2008年6月定例市議会 野々村ひろみ議員の個人質問
市長の政治姿勢について
行政改革について
後期高齢者医療制度と検診制度について
消費者行政の強化について
ごみ問題について
福祉制度の改善について
浅川ダムついて
市長の政治姿勢について
二十六番、日本共産党長野市議団野々村博美でございます。
最初に、市長の政治姿勢について伺います。
再び、せい惨な通り魔殺人事件が秋葉原で起きてしまいました。どんな社会的な原因があったとしても、許されない犯行です。痛ましい事件を繰り返さないためにも、背景の究明が必要です。勝ち組、負け組と言われる格差の広がり、希望の見えないことへの孤独感や不安感の増大、心を病む人たちの急増、増え続ける自殺者など、既に私たちの身近なところでも大きな変化が起きています。利潤だけを追求し、人間を物のように使い捨てにする派遣労働者、不安定雇用がこの病んだ社会の大きな要因になっていることは、今や明白です。
食べ物や原油が投機の対象となり、物価の高騰は食料を求めて暴動が起きている遠い外国の問題として済ますことはできません。規制緩和を進め、過剰な競争をあおり続けた市場原理主義、新自由主義の弊害が日本でも世界でも顕著になり、資本主義の限界かという声が上がる事態にもなっています。
一方では、戦前治安維持法違反で検挙され、その日のうちに壮絶な拷問によって命を奪われた日本共産党員のプロレタリア作家、小林多喜二の蟹工船が空前のブームになり、さらに資本論を書いたマルクスが大きく注目をされる時代を迎えています。一部の大企業だけの利潤を保障し、アメリカ言いなりの自民党政治そのものが根本から問われています。派遣労働を規制し、労働者の権利を守り、ルールある資本主義に根本からつくり変えていくことが国民の暮らし、日本の経済の再生に必要な最低限のスタンスではないでしょうか。鷲澤市長の見解を伺います。
次に、消費税について伺います。
日本の経済や政治をゆがめてきた財界の中から、一斉に消費税増税を要求する声が強まっています。社会保障のためとして一九八九年に導入されて以来、消費税の累計総額は百九十兆円、この時期に法人税率は十二パーセントも引き下げられ、法人三税は百六十兆円もの減収となりました。さらに、消費税導入前と比べて軍事費の増加額は二十兆円に達し、消費税の大半が法人三税の引下げと軍事費の増加に費やされたのです。低所得者ほど負担の重い消費税引上げは許されません。市長の見解を伺います。
次に、市長交際費訴訟について伺います。
市長交際費について、長野地裁は七件、七万一千円の返還を求める判決を出しましたが、市側は違法性はないとして控訴しました。党市議団は過日、控訴取下げと違法とされた七件分の返還、七件と同様の交際費の支出の件数と金額の年度別公開、市長交際費の支出、運用の基準、指針の策定と公表を申し入れました。改めてこの三点についての御答弁をお願いし、併せてわずか七万円の返還を不服として控訴したために生じた弁護士経費や職員の人件費、交通費など一体幾らかかっているのか伺います。
次々と市民への支援金を削減しておきながら、全国的にも厳しい制限を受けている交際費のわずかな返金を不服として、職員の労力と時間、税金を使って控訴することなど容認されるものではありません。御見解をお願いします。
次に、新たな町村合併について伺います。
中条村、信州新町からの合併要請を受け、合同研究会がスタートし、事務事業のすり合わせが急ピッチで進んでいます。しかし、長野市民の意向は置き去りになったままであり、小川村では自立の道が選択され、長野市でも住民投票をやってもらいたいという声も上がっています。認定協議会も作らず、長野市の水準に基本的に合わせていくことを前提に、期限内に法的手続を終わらせようと進めていますが、〇五年合併の旧四町村の皆さんの声を聴いて、長野市との合併がよかったのか、また長野市民にとっても更なる合併が良いことなのか、もっと慎重に考えていくべきです。御見解を伺います。
次に、交通対策について伺います。
事業再生中のアルピコグループ傘下の川中島バスは、市内の路線バスの見直し案を提示しました。松代篠ノ井線など四路線の維持が困難としていますが、地域には駅、病院や県立高校、松代荘などがあり、中学生の通学路線もあります。全面的に長野市が補助金を投入して維持していくことは厳しい事態ですが、後退させることがないよう川中島バスとの調整が必要です。御見解をお願いします。
◎鷲澤正一市長
野々村博美議員さんの御質問にお答えいたします。
初めに、国民の暮らしと日本の経済についてお答えいたします。
派遣労働については、労働者の側でも一定のニーズがある一方で、雇用契約や就業条件等の安定性を高めるよう見直しをするべきであるとの意見など、様々な議論があることは認識しております。
このような状況の中、国においては、これまでの派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針、派遣先が講ずべき指針に加えて、本年二月に日雇派遣労働者の雇用の安定等を図るために派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置に関する指針、いわゆる日雇派遣指針を策定するとともに、労働者派遣法施行規則の改正により、日雇派遣労働者の雇用の安定等に向けた取組を進めております。
この日雇派遣指針には、派遣労働者の安定した雇用の有効な実施を図るため、労働・社会保険の適用、就業条件等の明示、教育訓練の機会の確保等、労働者派遣を行う派遣元事業主、派遣元事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける派遣先、それぞれの適切かつ必要な事項が定められております。
