議会報告

2008年12月定例市議会 野々村博美議員の代表質問

市長の政治姿勢について

福祉の充実について

住民自治協議会について

浅川ダムについて

教育行政について

公共交通の充実について

公的保育制度について

市長の政治姿勢について

  二十六番野々村博美でございます。日本共産党長野市議団を代表して質問いたします。 最初に、鷲澤市長の政治姿勢について伺います。

 まず、雇用破壊について伺います。
 失業者が全国で三万人。しかし、これは氷山の一角と言われています。日本の大企業は非正規雇用を増やし続け、ばく大な利益を上げ、内部留保はトヨタだけでも十三兆円、大企業全体では二十三兆円です。例えば、一兆円の内部留保を取り崩しても、年収五百万円の労働者を二十万人雇用することができます。また、トヨタは株主への配当金を三円引き下げただけでも、期間工三千人を雇用できると言われています。
 大企業は、雇用を守る十分な体力を持っており、社会的責任を果たすべきです。雇用確保こそ最大の景気対策です。大企業への実効ある指導、監督、六兆円の雇用積立金の活用など、失業者への生活、就労支援、労働者派遣法の抜本改正など、政治の果たすべき責任が問われています。雇用破壊に対する大企業と政治の責任について、鷲澤市長の見解を伺います。
 また、県内の首切りは千六百人とのことですが、長野市の実態はどうか伺います。市としても対策本部を設置し、実態を把握し、失業者に対する支援を行うよう、また企業に雇用を守るよう強く働き掛けることを要望します。市長の見解を伺います。

◎市長(鷲澤正一君)
 野々村博美議員さんの御質問にお答えをいたします。
 初めに、私の政治姿勢についての御質問のうち、雇用破壊についてお答えをいたします。
 私は、今回の不況、雇用情勢の不安定の根源は、アメリカのサブプライムローン問題にあると思います。今回の金融危機は、金融工学を駆使し、利益を追求したアメリカの金融資本主義がもたらした結果であります。経済の原則を無視した常識外のマネーゲームは、いずれ崩壊することが必然であったのではないかと思っており、その責任は非常に大きいと感じています。
 私の企業経営の経験では、現在問題になっているような債権の在り方は、本来のあるべき経済の原則を無視したものと思われます。十月末に、麻生首相は自ら不況克服のための緊急経済対策を発表いたしました。現在の経済は、百年に一度の暴風雨が荒れている。金融災害とでも言うべきアメリカ発の暴風雨であるという発言は、正に私の考えと一致したものであります。
 もとより、雇用の確保、一定の賃金の保障は企業の社会的責任ではありますが、設備投資計画、雇用計画、賃金体系をどう組み立てるかということは、企業各々の判断状況と見通しの中で、企業自らがその責任によって行うものであります。
 世界的な金融不安の中にあって、円高が進んでいることからも分かるように、日本経済は決して弱いものとは思われません。責任うんぬんとの後ろ向きの議論ではなく、知恵を絞って暴風雨を乗り越える方策を絞り、共に進むことこそ肝要かと考えます。

 次に、長野市としても対策本部を設置し、対応に努めるようにとのことでございますが、先日厚生労働省から、派遣又は請負契約の期間満了、中途解除による雇用調整及び有期契約の非正規労働者の期間満了、解雇調整による雇い止めについての調査結果が発表されました。全国で三万六十七人、県内は千六百十六人で、全国では愛知県、岐阜県、栃木県に続いて四番目に多い人数となっております。
 こういった状況を踏まえ、厚生労働省では十一月二十八日に緊急雇用対策本部を設置したところであります。非正規労働者等にかかわる雇用調整、新規学卒者の採用内定取消し等の状況を把握するとともに、各ハローワーク等においては、労働者派遣契約の解除等にかかわる指導、採用内定取消しを行おうとしている事業所への指導、採用内定を取り消された学生等の就職支援、離職を余儀なくされた方々に対する再就職支援、雇用保険の手続に関する適切な対応等に取り組んでおります。
 また、十二月五日には長野労働局にも緊急雇用対策本部が設置され、県においても解雇や雇い止めなど労働問題でお困りの方を対象とした緊急労働相談窓口が設置されております。さらに、十二月十八日には北信地域のハローワーク、自治体、経済団体、商工団体、その他の団体等により各機関における雇用安定対策等を模索することを目的に北信地区緊急雇用安定対策会議が開催されることとなっております。
 したがいまして、市といたしましては、国や県、関係機関における支援策や現状等の情報を収集するとともに、それぞれと十分連携を図りながら、適切な対応をしてまいりたいと考えております。

 次に、麻生内閣の経済対策について伺います。
 今こそ国民生活を守るために、政治がその責任を果たさなければなりません。そのためには、第一に、ばくち経済破綻のツケを国民に回さないこと、第二に、外需頼みから内需主導へ、日本経済の抜本的な体質改善を図ること、第三に、カジノ資本主義への追随からの根本的転換を図ることと考えます。しかし、麻生自公内閣が打ち出している経済対策の内容はどうでしょうか。
 景気対策の目玉にしているのが、二兆円規模の定額給付金です。しかし、家計支援というなら、自公政権が〇二年以降、高齢者増税や定率減税の廃止、医療改悪や年金保険料の連続引上げなどで国民に押し付けてきた年間十三兆円、累計で五十兆円近くもの負担増、給付カットこそ見直すべきです。痛みの押し付けは継続しながら、一回限りのばらまき、しかも三年後には消費税増税、これでどうして景気が良くなるでしょうか、白紙に戻すべきです。
 欧州連合は、各国に消費税や労働者の所得税減税を含む勧告を発表しています。麻生内閣の経済対策が応援しようとしているのは、庶民の家計ではなく大企業、大資産家、大銀行です。大企業には法人税率の引下げなど、年間五兆円も減税し、更に減税を追加します。大資産家に対しても証券優遇税制を三年間も延長しようとしています。銀行への十兆円もの公的資金導入は、大銀行も対象に加え、中小企業への貸出目標さえ外しています。損失が出れば、国民が税金で負担する仕組みです。
 十年前、銀行業界全体では、約四十七兆円もの公的資金が投入され、そのうち既に十兆円が国民の負担になります。国民の暮らしを応援する経済対策をとってこそ、日本経済を立ち直らせる、景気を良くする道が開かれます。鷲澤市長の見解を伺います。

 ◎市長(鷲澤正一君)
 
次に、麻生内閣の経済対策についてお答えをいたします。
 私は、常々国家経済は国政で対応すべき問題であり、地方自治体は所与の条件の中で最大限の努力をすべきものであると考えているところでありますが、この百年に一度と言われる世界的な金融資本市場の混乱が、我が国の実態経済、そして本市の市民生活にも現実として影響を及ぼしていることを重く受け止め、国の経済対策に対する私の見解を改めて申し上げてみたいと思います。
 まず、結論から申し上げますと、麻生総理は選挙より経済と判断し、本年十月三十日に緊急の経済対策である生活対策を決定しましたが、この政府の対応と経済対策の内容については、私としても一定の評価と大きな期待をしているところであります。対策は大きく分けて二つに分かれており、国際的にすべきこととして金融安定のための国際協調と、国内ですべきこととして生活者の安全保障のための家計、雇用支援や地域活性化など多様で大胆な施策が掲げられております。
 私の強く感じるところを幾つか申し上げますと、国際協調に関してはその必要性は大いに認めるものの、今回の金融危機の根源であるアメリカのサブプライムローン問題については、金融工学という手法、いわゆるお金をおもちゃにしたツケがもたらしたもので、貸し手のモラルハザード、格付に頼った投資家の自己責任の欠如といった資本主義の悪い面のみが現れたものと認識しております。これについては、もっとアメリカの責任を糾弾すべきではないかとの憤りを覚えます。
 また、総額で二十六兆九千億円となる国民の生活対策費のうち、議員さんからもお話のありました定額給付金については、ばらまきという悪評のみが強調されていますが、短期間に景気を良くするためには、ばらまきは当然のことと思いますし、本市にとっても約六十億円近いお金が流れ込むわけで、景気は気からというように心理的要素も大きいので、もっと歓迎し、盛り上げるべきだと強く感じております。
 次に、中小企業の資金繰りなどの対策については、対策費全体の八割を占める二十一兆八千億円が投じられるとのことであり、最も重要で本市にとっても大いに期待する項目であります。
 最後に、麻生総理が消費税増税に言及したことに批判も出ておりますが、私は現在の国の財政状況を冷静に考慮すると、増税に触れることなしでは無責任と言わざるを得ないと考えます。
 なお、私も増税するとすれば、消費税しかないのではないかと思いますし、地方財政にとっても消費税は地域の偏在性が少なく、極めて安定していることから、基幹的な税目としての役割を果たすべきであるとの考えを持っております。いずれにしても、本市といたしましても、これらの対策が決定され次第迅速に対応し、市民が安心して生活を送れるように努めてまいります。
 また、議員さんがおっしゃいました意味と同じかどうか分かりませんが、内需拡大による経済成長ということは、大変大切なことであるというふうに思っております。かなり前になりますが、ちょっと年代ははっきりしませんが、円高が進んだ時期、プラザ合意のころだったと思いますが、前川レポートという有名なレポートがあったことを今、思い出しております。
 すなわち、これも外需に頼らず内需によって経済を拡大していこうよという趣旨であったと思いますが、いずれにしても、その後グローバル経済が進んで、どうしても企業にとっては外需に頼る発展を考えてしまったということでありました。日本はもっともっと内需拡大ということに努力をしなければいけない社会であると、私はつくづくそう思っております。

 次に、定額給付金の市独自の活用について伺います。
 長野市民分として給付される定額給付金は五十から六十億円になる見込みです。希望する方には当然給付するとしても、もっと有効に利用してほしいと願う人たちの善意を集めて使い方を考えてはいかがでしょうか。例えば、福祉施設に回すとか、母子家庭に支給するとか、地域振興券にして低所得者層に配布するとか、その内容については大いに知恵を絞り、独自の有効活用を考えてはどうでしょうか。

◎市長(鷲澤正一君)
 次に、定額給付金に関して市独自の有効活用を考えてはどうかとの御質問でございますが、私も本事業が発表された当初から、例えば独自のプレミア付き金券の発行など、より有効な活用方法について考えたわけであります。しかし、手続が複雑となる方法は現実的には難しいと考えられることから、基本的にはシンプルな方法で、かつ、迅速・確実に給付金を市民の皆様にお届けできるよう取り組んでまいりたいと思います。
 なお、善意を集め、使い方を考えてはとの御提案につきましては、本事業が単に住民の生活支援にとどまらず、地域全体の経済対策を目的とし、全世帯を対象としておりますことから、今回は給付を受けた市民の皆様がなるべく早い時期に地元において大いに消費していただくことが、まずもって本事業の趣旨に沿うものと考えております。

