2009年3月定例市議会 佐藤くみこ議員
合併支所の職員数の削減計画について
農業政策について
鬼無里イヤーと、その後に生きる取組について
児童館・児童センター有料化について
介護保険制度について
浅川ダム建設と県の動向について
合併支所の職員数の削減計画について
二十三番、日本共産党市議団佐藤久美子です。
麻生自民党・公明党内閣の迷走状態の根本には、構造改革の目玉と言われた郵政民営化や三位一体の改革がことごとく破たんしているという問題があります。麻生総理は、二月五日の衆院予算委員会で郵政民営化に賛成じゃなかったとの発言をし、鳩山総務大臣は、二月十二日の衆院本会議で三位一体の改革に失敗の部分があるという発言を行いました。新自由主義的構造改革の破局を自ら認めたものであり、私は構造改革路線の自治体における決着と転換を求める立場で質問を行います。理事者の明確な答弁をお願いします。
画一的でない地域の特性を生かした振興策を進め、持続ある社会の構築を求める施策について伺います。
住民自治協議会と連携し、地域住民の福祉向上のためにますます支所の役割は重要になっています。合併支所の職員数の削減計画は、どのような根拠に基づき、どう進めようとしているのか説明を求めます。
市長は、施政方針で地域アドバイザー制度を創設し、市内十一地区に市職員OBなど嘱託職員一名を配置する制度で、住民自治協議会のサポート役として、また中山間地域の元気を盛り上げるための制度と説明されましたが、それなら支所職員数の削減計画を撤廃すべきです。行政と地域をつなぐ橋渡し役は、すべての地域に必要ではありませんか。その地域の歴史と特性を生かし、災害のない安心して住み続けられる地域をどうつくっていくか、住民の知恵と力を引き出す仕事を進めるべきではないか見解を伺います。
◎企画政策部長(丸山文昭君)
私から、地域活性化アドバイザーについてお答え申し上げます。
地域活性化アドバイザーにつきましては、農地や山林の荒廃が進む中山間地域において、地域の実情を把握し、中山間地域の個別具体的な政策や事業について、地域と行政をつなぐ役割が必要であることから、中山間地域を抱える十一地区の支所に配置するものでございます。
業務といたしましては、中山間地域の維持・活性化のために、住民自治協議会と一体となりまして、集落への支援のための実態調査や耕作放棄地対策などの農業支援関連事業、都市・農村交流の推進、不法投棄パトロール、森林等の地域資源の活用に向けた調査協力など、中山間地域の支援全般を担う役割というふうに考えてございます。
市内すべての地域に必要との議員さんの御提案でございますが、当面は中山間地域を抱える十一地区への配置といたしますが、今後その活動状況、住民自治協議会、支所あるいは農業公社などとの連携の方法等を検証する中で、住民自治協議会からの要望もお聴きしながら、総合的に検討してまいりたいというふうに考えてございます。
以上でございます。
◎行政改革推進局長(松倉一紀君)
私から、合併支所の職員数の削減計画についてお答えをいたします。
先ほども一部答弁をさせていただいたところでございますけれども、まず、平成十七年一月に合併いたしました一町三村の考え方ですけれども、それまでの住民サービスに急激な変化とならないよう、合併協定書の趣旨に沿って段階的に削減を実施してきておるところでございます。来年度の合併につきましても、基本的に同様に考えてございます。
最終的な支所の配置人員についてですが、土木職員の配置方法など、全市的に検討しなければならない問題がございます。そんなことで支所ごとの全体人員というのはまだ未確定でございますけれども、窓口業務とか、住民自治の支援業務など、基本的には旧、旧というのは平成十七年以前の長野市の他の支所との均衡がとれる人数としてまいりたいということでございます。
具体的には、窓口業務につきましては、地域の人口、それから各種証明書の発行件数など業務量に応じた適正人員となるようにいたします。それから施設の管理業務につきましては、指定管理者の導入や民間委託など、できるだけ民間活力を導入し、監督指導に必要な人員としたいというふうに考えております。
それから、議員さん御指摘の住民自治協議会、その他の地域団体に関する事務、その他個別の事務につきましては、人口が少ない中山間地域であっても、他の支所と同様の業務量があると考えられますので、今お話がありました来年度配置する地域活性化アドバイザーのほか、正規職員の配置の上でも配慮してまいります。
