議会報告

2009年9月定例市議会 原田のぶゆき議員

市役所第一庁舎・市民会館の建て替えについて

今後の庁舎の在り方について

合併特例債は借金を増やすだけ

市民会館建設と市街地再開発について

防災拠点施設の耐震化について

市役所第一庁舎・市民会館の建て替えについて

 二十七番、日本共産党長野市議団の原田誠之です。
 まず、市役所第一庁舎・市民会館の建て替えについて伺います。
 最初に、市民の暮らしと二つの施設建設についてです。
 市長は、ごみ焼却施設、小・中学校の耐震化など大規模な公共事業のためスリムな財政運営にと、行政改革の下、成人学校の受講料値上げ、ごみ処理手数料の有料化、老人憩の家や児童館・児童センターの利用料値上げなど、市民負担で入りを量り、在宅福祉介護料の削減などで出ずるを為し、収支を図ろうとしています。冷たい市政だと市民から厳しい批判が相次いでいます。
 また、オリンピック施設は、維持管理が重すぎあえいでいるのに、さらに耐震に難があるから、特例債に魅力があるからと、百億円に及ぶ税金投入で二つの箱物を造ることに、時期尚早、市民や専門家の声を聴くべきとの根強い声があります。市長は真しに受け止め、建て替えではなく、耐震補強などの選択をすべきでした。見解を伺います。

◎市長(鷲澤正一君)
 市役所第一庁舎及び長野市民会館は、建て替えではなく耐震補強などを選択すべきとのことについてお答えをいたします。
 まず、耐震改修の方法について申し上げますと、耐震ブレースを入れるなどの補強工法と、地下部分や三階を免震層にする免震化工法があります。
 第一庁舎について検討したところ、補強工法では約八億円の経費がかかる上、補強工事をしても庁舎としての十分な強度が確保できず、ブレース等により執務室の機能が損なわれます。また、工事に伴う第一庁舎の移転経費として約十一億円が加わり、合計で約十九億円になります。移転の間、第一庁舎の機能が分散することによる市民の利便性低下も考えられ、多くのデメリットがあるわけでございます。
 免震工法では、地下一階部分に免震層を設置する場合、工事に約十六億円がかかるほか、工事期間中はエレベーター及び地下一階にある機械室、五百平方メートルですが、が機能しなくなってしまいます。
 一方、市民会館においては、経年劣化が激しいため、継続的に使用するための全面的な耐震改修を行うとなると、約二十五億円が見込まれます。
 しかも、これら多額の経費を投入して耐震工事を実施しても、一般的に六十年と言われる耐用年数が延びるわけではありません。両施設ともに十年を待たずに、建て替えについて再検討が必要となる施設であります。
 なお、第一庁舎は全体の延べ床面積に比べて建築面積、基礎部分のこれは平面積ですが、建築面積が大きい形状であり、一般的な形状の建物に比べて多数の免震装置を設置する必要があるため、そもそも免震改修には不向きであるという事情もございます。
 このように耐震改修については、費用対効果が低いため、両施設ともに建て替えが必要と判断したものであります。

