2009年12月定例市議会 あべ孝二議員
市長選挙の結果と鷲澤市政について
鳩山内閣の政治姿勢について
住民自治協議会について
公契約条例について
子どもの権利条約締結二十年と教育問題等について
新型インフルエンザ対策について
市長選挙の結果と鷲澤市政について
二十四番、日本共産党市議員団阿部孝二です。団を代表し、質問を行います。
市民が主人公の市政、福祉・教育の充実、営業と暮らしを守る立場から質問します。明快な答弁をお願いします。
初めに、市長選挙の結果と鷲澤市政についてお伺いします。
十月二十五日投開票の市長選挙は、市政転換を目指した市民グループわくわくながのが擁立した高野登さんを日本共産党も参加する市民が主人公の長野市政をつくるみんなの会が支持をして選挙を行いました。
高野登さんは五万七千七百二十八票、得票率三十八・一九パーセントを獲得しました。当選した鷲澤市長にわずか六百五十一票及びませんでした。高野登さんは、コンクリートでなく人を大切にする市政を掲げ、観光や暮らしやすさで日本一の長野市づくりを目指し、子育てや老後の不安にこたえる総合窓口の設置、浅川ダムや市役所第一庁舎・長野市民会館の建て替えは白紙に戻すことなどを訴えてきました。
信濃毎日新聞は、選挙前千人の世論調査を行い、市政で優先してほしい課題、二つ以内では、第一位に福祉・医療、五十七・七パーセント、二番目に教育・子育て、三十・六パーセント、三番目に市財政の健全化、二十四・〇パーセントでした。長野市民会館の建て替えは必要ですかの調査では、必要が十八・九パーセント、どちらかといえば必要、二十六・二パーセント、必要でない、二十四・〇パーセント、どちらかといえば必要ない、二十五・二パーセント、必要等で合計四十五・一パーセント、必要でない等で四十九・二パーセント、何ともいえない、分からない、五・七パーセントと発表しました。
テレビ信州の市長選出口調査では、投票の決め手になった点として、第一位に浅川ダム、二十四・九パーセント、二番目に年金・介護、十三・六パーセント、三位に子育て・教育、十二・五パーセント、四位に景気・雇用、十・九パーセント、五位に市民会館、八・二パーセントと報じられています。
市民が主人公の長野市政をつくるみんなの会のアンケート調査では、市役所第一庁舎は耐震改修で実施すべきと八十五パーセントの回答、長野市民会館は六十六パーセントが耐震改修との回答でした。
今回の選挙で鷲澤市長は、市議会最大会派の新友会と公明党市議員団、そして二百の企業から推薦を受けましたが、前回より二万票減らし、全有権者の十九パーセントの支持にとどまりました。
鷲澤市長の八年間、「入りを量りて出ずるを為す」、民間活力の導入などの手法で行った市民への負担増と給付の削減、ごみの有料化や各種の手数料、使用料、国保・介護料等の値上げ、在宅福祉介護料などの引下げ、指定管理者制度導入による雇用の後退、公立保育園の民営化の強行、市役所第一庁舎と長野市民会館の建て替え前提の手法、大手企業を中心とした再開発事業などへの批判と転換を求めています。市長は選挙戦を前にして、子どもプラン三千円の負担廃止、区長委嘱制度の見直しも検討したいとの従来の方針を転換してきました。
鷲澤市長は、選挙後、記者団に八年やると意見の違う人も出てくる。少しずつ不満が積み重なり、表に出たことが要因だと思う。結果的にわずかな差だったことは反省する。反省はするが、具体的な失点は見当たらないと答え、新聞記事では、選挙戦で行政手法に横柄、ごり押しとの批判があらわになった。区長を集めた会議や市広報での周知のみで市民合意を得たとするような手法への批判、三期目は幅広い市民ニーズを酌み取ることが求められると報道されています。そこで、幾つかの点についてお伺いします。
一番目には、選挙の結果、市民の皆さんは鷲澤市長の八年間の手法から人を大切にする市政への転換を求めています。今後の市政運営についてお伺いします。
◎市長(鷲澤正一君)
阿部孝二議員さんの御質問にお答えをいたします。
最初に、選挙結果を踏まえた今後の市政運営についてお答えをいたします。
私は、今回の市長選を通じて多くの市民の皆様にお会いし、市政に対する様々な御意見や御要望をお聴きいたしました。選挙の結果がきん差であったことについては、真しに受け止めなければならないと考えておりますが、それと同時に、民間活力の導入を初めとする行財政改革や中心市街地再生への取組、長野市版都市内分権の推進など二期八年の実績を評価いただき、市民の皆様の信託をいただいたものと受け止めております。
私の最大の使命は、市民の皆様の日々の暮らしを守ることであります。今回のマニフェストでも、子育ち・子育て環境や教育環境の充実を図ること、福祉・健康の視点から暮らしのセーフティーネットの充実を図ること、また産業を強化・育成し、雇用の確保を図ることなどを掲げ、さらに具体的なビジョンとして十七の約束をお示ししてまいりました。市民の皆様の信託にしっかりとおこたえすべく、これらの施策に全力で取り組んでいくことが、今後四年間の私の大きな責務であります。
これまでの経験を生かし、安心・安全なまちづくりに努め、福祉・教育・子育て分野など、市民の皆様の暮らしにとって重要な事業を立ち止まることなく、着実に実施してまいる所存であります。
<<再質問>>
最初に、鷲澤市長に再質問させていただきます。
先ほどの答弁で、市民の日々の暮らしを守ることですという形でお話しされました。今年二十一年度と二十年度にわたって、住宅用火災警報器がひとり暮らし高齢者の所得税非課税、こういう人たちに約四千円から五千円の補助対象になっているんですね。ところが、実際にやられたのは五十パーセント、石油が大幅に値上がったときに福祉灯油ということで五千円の灯油代を事業としてやりました。これは長野県の市町村の調査でも非常に低くて四十パーセントぐらいのところにしか、実際にはいかない。
今度、インフルエンザの予防接種の中で、低所得者に対して無料の制度を提案して予算化されると思います。それについても広報紙だけに案内をしたり、インターネットで案内をする、こういうことをやられている。
ほかの市町村の中で、灯油の場合には、直接対象者にお金を届けたり、券を届けたりして促進をし、対象の八割とかいうような人に渡っていると。ここに日々市民の暮らしを守る、それから低所得者に対する優しい心が表れているんではないか、これについてひとつお答えいただきたい。
◎市長(鷲澤正一君)
まず、一点目の問題につきましては、市の広報のやり方が足りないのかなという感じがしますので、これはもう少し市の広報の在り方というものについて、きちんとやっぱりやっていかなきゃいけないなというふうには思います。
<<再々質問>>
是非、市民に優しい市政という点では、先ほど言ったように、該当の事業があれば、是非直接案内をするというような親切、丁寧な心温まる市政をやっていただきたいということでお願いしたいと思います。
次に、市民との合意形成を今後どのように行っていくのかお伺いします。
◎市長(鷲澤正一君)
次に、市民との合意形成を今後どのように行っていくかについてでありますが、私の信念である五つの原則に基づきまして、またみんなの声がながのをつくるを政治姿勢の根幹に据え、市民の皆様との対話を大切にしながら、合意形成に努めてまいります。
これまでも出前講座、ホームページのリニューアル、メールマガジンの配信、市政方針市民会議の開催、また元気なまちづくり市民会議ではスライドを使った説明や、土・日、夜間の開催など実施してまいりました。平成十四年に開催した長野センタービル取得に関する市民会議や先般、開催いたしました市役所第一庁舎・長野市民会館に関する市民会議も市民の皆様の御意見を直接対話してお聴きしたいと考えたからであります。
今後も工夫を重ね、行政情報を得やすく、参加しやすい環境をつくるとともに、より分かりやすい言葉や方法でお伝えし、市民と行政との距離を更に近づけていきたいと考えております。併せて、行政が市民から信頼されているかどうかも大変重要なことであります。良い情報も悪い情報もすべて市民と行政が共有し、一緒に考えて市民の皆様自らが納得していただく、そういうまちづくりを進めなければなりません。情報公開と説明責任を果たすことで、市民にとって行政がより身近なものとなり、市民の参加による合意形成につながっていくものと考えております。
次に、市役所第一庁舎、長野市民会館について伺います。
鷲澤市長は、建て替えが前提でないとこの間言ってきました。立候補した高野さん、小林さんは、共に白紙に戻し議論すべきと言ってきました。市民アンケートでは、建て替えは必要でない等が上回っています。十一月十六日、市役所第一庁舎・市民会館に関する市民会議が開催され、四百人の参加で、建設賛成反対の立場から意見を出し合い、問題点も明らかになりました。
市長は、白紙の立場で、今日の意見や長野市民会館建設検討委員会の議論を踏まえて決めるとしました。その後、検討委員会が二十四日に開かれ、建て替えを前提として議論を進めるとの確認が行われています。建設検討委員会の予定では、十二月中旬には建設候補地の検討が行われ、市は市民意見の集約・分析と基本的方針に基づく具体的構想案の作成を行い、一月上旬に各会派に提示し、一月下旬に各会派からの見解を受け、二月上旬には基本的方針に基づく具体的構想の決定を行うとしています。