以上でございます。
合併しました地域では、一番やはり不安に思っているのが、災害が起きたときはどうなるのか、どういう緊急対応ができるのかという不安であります。私はそういう意味で、その地域を熟知する、また起こりやすい災害について備えることができる、そうした支所の職員というのが大変重要な役割を果たすというふうに考えております。
そういう意味では、地域を支えるために人手が何より必要でもあり、そうした中での職員数というものを考えていかなければいけないというふうに考えますが、そうした意味の職員数の削減は見直すべきではないかと考えるものですが、その点について答弁をお願いします。
◎行政改革推進局長(松倉一紀君)
遠隔地の支所における安全・安心、特に災害対応ということのお話でございます。
先ほどもちょっと触れさせていただいたんですけれども、この点につきましては、現在の旧一町三村の体制についても、まだ検討の途上にございます。特に、山間部、中山間部でございまして、慎重な検討も必要と思っておりますが、技術職の人数の問題もございますので、引き続きの宿題ということで検討してまいります。
以上でございます。
◎市長(鷲澤正一君)
合併地区の災害に備える職員数を減らすべきではないということでございまして、これは総合的に見て、そういう方向ではもちろん考えなければいけないとは思います。ただ、具体的に申し上げますと、職員数というのは、特に合併に絡んでは非常に微妙な問題だと、これは先ほど申し上げたとおりですが、ちょっと例を、佐藤議員さんが豊野の方でございますので、豊野に絡んで申し上げますと、豊野地区の合併前の職員数は約百名でした。正確じゃないですが、百名前後だったと思います。隣の若槻地区は数人の三人か四人ですか、正規職員は。
端的に申し上げると、若槻地区が人口が二万人、豊野地区が一万人、この問題をどうするかというのは、これはもう当然、私も議員さんからも言われたことがあって、人数比例でいくんなら、一人か二人でいいんだろうと、こういうようなことを皮肉っぽく言われた記憶もございます。要するに、基本的には私がいつも申し上げているとおり、合併というのは最大の行政改革なんですよ。ですから、基本的にはやっぱり減らしていくということを、減らさざるを得ないということは当然のことであります。
ただ、それが徹底するかどうかということについては、これは逆に言うと私も、これはいつも使っている言葉ですけれども、何事も徹底したときには必ずその社会はおかしくなると、こういうことをいつも私は申し上げておりますが、そのこともあります。ですから、どの辺でやるかということについては、これからの問題、これから徐々に社会の流れを見ながら、実際にどうなっているんだということを調べながら、やっぱりやっていくというのが、恐らく正解なんだろうと、私はそう思っています。
農業政策について
特産品の奨励制度を進めるため、市は地域奨励作物支援事業として品目を決め、地産地消の推進や耕作面積の拡大、食料自給率向上を図ってきましたが、農産物は気候風土に強く左右されるもの。長野市全域での画一的な制度である地域奨励作物支援事業を発展させ、また鳥獣害対策や担い手の高齢化を加味し、その土地ならではの特産品を奨励作物に決めて三年間の補助を行うという方法がとれないでしょうか。エゴマやニンニク、トウガラシやピーマンなど、奨励作物の品目を地元の人に決めてもらい、定着するまで市が補助をするなど検討すべきではないでしょうか。
山村の復活と環境保全は、山や土地を守り水を守ることでふもとの暮らしを守る持続可能な地域づくりであり、貨幣価値では測れない大切な役割を担っていると考えます。
施政方針で市長は、特に中山間地域の活性化を強調され熱意を込められましたが、その中で私はどうしても納得できないことがあります。それは、もうかる農業の強化という言い方です。もうからない農業は応援しないのかということです。大地の恵みに感謝し、地域に誇りを持って農業に携わる市民の多くは、貨幣価値だけで仕事をしてきたのではないと思います。大長野市の農業方針が、もうかる農業の強化では余りに発想が貧弱ではありませんか。命・長生き農業など再考を求めますが、見解を伺います。
◎産業振興部長(米倉秀史君)
