状況、今後の修繕計画についてお伺いをいたします。
次に、住民参加の現地調査による道路事業関係の地元要望の実施状況は、平成15年度
次に、自転車道ネットワーク計画の促進、3人乗り自転車助成制度について伺います。
自転車が環境に優しい乗り物であることは論を待ちません。地球温暖化対策、健康増進、観光の面からも車優先の道路環境を自転車や歩行者の視点から見直すことが重要です。長野大通りのような自転車道の整備や幹線道路わきのカラーの自転車道設置など進めていますが、自転車道ネットワーク計画の状況、自転車道整備の方針についてお伺いをいたします。
昨年7月解禁の警察庁安全基準を満たし、転倒しにくい3人乗り自転車の販売台数が1年間で10万台を突破し、自転車メーカーもまちの自転車屋さんも元気です。全国の自治体で価格が高く、子育て世代の負担が大きい購入費の助成制度やレンタル事業が始まったからであります。
先ごろ新日本婦人の会長野支部も子育て中会員アンケートで、全員が補助を希望していたため、市に実施を要請しました。名古屋市では600台を購入し、月額1,000円でレンタルし、刈谷市では、上限4万円で購入費の半額補助を始めています。愛知県は半数の市が実施し、好評であります。長野市もレンタルか購入費補助を実施すべきだと思いますが、見解を伺います。
◎建設部長(倉澤孝君)
私から、住宅リフォーム助成制度の創設について、公共施設長寿命化修繕計画、現地調査による地域要望等小規模工事の促進について及び自転車道ネットワーク計画の促進についての3点についてお答えいたします。
最初に、住宅リフォーム助成制度の創設につきましては、現在、各自治体の取組状況を調査し、実施について検討しているところでございます。こうした中、助成制度は、全国で1県と約160の市町村で実施しており、中核市では、40市のうち実施が5、検討中は6、制度策定予定なしは29の状況で、また長野県内は4市町村が実施しております。
実施していない中核市の理由としては、国の補助制度を含め、現在の制度で充足している。個人資産の形成につながるためといったものが挙がっております。制度を実施している約160市町村は、比較的小さな自治体で予算規模や助成金額が少なく、その他多くの自治体は実施をしていない状況でございます。この制度は、緊急経済対策として補助金を交付し、住宅投資の波及効果による経済の活性化を目指すものであります。
経済動向の指標となる新設住宅着工戸数を見ると、全国の今年度10月末の累計は、昨年度比
したがいまして、住宅リフォーム制度の創設については、国の住宅版エコポイント制度の延長等による今後の経済の動向を見ながら、本市の経済状況を判断し、市独自の住宅リフォーム緊急支援制度の創設を検討してまいりたいと考えております。また、その場合には、現行の住宅耐震改修事業も併せ、耐震化率の向上にも寄与する制度としてまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、この制度につきましては、個人資産の形成に税金が使われることとなるため、慎重な対応が必要と考えております。
次に、公共施設長寿命化修繕計画についてお答えします。
本市では、平成12年度から橋りょう安全点検管理事業として、幅員4メートル以上かつ橋長10メートル以上の135橋を調査し、27橋について修繕が必要と判断し、現在までに15橋の修繕が完了しております。このような中、国では今後老朽化する道路の長寿命化修繕計画の策定に補助制度が創設されました。本市においても、平成24年度までに橋りょう長寿命化修繕計画を策定し、国へ提出することとし、本年度1,884橋の点検業務委託を発注しております。
今後、この計画に基づき最も効率的、効果的な修繕を計画的に実施することで、橋りょうに係る費用の縮減を図ってまいりたいと考えております。
次に、現地調査による地域要望等小規模工事の促進についてお答えします。
平成21年度の道路改良や側溝整備、舗装打換えなどに関する要望件数は2,335件、要望に対する実施件数は1,031件であり、実施率は
しかしながら、国の経済対策等を積極的に活用し、予算の確保に努めるとともに、ゼロ市債による工事の前倒しや次年度の早期着工への組み入れなど、できるだけ多くの地元要望にお答えするよう努力してまいりたいと考えております。
次に、歩道巻き込み部の段差解消工事の促進についてお答えします。