このような予定では、白紙や建て替えが前提でないという保障が全くありません。市長の白紙と検討委員会の建設前提とは大きな矛盾があるのではないでしょうか。市役所第一庁舎と長野市民会館の耐震化か、建て替えかの基本的論議をどのように行っていくのか、市民意見の集約をどのように行っていくのか、建設関係の賛否の意見をどのようにするのか、財政問題、今後の庁舎の在り方、住民自治や合併町村充実や機能、役割など、総合的な問題を含んだ討論を行い、結論を出すべきです。市民の意見が均衡している状況がありますが、どのように意見を集約して行うか伺います。
◎市長(鷲澤正一君)
次に、市役所第一庁舎・長野市民会館についてお答えをいたします。
市民会議の意見など、市民意見の集約をどのように行うのかということですが、市民会議ではパネラーの皆さんを初め来場の皆さんからのアンケートも含め、多くの御意見を頂きました。現在、市民会議で頂いた御意見、四月に市の基本的方針を御提案してから、これまでに頂いている多くの御意見について項目ごとに分類し、詳細に分析・検討を行っております。
具体的には、約千二百件の意見を耐震対策、それから基本理念、建設時期、規模・機能、それから環境対策、財政計画などの観点から約五百五十項目に集約し、検討を行っているところでございます。分析・検討結果については、建設検討委員会でも御討議いただくなど十分に検討を重ね、今後の市の方針決定に生かしてまいりたいと思います。
<<再質問>>
それから、市役所の第一庁舎・長野市民会館問題についてですが、先ほど千幾つのアンケートが来て、要望も来ていると、五百近い幾つかの項目に分けて検査中だということですが、しかし現実に市民の皆さんは、鷲澤市長が当選された票よりも、高野さんと小林さんの票の方が絶対的に多いわけですね。
それから、屋代線の住民アンケートについては、三千近いところでアンケート調査をやって市民の意見を聴くと。それから、ごみ処理手数料の有料化についても、各区の組長さんや環境美化の皆さんに協力してもらって、千回以上説明会を開いて行っていたと。私は、市民の意見を聴くという点でいけば、市長を先頭に建て替えか、それとも耐震か、これについて情報をきちっとくまなく明らかにしながら、改めて市長が市民の意見を聴取すると、最大限、聴取するということが必要ではないか。
◎市長(鷲澤正一君)
それから、市民会館の問題については、私は選挙の票とこの問題とを結び付けることは、必ずしも正しくないというふうには思っています。そういうことでいうならば、例えばこの間の市民会議のときに、いろいろ御意見が五人、五人、壇上で行われた方は十人ですが、そのほかに会場からも何人かの方がお話合いになったと。
一番最後に出口でアンケートを出していただいた方の場合には、私もまだはっきり報告を受けていませんが、多分六、七割の方が是非やるべきだという御意見を出されたということでございますから、それは来られた方の意見ですから、別に全部がそうだというふうには思っていませんけれども、それぞれの集め方によって全然違う形が出てくるということだけは、これは当然のことであります。その辺を分析しながら、我々は考えていくということなんだろうというふうには思っています。
次に、区長委嘱制度について伺います。
住民自治協議会の促進に区長制度の役割は重要なかなめを成していると思います。市長は、区長委嘱制度の見直しも検討したいと述べていますが、どのように考えているのかお答えください。
◎市長(鷲澤正一君)
次に、区長委嘱制度についてお答えをいたします。
都市内分権の推進に当たっては、区長を初め十の市長委嘱制度を取りやめることとして進めてまいりましたが、区長制度そのものの廃止と混同され、一部に混乱が生じてしまいました。そのため、改めて市区長会の皆様と意見交換をする中で、委嘱制度廃止の方向性は堅持するものの、委嘱制度廃止に伴う代替策として、市長から区長へメッセージを交付すること、行政連絡区の法的整備を行うこと、記章貸与制度を創設することといった三つの御要望を頂きました。
今後、区長さんが住民自治協議会の中核的な役割を担い、地区の取りまとめをしていただけるよう、規則の制定に向けて具体的な内容の検討を進めているところでございます。
次に、浅川ダム問題についてお伺いします。
信毎の市長選挙市民アンケートでは、浅川ダムについて見直す必要がある、六十三・二パーセント、見直す必要はない、二十七・二パーセントと見直すべきが多数を占めています。市長は、ダム建設促進の考えに沿って議会答弁を繰り返してきました。市民の皆さんは、危険で無駄なダム建設はやめてほしいと願って運動を行ってきました。一度はダム建設契約を行ったが、解除しました。今、県政では穴あきダムの本体工事入札が行われ、落札候補業者の調査が行われていますが、県に中止を求め、見直しを求めるべきではないでしょうか。
◎市長(鷲澤正一君)
次に、浅川ダムについての御質問にお答えをいたします。
浅川ダムについては、様々な御意見があることは承知しております。しかしながら、県ではこれまでダムによらない案を含め、様々な治水対策が検討され、何年もの議論を経て最終的に治水専用ダムと河川改修を組み合わせた対策を進めることが最も望ましいとの判断に至ったと認識しております。
したがって、現在、県で進められているダム本体工事の入札手続について中止し、見直しを求める考えは持っておりません。
<<再質問>>
三つ目、浅川ダムの問題についてです。
今日の信濃毎日新聞の斜面のところに浅川ダムの問題について非常に問題があるということで書かれています。最後に、安全性への不安や不信をないがしろにできるのかと、もう一度胸に手を当ててほしいということも書かれておりました。私たち長野市議員団でも、奈良県の大滝ダムの調査に行きました。最近の共産党が発行している赤旗新聞のところにも、完成しても使えない、水入れ直後地滑り、こういうことになっているんですね。
そばの地附山であれだけ被害が起こっておきながら、そして建設促進の人やそれから建設中止の人の中でも、地滑り地域ということは明らかになっているわけで、それで県の答えでも、ダムを造っても内水災害は解消できない、こういうことも言っているわけであると。そういうことを見れば、選挙戦の市民の要望として中止を求めるということが盛んに選挙結果やアンケートで出ているわけで、そこに真しにこたえるべきではないでしょうか。
取りあえず、その三点について答えていただきたい。
◎市長(鷲澤正一君)
それから、最後の浅川ダムの問題については、確かに信毎の記事を私も読みました。読みましたが、私どもとして、今申し上げられることは、既に県がスタートをしてやっていることでございます。そして、これは昭和四十年代からの議論がようやく結実をしたということ。しかも、途中でやめたというような話もあったり、いろいろとあった過程の中でやってきたことですから、私は先ほど阿部議員さんがおっしゃったやめるべきだということを申し入れろというお話は必要ないと、私はそう思っています。
以上です。
鳩山内閣の政治姿勢について
次に、鳩山内閣の政治姿勢について伺います。
今年の流行語大賞に政権交代が選ばれました。自民党・公明党政治から民主党中心の政権が誕生し、国民、市民の期待と注目がされています。約一年前、日比谷野外音楽堂で弁護士、労働組合、NPO法人、共産党など大勢のボランティアが派遣切りされた労働者など、職を失い、住居を失い、お金がなくなり、ホームレスになるなどの人々に食料や寝るところや生活の立て直しのための取組が行われました。年越し派遣村が行われました。大企業など日雇い派遣、期間工など使い捨ての雇用によって生み出された結果です。
最近のニュースでは、この十二月に愛知、東京に次ぎ長野県が失業する人が多いと報道されています。アメリカ発の金融危機と不況の波が全世界に広がっていますが、日本の失業者の高水準、有効求人倍率の低下、倒産などは、ヨーロッパの国々に比べれば、一層深刻な事態が進んでいます。
そこには、二つの異常、財界中心と軍事同盟中心があります。労働運動総合研究所が十一月十八日に発表した資本金一億円以上の内部留保が一九九九年の二百九・九兆円から十年間で二百十八・七兆円増やし、四百二十八・六兆円のため込みがされていると告発しています。ため込みの理由は、労働者の賃金、税金、社会保障の負担軽減です。労働者は正社員が当たり前の政治が求められているのではないでしょうか。
鳩山内閣の日雇い・派遣労働雇用対策の先送りについて市長の見解をお伺いします。
◎市長(鷲澤正一君)
次に、鳩山内閣の政治姿勢についてお答えをいたします。
企業の内部留保を賃金に回すべきとの意見があることは承知しております。しかし、内部留保とは過去の利益の蓄積であり、生産設備などに再投資されている場合が多く、現金や預金のように自由に使える手元資金とは違い、これを使うには設備を売却し、現金化する必要があり、仮に工場を売却するならば、そこで働く従業員を解雇しなければならず、逆に雇用を不安定化させ、さらには企業そのものの存続を不安定化させる危険性があります。
非正規労働者の問題は、労働者派遣法が製造業務にまで拡大されたことに起因することが大変大きいと考えられるわけで、この政策が成功だったとは私は言い難いと思っております。そのことは事実でございますが、一方、これがなければ、日本企業の海外流出がもっと進んでいたとも考えられます。仮に今後、法的整備をするとしても、企業の海外流出の懸念から、非正規労働者の正規雇用を努力義務とする程度にとどまるのではないかと感じております。労働者派遣法の製造業務までの拡大は、正にパンドラの箱が開けられてしまったものと感じております。
