2010年6月定例市議会 原田のぶゆき議員
鷲澤市長の政治姿勢について
浅川ダム建設問題について
市役所第一庁舎・長野市民会館の建て替えについて
都市内分権の推進について
国民健康保険制度について
福祉行政について
人権同和対策について
教育行政について
鷲澤市長の政治姿勢について
29番、日本共産党長野市議団の原田誠之です。
初めに、鷲澤市長の政治姿勢についてです。
まず、普天間基地問題について伺います。
移設は国外、最低でも県外と公約した鳩山前首相が沖縄の人々を裏切り、退陣に追い込まれた問題です。基地周辺には住宅が密集し、保育園、小・中学校、高校、大学などがあり、そこから日々、イラクやアフガニスタンなどに飛び立つ戦闘機のごう音は子供たちの鼓膜を痛め、9割が難聴と言われ、少女暴行事件、飲酒運転によるひき逃げ事件など、後を絶ちません。
鳩山首相は、抑止力のじゅ縛で米軍は沖縄を守ってくれると錯覚していました。米軍は侵略力、戦争力で世界で一番危険な基地であり、住民にとっては、安全が脅かされる存在であり、沖縄県民の84%が無条件撤去を切望しています。やるべきことは、無条件撤去をアメリカに伝えることです。
我が党の志位委員長はワシントンに行き、米政府高官と会談し、無条件撤去をじかに伝えました。高官は、立場は違うが、意見交換は民主主義の基本であり、これからも会談を続けましょうとなり、沖縄の人たちを励ましました。
市長は、沖縄や徳之島の人々の思いや長野市の平和都市宣言の立場からどう受け止めたか、見解を伺います。
◎市長(鷲澤正一君)
原田誠之議員さんの質問にお答えをいたします。
普天間基地の問題に関する私の受け止めはとのことでありますが、普天間基地の問題に関しましては、世界情勢や日米安全保障体制、沖縄県の負担の問題など多くのことを議論、検討していかなければならない課題であり、それだけに長い間懸案となってきたものであります。
確かに、米軍基地が沖縄県に集中している状況は認識しておりますが、やはり外交、防衛など国際社会における国家としての存立にかかわる役割を果たすべきは政府でありますので、政府が責任を持って解決していただきたいと考えております。
今回の普天間を巡る一連の議論によって、日米安保は大切だということを国民世論に植え付けたというか、一定の方向性を与えたというものとして、私は評価をしております。
以上です。
沖縄の人たちの7割は、安保条約はもう検討してもらいたいというふうに言っております。沖縄の41市町村長全員が撤去の立場を表明しております。市長も連帯の気持ちを表明してほしいものであります。
浅川ダム建設問題について
次に、浅川ダム建設問題について伺います。
市長選での地元紙の市民世論調査では、
◎市長(鷲澤正一君)
浅川ダムについては、様々な御意見をお持ちの方々がおられるということは承知をしております。しかし、県ではこれまでも住民の皆様を交え、平成13年2月の浅川治水事業の休止以降、6年もの歳月をかけ、ダムによらない案を含め様々な治水対策が検討され、県議会でも議論が尽くされた上で、最終的に治水専用ダムと河川改修を組み合わせた対策を進めることが最も望ましいとの判断に至ったと認識しております。
また、昨年度、県では浅川の河川整備計画に基づき、浅川ダム建設の事務手続を進め、6月県議会でダム建設が承認されるとともに、国の今年度予算も認められ、ダム本体工事に着手しました。
このように、私としては住民参加の下、適正な手続を踏んで進めてきた事業であると考えており、市民の生命、財産を守る立場にある市長として、今後とも、ダムを初め内水対策を含めた浅川全体の治水対策が計画どおり進むよう求めていきたいと考えております。
以上です。
ダム要らないの声はますます広がる一方です。取り分け、下流住民の中止を求める思いは強まる一方であることを申し上げておきます。
次に、地滑り地におけるダム建設の教訓を酌み取ることについてです。
村井知事は、住民の声に耳をかさず、長野市長の要望があるから造るとし、2月の県議会で本体工事費52億円で発注し、着工を急いでいます。このうち10億円は地滑り対策費で、さらにダム建設に伴う周辺の地滑り対策費は30億円、締めて82億円のうち40億円、約半分が地滑り対策費と県当局は説明しています。危険な地滑り地に造ることは明らかです。
奈良県大滝ダムでは、完成後に水を入れたら地滑りが連続し、当初230億円が6回も増額で、3,640億円と15倍に膨れ上がり、いまだに使えない状態です。秩父市の滝沢ダムを初め全国には同様のダムが幾つもあります。浅川ダムの建設予定地は、典型的な地滑り地帯であり、二の舞になるのではと、流域住民は不安を抱いています。
建設を積極的に求め続けた市長の責任は、極めて重大です。市長は大滝ダムから教訓を酌み取り、住民の命や財産を守るために、浅川ダムの建設中止を選択するべきです。見解を伺います。
◎市長(鷲澤正一君)
浅川ダムの建設中止を選択すべきとの御提案でございますが、県では浅川ダム建設における地滑り対策について、これまで十分な調査を行い、貯水の影響等を考慮して必要な計画を策定し、万全な対策工事を実施するとしております。
したがって、県の対策を信頼し、現在進めている浅川ダム本体工事の中止を求める考えはなく、浅川全体の治水対策が早期に完成し、安全で安心して暮らせる地域が一日も早く実現するよう、県に求めていきたいと考えております。
代々住み続けてきた集落は、地滑りで使えずに集団移転しました。この大滝ダムの現地視察をするべきじゃないか、市長に伺っておきます。
◎市長(鷲澤正一君)
浅川ダムに関しましては、既に私も、例の田中前知事がやめるとおっしゃった後のいろんな検討委員会の中で、あそこを実際に見ております。その上で申し上げられることは、私は技術屋ではありませんので、分かりません。当然、分かりませんよ。
(「大滝ダム」と呼ぶ者あり)
◎市長(鷲澤正一君)
大滝ダム、それはますます私、分からない。これは、基本的にはプロの仕事ですよ。私は、素人がいろいろ口を出すような話ではないというふうに思っています。