 市民から寄せられた意見は、わずかに百九十人余、建て替え賛成は七割で、百数十人、とても市民の多数が参加しているというふうには言えません。建設費、耐震強度、耐震改修建築物など情報を示し、専門家や市民の声に耳を傾け、建て替えの是非を決めるべきでありました。
 次に、第一庁舎の庁内検討結果と耐震化対策について伺います。
 市が委託したコンサルタントによる耐震診断と改修計画に基づき、第一庁舎の方向性について、庁内検討結果を示しています。それによると、耐震強度一以下で倒壊・崩壊の危険のあるところ、震度五で層崩壊の可能性などの診断結果で、耐震対策三案を示しています。A案の一つ、耐震補強工法で概算七億八千万円、二つ目は基礎免震工法で約十五億円、三つ目は中間層免震工法で十二億五千万円の耐震改修案で、課題ではA案、耐震強度一以上確保の有効な工法はないとし、B案は他施設への移転、C案は現在地における建て替えで、約四十六億円以上とし、庁内検討の結果、第一庁舎の耐震対策の方法は、建て替えと決めました。
 そこで伺います。まず庁内検討結果で安易に建て替えを決めたことです。耐震対策には、耐震改修、移転、建て替えの三案を示し、それぞれの課題を示していますが、数字的根拠も示さず、庁内検討結果だけで建て替えがベターとしたことに問題があります。庁舎建設は財政問題や市民の暮らしにかかわる大プロジェクトであり、市民、専門家に情報を提供する責任があります。
 市長は、耐震性に問題がある第一庁舎をどうするのかという検討を、住民も参加する中立の専門機関に諮問し、あらゆる角度からアセスメントして評価された答申を判断し、住民に示し、議会で合意して決めることが求められています。このような意思決定の手続を経るのが本来の姿だと考えます。庁内検討結果だけで新庁舎建て替えを決めたことは、正に拙速であり、再考を求め、見解を伺います。

◎総務部長(鈴木栄一君)
 庁内検討結果だけで新庁舎建て替えを決めたとの御質問にお答えをいたします。
 まず、第一庁舎の耐震診断については、平成十八年度に専門の事業者への業務委託により実施いたしました。その中で、専門機関である社団法人長野県建築設計事務所協会耐震診断判定特別委員会において内容の審査を行った結果、耐震診断の内容が適切であると判定をいただいておりますので、御理解をお願いいたします。
 その後、市技術職員により、耐震改修、建て替え、他施設への移転の三つの方法について、費用対効果、市民サービス面、庁舎機能の維持などの観点から、十分な分析・検証を行いました。その結果、耐震対策としては、建て替えが現実的な選択であるとの一定の方向性を出しましたが、結論については、昨年度、有識者や公募市民による在り方懇話会で御議論いただいたところであります。
 在り方懇話会に対しては、庁内の検討結果にとらわれることなく、あらゆる可能性を否定しないで御議論いただくことをお願いし、また検討結果、検討経過については、議会を初め市民の皆さんの判断材料となるよう、積極的な情報公開に努めてまいりました。
 最終的に在り方懇話会からは、第一庁舎については、耐震強度が万全な施設として早急に建て替える必要があるという報告を頂きました。この報告を基に、市の基本方針として建て替えとしたものであります。
 以上であります。

 耐震改修等の立ち入った検討、市民には今のような情報を示してはおりません。そういう中で、建て替えに四十六億円という一番高い方法を選択しました。建て替え先にありきではないか、市民から問題ありと厳しく指摘されるのも当然であります。
 次に、庁内検討結果のA案、耐震改修の課題について伺います。
 耐震診断の結果、人命の安全性に対する危険性が高く、多数の者が利用する施設で、緊急に改修措置が必要として、耐震強度の目標を一般的な基準の一以上を超え、一・二五を目標値としています。そのために安価で有効な工法はないと結論付けています。
 平成二十年度の小・中学校の耐震補強工事後の耐震強度は〇・七五や〇・七六などで一以下です。子供たちが一日の多くの時間を居場所とし、災害時、住民の避難場所となっている学校施設の耐震強度が一以下で、庁舎は一・二五の耐震強度です。学校施設も庁舎も多数の人が利用し、災害時には重要な役割を果たす場所であり、耐震強度が庁舎は高く、学校は低くていいということにはなりません
 庁舎も工事後の耐震強度の数値は、小・中学校程度でもよかったのでないか。耐震改修で工事することについて検討したのか。また、耐震改修しても耐用年数は変わらず、効果も低いとしていますが、耐震改修を行うことで耐用年数は延びると指摘する技術者もいます。安全性を確保するために、時間とお金と環境を考慮した建て替えか、改修かなどを検討したのか。
 また、飯田市では、建て替え方針の本庁舎を耐震改修と大規模改修で継続して使用すると方針転換。市長は、財政事情と環境面から、使えるものは使うとしています。長野市は第一庁舎の活用の可能性を具体的に探ったのか。他市の教訓を生かした対応を求めますが、見解を伺います。
 また、改修工事中は建物の利用ができないとしていますが、長野貯金事務センター、長野中央郵便局、豊島区役所、葛飾区役所は、建物を利用しながら耐震改修工事をしており、できないことではありません。必要な調査を行ったのか伺います。