 次に、新自由主義の崩壊と長野市の目指すべき方向について伺います。
 アメリカの大統領選でチェンジを掲げたオバマ氏が歴史的な勝利を果たしました。そして、新自由主義の時代が終わったとの指摘が相次いでいます。新自由主義のまん延によってアメリカ社会だけでなく、世界も日本も大きくゆがめられてきましたが、新自由主義とは一体どういうものでしょうか。鷲澤市長は、九月議会で資本主義の壁ではなくて、それは間違った方向へ今行き始めている。何らかの規制をしていかないとまずいとお答えになりました。
 新自由主義の思想が日本にどんな深刻な変化を起こしてきたでしょうか。資本主義の公正なルールを無視して行われた労働法規の規制緩和で大量の非正規雇用が生み出されました。福祉や医療の民営化路線が目先の効率化一本やりで、その果たすべき役割と機能を大きく後退させました。教育への全国学力テストの導入や国立大学の法人化、教育基本法の改定によって競争の原理が強化され、教育の分野でも目先の効率が重視され、将来的な学問水準が懸念される事態になっています。
 小泉内閣以来、新自由主義という規制緩和万能論、もうかりさえすれば何をやってもよい、弱肉強食のルールなき資本主義を一挙に進めてきました。その結果が今、アメリカ型社会を目指してきた日本が貧困で苦しむ多くの人を生み出し、弱肉強食の中で人々の心を荒廃させ、病んだ社会へと変ぼうさせられてきました。
 鷲澤市長の民営化路線もまた市場原理を貫いた新自由主義以外の何物でもありません。指定管理者制度は、大量の低賃金労働者を自治体が作り出し、公共施設を市場に投げ出しました。また、コスト論に基づく公共施設の利用料設定は市民の暮らしや公共サービスの在り方などお構いなしです。
 目先の利益ではなく、弱肉強食の社会ではなく、ルールある経済社会、額に汗して働く者が報われる社会の再構築を目指していくためにも、長野市もまた方向性を根本から見直すべきではないでしょうか。具体的には、保育園の民営化をやめること、指定管理者制度については市営住宅、福祉関連施設など直営に戻すこと、利用料の見直しは行わないことを求めます。見解を伺います。

◎市長(鷲澤正一君)
 次に、新自由主義の崩壊と長野市の目指すべき方向についてお答えをいたします。
 現在、世界経済は深い谷にあり、日本経済の弱体化と悪化の兆しが強まり、地方経済や自治体経営にも悪影響が及んできております。このような情勢の中で、将来的に持続可能な自治体経営を行っていくためには、なおのこと民間感覚を取り入れた効率的な行財政運営が必要であり、私が進めてきた行財政運営の路線は決して誤りではないと考えております。特に、保育園の民営化や指定管理者制度、PFIなど、民間活力の導入を軸とした行政改革につきましては、今後も積極的に取り組んでまいります。
 指定管理者を導入した市営住宅につきましては、窓口営業時間の延長や土曜、日曜の入居者募集の実施などサービスの向上につながったこと、また福祉施設につきましても、営業時間の延長や日曜、祝日の事業実施など、弾力的な事業展開が図られ、利用者の利便性が向上したほか、効率的な事業運営により経費節減が図られたことから、制度導入によるプラス効果があったものと認識しておりますので、直営に戻すことは考えておりません。 また、指定管理適用施設における職員の雇用や労働条件等につきましては、雇用主の責任として法令等遵守することは当然の責務であるとともに、裁量の範囲と考えておりますので、決して御指摘のような多くの低賃金労働者を作り出しているわけではありません。
 今後も指定管理者制度、民営化を適切に運用し、適用施設を拡大するとともに市民サービスの向上や施設の有効活用、コスト削減に努めながら、効率的で持続可能な行財政運営を目指してまいります。
 今回の利用者負担の見直しは、すべてのサービスについて一律コストの百パーセントを負担いただくものではありません。公益性の度合いによって各種サービスを類型化した上で、負担割合を段階的に定めたものであります。
 したがいまして、野々村議員さんから御指摘のような公共的なサービスの在り方などお構いなしということではなく、正しく公共サービスのコストと負担の在り方はどうあるべきかを審議会の議論を経て論理的に取りまとめたものでありまして、これからの時代において行財政運営を持続可能なものとするためには、適切な方向であると考えております。
 なお、議員さんから御指摘の市民の暮らしへの影響につきましては、市民にとって選択的なサービスや日常生活に必需のサービスなど、その形態によって家計への影響の度合いが異なりますので、個々に政策的な判断を加えてまいりたいと考えております。
 地方自治体の経営は、今後厳しい状況が続くものと思われます。本市といたしましては、今後も行政改革に取り組みながら、長野らしさの感じられる魅力と活力のあるまちづくりを推進してまいりたいと考えております。

 次に、国民保護法と実動訓練について伺います。
 過日、県内で初めて実施された国民保護法に基づく実動訓練は、約千六百人が参加し、総合防災訓練の七倍以上もの予算が使われ、これまで全国で行われた中で最大規模となりました。国民保護法は、有事を理由に自由や民主主義が制限され、国民の人権が脅かされ、国民保護をうたいながら、実は国民統制で戦時協力体制づくりに拡大していく危険があります。本来、長野市はこの訓練を受け入れるべきではありませんでした。全国最大規模などという実動訓練が長野市で行われたことは、憲法九条を守ろうという運動を先駆けて行ってきた市民と県民の気持ちを逆なでするものです。改めて、この訓練に積極的に賛同してきた鷲澤市長に抗議いたします。見解を伺います。

◎市長(鷲澤正一君)
 次に、国民保護法と実動訓練についてお答えをいたします。
 国民保護法は、武力攻撃やテロなどの緊急事態が発生した場合には、国民の生命、身体及び財産を守るために国、県、市などの役割や国民保護措置を行うための体制整備、訓練、啓発活動の実施などを定めたものであります。
 私は、市民の生命・財産を守ることは、行政に課せられた最大の責務であり、基本的な使命であると認識しております。また、テロなどの危機発生時に国、県、市などが連携し、迅速かつ的確に対応できるよう平時から訓練を行い、非常事態に対処することは必要かつ重要なことであります。
 今回の訓練内容は、市の役割である避難、救援、被害の最小化に沿った住民の避難訓練などであり、大規模な自然災害にも十分に対応できる訓練でありました。また、関係機関との連携確認や強化、あるいは職員の対処能力の向上も図られ、大変有意義な訓練でありました。
 私は、武力攻撃等の発生を未然に防ぎ、国民の安全を確保するに当たり、国は最大限の外交努力を行うことが第一であり、最も重要な責務であります。また、国内で発生するテロなどの危機事案に対しても、国、県、自治体が連携し、未然に防ぐことも重要な責務であると考えております。
 しかしながら、あってはならないテロなどの危機事案に備え、市民の生命・財産を守るために、平時から継続して訓練を行うことは必要なことであると再認識するとともに、今後も各種訓練を通じて危機管理対処能力の向上を図ってまいりたいと考えております。

 市長交際費訴訟問題について伺います。
 市長交際費返還請求訴訟で、長野市は控訴を断念することを決め、市長は八万四千円を私費から返還したということです。一審の長野地裁の判決が出た際、鷲澤市長は違法性のないことを主張すると控訴されましたが、貴重な税金であることを考えれば、疑問が残ったとしても、司法の判断を仰ぐまでもなく疑わしきは使わずということで、決着をつけるべきだったのです。改めて見解を伺います。

◎市長(鷲澤正一君)
 次に、市長交際費訴訟問題についてお答えをいたします。
 長野地方裁判所に提訴された六十二件のうち、五十五件は違法性がなく、七件は違法であると判断されました。私としては、この判決には事実誤認と判断誤りがあり、基準もはっきりしないこと、また他の地方自治体への影響等も考慮し、このまま一審の判決を確定させるわけにはいかないことから、控訴したものであります。
 東京高裁の判決では、三十五件のうち七件、七万四千円に違法性があるということで、額が三千円増え、内訳も多少入れ替わる結果となりました。判決文には、明確な判断基準が示されず残念ではありましたが、控訴審の判断でもあり、訴訟を継続していくための時間や労力なども考慮した結果、最高裁への上告はせず、違法と判断された事案七件、七万四千円に遅延損害金を加えて八万四千百九十円を市に返還させていただいたものであります。
 私としましては、市長であるがゆえに様々な会合に御案内を頂きますが、市民の皆様の御意見をお聴きして市政に反映するとともに、私から市の政策などを直接御説明させていただくことは、市長の重要な職務であると考えております。
 その際の交際費執行に当たりましては、平成十八年四月に改定した交際費の執行基準に沿って政教分離の原則に反しないか、市の利益に資するものであるかどうか、市長の指揮監督権が及ばない外部的なものかどうか、社会通念上の儀礼の範囲かどうかなど、基本原則を踏まえつつ、個々具体的に判断し、厳格に運用してまいります。加えて、引き続き執行状況のすべてを市のホームページで公表し、透明化を確保してまいります。

福祉の充実について

 次に、福祉の充実について伺います。
 今、貧困問題は一部の人の問題ではなく、社会全体が深刻な事態です。預貯金がない世帯が二十パーセントを超え、OECD発表の貧困率は十五・三パーセント、高い方から五番目です。また、五百万世帯が最低生活基準で暮らしていると言われています。専門家は、政府は今貧困問題を過小評価しているが、しかし日本における貧困の規模、社会経済の構造的要因、望ましい対策について正面から取り組むことが急務となっていると指摘しています。
 特に、次世代を担う子供たちに深刻な影響が出ていることを私たちは直視する必要があります。欧州各国は、子供の貧困問題を重視し、対策に力を注いでいます。家庭の問題として放置すれば、子供を社会から孤立させるだけでなく、将来の社会コスト増にもつながりかねないためです。
 かねてから、給食費や保育料を払わない家庭が問題になってきましたが、自己責任論を言っている限り、ますます深刻になるばかりです。長野市でも就学援助が増え続けていますが、中には銀行口座も作れないという家庭もあるほどです。滞納が始まった家庭への就学援助の紹介、保育料の見直し、福祉事務所や児童相談所などへの紹介など丁寧な支援が必要です。
 九月議会で少子化対策特別委員会として、将来的には児童相談所の設置について考えるべきと報告しましたが、体制の強化は急務です。相談員の人数は、平成十七年度以降増員されてはいません。また、要保護児童調整機関として児童相談所、保育所など、福祉サイドの関連機関の連携が強化されていますが、教育現場とも一層の連携を図っていく必要があります。現況と御見解を伺います。
 また、就学援助の制度を必要としている家庭に対しては、年収だけで線を引くのではなく、家庭の事情をよく把握して利用できるよう格段の配慮を要望するものです。また、貧困の固定化、連鎖が心配される中で、長野市の子供たちの置かれている状況をきちんと把握し、実態の解明を行う必要があります。御見解をお願いいたします