まず、奨励作物を画一的にせず地域の特性を生かすものということでございますが、地域奨励作物支援事業につきましては、小麦、大豆、ソバを対象品目といたしまして、農地の遊休荒廃化の防止、食料自給率の向上、地産地消の推進を図ることを目的に、平成十六年度から三年を一区切りとして実施しておりまして、現在十九年度から二十一年度までの二期目となっているところでございます。
事業実績から見ますと、出荷量の合計で十九年度は十七年度の一・九倍に拡大しておりまして、二十年度も十九年度の実績を上回る見込みでございます。二十二年度以降につきましては、農地の遊休荒廃化の防止、食料自給率の向上、地産地消の推進など本市の農業を取り巻く諸状況のほか、食料自給率の向上に向けました国の施策などにも十分注視しながら、第一期、第二期の成果を十分検証しまして、事業の継続について判断をしてまいりたいと考えております。
議員さん御提案のエゴマやニンニク、トウガラシやピーマンなどの作物については、中山間地域に適したものと考えております。
そこで、新年度は既存の事業を一部見直しをしまして、地域特産品創設事業を実施することによりまして、地域で作物を選び、その特産化に関する研究や加工品サンプルの作成、宣伝などに要する経費を補助する予定でございます。農産物の特産化は、その作物の選定や振興策など難しい課題もありますけれども、今後は地域の中山間地域活性化委員会が中心となって、これらの事業を取り入れまして、地域の特性を生かした農産物の栽培の研究、検討を進めていただきまして、地域の特産品化が図られればと考えているところでございます。
次に、二点目の長野市が目指す農業についてでございます。
本市の農業は、経営規模が小さく輸入農産物の増加などによりまして農産物価格が低迷する一方、肥料などの生産資材が高騰しまして、農業経営は大変厳しい状況となっております。
こうした中で、経営規模を縮小したり、農業を辞めてしまう農家も増え、耕作放棄地が増加するなど農業従事者の高齢化、後継者不足とともに、農業の課題となっているところでございます。このため本市では、主に経営規模の拡大等によりまして、効率的かつ安定的な農業経営による力強い農業を目指す意欲と能力のある認定農業者など、担い手を対象に施策を展開しているところでございます。
このため長野市農業公社では、農業生産法人など多様な担い手の育成や農地の流動化、法人化の支援、マーケティングの拡大などを推進しているところでございます。小規模農家につきましては、効率的、安定的な農業経営の見込まれる担い手としての集落営農への参画を促しているところでございます。また、小規模農家であっても、所得の向上を図るためには、農産物の高付加価値化、マーケティングによる販路の確保、拡大への取組も必要となっているところでございます。
そこで、長野市農業公社では、中山間地域で収入を得て暮らせることを目標に、マーケティングの拡大として、ながのいのちブランド事業を立ち上げております。この事業は、中山間地域の農業生産者グループが作る農産加工品などの特産品づくりを地域ブランドとして売り出すことで、小さくともビジネスとして成立する、もうかる農業を目指しております。
また農業公社は、農業の再生のため、もうからなくても行わなければならない部分をフォローする機能も持ち合わせておりまして、そういう事業も展開しておりまして、議員さん御指摘の決してもうからない農業を応援しないのではありませんので、御理解をお願い申し上げます。
いずれにいたしましても、農業は市民や周辺地域、都市圏に食料を安定的に供給する役割を果たすだけではなく、環境や農村景観の形成、保水機能など多面的な機能を担っております。特に、中山間地域においては、こうした機能を維持するほか、中山間地域の生産不利条件を補うため、中山間地域等直接支払制度により農業を支援するなど、中山間地域の活性化の一環として、行政コストをかけて農業振興等を図ってまいりたいと考えております。
確かにもうかれば、その方が喜ばしいことですが、しかし、これは国政の下で大変農業は輸出産業の犠牲になってきたという状況があります。そういう意味でも一生懸命頑張ってきた農家に対して、私は行政コストで、この支援策を行っていくということが非常に期待されているところだと思います。もうかる農業というのは、私は言い方にひとつ工夫が必要なのではないかというふうに思うわけですが、その点についても答弁をお願いします。
◎産業振興部長(米倉秀史君)
もうかる農業についてお答えを申し上げます。