以上です。
とにかく大滝ダムに行ってですね、実際に検証してもらいたいというふうに思います。
改めて危険で無駄なダム建設の中止こそ、賢明な判断だということを指摘しておきます。
市役所第一庁舎・長野市民会館の建て替えについて
次に、市役所第一庁舎・長野市民会館の建て替えについて伺います。
まず、市民的合意についてであります。
成人学校の受講料や緊急通報システム設置の有料化、老人憩の家の値上げ、水道料の値上げなど市民に負担を強いながら、借金までして新しく建て替えは理解できない。格差と貧困が際立ち、暮らしが大変なとき、人を大切にする市政を求める強い声があります。
このような市民の声にこたえることなしに、わずか4か月で建て替えの基本構想を決めてしまいました。合併特例債先にあり、建て替え先にありで、市民の納得なしでの強行は、横暴の何物でもありません。政治家としての資質を問われます。市長に見解を伺います。
◎市長(鷲澤正一君)
両施設の在り方につきましては、昨年4月に発表した建て替えとする市の基本的方針を初め、11月には市民会議を開催するなど、多くの市民意見、議会での論議、また市民会館建設検討委員会の提言を基に、本年1月、基本構想案を策定したものであります。
この基本構想案は、市ホームページや愛テレビながのの活用を初め、2月には概要版の全戸配布や住民自治協議会、区長会、文化芸術団体や福祉団体などに御説明し、改めて多くの御意見を頂いたものであります。最終的には、議員の皆様に基本構想案を御説明し、御見解を頂きました。
このように両施設につきましては、様々な手法により可能な限り多くの皆様に市の考え方をお示しし、御意見を頂いた上で決定したものであり、御質問のように、市民の納得なしで強行に決定したものではございません。
なお、両施設の基本構想は、各住民自治協議会の総会の場などをおかりし、引き続き市民の皆様に御説明しており、頂いた御意見は、今後策定する基本計画に反映してまいりたいと考えております。
以上です。
我が党市議団は、免震工法など耐震改修、耐震補強なら寿命も延びるし、財政的にも節約できることを提案し、壊さずに使い続けることを言い続けてきました。改めて、建て替えることが前提の基本構想の大幅な見直しを求めます。
次に、市街地再開発と事業費についてであります。
開発にかかわる関係者の了解は得られたとのことですが、市街地再開発予定地の用地取得はこれからであります。進ちょくの動向次第で、予定されている事業費は更に大幅に伸び、二つの事業で200億円にもなるのではと言われています。また、イトーヨーカドーの存続の見通し、一年間の休業による市民や権堂商店街への影響はどうか、財政問題、建設にかかわる情報など、広く市民への情報を提供するべきであります。
また建て替えるかどうか、今でも多様な意見がありますので、広く市民の声を聴取する立場から、住民投票も視野に入れた取組で市民的合意を図ることを求めますが、見解を伺います。
◎都市整備部長(高見澤裕史君)
私から、権堂B1地区市街地再開発事業に関し、各種の情報を広く市民に提供するべきではないかとの御質問にお答えをいたします。
現在、市民会館建設を含む権堂B1地区市街地再開発事業につきましては、都市計画決定に向けた手続を進めております。併せて、事業主体となる再開発組合設立に向けまして、関係権利者の合意形成や主たる商業テナントを予定している株式会社イトーヨーカ堂との交渉を準備組合が中心になって進めているところであります。
都市計画決定の手続につきましては、素案の閲覧や地元説明会を行い、広く意見を求めてまいりました。特に、周辺地区の皆様からは、生活環境に配慮した建物計画やイトーヨーカドーの存続に関する御意見等を頂きましたが、全体としては、事業の推進に御理解をいただいているところであります。
また、関係権利者との合意形成につきましては、準備組合で個別相談会を設けて、個々の資産の評価方法や生活再建策を含む今後の進め方について御説明をし、事業に対する基本的な御理解は大方得られたところであります。
株式会社イトーヨーカ堂との交渉についても、準備組合、長野市及び長野電鉄の3者で営業継続を前提に交渉を進めているところで、店舗規模や休業期間などが交渉のポイントとなっております。
このように再開発事業については、計画そのものがまだ確定しておらず、多くの点で交渉中若しくは調査・検討段階であり、この時点で不確かな情報を開示することは、かえって誤解や混乱を招くおそれがあり、事業の進展に支障を来すこととなります。
今後、計画が固まり次第、再開発の全体事業費を含めた情報の公開に努めてまいりますので、御理解をお願いいたします。
以上でございます。
◎総務部長(鈴木栄一君)
私からは、住民投票も視野に入れた取組で、市民的合意を図るべきとのことについての御質問にお答えをいたします。
市民合意を得る方法といたしましては、一般的には選挙による審判、議会の議決を得る、住民投票を実施する、市民の署名を集めるなどが考えられます。
第一庁舎及び市民会館については、市の文化芸術振興の在り方、地方分権を見据えた都市像など将来的なまちづくり、財政運営など、様々な要素を総合的に検討し、判断すべき課題であります。そのため、単に賛否の数を問う住民投票やアンケート調査ではなく、市の考え方をお示しし、市民意見や要望をお聴きする市民意見公募、いわゆるパブリックコメントの手法が適していると判断し、実施をしてまいりました。また、住民投票については、その実施後において、社会情勢の変化や計画変更に直ちに対応できないといった欠点もあるわけであります。
なお、両施設の建て替えにつきましては、さきの3月市議会定例会において、建て替えに関する測量や地盤調査経費などの予算について、38万市民の代表である議会の議決をいただいておりますので、いわゆる市民合意は得ているものと判断をしております。
以上であります。
事業費の大幅な伸びや市民的合意については、大変心配であります。改めて住民投票にふさわしい対応を求めておきます。