昭和六十年に労働者派遣法が施行されて以降二十三年となりますが、現在厚生労働省において学識者による研究会で、労働者の派遣制度の在り方について検討されているとお聞きしております。また、この十三日には、舛添厚生労働大臣が日雇派遣について、原則禁止の方向で検討する考えを表明したと報道されております。
私は、だれもが安心して意欲を持って働ける社会を目指して、就業形態にかかわらず労働に応じた処遇とする労働者派遣制度に改善し、安定した雇用を図るべきだと考えております。今後とも国、県の動向を注視するとともに、連携を図りながら、本市の雇用対策に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、消費税の引上げについての御質問にお答えいたします。
国民が安心して暮らしていくためには、社会保障を含む様々な分野において必要な財源を将来にわたり安定的に確保していかなければなりません。
しかし、急激な高齢化の進行は年金ばかりでなく、医療や介護でも給付の増大を招き、厚生労働省の試算によれば、二〇〇六年度で約九十兆円だった社会保障給付費は、二〇二五年度には百四十兆円に膨れ上がるものと見込まれております。
このため、昨年提出された政府税制調査会の答申では、消費税は景気に左右されにくく安定した税収が期待できること、あらゆる世代が公平に負担する税であることから、社会保障財源の中核と位置付けられております。また、地方にとっても税収の偏在性が少なく、安定的な基幹税目として重要な役割を果たしております。
本年一月に閣議決定された日本経済の進路と戦略においても、骨太の方針二〇〇六、二〇〇七などを踏まえ、消費税を含む税体系の抜本的な改革について、早期に実現を図るとされているところであります。
我が国は、平成十九年度末現在で、国と地方を合わせて七百七十二兆円に上る巨額の長期債務残高を抱えており、この解消を図りながら財政健全化を進めるには、歳出抑制だけで達成することは非常に困難であります。私は、国民の安心を支える社会保障制度を持続可能なものとするためにも、消費税率の引上げを含め、増税に関する議論は避けて通れないものと考えております。
社会保障給付の水準をどのレベルに置き、そのための財源をどう確保し、国民にどこまで負担を求めるのかについては、国民生活に直接かかわる重要な問題でありますことから、国政の場において十分な議論が尽くされることを強く望むものであります。
次に、市長交際費訴訟についてお答えいたします。
一点目の共産党市議団からの申入れを受けたことについてでございますが、一、控訴の取下げと違法とされた七件分の返還について、二、七件と同様の交際費の支出の件数と金額の年度別公開について、三、市長交際費の支出、運用の基準、指針の策定と公表についてでございますが、いずれも三月市議会でお答えしたとおりでございますので、御了承をお願いいたします。
次に、今回の控訴に伴う経費についてでございますが、弁護士経費につきましては、訴訟事務を本市の顧問弁護士にお願いしており、訴訟代理委任契約に基づく着手金三十一万五千円をお支払いしております。また、その他職員に係る経費といたしまして、東京高裁での第一回目の口頭弁論に職員一名が出席した経費があります。
続いて、三点目のわずかな返金を不服として職員の労力と時間、税金を使っての控訴は取り下げるべきとのことについてでありますが、この裁判は司法の場での違法性の有無を争っているものであり、取り下げる考えはありません。この裁判に伴う支出は必要な経費ですので、御理解をお願いいたします。
交際費の判断に当たっては、明確な基準、通説はなく、違法性があるかどうかは、飽くまでも個々の事例ごとに目的、内容、立場、状況等を十分精査する必要があります。裁判では争点を明確化し、違法性のないことを主張してまいります。
なお、交際費の執行については、住民の皆様に信頼されるよう、市ホームページで月ごとにすべてを公開し、透明性を図りつつ、適正執行に努めております。
次に、信州新町・中条村との合併についてお答えいたします。
前回の合併では、住民サービス、住民負担は、長野市の制度、事務事業に統一したものがほとんどであったため、旧長野市民にとって影響はほとんどなかったと言えます。一方、旧町村の住民の皆さんにとっては、町村独自の事業の幾つかは全市的な財政負担の観点から廃止になりましたが、平成十八年に行った合併後調査報告にあるとおり、おでかけパスポートや移動図書館、また重度心身障害児福祉年金や友愛活動事業など、長野市の多くの事業が旧町村地区にも新たに適用されたことで、トータルとして大きなサービス向上が図られ、住民福祉の向上につながったものと私は評価しております。
前回の合併から三年半が経過しようとしておりますが、市といたしましては、その間、国の財政支援なども受け、健全財政に努めてまいりました。行政の一体化につきましても、市民や議員の皆様の御理解をいただく中で、大きな混乱もなく、市の一体感の醸成も着実に進展しているものと考えております。
今回、信州新町及び中条村からは、住民総意の下での合併協議の申入れがあったわけでございますから、まずはそれを重く受け止め、合同研究会において調査研究を行い、住民の皆さんの御理解をいただきながら、慎重に進めてまいりたいと考えております。