経済・雇用対策については、政権が交代しても喫緊の課題であることに変わりはありません。民主党は子育て、教育など消費者支援の政策を掲げ、個人消費の拡大を中心に内需主導の成長を実現しようとしておりますが、鳩山内閣には早急に政権公約の具体化を図り、安全で安心な暮らしと経済成長を共に実現していただくことを期待しております。
私からは以上です。
住民自治協議会について
次に、住民自治協議会についてお伺いします。
市内三十地区で住民自治協議会が結成され、平成二十二年四月より各種団体の補助金を一括交付、独自設置事務局の人件費、事業に充てられるなど一地区百万円、地域やる気支援補助金予算総額一千万円、一地区百万円、審査による。山里支援交付金、中山間地域十一地区六十万円、区長や各種団体の委嘱制度の廃止、地域活性化アドバイザー中山間地域十一地区対象の配置など、本格的に動き出すため地域で活動しています。
住民自治協議会の結成は、若槻地区で平成十八年四月に行われ、十八年に二地区、十九年に九地区、二十年に二十地区、二十一年に九地区の全地区になりました。二十二年四月、全地区一斉のスタートでは、結成時期に違いがあり過ぎなのではないでしょうか。各住民自治協議会の会則などに公募規定がありますが、実際の公募参加状況では、二けたの参加はわずか三地区にとどまっています。各地区の組織状況や部会について見させていただきましたが、活発なところもありますが、これからというところも見受けられます。
全国の取組では、市町村合併が進み、地域分権の確立を国も位置付けて進められています。山崎丈夫コミュニティ政策学部大学教授は、地域分権について、もっぱら小学校区のような地域を基盤とする地域コミュニティ組織が自治体機能の規定をまちづくりの分野から一定の行財政権限を伴って担う体制としています。
伊賀市は人口九万七千人のところで、住民協議会を三十七地区に作り、協議会に諮問、提案、同意、決定権があります。住民自治の確立を進めるためにも、市の補完性を発揮するために地域でできることは地域にお願いする。立案、提言、諮問、同意、決定権を持つことができるようにしていく。結成された協議会の人口は少ないところでも千人を超え、多いところでは四万人を超えています。そこで、幾つかの点についてお伺いします。
一つは、協議会の結成には、今年誕生したばかりと三年経過して活動しているところもあり、二十二年度一斉に行うことに問題がないかお伺いします。
◎総務部長(鈴木栄一君)
住民自治協議会について、何点かお答えをいたします。
まず、平成二十二年度に一斉に行うことに問題はないのかとの御質問にお答えをいたします。
確かに、議員さん御指摘のように住民自治協議会の設立の時期については、最初と最後の地区で約三年の開きがあります。これは、まずは住民自治協議会を設立し、具体的な事柄については、その後検討するとした地区、検討会や設立準備会において十分検討を行った上で設立するとした地区があります。
しかしながら、すべての住民自治協議会においては、あと四か月弱に迫った本格稼働に照準を合わせ、連日連夜、来年四月に向けて精力的な御検討をいただいていることもお聞きをしておりますので、当初の予定どおり進めていくことが適切であり、かえって混乱を招かないことになると考えております。本格稼働への移行に際し、課題や問題があれば、支所を中心に市としても全力で支援してまいる予定であります。
次に、中山間地域にアドバイザー制度が実施されています。他の地域にもいろいろな問題を抱えている地域があると思います。そこで、全地区の要望にこたえられるアドバイザー派遣制度の提案をします。
◎企画政策部長兼行政改革推進局長(丸山文昭君)
地域活性化アドバイザーについてお答え申し上げます。
地域活性化アドバイザーは、人口流出と著しい高齢化により自治機能が低下しつつある中山間地域の集落を支援するために、中山間地域を抱える十一地区の支所に配置しているものでございます。
したがいまして、その業務は集落の状況調査、有害鳥獣対策などへの支援、ごみの不法投棄対策、また都市と農村交流の推進など、中山間地域特有の課題解決のための取組でございますので、当面は中山間地域に限定して配置してまいりますが、その他の地区においても市民会議などで配置の要望が出ており、市長からも既に検討していきたい旨、お答えしているところでございます。
次に、公募は地域での総意を引き出し、地域の活性化に大いに役立つと思います。若槻や川中島の取組の教訓が生まれています。市の協議会結成の仕組みづくり計画案には公募が載っていますが、全地区で公募の参加で地域づくりを進めることが重要ではないでしょうかお伺いします。
◎総務部長(鈴木栄一君)
次に、全地域で公募委員が参加し、地域づくりを進めることが重要であるとの御意見にお答えをいたします。
現在、住民自治協議会の規約の中に、公募に関する条項を盛り込んだ地区は、三十地区中二十地区となっておりますが、実際に参画をしている地区については十四地区という状況であります。住民自治協議会の活動が本格化し、広報などにより広く住民に理解されるに従い、公募委員の人数も徐々に増えていくものと思いますが、飽くまでも住民自治協議会でお考えいただく問題であると考えております。
次に、住民自治協議会に地域まちづくり計画の策定の提起を行い、地域住民が行う地域事業、住民と行政の協働による地域事業、行政が行う地域事業などの計画を行い、住み良いまちづくりを行うことを提案します。
◎総務部長(鈴木栄一君)
次に、地域のまちづくり計画の策定についてお答えをいたします。
住みやすい地域の実現には、地区住民が自らの地区の将来像や方向性を決定し、その目標に向かって計画的に活動していくことが必要であります。これを具体化したものがまちづくり計画であります。地区が抱える課題の解決や暮らしやすいまちづくりを行う住民自治協議会の事業計画もまちづくり計画の一つであり、現在、各地区で取り組みつつある地区地域福祉活動計画も福祉分野に特化してのまちづくり計画と位置付けることができます。
しかしながら、地区地域福祉活動計画や花いっぱい運動など、住民自らが策定し、地域で完結できる計画だけではなく、道路計画の策定など市を初めとする行政機関等との調整を要するものもあります。このように作成の当初から支所や担当部局の支援やアドバイスを受けて行うことが無駄や無理のない計画につながるものと考えております。
また、今後、市が様々な計画を策定する際には、住民自治協議会が策定したまちづくり計画とのすり合わせを行うなど、新たなチャンネルを通じて住民意見や要望を反映させることもできるものと考えております。
私からは以上であります。
次に、道路愛護報償費は一か所、年七千円から七万円、二百か所を超えるところで支払が行われています。不特定多数の人が通行する道路等の草刈りや除雪作業などは、住民自治協議会に委託し、地域の雇用対策として実施し、単価の見直しを行ってはどうでしょうか提案します。
◎建設部長(内山秀一君)
道路愛護報償費を見直し、住民自治協議会が草刈りや除雪作業などを行い、雇用につなげてはどうかという御提案についてお答えいたします。
草刈り業務は年数回、除雪業務につきましては冬期間のみという仕事の性格から、市がこれらの業務を委託している建設業者の中には、草刈り機や除雪機などの維持管理ができず、昨年度の事例を見ますと、六社ほどがこの業務から撤退している状況がございます。このため、地元が行う事業として採算が合い、地域の雇用を生み出す効果があると考えることにつきましては、疑問を感じております。
しかし、地元にこれらの業務を受託する能力のある組織が整っていれば、市が適正な価格で業務委託をすることは可能であり、この業務だけで年間を通しての雇用を確保することまではともかく、地域である程度の仕事を確保することはできると考えております。
そこで、住民自治協議会の中で草刈りや除雪業務、さらに側溝清掃や樹木の枝払いなど、道路施設等の簡易な維持業務ができる体制が整い、受託する希望がある場合には、段階的な導入も視野に入れまして個別に相談をさせていただきたいと、このように考えております。
以上でございます。
次に、商店などの撤退により、高齢者などが地元で日常生活品などの買い物ができない地域が増えています。協議会が店舗等出店活用事業又は中心市街地空き店舗等活用事業の活用ができるようにして、また補助金の増額の改正を提案します。
◎産業振興部長(米倉秀史君)
私から、住民自治協議会が店舗等出店活用事業や中心市街地空き店舗活用事業を活用することができないかとの御質問にお答え申し上げます。
まず、店舗等出店活用事業は、商店街に不足する業種などの店舗の出店を誘致するために商店街団体が空き店舗等を借り上げた上で、事業者に貸し出す事業に対し、その賃借料と改修費へ補助を行う制度でございます。
補助内容は、賃借料への補助は対象経費の三分の一以内で、補助限度額十五万円を十二か月分、また改修費への補助は対象経費の二分の一以内で、補助限度額を二百万円としております。この事業は、商店街振興組合や商店街事業協同組合など、法人格を持つ商店街を初め十以上の店舗で形成される商店街であれば、任意の商店街組織でも可能であり、さらに市長の特認でこれらと同等の活動をしている団体も事業主体となることができるわけでございます。
御要望のありました住民自治協議会を事業主体とすることにつきましては、現行制度の中に規定があります市長の特認で十分対応できると考えておりますので、住民自治協議会においてそのような事業計画がございましたら、今後、御相談に乗ってまいりたいと考えております。