◎保健福祉部長(下條年平君)
 私から、福祉について何点か御質問を頂いておりますので、順次お答えをいたします。

 初めに、子供を守る体制の強化のうち、教育現場と児童福祉サイドの連携についてお答えをいたします。
 教育現場と児童福祉サイドの連携につきましては、まず幼保小連絡会がございます。これは、市内すべての小学校に設置されているもので、その小学校と児童の出身幼稚園、保育園との連絡・連携の場として、毎年二回以上実施しております。
 また、全市を対象にしたものとして、長野市要保護児童対策協議会がございます。これは、要保護児童に関する情報を共有し合う目的で、教育機関、保健・医療機関、警察・司法機関、民間関係団体を構成団体といたしまして、平成十七年七月に設置されたものであります。
 この協議会では、個々の事案について個別ケース検討会議を設けることが定められており、その多くが幼稚園、保育園、小・中学校を会場に開催されております。会議には、市保健福祉部関係課を初め担任教諭、保育士のほか必要に応じて校長、教育委員会の指導主事、園長などが出席し、教育現場と児童福祉サイドが連携しながら、課題解決に取り組んでいるところでございます。
 今後も、長野市要保護児童対策協議会の個別ケース検討会議などを通じ、教育現場と児童福祉サイドの連携により、より一層努めてまいりたいと考えております。

 次に、子供たちが置かれている経済的な実態の把握についてお答えをいたします。
 本市においては、郵送による市民アンケートのほか窓口での相談などの場でニーズの把握に努めておりますが、必ずしも経済的状況と関連付けたものになっていないのが現状でございます。
 例えば、少子化で人口の減少が続く中、所得制限がある児童手当の受給者数は伸びているというのは、児童手当の対象である小学生までの子供がいる世帯の所得に減少が見られるためと分析はしております。しかし、厚生労働省が定義する貧困に該当する世帯数の推移等は把握をしておりません。議員さん御指摘の経済面からの世帯実態の解明につきましては、今後の検討・研究課題とさせていただきたいと考えております。

 次に、母子世帯への支援について伺います。
 日本は、母子世帯の貧困率が国際的に突出していますが、母子世帯の就労率が高いのも特徴です。しかし、母子世帯の平均所得金額は全世帯の四割以下の水準で、さらに不況の中で減収しています。また、児童扶養手当の削減、生活保護の母子加算の廃止など、ますます追い詰めています。政府に大幅な改善を求めるべきです。

 また、自家用車があれば、生活保護は受給できませんが、母子家庭については認めるよう、国に改善を求めていただきたいと思います。見解を伺います。

 また、母子寡婦福祉資金の利用者は、相談が五百件を超えているのに、利用者はわずか二十一件にすぎません。この資金をもっと利用しやすい制度に改善することを求めます。非正規雇用で働く多くの母親が幾つもの仕事をこなしながら必死で子供を食べさせ、就学させている実態に目を向けていく必要があります。
 また、母子家庭への就労支援が行われていますが、失業者があふれている現実の中で、正規雇用で働ける職場を見付け出すことは至難なことです。資格の習得などへの手厚い援助が必要です。国の制度として高等技能訓練促進費など給付金制度がありますが、全体の三分の一の期間を援助するというもので、残りはどうすればよいのか。県や長野市が三分の二を応援すべきではないでしょうか。御見解を伺います。

◎保健福祉部長(下條年平君)
 次に、母子世帯への支援についてお答えをいたします。
 初めに、児童扶養手当につきましては、平成十四年の法律改正に基づき、本年四月から手当を受給してから五年等を経過する受給資格者については、手当の二分の一が支給停止となる制度が開始されております。この制度は、受給者本人や子供等の障害や疾病など、就業が困難と言える事情がないにもかかわらず、就業意欲が見られない者についてのみ支給額の二分の一を支給停止とするもので、それ以外の者につきましては、今までどおりの支給を行うこととしております。
 市といたしましても、支給停止の対象となる者については、就業に向けた指導等を実施し、この制度改正の趣旨でございます母子家庭の母の自立を促進してまいります。

 次に、生活保護の母子加算につきましては、生活保護世帯以外の母子家庭との均衡を図るため、平成十九年度から減額され、平成二十一年度からは廃止となります。この措置と同時にひとり親世帯就労促進費が新設され、就労している一人親世帯の就労収入の月額が三万円以上の場合は月額一万円、就労収入の月額が三万円未満の場合は、月額五千円を支給することになりました。これは、生活扶助に加算するのではなく、就労意欲を高めることを目指しました自立支援の観点から支給されているもので、母子加算はなくなりますが、新たな適切な支援制度であると考えております。

 次に、生活保護の母子家庭のマイカーの保持につきましては、被生活保護者が単に日常生活の利便性のために利用するのであれば保有は認められませんが、公共交通機関の利用が著しく困難で自動車以外で通勤することが困難な場合で、かつ、自動車の処分価格が小さく、勤務に伴う収入が自動車の維持費を大きく上回る場合などは保有が認められております。
 これ以外の未就労や公共交通機関での通勤が可能な母子世帯に対しての自動車の保有につきましては、一般的な市民感情からしても理解は得難いものと考えておりますので、御理解をお願いをいたします。

 次に、母子寡婦福祉資金貸付制度につきましては、母子及び寡婦福祉法に基づき運用している制度でございまして、母子及び寡婦世帯の経済的自立の助成と生活意欲の助長を図り、併せて扶養している児童の福祉を増進することを目的としたものでございます。
 貸付金でありますので、一定の据置期間終了後には償還義務が生じるものであります。安易に貸付けを行うことによりまして、償還金の滞りを招き、経済的自立が困難になってしまったケースも発生しております。そのため、真に経済的自立をしたいと考えている方に、その道を進むための資金をお貸ししてまいりたいというふうに考えております。
 貸付けの相談があった場合には、面接等の実施により申請内容を十分確認し、就労あっせんや将来の就労のための就学支援などを併せて実施する中で、母子の自立のために必要な貸付けであるか否か、また申請者等の償還能力にかんがみ、貸付金額の妥当性についても考慮する中で、申請者の立場になって相談に応じ、経済的自立を支援してまいりたいと考えております。

 次に、高等技能訓練促進費給付金につきましては、看護師や介護福祉士など就職の際に有利な資格を取得するため、養成機関で二年以上の修業が必要な場合に給付金の支給対象となるものでございます。この給付金は、養成機関での修業と仕事又は育児の両立が困難な者を対象者として資格の取得が見込まれる修業期間の最後の三分の一の期間を支給期間としておりますが、支給期間以外につきましては、世帯の状況に応じ、母子寡婦福祉資金の生活資金の貸付けなどにより支援をすることが可能でございまして、そのような対応を実施した例もございますので、御理解をお願いいたします。

<再質問> それから、母子家庭の方のマイカーですけれども、公共交通が著しく困難という言い方は大変厳しい言い方であります。車がなければ就職活動ができないわけです。この長野市の特殊な事情を考えても、マイカーは働く母親にとっては必需品です。保育園にお迎えに行くにも、何につけても必需品で、これがないために就職活動が狭められてしまうということもあるわけで、これは是非とも国に改善を求めていただきたいと思います。

◎保健福祉部長(下條年平君)
 次に、マイカーの関係でございますが、マイカー保有につきましては、現在いろいろ事情もお聴きをしながら、保有を認めるか認めないかという部分につきましては、私どものケースワーカーのケース検討会議等においても検討をさせていただいている部分でございます。
 一般的には、生活保護世帯については、マイカーは所有を認められていないというのが現在の制度でございますが、例外的な形で認めるということでございますので、その辺につきましては、かなりやはり条件的には厳格に対応させていただいておるというのが実態でございますので、よろしくお願いいたします。

 次に、生活保護行政の充実について伺います。
 貧困の広がりの中で、生活保護受給者も急増しています。長野市でも平成十四年度被保護世帯数は八百四十五世帯だったものが、現在では約千四百世帯です。最後のセーフティーネットである生活保護行政の改善と充実は切実な課題です。丁寧なケースワークを保障するためにもケースワーカーを増員し、現在一人当たり八十世帯も担当している状況を改善すべきです。また、研修制度の充実、ベテラン職員の配置など必要と考えますが、現況と見解を伺います。
 また、生活保護は申請から保護費の支給まで一か月以上かかっています。ぎりぎりの申請を行う市民が多い中で、この間の生活費はどうなるのか、わずかなつなぎ資金では生活できません。申請から支給まで短縮するか、つなぎ資金を増額するか、対策を講ずるべきです。御見解を伺います。

◎保健福祉部長(下條年平君)
 次に、生活保護行政の充実についてお答えをいたします。
 増加する被保護者数に対応するケースワーカー数の改善と研修制度の充実、ベテラン職員の配置についてでございますが、社会福祉法でケースワーカーの標準定数は被保護世帯八十世帯に付き一人とされております。近年は、毎年七十から百十世帯の被保護世帯が増加しておりまして、これに併せてケースワーカーも毎年増員になっております。このため、本年四月のケースワーカー一人当たりの被保護世帯数は、標準定数の八十世帯となっております。
 また、担当職員の資質向上のために県で主催します新任者研修や、国が主催するケースワーカーや査察指導員の研修会に積極的に参加をしているほか、毎年ケースワーカーから二名程度選出をいたしまして、通信教育による研修を受講しております。職員の在職年数は、現在一年から四年目の職員配置となっておる状況でございます。
 今後も、研修会への参加などにより資質の向上を図るほか、本人の資質や意欲、在職年数も考慮し、適正配置に努めてまいりたいと考えております。

