2009年3月定例市議会 原田のぶゆき議員
農業問題について
環境問題について
福祉施設への支援策について
農業問題について
二十七番、日本共産党長野市議団の原田誠之です。
通告に従い順次質問します。
初めに、農業問題について伺います。
命のもと、食を支える国内の農業は衰退が続いています。主食の米づくりは十年前に二万円前後が、一昨年は一俵六十キログラム、一万五千円以下。昨年は更に二千円安く、採算のとれない価格となりました。米価は、米の輸入と規制緩和で市場競争にゆだねられ、下落の一途となり、作れば赤字が米づくりで、家族労働報酬一時間二百五十六円は、最低賃金をはるかに下回るものであります。自給率を上げよ、後継者を育てよといっても、農業で食べていけなければ離農と農地の荒廃は必然であります。今回、安値となったリンゴも同じであります。
そこで、長野市では作付面積で最大の米づくりとリンゴ農家への支援について伺います。
まず、米づくり農家への支援についてであります。
自給率引上げには、米を初め穀物の作付けが決定的です。市内の稲の作付面積は千八百ヘクタール、耕地面積全体の三割、収穫量は九千七百七十トン、作物構成比では一割で、一人当たり年間消費量が六十キログラムとしておおよそ十六万三千人分、約四割の市民の主食である米づくりが採算割れを承知で行われています。
生産費を償う採算のとれる米づくりへの支援が求められています。本来、米の価格補償制度の確立は国の責任ですが、待ったなしの課題と受け止め、各地域の総意で農家への支援が始まっています。
注目したのが、宮城県大崎市、鳴子町の鳴子の米プロジェクトです。国の政策転換で切り捨てられた小さな農家を、消費者も含めた地域の力で支えようと、観光協会を初め消費者の協働で立ち上げたプロジェクトであります。農家が意欲を持って米づくりのできる価格一万八千円を五年間保障、地元への販売価格は二万四千円で、その輪を広げようと活動が始まっています。旅館、ホテル、食堂などから注文が入り、作る人、食べる人、応援する人の輪が広がり、所得増に刺激され、後継者も生まれていると言います。事務局は市の総合支所観光農政課に置かれ、農協も協力体制をとっているとのことであります。
長野市でも、生産費を償う価格補償と自給率向上のため、農業公社の協力などを含め、市内産米を病院、学校、食堂、ホテルなどへ供給できる体制づくりで採算割れなく販売できるよう、米づくり農家を励ます支援策を求めたいと思います。
米づくりは、洪水防止機能もあり、国土を守る重要な役割も果たしています。水田放棄地を増やさず、解消を目指す行政の対応を求めますが、見解を伺います。
次に、リンゴ農家への支援について伺います。
長野市は、果樹の栽培面積が二千五百七十七ヘクタールで、このうち千八百二十ヘクタール、七割がリンゴ栽培で、生産高も最大で、市内の農業分野の大きな部分を占めています。ところが、今年は金融危機の影響もあり、リンゴの値段が大幅に値崩れし、例年の三、四割も安くなり、リンゴ農家大苦境の事態となりました。国、市、農協、生産者協働の価格補償制度を国は廃止してしまいました。今あればと悔やまれます。国に対して復活を強く求めていただきたい。
大量にある加工用リンゴも業者の倉庫には在庫が十分にあり、果汁用の受皿はないといいます。リンゴ果汁の国内消費量が年間十六万七千トンで、中国などの安い大量のリンゴ果汁を初め、九割が輸入であることを政府は明らかにしています。市は、国に対してリンゴ果汁の輸入中止と原産地表示を求め、さらに市内の病院や学校、福祉施設など、リンゴ果汁の良さを広め、販路の拡大に努めるなど、リンゴ農家への支援策を求めます。
以上、二点について市長に伺います。
◎市長(鷲澤正一君)
初めに、米づくりの支援についてお答えをいたします。
国は、米などを生産する水田作などについては、規模拡大による安定的な農業経営を図るため、認定農業者や集落営農などの担い手への農地利用集積を進めることとしております。また、外国との生産条件の格差を是正するための直接支払制度として水田経営所得安定対策がありますが、この対策は担い手へ支援を集中する施策として実施しているところであります。
本市の水田農業は規模が小さく、自家消費用の米づくりが大半を占め、五十アール以上の農家は二百戸に満たない状況にあります。こうした中で、本市では農業公社を設立して、農地保有合理化事業により担い手に農地の利用集積を進めるとともに、農業生産法人などの育成を含め、新規参入を支援するなど、多様な担い手の育成を図っております。