なお、さきに申し上げましたとおり、賃借料に対しては十二か月で最大百八十万円まで、改修費に対しましては、最大二百万円まで補助できることになっております。補助金の増額につきましては、現行どおりで御理解をお願いしたいと思います。また、中心市街地空き店舗等活用事業につきましては、住民自治協議会が自ら事業者となって店舗を出店、経営する場合は、現行制度でも補助対象となっておりますので、御活用いただければというふうに思います。
私からは以上です。
公契約条例について
次に、公契約条例についてお伺いします。
千葉県野田市は、全国で初めて公契約条例を九月二十九日、全会一致で制定しました。野田市の公契約条例では、対象が予定価格一億円以上の公共事業と一千万円以上の業務委託契約としました。業務委託契約は、施設設備の運転管理業務、保守点検業務、清掃業務に限定し、将来は拡大を予定している。適用される労働者の範囲は、労基法九条の労働者で、受注者若しくは下請者に雇用される者と派遣法適用者としています。市が定める賃金の最低額は、設計労務単価や市の一般職の職員給与を勘案して決定する。市は、設計労務単価の八十パーセントを最低保障したいと述べています。最低賃金を下回った場合、受注者は下請、孫請などと連携して労働者に支払う義務を負い、市は契約解除や損害賠償請求できる上、事業者を公表できる。二〇一〇年度から施行するとしています。
野田市の根本市長は、条例の提案に当たり、提供されるサービスや財に対する品質の確保が問題となり、さらに低入札価格の結果、業務に従事する労働者や下請業者にしわ寄せがされ、賃金の低下を招いていると述べているなど、公共サービスの低下を裏付けています。公契約の下で労働者や下請業者、孫請、ひ孫請業者も生活できる単価を保障させることが求められていると思います。
長野市議会は、平成十九年十二月議会で、長野建設産業労働組合の請願、「公共工事における賃金等確保法」(仮称)の制定など、公共工事における建設労働者の適正な労働条件の確保に関する意見書が全会一致で採択され、関係大臣等に送付されました。
請願項目は、一つ、公共工事において建設労働者の適正な賃金が確保されるよう、公契約法の制定を進めること。二つ目には、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の附帯決議事項の実効ある施策を進めることになっています。
意見書を採択した自治体は七百七十一に広がっています。国際労働機関--ILOは一九四九年に公契約における労働条項に関する条約を採択し、各国が批准し、公契約を通して公正労働基準の確立が目指されています。EUでは二〇〇一年の指令で、公契約を締結する条件として、一つ、失業者を雇用すること。二つ、男女間の平等や人種的・民族的多様性を促進させること。三つ目に、契約の履行期間中ILOの基本条約に定める内容を充足すること。四番目に、多数の障害者を採用することを義務付けています。そこで、幾つかのことについてお伺いします。
一つ目には、市として公契約条例、最低賃金、下請単価、罰則の制定についてお伺いします。
財政部長(久代伸次君)
公契約条例の制定に関する御質問にお答えいたします。
本市発注の工事の入札におきましては、賃金など労働条件をどうするかは、飽くまでも事業者の裁量によって最低賃金法や労働基準法など、関係する法令の範囲内で決められるべきものであり、適正な労働条件をどのように担保していくかは、市議会の意見書にもありますように、公契約法の制定を含め社会保障政策として国政の場で対応するべきものと考えております。
したがいまして、現時点では公契約条例の制定は考えてございません。ちなみに、発注者としての地位に基づき公契約条例によって強制的に一定の賃金の支払を受注者に義務付けたとしても、そのしわ寄せは資材費など他のところへ向かう可能性もあり、必ずしも工事品質の確保につながらないおそれもございます。
そこで、本市では地域の雇用を確保し、建設業に携わる皆さんが持続的に発展できるよう、入札制度の見直しに取り組むことといたしました。
まず、最低制限価格制度において平均落札率が比較的低かった土木系工事につきまして、国土交通省が行いました低入札価格調査基準価格の見直しに準じて最低制限価格の設定基準を六月から引き上げ、さらに長野県の入札制度改革を踏まえ、再度引上げを十月に実施いたしました。
また、十月からは低入札価格調査の対象者に提出を求めている書類を追加いたしまして、調査の強化を図ったところでございます。具体的には、手持ち工事の状況、主要資材の購入先及び労務者の確保計画などを調査いたしまして、低価格入札のしわ寄せが労働者や下請事業者などへ及ぶことなく契約内容に適合した品質の確保が図られるか否かを確認した上で、契約の締結を行うことといたしました。
なお、契約を締結する際には、日本国の法令を遵守し、この契約を履行しなければならないとの条項を盛り込んだ契約書を取り交わしており、国が定める適正な労働条件に違反したり、不当に低い代金の下請契約を締結したりしている事実が明らかになった場合には、指名停止や場合によっては契約解除の措置をとってまいりたいと考えております。
次に、市は十二月十八日以降の入札から会場入札をやめ、郵送又は市契約課へ持参する、随意契約以外はすべての案件とし、二十二年度より電子入札に移行するとしています。業者への説明や準備の状況、入札の公平性、透明性、問題点についてお伺いします。
◎財政部長(久代伸次君)
次に、郵送入札及び電子入札に関する御質問についてお答えいたします。
本市では、これまで入札会場で入札書の提出を受けた後、その場で開札する会場入札方式を基本としてまいりました。しかし、来年度から電子入札を導入することとなり、十二月十八日より随意契約を除くすべてを電子入札への移行が容易な期間入札方式に変更することといたしました。
期間入札は、あらかじめ定めた期間内に入札書等を郵送又は持参していただくもので、提出期間や場所などは、指名入札通知書又は公告でお知らせいたします。
入札参加者はこれまでのように決められた時間に入札会場へ参集する必要がなくなり、書留による配達日指定郵便で郵送するか、定められた期間内の都合のよい時間に契約課へ持参すればよくなります。その結果、入札参加者は入札時刻の束縛から解放され、発注者も入札会場への移動が不要になるなど、事務の効率化が図られるとともに、入札参加者が一堂に会する機会がなくなることから、談合等の抑止効果も期待できます。
現在、市ホームページ上で実施方法などを御案内するとともに、指名通知書に説明書を添えたり、入札会場や契約課窓口において資料を配布いたしまして、期間入札への円滑な移行に努めているところでございます。
問題点といたしましては、入札書などを封入、封かんしたり、開封する手間が増えることや郵送の場合の見積期間が現在より三日ほど短くなってしまうということがございます。
次に、電子入札でございますが、来年度より導入するための準備を進めております。当面は、条件付き一般競争入札と事後審査型一般競争入札を対象としますが、状況を検証しながら順次指名競争入札にも拡大していく予定でございます。
なお、本市が導入する予定のシステムは、長野県と県下市町村の共同利用型であり、利用される事業者は同じ認証カードによって、同様な操作で本市や県などの電子入札に参加できるようになる予定でございます。現在、長野県において基となるシステム開発を進めているところでありまして、概要が固まり次第公表してまいりたいと考えてございます。
期間入札及び電子入札のいずれにつきましても、事業者の利便性向上と負担軽減を図りつつ試行とその検証を継続しながら、本市に合った制度となるように努めてまいりたいと考えてございます。
次に、深刻な不況が続く中で、入札価格に低価格が大半を占めていますが、直接経費の下請代金、労務費の低下につながっていないかお伺いします。
◎財政部長(久代伸次君)
次に、下請代金、労務費の低下に関する御質問にお答えいたします。
景気低迷などから事業者間の競争が一層激化していることにより、不当なダンピング受注が懸念されたことから、五千万円以上の工事に適用する低入札価格調査を平成二十一年十月から強化したところでございます。
具体的には、工事費内訳書により事業者の積算価格と市の設計価格を比較して極端に価格が低いものはないか、また労務単価や下請事業者に関する書類により、労務費や下請事業者への不当なしわ寄せがないかなどの観点から調査し、適正価格での受注確保を図っております。これまで八件の低入札価格調査を行いましたが、下請代金や労務費が積算される直接工事費において、市の設計と事業者の見積りに大きな差はなく、当該工事の収支見込みも黒字との申告があったため、契約を締結いたしております。また、五千万円未満の工事につきましては、最低制限価格制度により、不当な価格による受注は排除しているところでございます。
次に、指定管理者制度導入で競争原理、コスト削減、サービスの向上としているが、三百四の事業において労働者の過密労働、賃金の削減の犠牲になっていないかお伺いします。
◎企画政策部長兼行政改革推進局長(丸山文昭君)
続きまして、指定管理者制度の施設における労働者の権利についてお答えいたします。
本市において、指定管理者制度を導入している施設の指定管理者につきましては、公の施設における指定管理者の指定の手続等に関する条例に基づき団体の公募を行い、指定管理者の候補団体を選定し、議会において議決いただいた上で指定しております。