納得できませんが、関連して市民会館建設と権堂の活性化についてであります。
年間10万人が集客し、権堂へとお客さんが流れ、活性化するという根拠は、ホクト文化ホール周辺を見ても明らかなように、実に乏しいものがあります。ホクト文化ホールの集客と周辺の活性化、まちづくりなどについても検証が必要ではないか、見解を伺います。
◎都市整備部長(高見澤裕史君)
市民会館建設に当たり、ホクト文化ホールの集客と周辺の活性化、まちづくりについて検証するべきではないかとの御質問にお答えをいたします。
議員さん御指摘のとおり、文化施設等に訪れる人は本来買い物客ではないため、文化施設の建設が直接まちの活性化につながるものではございません。しかし、立地条件を生かし、施設づくりを工夫し、訪れた人を有効に次の商業施設等に誘導することができれば、滞留時間も長くなり、回遊性の向上が見込まれます。
若里のホクト文化ホールの立地状況を見ますと、公共交通機関が不足しており、近隣の商店街とも少し離れております。また、ホクト文化ホールには練習室などがなく、イベントのないときにも常に人が訪れる場とはなっておらず、多くの方が車で訪れ、催し物が終わるとすぐに帰ってしまう状況が見受けられます。
しかし近年、チラシ、ポスターを置いたり、チケットあっせんなども行うなど、長野駅東口商店街との連携を図る動きもございます。また、熊本市などでは、商店街と連携して会館利用者に対し割引サービスをしたり、周辺商店街のマップを公開し、会館利用者が商業施設に立ち寄るなど、相乗効果が生まれている事例もございます。
市民会館の建設は、文化活動によるエネルギーがまちの魅力を高め、多くの市民が集い、触れ合う交流拠点として、まちに人々が訪れるきっかけを創出するものであります。市民会館をいかにまちの活性化につなげていくかについて、再開発事業と併せて権堂商店街と共に検討をしていきたいと考えております。
以上でございます。
言われるとおり、大変不安があります。音楽、演劇を鑑賞し、芸術文化の薫る施設に集まるお客さんをにぎわいにつなげるには、なじまないと考えます。市街地再開発による市民会館の建設中止を求めておきます。
都市内分権の推進について
次に、都市内分権の推進について伺います。
まず、支所の支援機能の充実についてであります。
自治協は、どこでも膨大な事業が意欲的に展開されています。連絡通知、活動の方針やまとめの整理など、自治協の活動のすべてを人件費分100万円で、財政の許す範囲でパート職員を雇用し、実務を行っています。もちろん地区活動支援担当で派遣されている支所長さん初め、職員の全面的な協力もあります。
しかし、職員には支所の窓口業務や市民からの様々な相談など多忙な業務が山ほどあり、支所職員の負担が心配です。また、中山間地域だけでなく、市街地にも超高齢化の団地や公営住宅団地で役員を選出するにも一苦労で、行政運営困難地区が幾つもあります。特別の人的支援が求められています。
そこで、支所の支援機能の充実の一環として、自治協事務局の強化や行政運営困難地区支援のため地区活動支援担当職員の増員など、充実を求めますが、見解を伺います。
続いて、自治協の活動拠点の充実について伺います。
自治協本部に関係する会議は毎週1回、毎月1回、さらに各部会の会議、さらに成人学校や地域住民の集会や学習会など、連日、住民自治活動のよりどころ、居場所として支所、公民館施設は競い合って使用され、住民自治活動が本物になっています。積極的に多くの住民に依拠しながら、自主的、自立的に活動を繰り広げ、明るいまちづくりのために汗して頑張っているとき、居場所不足ではやる気がそがれてしまいます。
庁舎や市民会館に投資する前に、自治協活動の拠点施設が必要です。地域住民のやる気にこたえる対応こそが行政のやるべきことではないでしょうか。また、来年度から合併4支所の宿日直の廃止計画により、自治協が使用していた会議場所が使えなくなるなど、活動に支障を来すことが懸念されます。地元の要望にこたえる対応を求めますが、見解を伺います。
◎地域振興部長(篠原邦彦君)
お答えいたします。
初めに、地区活動支援担当職員の増員についてでございますが、現在、32地区すべての住民自治協議会において、一括交付金として交付させていただく地域いきいき運営交付金の中に、100万円の人件費を加算し、事務局職員を雇用いただいております。
事務局職員の勤務形態等は地区ごとに異なっておりますが、まずは従来、支所職員が担っていた各種団体の会計出納事務の移行を重点的に進めているところでありまして、この点では、支所業務の一部が軽減されたものと考えております。
今年度から本格稼働する住民自治協議会の活動が定着、充実していくためには、当面の間は、地区活動支援担当である支所長を初め支所が中心となって適切に支援していく必要があることは十分認識をしておりますが、職員の増員は、一方で行政改革を推進する市の方向性に逆行するものでありまして、慎重に対応する必要があるものと考えております。市民の皆様の御理解、御協力を得ながら都市内分権を進めていく上で、より小さな行政体を目指すことが責務であり、新たな財政需要を生じさせることがないよう、市民の皆さんのお考えも十分にお聴きをしながら、検討してまいりたいと考えております。
次に、住民自治協議会の活動拠点についてでありますが、住民自治協議会に対する支援の一環として、市では市有施設を原則として活動拠点の確保に努めてまいりました。現時点では、施設の状況等により、面積等に多少の差はあるものの、全地区で活動拠点が確保されており、事務局職員が雇用されております。活動拠点の確保に当たっては、原則として新たな財政支出を伴わないこととしており、それぞれの地区の実情に応じて支所あるいは公民館に活動拠点を設置しております。
なお、都市内分権の推進も、庁舎や市民会館の建設も、共に本市の将来にとって重要な施策であり、どちらが優先といった議論は適当ではないと考えます。