◎総務部長(鈴木栄一君)
 私から、まず学校施設と庁舎との耐震基準の考え方についてお答えをいたします。
 耐震診断には、学校施設で使われている財団法人日本建築防災協会が定める基準と、庁舎などで使われている財団法人建築保全センターが定める基準があります。財団法人日本建築防災協会が定める基準は、学校施設のような五階から六階建て以下の鉄筋コンクリート造りの建物の診断に適した基準で、規模・構造の違う庁舎とは異なった耐震基準となります。
 すなわち構造耐震指標として、学校施設ではIs値、庁舎ではGIs値を採用しております。よって、さきの基準において、学校施設はIs値〇・七、庁舎についてはGIs値一・二五という定めがありますので、御理解をお願いいたします。

 次に、耐震改修と耐用年数の関係についてお答えをいたします。
 第一庁舎も市民会館も、耐震改修をすれば地震に対する強度は向上いたしますが、コンクリートの標準的な耐用年数六十年、これは変わることがありません。仮に耐用年数を延ばすとすれば、耐震改修とともにコンクリートの中性化対策や、経年劣化で機能に支障を来している部分の改修に加え、将来支障を来すであろう部分の改修など、建物全体の長寿命化を図るリニューアル工事も併せて行う必要があります。
 第一庁舎の基礎免震工法による工事費は約十六億円、また市民会館の耐震改修や機能を充実するための工事を行った場合の試算では、約二十五億円と見込んでおりますが、これら長寿命化を図るための費用は、これには含まれておりません。
 さらに、耐震改修の場合には、第一庁舎においては、ワンストップサービス窓口の設置など市民サービスの向上が十分果たせないこと、市民会館においては、舞台の使い勝手が改善されるわけではなく、敷地の関係から増築も限られるため、市民要望の多い小規模ホールの増設ができないことなどを考慮すると、最終的には費用対効果が低いと判断し、建て替えるものといたしました。

 次に、耐震改修工事中の建物利用の可能性についてお答えをいたします。
 議員さん御指摘の長野貯金事務センター、長野中央郵便局、豊島区役所、葛飾区役所の耐震改修の詳細については把握しておりませんが、第一庁舎の場合、耐震補強工法では各階の柱とはりの位置に耐震壁や鉄骨ブレースを建物内部に設置するもので、市民の皆さんや職員の安全を考えると、工事中の全面移転が必要となります。免震工法でも移転が必要となるほか、エレベーターや空調設備機器などが使用できなくなります。
 いずれにしても、利用しながらの工事は、市民の皆さんに大変御不便をお掛けすることとなり、現実的には難しいと考えております。
 以上でございます。

 今、建て替えではなくて、財政や環境を考えて、耐震対策の変更が増えております。耐震強度〇・六七の長野中央警察署は耐震改修工事中です。建て替えはやめて、耐震改修で補強、耐震強度は一・五四になり、耐用は十五年延長するといいます。第一庁舎もできるのではないか。調査をし再検討を求めますけれども、もう一度御答弁を願います。

◎総務部長(鈴木栄一君)
 ただ今の御提案でありますけれども、恐らく長野市の第一庁舎の建て替えは、七階以上の建物になるということであります。当然、鉄骨鉄筋コンクリートということになりますので、この辺は基準でありますGIs値、この一・二五といったもので、防災拠点としての機能も当然確保できるし、こういった全国的な基準に基づいて、しっかり改修ではなくて、建て替えといったものが必要になるという判断であります。
 以上です。