 次に、生活保護の申請から支給までの期間についてでございますが、生活保護の要否決定の通知は、申請があった日から十四日以内にすることが原則とされておりますが、扶養義務者の資産状況の調査に日時を要する等、特別な理由がある場合には三十日以内となっており、資産調査の回答を得るまでに三週間程度かかるものがございまして、保護の決定までに三から四週間かかってしまうのが実情でございます。生活保護決定日以後の最短の会計支払日に保護費をお渡しできるよう努力しておりますので、御理解をお願いいたします。
 また、生活保護申請中の生活費として、生活が困窮している世帯にお金をお貸しするつなぎ資金でございますが、これは長野市単独の法外援護制度で上限が二万円となっております。食料品の購入などに優先的に使用していただくことにより、初回の保護費が支給されるまで、やりくりしていただくよう努力をお願いしておるところでございます。
 なお、社会福祉協議会に、保証人が必要となるなど貸付要件がございますけれども、五万円まで貸付けを受けられる助け合い資金の制度もありますので、つなぎ資金と併せて御利用いただくことも可能となっております。

<再質問>
 まず、生活保護のつなぎ資金なんですけれども、一例を挙げますと、親子三人で暮らしている方のつなぎ資金、丸々二万円は出してはいただけませんでした。一万円のつなぎ資金を渡して、もうなくなってしまった、子供に食べさせなければいけない、どうすればいいか。自分のところにあるテレビを売る、あるいは台所のテーブルを売る、こういう生活をされていた方に対して一万円をもう使ってしまったのかと、一週間で使ってしまったのは使い過ぎだという指導がされております。
 この方は、子供さんが紙おむつを使っています。もう既に紙おむつを買うお金がありません。それでも、この方に対してもっと節約をしなさいという指導がされているのが現実です。つなぎ資金については、きっちりと再考をしていただきたいと思います。答弁をお願いいたします。

◎保健福祉部長(下條年平君)
 再質問の関係につきまして、お答えをいたします。
 まず、生活保護世帯のつなぎ資金でございますが、ただ今議員さんの方から一万円ということでございましたけれども、上限が二万円という形になってございますので、その範囲内で御相談に応じながらお貸しをしていくということにさせていただいておりますので、御理解をお願いいたします。
 なお、二万円が上限ということでございますので、この中でやりくりをしていただくということでお願いをしているものでございます。

<再質問>
 それから、先ほどのつなぎ資金の関係ですけれども、二万円で生活をどんなにやりくりしたってできないことは分かっているわけです。社協の融資制度を使える方はごくわずかです。ほとんどの方が使えない中で、どうやってこの寒空、特に子供を抱えているような家庭は生活ができません。学校に子供を出している方もいますが、学校に払うお金がない。こういう方たちに対して、もっと節約をして暮らすようにということしか指導できない。これは余りにも冷た過ぎるんじゃないでしょうか。是非改善を求めます。これについては、もう一度、再度御答弁をお願いしたいと思います。
   (発言する者あり)
<再質問>
 そうですね。これについては、市単で決めているわけですから、つなぎ資金二万円をそれぞれの状況に合わせて、もっと上げていくこともできるわけですから、二万円を上限として決めるんではなくて、個々のケースによって決めるというふうに弾力的に考えていただきたいと思います。
◎保健福祉部長(下條年平君)
 つなぎ資金の件について、再度申し上げます。
 現在のところ、上限二万円ということなってございますので、その範囲で何とかやりくりしていただくことをお願いするしかないわけでございますが、その前提といたしまして、保護申請の要否の決定について、若干時間を要している部分がございますので、ここら辺の短縮も含めながら検討させていただくということで、むしろ要否決定の期間短縮をすることによりまして、二万円の中で、つなぎ資金で生活をしていただくというようなことも考えてまいりたいというふうに考えております。
 以上、よろしくお願いいたします。

<再質問>
 次に、福祉事務所としての機能強化について伺います。
 福祉事務所は、福祉サービスを住民に直接実施する総合的な専門機関として設置されましたが、介護保険制度、自立支援制度などの導入で措置制度が破壊され、福祉事務所の機能が弱められてきた経過があります。経済的な困難さだけでなく、家庭問題、介護問題、精神疾患の増加、社会的な孤立など様々な課題を抱えて生活困窮になったケースが増えている中で、福祉事務所としての総合的な調整機能の強化が求められます。長野市の民生費は、構成比二十二・八パーセントで、中核市三十九市中三十七位、最下位クラスです。民営化路線と正規の職員配置をしていないことが大きな要因となっています。職員の時間外勤務は今年度上半期で総務部、企画政策部、保健福祉部が職員一人当たり八十時間を超えています。
 保健福祉部については、昨年も八十時間を超え、更に超過勤務が増えています。特に、その中でも厚生課、高齢者福祉課、児童福祉課、保育課が百時間を超えており、慢性的な職員不足と言わざるを得ません。福祉はマンパワーがかなめです。専門職を配置し、福祉事務所としての機能強化をすることを求めます。御見解を伺います。

◎保健福祉部長(下條年平君)
 次に、福祉事務所としての機能強化についてお答えをいたします。
 福祉行政へのニーズの変化は、福祉事務所の機能にも影響を与えておりまして、御質問のとおり介護保険制度や自立支援制度など、新たに市町村長の権限の下に行うことになった事務があることも事実でございます。しかしながら、長野市福祉事務所は長野市保健福祉部と表裏一体をなして業務に当たっておりまして、市の福祉行政全体としては、機能の維持は図られていると考えております。
 福祉にマンパワーは確かに必要であり、定員適正化目標によって職員数の減はあるものの、社会福祉主事の資格を取得できる職員を配置するよう努めており、また専門性を高める研修を受講するなど、職員個々の質の向上を図っております。また、複雑化し、多岐にわたる福祉行政の対応といたしましては、例えば複合的な課題を持つ市民の相談を複数の関係課職員が一緒に受けるなど、部内各課の横断的な連携によって組織の相乗的な効果を得るようにしております。
 さらに、福祉行政における業務量の増加や質の変化に対して保健福祉部の組織体制の見直しも検討しており、限られたマンパワーをより効率的に生かせるよう、今後も努めてまいります。

 次に、福祉関連施設への緊急補助について伺います。
 日本共産党市議団は、市内の福祉関係施設にアンケート調査を実施し、七十か所を超える施設から回答を頂きました。どこも切実です。回答の一部を御紹介します。
 光熱水費は計画年度の三分の二で終わってしまった。灯油、ガソリン代など十から二十パーセントの負担増。食材費が値上がり、質を落とさざるを得なかったが、利用者さんから苦情が来て元に戻した、努力も限界。人件費が安くて人材が集まらない、家族を支えることができる人件費にしてほしい。本来なら、もっと利用回数を増やした方がよいと思われる方も回数を減らしている、安心して老後を送る介護保険制度に抜本的に改善してほしい。教育や福祉には市場原理を入れてほしくない、くるくる変わる国の制度をそのまま現場に下ろしてほしくない、市独自の補助も考えてほしい。施設整備費にかける余裕がない、スプリンクラーは設置できない。コムスンの事件で民間への締めつけが厳しくなっているが、小さな企業でも必死に頑張っているところがあることを分かっていただきたい。介護報酬を上げていただかなければ、立ち行かない、その結果、一番困るのは利用者。送迎車両の燃料費が高騰、ほかの予算で補てん。製品の納品回数を一日二回から一回に減らしているなどなど、経費の節減に努力しつつも限界を訴えます。
 長野市として早急に実態調査を行うべきです。高騰分の食材料費、灯油代、ガソリン代、光熱水費について緊急的に補助金を支給すべきではないでしょうか。また、福祉施設へのスプリンクラー設置に対する補助を検討していただきたいと思います。また、介護報酬を引き上げてもらわなければ、人材が確保できないと、どこの施設からも切実な声が寄せられています。厚生労働省への改善を強く求めるよう要望します。

◎保健福祉部長(下條年平君)
 次に、福祉関連施設への緊急補助についてお答えをいたします。
 現在の経済状況は、原油価格の高騰や世界的規模の金融不安など国際経済の中での日本全体の問題であり、一市町村が対応すべき、あるいは対応できる問題ではないというふうに考えております。また、福祉関係施設の運営主体には、長野市にしか施設のない社会福祉法人もあれば、広域的に施設を設置している法人もあり、仮に特定の市において単独で物価対策を講じたとしても、施設間や法人間で不均衡を生じることとなり、根本的な問題解決にはつながらないと考えております。
 福祉施設等の経営は、措置費等の定額の収入により運営をされており、こうした急激な経済状況の変動に影響されることはあるとは思いますが、措置費や介護報酬等は基本的には必要経費の景気変動等を考慮し、決定されているものであり、今回のような状況につきましては、国において経済状況を総合的に判断をし、対応されるべきものと考えております。
 以上のことから、施設運営費に関して市からの補助金交付については、実施する予定はございません。
 次に、同じく緊急補助についてのうち、福祉施設へのスプリンクラーの設置に対する補助についてお答えをいたします。
 スプリンクラーの設置につきましては、平成十八年一月八日に発生をいたしました長崎県大村市の認知症グループホーム火災を踏まえ、消防法施行令が改正をされ、それまで千平方メートル以上の延べ床面積を対象といたしておりました社会福祉施設におけるスプリンクラー設備等設置基準が、延べ床面積二百七十五〔訂正済〕平方メートル以上千平方メートル未満の施設にまで拡大をされました。
 これに伴いまして、新設、既設を問わず該当となる施設においては、平成二十四年三月三十一日までにスプリンクラー設備等を設置することが義務付けられたものでございます。お尋ねのこの施設整備に係る補助制度でございますが、現在、国、県、市いずれにおきましても、補助制度はございません。しかしながら、平成二十年四月一日から、独立行政法人福祉医療機構が消防用設備設置資金貸付制度を設け、資金の貸付けを実施しておりますことから、設備整備に当たりましては、この制度を御利用いただきたいと考えており、当面市単独の補助制度を創設する計画はございません。

<再質問>
 それから、スプリンクラーについて、これは補助制度がないわけですから、融資制度を使えばいいという態度ではなくて、せめて国や県に要望をする、長野市としても何とか努力をしたい、そういう姿勢を示していただきたいと思います。御答弁をお願いいたします。