合併4支所の宿日直の見直しは、合併による格差是正を目的の一つとするものであります。支所に活動拠点を置くほかの地区においても、支所は貸館業務を行っていないことから、夜間、休日の会議室の利用については、まずは公民館を利用していただいているのが現状でありまして、合併4地区においても、宿日直の廃止によって活動に支障を来すことは少ないものと考えております。
したがいまして、合併4支所においても、他地区との公平性の観点を踏まえた上で、住民の皆様の御意見を頂きながら、住民の皆様にとって、活動しやすい会議室の確保について創意工夫をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
自治協の活動の実態調査などもしていただいてですね、十分やる気の出るような施設づくりをしてもらいたいと思います。
次に、地域やる気支援補助金についてであります。
今年度、32自治協のうち18地区で32事業が申し込まれ、選考の結果、14地区16事業が選ばれました。目的にふさわしい提案が採択され、意欲的に住民自治活動を進めることは自治の向上と活動の活性化、地区課題の解決のために生かされますが、同時に準備不足の自治協は後景に追いやられる心配があります。これをもって、自治協の自己責任とすることにはなりません。
そこで、自治協が自ら企画、提案できるような主体性を育てる支援が必要です。今回の教訓を生かし、32自治協のすべてが住民に依拠したやる気のある自治協になるよう改善を求めます。また、評価の高かった100周年記念事業で行われた人口割と一律による補助制度の方法も一考です。見解を伺います。
◎地域振興部長(篠原邦彦君)
地域やる気支援補助金につきましては、三つの住民自治協議会への財政的支援の一つとして制度化したもので、対象主体となる住民自治協議会に対する説明や地区説明会を通じて周知を図ってまいったものでありますが、18地区から32事業と、多くの御応募をいただきました。本年度の予算が1,000万円でありましたことから、公開選考委員会を開催し、結果として14地区の16事業が採択となり、既に過半数の地区では、補助金の交付を受けて事業に着手をしております。
一方、残る4地区の16事業につきましては、選考に至らなかったわけでありますが、選考の中では、補助金が得られなかった場合を問われて、その場合もできる範囲で事業を行うと回答されるなど、地区としての強い意気込みが感じられた次第でございます。
本年度の補助金の採択率は、地区的には8割弱、事業的には5割といった状況ですが、継続して2年目までの応募が可能としておりますことから、来年度は更なる応募が想定されます。税金の有効活用という観点からは、より優れた事業から対象とする競争原理も必要でありますが、過度の選考により、地域のやる気がうせないような配意も必要であると考えております。
予算総額を含め、どのようにバランスをとるかは、本年度の採択事業の進ちょく状況や費用対効果などの検証、不採択の地区における取組状況などを取りまとめ、その集約結果を基に来年度に向けて検討してまいりたいと考えております。
御提案の市制100周年記念事業の補助制度につきましては、均等割と世帯割から算出された金額をすべての地区に交付したものでございますが、メモリアル事業として喜びを分かち合う場合にはふさわしいものの、本事業のような継続的な事業に適用させることは適切ではないと考えております。
以上でございます。
自治協の持ち味生かした援助を求めておきます。
次に、自治基本条例についてであります。
長野市都市内分権第一期計画では、自治の在り方を定める指針として自治基本条例の制定を目指すことを基本方針としていました。その後の地区代表者会議では、市民との協議を経ながら、将来集大成として自治基本条例を整備するとしていますが、各地域の自治協の掲げている基本方針を見れば、立派に自治の精神がうたい込まれています。住民と行政の協働、住民の福祉を増進する、中長期的に地区の理想の将来展望を見据えた事業計画を策定するなど、自治への思いと当面の事業と将来の展望まで示しています。
各自治協は、う余曲折はあっても前に向いた活動が始まり、住民自治活動は成熟しつつあります。このようなとき、市の最高規範である自治基本条例で、長野市における住民自治の在り方について全市民が認識を共有できるように、また住民の権利と義務、自治に関する基本を分かりやすく定め、自治協が地域づくり、まちづくりの指針に生かされるよう、また都市内分権や住民自治について、市民には周知徹底が不十分です。条例制定は、市民への周知には大きな力となります。速やかに条例作成の検討に入ることを求めますが、見解を伺います。
◎地域振興部長(篠原邦彦君)
お答えいたします。
自治基本条例の制定は、市政への住民参加や協働のまちづくりなどへの市民の関心が高まり、新たな仕組みづくりへの盛り上がりが欠かせないものと考えておりますが、その機運となる理由の一つに、平成11年の政府通達により推進された平成の大合併に伴い、市域が広域化する中で、旧市町村の住民が自らの地区としての主体性や自立性を保ちつつ、新たな市に対する市民の一体感や帰属感を高める機能が挙げられます。
これにつきましては、長野市の場合は、平成17年1月合併の4地区については地域審議会を、また本年1月合併の2地区につきましては、住民自治協議会をそれぞれ設立いただき、その機能を発揮いただいているところでございます。
地方分権の進展や少子高齢化が急速に進む社会状況の下、行政への市民参加やNPOと行政との協働、コミュニティ組織と行政との連携などの重要性がますます増大しており、それぞれが有する能力を発揮していくことが20年、30年先に自治体が生き残っていくことにつながり、長野市に住んでいてよかったと実感できるためのツールの一つとして、自治基本条例の必要性は否定するものではありません。
しかし、条例があることに意味があるのではなく、協働を含めたまちづくりのルールを市民の皆さんと共に作り上げる過程を含めて意識共有することが重要であり、住民自治に対する市民理解の醸成がその基底を成すものではないかと考えております。