この指定の手続の中、団体の公募を行う際に公表しております指定管理者募集要項と指定された団体と締結いたします指定管理者による管理に関する基本協定書において法令等の遵守を必ず盛り込むこととしており、指定管理者におきましても、勤務する職員の賃金、労働条件などについて関係法令を遵守することとしております。
また、指定管理者の候補団体の選定に当たっては、その基準を定め、職員配置の項目については、実際に施設を運営できる職員体制かという観点から、その支出の項目については、人件費も含む施設の管理運営に係るすべての経費について、無理な抑制となっていないかという観点から審査することとなっております。
次に、指定管理者による管理運営が開始された施設につきましては、協定書などを遵守した適正な管理運営が行われていたかを評価するモニタリング評価を施設所管各課が毎年度実施しております。このモニタリング評価につきまして、職員配置という評価区分を設け、施設管理運営に必要な人員がサービスの維持向上が図られるよう適切に配置されていたかについて評価をしております。
ちなみに本年度のモニタリング評価では、すべての施設においてこの職員配置の項目の評価が標準以上であったという結果から、適切に人員が配置され、協定書などを遵守した施設の管理運営が行われていたものと考えております。
また、本年度のモニタリング評価結果の考察でまとめさせていただきましたように、今後の指定管理者制度はその目的の一つであるサービスの向上を第一に運営する方向に移行していくものと考えております。サービスの向上を図る上で指定管理者における法令等の遵守と適切な人員配置は必要なことから、これまでと同様に今後も指定の手続とモニタリング評価を行う中で、その確保に努めていきたいと考えております。
以上でございます。
次に、入札参加業者が受注機会の拡大を図るため、標準指名業者数の拡大、手持ち工事件数の削減、百万円未満の工事についてのランク制限などの改善を提案します。お答えください。
◎財政部長(久代伸次君)
次に、入札参加者の受注機会の拡大に関する御質問にお答えいたします。
工事の発注に当たっては、工種ごとに経営規模などに応じて事業者を格付けし、受注できる工事の範囲を事前に定めることにより中小事業者の受注機会の確保を図りつつ、効率的で適切な発注に努めるとともに、要綱で標準的な指名業者数を設計金額に応じて定めることにより、競争性の確保に努めております。
例えば、設計金額が五百万円未満の場合には、五人以上指名することとしております。ただ、実務上は競争性をより高めるために標準指名業者数の約一・五倍の八人程度の事業者を指名しております。指名事業者数の拡大は、開札事務の負担増ともなることから、現時点では考えておりません。
手持ち工事の状況につきましては、指名する際には勘案しておりますが、技術と経営に優れ、意欲のある事業者の受注機会を確保することも大切でありますことから、現時点では、手持ち工事件数により入札参加制限を行うことは考えておりません。
最後に、百万円未満の工事についてのランク制限でありますが、指名競争入札での指名選定又は随意契約での相手方選定においては、原則として設計金額により定められた等級に格付けされている者から選定しているところでありまして、土木一式工事を例にとりますと、等級格付けがC、D、E級の事業者の中から、できるだけ地元の下位事業者を選定することとしているところでございます。
ただ、特に急を要する工事及び特別な技術を要する工事等、特別な事情があるものにつきましてはこの限りではないとして、以前施工した付近の工事で現場を熟知しているとか、重機等機動力が必要、あるいは早急な対応が求められるなどといった場合や近隣に低い等級の事業者がおられないときなどは、上位の事業者を選定する場合もございます。
このように、上位事業者の選定は限定的に行われているものでありますが、一定の品質を確保しなければならないとの要請もあり、現在、この対応について庁内で検討を進めているところでございます。
いずれにいたしましても、入札・契約制度改革に終わりはないものと考えております。これまでの見直しの結果を検証し、今後も本市に合った制度とするよう努めてまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
<<再々質問>>
次に、公契約条例に関連してですが、財政部長の答弁では、公契約条例は国がやるべきだということで答弁されました。そこで、一つは公契約条例の中には、先ほど法令を守ってという話があったわけですが、しかし今、長野県の労働者の一時間当たりの賃金単価は六百八十一円、二円だと思うんですね。それで、公共事業を発注したところに、指定管理者制度もそうですが、そこで働いている労働者がそういう単価で本当にいいのかどうかということだと思うんです。
野田市の関係では、労務単価を八割にしたいということを言っていました。そこの中でいくと、普通作業労働者が今、県の労務単価では一万二千八百円、一時間当たりで千六百円、それで八割ということになれば、一日八時間で一万八百四十円の保障をするということなんですよね。そういうことをきちっとやるということが一つは大事じゃないかと。
それから、もう一つ、百万円以下の工事についてなんですが、建設部の方で調べていただいたんですが、五十万円以下の工事についてなんですけれども、一つのAランクの業者が平成二十年四月から二十一年三月まで、継続的に三十三か所の工事を随意契約で行い、合計金額一千六百八十四万四千円も工事を受けているんですよ。
本来土木でEの工事だったら、小さいところの工事に回すのが普通なわけですが、Aランクの工事の人が一年経過する中で、工事が切れずに随意契約を行って一千六百八十四万四千円も工事を発注していると、こういうやり方はいかがなものか御答弁を願いたい。
◎財政部長(久代伸次君)
先ほどのAランクの業者の方が随契によって一千六百万円以上のというお話でございますが、ちょっとその件に関しましては、私、承知しておりませんでしたので、確認をして何らかの対応をとりたいと思います。
それから、公契約条例の関係でございますけれども、先ほど御説明しました法律に基づく最低賃金法等によるというお話のほかに、例えば条例を制定すること自体がどうかというところにつきましても、まだ疑問点と申しますか、要は地域の最低賃金についてその地域で条例を定めてやった場合には、基本的にはその地域の影響というのがまずありますが、それが全国に波及するという可能性もございます。
そうしますと、いわゆる地方で定めた条例がいわゆる全国に波及して、その一定の賃金の水準みたいな話になってきますと、そもそも最低賃金法という法律の下にあるのが条例でございますので、法律に違反した条例というのは基本的に作れないということもございまして、その点で疑義もございます、正直申し上げますと。
そういった部分については、例えば厚生労働省がどういう見解を示すのかというようなこともございますので、基本的にはそういったことも含めて国政の場で議論をしていただいて、方向性を出していただくものと認識してございます。
以上でございます。
<<再々々質問>>
公契約条例について、鷲澤市長の見解をちょっとお伺いしたいと思います。
◎市長(鷲澤正一君)
公契約については、私もそれほど詳しいわけではありませんが、ただし私は久代財政部長の言っていることは正論だというふうに思っています。
以上です。
◎財政部長(久代伸次君)
先ほどの阿部議員さんの御質問の中で、A級の事業者が五十万円以下の小規模工事を随意契約等で行って一千六百八十四万四千円という件につきまして確認ができましたので、お答えをいたします。
これにつきましては、大型の機器を有するしゅんせつ工事や、あるいは高度な技術力を要するロードヒーティング等の電気工事、それから緊急を要する修繕工事等が該当しておりまして、特殊事情ということでやむを得ない状況であったということでございます。
以上でございます。
子どもの権利条約締結二十年と教育問題等について
次に、子どもの権利条約締結二十年と教育問題等についてお伺いします。
子どもの権利条約採択二十年に当たって、中央大学教授で国連NGOのDCI日本支部副代表の横湯園子さんが日本の子供を取り巻く深刻な状況を述べています。子どもの権利条約が一九八九年十一月、国連で採択され二十年になりました。日本は、一九九四年に批准し、世界百九十三の国と地域が批准・参加しています。子どもの権利条約は、赤ちゃんから十八歳未満までの子供の尊厳と成長、発達を保障した国際的約束です。条約は生存する権利、教育を受ける権利、休息、余暇、遊び、文化・芸術的生活への参加を含め、包括的に定めています。
子供が自由に自分の意見を表明できる権利--意見表明権も含まれています。大人は子供の声に耳を傾け、その意見を尊重することによって、子供は主体的に物事を考えていけるようになります。各国の政府は、五年ごとに条約の実施状況を国連子どもの権利委員会に報告し、審査されます。
日本政府は、国連子どもの権利委員会から、過度に競争的な教育制度などで是正を二度にわたって勧告されています。しかし、是正するどころか、学力テストや学校選択制を導入し、子供を激しい競争に追い立てています。昼は学校、夜は学習塾と子供は遊びや休息の権利さえ保障されていません。この中で、自分を肯定できない子供が増え、ユニセフが対象とした十五歳の幸福度調査で、日本は孤独を感じる率が二十四か国中トップでした。