合同研究会では、合併を進めるかの判断材料として調整案を作成しております。今後、すべての元気なまちづくり市民会議におきまして、合併について説明の機会を設けていただくとともに、八月下旬には合併のみをテーマとした市民会議を市内五か所で開催し、広く市民の皆様の御意見をお聴きする機会を設けてまいりたいと考えております。その上で、議員の皆様と十分協議させていただきながら、法定合併協議会を設置するかをお諮りしてまいりたいと考えております。
次に、交通対策についてお答えいたします。
川中島バス株式会社から提案のありましたバス路線の見直し案の内容は、市民生活に大きな影響を及ぼすこととなり、危機感を持って取り組まなくてはならない課題であります。まずは、提案のあった路線の利用状況、市民への影響等について、川中島バスに対し十分な説明を求めたいと考えております。しかしながら、単に提案の路線に対して赤字分を補てんして維持するという対症療法的な対応では、今後も同様の事態が起きてくることが懸念されます。
したがいまして、長電バス株式会社を含めた交通事業者と十分協議するとともに、長野市交通対策審議会の御意見や市民の皆様の御理解を得ながら、将来にわたって持続可能なバス路線網や利用者増加につながる仕組みなど、中・長期的な施策についても検討し、できる限り早く提案路線への対応策を見いだしてまいりたいと考えております。
昨今のガソリンの高騰は、マイカーから公共交通への切替えを進めるチャンスでもあり、公共交通の維持、存続を図るため、そして環境対策のためにも、市民の皆様には公共交通機関の積極的な利用を行っていただきたいと考えております。また、この機会をとらえ、自転車の利用促進も進めてまいりたいと考えております。
さらに、中山間地域五地区で既に運行しております地域が主体となった乗合タクシーの運行など、都市内分権における住民自治活動の一つとして、地域が支え、守り、育てる交通システムの構築について、地域自らが積極的に検討していただくことも必要と考えております。
行政改革について
第二として、行政改革について伺います。
最初に、指定管理者制度について伺います。
指定管理者制度が導入され三年が経過し、この制度の限界や矛盾が露呈してきました。当然のことですが、ふじみ野市のプール事故の判決では、指定管理者制度の下でも、施設の安全管理は行政の責任が厳しく問われる結果となりました。また、この制度は行政改革の一環であり、人件費削減の構造的な仕組みを持っています。今、ワーキングプアと呼ばれる労働者が増え続けていることが大きな社会的な問題になっていますが、公務労働の中で事態が深刻に進んでいることは見過ごすことができません。
長野市は、指定管理者制度導入前から施設の管理運営は委託が中心であり、働く人の多くは嘱託・臨時雇用でした。指定管理者に移行しても、約二億円と公表されている額面どおりの経費削減になっているとも思えません。御見解を伺います。
公共施設を真に市民のために活用していくために、指定管理者制度に適する施設と直営管理に戻すべき施設を検討する必要があります。行政として責任を持たなければならない施設がいったん指定管理者に任せられた場合、そのノウハウが継承されないことになり、将来的にも大きな問題となります。
特に、三千戸にもなる市営住宅の管理を長野県の住宅供給公社に委託しましたが、昨年度から家賃滞納による明渡し請求が一挙に増え、今議会にも二十一件が上程されました。また、先日市営住宅の管理人の方から、以前は近隣に迷惑を掛けている住民の相談など市の住宅課に連絡すれば、きちんと対応してくれたのに、今では何もしてくれないと苦情を頂きました。市民が暮らす住宅の管理を県の外郭団体に委託することはなじみません。市の直営管理に早急に戻すべきと考えます。
また、県外資本に多くの施設が委託されましたが、地元事業者の育成についての対応がされていません。過日、党市議団として、県外資本の経営者の方と懇談をさせていただきましたが、地元企業は全国展開する大手企業に太刀打ちできない。しかし、大切にしなければ、長野市の発展につながらないという私どもの主張に、ノウハウよりも意欲がないという厳しい指摘がありました。
ただ、競争原理だけで活性化しようとするのではなく、まず、長野市側から地元事業者の方に意欲を持ってもらう働き掛けが必要ではないでしょうか。このことは指定管理者の問題にとどまらず、長野市の経済や産業の活性化でも大きな課題です。地元事業者の意欲を引き出す行政の役割について、真剣な取組を求めます。御見解を伺います。
次に、行政サービスの利用者負担について伺います。
行政サービスの利用者負担の基準が示され、パブリックコメントが行われました。コスト論を中心とした大変複雑で難しい内容となっておりますが、市民が理解できなかったのではないでしょうか。パブリックコメントの結果について伺います。また、行政サービスの利用料は、コストだけでなく、コストの削減努力、稼働率の向上、スポーツや文化の振興、高齢者、子供の減免など、政策的な判断が加えられて決められるはずです。
ところが、今回のパブリックコメントは、長野市の政策を示すことなく、コストだけで利用者負担の基準としました。今後、具体的な利用者負担が決められる予定ですが、それぞれの担当が決めるのであれば、統一基準など作る必要がありません。市民の最も身近な市行政がコスト論だけで利用者負担を次々と実行することは、長野市を疲弊させるばかりです。一人一人の市民生活が元気になってこそ、元気な長野市となります。市民に新たな負担を強いるための利用料の基準づくりは改めるべきと考えます。御見解を伺います。
次に、中山間地の消防・救急隊職員の削減について伺います。