これまでも都市内分権を進める中で、長野市及び住民自治協議会の協働に関する条例の制定やそれに基づく基本協定や年度協定の締結、行政連絡区に関する規則の制定など、課題が生じた都度、市民の皆さんと真しな話合いを行い、必要な対策を講じてきた手法は、今後も継続してまいる所存であります。
市が進めてきた都市内分権の仕組みに対する市民理解が十分浸透していない現状やようやく今年度から活動が本格化した住民自治協議会への住民参画が進むのは、正にこれからの段階でありますので、自治基本条例の検討につきましては、今後、住民自治の成熟度などを考慮しつつ、対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。
今、成熟度と言われましたけれども、どういうことの判断で成熟度というふうに言えるのか、またその成熟度を見ながら自治基本条例を作っていくわけですけれども、その辺の基準についてはどのようにお考えか、お聞きをしておきます。
◎地域振興部長(篠原邦彦君)
その成熟度について、どのような基準ということの御質問でございますが、22年度から新しい制度としてスタートしてございます。地域におきましても、行政におきましても、全く新しい自治のシステムに取り組んでいるわけでございまして、今現在は、とにかくこれを本格稼働させていくということが、一番大切なものかというふうに考えてございます。
自治基本条例につきましては、これまでも申し上げてございますとおり、その時点時点で自治基本条例に定める事項のうち、その時点時点で必要となる事項について順次定めていくという考えの下で、今進めてまいってございます。その中で、市民の皆様との十分な協議を経て、必要となる事項について、条例化を検討してまいるというふうにしてございます。
そういう中におきましても、まずは22年度、新しい自治システムが今スタートしたということで、これを軌道に乗せていくということが、当面の課題かというふうに考えてございます。
そういう中におきまして、いわゆる住民自治協議会の活動がそれぞれ軌道に乗って、その中でやはり今、そういった住民自治基本条例というものを定めて、それを目途にというような形で、住民自治協議会を初めとする地域住民の皆様のそういった機運が高まったのを見定めてから、いわゆる必要性等々については考えてまいりたいというふうに思ってございます。
以上でございます。
この条例は、まちづくりの憲法とも言われておりますけれども、逆に私は成熟度を促進するんじゃないかと、条例を作ればですね、というふうに思いますので、条例作成を速やかにやることを求めておきます。
国民健康保険制度について
次に、国民健康保険制度について伺います。
資格証明書発行についてです。
長野市の国保料は、平成19年から3年間で
続いて、保険証交付について伺います。
短期保険証は1,845件発行のうち、郵便による周知、窓口での納付相談、職員の戸別訪問、電話の相談などの努力の結果、1,572件に短期保険証が届いておりますが、転居先不明の73件を含め、268件は本人に保険証が渡っていません。
今、廃業、休業、派遣切りなど、生活が成り立たなくなるケースも目立ち、貧困が際立ち、役所に足を向けることすらできない人もいます。放置すれば、無保険者になりかねません。担当課は、幹部も含めて直接面談を初め、福祉にかかわる窓口相談案内など、保険料の払えない人の状況を総合的に判断し、関係機関につなげていく姿勢が必要と思います。引き続き、保管件数を減らす努力と併せ、無保険者の動向についてお尋ねをします。
◎生活部長(町田良夫君)
資格証明書の発行について、まずお答えいたします。
資格証明書の交付は、国民健康保険法の規定によりまして、災害等特別な事情がないにもかかわらず、保険料を1年以上滞納した世帯主に対しまして行うこととされており、納付相談の機会の確保を目的として交付するものでございます。
本市では、2年間継続して滞納した世帯の中から、所得がありながら、納付相談に応じない等、特に悪質な高額滞納者に対して資格証明書を交付しております。本年4月1日の交付件数は5件でありましたが、その後の納付相談によりまして4件が納付約束をしたため、現在の交付件数は1件となっております。このように、今後も資格証明書の発行を活用しながら、積極的に納付相談を行い、交付件数の減に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
次に、短期保険証等についてお答えいたします。
本市では、保険料の滞納状況によって1年間有効の通常の保険証に対しまして、6か月間有効の短期保険証を交付しております。この短期保険証の交付は、保険証の有効期間を短くすることにより、接触の機会を多くし、保険料収入を確保しようとするものであります。
保険証は、まず簡易書留により発送しておりますが、不在等により本人に届かず、戻ってきたものは改めて保管している旨のお知らせを再度普通郵便で通知しております。それでも受け取りに来ない方には、電話連絡、納付指導員による戸別訪問等を行っておりますが、2月末現在で268件の保険証が未交付となっております。
保険証を受け取りに来ない方の中には、他の健康保険に加入した方あるいは住民票の登録がされていても、実際に居住していない方等がいることも御理解いただきたいと思います。また、国保加入者と納付相談をする中で、保険料の払えない状況によっては、福祉窓口あるいは法的窓口などの関係機関へ御案内し、誠心誠意対応を行っております。
様々なケースがありますが、保険証をお受け取りに来ない方を放置すれば、無保険者になるおそれがあることから、引き続き電話連絡や納付指導員等による戸別訪問によって、1日も早く保険証をお渡しできるよう努力をしてまいりたいと考えております。
今後も直接面談なども含めてですね、丁寧な対応を要望しておきます。
福祉行政について
次に、福祉行政について伺います。