◎保健福祉部長(下條年平君)
 なお、スプリンクラーにつきましては、先ほど答弁申し上げたとおり、今のところ計画はございませんので、よろしくお願いいたします。

◎保健福祉部長(下條年平君)
 次に、介護労働者の人材確保と処遇改善についてお答えをいたします。
 介護労働者の人材確保と処遇改善につきましては、福祉人材確保指針を平成十九年八月に改定し、特に介護報酬等の設定については、給与、物価等の経済動向や地域間の給与格差等を勘案しつつ、経営実態や従業者の労働実態を把握すること等を通じて、国民の負担している保険料等の水準にも留意しながら、適切な水準の介護報酬等を設定することとしております。
 また、本年五月には、いわゆる介護従事者処遇改善法が制定をされまして、平成二十一年四月一日までに介護労働者の賃金などの処遇改善策を検討し、その結果に基づいて必要な措置を講じることとされております。
 一方、全国市長会では、本年六月四日に開催されました全国市長会議におきまして、次期介護報酬の改定に当たっては、保険料の水準に留意しつつ適切な人材の確保、サービスの質の向上などを図るために、都市自治体の意見を十分踏まえて、適切に報酬を設定することを重点要望項目の一つとして要請をしております。
 このような状況の中で、本年十月三十日に開催をされました新たな経済政策に関する政府・与党会議・経済対策閣僚会議合同会議において、介護従事者の処遇改善のための緊急特別対策として、平成二十一年度の介護報酬を三パーセント引き上げるとする方針を決定いたしました。
 現在、国ではこの報酬を踏まえまして、社会保障審議会の介護給付費分科会の意見を徴しながら、サービス種類ごとの具体的な介護報酬の改定作業を行っているところでございます。
 したがいまして、既に国においては、介護従事者の処遇改善に向けた具体的な取組がなされていることから、今後も引き続き国の動向を注視してまいりたいと考えています。

 それから、福祉灯油についてです。
 既に長野市はやらないということで発表されていますけれども、昨年使った予算は五十パーセント--半分残したわけです。ですから、今年やったとしても、昨年分の残りを使えば、昨年並みの支給はできるはずなんですね。実際に非常に厳しい生活状況になっている中で、今年も福祉灯油を出してもらえるんじゃないかと、首を長くして待っている方が現実にいるわけです。
 麻生内閣の下で年度内の定額給付金の支給も難しくなっている事態の中では、国が出すからいいということも言っていられない。是非とも厳しい長野市の冬を乗り越えるためにも、福祉灯油の支給を考えていただきたいと思います。

◎保健福祉部長(下條年平君)
 次に、福祉灯油の実施についてお答えをいたします。
 昨年度は、短期間の急激な原油価格の高騰により、これに伴う暖房費への影響に対し緊急的な福祉施策として生活困窮世帯へ灯油等購入費助成金の交付を行いました。今年度に入りましても、世界的金融不安による経済の混乱などで景気の低迷と石油製品に限らない諸物価の高騰が続いており、市民生活全般に影響を与えておりますが、これらは国による物価対策等による対応が必要であると考えております。
 こうした状況の中、御承知のとおり、国の緊急経済対策として年度内に定額給付金の交付が予定されております。このことによりまして、各家庭への経済的支援が実施されますことから、市の単独事業として上乗せの形での福祉施策を実施する必要まではないと考えております。
 また、灯油価格につきましても、ひところの価格からは下落する傾向にあり、昨年のような緊急的状況ではないと判断をいたしますことから、昨年度と同様の灯油等購入費の助成は行う予定はございません。

<再質問>
 次に、福祉灯油の実施について伺います。
 昨年に続き、県内の多くの市町村で福祉灯油を実施しています。長野市でも取り組むべきです。昨年の支給実績は五十パーセントを切ったわけで、予定の半額しか使っていないではありませんか。今年も実施すべきです。御答弁をお願いします。

◎保健福祉部長(下條年平君)
 また、福祉灯油につきましても、昨年五十パーセント程度ということでございましたけれども、特別交付金の範囲内でというようなことで、昨年はやらせていただきましたが、今年については昨年のような状況ではないというふうに考えておりますので、今後については予定はございませんので、よろしくお願い申し上げます。
<再質問>
 それから、福祉関連施設の実態、私たちはアンケート調査をいたしました。本当に切実です。市として、今までこの間ずっと原油の高騰で、大きな影響を受けているわけですけれども、その辺の実態調査を市は行ってきた経過があるかどうか、その辺を伺いたいと思います。是非、やっていないならば、実情をきちんとつかんでいただきたいと思います。
◎保健福祉部長(下條年平君)
 福祉関係施設の実態調査でございますが、個別の実態調査について私どもでは行ってはおりません。ただ、それぞれの福祉施設の関係団体の方からは、いろいろな御要望だとか御意見を伺う中で、この辺の実情についてはお聴きをしておるという実態でございます。
 以上でございます。

住民自治協議会について

 次に、住民自治協議会について伺います。
 先日、共産党市議団は合併町村の皆さんと懇談会を行いました。席上出された幾つかの感想を御紹介いたします。
 かつては役場に活気があり、何でも相談に行け、その場で解決できたことがたくさんあった、しかし今は余りにがらんとしていて寂しく、支所に行くと暗い気持ちになる。投票所の数が大幅に減らされると聞いた、歩いて行けなくなる。役場の車両の整備を行っていた工場も、今では仕事がなくなった。役場周辺の商店も活気がなくなり、幾つも閉店してしまった。都会から移り住み、田舎と思っていたら、意外と様々な文化的な講座もあって、とてもレベルが高いと喜んでいた、しかし過疎化が進み、これからどうなるのか心配。遊休農地が増えていくばかり、あと十年たったらこの地域の農業はどうなるのか。かつては豊かで文化的な暮らしをしていた山村地域、今は農業をしながらわずかな年金で自給自足の暮らし、本来なら介護保険を使うようなお年寄りも利用料がかかる介護サービスは利用できない、経済苦は深刻。このような感想が出されています。
 役場に活気がなくなり、住民にますます大きな不安感を与え、展望を失わせています。都市内分権に取り組んでいますが、行政への信頼感がなければ、地域を愛する人たちのパワーを引き出すことはできません。中心市街地には、ばく大な予算を投入してトイーゴ、ぱてぃお大門を初めハード事業を行ってきましたが、決して成功したとは言えません。中山間地域にマンパワーを投入し、行政と住民が力を合わせて新しい長野市の顔づくりに取り組むべきです。
 変化に飛んだ雄大な自然と歴史と伝統を持つ長野市の中山間地域には、人々を引き寄せる魅力があります。観光も大切ですが、何よりも住んでいる人たちが元気に暮らさせる地域をつくること。そして、農業の再生こそが地域活性化に不可欠です。そのためには、中山間地域の支所には総合支所的な機能を持たさせ、旧庁舎の活性化を図ることが大切です。
 今年度から、中山間地域に対する支援交付金のモデル事業が始まりました。大岡、七二会、小田切地域で取り組まれていますが、この事業の推進に当たって、げた履きヘルパー、田直し事業などに取り組んできた栄村など、小さくても輝く自治体づくりに向けて頑張っている町や村の取組は大変参考になります。

 市職員の中には地域活性化の専門チームを設置し、住民と一緒になって元気な中山間地域という新たな長野市の顔づくりを目指していただきたいと思います。このモデル事業を活性化の引き金になるような優れた事業に育て、三地域だけでなく他の地域でも試験的に始められるよう改善していただきたいと思います。御見解をお願いします。

◎企画政策部長(丸山文昭君)
 私からは、まず住民自治協議会についてお答え申し上げます。
 最初に、中山間地域の活性化と地域活性化専門チームの育成についてでございますが、過疎化や高齢化が著しい中山間地域の活性化は、市といたしましても重要かつ喫緊の課題であると認識しており、第四次長野市総合計画でも基本計画における重要施策の一つに掲げ、独自資源を生かした活性化の推進を図っているところであります。
 農業を軸としたながのいのちブランド事業、ふるさと学生援農隊などの取組や長く住み続けられる地域互助機能の構築に向けた中山間地域自治活動支援モデル事業等多様な支援策を、また対策の在り方を検討し、実施しております。
 しかしながら、これらの対策が実を結び、地域に根付く上で、地域の住民の皆さんのやる気が不可欠であります。その機運を盛り上げていくためには、これらの施策の担当課や関係機関の連携、協力はもとより、地域づくりの最前線である支所の細やかな支援が重要であります。様々な課題に対応する市職員として行政遂行能力の向上は当然ですが、加えて地域の課題を理解し、その解決に向けて熱意を持って取り組むことができる職員の育成が強く求められております。
 中山間地域活性化のための専門チームの編成も検討をする必要がありますが、まずは職員の意識啓発の積極的な推進と職員の有効配置を含めた本庁と支所との一体的な連携・協力体制の構築から着手してまいりたいと考えております。

 次に、人権同和教育指導員の推薦を必須事務とすることについて伺います。
 住民自治協議会の結成に向けて提示された必須事務の委員等推薦、選任の中に、人権同和教育指導員の配置が盛り込まれていますが、必須事務にする必要がなぜあるのでしょうか。さらに、長野市が指導員報酬を年額三万八千円払う仕組みです。この間、団体補助金が廃止されるなど、ゆがんだ同和行政の改善が図られてきましたが、このような形で地域のコミュニティに強制的に同和問題を組み込むことは差別の温存につながりかねません。廃止すべきです。御見解を伺います。

◎企画政策部長(丸山文昭君)
 次に、住民自治協議会についての御質問の中で、人権同和教育指導員の推薦を必須事務とすることについてお答えをいたします。
 市では、部落解放都市宣言や人権を尊び差別のない明るい長野市を築く条例に基づきまして、学校、家庭、地域、職場等あらゆる場におきまして、人権同和教育を推進してまいりました。しかしながら、本年度においても既に二件の差別事象が発生しており、いまだに一部の市民の中に、長野市の取組に逆行するような悪質で陰湿な差別を行っている者がおりますことも、残念ながら事実であります。
 長野市におきましては、審議会の答申に基づき同和問題を重要な柱に様々な人権問題を総合的に考える人権教育、人権啓発の推進に鋭意努力しておるところでございまして、今後も引き続きすべての市民の基本的人権を尊重していくための施策を積極的に推進してまいります。
 住民自治協議会設立後の人権同和教育の地区組織につきましては、人権同和教育促進連絡協議会は廃止され、地区協議会は任意組織となります。また、特定の個人に対する委嘱の見直しに伴い、人権同和教育指導員の市長委嘱が廃止されます。しかしながら、人権同和教育は人間教育の基礎であり、命にかかわる問題でもあることから、こうした取組は人権を尊び、差別のない明るい長野市の実現のために必要不可欠でございます。
 したがいまして、三十地区すべてでひとしく継続的に人権同和教育啓発の機会と実践を行うためには、各地区住民自治協議会の人権教育啓発活動において指導、助言及び調整等を行う人権同和教育指導員の配置が必要であり、必須事務としたものでございます。
 私からは以上であります。