職員削減の一環として、中山間地域の救急隊員と消防隊員の兼務化を導入し、十八名の削減を計画しています。消防力の整備指針によれば、救急出動中に火災の発生する頻度が低く、他の署所において迅速に出動態勢がとれる場合は兼務制が導入できるとなっています。
しかし、対象となっている七二会・飯綱・鬼無里分署では、基準以上の頻度で救急と消防の出動が重なっており、職員を削減されたら、市民の命や財産を守ることができませんし、市民の命に格差をつけることになりかねません。今回の岩手・宮城内陸地震の中山間地域の大規模な被害状況も決して人ごとではありません。さらに、飯綱、戸隠は観光地として、これからますます誘客活動をしようとしている地域ではありませんか。断じて強行することのないよう、見直しを求めます。
◎松倉一紀行政改革推進局長
私から、行政改革についての幾つかの御質問にお答えいたします。
まず、指定管理者制度についてでございますけれども、本市が平成十八年四月から本格的に指定管理者制度を導入した百七十六施設における市の負担額の削減効果につきましては、当時の十八年二月時点では、前年度との予算対比で約二億円の削減が見込めると報告をさせていただいたところでございますが、昨年実施しましたモニタリング評価結果では、決算ベースで九千七百万円の削減にとどまったものでございます。これは当初の時点では、十七年度の決算前であったことから、予算ベースで削減額を算出したものであります。
十七年度の決算では約一億円の不用額が生じたことから、決算比較では九千七百万円の削減となったものでありますが、制度の導入による一定の削減効果はあったものと判断をしております。
ただ、いずれにいたしましても、見込みとはいえ、二億円の削減効果と報告し、誤解を与えましたことにつきましてはおわびを申し上げます。
次に、市営住宅等についてでございますが、公募による審査、選定を経て、昨年四月から長野県住宅供給公社に指定管理をお願いしておりますが、制度適用の効果や管理運営の状況等につきましては、市営住宅に限らず、昨年十九年度における指定管理者適用の全施設について、今年度実施するモニタリング評価の中で検証してまいりたいと考えております。
次に、地元事業者の意欲を引き出す行政の役割につきましては、今後も指定を希望する市内事業者、団体等からの求めに応じまして、市政出前講座を実施するほか、地元の企業や団体がコンソーシアムを組んで応募されるよう働き掛けを行い、地元からの積極的な提案、参加を期待しているものでございます。
なお、来年四月からの指定管理者の選定に当たっては、より一層地元事業者の活用や地元雇用を重視した提案であるかどうかについて、審査基準を見直したところでございます。
次に、行政サービスの利用者の負担に関する基準について実施したパブリックコメントの結果についてお答えいたします。
市民から頂いた御意見は二件で、いずれも個別の行政サービスに関するもので、今回の基準に直接の影響がある内容ではございませんでした。ちなみに意見の内容ですけれども、消防・救急の実施責任に関するものと、資源物の売却に関する御提案でございました。このほかには、特に基準案に反対という御意見はなく、市民の皆様には一定の御理解をいただけたものと考えております。
次に、市民に負担を強いるための基準づくりは改めるべきであるという議員さんの御意見でございますが、今回の基準は料金の設定に際して統一基準がなかったこと、それから、市民の公平性の確保と持続可能な財政運営を実現するための基準をここで策定したものでございます。
基準では余暇の充実など、私益性が強いサービスや民間でも実施しているサービスについては、かかったコストを全額利用者に負担してもらい、より公益性の強いサービスへ限られた税金を投入していこうとするものでございます。また、個別の料金等につきましては、当然市としての政策判断を行った上で、改定の必要性を判断することとなりますので、御理解をお願いいたします。
私からは以上でございます。
◎峰村博消防局長
私から、中山間地、消防・救急隊職員の削減についてお答えします。
消防局では、行政改革大綱に基づき十八名の人員削減を計画しており、本年度は日勤の事務職員四名の適正化を行い、平成二十一年度は七二会分署などを対象に合計十一名、平成二十二年度は三名の適正化を検討しているところでございます。
七二会分署などを適正化の対象とした理由につきましては、消防力の整備指針では、管轄区域において救急出動中に火災が発生する頻度がおおむね二年に一回以下であり、一定の補完体制がとれる場合については、消防隊と救急隊の兼務ができるという要件を満たしており、現段階においては、兼務制の導入による災害対応が可能であると考え、検討しております。
現在、三分署が管轄する地区の区長会等において説明会を行っているところでございますが、区長の皆様から頂いた意見を集約し、三分署の適正化について、更に検討を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
後期高齢者医療制度と健診制度について
第三として、後期高齢者医療制度と健診制度について伺います。
後期高齢者医療制度は、高齢者から大きな反感を買い、小手先の見直しが行われようとしています。しかし、高齢者の反発は七十五歳から別建ての保険制度を作り、差別したことに対してであり、介護保険に続いてわずかな年金から天引くこと、保険料が際限なく上がる仕組みなど、その不安が将来にわたっていることに大きく反発したのです。国民の怒りが広がり、中間選挙で次々と自民党は大敗しました。連合長として批判をどう受け止められたのか、またこの後期高齢者医療制度を廃止すべきと思いますが、御見解を伺います。