更に深刻にしているのは、貧困と格差の拡大で、所得の低下、非正規雇用の拡大、派遣切りなど失業者の増大、学費の未納で中退、現在の子供の貧困が未来の貧困につながる重大問題として指摘し、また子どもの権利条約は、高校生を含む中等教育の無償、健康、医療への権利を明確にしています。
自民党・公明党政治から復活した全国学力テストが三年間実施され、来年度は全員参加方式から抽出方式に変えるとしています。今、子供たちに必要なのは、子どもの権利条約に示されていることを市政として実行していくことではないでしょうか。そこで、幾つかのことについてお伺いします。
初めに、三十人規模学級制を中学一年生まで早急に実施し、順次拡大についてお伺いします。
年間三十日以上学校に行けない児童・生徒は、平成十年度と平成二十年度との比較で、小学校全学年で百一人から九十九人、中学校では一年生が七十五人から百十人に、二年生は百四十人から百五十七人に、三年生は百五十人から百四十一人になっています。中学校一年生の学校に行けない生徒が極端に増えていることが分かります。
三十人規模学級制実施は、児童・生徒への行き届いた教育、不登校解消などの成果を示しています。また、財政は一年生の実施で十二学級で六千六百万円、二年生で七千百五十万円、三年生で六千六百万円になります。今まで県と協調して実施して支出した七千万円を充てれば、一年生の三十人規模学級制を行うことができます。来年度からの実施を提案します。
◎教育次長(新津吉明君)
私からは、教育問題等についての御質問のうち、五点についてお答えをいたします。
まず、三十人規模学級編制を来年度から中学一年生でも実施をとのことでございますが、議員さんの御指摘のように、不登校生徒への支援を初めとして、中学校では様々な課題を抱える生徒に対する細やかな対応が不可欠であり、学校現場からは学級数による教職員配置だけではなく、学校の実情や課題に応じて対応できる教職員の配置が望まれておりますことから、市教委といたしましても、県へ教員の加配を要望してきたところでございます。
その結果、県では不登校対応教員を中学校に加配するとともに、各校の様々な教育課題に柔軟に対応できるよう、活用方法選択型教員配置事業により基準に沿って市町村教委に教員を配当し、それぞれの学校の状況や希望により少人数学習集団を編制し、教科指導をしたり、生徒の不登校や不適応に対応したりできる柔軟な教員を配置しております。また、市といたしましても、特別支援教育支援員等を各校に配置してきているところであります。
本市といたしましては、従来より中学校においては、細やかな対応を行うに当たっては、学級集団を小さくするのではなく学習集団を小さくした少人数学習集団指導が有効であるとの認識から、現時点では中学校一年における三十人規模学級編制の実施は考えてはおりません。
なお、中学校一年生が不登校になる割合が高くなる、いわゆる中一ギャップにつきましては、本市の不登校対策の中でも重要な課題としてとらえ、今、全小・中学校と不登校対策委員会、各関係機関の連携の下、その解消に向け取り組んでおります。
各校においては、不登校の予防と早期発見のためのQ--U調査を実施するほか、児童・生徒の共通理解を深め、早期対応を図るため小中連絡会や不登校児童・生徒に焦点を当てた情報交換、小学生の中学校入学説明会や体験入学などを実施しております。
また、各小学校では中学校の教科担任制を意識した授業実践や人間関係づくりの能力の育成に焦点を当てた活動などにより、中学校進学を意識した取組も行っております。
中学校では、中学一年生の不登校生減少に向け、学級や学年の所属感や成就感、自己肯定感の育成や個に応じた学習支援の充実、学習相談や教育相談、生活に関するアンケートの実施、またQ--U調査の結果等を活用したSGE--構成的グループエンカウンターを実施しての人間関係づくりなど、よりきめ細かな対応を行っており、一人一人の子供たちが笑顔で元気に通える学校づくりに努めております。
次に、医療費の無料化を小学校まで実施についてお伺いします。
県と市町村代表による乳幼児等の医療費を助成する福祉医療費給付事業の見直し検討委員会は、小学校三年生までの入院に拡大すると発表しました。市は、松本市などと小学校の通院まで拡大してほしいと訴えています。市独自に小学校まで入院・通院の医療費の無料化実施についてお答えください。
◎保健福祉部長(松橋良三君)
私から、まず医療費の無料化を小学六年生まで拡大することについてお答えいたします。
福祉医療費給付制度は、市町村における福祉施策として定着し、受給者の福祉の増進に大きな役割を果たしております。しかし、近年の高齢社会による医療費の増加、一連の医療保険制度改革による医療費の自己負担額の増加等に伴い、長野市の福祉医療費の給付額も事業費ベースで毎年一億円ほど伸びております。
本年度長野県では、制度見直しのために長野県福祉医療費給付事業検討会を設置し、県内市町村長への意向調査等を踏まえて県の補助対象の拡大について検討を行いました。このたび五回の検討会を経まして、乳幼児対象範囲の拡大については、小学校低学年までの児童は病気にかかることが多く医療費も高いこと。また、通院に比較して入院に係る医療費の自己負担額が非常に大きいことから、総合的に判断いたしまして、補助の対象範囲に小学校一年生から三年生までの入院を所得制限を行わず加えることが適当であると報告されたところでございます。
長野市では、長野市社会福祉審議会に福祉医療費給付制度全般の見直しについて六月に諮問いたしました。現在、審議中でございます。審議会では、早期に実施することによる市民への利益等を考慮しまして、県へ提言された部分の審議を現在、先行しております。その中では、小学校低学年までの入院に対する医療費の負担額が大きいことから、県の補助対象と同じ小学校三年生までの入院を拡大し、平成二十二年四月診療分から実施することが良いのではないかとする意見が出されております。市といたしましては、審議会からの答申を尊重し、決定してまいりたいと考えております。
対象年齢を小学校六年生の入院、通院まで拡大をという御提案でございますが、引き続き長野市社会福祉審議会では、年々増加する福祉医療費の現状を踏まえ、対象範囲など所得制限の在り方を含め、制度全般について審議を継続する予定でございます。その中で調査、審議いただけるものと考えております。
次に、全国一斉テストと市独自のNRT--標準学力検査の中止について伺います。
日本政府は、国連子どもの権利委員会から過度に競争的な教育制度などの是正を二度にわたって勧告されてます。過度の競争には全国学力テストや市独自のNRTがあります。全国各地では、平均点を上げるために全国学力テスト用の想定問題を繰り返しやらせ、その分他の授業が削られるなど、本末転倒な事態が起き、テストの点数だけを競う風潮をあおり、教員にプレッシャーを掛け、教育をゆがめる弊害を生んでいます。
学力の推移などを検証するためのデータ収集は、抽出調査で十分です。児童・生徒一人一人に学期ごとの通知表に学習評価が示されています。この評価に基づいて学習を進めることが一人一人に行き届いた教育を進めることになるのではないでしょうか。
民主党中心の政権によって、先般事業仕分けが行われました。この全国学力テストの仕分けについても大幅な削減と効果についての疑問が述べられたと報道されています。全国一斉テストと市独自のNRT--標準学力検査の中止を求めます。
◎教育次長(新津吉明君)
次に、全国学力・学習状況調査と標準学力検査--NRTについてお答えをいたします。
全国学力・学習状況調査は、教育委員会、学校が全国的な状況との関係において、自らの教育及び教育施策の成果と課題を把握し、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立することと、各学校が各児童・生徒の学力・学習状況を把握し、児童・生徒への教育指導や学習状況の改善に役立てることを目的で行われてきました。
本市におきましても、その結果を分析し、児童・生徒の学力及び学習状況を向上させる取組に活用してまいりましたが、調査結果を基に教師の指導改善や学校の教育課程改善を行うことにより、児童・生徒への基礎学力の保障を図ることを第一と考えており、議員さんの御指摘の過度の競争を促すものとは認識しておりません。
また、この調査の目的の一つである調査結果を自分の指導に生かすことを各学校では確認し、実施しておりますので、議員さん御指摘の想定問題を繰り返し行うことや点数だけを競うということは、本市では聞いてはおりません。
また、本市が独自で行っている標準学力検査--NRTは、児童・生徒の学力を客観点に把握するだけでなく、教師や学校が自らの指導結果を把握し、指導改善を行い、日々の授業を通して基礎学力の保障を図るために行っております。何よりも児童・生徒にとって最も身近で多大なる影響を与える人的環境である教師が全国学力・学習状況調査と標準学力検査--NRTの結果を活用し、自己の指導力を向上させる取組を行っていることがその成果の一つとして挙げられます。
各学校では、児童・生徒や保護者に向けてそれぞれの学期に行われた学習の評価の一つとして、学期末に通知表を渡しております。通知表はそれぞれの学期の学習の状況が丁寧に記載されますが、年間を通してや小学校六年間、中学校三年間という長い期間の学習評価については、記載されにくい傾向がございます。