私も親戚が専業農家、リンゴ農家をやっております。そのリンゴで要するに生活をしているわけでございます。基本的にはもうかる農業を目指すということが農業の基本であるというふうに私は思っております。それを我々は支援していく。ただ、もうかる農業のみを支援していくというんじゃなくて、現在の農業行政は食料自給率の向上と食料の安全確保という観点からも、やっぱり支えていく必要があるというふうに思っております。
私からは以上です。
◎市長(鷲澤正一君)
それから、もうかる農業という考え方ですが、もうかるというのは、私は言葉としてすばらしい言葉というふうに思っています。これは全く見解の問題で、そういうもうかる農業という言葉がいけないと言われれば、私も、ああそうですかと言わざるを得ないんですが、とにかくもうからなければ産業というのは動いていかないと、人間の生活もできていかないと、これだけは事実であります。
以上です。
もうかる農業については、これは見解の相違です。生産者が言うならともかくも、私は行政としてはもっと一工夫が必要だというふうに考えたので申し上げたところです。
鬼無里イヤーと、その後に生きる取組について
新年度に取り組まれる鬼無里イヤーに、地元の期待が強く寄せられていることを、十二月十九日に開催されたプレイベントに出席させていただき強く感じました。国際応用システム分析研究所の青木健太郎博士が複合型ツーリズムによる持続的な循環型山岳地域社会構築コンセプトと題して講演をされましたが、示唆に富むお話でした。
次の世代が住みたい、生まれ故郷に残りたいと思うような魅力的な地域づくりができるか注目するところであります。環境になるべく負荷を与えず、地域に配慮した観光と農業体験、農家民泊、伝統食など盛りだくさんのメニューが打ち出されていますが、住民参加はどのように進んでいますか、現状について説明ください。また、その後の活動に続く、若者定住化の施策をどう考えていますか。
鬼無里では、修学旅行の生徒の受入れをしていて、交流が楽しみになっているようですが、市内の子供たちの体験、交流を検討できないでしょうか。また、子供たちに電動自転車や小水力発電を利用するエコ体験をさせてはと考えますが、どうでしょうか。
◎産業振興部長(米倉秀史君)
鬼無里イヤーと、その後に生きる取組をでございますが、鬼無里イヤーキャンペーンにつきましては、観光協会等が主体となってキャンペーンを実施した戸隠・飯綱地区とは異なりまして、住民自治協議会が主体となって準備を行ってまいりました。キャンペーンの目的も、地域住民の一体感を促しまして、今後の新たな鬼無里観光のスタート元年と位置付けられたものでございます。
地域の皆さんの御努力によりまして、キャンペーンタイトルおでやれ鬼無里の下、ウォーキング・トレッキングといった自然体験イベント、生活に密着した農業・食を通じた交流イベント、歴史・伝説を学び、その魅力を再発見するイベントなどが年間を通して予定されております。
数多くのメニューが作られておりますが、今まで地域住民が主体となって行った事業を拡大、強化したものが多く、地域の皆さんだけではなく、地域外の方も広く参加できる事業となっております。
続きまして、鬼無里イヤー終了後の若者定住化のための施策についてでございますが、この事業の趣旨は、観光を通じた地域の活性化でございまして、地域主体の事業を通じて、若者の働く場の創出、ひいては定住促進が図られてはと思っております。
併せて、本市では飯綱・戸隠・鬼無里地区の活性化を図るべく、いいとき観光エリア活性化構想を策定しまして、現在これに基づく事業実施に向けた推進協議会の設立準備を進めているところでございます。これら観光事業を通じて、若者が働ける環境づくりができればと思っております。
また、中山間地域の活性化を図るべく農業公社を主体とした、もうかる農業づくりや地域間競争に勝ち抜ける特色あるグリーンツーリズムの推進、バイオマスエネルギーを活用した新たな産業の開発、地域活性化アドバイザー制度による住民自治協議会のサポート等を通じて、鬼無里地区の活性化、若者定住化に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、市内の子供たちの体験・受入れについてでございますが、鬼無里地区では十八年度から千葉県などから農作業体験等を通じた中学三年生の修学旅行の受入れを行っておりまして、着実に成果が現われているところでございます。