次に、保険料について伺います。
当初、厚生労働省は、後期高齢者医療制度では保険料は安くなると発表していましたが、低所得者ほど負担が重くなっていたことが判明し、ますます大きな怒りとなりました。現段階で、世帯単位で国保より負担が大きくなった件数、社会保険の扶養になっていた人で、新たに保険料が徴収された人が一体どのくらいいたのか伺います。また、六十五歳以上の障害者の方の本制度への移行状況について伺います。
次に、特定健診と特定保健指導について伺います。
今年度からメタボ健診と言われる特定健診と生活習慣病予防に向けた特定保健指導が実施されます。七十五歳以上の健診は努力義務となりましたが、長野市の場合は実施するとのことで、これは評価できます。
政府は各医療保険に特定健診・特定保健指導の実施率、メタボリックシンドローム該当者及びその予備軍の減少率の目標値を示し、達成率が低いとペナルティーを科す仕組みを作りました。肥満の人を悪者扱いし、保険料値上げのペナルティーを科す、これは公的医療保険の役割を変質させるものです。
厚生労働省は、特定健診・特定保健指導機関間の自由で公正な競争、民間事業者を含めた多様な機関へのアウトソーシングという方向を打ち出し、日本経団連など財界は民間フィットネスクラブなどに開放する規制緩和を強力に要求してきました。このことは、健診事業の営利化により、医療保険財政が健診ビジネスの食い物にされる可能性があるということです。
長野市は、具体的に特定健診とそれに続く特定保健指導をどのように進めるのか、民間の多数のフィットネスクラブなどの進出が目立っていますが、だれもが気軽に利用できる無料や低料金の健康講座などの充実が大変重要と思われます。取組について伺います。
◎鷲澤正一市長
続いて、後期高齢者医療制度についてお答えいたします。
後期高齢者医療制度は、国民医療費が増大する中、これまでの老人保健医療制度における現役世代と高齢者世代の負担の不公平感を解消し、医療費の適正化を目指すとともに負担能力を勘案しつつ、現役世代と高齢者とで共に支え合う制度として設けられたものであり、少子高齢社会が進展する日本にとって、国民皆保険制度を将来にわたり持続可能なものとするための必要不可欠な医療制度改革であります。
後期高齢者医療制度批判の主要な原因は、国の制度準備の遅れに伴い、対象となる皆様に対する十分な説明が不足していたところに起因するものであり、制度の目的や意義などの本質的な議論がなされないまま、党利党略的に使われてしまっていることは、誠に残念であります。
政府与党では、これらの反省を踏まえ、高齢者医療の円滑な運営のための負担の軽減等について見直しを決定したところであり、追ってその詳細について通知があるものと思われます。
いずれにいたしましても、高齢者の皆様の医療費を国民全体で分かち合っていく仕組みは、高齢者の皆様の医療を守っていくためにも必要であり、この制度の趣旨、必要性についての御理解が得られるよう、引き続き努力を重ねていく必要があるものと考えております。
私からは以上です。
◎芝波田利直生活部長
私から、二点についてお答えいたします。
まず最初に、後期高齢者医療制度と健診制度についてのうち、メタボ健診についてお答えいたします。
本市の特定健診につきましては、去る五月二十六日に四十歳以上の国保加入者六万四千五百人、後期高齢者四万三千九百人に受診券を発送し、六月二日から九月末までの四か月間の予定で、かかりつけ医を中心とした個別健診を主体として一部、戸隠・鬼無里地区等では、移動検診車による集団健診も併せて実施してまいります。
この健診の結果から、特定保健指導の対象者を決定し、メタボリックシンドロームに着目して、自らの生活習慣を振り返り、その行動を無理なく変えていくことができるよう、動機付け支援と積極的支援に分けて保健指導を実施してまいります。
動機付け支援では、体脂肪、腹囲、血圧等の測定を含めた原則一回のグループ指導を実施いたします。また、積極的支援では、よりきめ細かな指導ができるよう、個別面接を中心として国が定める指導回数や時間を上回る内容で継続的な指導を行ってまいります。
指導の実施に当たりましては、本市の保健師、栄養士等による直営方式のほか、従来から人間ドック等の指導で実績のある長野県健康づくり事業団へ業務委託し、休日、夜間を含めお近くの保健センター、あるいは公民館等を利用するなど、受講しやすい体制を整えております。なお、特定保健指導の料金はすべて無料といたしました。
これら医療保険者が実施する特定保健指導とは別に、市の保健センター等におきましては、血糖、血圧等のテーマ別サポート相談会やウォーキング講座を無料又は低料金で実施いたします。また、より実践的な講座を希望される方には、南長野運動公園などの公共施設で開催される水中ウォーキングや太極拳等の講座のほか、長野県健康づくり事業団が実施をいたします運動、栄養に関するオプション講座など低料金の講座を紹介し、幅広い支援を行ってまいりたいと考えております。
◎下條年平保健福祉部長
私から、二点についてお答え申し上げます。
まず最初に、後期高齢者医療制度の御質問のうち、保険料及び障害者の方の移行状況についてお答えいたします。
国民健康保険料との比較で保険料の負担増となった世帯数についてでございますが、この実数については把握をしておりません。これは詳細を把握するためには、全件について後期高齢者医療制度となった方の国保料を新たに計算した上で突合せざるを得ないもので、実務的に膨大な作業量となることに加え、実施効果の観点からもあえて行う必然性を見いだせないことから、全件の検証予定はございません。