老人憩の家の充実についてであります。
毎年20万人以上が利用している市内でも最良の施設です。年290日利用も魅力で、少ない年金ではふろ代もばかにならず、利用者の増加が予想されます。ところが、事業の見直しで統廃合の対象となり、既に関係機関が審議中で、8、9月ごろ答申とのことであります。毎日利用するなど、楽しみにしている施設を利用状況の多少や収支だけで統廃合の対象とするのは、高齢者に対して冷たいと言わざるを得ません。御苦労してきた高齢者への思いやりの立場からの対応を求めます。
次に、若槻田中の施設はトイレが旧式のぽっちゃんトイレで、臭気が強烈でトイレを我慢する人もおり、地域の老人会でも使いたいが、トイレが臭いのでと敬遠されています。見直しの動向を見てとのことですが、利用料の値上げで、サービス後退に追い打ちを掛けるようなことがないように、速やかな改善を求めますが、お答えをください。
◎保健福祉部長(戸井田一成君)
お答えいたします。
老人憩の家は、若槻の施設を含め、現在市内に10施設ございまして、昨年1年間に延べ20万8,000人ほどの高齢者の皆様に御利用いただいておりますが、ここ数年は利用者数の減少が続いている状況でございます。
なお、利用料につきましては、利用者負担に関する基準に基づく見直し方針により、昨年の社会福祉審議会の御審議を経て、本年7月から120円の利用料を150円に改定するものでございます。
まず、老人憩の家の見直しにつきましては、現行の第5次高齢者福祉計画・第4期介護保険事業計画において、介護予防の観点から必要な施設であることは踏まえつつも、民間と競合する憩の家の入浴施設部分については、段階的に縮小しながら、老朽化した憩の家について再編を図るとしております。
また、昨年度の事務事業評価におきましても、民間事業者から同種のサービスが提供されていることから、事業継続の要否も含め、対象、方法などの事業の目的、内容について十分な見直しを行い、施設については再編、統合、民間譲渡などの方向で検討する必要があるとして、縮小の評価となっております。
このような方向性は、単に施設の利用状況あるいは収支状況をとらえて示されたものではなく、憩の家の老朽化の進行に加え、民間の日帰り入浴施設の整備状況が質、量ともに充実しているという背景があることによるものでございますが、いずれにいたしましても、9月には市のすべての公共施設を対象とする公共施設の見直し指針が策定されてまいります。この指針に基づき多角的、総合的に検討し、市民の皆様の御意見も十分にお聴きしながら、決定してまいりたいと考えております。
次に、若槻老人憩の家のトイレ水洗化についてお答えをいたします。
御質問にございますように、若槻の施設では、旧式のトイレをお使いいただいております。改修の御要望もちょうだいしておりますが、施設関連工事費予算につきましては、限られた予算の中で施設運営に係る緊急度等を考慮の上、年次計画を立てて執行しております。
そのような状況の下、若槻の施設の水洗化工事は、立地条件等も影響しまして多額の工事費を要すること、また施設の見直しの方向性が定まっていない等の状況にかんがみ、予算化を見合わせているものでございます。当面、御不便をお掛けすることとなりますが、御理解をお願いいたします。
以上でございます。
この施設の統廃合については、対象にすべきじゃないというふうに言っておきます。また、トイレの改修は絶対にしなければならないと思いますので、要望しておきます。
人権同和対策について
次に、人権同和対策について伺います。
対策事業は皆無に等しく、差別事象は部分的にあっても、憲法や教育基本法などによる教育的対応で十分に解決できるものであります。憲法の基本的人権は、同和問題にとどまるものではありません。
よって、長野市は教育を含む人権同和行政を速やかに全廃すべきであります。見解を伺います。
◎保健福祉部長(戸井田一成君)
お答えいたします。
本市の人権同和教育は、基本的人権の尊重を基盤に、部落差別の問題を重要な柱として、あらゆる差別をなくす実践力を持った人間の育成を目指して行っております。
しかしながら、部落差別につながる差別意識は根絶には至っておらず、本年2月には人権同和政策課に身元調査にかかわる差別電話があり、5月にも清掃センター来所者による部落差別発言が発生しております。いまだに悪質で陰湿な差別を行っている者がおりますことも、残念ながら事実であります。
このようなことから、本市といたしましては、同和問題は依然として解消されていないという認識に立ち、今後も学校、家庭、地域、職場等のそれぞれの場における人権同和教育を推進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
納得できませんが、次に進みます。
教育行政について
次に、教育行政について伺います。
人権同和教育についてです。
人権同和教育は、差別や貧困による不就学、長期欠席、低学力問題や尊重し合う集団づくり、主権者として成長を図ること、部落の歴史を正しく認識するということで取り組まれ、これまでの努力で解消の方向に進み、特別な課題はなくなっています。
長野市は、相変わらず部落差別を初めあらゆる差別をなくすとの理由で、学校教育に同和問題を主軸に据えた人権教育で小・中81校を研究指定校としていますが、現場の職員や保護者からも、憲法や教育基本法などで明るく展望ある、人の尊厳を重んじる人権教育にしてほしいと、指定校廃止の要望が寄せられています。抜本的な見直しを求めますが、見解を伺います。
続いて、子ども人権同和教室について伺います。
同和地区生徒などの自覚と解放への意欲を高める学習の場として、解同の担い手を育てることを公教育の場に持ち込んだものです。長野市は平成18年度から5年間で6教室が1教育の閉鎖、毎年45、6人程度で、平成18年度に46人が、22年度は38人で1教室は5人、6人というところもあり、実態は明らかに子供たちや保護者から見放されたというのが実態です。実質上、人権同和教育の存在意義は失われており、直ちにやめるべきと考えますが、お伺いをします。