市では、すべての人が安全で安心して通行できる歩行空間の整備を目的に、歩道と車道の段差解消事業を進めております。平成21年度末までの既存歩道の段差解消箇所数は187か所ですが、その他区画整理事業、民間の開発行為等でも段差解消を行っており、市全体では441か所で実施しております。今後も優先順位を考慮しながら、官民一体となって可能な限り進ちょくを図ってまいりたいと考えております。
続きまして、自転車道ネットワーク計画の促進についてお答えします。
近年、自転車は環境負荷の低い交通手段として見直され、利用ニーズが高まっております。こうした中、長野市では平成14年に長野駅、篠ノ井駅及び松代地区周辺を対象に自転車交通総合ネットワーク整備計画を策定いたしました。自転車道の整備については、歩道と分離した自転車道を設置する手法のほか、車道のわきを着色して自転車レーンを設置する方法、自転車歩行者道で歩行者と自転車の通行を区分する方法などが採用されております。
現在、長野大通り線、長野運動公園西通り線、運動公園通り線などで自転車道が整備済みであり、今年度は上松吉田線==SBC通りで自転車レーンの整備を予定しております。現在、国、県、警察と連携し、新たな自転車道のネットワーク計画を作成中でございます。
今後は、この計画に基づいて順次、自転車利用の多いところから整備を進めまして、快適で安全・安心な道路の利用促進を図ってまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
◎保健福祉部長(戸井田一成君)
次に、3人乗り自転車助成制度についてお答えいたします。
本市における保育園、幼稚園への送迎方法について、昨年4月に調査したところ、自家用車が60パーセント、園バスが20パーセント、徒歩が12パーセント、自転車が8パーセントという状況でした。本市といたしましても、自動車から徒歩や自転車等による送迎を促進することで、市内保育園・幼稚園の送迎用駐車場不足問題の解決や地球環境への負荷低減を図ることができるのではないかと研究してまいりました。しかし、本市の地域特性として中山間地域が多く、自転車利用は平たん地に限られること、また冬期には、積雪や路面の凍結により自転車の通年利用が難しいことなど課題もございます。
こうした状況から、3人乗り自転車の購入補助やレンタル制度を導入した場合は、利用できる方が限られるという問題点があります。このため、更なる研究が必要と考えておりますので、今後も市民要望の把握をするとともに、3人乗り自転車の普及状況や他都市の状況などを調査してまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
元気な商店街づくり、中心市街地の活性化基本計画・市街地再開発事業の見直しについて
◆小林義和
次に、元気な商店街づくり、中心市街地の活性化基本計画・市街地再開発事業の見直しについて伺います。
権堂B1地区市街地再開発事業は、総事業費369億円という中心市街地活性化基本計画に市民会館建設で急きょ追加された事業でした。しかし、追加事業はもんぜんぷら座活用事業のNTTコールセンターが雇用もにぎわいもつくらずに失敗したのは先ほど言いました。新田町地区優良建築物等整備事業も施工者の経済破たんで廃止し、広大な空き地が残った。長野駅前市街地再開発事業も駅前ホテルが移転入居で、駅前に巨大な空き家が残った。権堂地区再開発は迷走の果て今、白紙。
この基本計画は、総理大臣の認定で国への権限の集中支援で成り立っていますが、8名の評価専門委員が計画の検証を行っています。真に地元のニーズを把握しているのか、計画の評価が甘くないか、情報公開が不十分でないか、事業評価方法の見直しも含めて、中心市街地活性化基本計画の厳しい点検が必要ですが、見解をお伺いいたします。
次に、市街地再開発事業は、全国で商業施設が撤退し、またまちなか居住をねらったマンションも撤退、最後は公共施設だと撤退した商業棟に市民要望も少ない市民交流施設なるものを入れたり、最近は、もう最初から公共ホール、音楽堂、図書館、美術館、駐車場、挙げ句の果て市役所そのものを入れる計画が出てきています。しかし、膨大な税金投入であって、全国各地で計画が見直されております。
権堂地区市街地再開発事業への文化交流施設建設も市民団体の世論調査では
◎都市整備部長(高見澤裕史君)