 私があえて強調したいのは、長野市の場合には借金も多くて、財政事情は決して良くありません。にもかかわらず、耐震改修で十分な検討をしたとは思えない状況であります。あえて四十六億円をかけた建て替えについては、改めて再検討を求めるものであります。

 次に、第一庁舎の建設にかかわった建築家の新聞紙上でのコメントについてであります。
 市庁舎のプランは、バランスに配慮し、一期工事で南側に現庁舎を、二期工事で対になるように、北側に同じ高さのものを造る予定で基礎工事もしてあるとし、二期工事を行っていたら、現在の厳しい耐震基準もクリアできると言い、完成していれば、補強工事さえすれば使えるもので、市民会館も市庁舎も残したいと感想を述べています。私の知人の技術者も、このコメントに同感だとして、専門家同士で検討する価値があると指摘しています。検討したのかどうか伺います。

◎総務部長(鈴木栄一君)
 第一庁舎にかかわった建築家のコメントについてお答えを申し上げます。
 現庁舎の北側に二期工事として増築を行っていたら、現在の厳しい耐震基準をクリアできる。完成していれば、補強工事さえすれば使えるというコメントが、本年一月、掲載されました。
 しかし、その後二月に、現庁舎の北側に二期工事として増築を行っていたとしても、現在の厳しい耐震基準では強度が不足すると訂正記事が掲載されております。
 このように平成十八年度に実施した耐震診断の結果からも、耐震強度不足が明らかであります。
 以上であります。

今後の庁舎の在り方について

 次に、今後の庁舎の在り方について伺います。
 新庁舎は、環境みらい型庁舎とし、百年先を見据え、環境や防災、市民サービスを基調としたモデル庁舎だとしています。二十二世紀を見通した庁舎というなら、少子化と高齢化、人口の推移、国・県・市政や住民自治の在り方の検証が重要です。地域からは、住民自治協議会への職員の配置要望などもあり、総合支所など支所の役割を強化し、住民自治協議会と支所が一体で自治に当たることが求められています。建て替え、耐震改修に当たっては、今後の支所や庁舎の在り方も含めて検討したのかどうかについても、見解を伺います。

◎総務部長(鈴木栄一君)
 今後の庁舎の在り方についてお答えをいたします。
 第一庁舎の建て替えに当たりましては、今年度、庁内プロジェクトチームを立ち上げ、都市内分権の進展に合わせた今後の支所や本庁舎の在り方について、具体的な検討を進めており、検討結果は今後の基本計画に反映をしてまいります。
 なお、新第一庁舎の規模につきましては、支所と本庁の在り方を初め、道州制による広域合併の可能性など不確定要素がありますので、現在のところ総務省の算定基準に基づいて設定をしております。
 以上であります。

 もう一度伺います。百年先のモデル庁舎というわけであります。地域での自治活動を重視している住民自治協議会の今後と、市役所や支所のありようを検討すべきであります。人口は減少し、高齢化が進む時代であります。本庁はコンパクトに、総合支所で地域住民へのサービスの充実こそ必要ではないかと思います。こういう観点での検討は欠かせませんが、改めて理事者に伺います。

◎総務部長(鈴木栄一君)
 ただ今、再質問の関係でありますが、住民自治協議会の今後ということについてお答えをいたします。
 平成二十二年度から本格活動を開始する住民自治協議会につきましては、まずはこれまでの各種団体が担ってきた活動と、そのための財源をセットにして地域に移譲することで、自主性を生かすための新たな支援策を構築いたしました。
 一方、将来的な住民自治協議会は、大きな可能性を有しております。例えば、法人化をした上での収益を地域づくりに生かしたり、公選による会長の選出、地域サービスの提供主体としての成長なども想定されるところであります。
 しかしながら、こうした具体像は飽くまで住民主体の活動の成果、結果として現れるものであるため、行政があらかじめ明確に規定することはなじまない面があると考えております。現実的には、これから住民自治協議会が抱える課題を、行政と共に一つ一つ解決していくことで、おのずとその将来像が定まってくるものと考えております。