こうした中、二十年度から小学生の農山漁村での長期宿泊体験を行う子ども農山漁村交流プロジェクトを文部科学省、農林水産省、総務省の三省が連携をして進めております。本市でも子ども農山漁村交流プロジェクトについての受入体制の整備を進めておりまして、鬼無里地区でも市内の小学生の受入れが可能かどうか、地域の皆様と考えていきたいと思います。
続きまして、子供たちのエコ体験でございますが、現在、無電源地域でございます奥裾花で、小水力発電設備の導入可能性調査をしております。現在、財団法人新エネルギー財団にお願いをいたしまして、調査を実施しているところでございますが、この結果を受けまして、実現性があると見込まれる場合には、小水力発電設備やバイオトイレを導入しまして、エコ体験の実施や電気自動車の導入も検討してまいりたいと考えております。
私からは以上です。
児童館・児童センター有料化について
それでは、続きまして、受益者負担・公平性の考え方と児童館・児童センター有料化について質問いたします。
一月十六日のマスコミ報道で、児童館、児童センターの有料化の審議内容が掲載されました。長野市社会福祉審議会児童福祉専門分科会が一月十五日に開かれ、二〇一〇年度から利用料を月額三千円とする方針を決めたとの内容であります。兄弟で同時利用する場合は、二人目からは三分の一の減免で二千円、生活保護世帯は無料、市県民税非課税世帯は半額とするなどとしています。景気の悪化に伴い、暮らしを支えるために働きに出る人がますます増えていきます。児童館、児童センターの役割も今まで以上に大きくなることが予想されます。
しかし、今でさえ希望するだれもが利用できる状況にはなく、三年生は利用できないとか、近くに祖父母がいる人は利用できないといった状況です。市は、新たな施設は造らないとの方針で、長野市版放課後子どもプランを進めています。児童数の少ない地域は何とかスペースが確保され実施されていますが、全校に移行するには大変厳しい状況です。
私は新規に児童館、児童センターを造らないという方針を見直し、必要な地域には増設も含め対応すべきだと考えます。市長は、二月二十日の日本共産党も参加する市民が主人公の長野市政をつくるみんなの会の申入れに対し、特定されるサービスは、かかる費用を公正に負担していただくとして、受益者負担が平等だと主張されました。
しかし、市民の実際の暮らしを想像してください。必死に働いている親御さんがどれほど児童館、児童センターを頼りにしているか。放課後そこに行っていてくれるから安心して仕事ができるのです。今、おやつを出しているところは負担が大きくなるので、それをやめてしまうかもしれません。児童館によっては、出すか出さないかは議論が分かれるようですが、しかし子供たちは楽しみにしています。利用料を負担できないお宅は利用をあきらめ、六歳、七歳の児童でも、だれもいない家に帰るしかありません。
子供たちは、将来の長野市をしょって立つ宝であります。だから、地域の方々が登下校を見守り声を掛けてくださっているのではないでしょうか。福祉や教育の充実は住民全体の利益でもあります。市民の暮らしの厳しさが大きく増しているとき、公正さを強調し負担増を強いるのは余りに冷たい市政ではないでしょうか。利用料徴収は撤回をすべきと思いますが、市長の見解を伺います。
受益者負担と市の責任について伺います。
百四十三種類のサービスで七十件を、二〇一〇年度と十一年度に値上げする方向が打ち出されました。総額三億六千万円の市民負担増とマスコミも伝えています。市は、市民の暮らしの実態が分かっていないのではないでしょうか。景気悪化の底はまだ見えません。市内の正規労働者でも一週間のうち四日休みという、この勤務の方は来年のことより来月の見通しがつかないと言っていました。なぜこの時期に市民負担を上げるのでしょうか。負担軽減を打ち出すのが、本来の市政ではないでしょうか。働いてきた人々に何の責任もない、この大不況の中で有効な手を打てない国政に代わって、市民の暮らしを守るために財政の緊急出動をしてでも負担軽減を図るのが、税金の配分を決める最高責任者の仕事ではないですか。見直して、こうした方針そのものの撤回を求めるものですが、見解を伺います。
市長(鷲澤正一君)
長野市版放課後子どもプランの基本方針の一つに、施設については既存の児童館等を使用するほか、小学校施設を活用するということを掲げております。これは、現在の児童館等の老朽化と狭あい化の状況を踏まえ、今後の財政事情、小学校施設の状況、児童数の予測などから、総合的に勘案した結果でございます。