また、認定農業者には農業機械の導入に対して補助金を交付するなどにより、直接支払を受けることのできる水田経営所得安定対策への加入を促進しており、小規模な米づくりの中にあって、本市にも規模拡大を図る経営が現れてきております。今後も、担い手の育成を図りながら、水田経営所得安定対策への加入を進めてまいります。
本市の稲作は、規模が零細で、自家消費用の米づくりが中心であり、米生産量は市民全体の米の消費量の四割相当と低い水準でありますので、市外から対応しているのが現状であります。こうした中で、病院、学校や食堂、ホテルなどの施設における地元産食材の利用促進については、長野市地産地消推進協議会や、その他関係団体に地産地消を呼び掛け、理解をいただく中で進めてまいりたいと考えております。
次に、耕作放棄地については、新年度から本格的に耕作放棄地の解消を実施してまいります。解消に向けた具体的な新規事業としては、国の耕作放棄地再生利用緊急対策交付金のほか、市では農地保有合理化特別対策事業や、農地所有者等による市民農園の開設促進、小規模ほ場整備事業を行う場合の補助率の引上げなどにより、耕作放棄地の解消を進めるとともに、積極的に農業法人等の拡大を含めた担い手の育成を図りながら、農業委員会、農業公社、農協、市等の連携の下に、耕作放棄地の解消に向けた取組を強力に推進してまいりたいと考えております。
次に、リンゴ農家への支援についてお答えをいたします。
平成二十年産のリンゴの価格につきましては、市内産においても全体として前年単価の約八割、品種によっては七割という状況でありました。また、ジュースなどの加工用リンゴも出荷量が予定量を大きく上回ったことから、当初の契約単価を下回る価格での出荷となった状況もあります。
価格低迷の原因といたしましては、青森県において降ひょう被害果などの下級品が多く発生し、全体の価格を押し下げたほか、原油価格の高騰や食料品などの値上げに加えて、金融危機による景気の低迷により、し好品的な要素の強い果実全体の購入量が減少したことも挙げられております。また、長期的には消費の多様化により、生鮮果実の消費量が減少していることも指摘されております。
リンゴの価格補償制度につきましては、平成十三年度から国の制度として果樹経営安定対策が実施されてまいりましたが、品質の劣る果実の出荷が増加し、市場価格全体の低下を招いたことから、平成十八年度に廃止となっております。また、この間に農業者の高齢化や農家の担い手不足から、園地整備が遅れ、生産基盤の弱体化が懸念される状況となってまいりました。
こうしたことから、国は平成十九年度から新しい果樹支援対策に転換し、優良品目・品種への改植などにより収益性の高いリンゴ経営への転換を進めるなど、担い手の経営安定と所得の確保により国産果実の安定的な供給を目指しております。果樹産地構造改革計画による優良品種への改植など、長野市内でもJAを中心に国の支援を活用し、果樹産地の活性化に取り組んでおります。
このような経過から見て、リンゴについて価格補償制度の復活は難しいものと考えております。
次に、加工用リンゴの供給過剰についての御質問でございますが、国は、果実全体の構造的な供給過剰を改善するとともに、国内需要に見合った生産を行うよう、品質向上などの生産対策が必要であるとしております。
リンゴ果汁については、貿易に関することでもあり、原産地の表示と併せて、今後の国の動向、施策を注視するとともに、市としては、果樹振興事業による新わい化栽培の推進など、品質向上対策を進めてまいります。
市内には、リンゴを使った菓子の開発、販売やリンゴの発泡酒であるりんごシードルを試みるなど、加工に取り組む農業者があります。リンゴの加工品にはその他にもまだ幾つかのすばらしい商品開発の可能性があると思われます。また、果樹栽培などでは、冬期間など就業機会が減少する期間に、農産加工などを組み入れて通年化することが経営的にも、また雇用面からも望ましいと考えられます。
リンゴの消費拡大については、こうした付加価値の高い農産加工を進める方向にもあるのではないかと考えております。
市内の病院や学校、福祉施設等の業務向けへの拡大につきましても、消費者に好まれているリンゴ果汁の利点を生かし、地産地消を推進する中で関係機関に働き掛けたいと考えております。
以上です。
米の問題については、国の農政が大きな問題でありますけれども、いずれにしろ、市長も機会あるごとに価格の所得補償など国に求めていただきたいと思います。
それから、鳴子の米づくりについても、調査研究を要望しておきます。
それから、リンゴの問題でありますが、この二月には特秀、秀クラスで一箱六百円と大変に安い値段であります。今既に穴を掘って埋めているというふうな事態も生まれております。苦労して育ててきました立派な成木にチェーンソーが入り、切り倒されている数あるリンゴ園に農家の皆さんの思いが伝わってまいります。そういう意味で、長野市の特産でありますリンゴについて、改めて、特に市場や経済動向をもろに受けますので、再生産できない販売状況となっております。