 次に、今後の支所や庁舎の在り方についてでありますが、先ほどお答えをいたしましたとおり、第一庁舎の建て替えに際し、今年度、庁内プロジェクトチームを立ち上げ、具体的な検討を進めており、検討結果は今後の基本計画に反映をしてまいります。
 なお、地域総合事務所につきましては、平成十七年度に設置された都市内分権審議会において御審議をいただいた結果、現時点においては、職員体制や管轄の地域区分など様々な課題があり、更に慎重に取り組む必要があることから、住民自治協議会の成熟度を見極め、市民の意見を十分に聴取する中で、今後改めて議論することとされたところであります。長野市もこの方針でまいりたいと思っています。
 以上であります。

合併特例債は借金を増やすだけ

 次に、合併特例債と庁舎・市民会館建設について伺います。
 合併特例債活用期限までにと、市民合意もないがしろに、平成二十六年、二十七年連続で二つの箱物の建設を急いでいます。合併特例債枠の残額約百六十六億円のうち、庁舎と市民会館で締めて約七十四億円の借入れを予定しています。
 有利な借金で、使わない手はないとして、財政がひっ迫し、市民にきつい負担を強いている今、あえて借金までして建設はいかがなものか。市財政は更に重い荷を背負うことになり、市民への跳ね返りが心配です。借金して箱物よりも、福祉、健康にこそ予算を、が市民の気持ちです。納得いく説明を求めます。市長に伺います。

◎市長(鷲澤正一君)
 合併特例債を活用して早期に建て替える必要性について申し上げます。
 市民会館は、多くの人が集う拠点として、また市内外に本市の文化・芸術を発信する拠点として、本市のまちづくりにおいて備えるべき魅力の大きな要素であり、将来において廃止することができない施設であると考えております。
 また、現在の長野市民会館は、第一庁舎の建設地となるため、平成二十二年度末をもって閉館する予定であり、新しい市民会館が開館するまでの間は、利用される市民の皆様には、大変御不便をお掛けすることになります。周辺施設では、現在の長野市民会館の十分な代替にはならず、また寄せられた七割以上の建て替え賛成の声にこたえることができません。
 そのためにも、閉館期間をできるだけ短くして、市民の皆様に一日でも早く御利用いただく施設であると考えております。そのため、合併特例債の活用期限である平成二十六年度末までに間に合わせる形で、閉館期間をなるべく短くし、さらに市の財政負担を軽減することができる最善の策であると判断しております。
 確かに借金ではありますが、本市として必要な施設であり、しかも早期に必要な施設を造るための借金であります。また、両施設合わせて現在三十四億円ほどの基金を積み立てているほか、第一庁舎をエコモデル庁舎として、CO2排出四十パーセント削減を目指すなど、建て替えに伴い省エネルギー、新エネルギーを積極的に導入し、維持管理コストを最小限に抑え、将来にわたって、できる限り市民負担を少なくするよう努めてまいります。これは最終的には、本市にとって大変大きなコスト削減による行政改革につながるものであるというふうに確信をしております。
 また、もう一つ、ここであえて申し上げておきますけれども、やるということを、今、私どもは提案をしているわけでありまして、市としていろいろ提案をして、これから皆さんの御意見をお聴きしながらやっていきましょうということで、その原案として、私どもはこういうふうにしたいということを出してあるわけでございまして、これから十分御議論いただくことが一番いいと思っています。
 以上です。

 その原案が心配で、指摘をしております。オリンピック施設の際も、そういうふうに言っておりました。地域総合整備事業債を活用し、借金を増やしても心配ないと言っていましたけれども、借金を増やし、結局、財政危機が迫り、今でも返済に四苦八苦しております。合併特例債も借金を増やすだけであります。有利な起債とはいえ、交付税が削減されているときであります。目くらましのようなもので、軽々に使っていいものではありません。

