2010年9月定例市議会 原田のぶゆき議員討論
郵政民営化の更なる推進を求める請願に反対の立場からの討論
29番、日本共産党長野市議団の原田誠之です。
総務委員会委員長報告の請願第17号郵政民営化の更なる推進を求める請願に反対の立場から討論します。
郵政民営化の更なる推進を求める請願は、自公政権当時、小泉内閣が国民世論の反対を押し切り、がむしゃらに通したものを、本請願では更に推進を求めるものであります。
紹介議員である公明党委員の推進の弁を受け、様々な角度からの審査の上で、委員会採決の際、委員長以外5対4というきん差で可決され、国に意見書を提出しようというものであります。
この請願では、廃案となった郵政改革法案に文句を付けながら、民営化の更なる推進を求めています。
そもそも、改革案そのものにも大きな問題が含まれていました。それは郵政の株式化を維持し、ゆうちょ銀行の預入限度額とかんぽ生命の保険金上限を大幅に引き上げ、日本郵政の下に窓口業務などを担当する郵便局会社、郵便、ゆうちょ、かんぽの4社を置く体制から、日本郵政、郵便局、郵便の3社を統合し、その下にゆうちょ、かんぽを置く体制に再編、ゆうちょ、かんぽの全株を売却する現行方針を改め、親会社が3分の1超の株を保有しようとするものであります。
自公政権が構造改革の本丸として、ごり押しをした郵政民営化は、国民サービスの後退で破たんが明白になっております。ゆうちょのカード事業との提携で巨額の利益をむさぼったのは、三井住友グループであり、かんぽの宿のたたき売りで、ぬれ手でアワの大もうけを上げたのは、官から民への改革の旗振り役であった会長を務めるオリックスグループでありました。
国民共有の財産を食い物にした、新たな利権と腐敗の実態が次々と明るみに出たことは周知のとおりです。会社化によって、効率良く利潤追求ではなく、公共の福祉の増進を目的に郵政事業の再生を目指さなければなりません。
ところが、万が一にも国民の利益に支障が生じないようにするという政府の約束が、完全に踏みにじられていることです。簡易局閉鎖、ATM==現金自動預払機の撤去、手数料引上げ、時間外窓口の閉鎖、集配局の統廃合など、住民の命綱となってきたサービスの後退は深刻で、取り分け高齢者からは、農協が統廃合でなくなり、郵便局まで遠のき、預けにくい、下ろしに行けないという不便の声が殺到しました。
国民の暮らしを支える事業から、経営効率を高めることや資金の自由な運用など、利益最優先の経営へと変質を図った郵政民営化の行き着くところとなってしまいました。過疎地や離島でも、いつでも、だれでも生活に不可欠な郵便局のサービスを低料金で利用できるユニバーサルサービスの保障が改めて求められているのであります。
そのために必要なことは、利潤の追求ではなく、公共の福祉の推進を郵政事業の目的としてはっきりさせる方向への改革であります。株式会社化を維持する改革案の方向では、利益を増やして、株価の引上げを求める多数の株主の圧力から逃れられません。
また、郵政民営化により正規労働者は減り、月10万円というワーキングプア、21万人も非正規労働者が働いております。正規に戻せと国会でも大きな問題となり、当時の関係大臣は善処を約束していました。民営化による利益の追求で、労働者初め弱者に対するサービス後退のひどい中、更に民営化推進を求めるなど、とんでもない話であります。
郵政事業については、利潤の追求ではなく、公共の福祉の増進を事業の目的としてはっきりさせることが必要です。郵便、貯金、決済、保険など、全国2万4,000余の郵便局ネットワークによって提供されている生活に不可欠なサービスを、全国一律で保障する公的事業として再生することを目的とするものに改めていかなければなりません。
経営形態は、政府案でいう株式会社化した上での3分社化ではなく、3事業一体で運営する体制にしなければなりません。貯金、保険の限度額引上げも利益優先の株式会社化と一体の関係であり、事業を一層利潤追求に駆り立てる危険があります。利益優先、民営化に終止符を打ち、公共の福祉の増進を目的として、郵政事業を名実ともに国民サービスを守る公的な事業体として再生することこそ求められております。
にもかかわらず、本請願の紹介議員となった公明党の議員が積極的に郵政事業の更なる民営化の推進を求めていることは、高齢者初め離島、山間地など弱者のサービスを後退させ、郵政で働いている労働者の労働条件を悪化させるものであります。
以上を申し上げ、議員各位の御賛同をお願いし、郵政民営化の更なる推進を求める請願に対する総務委員会委員長報告に反対の討論を終わります。