是非、市長の言う、付加価値を付けて利益を上げ、もうかる農業にするには縁遠いものでありますので、改めて市としても努力をしていただきたい。取り分け、リンゴ果汁については、今言われたように一層の努力をお願いしたいというふうに思います。
それから、次に、耕作放棄地解消策についてであります。
耕作放棄地の調査が終わり、本格的な解消計画を策定し、具体化を進めています。その一つ、地域奨励作物支援事業の拡充について伺います。
第一期が平成十六年度から三年間、農地の荒廃化防止と自給率向上、地産地消を目指し、キログラム当たり小麦百円、大豆二百八十円、ソバ三百円、キビ二百二十円の奨励金で始まったこの事業は、面積も出荷量も急増し、奨励金は一期目が三年間で三倍に、二期目は、平成十九年度から奨励金をほぼ半減しましたが、横ばい傾向で、出荷量は定着してきました。所得補償で活力が生まれ、農家を励ましていることの証明です。もし奨励金を半分にしなければ、出荷量も面積も大きく拡大していたのではと惜しまれます。
そこで、佐藤議員と重なる部分もありますが、確認する意味も含めて、以下について伺います。
ほぼ五年間の栽培面積、出荷量、奨励金の実績は前向きで、農家の皆さんの評価も上々であります。農家が更に意欲的に耕作放棄地の解消で頑張れるように、奨励金を下げることなく、一期目に戻し継続を求めます。
特に、ソバは長野市の特産でありますが、輸入が大半であります。そこで、百パーセント長野産栽培でながのいのちブランドを発信するために、生産者、業者、市民の協働を呼び掛け、この事業に取り組んではどうでしょうか。
また、各地域の特性を生かした品目拡大の要望もあります。鳥獣被害に遭わない、大岡のニンニク、鬼無里のエゴマ、本事業に関係業者も注目している、現在研究検証中のトウガラシなどを加えた事業に発展させることを提案しますが、見解を伺います。
次に、農業公社が所管の担い手育成支援事業についてであります。
初めに、担い手育成について伺います。
金融危機が引き金で派遣切り、リストラなどが後を絶たず、ハローワークは職を求める人たちでいっぱいとなっています。雇用問題は社会的に大問題になっており、特に福祉、環境とともに農業分野への期待が高まってきました。
長野市に統計がないのが残念ですが、農業に期待を寄せ、市内はもちろん都会から長野に来る人たちもいます。長野県の場合、農業以外から農業に参入した者が、平成十六年度が四人で、四年後の二十年度には急増で、百三名が農業に従事してるとのことです。
また、長野県担い手育成基金事業利用者は、住宅資金など八名で、ほとんどはIターン、Uターンだといいます。市に、長野県の制度活用の窓口整備や情報提供と雇用創出の一環として、長野市も若者が積極的に新規就農者として農業参入できるよう、ハローワークへの紹介、研修、県に上乗せした新規就農者への住宅補助、技術援助など手厚い支援が不可欠で、奨励制度の充実を求めますが、見解を伺います。
次に、農業生産法人の対応について伺います。
農地法が変わり、制度の見直しで、一定の条件の下で株式会社がリース方式で農地利用できるようになりました。また、百五十日以上就農している者がいれば、農業生産法人を立ち上げ営農できます。農業公社は、この法人に農地をあっせんし、農業委員会が許可をすれば耕作できることになっています。既に市内に数か所の生産法人が営農しています。
公社は、耕作放棄地の解消につながると歓迎していますが、株式会社も農業生産法人も利益を追求する営利法人であり、気候や景気の動向に左右される農業を継続し、農地を守ることが可能なのか心配です。公社は、農地をあっせんの際、法人に営農の不可についてのチェックをきちんと行い、また農業委員会も監視や調査、勧告を行い、法人からの経営報告も必要です。新たな耕作放棄地を作らないように、農地耕作主義の原則堅持を前提で見解を伺います。
産業振興部長(米倉秀史君)
私から三点お答え申し上げます。
まず最初に、地域奨励作物支援事業でございますが、この事業は、小麦、大豆及びソバを対象品目としまして、農地の遊休荒廃化の防止、食料自給率の向上及び地産地消の推進を図ることを目的に、平成十六年度から三年を一区切りとした事業期間を設けて実施してきたものでございまして、現在は十九年度から二十一年度までの第二期目となっているところでございます。
地域奨励作物につきましては、その生産、出荷量に応じた奨励金を交付するとともに、それらの生産に必要な機械等の購入費の一部を補助するなど、生産奨励を進めてきたところでございます。