次に、権堂B1地区の再開発事業の見直しについて、来年6月までの結論は拙速ではないかとの御質問にお答えいたします。
今の権堂地区は空き店舗が目立ち、人通りも少なくなるなど、活気に乏しい状況で、まち全体の活性化に向けた官民協働の取組が急務となっています。そのような中、権堂B1地区の再開発計画は、まちの一つの再生手法、また先導的事業として計画され、動き出したものでございますが、このたびの市民会館建設地の見直しにより、改めて事業計画を練り直すこととなりました。
このため、まずは中心市街地活性化の中での権堂地区の位置付けを明確にし、官民の役割分担を検討しつつ、権堂地区全体の再生計画について見直したいと思っております。その上で、権堂B1地区の新たな再開発計画を立案し、事業を進めていきたいと考えております。
検討に当たっては、地域に根ざした歴史や文化の検証も含め、課題の整理や現状分析をまず行うとともに、地元商店街の皆様だけではなく、若者や商店街利用者などにも幅広く参加してもらい、どうしたら市民ニーズに合った商店街として再生できるか、地元が中心となり、改革、再生の手だてを導き出していただきたいと思っております。
なお、この検討には十分な時間をかけるべきだと考えており、一つの目安としている来年6月までに必ず結論を出さねばならないというものではありませんが、再開発を継続するに当たり、余り長い検討期間では権利者等の意欲や協力体制が失われることにもつながりかねません。
いずれにせよ、今後、地元関係者や議会の皆様とも相談しながら進めてまいります。
以上でございます。
◆小林義和
では、どうしたら商店街は元気になるか、全国に先進事例は豊富です。熊本市健軍商店街は買い物客の荷物を預かり、自宅まで宅配するサービスを行い、山形県新庄市新庄南本町商店街から始まった各店が100円の品物を店舗前で販売する100円商店街は全国に波及しています。函館、札幌、伊丹、飯田などの飲食店は5枚セットのチケットを販売し、1軒1枚で飲み物1杯と1品食べられ、5軒の飲食店を回れる。長野民主商工会も権堂で取り組み、好評です。また、空き店舗に子育て支援や高齢者の憩いのスペース、市役所の出張所を置いて、コミュニティ再生を図る商店街、市街地再開発に失敗したが、商店街がB級グルメで再生した例もあります。
権堂には、日本一古い芝居小屋と言われる映画館、広場、各商店の古い看板に閉店した銀行の洋風建物、昭和初期洋風建築の医院、秋葉神社、国定忠治など権堂ならではの資源が豊富です。歴史と文化、観光のまちで再生した例は全国で増えています。商店街再生は市街地再開発ビルと公共施設ではなく、地元商店の英知や市民のまちに寄せる思いを引き出すことが大事です。見解を伺います。
◎産業振興部長(小林隆之君)
続きまして、商店街の再生についての御質問についてお答えします。
中心市街地の商店街では、善光寺花回廊など様々なイベントを実施し、集客によるにぎわいの創出を各商店の売上げに結び付ける取組を行っております。本年9月におきましては、市内で初めて実施されました100円笑店街、これは約70の商店が参加し、大勢の買い物客でにぎわいました。
また、株式会社まちづくり長野が経営するとまと食品館におきましては、店頭で購入した商品を市内全域に無料で配達するというサービスの実験事業を行っております。この仕組みを中心市街地の商店街にも拡大して取り扱う商品をオンラインで発注、配送依頼が行える仕組みの構築に向けた検討を現在、進めているところであります。
各商店街は、それぞれが創意工夫を凝らした活動を展開しておりまして、大勢の市民の皆様が商店街を訪れ、魅力ある商店街の再生につながるよう、引き続き市としても支援してまいりたいというふうに考えております。
私からは以上でございます。
広域連合ごみ焼却施設の規模と灰溶融施設について
◆小林義和
最後に、広域連合ごみ焼却施設の規模と灰溶融施設について伺います。
改定ごみ処理広域化基本計画案は、疑問の山です。
第1は、ごみ量予測の問題。平成37年度の推計を
第2は、灰溶融施設であります。現計画の溶融スラグ50パーセント有効利用は不可能と認めながら、展望もなく今後も溶融スラグの再生利用や民間による資源化等を図るとし、灰溶融施設を必要とすると。一体、焼却炉と灰溶融炉の建設費はそれぞれ幾らなのか。灰溶融施設は過大なエネルギーをかけるが、技術が未成熟で全国で事故が多発し、修繕費等ランニングコスト膨大である、この点は認識をしているのか。