その点、全国学力・学習状況調査や標準学力検査--NRTでは、ある程度長い期間を通した児童・生徒の学習状況を教師一人一人による評価だけではなく、客観的に把握できる良さがあり、各学校では通知表と関連付けながら、それらの調査結果を個人成績表として児童・生徒、保護者に渡し、どのくらいの力が身に付いたのかを説明しております。
平成二十二年度は、全国学力・学習状況調査も抽出調査に移行する方向が示されております。この抽出調査では、全国の傾向や都道府県の傾向は把握できますが、児童・生徒一人一人の学力の状況や課題をフィードバックすることができなかったり、学校の取組に対する検証改善サイクルに反映させることができにくかったりするという課題があることが予想されます。
今まで述べさせていただきましたとおり、本市としては、今後も標準学力検査--NRTを実施し、検査結果を活用した各学校の取組を指導していくとともに、全国学力・学習状況調査につきましては、国の今後の情勢を把握しながら、適切に判断してまいります。
次に、教職員の時間外勤務及び持ち帰り仕事などの大幅な改善についてお伺いします。
市教育委員会に先生方の残業時間、有給休暇の消化状況、クラス担任、学年担任、部活担当--運動部・文化部の調査をお願いしましたが、掌握していないとのことでした。そこで、県教職員組合から職場勤務実態調査のまとめについて聞いてきました。
勤務状況については、毎年行われていました。その結果、正規の時間を超えて勤務した時間は、一週間で平均十時間四十七分となり、持ち帰り仕事など合わせて三年連続過労死ラインを超える月八十時間以上の勤務になっています。私も帰りが遅くなることがありますが、学校の明かりが遅くまでついています。また、地域の教育懇談会に参加したとき、教員の方から朝六時には家を出、帰りはいつも十一時過ぎ、たまの休みに子供とキャッチボールをしているという発言を聞きました。教師が過労死を超える勤務では、正常な教育はできません。教育委員会として勤務実態を把握し、勤務時間の改善を求めます。
◎教育次長(新津吉明君)
三点目として、教職員の時間外勤務の改善についてお答えをいたします。
議員さんの質問の内容にございました教職員の勤務状況につきましては、校長会や学校訪問、校長面談等あらゆる機会を通して、それぞれの学校の教職員の勤務の状況について把握に努めております。議員さん御指摘のとおり、教職員の時間外勤務については、市教委といたしましても課題と考えております。
特に、中学校では部活動指導後に翌日の授業の教材準備や校務を行わなければならず、部活動指導の最盛期においては、日々時間外勤務を行う状況にあることも理解しているところであります。各学校でノー部活デーを位置付ける、定期テスト前に休業日を設ける等、対策を講じているところではありますが、抜本的な改善にまでは結び付いてはおりません。
しかしながら、現在、長野市立中学校運動部活動活性化推進事業を推進し、十七校の中学校で外部指導者を活用しており、多少なりとも顧問の先生の負担の軽減につながっているものと考えているところであります。もちろん時間外勤務は部活動だけではありませんが、時間外勤務縮減への取組推進や年次休暇の使用が促進されるように校長会で指導したり、各学校で効果があった取組で、例えば職員会議の精選、家庭訪問の実施学年を減らす。中学校においては、各種会議を時間割の中に組み込むなどを紹介したりしております。
また、学校現場での校務が効率化されるように情報機器の設置、デジタル保健版を初めとしたデジタルコンテンツの整備といった教育の情報化の推進に努めたり、教職員の負担軽減を図る一方策として、小・中学校への作品要請を始め、各種配布物等を精査し、学校への依頼を必要最小限にしていただくよう、関係機関に依頼したりしているところでございます。
今、このときにも、学校では教育活動が行われております。子供たちの前に立つ教職員が心身共に健康であることが子供たちの健やかな成長を促すことは言うまでもありません。先日行われた校長会では、来年度の教育計画を立案するに当たり、会議の回数減、学級事務に当たる時間の確保、課外活動の在り方、特定の教職員だけに負担が行かない体制づくり等について具体的に検討するよう指示をいたしました。
今後とも教職員の時間外勤務の減少や負担軽減を目指し、学校と共に努めてまいる所存でございます。
次に、児童館、児童センター、児童クラブの充実と放課後子どもプランの見直しについてお伺いします。
市は全小学校区に児童館、児童センター、児童クラブを作り、これ以上作らないと言っています。児童・生徒、保護者の立場から作らなくてもよいのでしょうか。今、貧困と格差が拡大し、雇用の不安定、失業など深刻な事態が進んで、保護者が安心して労働ができる環境を整えることが必要ではないでしょうか。対象の児童を三年までに制限していますが、一年、二年まで制限しているところが九か所もあり、近くに親族がいる、お兄ちゃんがいるということで断られたということも聞きました。せめて長期休みのときだけ預けたいとの要望も聞きました。希望者が全員受け入れられる施設の建設、児童一人当たりの床面積の拡大、センターのように百五十人を超える大規模でなく、七十人以下の児童館の充実が求められています。お答えください。
次に、放課後子どもプランは平成二十年度四校実施、二十一年に十三校で進められてきましたが、子供を限定し、空き教室がないなどで、児童が健全に過ごすことができないなどの問題があります。今 後の導入を根本的に見直す必要があります。答弁を求めます。
◎教育次長(篠原邦彦君)
教育問題等についての御質問のうち、二点につきましてお答えをさせていただきます。
初めに、児童館・児童センター・児童クラブの充実と放課後子どもプランの見直しについての御質問でありますが、長野市では、総合的な放課後対策事業として平成二十年二月に長野市版放課後子どもプランを策定いたしました。
これは、厚生労働省が所管するおおむね小学校三年生以下の留守家庭児童を対象とした放課後児童健全育成事業と文部科学省が所管する小学生の希望児童を対象とした放課後子ども教室事業を一体的に実施するもので、両省において提唱された放課後子どもプランに基づき、児童館館長会、放課後子ども教室、小学校校長会、PTA連合会等の代表者で構成される長野市放課後子どもプラン推進委員会の皆様の御協議を踏まえ、策定をしたものであります。
プランの概要につきましては、これまで御説明してまいりましたとおりでございますが、基本方針として小学校施設の活用、放課後対策事業の一体化、市民ボランティアの参加を掲げております。この三本柱のうち小学校施設の活用につきましては、少子化に伴い今後、児童数が減少していく中で、体育館やグラウンドといった活動できる場所がある既存の小学校施設を最大限活用していくもので、文部科学省におきましても、小学校教室の活用について通達しているものであります。
当市では、現在の児童館、児童センターという既存施設を活用して主に留守家庭児童を対象とした放課後児童健全育成事業を実施し、また希望児童を対象とした事業としては、安全で安心な居場所として新たに小学校の余裕教室等を活用した子どもプラザを開設して実施をし、両事業を同じ運営主体の下で管理運営を行っていくことを目指しております。
この長野市版放課後子どもプランは両事業のそれぞれの特徴を生かしつつ、保護者の就労状況によって子供たちを区別することなく、放課後等における児童の安全・安心の場の創出を図っていくものであります。全五十四小学校区では、それぞれ実情が異なることから、ただ今申し上げました基本方針の下、各校区の運営委員会の皆様と共に、その校区に適した運営を行っております。現在十七の小学校区で実施をしておりますが、中には児童センターの狭あい化の解消を図るために、新たに子どもプラザを校内に開設したところもあります。
学校内施設の提供場所の広さに応じて受入対象児童をまずは低学年の留守家庭児童を優先として実施をし、順次対象を広げていきたいと考えております。今後、児童数の推移を見据えた校舎の増築や耐震改築の際には、新たな拠点場所の確保も図ってまいりますが、当面は既存施設を工夫して活用する方向で、希望児童も受け入れていきたいと考えております。
長期休みだけの利用につきましては、平日に比べ利用児童が減少するため、現在でも各施設で柔軟に対応をしていただいておりますので、それぞれの施設にお問い合わせをいただければと思います。
留守家庭の三年生以下の児童も含めたすべての希望児童を対象として、一体的に運営する本事業は、家庭、学校、地域の連携、協力により総合的な放課後対策事業として推進をしていく本市の優先施策として位置付けているものでありまして、今後、できるだけ早く長野市版放課後子どもプランが全小学校区で実施できるよう、各小学校や地区の皆さんと協議を進め、子どもプラザの開設に努めてまいります。
新型インフルエンザ対策について
次に、新型インフルエンザ対策についてお伺いします。
新型インフルエンザは、全世界に広がり、日本では患者数一千万人と報道されています。長野市では、保育園、小学校、中学校、高校など集団感染で学級閉鎖、休校などになっています。共産党市議員団は、学校訪問で実情を聞く中で副市長への申入れも行ってきましたが、改めて要望します。
一つは、市は新型インフルエンザの対策のため保育園、学校などの要望を聞いて対応してください。予算措置を是非お願いします。
二つ目には、養護教員が一人だけのところは臨時嘱託も含め、複数配置を行うこと。