事業実績から見ますと、出荷量の合計では、十九年度は十七年度の一・九倍に拡大しておりまして、二十年度も十九年度の実績を上回る見込みということでございます。
こうした中で、ソバあるいは大豆につきましても、特産品としての地域の皆様のそれぞれの思いを込めて取り組んでいただいておりまして、生産も年々拡大しているものと思っております。
この事業の平成二十二年度以降の継続につきましては、農地の遊休荒廃化の防止、食料自給率の向上及び地産地消の推進など本市の農業を取り巻く諸状況のほか、自給率の向上に向けた国の施策などにも十分注視しながら、第一期及び第二期の成果を十分に検証する中で、ソバも含めて一定の目標に配慮しながら、総合的に判断をしてまいりたいと考えております。
なお、大岡のニンニク、それから鬼無里のエゴマについては、それぞれの地域グループが、農業公社が進めるながのいのちブランド事業の中で、特産品を目指して取り組んでいるところでございます。
そのほかに、地域特性を生かした特産品の中山間地域の取組につきましては、新年度に既存の事業を一部見直ししました地域特産品創設事業によりまして、地域で作物を選び、その特産化に関する研究や加工品サンプルの作成、宣伝などに要する経費を補助する予定でございます。
農産物の特産化は、その作物の選定や振興策など、なかなか難しい課題もあります。しかしながら、今後も地域において中山間地域活性化対策特別委員会が中心となって、これらの事業を取り入れていただきまして、地域の特性を生かした農産物の栽培の研究、検討や特産品化を進める地域を支援するとともに、耕作放棄地の解消と中山間地域の活性化を図ってまいりたいと考えております。
次に、二点目の担い手の育成についてでございますが、本市では農業の担い手対策としまして、就農促進奨励金支給事業を平成五年度から実施し、専業農業者の就農を支援しているところでございます。対象は、一時期数名で推移していたところでございますが、昨年度は十七名、本年度は十一名ということで、近年増加傾向にあるわけでございます。
新規就農者の育成支援といたしましては、県の新規就農里親制度を、大変これは好評でございまして、これを初め各種の研修制度がございます。
また、県、市町村、JAで構成します長野県農業担い手育成基金では、新規就農者研修費の助成や就農支援金の支給、住居費の助成など各種の助成金や資金貸付事業などによりまして、新規就農者を総合的に支援しているところでございます。
これらの研修制度や助成制度につきましては、市の窓口でも案内をするとともに、各種助成金の申請については、新規就農者は市を経由して申請しておりまして、市では農業委員会や長野県農業担い手育成基金等と連携をとりながら事務を進めているところでございます。
長野県農業担い手育成基金には、新規就農相談センターがございまして、新規就農や農業生産法人への就職などの相談に応じておりますので、市ではホームページでこれらの農業関連情報を提供するとともに、就農相談については、新規就農相談センターへの紹介をしているところでございます。
このように、新規就農者の支援体制は、就農相談や研修制度、助成金、資金融資など整備されておりますので、これらをフル活用していただけるよう努めてまいりたいと考えております。
市では、新たに助成金の上乗せなどは予定しておりませんけれども、今後とも県、JA等と連携を強め、引き続き各種制度の活用の周知、情報提供に努めながら、新規就農者の支援を行ってまいりたいと考えております。
三点目の農業生産法人の対応についてでございますが、農業生産法人は、法人組織による農地の権利取得を可能とすることを目的として創設された制度でございまして、農業生産法人の設立につきましては、農地法の規定に基づき、農地を利用して農業経営を行う農事組合法人、株式会社、持分会社で事業要件、構成員要件などの必須要件をすべて満たすことを条件とするほか、営農の理由書、営農計画書、定款などの提出を求め、代表者からの聞き取り調査を実施した上で、農業委員会において承認をしているところでございます。
なお、農業生産法人の事業要件といたしましては、主たる事業が農業であること、また構成員要件の一つとして、法人の行う農業に常時従事する者は、議員さんのおっしゃるとおり、原則として年間百五十日以上農業に従事することと規定されているところでございます。
また、農業生産法人は、毎事業年度終了後三か月以内に、事業の状況報告を記載した報告書を農業委員会へ提出することが義務付けられておりまして、報告書等を検証する中で、農業生産法人の要件を満たさなくなるおそれがあるときは、その法人に対しまして必要な措置をとるよう指導、勧告をすることになっているところでございます。