なお、モデルケースを用いての保険料の比較検証は行っておりまして、本市の場合、減額となる世帯は七割程度となっております。また、単身世帯では総じて保険料が減少し、その他の世帯のうち低所得世帯で増額、高所得世帯で減額の傾向にあったものでございます。
次に、被用者保険の被扶養者で新たに保険料徴収となった方の数につきましては、概算で約六千名となっております。また、六十五歳から七十四歳までの障害者の方の後期高齢者医療制度への移行状況についてでございますが、制度発足以降二十四名の方が加入され、三十八名の方が離脱されており、六月一日現在二千二百十六名の方が被保険者となっております。
消費者行政の強化について
第四に、消費者行政の強化について伺います。
イとウについては、割愛いたします。
愛知県では、自治体と弁護士会が連携する多重債務者の滞納解消が軌道に乗っています。この連携事業は、昨年度厚労省のモデル事業として実施し、豊橋市や一宮市など十五の自治体が参加しました。弁護士会の中間集計では、この事業で得られた利息制限法による過払金は一億六千八百万円で、国保料、国保税の滞納整理額は、最終的に五千万円以上の見通しとのことです。短期保険証だった住民が通常の保険証になり、安心して病院に行けると、喜んでいるそうです。
長野市でも、庁内での対策会議が開かれたとのことですが、どの程度進んでいるのでしょうか。具体的な解決ケースがあったら御紹介いただくとともに、積極的な取組を要望します。市営住宅家賃や国保料などの滞納者の多くが多重債務に苦しんでいることが容易に推測されます。長野市が滞納整理に奔走するだけでなく、市民の暮らしの再建にも積極的に支援していただきたいと思います。
◎芝波田利直生活部長
次に、消費者行政についてお答えいたします。
病気や事業の不振などを原因とした多重債務者が増加し、自殺者が出るなど深刻な社会問題となっていることから、国におきましては、平成十八年十二月に貸金業法を改正し、多重債務者対策本部を設置いたしました。
また、平成十九年四月には、多重債務問題改善プログラムが作られ、相談窓口の整備・強化、金融経済教育の強化やヤミ金の取り締まり強化等の対策が進められてきております。
本市では、この多重債務問題改善プログラムを受け、消費生活センターが受皿となり、昨年十二月から弁護士会や司法書士会の協力を仰ぎ、日々の当番制を設けるなど、相談への即応体制を強化いたしました。その結果、十二月から三月までに二十七人の多重債務者を弁護士、司法書士へ取り次ぎ、法的債務整理につなげてまいりましたが、その解決実績や違法利子分となる過払金の有無等につきましては、現在調査中でございます。
なお、平成十九年度は金銭貸借を含め電話等による相談が四百十七件、無料市民法律相談が百八十七件と数多く寄せられ、センターを介しての相談が、多くの市民の皆様にとって問題解決の糸口となっているものと考えております。
また、市役所内部の体制といたしましては、相談者の債務整理後の生活再建が非常に重要であることから、福祉関係各課を集めた多重債務者生活再建サポート連絡会議を昨年度は二回開催いたしましたが、具体的な相談事例がありませんでしたので、複雑化する多重債務問題についての理解を深め、情報を交換したところでございます。
いずれにいたしましても、多重債務を抱えている市民にとりましては、市の消費生活センターを通して専門家へ相談することが問題解決の第一歩となることから、今後ともセンターの果たす役割等につきまして周知に努め、多重債務の未然防止と一日も早い問題解決に向け、支援をしてまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
ごみ問題について
第五として、ごみ問題について伺います。
最初に、有料化の見直しについて伺います。
今議会にごみ処理の有料化が提案され、実施されれば、平均一世帯当たり年間約二千九百円の負担増となります。有料化の目的の第一は、ごみ減量、発生抑制と再資源化の促進となっています。しかしこの間、長野市民は積極的にごみ減量の取組に協力してきました。特に、資源の団体回収は、平成十二年度当時三百六十六団体が、十九年度には四百七十七団体になり、九千百二十七トンが一万五千三百十三トンになり、目標を大きく超えています。
また、市民一人当たりの目標は、平成十二年度百八十キログラムが平成二十二年度までに百六十キログラムにするというものですが、平成十九年度で百六十六キログラムまで減っています。十八年度、十九年度は横ばいとなっていますが、この中には十八パーセントの紙ごみと四十三パーセントの生ごみがあります。
有料化により十パーセントの削減を目指すとしていますが、有料化しなくても十分達成できます。減量化を第一に考えるならば、現在実費価格で販売している袋のチケットの枚数を減らして配布すればよいことです。各家庭が十パーセント減らせば、今までどおりの負担であり、それを超えたら高い袋を買うということであれば、合意も協力も得られます。
また、今回の導入の仕方は、まず有料化を議会で決めてから、市内千二百か所で説明を行うというもので、順番が逆ではありませんか。これでは、市民の反発を買うばかりです。有料化はやめ、減量化の協力を得るための住民説明会に切り替えることを求めます。
次に、資源ごみ売却への入札制度の導入について伺います。