 次に、やる気応援補助金について伺います。
 この補助金は、やる気ある地域を応援するというもので、十地区に各百万円を補助するというものです。これは地域の取組を競わせる側面を持つものであり、いかがなものでしょうか。困難を抱える地域を応援する、そういう仕組みこそ必要で、中山間地域の支援交付金のような考え方こそまちづくりには大切と考えます。
 ですから、このやる気応援補助金は、市制百周年の記念事業のように額を落としてでも、すべての地域に支給すべきではないでしょうか。その取組の中で優れた事業に賞金を出すというものであれば、納得できます。是非再考をお願いいたします。

◎企画政策部長(丸山文昭君)
 次に、仮称ですが、地域のやる気応援補助金についてお答え申し上げます。
 この制度は、平成二十二年度からの住民自治協議会への財政的支援策の一つとして創設するものでございますが、他の一括交付金や中山間地域に対する支援交付金との違いは、地区自らが事業の企画・提案をし、その事業内容等に応じて対象事業を採択していく点にございます。基本的には、現在市がNPOやボランティア組織などへの支援として行っている、ながのまちづくり活動支援事業補助金の仕組みを住民自治協議会へ拡大していくものでございます。
 制度の運用に当たっては、住民自治協議会の設立時期や活動状況が大きく異なっていることなどから、制度が開始される平成二十二年度分として一地区の上限を百万円、総額として一千万円を予定しているものでございます。この制度の趣旨は、決して地域間競争を指向しているものではありませんので、提案状況や予算執行状況等を踏まえ、地区の皆様と協議しながら、より良い制度になるように努めてまいりたいと考えております。

 次に、第一地区から第五地区までの拠点づくりについて伺います。
 第一から第五地区については、各区に拠点となるべき施設がありません。トイーゴ、もんぜんぷら座などの一角を使えるようにするなど、早急に対策をお願いいたします。

◎企画政策部長(丸山文昭君)
 次に、第一地区から第五地区までの拠点づくりについてお答え申し上げます。
 既に設立された二十二の住民自治協議会のうち十二の地区においては、支所や公民館などに活動拠点が整備され、他の地区においては個別に対応している状況にあります。
 さて、第一から第五地区においては支所がないため、地区の会議などは市立の城山及び中部公民館の分館等を利用していただいている状況にあります。活動拠点の確保に当たっては、これらの施設の活用も考えられますが、施設自体の老朽化が進み、狭あいであることに加え、駐車場の不足やバリアフリー化をされていないなど使い勝手の悪さもあり、これらの対応に要する費用などを含め、総合的に考える必要があります。
 一方、これまでの第一から第五地区が連携して様々な活動を行ってきた経緯や地形、面積的な実情を考慮すると、活動拠点を同一にすることで住民自治協議会同士の連携強化や事業実施に向けた負担軽減が図られる可能性が生まれてまいりますが、その場合にはどこに活動拠点を置くかなど、立地的な条件や確保にかかる費用について検討する必要があると考えております。
 いずれにいたしましても、個別に設置するのか、同一にするかなどを含め、市が一方的に決定することはありませんので、費用面を含め十分地元側と話合いをしながら、対応してまいりたいと考えております。

浅川ダムについて

 次に、浅川ダムについて伺います。
 長野県はいまだにダム建設に固執していますが、景気の低迷、金融危機が押し寄せている中で、無駄で危険な浅川ダムにこれ以上の税金を投入することは許されないことです。既に県内の有力建設会社が次々と倒産に追い込まれている中で、大手ゼネコンの仕事だけは確保してやるようなダム事業は直ちに中止すべきです。改めて鷲澤市長の見解を伺います。
 また、長野市は利水目的で全体事業費の二・八パーセント、五億六千万円を負担してきましたが、治水専用ダムに変更されたことにより、この負担分は返還されることになります。既に何回か県との話合いが行われているようですが、話合いの状況と利子を含めた総額はどのくらいになっているのか伺います。

◎市長(鷲澤正一君)
 続いて、大手ゼネコンの仕事だけは確保してやるような浅川ダム事業は直ちに中止すべきとの見解についてお答えをいたします。
 治水は洪水の水位をたとえ一センチでも低くし、洪水流量を一トンでも少なくして流下させることにありますが、浅川ダムにつきましては、台風や前線性の降雨による度重なる水害に悩んだ沿川住民からの強い治水要望を受け、う余曲折を経て治水安全度百分の一を満足させる河川改修と穴あきダム建設を組み合わせた対策が決定され、国からの認可を得たものであります。
 浅川ダムは、議員さん御指摘のような大手ゼネコンの仕事の確保を目的として事業化されたものではなく、河川改修と一体になった対策を行うことで治水安全度を向上させ、流域住民の生命や財産を守り、経済活動の安定を図ることを目的としたものであります。
 したがって、流域全体の長期的で安定した経済活動や住民の安全、地域発展を求めることが市長としての責務でありますので、国土交通省が認可した方向で治水対策を進め、浅川の河川整備計画に基づく対策が早急に実施され、浅川流域において一日も早く安全で安心して暮らせる環境が実現できるよう、今後も強く県に働き掛けてまいりたいと考えております。

◎上下水道局長(小林克己君)
 浅川ダムについての質問のうち、市が水道事業者として負担した費用約五億六千万円の返還についてお答えいたします。
 旧浅川ダム計画では、利水利用の負担金としまして全体事業費の二・八パーセントのうち、市が既に支払った約五億六千万円につきまして、県ではダム関連の道路工事等に使用済みとの意見もありましたが、県に対して返還を求めており、返還についての話合いを昨年八月の河川整備計画の認可以降二回行っております。
 会議では、市として返還額に利子を含めた要求をしておりますが、県では利子を含めることが妥当であるかいまだ結論が出ておらず、返還額が県から示されておりません。今後は、できるだけ早い時期に返還額を決定し、返還の時期や方法等につきまして話を煮詰めまして、一日も早く返還されるように要望してまいります。
 私からは以上です。

 それから、浅川ダムについて五億六千万円の返還金があるわけですが、これは利子が付くはずなんですね。それを是非御答弁を頂きたいと思います。法的には、多分五パーセントの利子で計算をされるはずです。そうすると、相当な額になるはずですけれども、既に試算がされているはずです。御答弁をお願いいたします。

◎上下水道局長(小林克己君)
 利子につきましては、五パーセントという民法上の数字がありますけれども、県と協議して利子が五パーセントで適当なのかどうかということにつきまして、ただ今協議しているところであります。
 それで、その額については約五パーセントであれば、四億円から五億円という数字にはなりますけれども、それについては今後、その事業の中止の経過、その他を含めまして、ただ今県と協議しているところでございます。
<再質問>
 浅川ダムの返還金五億六千万円プラスは民法上の五パーセントで計算をすると、四億円から五億円になるということで、約十億円近いお金になっているわけです。利子分をどうするかということは、確かに協議中だと思うんですけれども、鷲澤市長さん、これをしっかり返還をしていただくように県に是非要求をしていただきたいと思います。後で御答弁をお願いいたします。
◎市長(鷲澤正一君)
 浅川ダムの返還金等についてのお答えをさせていただきます。

 この問題については、基本的には今上下水道局長が申したとおり、長野市としては目的が目的ですから、返していただくということが原則であり、そしてそれは当然金利も付けてくださいよという、これは原則であります。
 ただ、はっきり申し上げると、県と市の間にはいろいろな問題が実はあるわけです。そういうものを総合的に判断をして考えるべきことでありまして、これだけを取り上げてうんぬんということを申し上げるというのは、私は余りこの問題について申し上げるときに、県の方から返していただけるものなら返していただきたいという程度の話でございまして、返していただかなければいけないんですけれども、ただ具体的に申し上げますと、例えば私どもは今いろいろお願いをしていますけれども、短大の四大化とかいろいろなことが実はあるわけです。そういう問題と絡めるわけではないですけれども、それぞれのところでお金をどうするかと、どういうふうにお互いにやっていきますかと、じゃこの部分はこちらでやりますかというような問題を、私としては考えているということでございます。

 もう一つ具体的に申し上げれば、当時の要するに田中知事があれをやめた段階で、私どもは直ちに返還をしてくださいということは申し上げてあります。ただし、そのときの段階でのお話としては、あれは道路に使っちゃうんだから、返さないとはっきり田中知事は言ったんですよ。だから、私どもは怒ったというだけのことでありまして、そういういろいろないきさつがありますから、私としてはあえてここで今すぐどうこうということでは申し上げるつもりは、だからそれは担当者の間でよく話をしていただくと、そういうことでございます。

 以上です。
<再質問>
 浅川のダムの返還金については、県も厳しい財政の中であるわけですから、市として、市長さんとしてしっかりと返還を求めないといけないと思います。十億円というお金、これが市民のために使えるお金になるわけですから、これはしっかりと要求をしていただきたいと思います。

教育行政について

 教育行政について伺います。
 まず、学力テストについて伺います。
 大阪府や秋田県、鳥取県は独自の判断による市区町村別の全国学力テストの結果公表に踏み切り、公表する動きが全国的にも広まっています。特に大阪府は、結果が悪いと橋下知事などが教育に様々な介入、圧力を掛けています。各地の公表については、塩谷文科大臣は実施要領に反していると明言し、大阪府の橋下知事が実施要領に縛られないと主張していることについて、無謀な考え方で遺憾と述べるとともに、全くのルール違反だ。序列化や過度な競争心をあおるためにやっているわけではないと、国会で答弁しています。が、全員調査である限り順位は明らかになり、競争さえさせれば学力が向上すると考える人たちから、公表を求める圧力が高まるのは当初から予想できたことです。
 二回の全国学力テストで百三十五億円が使われました。学力テストでは計れない子供たちの背後にある問題にこそもっと目を向けるべきです。日本の教育予算はOECD三十か国中最下位です。全国学力テストの廃止と教員の増員、教育条件の整備を国に求めるべきと思います。教育委員会委員長の御所見をお願いいたします。
 さらに長野市では、NRTという独自の学力テストを小学校五年生、六年生、中学校二年生と行って、一層教育現場に過度な負担を負わせています。このようなテストは、模擬試験やドリルを繰り返し行わせることによって一定の点数アップを図ることができると言われていますが、今子供たちに必要なことはテストで良い点をとる教育、競争をさせることなのでしょうか。
 コミュニケーション能力が落ちる中で、不登校が増え続け、対策委員会まで立ち上げているのに、現場の教師はこの問題にきちんと向き合うゆとりもない。NRTの成績を上げるための取組が次々と求められてくる。長野県内と全国で義務教育九年間の間に三回もNRTを実施している都市は一体どれだけあるのでしょうか。また、このNRTを実施するために要している費用はどれほどか伺います。NRTの実施の改善を求めます。教育委員会委員長の御見解をお願いいたします。