また、国は、今国会において農地法を改正しまして、所有権移転を伴わない貸借のみによる企業の農業参入を計画しているところでございますが、農地の貸借について、農業委員会が許可する際の要件としまして、農地を適正に利用していない場合に貸借を解除する旨の条件を契約に付させる内容となっておりまして、許可後においても耕作を行っていない等の不適切な利用が判明した場合には、許可を取り消す等の厳正、厳格な措置を講ずるよう農業委員会に求めているところでございます。
農業委員会においても、担い手不足が深刻化する現在の農業情勢を考慮すると、法人による農業経営への参画の必要性は高いということでございますが、農業の継続性、農地を守ることが可能なのかとの議員さんの御指摘につきましては、若干懸念しているところでございます。
このような背景を十分考慮しながら、農業生産法人はもとより、農業生産法人以外の法人に対しまして、利用状況の報告を定期的に求めるとともに、農業委員さんがやっています農地パトロール等による耕作状況の現地確認や経営状況の聞き取り調査等によりまして、農業委員会、農政課、農業公社が連携を図りながら適切な指導を行ってまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
地域奨励作物の奨励金減額について、生産者からは、元気の出るように、減らさないでほしかったという声があります。実は、農業委員会の歓送迎会のあいさつで、農業委員会の会長代理が、国、県の農業予算は三パーセントを超えているが長野市は、と言って後は言いませんでしたが、それを受けて市長は、言われなくてほっとした、というようなニュアンスで応じたように思います。
長野市の農林業予算は、林業予算を引くと二・三パーセントで、国、県よりも低いものになっております。耕作放棄地の積極的な解消と長野市の農業再生のために、見直しの際には予算を増やし、奨励金の復活や拡充を再度求めたいと思いますけれども、改めて市長のその思いをお聞きしたいと思います。
◎市長(鷲澤正一君)
農業の補助については、私は余り個々の問題でですね、補助金を出すとか、そういうようなやり方というのは余りやるべきではないというふうに思ってます。大きな意味で農業をどういうふうにしていったらいいのかということについて、国全体で考えなければならない問題だというふうに思ってます。
ただ、それだけではなかなか現状は難しいので、例の地域奨励作物ですか、三つの品目に対して補助金を出して、何とか部分的にはやっていこうじゃないかということをやったわけでございまして、ただ私は、補助金というのはですね、未来永ごう出していくということを、必ずしもいいとは思ってないんです。
ですから、非常に生産が上がってきたので補助金をなくしましょうと。なくしましょうという話じゃなくて、まあ減らしたわけですけども。それそのものについては私は、それはそれで必要なことではなかったかなというふうに思います。
ただ、それでまた落ちてしまうようでは、それは確かに困るわけで、必要に応じて補助金というものを考えていかなきゃいけない。私は、農業法人を作って、農業法人の中できちっとした、すべてのことが明らかになる中で、私はよく申し上げているんですが、補助金頼りの仕事というのは、正直言うとあんまり良くはならないだろうと。それよりも、もし何ならば資本注入というやり方もあるわけでございまして、そういうようなことで、法人化をして、資本としてお金を、資金を出していくというようなことを主体に私としては考えていきたいなと、こんなふうにいつも思っております。
以上です。
補助金はある意味で所得補償に結び付くものでありますので、改めて要望しておきます。
産業振興部長に改めてお聞きしますが、現在の農業生産法人数と耕作面積はどうか。今後の参入見込みはどのようになっているか、その見通しを伺いたいと思います。
それから、生産法人の問題で、エムウェーブ周辺でレタスを収穫しないで一部で畑ごとに除草剤を散布し、周辺農家から疑問の声が寄せられております。この問題についてどのように受け止め、事業にどう反映させるのか、お伺いをいたします。
産業振興部長(米倉秀史君)
二点お答え申し上げます。
まず、農業生産法人の関係でございますが、今、市内には二十二の法人があると承っておりまして、今後増えていくというふうに思っております。ただ、職員のというか、従業員の数については、私ども今のところは把握しておりません。