◎保健福祉部長(戸井田一成君)
お答えいたします。
初めに、人権同和教育の研究指定校につきましては、平成13年12月の人権を尊び差別のない明るい長野市を築く審議会の答申で、従来の学校同和教育の成果と課題を受け、同和問題を初め、身の回りの様々な人権を考える学校人権同和教育へと発展させ、その充実を一層図っていくことが望まれ、継続する事業として、学校人権同和教育研究指定校を挙げています。
現在、市内小・中学校81校すべてを指定校とし、各校が取り組んでいる人権課題には、同和問題に加え、いいところ探しや自尊感情、また学級の人間関係づくりも多く見られます。人権同和教育を学校の基盤に据えて取り組んでいる様子から、答申の趣旨が広く、深く浸透してきていると考えられます。また、研究指定校は、長野市教育大綱の具現化を図る研究として、教育委員会が指定して実施するものであり、大綱の中に人権同和教育の徹底がうたわれております。
今後も長野市教育大綱の明日を拓く深く豊かな人間性の実現が一層はぐくまれるよう、無理なく成果の上がる研究になるように取り組んでまいります。
長野市子ども人権同和教室につきましては、平成13年度末の地対財特法の失効に伴い、平成14年度から差別をなくそうと願う児童・生徒の人権学習の場として位置付け、現在、五つの地域で子ども人権同和教室運営委員会により自主性を大切にして、地域や学校と連携した特色ある活動が展開されています。市といたしましては、今後とも地域の主体的な取組を支援しながら、子供たちの人権意識の高揚を図ってまいりたいと考えております。
なお、会員数につきましては、要綱に基づきまして各子ども人権同和教室で会員が5人に満たない場合は、活動の休止ないしは廃止という措置をとらさせていただいています。
いずれにいたしましても、同和問題を初めとする様々な人権課題を学び、差別を許さない人権感覚豊かな児童・生徒の育成を今後とも図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
残念ながら、長野市は全国的にも上位にある不登校問題など悩みを抱えております児童・生徒が多い中、人権同和教育予算の配分をやめて、きめ細かな支援のできる教員配置こそ行うべきだというふうに思います。改めて人権同和教育、同和教室の全廃を求めておきます。
次に、学校図書館の充実について伺います。
読書の習慣、調べる習慣を身に付ける場所が学校図書館であり、学校教育の中核だと言われており、充実が求められています。長野市の場合、学校図書館職員はPTAや学校の裁量で雇用しておりますが、活字離れの深刻化や心の問題の対応を図書館職員が担うこともあることから、一定の条件を確保するために、1日5時間以上週5日の勤務を目安に補助金を増やし、全小・中学校に配置されました。
しかし、司書手当分は月額4万2,000円から5万6,000円とかなり低いもので、PTAや地域の諸団体が数十万円単位で補てんしているのが実態です。職員人件費の引上げを求めます。補てんの実態について、お聞かせください。
また、図書館職員が朝、授業の前に読み聞かせ、読書への関心を高める努力をしている学校、読書や調べ学習などの丁寧な援助で、1人年間貸出数100冊を超える学校など、図書館職員の果たしている役割は極めて大きく、雇用は各学校ばらばらではなく、市教委の責任で行うべきときです。また、こうすれば、職員の市内交流も可能となるのではないか、将来的に市内全域の職員を市教委で直接雇うことについて、現場と詰めるとしていますが、どうなっていますか。また、学校図書館職員の活動の経験交流は重要と思いますが、お伺いします。
◎教育次長(酒井国充君)
お答えいたします。
学校図書館は、児童・生徒が読書活動等を通して言葉を学び、表現力や想像力を高め、豊かな情操をはぐくみ、また調べ学習を通して学習効果を高める場として、学校教育においても重要な役割を果たしているものと認識をしております。
この中で、市立小・中学校の学校図書館職員につきましては、学校が設置する学校図書館運営委員会に市が補助金を交付し、学校が独自に配置をしており、その補助金は本市の臨時的非常勤職員の時間単価を基に算定をし、1日5時間、週5日、年間210日の勤務を基本目標としております。現在は、その目標の6から8割にとどまっている状況でございます。
また、各学校では、学校図書館の運営に当たり、図書購入費等も併せ、PTAの補助金や徴収金により補てんが行われているところもございます。その額は保護者の負担のない学校もあり、それぞれ学校によって状況が異なっておりますが、児童・生徒1人当たりの負担を計算しますと、年額で1,030円ほどを補てんしていることになります。このような実態を受けまして、平成22年度若干ではありますが、補助金を増額したところでございます。
今後は、小・中学校施設の耐震化を初め、大規模プロジェクト等緊急的、優先的に取り組まなければならない事業があり、厳しい財政状況が続くものと考えられますが、学校図書館職員の勤務体制の基本目標に近付けるよう、引き続き努めてまいります。
また、学校図書館法では、学校に司書教諭を配置し、学校図書館の専門的職務に当たらせることとしておりますが、現実は、担任などの教員が兼務している状況であり、結果として図書の整理や読み聞かせ、貸出業務などのために学校図書館職員の配置が必要となります。
市教育委員会といたしましては、県教育委員会との連絡会等の中で、専門性を持った専任の司書教諭の配置について、引き続き要望してまいりたいと思います。また、学校図書館職員の市の直接雇用につきましては、今後の研究課題としてまいりたいと思います。
なお、学校図書館職員の皆さんが独自に交流、研修に努められているというお話も聞いており、感謝申し上げるところでございますが、学校図書館職員の交流については、司書教諭が研修で学んだ内容等を学校図書館職員に伝達いただくなど、まずは学校図書館職員と司書教諭相互の連携を深めることにより、資質の向上を図り、学校図書館の充実につなげてまいりたいと考えております。