過日、市民の方から諏訪市では資源ごみの売却に入札制度を導入し、増収を図っているという情報が寄せられました。調査してみると、確かに空き缶の売却収入が大幅に上がっています。長野市でも、入札制度の導入を早急に実施すべきと考えますが、見解を伺います。
◎関保雄環境部長
私から、ごみ問題についてのうち、有料化の見直しについて、まずお答えいたします。
ごみの組成分析では、可燃ごみの中には資源となる紙類などが約二十四パーセント、不燃ごみには約十六パーセントの資源物が混入されており、更なる分別をお願いすることで、ごみの減量が図られると考えております。
プラスチック製容器包装の分別から四年余りが経過し、分別はおおむね定着してきてはおりますが、家庭での分別は個人意識によるところが大きく、現在の制度では市民の意識改革に限界があると考えております。
チケットの枚数を減らせば、減量化の目的が達成できるのではないかとの御意見でございますけれども、少人数世帯が増え、世帯構成が多様化する中、配布枚数を減らし、現在と同様に世帯人数に関係なく一律に同じ枚数を配布したといたしましても、ごみの減量や分別徹底の努力にかかわらず枚数が足りてしまう世帯や、一方では不足してしまう世帯など、世帯人数の違いによる一層の不公平感が生じると考えております。
市では、現在の制度を継続しながら公平性を確保するため、世帯人数に応じたチケット枚数の配布も検討いたしましたが、住民登録のない方への対応、世帯状況の把握に伴うプライバシーの問題、また配布方法の難しさなど課題があります。
そのため新たな仕組みづくりが必要であると考え、家庭ごみ処理の排出者負担の在り方について、長野市廃棄物減量等推進審議会に諮問し、御審議をいただいた結果、ごみの排出者としての自覚と責任を明確にできる有料化制度を構築すべきとの答申を頂き、これを基に市の考え方をまとめた家庭ごみ処理手数料の有料化制度に関する基本的な考え方に対して、パブリックコメントにより広く意見を頂いたところでございます。
また、ごみの減量・分別の徹底に御理解をいただくよう新たに作成するごみ減量ガイドブックを用いて、今年度開催予定の住民説明会の中で、ごみ処理手数料有料化についても説明をし、新制度が目指す真の目的である将来への負荷を可能な限り軽減し、未来に対し責任を持つとの信念に立って、ごみの減量・分別の徹底、加えて有料化についての御理解をいただくよう、誠心誠意努力してまいりたいと考えております。
次に、資源ごみ売却への入札制度の導入についてお答えいたします。
まず、長野市の資源物の状況でございますけれども、清掃センターで取り扱う資源物は、紙類、瓶類、缶類、プラスチック製容器包装、ペットボトルに大別されます。資源物のうちペットボトル、プラスチック製容器包装、その他の色の瓶--無色と茶色でございますが、この瓶につきましては、財団法人日本容器包装リサイクル協会に引渡しをしております。
アルミ缶、スチール缶などは、長野市内の紙問屋、金属商など三十二組合員で構成する長野資源協同組合に売却をしておりますが、市況が目まぐるしく変動している状況の中で、迅速にその価格動向を反映させるため、資源物情報誌などで市況動向を注視し、随時同組合と契約変更をしながら対応しており、平成十九年度の売却実績では、アルミ缶、スチール缶が約九百四十トン、売却総額は五千六百六十六万円でありました。また、本年六月現在の売却価格は一キログラム当たりアルミ缶百四十五円、スチール缶は三十三円という状況になっております。
資源物の引取価格につきましては、需要先までの地理的条件、また昨今の原油の高騰による物流コストの上昇など単純に比較はできませんが、他市の状況等を踏まえ、今後入札制度についても検討してまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
福祉制度の改善について
第六として、福祉制度の改善について伺います。
最初に、福祉灯油の支給について伺います。
今年の冬、灯油の高騰が家計を直撃しました。県内多くの自治体で市民税非課税世帯の高齢者などに灯油代助成を実施しました。長野市では、期限を一か月延長し、五千三百三十一世帯に交付しましたが、対象世帯の四十四パーセントで、実績の低さは他都市に比べて際立っています。なぜこのような結果になったのでしょうか。我が党市議団は、対象者すべてに申請書を送るように改善すべきと提案してきましたが、実施されませんでした。今回のことを教訓に、申請主義ではなく条件に合致する人には積極的に知らせていく姿勢に改めていただきたいと思います。御見解を伺います。
次に、生活保護世帯の通院費削減について伺います。
厚生労働省は、生活保護世帯の通院交通費の支給を限定し、へき地で交通費が高額になる場合でなければ認められないとする通知を出しています。これについて同省は、へき地は高額となる例として示したもので、交通費が高額なら支給するとし、へき地でなくても認めるとしました。その上で高額かどうかは福祉事務所の判断、五百円、百円でも支給すると述べ、金額の多少も問題にしないとしました。
長野県は、四月から六月までの三か月間は、従来どおりという方針を出しました。ところが、長野市では、既に四月の時点で二人の通院費を削減しています。国の通知の撤回を求めてまだ攻防が続いていますが、高額かどうかは、福祉事務所の判断としているわけですから、長野市福祉事務所は、生保受給者の厳しい生活実態を考えれば、通院費の削減を行うべきではありません。直ちに支給を開始し、国に対してもこの通知の撤回を求めていくべきと考えます。見解を伺います。
◎下條年平保健福祉部長