それから、二点目のエムウェーブの南側の関係でございますが、これは市内の農業生産法人が野菜を栽培するということで、三年間をかけて進めているところでございまして、たまたま二年目の昨年につきましては、気候等によりまして作物が、要は余り良くできなかったということで、消毒等をしまして、大変それに伴いまして、異臭を高じたということで、皆さん方に大変御迷惑をお掛けしたところでございます。これについては、私どもの方や農業公社の方からですね、適切な対応をするように求めているところでございます。ただ、来年は三年目ということで、やっと軌道に乗るんではないかということで期待しているところでございます。
私からは以上です。
昨年、農業生産法人がやってる現地に視察に行きました。農業委員さんは口々に、全国的には成功したところは少ない、もうからなければ撤退してしまうんじゃないか、こういう厳しい指摘をされておりました。そういう農業委員の皆さんの心配がないように、きちんとした指導をしていただきたいというふうに思います。
それから、要望でありますが、現在農地を持って耕作している販売、自給的農家は、家族農業が主体であります。ここへの支援策こそ農地を守る基本であります。そういう意味で、生産法人を否定するわけじゃありませんけれども、きちんとしたチェックをしながら、家族農業への支援をしっかりやっていただきたいということを要望しておきます。
環境問題について
次に、環境問題について伺います。
ごみ処理手数料値上げにかかわり伺います。
家庭ごみの処理手数料を経費の約一割強四億二千万円、一世帯当たり平均二千九百円の負担増となります。大変深刻な状況でありますが、説明会は三月の中旬を終了予定で周知を図るとしています。有料化で懸念される不法投棄の防止策の強化を行うことになっています。それが山間地を二十四時間見張る監視カメラの設置となるわけです。
市長は、環境に負荷を掛けない社会の実現を言いながら、住民には監視の目を光らせ、暮らしへの負荷を押し付けるもので、説明会に参加した住民から、納得できないと厳しい批判が寄せられています。
私は、さきの議会の討論で、値上げのための条例案は撤回し、市民の創意と知恵を頼りに大幅なごみの減量作戦を提起し、一千二百回の住民説明会を行うべきと提起しました。
そこで、伺います。住民説明会で出された値上げ先にありき、カメラによる住民への監視をやめてなど、指摘を率直に受け止め、今後のごみ行政に生かすべきであります。
また、新聞紙を初め資源ごみの団体回収については報奨金を減額しましたが、それでも市民は回収に尽力しております。回収量を更に増やすために報奨金の減額分の復活を求めます。また、可燃ごみの中に生ごみが約四十三パーセント混入しており、分別が必要であり、またその解決の一環として大型の生ごみ処理機を設置することになりました。たい肥の行き先などを含めて市長に伺います。
◎市長(鷲澤正一君)
環境問題の解決が世界的な課題となっている現在、ごみ減量による焼却及び埋立量の削減や資源化の推進は我々が果たすべき責務であり、早急に進めなくてはならない重要事項であります。さらに、本市においては焼却施設が著しく老朽化し、最終処分場の埋立可能量もわずかとなっている現状にあり、一刻の猶予も許さない状況にあります。
長野市廃棄物減量等推進審議会で、一年三か月にわたり審議いただき、平成十九年三月、市民がごみの排出者としての自覚と責任が明確に意識できる家庭ごみの有料化制度を構築すべきとした答申を頂いたことを受け、パブリックコメントにより広く市民の皆様の御意見も伺いながら、有料化制度導入について検討を重ね、広報やホームページなどで情報を発信してまいりました。
昨年六月市議会定例会で関係条例改正の議決をいただき、同じく昨年七月中旬からごみ減量と家庭ごみ有料化制度導入の住民説明会を開始し、本年二月末まで千十七回、延べ四万九百六十六人の市民の皆様に直接その必要性を訴えてまいりました。家庭ごみ処理の有料化は、ごみの減量と分別の徹底を目的としたものであること、また処理施設のひっ迫した現状を御理解いただけたと受け止めております。
環境への負荷を可能な限り軽減する施策の実施は急務であり、途切れることなく、かつ、遅滞なく進めるべきであると考えております。三月中旬まで住民説明会を継続するとともに、広報及びチラシの全戸配布やメディアなどを活用し、引き続き市民の皆様に御理解と御協力をいただくよう、本年十月からの家庭ごみ処理有料化制度実施に向け、万全の準備を進めてまいります。
なお、不法投棄監視カメラの設置は、申し上げるまでもなく、法で厳しく規制されている悪質な廃棄物投棄を抑止することが目的であり、住民説明会でも不法投棄を懸念する声は多く、厳しい取締りを求められております。中山間地域を中心とした人目に付きづらい不法投棄多発地に設置し、監視カメラ設置中の表示を併設することで抑止効果を高めるとともに、運用に関して定めた要綱に基づき、撮影した情報の管理を徹底してまいります。