 次に、市民会館の建設についてであります。
 市民会館の建て替えは、財政が厳しい折、必要ないとの声が急速に広がっています。第一庁舎と同様、耐震診断を正確に行い、耐震改修計画を作り、市民に情報提供しなければ、建て替えか耐震改修か判断できません。耐震診断と改修計画を明らかにすべきでありますが、見解を伺います。

◎総務部長(鈴木栄一君)
 市民会館の建設についてお答えをいたします。
 市民会館は、築四十八年を経過しており、平成二年度に実施した耐久度調査や平成十三年度に実施した劣化診断で、経年劣化によるコンクリートの中性化の進行やコンクリート強度不足が見られたこと、地震力に対する柱の鉄筋量が、現在の耐震基準に比べて不足しているため、強度不足となることが報告されています。
 耐震診断、これを実際に行いますと、特殊構造ということになりますので、一千万円ほどかかるわけでありますが、これを行わなくても、現在の厳しい耐震基準は満たしていないことは明白であります。
 次に、改修をしたらどうかということでありますが、平成十三年度に実施した二回目の耐久度調査では、市民会館で行われる催事の際のつりもの荷重の影響で、上部のコンクリート製のはりにかなりのクラック--ひび割れがあることから、補強の必要があるとの報告がなされております。また、市民や利用者の皆様から、楽屋やリハーサル室などの使いづらさや部屋の数、機械設備の不具合に関する意見も多く寄せられております。このように耐震の部分だけでなく、市民会館全体の機能面でも低下が見られます。
 なお、耐震改修や機能を充実するための工事を行った場合の試算では、約二十五億円の経費が見込まれます。これだけの経費をかけても、敷地が狭いことから、なかなか増築もままならず、満足のいく改修ができるとは言えません。
 このようなことを総合的に判断すると、改修は費用対効果が低いため、建て替えが必要であるというふうに判断したものであります。
 以上であります。

 納得できません。一千万円でも耐震診断をすべきだというふうに思います。そもそも五十億円を超える税金を投入するものであります。市民や専門家に情報提供もしないで、庁内の検討結果だけで建て替えを決めるのは、事業を始める手続上も問題があり、納得できません。耐震診断を行い、耐震改修計画を示し、市民的議論のできる対応を求めますけれども、もう一度見解を伺います。

◎総務部長(鈴木栄一君)
 議員さんのおっしゃる御意見も、私どもとしてはお聴きしておきますけれども、市民や議員の皆さんに情報公開をしないといったことはありません。耐震診断においても、すべて情報公開をしておりますし、その辺は十分御理解いただきたいと思います。
 以上であります。

 改めて、耐震診断と耐震改修計画を作って、市民に情報の提供を求めておきます。

市民会館建設と市街地再開発について

 次に、市民会館建設と市街地再開発についてであります。
 生涯学習センターを取り込んだ、大規模な市街地再開発トイーゴについて、テナントは変わり、使い勝手が悪く、問題だらけでまちづくりの失敗作ではないかと厳しい指摘があります。にもかかわらず、文化を創造し、発信する市民の集う市民会館を、地域のまちづくりと一体で、市街地再開発の手法で競い合わせることは、地域の対立をあおることになりかねません。現会館の改修も含めて、市民が活用する文化施設にふさわしく、市民的議論を交わし、市民の総意を生かした建設計画とすべきでありますが、市長に見解を伺います。