また、昨年十一月には国からの通知もあって、放課後子どもプランの実施に際しては、子供たちの多様な活動の場が確保できるよう、学校教育に支障が生じない限り、学校諸施設の適切な有効活用を促進することとされております。したがいまして、市といたしましては、それも踏まえ、現行の方針どおり原則児童館等の新設、増設は行わずに、既存の児童館等を使用しながら、公共施設である小学校施設を活用してまいりたいと考えております。
なお、放課後子どもプランとして使用可能となった小学校施設につきましては、各校区の運営委員会の皆さんと協議する中で、使用施設の広さ等に応じて、まずは受入対象児童を留守家庭の低学年として、順次対象児童を広げていくこととし、保護者の皆さんに御理解をいただく方向で進めております。
児童館、児童センター等の利用料につきましては、市社会福祉審議会において御審議をいただいてまいりまして、本年二月に答申を頂いたものでございます。審議に当たっては、利用料の導入の是非から議論していただき、児童館等は利用する人と利用しない人がいるので、税負担の公平性の確保から、サービスを利用する人は事業運営費の一部を負担することが適当と考えるとの答申となっております。
なお、保護者の経済状況等も考慮する必要があることから、生活保護世帯及び市県民税非課税世帯に対する減免や、一世帯で二人以上の同時利用に伴う減免についても御審議をいただき、それぞれ減免率が示されたところでございます。今後、その答申を尊重しながら、市としての方針を決定してまいりますが、放課後子どもプラン事業のサービスを維持していく上でも、事業運営費の一部を御負担いただく方向で検討を進め、その際には保護者の経済状況等についても考慮し、一定の減免措置を講じてまいりたいと考えております。
平成二十二年度の利用料導入に向けて議会とも協議をさせていただき、利用者、各校区の運営委員会等関係の皆様に御説明し、周知に努めながら進めてまいりたいと考えております。
以上です。
◎行政改革推進局長(松倉一紀君)
私から、議員さんの、なぜこの時期に市民負担を上げるのかという御質問にお答えをいたします。
今回の見直しの対象とした七十件の行政サービスについてですが、度々御説明申し上げておりますが、すぐに行うというものではなく、改定の時期を平成二十二年の四月、若しくは二十三年の四月としてございます。今後、一年ないし二年の時間をかけて政策的な配慮、あるいは今、市長から答弁ございましたけれども、弱者への配慮なども含めて改定案を作成してまいりたいというふうに考えておりますので、御理解をお願いいたします。
それから、その負担軽減を打ち出すのが本来の市政の役割ではないかという御指摘でございますが、市の基準の考えは、利用者に負担いただくべきものは、きちんと負担をお願いするというのが原則でございます。市民の生命・安全の確保、インフラ整備、最低限度の生活保障など、先ほど災害というお話もございましたが、真に行政が担うべき部分については、行政が責任を持って確実に実施していくことが必要であり、限られた財源の中で行政を持続させ、経営していくことが重要であると考えておるところでございます。
以上でございます。
一人親のAさんは、小学校二年生と四年生の子供を育てています。土・日も隣町の実家に子供を預け働いています。就学援助も受けていますが、鉛筆一本、消しゴム一個を買うのが大変、一番困っているのは実家の親御さんが高齢で米づくりができなくなり、米を買わなければならなくなったことだと言われました。
昨日の答弁で、一年間政策的判断をして受益者負担を導入すると理事者は答えています。子育て支援を優先施策に位置付ける長野市として、児童館、児童センターの有料化は撤回すべきだと思います。
そして、先ほど市長から利用する人としない人がいるから、利用をする人から取るというお話でしたが、利用しなくてもいい人は、そこに人がいて子供を見る人がいるから利用しないのです。ですので、児童館、児童センターの利用者に負担を強いることは余りにも冷たい市政だと言わざるを得ません。その点について、もう一度撤回を求めますが、いかがでしょうか。
◎市長(鷲澤正一君)