以上でございます。
図書館職員を市教委が直接雇うことでありますが、かなり前からの検討課題になっておりますけれども、改めて、これはもうすぐに検討すべき課題じゃないかと思いますけれども、もう一度御答弁願います。
◎教育次長(酒井国充君)
お答えいたします。
学校図書館法では、学校に司書教諭を配置し、学校図書館の専門的職務に当たらせることとしておりますが、先ほども申し上げましたように、現実は担任などが兼務しているという状況であります。その結果として、図書の整理や読み聞かせ、あるいは貸出業務に学校職員の配置が必要となっております。
このため司書教諭の配置につきましては、県で配置いただくことが本旨かと思いますので、引き続き県教委との連絡会等で、要望していく中で、今後の研究課題ということにしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
改めて、学校図書館職員については、市教委で直接雇うことについて、改めて強く要望しておきます。
次に、図書館行政の充実について伺います。
貸出数が増えているのに、図書館予算削減続き、市財政難の影響で購入費にしわ寄せ、利用離れ懸念の声もと、新聞の見出しに書かれました。長野市の情報の拠点として幅広く利用され、文化のよりどころでもある図書館が心配との声が寄せられています。
借りられる冊数の上限を倍にし、開館時間の延長など、職員の努力が功を奏し、長野・南部両館で2004年度、125万2,500冊が2008年度は169万8,000冊に増え、特に長野図書館は急増となっています。
ところが、図書館予算は毎年削減され続け、5年間で1,800万円、3割近くも減りました。その結果、図書購入費に影響が出ています。県内では、人口22万人の松本市は、図書購入費が約7,500万円、9分館で144万冊貸し出し、長野市は38万人で6,121万円、2館で169万冊の貸出しで、その差は歴然としています。
市教委は、市民の情報と文化のニーズにこたえ、図書購入費確保など、図書館行政の充実を求めます。教育長に見解を伺います。
◎教育長(堀内征治君)
お答え申し上げます。
市立図書館の図書の貸出冊数は、ここ数年大幅に増加しておりますが、これは平成16年度に長野図書館が平日の開館時間を午後7時までに延長したこと、また17年度には、長野・南部両図書館におきまして、1人1回当たりの貸出冊数の限度を5冊から10冊に増やしたような方策のほか、平成20年度からは、インターネットによる予約ができるようにしたことなどから、様々な利用環境の改善に努めることができました。その結果、図書館の利用が増大したということでございました。特に、長野図書館では平成21年度の年間貸出冊数が100万冊を超すなど、多くの市民の皆様に御利用いただいております。
一方、図書購入費につきましては、近年の厳しい経済状況下において、重点施策の推進と市財政の健全化を図るため、全庁的に効率的かつ効果的な予算執行に取り組む中で、図書購入費も、議員さん御指摘のとおり、減少してきております。
市立図書館は、市民への情報提供施設として、また生涯学習を支える知的インフラとして重要な役割を果たしております。このため、限られた予算の中でより多くの市民の要望にこたえ、充実した図書館サービスを実施するため、県内図書館を主体に全国の図書館との相互貸借を行うほか、国会図書館が実施しているレファレンス共同データベース事業に本年度から参画し、市民からの問い合わせに関するサービスの向上や市民の調査研究活動の支援を行っております。
生涯学習の進展に伴い、市民の学習意欲がますます向上することと思われますので、今後も更なる事務事業の見直しを図る中で、図書購入費の確保に努めるとともに、購入図書の選択に当たっても、より利用者のニーズに沿った内容にするほか、創意と工夫によりまして、図書館の充実を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
専門家やマスコミもそうですけれども、市立図書館の今後を大変心配をしております。という意味で、改めて教育長に再質問しますが、いずれにしろ、貸出冊数が増えていることは事実であります。しかも、市民の情報文化の大変重要な拠点でありますので、少なくとも予算をマイナスにしては、政策的には問題じゃないかというふうに思います。
改めて予算の配慮をすべきだと思いますし、特に新しい年度については、そういう配慮をもう具体的にしなきゃならないと、私は思います。改めて教育長にしっかりした御答弁を求めます。
◎教育長(堀内征治君)
お答え申し上げます。
先ほども御説明させていただき、また議員さんからの御指摘にもあったとおり、大変厳しい予算の執行状況の中でございますが、市民の皆さんのサービス向上に向けて、私ども教育委員会といたしましても、また現場図書館といたしましても、職員は十分にそういう努力を加えているところでございまして、先ほど申し上げましたような実績を重ねることができております。
市民サービスという面においては、それぞれ努力が実りつつあるのではないか、またサービスのことを分かっていただけてきているのではないかというふうに思いまして、この点、御評価いただけると有り難いかと存じます。
そして、そのためにどんどん削減することを御心配いただいているという御指摘だと存じますが、やはり重大な市民サービスの低下を及ぼすような状況になるということは避けなければいけませんので、先ほども申し上げましたように、そういう点におきまして図書の購入費の確保ということにつきましては、私どもも検討を加えていくということでございます。以上、御理解いただければ有り難いと存じます。
以上でございます。
図書もそうですけれども、新聞資料なども買えない、こういう状態を作ったのでは、図書館の任務が果たされません。そういう意味で、十分図書館職員の話も聞きましてですね、具体的な対応を求めて、質問を終わります。