以上です。
環境部長(関保雄君)
お答えをいたします。
初めに、団体資源回収報奨金の減額分の復活についてでございますが、市では、資源物の廃出機会の拡大や廃棄物処理量の減少を図るため、回収を行った団体に対し、回収量に応じて報奨金を交付しているところでございます。
団体資源回収の報奨金につきましては、中核市や県内市の単価水準や制度内容を比較いたしまして、平成二十年度から単価の見直しをしたものでございますが、見直し後も他市と比較をいたしまして、高水準に位置をしているところでございます。
また、長野市独自の制度といたしまして、平成九年度から設けた回収した資源物の売渡金額から、収集運搬経費を差し引いたときに売渡金額がマイナスとなった場合にも、実施団体の負担とならないよう、上限額の範囲内で市が補てんする加算金制度を継続実施しております。
なお、団体収集による回収量でございますが、前年同期>>>一月末まででございますけども>>>と比較いたしまして、今年度につきましては一・四パーセント増加しているというような状況があるわけでございます。
今後も制度のPRに努めまして、実施団体の育成支援を行い、団体資源回収の促進を図ってまいりますので、現状で御理解をお願いしたいというふうに思っておるところでございます。
次に、生ごみの分別でございますが、御指摘のように可燃ごみの減量には、約四割を占める生ごみの減量が大きくかかわってきております。市では、生ごみの自家処理を推進するため、出前講座や生ごみ減量アドバイザーの派遣、生ごみ自家処理機器購入費補助制度などを行っているところでございます。
生ごみの減量の一環といたしまして、平成二十一年度に自治会などを単位とした、生ごみを地域で共同処理し、できたたい肥をその地域内で利用していく循環型コミュニティを目指して、大型生ごみ処理機を使用したモデル事業を実施いたします。実践から生じる課題などを洗い出しまして、このシステム構築の可能性を検証してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
発生するたい肥につきましては、冬期間の利用が余り見込めない地域もあるわけでございますけども、一年を通じて安定的に地域内で処理することが課題となることが推測されます。例えば、協力農家に処理を依頼する、地域にある家庭菜園での活用を推進するなど、モデル事業実施地域の皆様と様々な可能性を探ってまいりたいと、こんなふうに考えております。
私からは以上でございます。
ごみの値上げと、さらに監視カメラで市民をチェックすることについては、納得できません。見直しを求めます。
次に、CO2の削減と施策についてであります。
長野市は、今後具体的削減についてどのように計画しているか。太陽光発電の助成は事業所も対象とします。どこまで数値を上げれば削減につながるのか。余った電力は売電できますが、その仕組みについて伺います。
小型水力発電をそれぞれこれから設置しますが、太陽光発電や小型水力発電の実績を検証し、長野市における将来の自然エネルギーの発展に貢献できるのか、見解を伺います。
◎環境部長(関保雄君)
お答えをいたします。
二酸化炭素などの温室効果ガス削減は、一朝一夕に解決できものではなく、長期的な対応が必要と考えておるところでございます。
本市におきましては、特に温室効果ガスの増加が著しい事務所や店舗などの業務部門、家庭やマイカーの対策が急務でありまして、現在、環境審議会で策定中でございます長野市地球温暖化対策地域推進計画におきまして、部門別の対策につきましても検討が進められております。
主な削減対策としましては、省エネ住宅、省エネオフィスへの改修や建て替え、太陽光発電、最新の省エネ家電、高効率の空調設備やボイラーの導入など、またハイブリッド車や電気自動車などのエコカーへの買換えや、公共交通機関の利用促進など、その普及方法を含めて検討がされているところでございます。
次に、太陽光発電の導入目標でございますが、全体の削減目標を達成するためには、家庭部門、業務部門とも二〇五〇年までに現在の四十から五十倍程度の導入が必要とされており、十年後の二〇二〇年ごろまでには現在のほぼ十倍に当たる一万五千世帯への設置を目指すことが審議会で議論されているところでございます。
これが達成されますと、二〇二〇年には年間に約二万八千トン、二〇五〇年には約八万トンの二酸化炭素の削減が見込まれるところでございます。