先ほどのお話と全く同じでございます。私としてはですね、確かに、それは何でも無料といえば無料、無料がそれは一番いいに決まっている、特に市民の立場からいえば無料がいいというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、しかし、よく考えてみると、それを利用する人が、それは無料になっていると、それは逆に言うと、利用しない人たちの何といいますかね、負担を奪っていると、私はそうと言ってもいいんではないかという、ちょっと整理していませんので、あんまり正確ではないかもしれませんが、私はそういうふうに考えるべきだろうなというふうに思っています。
以上です。
私は大変厳しい状況の中で必死に働き、必死に子供を育てている市民を支援してほしいというふうに考えて質問いたしましたが、大変冷たい答弁だというふうに思いました。
介護保険制度について
次の質問に移ります。
介護保険十周年に当たってお尋ねをいたします。
今年は制度開始から十年目を迎えました。社会保障切捨ての構造改革の下で、負担増や介護取上げが進み、家族介護の負担は今も重く、一年間に十四万人が家族の介護などのために仕事を辞めていると言われます。高い保険料や利用料が負担できず、制度を利用できない低所得者も少なくありません。介護を苦にした痛ましい事件も続いています。
私たち日本共産党は、この中で、だれもが安心して利用でき、安心して働ける公的介護制度の実現のために提言をまとめました。介護を最も必要とする所得の少ない人たちが介護を利用できないのでは、公的介護制度の存在意義にかかわります。保険料は、所得に応じた定率制に改めるよう提案するものです。また、保険料滞納者への給付停止など、ほかの社会保障制度にはない厳しい制裁は廃止すべきと考えます。長野市では、給付制限の状況はどうなっているか。また、この給付制限の中止を求めるものですが、見解を伺います。
◎保健福祉部長(下條年平君)
介護保険の御質問についてお答えをいたします。
介護保険料は現在、所得段階別の定額保険料でございまして、長野市の場合、所得段階は六段階設定としておりますが、平成二十一年度からの次期介護保険料は、負担能力に応じた、よりきめ細かな設定とするために、九段階設定とすることとし、本定例会に長野市介護保険条例の一部を改正する条例案を提出したところでございます。
介護保険料の定率制に関しましては、介護保険制度の創設時において、次のような理由で見送られた経過がございます。
一つ目として、定率とした場合には、負担能力に応じたものとなり、高所得者の負担も多くなるわけですが、医療保険に比べて著しく高額な給付が発生することがないことから、一定の者の保険料負担を高額とすることは給付と負担の均衡の観点から適当ではないと考えていたこと。
二つ目として、創設当時の保険料が全国平均で基準月額でございますが、二千九百十一円であり、定率制にして負担能力の格差を調整する必要性が少ないと考えていたことなどでございます。
このような経過がございますが、制度創設以降、保険給付費は年々増加しており、保険料水準も過去二回の改定で上昇をしております。このような状況を踏まえて、国におきましては、介護保険料の在り方等に関する検討会を設置し、将来的には定率制又は定率制と定額制の併用の賦課方式などに改める方向で検討をしておりますので、今後とも国の動向に注視してまいります。
次に、保険料滞納者への給付停止などについてお答えをいたします。
現在、介護保険制度では保険給付の制限として、納期限から一年以上滞納した場合はサービス利用料の全額をいったん利用者が自己負担し、申請により後から保険給付分--費用の九割分でございますが、支給される、いわゆる償還払いがございます。
また、納期限から一年六か月以上滞納した場合は、償還払い分を一時的に差し止め、滞納保険料に充当して相殺することとしております。さらに、納期限から二年以上滞納した場合は、給付減額として、利用者負担が一割から三割に引き上げられたり、高額介護サービス費等が受けられなくなります。
これらの保険給付の制限に至るまでには督促、催告並びに電話及び訪問による催告も随時行っておるほか、各期別納付や一括納付等が困難な方に対しましては、生活状況等を把握しつつ、信頼関係を構築しながら個別に対応し、滞納が長期化しないように保険料減免や保険給付の制限等についても周知をし、分納計画を立てて納めていただくようにしております。
さらに、地域包括支援センターと連携しながら、該当世帯の生活状況を把握し、納付相談のみならず、生活全般の福祉支援を行うことなどを通じまして、継続的な納付に結び付け、給付制限まで至らないように努めておるところでございます。