◎市長(鷲澤正一君)
 市民会館建設と市街地再開発についてお答えをいたします。
 市街地再開発は、市街地の小さな敷地に建つ老朽化した建築物を、複数の権利者が共同で建て替えることにより、良質な都市環境、住環境をつくり出し、環境に優しいまちづくりと経済への波及効果が期待できます。
 また、市民会館は市民の文化や情報の交流拠点となり、まちのにぎわいを広げ、活性化に果たす役割も大きく、市街地再開発事業の目的に大きな効果を与えるものと考えております。
 近年、多くの都市で市街地再開発事業を用いた庁舎や文化施設整備が増加しております。これらは、相乗効果により一層のまちのにぎわいや活性化が期待できること、中心市街地での公益施設の整備が容易に実施できること、さらに再開発事業者にとって、公益施設の建設により確実な事業計画を実施できることなど、双方にとって大きなメリットが期待できるものと考えております。
 次に、市街地再開発の手法で競い合わせることは、地域の対立をあおることになるのではないかとのことでございますが、長野駅前地区及び権堂地区の両地区とも、再開発事業による新たなまちづくりを目指し、十九年度に検討組織を設立し、地元説明会の実施や事業計画の策定など、積極的な取組を行っております。本年三月には長野駅前地区から、四月には権堂地区から、それぞれ市に対し再開発事業の核として市民会館を建設してほしいとの要望がなされました。
 すなわち、両地区とも自らの意思で、再開発事業によるまちづくりの中に市民会館の誘致を決定したもので、決して市が競い合わせているのではありません。
 次に、市民的論議を交わし、市民の総意を生かした施設建設とすべきとのことでございますが、市民会館建設に当たりましては、基本的方針や委員会等の審議内容につきまして、広く情報を提供し、多くの皆様から御意見を頂いてまいりました。長野市役所第一庁舎及び長野市民会館の在り方懇話会の中でも、十分な御審議をいただき、御意見を頂きました。また、このたび設置しました長野市民会館建設検討委員会では、基本計画、基本設計などの策定に向け、御審議、御意見を頂きます。特に来年度は、市民ワークショップにより基本設計策定の段階から市民の参画をいただく予定であります。
 今後も基本計画策定の各段階や検討経過など迅速に公表し、より多くの皆様から御意見をお聴きする機会を設けるとともに、市民の参画を求め、議員さんの御意見のように、市民の総意を生かした計画となるよう努めてまいりたいと考えております。
 以上です。

 市民会館は、会館そのものもそうですけれども、位置を決めるに当たっても、当然、市民の居場所でありますから、再開発に参入する一部住民や企業が中心で、広い市民、住民を置き去りにしているのではないか。これも庁舎同様、情報不足、住民不在のやり方で、計画の再検討を求めますけれども、市長にもう一度伺います。

◎市長(鷲澤正一君)
 お聞きしている限りにおいて、ちょっと質問の中身がよく分かりませんでした。ただ、私どもとしては、先ほども申し上げましたとおり、長野市の姿勢としてどうするかということを、今、皆さんに提案をしているということで御理解をいただきたい。
 提案をすることによって、あとこれからどんな議論になっていくか、私も何ともそれは分かりませんけれども、いろんなことがいろんな形の中で御意見を頂く、そういう形の中で、できれば十二月ぐらいまでには方向性を決めたい。
 また、もちろんその中には、場所の問題も含めて、場所にはそれぞれの事情がございます。それぞれの事情があって、その原案もようやくそれぞれの地域で、現段階でまとまったということであって、これはなかなか、それが本当にまとまるかどうかということも分からない。分からないというのは、ちょっと私、地域の皆さんは一生懸命まとめておりますが、まだ完璧に土地の問題とかそういうものが、全部片付いたとは言えない状態もあるわけでございます。
 ですから、その辺はやっぱりやるという方向を決めるまでには、すべてのことが決まらなければ、それはできないということですね、再開発が絡んだ場合には。ですから、それが間に合わなくなった場合には、私どもは最大限、来年の六月とかなんとかという話ですが、最大限、私どもは安全パイとして、今の現状での合築、市役所と市民会館を合築するという今の形でやらざるを得ない。
 これも実を言うと、本当は市民会館はもっと真ん中へなるべく持っていって、皆さんの御意見を聴いて、それが本当の意味のまちの活性化になるような形で造れば一番いいとは思いますが、それも一つの方法論として、まだ決まっているわけではないということだけは申し上げておきたいと思います。
 以上です。