次に、太陽光発電の売電の仕組みでございますが、太陽光発電システムは、電力会社--長野市におきましては中部電力の送電網に接続されているところでございまして、家庭で発電量が不足するときや夜間など、電力会社から電気を各家庭が買い、逆に太陽光発電で発電量に余剰が生じたときには、電力会社へ余剰分を売るという仕組みになっているところでございます。現在は、家庭で買う電気と家庭が売る電気は同じ価格で取引がされておりますが、国では現在の二倍の価格で余剰電力の買取りを電力会社に義務付けようという動きもあるようでございます。
続きまして、太陽光発電や小水力発電などの導入が自然エネルギーの発展に貢献できるかということでございますが、自然エネルギーの普及には多額の導入コストがかかることが現実でございます。また、小水力発電や風力発電は、法律上の制約や自然条件によって設置できる場所が限定されてしまいます。
しかしながら、自然エネルギーは、化石燃料と違いまして無限とも言える資源でございます。特に、太陽光エネルギーを利用する技術は年々高効率化、低価格化が進んできているというようなことから、テレビや洗濯機、冷蔵庫などが各家庭に普及をしてきたというようなのと同じように、いずれは一般的な設備となるのではないかなと、こんなふうに考えてるところでございます。
このようなことから、市が率先して公共施設への導入を図り、実績を検証しつつ、低価格化が進むまでは市民、事業者の皆様に対しても支援をし、自然エネルギーの普及に努めてまいりたいと考えております。
なお、エネルギー分野の技術革新によりまして、燃料電池などの実用化が今後ますます進むものと思われます。自然エネルギーの普及とともに、二酸化炭素削減への貢献を期待するものでございます。
私からは以上でございます。
福祉施設への支援策について
時間がありませんので、福祉施設への支援策について伺います。
障害者自立支援法の下での支援施設で県下で唯一、指定障害者就労継続支援A型事業所長野福祉工場ながのコロニーは、印刷製本、縫製などが主な仕事であり、自力更生で頑張っております。
そこで、伺います。
先月十日付けで厚生労働省から、障害者を多数雇用する事業所、障害福祉施設等に対する官公需の発注等の配慮についての通達が中核市の市長に届けられています。発注の配慮、庁用物品の調達、各種役務など、随意契約における優先的な発注の配慮を求めています。どのように受け止め、具体化しているかお伺いします。
◎保健福祉部長(下條年平君)
お答えをいたします。
厚生労働省から自治体あてに、障害者を多数雇用する事業所、障害福祉施設等に対する官公需の発注等の配慮についての通知がございました。
この通知は、官公需の発注等について特段の配慮をすること、二点目として、障害福祉施設等における取扱品目を十分に把握した上で庁用物品、各種行事の記念品として活用すること、また物品の購入のほか各種役務の提供についても随意契約による優先的な発注というような三点について配慮するように求めたものでございます。
本市の取組といたしましては、市内の障害福祉施設等で取り扱っている物品を、写真も取り入れて本年度中にデータ化し、庁内各課が物品を購入する際の参考となるカタログを作ります。なお、このデータを活用いたしまして、長野市障害ふくしネット事務局のホームページに掲載をすることによりまして、市役所以外からも広く受注が可能となる環境を整備してまいります。
また、地方自治法施行令が改正され、役務の提供についても随意契約が可能となったことから、障害福祉施設等への発注促進を図るため、本年度、障害福祉施設等及び庁内各課双方に数度にわたる調査を行い、それぞれ受注、発注が可能な業務について洗い出しを行ってまいりました。
調査は、平成十九年度に支払実績があった役務費、委託料二千四百二十四件を分類いたしまして、業務の専門性が特別高くなく、発注が可能と思われる業務百二十九件を抽出して、障害福祉施設等に対し受注希望の意向を確認いたしました。その結果、調査した市内十八法人のうち五法人から草刈り、清掃等三十四の業務について受注希望の意向がございました。
障害福祉施設等への受注拡大は、そこで働く利用者の工賃アップに直結することでございますので、市といたしましても積極的に発注をしたいと思いますが、今回は新たに事業を創設して発注するというものではありませんので、これまでは他の事業者の方が受注していた業務であることから、その点も十分配慮し、可能な業務から契約をしてまいりたいと考えております。
私からは以上です。
是非、対応してもらいたいと思います。我が党市議団が先般、五百三十余の福祉施設に対してアンケート調査を行いました。大変深刻な答えが返ってまいりました。厳しい雇用情勢の中であります。福祉施設等への実態調査も行い、一層の支援策を望みたいと思います。
ただ今、保健福祉部長が答弁されたように、改めて福祉施設に対する調査を行って、必要な対応を是非お願い申し上げて、質問を終わります。