◎教育委員会委員長(小泉敬治君)
 私から、教育行政についてのうち学力テストにかかわりまして、お答えを申し上げます。
 まず、学力に関する調査及び検査の目的でありますけれども、国が進めております全国学力・学習状況調査は、児童・生徒が身に付けるべき基礎学力の定着及びその活用力の状況について把握する調査でございます。また、長野市が独自に実施しております標準学力検査--NRTでございますが、このNRTは前年度に学習した学習内容について、その定着状況がどうであるかを把握するための調査でございます。この二つの検査結果を比較して分析してみますと、そこには高い相関関係がありまして、双方の結果の活用を図りながら指導改善に取り組むことにより、本市の児童・生徒の学力の定着につながってきていることが分かってきております。
 したがいまして、全国学力・学習状況調査の実施は、今後とも必要であると考えております。
 次に、本市が約千三百五十万円の費用をかけて取り組んでおります標準学力検査--NRTについてであります。
 長野市近隣の市町村での実施状況を見てみますと、実施している市町村が十九ございまして、その回数は義務教育九か年のうち三回から八回となっております。九か年の中で複数回検査を行うことは、児童・生徒の実態の経年変化を踏まえ、継続的な教師の指導について振り返り、その指導改善に結び付けることができ、大変有効であります。
 これまでの長野市全体のNRTの検査結果を見ますと、評価によりましては、領域の一部に伸ばすべき課題が残っておりますので、今後とも検査結果を一人一人の教師が自らの指導の改善に役立てるようにすること、また学校のすべての教師による学力定着に向けての体制づくり、又は教育課程の改善を更に進めていけるよう、各学校に指導をしてまいりたいと考えております。
 新学習指導要領の実施に向けまして、来年度から移行措置が始まります。指導内容等の変更が行われますが、教師と子供がつくる授業の大切さ、これは変わることがございません。そのために、教師が子供たちと向き合う時間を確保するため、各学校では現在も行事や会議の精選、能率化を目指し、校務分掌の見直し等に取り組んでおります。
 また、人的環境としての教師の存在が大変重要となりますので、教師が自己の指導力を高め、深く温かい児童理解、生徒理解の下、授業で豊かな学びを実現していくことが大切であると考えております。
 本市といたしましても、来年度も標準学力検査--NRTと、全国学力・学習状況調査を実施し、それらの結果を基に学力の定着を図るための取組を更に推進し、子供たちにとってより良い授業づくりのために支援を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

◎教育次長(篠原邦彦君)
 次に、教育費についての御意見を頂きました。
 教育行政につきましては、予算規模で比較することも一つの方法かとも思いますが、その時々の行政需要により予算額は増減するものでありまして、それのみで比較されるものではないと考えております。
 教育委員会といたしましては、目指すべき教育行政の実現のため、厳しい財政状況の中、その時々の状況に応じ、必要な事業を予算化する中で積極的に取り組んでいるところでございますので、御理解をお願いいたします。
 私からは以上でございます。

 次に、特別支援教育について伺います。
 県内公立小学校の発達障害の児童・生徒数が九月末現在、過去最多の計三千六十五人に上ると発表されました。長野市では、特別支援教育の充実のために七十七人の支援員が配置されていますが、半日単位で現場の先生方からは大変使いにくく、もっと支援してほしいという声が切実です。長野市独自でも予算付けをして、支援員の体制を強化することが必要と考えます。また、専門的な研修も行っていただきたいと思います。
 松本市では、発達障害児の育ちを総合的に支援する療育センターを整備する方針とのことです。相談、訓練ができ、幼児期から青年期までの生活支援を目指す施設です。長野市でも、長野養護学校の過密化解消や、ろう・盲学校の建て替えが計画されている中で、この機に合わせて市として総合的な支援制度の強化を求めたいと思います。見解を伺います。

◎保健所長(小林文宗君)
 発達障害児とその家族への総合的な支援体制の強化につきましてお答えいたします。
 本市では、保健所の幼児健診において幼児に発達障害が疑われる場合は、経過観察や保護者への相談・助言を行うすくすく広場やあそびの教室事業を通じて対応するとともに、小児神経科医や言語聴覚士等による乳幼児発達健診のほか、臨床心理士及び作業療法士による個別又はグループ療育相談や発達相談員による御家庭や保育園、幼稚園等の施設訪問を実施しているところでございます。
 対象児に係る情報は、小学校の就学指導委員会等へ的確に引き継ぎ、情報の共有化を図ることによって、一貫した支援体制がとれるよう努めてきております。
 発達障害児とその家族に対する支援に当たっては、保健所、保育課、障害福祉課及び教育委員会等複数にわたる部局がかかわってまいりますが、幼児期から青年期までの総合的な支援体制の整備は大変重要なところであり、従来にも増して担当部局間の横断的な連携体制の強化・推進を図ってまいります。
 御提案の幼児期から青年期までの生活支援を行う療育センターの整備につきましては、専門医や発達相談員等の確保と併せて大きな課題と認識しておりますが、発達障害者支援法の中では、都道府県の役割として位置付けられていることから、一義的には県へ要望いたしながら、今後調査研究をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

◎教育次長(新津吉明君)
 私からは、教育行政についての質問のうち、特別支援教育支援員の体制強化についてお答えをいたします。
 本市におきましては、本年九月一日現在、発達障害として診断等を受けていると報告された児童・生徒数は、小学校三百十人、中学校百二十八人、合計四百三十八人で、前年度より七十二人の増加となっております。
 本市では、特別支援教育支援員につきましては、市費により多くの学校へ配置できるように努めており、現在五十九校に八十五名の支援員を配置しております。御指摘のように、学校現場からは更なる支援員の配置や勤務時間の延長について要望がありますので、今後とも支援を必要とする児童・生徒数の推移や状況を考慮しながら対応してまいります。
 次に、支援員の研修でございますが、去る八月十一日、特別支援教育支援員研修会を実施いたしました。研修内容につきましては、学校職員としての勤務や特別支援教育の概要等に係る全体研修と、知的障害、発達障害等障害の種別に応じた研修であります。また、支援員が日々の取組の中で特別支援教育コーディネーターの指導、助言等を通して具体的な研修にも努めております。
 今後、市教育センターの教職員研修講座の活用も含め、専門的研修の機会が確保されるよう検討してまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。

<再質問>
 それから、発達障害の特別支援教育についてですけれども、長野市として補助を出しているということですが、これは地方交付税で出されているわけですから、長野市単独でもっと支援をできるはずですので、市独自としてお金を出して、これ半日と言いましたが、一日四時間で勘定をされていますが、一日せめて六時間で計算をして足りない分を長野市が独自で出すような制度にしていただきたいと思います。

◎教育次長(新津吉明君)
 それでは、私の方から、特別支援教育支援員の体制強化につきましてお答えさせていただきます。

 答弁の中では申し上げませんでしたが、この支援員の配置につきましては、交付税算定基礎を基に、市としてできるだけ多く配置をさせていただいております。時間を多くということも理解できるわけでございますけれども、時間を多くすることによって、人数が減るというような状況も生まれていますので、今後学校等の状況等を見させていただいて、検討課題とさせていただきたいと思います。

 以上でございます。

 次に、学校給食について伺います。
 この間、遊休農地の大規模な調査が行われ、これから利活用計画が作成される予定です。学校給食の地産地消は一定の前進をしていますが、一層促進するために学校給食用の野菜を大規模に請け負う計画をこの中に組み込んではどうでしょうか。現在の状況と今後の見通し、御見解を伺います。
 また、学校給食の食材費も大幅に高騰し、国内産、地場産の安全な食材を提供するために、現場では様々な努力がされています。しかし、その努力も限界という声も聞かれ、給食費の値上げが心配されます。市民生活も厳しい中、何とか安くておいしい栄養価の高い学校給食を値上げすることなく供給することができるよう、格段の努力を願うものです。葛飾区や新宿区、足立区などでは牛乳やお米を現物支給しています。長野市でも対策を早急に立てるべきではないでしょうか。御見解を伺います。
 長野市は民生費同様、教育費についても中核市三十九市中三十五位です。もっと子供の教育にお金をかけるべきです。御答弁をお願いします。

◎産業振興部長(米倉秀史君)
 私から、教育行政についてのうち、学校給食用の野菜を大規模に請け負うことを耕作放棄地解消計画に組み込んではどうかと、こういう御質問にお答えを申し上げたいと思います。
 本市では、耕作放棄地の全体調査を九月から十一月にかけまして、農業委員さん、農地流動化推進員さんを中心に現地調査を実施したところでございます。
 調査結果に基づきまして、十一月五日に設置いたしました長野市耕作放棄地解消対策協議会で解消策の検討、協議を行い、市ではこの検討結果を基に解消計画を策定することになっております。この解消計画には、営農再開する耕作者、それから栽培作物、営農再開時期など解消に向けた具体的な実施計画を盛り込むものでございます。
 本市の学校給食におけます地産地消につきましては、現在長野市地産地消推進計画に基づきまして保健給食課、学校給食センター、農協及び農政課が定期的に懇談会を開催いたしまして、学校給食への地元産農産物の利用拡大に取り組んできているところでございます。
 懇談会では、市内産の農産物利用につきましての情報交換や意見交換をするとともに、ほ場視察などを通じまして、これまでに市内産の大豆やキュウリ、アスパラガス、イチゴなどを積極的に取り入れてきているところでございます。学校給食用の野菜を大規模に請け負う計画を耕作放棄地解消計画に組み込むという御提案を頂きましたが、これにつきましては、今後懇談会で野菜を含めました市内産の農産物の学校給食への利用拡大を具体的に検討する中で、耕作放棄地の利用についても検討してまいりたいと考えております。
 私からは以上です。