以上のような対応を行った上で、なおかつお支払をいただけない滞納者の方に給付制限を行っております。
平成十九年度におけます長野市の給付制限の状況でございますが、償還払いへの変更が一件、一時的な差止め、これはゼロ件でございます。給付減額が四件となっております。このように、給付制限に当たりましては、飽くまでも保険料納付を促し、十分な周知やきめ細かな納付相談等を実施し、安易な給付制限の適用は行っておらないということでございます。
いずれにいたしましても、介護保険制度は、介護を国民皆で支え合う制度として創設された制度でございまして、保険料負担については、世帯全員の経済的な能力をかんがみまして、それぞれ御負担をお願いしているものでありますので、給付制限は制度の安定運営や公平性の観点からも、やむを得ない措置であるというふうに考えております。
私から以上でございます。
この保険制度は、特に高齢者の命に直接かかわるものでもありますので、是非とも、この給付制限、給付停止等については行わないよう改めて求めておきたいと思います。
また、この四月から行われます新しい認定制度について、大変軽度の判定に変更するということが厚労省の三万件のモデル調査でも指摘をされております。また、これについては、違う場で改めて議論を行っていきたいと思いますが、是非とも十分な介護保険制度となるよう求めておきたいと思います。
浅川ダム建設と県の動向について
次に、浅川ダム建設と県の動向について伺います。
二月二十四日、長野県の参事である右近謙一氏が自ら命を絶つという事件がありました。その後、準大手ゼネコンの西松建設の裏金を巡る疑惑で、西松建設関係者が二〇〇六年の県知事選挙の前後に、村井知事周辺に対し一千万円以上の現金を提供していたと東京地検特捜部の調べに供述していることが報道されました。特捜部が複数回にわたって、右近氏に参考人として聴取をしていたことも明らかにされています。
西松建設は、二〇〇五年に島根県に完成した国内で唯一稼働している益田川の穴あきダムの本体工事を受注し、また真光寺ループ橋も受注しております。事業費百八十億円と言われる浅川ダムとの関連に疑念が浮上していますが、市長の感想をお聞かせください。
また、長野市の負担金五億六千万円は、利子も含めると十億円近いと言われますが、正確には幾らになるのか。一体いつ県から返還されるのか答弁を願います。
◎市長(鷲澤正一君)
浅川ダム建設と県の動向についてお答えをいたします。
二月二十七日の信濃毎日新聞には、西松建設が島根県の益田川ダムを建設したという記事が掲載されておりましたが、同じ穴あきダムということだけで浅川ダムと関連させることはできないと思いますので、コメントすることはございません。
◎上下水道事業管理者(中村治雄君)
負担金の返還額と返還時期についてお答えいたします。
旧浅川ダム建設計画において、利水利用の負担金として県に支払いました約五億六千万円について、利子を含めて返還を要求しておりますが、県からは額、時期ともに明確な回答がまだ得られておらず、返還額は決定しておりません。今後も、県との協議を進め、負担金が一日も早く返還されるよう努めてまいります。
以上です。
私は、この公共事業と、この建設業者との関係、これは今大変国政をも揺るがす大きな事件となっておりますが、私はこの公共工事と、この業者との関係について大きなこと、大変な状況だということを感じたわけであります。
一つ再質問ですが、この額と時期が全く県から示されないというのは、一体どういうことなのか。もう既に何年も経過していることですので、この県の返答について、もう一度詳しく説明ください。
◎上下水道事業管理者(中村治雄君)
はい、お答えさせていただきます。
まず、県では負担金の返還に利子を付けて返すのが妥当か、いわゆるそもそも論の結論がまだ出ておりません。私どもの方では、当然要求はしておりますけれども、協議中で不確定な要素が絡む中で、市が一方的に金額を公表することは好ましくないわけでございますし、私どもとしましては、県に返還額、期日を明確にするよう要望しております。当然、いろいろと事務レベルでの中では大変財政上厳しいというものが一番の重要な課題になっておるというふうに私は解釈しております。
以上です。
県も厳しいですが、市も厳しいんです。是非早急に返還を……