次に、給食費は学級閉鎖などした場合、保護者に返還すること。
次に、保護者が新型インフルエンザにより会社を休む場合、会社の理解を求めるアピールなどを出して雇用不安をなくすことを求めます。答弁をお願いします。
以上で質問を終わります。
◎保健福祉部長(松橋良三君)
次に、新型インフルエンザ対策についてのうち保育園での対応についてお答えいたします。
新型インフルエンザは、乳幼児が感染した場合、重篤化するリスクが高いと考えられていることから、公立保育園では臨時休園の目安として、一週間以内に二名以上の感染が確認された場合には感染を防止するため、おおむね七日間程度を臨時休園としております。
園児が通っています保育園が休園になった場合に、保護者が休みをとることができない、また臨時に預かってもらう親せきや友人等がいない世帯の対応につきましては、各家庭の事情を聞く中で個別に判断し、当該園児がインフルエンザにり患していないことと、同居の家族にインフルエンザにり患している者がいないことを確認した上で、休園中の園でお預かりいたしております。また、休日を含めた休園期間中も職員が出勤いたしまして、保護者の相談に応じているところでございます。
なお、私立保育園につきましても、公立保育園と同様の対応を要請してございます。
しかし、保育園を休園することは社会的影響が大きいことから、現在の措置については、新型インフルエンザの発生状況やワクチンの接種状況によって、休園の目安等を見直してまいりたいと考えております。
次に、感染症対策としての備品等の配備についてでございます。
公立・私立保育園では、電子体温計、マスク、消毒液が不足することのないよう用意をしてございます。また、加湿器又は空気清浄機を公立・私立保育園八十六園中、七十三園で設置しており、未設置の園ではぬれたタオルを保育室で干すなど、保育室の湿度を保つ工夫をいたしております。
さらに、来年度は県の補助でございます安心こども基金を活用して、空気清浄機をすべての公立・私立保育園に設置するよう計画しております。
私からは以上でございます。
◎保健所長(小林文宗君)
私からは、新型インフルエンザで保護者が仕事を休むことについて、会社の理解を求め、雇用不安をなくすようにとの御要望に対してお答えいたします。
新型インフルエンザにり患した場合は、おおむね症状が出始めてから七日目まで、あるいは熱が下がってから二日を経過するまでの自宅療養が必要とされており、この間はウイルスの排出によりほかの人に感染させる可能性があります。
このため感染拡大予防のため、学校、保育園等では感染した児童は出席停止となり、集団感染の場合は、学級閉鎖などの臨時休業措置が行われますので、この間、子供の看護や育児で保護者が仕事を休むことが必要となります。
本年五月、国からの通知に基づき従業員の子供等が通う保育施設等が臨時休業になった場合における当該従業員の勤務に対して、特別休暇を与えるなどの配慮を関係課から長野商工会議所及び長野市商工会へ要請いたしました。
また、子供が感染した場合は、保護者が濃厚接触者となり、家族内感染の可能性が生じます。職場における新型インフルエンザ対策としては、感染者本人が療養期間中は仕事を休むことが職場内での感染拡大予防につながりますが、事業所によっては、濃厚接触者についても仕事を休んでもらう場合もあると聞いております。
新型インフルエンザ発生以来、自宅での療養方法や濃厚接触者への注意点等について広報紙やホームページに掲載し、市民や企業の皆様に周知を図るとともに、施設や事業所等からの相談に応じる中で、従業員への指導や配慮と併せて、事業所内での感染拡大防止対策への理解と協力を求めてまいりました。このほか県においては、八月に全県下の事業所を対象にした研修会を開催し、本市でも商工会議所等の協力を得て、会員の企業向けに毎月発信されている働き盛り世代への健康通信十一月号で新型インフルエンザ対策についてお願いをいたしました。
また、長野市元気なまちづくり市政出前講座のメニューとして新型インフルエンザに備えるという内容で、地域や諸団体、事業所等へ出前講座を実施して、新型インフルエンザに対する理解と感染予防をお願いしております。現在までに二十回、延べ約七百人を対象に実施し、そのうち事業組合や施設、企業は七回、約三百六十人となっております。今後も相談体制の継続、広報紙やホームページ、出前講座等を通じ、情報提供に努め、理解を深めながら新型インフルエンザ対策を進めてまいります。
以上でございます。
◎教育次長(篠原邦彦君)
次に、新型インフルエンザ対策のうち、学校への対応についてお答えをいたします。
新型インフルエンザの対策に関する申入れにつきましては、現在、冬の本格的な流行期に入り、学校における学級閉鎖や休校なども相次いでおりますことから、消毒液などの対策物品に関する学校要望に対しましては、適時適切な対応をしてまいります。
具体的な対策といたしましては、インフルエンザ対策関連の消耗品や備品に関しまして、先日成人用マスク、子供用マスク、電子体温計、ふた付きごみ箱について学校希望の取りまとめを行い、一括購入の発注をしたところであります。また、加湿器につきましては、毎年年度当初に学校希望調査を行い、購入しているところですが、予算に限りがありますことから、単年度ですべての学校の要望に対応はできておりませんが、年次計画での購入を継続してまいります。
なお、申入れの際に御提案のありました皮膚赤外線体温計に関しましては、学校の実情を確認する中で検討してまいります。
現在、今回の新型インフルエンザ対策のため、学校では年度当初に配当した予算で対策物品の購入をしておりますが、今後の予算執行状況を見る中で、消毒液の配布や予算の追加配当も視野に入れ、対応を図ってまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
◎教育次長(新津吉明君)
次に、新型インフルエンザ対策にかかわる二点の質問にお答えをいたします。
まず、養護教諭の複数配置についてでございます。
今回の新型インフルエンザへの対応として、養護教諭の配置が一名となっている小・中学校七十校へ非常勤職員も含めて複数となるよう市で配置することにつきましては、養護教諭を初め教職員は原則として県教育委員会が配置するものでありますことから、市教育委員会として独自に全学校に配置することは考えてはおりません。
養護教諭の配置につきましては、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の規定を基準として各校一名を配置し、児童・生徒数が一定規模を超える小・中学校に一名を加配することとされております。
平成二十一年度において市立小・中学校七十七校のうち、この基準により複数配置されているのは小学校一校のみですが、このほかに各校の事情が勘案され、小学校二校、中学校四校の合わせて七校が複数配置となっております。このように養護教諭の配置は、県教育委員会が任命権者として各校の事情に基づき実施しているものですので、市教育委員会が独自に配置することは考えていないものであります。
なお、養護教諭が病気等により長期の休暇を取得することになった場合は、県教育委員会において代替職員を配置しておりますが、インフルエンザ等にり患し、短期間の休暇の場合には代替職員を配置することは大変困難であると考えられますので、御理解をお願いいたします。
最後に、二点目の学級閉鎖をしたときの給食費の返還についてでございますが、今回の新型インフルエンザによる学級閉鎖等の状況から、給食費についても緊急な対応が必要であると考え、一部だけでもお返しするよう検討を始めており、年内を目途に結論を出したいと考えております。
これまで給食費の扱いにつきましては、給食会計事務取扱要領第五条の二におきまして、学級・学年・学校単位での給食予定の変更については、一週間以上前に給食予定表変更届を給食センター所長等へ提出しなければならないと規定しておりますが、これは学校給食センターでは、一日一万食前後の学校給食を調理するため、その食材を調達するには、計画的に発注し、納入してもらう必要があり、既に各地から集め始めてしまっている食材の発注を直ちにキャンセルすることはできず、この食材費についても事業者に支払わなければならないためでございます。
しかしながら、主食については提供日の二日前に、牛乳については三日前にキャンセルが可能であり、副食の食材につきましても、品物によっては一部キャンセルや発注量の変更が可能なものもございますので、返金の検討を始めたものでございます。
給食費については、牛乳代は定額ですが、それ以外の主食及び副食代は献立により毎日変動し、一日単位、一月単位で計画するものではなく、行事食や地域食材の日等も設けながら、保護者の皆様から頂く年間の給食費の中で賄っております。これまでその執行に当たっては、食材費の状況を見ながら年間を通して計画的に献立を立て、提供してきております。
しかしながら、今回の新型インフルエンザはこれまでの季節性インフルエンザに比べ感染力が非常に強く、感染拡大防止のためには学校等の早期の臨時休業措置が有効とされ、八月下旬には長野県教育委員会から学級閉鎖の目安が従来の欠席率二十パーセントから十パーセントと引き下げられるなど、特別な対応がとられたことから、給食費についても特別に緊急な対応が必要であると判断し、取りあえず今年度内の給食費について検討するものでございます。
以上でございます。