◎教育次長(篠原邦彦君)
 私からは、教育行政についての御質問のうち、学校給食についてお答えいたします。
 学校給食法では、人件費のほか施設や設備の整備に要する経費以外の食材費や光熱水費などの経費は、保護者の負担とすることと規定されておりますが、現在長野市では食材費のみを給食費として保護者からお支払いいただいておりまして、学校給食の食材は、すべて保護者から支払われる給食費によって賄われております。
 このため、食材の高騰に伴う給食費の値上げは、直接的に保護者の負担増となりますことから、食材や献立の工夫により、給食費を値上げすることなく安全でバランスのとれた給食の提供に努めております。また、食材の購入価格面では、センター方式による大量一括購入のメリットを生かすことで、平成二十年度においては給食費を値上げすることなく対応しております。
 しかし、年度途中におきまして、主食である米飯が値上げされたことや他の食材においても引き続き価格が上昇しているなどの実情がありますので、年度末に決定される翌年度の牛乳の価格や主食価格の動向を見ながら、過大な保護者負担となることがないよう、来年度の給食費につきまして検討してまいりたいと考えておりますが、公費による給食費の補てん等につきましては、現在のところ行う考えはございませんので、御理解をお願いいたします。

<再質問>
 それから、別のことをお伺いいたしますが、学校の教育費が全体として低いという、構成比の中で割合が低いということに対して様々な要件があるからということでおっしゃいましたけれども、しかし長野市は残念ながら校舎も老朽化したままです。それから、給食センターも大規模でかなり効率良くやっています。それにもかかわらず教育予算が少ない、それから福祉の予算も少ない、やはり教育や福祉に対する全体の予算が少ないと言わざるを得ません。
 先ほど鷲澤市長は、内需の拡大という点では一緒だというふうにおっしゃられましたけれども、中身が全然違うわけで、例えば前川リポートも、あれはアメリカから要求されて国内の大型公共事業を大幅に一挙に前川レポート以降増やしていった経過があります。決して、そのことによって国民の暮らしがよくなったわけではなく、ばく大な国家予算が大型公共投資に使われたわけです。その結果、ばく大な借金を日本は背負って、そのツケを今、払っているわけです。
 ですから、やはり何よりも今長野市民が望んでいることは、福祉や教育の充実なんです。特に、内需拡大は福祉の大幅なアップがなければ、内需拡大につながらないわけです。是非ともその辺、御答弁をお願いしたいと思います。
◎教育次長(篠原邦彦君)
 教育予算の割合が低いということに対してお答えをさせていただきます。
 先ほどのお答えの繰り返しになろうかと思いますが、予算額がその時々の行政需要というものを的確にとらえた中で、当然のことながら、選択と集中の徹底によりまして施策の厳選、予算査定を経て編成されているというものでございまして、全体予算の何パーセントが確保されなければならないというものではないというふうに考えてございます。
 ただ、私ども教育委員会といたしましても、目指すべき教育行政の実現のために積極的に予算を要求する中で、積極的に引き続き取り組んでまいる所存でございますので、御理解をいただきたいと思います。

公共交通の充実について

 次に、公共交通の充実について伺います。
 長野市は、当面の対応策として公費を投入してバス路線を維持する必要があると判断をいたしました。同時に地域公共交通総合連携計画の策定が予定されていますが、アンケート調査、市民会議などで徹底的に市民ニーズを掘り起こすことが必要と考えます。まずは、市民とじっくり向き合い、そこから出された要求と現在の路線網システムがどうなのかを会社側、あるいは交通政策の専門家などの考えをオーバーラップさせ、新たな交通体系を築くべきと考えます。長野市の方針をお伺いいたします。
 また、ICカードの導入にはどの程度の投資が必要なのか伺います。また、おでかけパスポートと百円バスは値上げを行わないよう強く要望いたします。御見解をお願いいたします。

◎企画政策部長(丸山文昭君)
 次に、公共交通の充実についてお答え申し上げます。
 議員さんから御質問がありました地域公共交通総合連携計画の策定についてでありますが、市では地域循環バスぐるりん号や乗合タクシーの導入など、市民の皆様の移動手段の確保に積極的に取り組んできたところではありますが、それらは民間バス事業者のバス路線との乗り継ぎを考慮しているものであり、バス路線が維持されていることが前提となっております。
 しかし、バス事業の経営状況は、乗車人数の減少などにより慢性的な赤字となっており、このような状態が続いた場合、更なるバス路線の廃止・縮小が進むことが予想されます。おでかけパスポートを利用したくてもバスがない、乗合タクシーも接続するバスがないなど、市が講ずる事業の意味も薄れてしまうおそれがあります。
 このような状況は、全国的な傾向でもあることから、国では平成十九年十月、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律を施行し、地域の合意形成による総合連携計画の策定等、地域公共交通の活性化・再生に向けた環境整備が図られたところであります。
 この総合連携計画の策定は、法律に基づく協議会が行うこととされておりますので、まずは早急に協議会を設置し、来年度には国の補助を得てバス交通の活性化に資する計画を策定し、できることから速やかに対策を講じてまいりたいと考えております。
 この連携計画の策定には、市民、利用者のアンケート調査やパブリックコメントも予定しており、また協議会には利用者の代表の方や学識経験者、交通事業者にもお入りいただき、さらには国土交通省を初め専門家の力もおかりして、まずは現状の分析と移動ニーズを的確に把握し、将来の理想的な交通システムの在り方を描いた上で、関係者で合意形成を図り、できることから手を付けてまいりたいと考えております。
 まずは、バスの利便性を向上させるICカードを導入し、そこから得られる利用者の実態を正確に把握することが根本的な対策を講じていく上で不可欠ではないかと考えております。
 将来の長野市の公共交通の在り方をいかに確保していくかを今後構築していく上で、推計に基づく利用者数や、あれば便利、なければ困るといったあいまいな感覚では、判断を見誤るおそれがあります。
 交通系のICカードは、鉄道を初め既に多くの地域で導入されておりますが、導入メリットとしては小銭を気にせず気軽に利用できることのほか、乗り降りにかかる時間短縮による定時性、速達性の確保、乗継割引の導入による利用促進、その他おでかけパスポートの運賃の設定などが挙げられます。
 このICカードの導入費用についてでありますが、これから協議会において計画を策定する中で、具体的なカードの仕様や将来的な拡張性、車載器の仕様や台数などを検討する予定であり、現時点では不明であります。
 なお、先行する他市の例では、二億円から三億円ほどかかったと聞いております。国の補助を予定しておりますが、相当程度市が負担していく必要があるのではないかと考えております。時間が十分にあるわけではありませんので、スピード感を持って取り組んでいきたいと考えております。
 次に、おでかけパスポートと百円バスの値上げについてお答え申し上げます。
 バス路線等研究会からの提案では、おでかけパスポート事業によりバス事業者と市の負担も高額になっていることや、中心市街地循環バスぐるりん号の運賃が百円のために、同区画の民間路線も百円ゾーンとして追従せざるを得なくなり、経営を圧迫する要因の一つということでありました。しかし、いずれの事業も市民の皆様には大変好評をいただいております。今すぐ値上げを行う状況にはないと考えております。
 いずれにいたしましても、市民や利用者の皆様方の御意見を十分お聴きした上で対応してまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。

公的保育制度について

 最後に、公的保育制度について伺います。
 今、公的な保育制度の見直しによって、利用者と園との直接契約方式への変更が検討されています。直接契約では、行政の責任は大きく後退します。保育料も園側の経営状況などの事情で決められることになります。利用時間や給食など、メニューで利用料が決められ、サービスが細切れになることも考えられます。保育の中身も金次第となるおそれがあります。
 また、保育所の施設面積や職員配置などの全国一律の最低基準の撤廃を地方分権改革推進委員会が求めています。国は標準を示すにとどめ、地方が独自に設定できるようにすべきだとしているのです。
 現在の最低基準は、一九四八年に作られたもので、今日から見れば極めて低い水準です。この基準までなくしてしまえば、歯止めがなくなります。財政状況により地域間格差も生まれかねません。制度改変のねらいは保育を市場化し、営利企業のもうけの場にすることです。財界は保育分野の潜在的市場規模を二兆円と試算しています。
 国より低い基準で東京都が開設した認証保育所では、もうけを優先し、保育の質を切り下げる例が出ています。企業立のある園は食材費を一日一人数十円に抑えていました。給食には、百グラム十円の鳥肉や見切り品の野菜を使い、おやつは卵ボーロ数粒などという実態でした。そして、過日、首都圏で二十九園の認証保育所と学童保育を運営していたエムケイグループが突如園の閉鎖を通告。保護者と子供たち、保育士を大混乱に陥れました。採算がとれなければさっさと撤退するこの姿勢には、児童福祉法の精神など全くありません。
 一方、このような国の動きに対して制度改変反対の声が立場の違いを超えて広がっています。全国保育団体連絡会が六月に国会に提出した直接入所方式の導入反対、最低基準の抜本改善を求める請願書は、衆参両院で全会一致で採択されました。認可保育所のほとんど加盟する全国保育協議会も全国私立保育園連盟もそれぞれ市場原理による直接契約導入に反対などのアピールを発表しました。
 長野市は民営化に当たっては、社会福祉法人等という一定の規制を加えていますが、しかし公的保育を守るという姿勢をしっかりと持っていなければ、より一層安上がりな保育制度になり、子供たちを保育するにふさわしい質を維持することはできません。公的保育制度の堅持と安易な民営化はやめるべきと考えます。市長の御所見を伺います。

 続いて、公的保育制度についてお答えをいたします。
 現行の保育制度は、児童福祉法第二十四条において、保育に欠ける場合において保護者から申込みがあったときには、保育所において保育しなければならないと定められておりますので、市の責務として市の強い関与の下で公・私立保育園で保育を実施するとともに、保育環境の充実に取り組んでおります。
 また、市が進めている公立保育所の民営化につきましては、平成十七年度の長野市保育所等のあり方懇話会において、公立保育所を委託・移管する場合には、子供の発達を保障するためにも公共性を持ち、非営利で永続性のある社会福祉法人が望ましいとの提言を受けておりますので、運営の相手先については、社会福祉法人等の資格、条件を付し、選定することとし、選定に当たっては、幼児教育の専門家や法人会計の有識者を初め保護者を委員に加えた委託・移管先選考委員会において十分時間をかけ、慎重に審議することとしております。
 さらに、民営化の手法は、基本的には運営委託とし、引継保育は委託・移管する前年度に一年間行うなど、子供たちの保育環境の継続を最優先に考えて民営化を推進してまいります。
 一方で、直接契約の導入、あるいは保育所最低基準の見直しなどについては、現在国の社会保障審議会において検討されていますので、今後も国の動向を注視してまいりたいと考えております。市としては、第四次総合計画に掲げる子育ち・子育て環境の整備を重点施策として取り組んでおり、引き続き保育サービスの向上と良好な保育環境の整備を進めてまいります。
 私からは以上です。

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