防災拠点施設の耐震化について

 防災拠点施設の耐震化で伺います
 消防庁は、防災拠点施設の耐震化の状況をまとめて、二〇一三年度までに八十五パーセントにするとしています。長野市の防災拠点は、公共施設では何か所で、耐震化済みはどこまで進んでいるか。対策は講じられているのか。また、小・中学校の耐震化は、松本市は九十七・八パーセントです。長野市は後れております。耐震化の促進を求めます。市庁舎のみでなく、全体のバランスを見て、予算と時期を考えた対策を求めるものですが、見解をお伺いします。

◎建設部長(内山秀一君)
 長野市が防災拠点としている公共施設の耐震化の状況についてお答えいたします。
 市では、市有施設についても耐震化を促進するため、昨年二月に長野市耐震改修促進計画を策定しております。市有施設の耐震化には、多数の方が利用する特定建築物のほか、災害時に各対策本部等となる本庁舎、支所及び消防署など、また避難場所となる学校や社会体育館などについても、防災拠点施設として計画に盛り込んでおります。
 この長野市耐震改修促進計画では、消防庁が対象としている防災拠点施設五百五十二棟のうち、平家の保育園などを除いた規模の大きい施設を中心に、五百十二棟を対象としております。この五百十二棟のうち、国の基準であります震度六強から震度七に対し、建物の崩壊から人命を確保できる耐震基準に適合した建物の割合は、平成二十年度末で、この耐震基準によって建設された建物、それから耐震診断により基準が確保されていると確認された建物及び改修によって基準を確保した建物を合わせて三百四十棟であり、耐震化率六十六・四パーセントとなっております。
 なお、消防庁が対象としている防災拠点施設五百五十二棟についての耐震化率は六十二・七パーセントとなっており、国の平均であります六十五・八パーセントを下回っております。
 長野市耐震改修促進計画では、平成二十七年度末までに防災拠点施設及び特定建築物を含めた市有施設全体の耐震化率を、九十パーセント以上とすることを目標としております。市では、この目標達成に向け、避難場所となる学校や社会体育館など、また災害対策本部となる本庁舎や支所などを優先しながら、計画的に耐震化を図るものとし、各施設の具体的整備計画を策定しております。
 また、長野市耐震改修促進計画に盛り込まれた以外の平家の保育園などの防災拠点施設についても、今後、整備計画を策定し、順次、耐震化を図っていきたいと考えております。
 以上でございます。

◎教育次長(篠原邦彦君)
 小・中学校の耐震化の促進についてお答えいたします。
 小・中学校の耐震化につきましては、昨年、耐震化計画を見直し、耐震化の完了年次の前倒しを図るとともに、耐震化の優先度に応じた目標年次を設定した上で、計画的に取り組んでいるところでありまして、この計画を確実に実行するため、小・中学校施設の耐震化を市政における優先施策に位置付け、予算の重点配分を行うとともに、国の補正予算等を活用しながら、耐震化の前倒しに努めているところでございます。
 その結果、今年度当初の小・中学校施設の耐震化率は六十五・五パーセントで、県平均七十六パーセント及び全国平均六十七パーセントを下回っているものの、耐震化率の対前年度比は、国平均の四・七ポイントを上回る七・七ポイントの増となっており、計画に沿って着実に耐震化が進展しているものと考えております。
 こうした結果を受けまして、議員さんからは耐震化が後れている、促進を求めるとの御指摘でございますが、市といたしましても、引き続き早期耐震化の完了に向けて、可能な限り前倒しする方針でございまして、さきの市議会臨時会では、国の緊急経済対策を活用し、学校施設の耐震化関連予算を大幅に増加するなど、積極的な対応に努めているところでございます。
 今後とも、耐震化計画に基づく着実な取組を進めることはもとより、国の施策と歩調を合わせながら、積極的な前倒しに努めることで、早期耐震化を実現させてまいりたいと考えておりますので、御理解をお願いいたします。
 以上でございます。

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