第3に、建設地の環境保全目標や公害防止計画値の設定の問題ですが、計画は高効率発電及び熱利用による効率の良いエネルギー回収施設を設置するが、専門家は高効率発電を行うためには、厳しい公害防止計画値の設定により窒素酸化物を除去するための排ガスの再加熱が必要だが、コストがかかり過ぎるなどと指摘していました。これは高効率発電のため、環境保全目標を切り下げるということなのか、明快な答弁を求めます。
この施設計画案は、地域住民の安全軽視の計画であります。環境アセスの説明と同様に地域住民に説明し、納得と合意を得なければなりません。私どもは施設規模の縮小と灰溶融施設の中止など、計画の再検討を求めますが、見解をお伺いいたします。
以上で質問を終わります。
◎環境部長(水野守也君)
私からは、長野広域連合のごみ焼却施設についてお答えを申し上げます。
まず、1点目、ごみ量予測などについての御質問を頂きましたが、長野広域連合が見直しを行っておりますごみ処理広域化基本計画案の施設規模は、稼働目標でございます平成26年度のごみ量予測により算定し、可燃ごみのほか不燃ごみ等から排出される残さを見込んでおります。また、補修、点検等により炉を停止する期間を勘案いたしまして、日量約510トンが通常の処理に必要な規模となります。
次に、災害ごみにつきましては、基本計画検討委員会及び専門委員会におきまして、台風や豪雨災害等の緊急対応についても協議され、過去の被害状況などから算定したものでございます。
広域連合では、本市を含め家庭ごみ有料化実施後間もないこと、高齢者世帯の増加によりごみ量が増加する可能性など、不確定な要素もあることから、総合的に検討いたしまして、当面日量550トンの施設規模とし、発注段階で再度精査して決定するとしております。
また、計画案には新たなごみ減量目標は設定されてはおりませんけれども、今後も減少傾向が維持できるように努めることが明記されまして、関係市町村に一層の取組が求められておりますことから、本市といたしましては、更なるごみの減量、資源化に努力してまいる所存であり、他市町村においても同様であると受け止めております。
次に、2点目、灰溶融施設についてのお尋ねでございます。
灰溶融施設は、ダイオキシン類等の排出低減、最終処分量の縮減、資源化率の向上等に効果があるとして計画されているところでございます。また、スラグにつきましては、関係市町村で積極的利用に努めますとともに、国、県などへも働き掛け、また近年焼却灰や飛灰の資源化の可能性が広まりつつあることから、民間による焼却灰等の資源化の検討も進めることとされております。
灰溶融施設の安全性及びランニングコストにつきましては、広域連合でも現状を把握しておりますけれども、それぞれの事故や故障の原因は究明され、安全対策や施設の改良等によりまして、確実に安全性は高まっておりまして、平成21年度末現在でございますが、全国で200を超える灰溶融施設が稼働している状況を踏まえますと、安全性やコスト面の改善は図られていると考えております。
次に、ごみ焼却施設の建設費でございますけれども、広域連合では焼却炉と灰溶融炉を一体の施設として整備するということで、現計画では約243億円と算出されておりますけれども、個々での算出はしてございません。
3点目、高効率発電と環境保全目標の関係でございますけれども、この両者については、両立は技術的に可能でございまして、環境保全目標の切下げは考えておりません。最優先の基本方針でございます環境に優しい施設に向けて検討されると受け止めてございます。
最後に、計画案の説明についてでございますが、本計画は広域圏内全体の基本的な考え方や方針であることから、広く民意を反映するために広域圏内全体を対象に、パブリックコメントを実施して最終案がまとめられることになります。
また、施設建設に当たりましては、候補地の住民の皆様に御理解いただくことは大変重要なことでございますので、広域連合では環境影響評価の手続の中で、十分関係する皆様の御意見をお聴きしまして、整備計画に反映させていくとお聞きをしてございます。
以上申し上げましたように、様々な状況に対応できる観点からも今回の見直しをしております計画案によります施設規模、あるいは施設内容に基づいて進めることが適当であると、私どもは考えてございます。
以上でございます。