次に、福祉制度の改善についてお答えいたします。
まず、福祉灯油の支給についてお答えいたします。
国の原油価格高騰に伴う緊急対策の基本方針を受けまして、生活困窮世帯の生計を支援するために、本年一月二十一日から三月三十一日まで、灯油等購入費助成事業を実施いたしました。平成十九年十二月市議会定例会最終日に市長から実施方針を発表し、そこから三週間ほどの期間で、対象要件や支給方法などを決定し、広報ながのへの掲載、全戸回覧の実施、民生児童委員への協力依頼等を行い、申請受付を開始いたしましたが、結果につきましては、対象世帯の概数に対し、四十四パーセントの支給率にとどまったものでございます。
今回の支援は、緊急的に行ったために、広報が行き届かなかった部分も考えられますが、市といたしましては、限られた時間の中でできる限りの対応を行ってまいりました。
今回の事業におきましては、対象要件に該当するであろう世帯に対して、直接連絡するという意見もございましたが、対象要件が複数であり、短期間に個人を特定して通知することは難しく、また障害の程度や要介護度、市民税の課税状況等は個人情報であり、本人の同意を得ずにその情報を利用して通知をすることは、個人情報保護の観点からもできませんでした。このように、特定の行政サービスに該当するすべての対象者に通知を行うということは、現実的には困難であると考えております。
ただし、一般的に行政サービスは様々な手段を用いた広報と相当の期間をもって周知し、実施していくことが必要になることから、今後とも福祉サービスにおいても、広報、周知に一層努めてまいりますので、御理解をお願いいたします。
次に、生活保護世帯の通院費削減についてお答えいたします。
生活保護に係る医療扶助の移送費、いわゆる通院費につきましては、先般他県で多額の不正受給事件が発生したことや各自治体によって取扱いが様々であったことなどから、本年四月一日に生活保護法による医療扶助運営要領の一部が改正され、給付範囲等の明確化が図られました。
内容は、移送費の給付範囲として、身体障害等により公共交通機関の利用が著しく困難な者が最寄りの医療機関に受診する場合、タクシー代の給付ができること、またへき地等により最寄りの医療機関に公共交通機関を利用し、受診する場合であっても、交通費の負担が高額になる場合には、通院費の給付ができるとされました。
このため長野市でも、市街地に居住し、市内の病院に公共交通機関で通院している被生活保護者二名につきまして、給付要件に該当しないとして、四月から移送費の給付を中止しております。なお、その際には、生活状況を十分調査、把握し、本人の同意を得た上で実施いたしたものでございます。
また、六月十日付けの厚生労働省からの通知では、電車代、バス代が支給されるのは、へき地に限られるものではなく、都市部であっても、交通費の負担が高額になる場合には、給付の対象となる場合もあるとされ、一律に距離や金額によるのではなく、個々の世帯状況により判断するよう指導があったところでございます。
本市におきましても、今後も国の要綱及び通知に従いまして、画一的な決定をするのではなく、被生活保護者の生活状況を十分に把握し、適正な給付をしてまいりたいと考えております。
なお、実務を取り扱う福祉事務所といたしましては、給付範囲等の明確化のためには、一定の基準が必要であると考えておるところでございます。
私からは以上でございます。
浅川ダムについて
最後に、浅川ダムについて伺います。
長野県は、浅川ダムの水理模型実験の公開を来月行うと発表し、参加者の公募が行われています。この規模は、野外に模型を造って行う大規模なものです。益田川ダムの実験と比較しても、浅川ダムがやはり異例であることを実感します。益田川ダムが単純に大きな穴が二つ開いているダム構造であるのに浅川ダムは、心配していたとおり土砂が詰まることが問題になったのか、大変複雑な構造に変わりました。この経緯を御説明いただきたいと思います。
岩手・宮城内陸地震が発生し、日本列島が地震の活動期に入ったとする見方も生まれています。今回の地震の断層は、全国百十の主要活断層の一つ、あるいはその延長部分が起こした可能性があると言われていますが、地震発生の長期予測では、今後三十年間にほぼゼロとされていました。名古屋大学鈴木康弘教授は、十五日付け信濃毎日新聞で、「地震は日本中どこでも起きる」がしかし、「大地震は起こるべき場所に起こるということを重く受け止めることも大切である」としています。
浅川ダム建設地は、長野盆地西縁断層帯の真上にあり、直下に住宅地が広がります。しかし、鷲澤市長も村井知事も心配なしとしました。この間、新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発が活断層の影響で大きな被害を受けたこと、今回の地震でダム湖周辺の山間地で大規模な山体崩壊が起きていること、中国・四川大地震でのダムの被災など、目撃をしてきた市民の不安はますます増大するばかりです。浅川ダム建設の見直しは当然であり、住民への説明責任について伺い、質問を終わります。
◎内山秀一建設部長
私から、浅川ダムについてお答えいたします。
ダムが大変複雑な構造に変わった経緯の説明をとの御質問でありますが、ダムの常用洪水吐きの大きさは、毎秒三十トンを流下させる最小断面の大きさであり、およそ一・一メートル四方とされておりました。今回、県から公表されました構造は、高さ一・三五メートル、幅一・三メートルとなりましたが、常用洪水吐きののみ口の形状が鋼製の刃先で水流を絞るナイフエッジと呼ばれる形式にし、常用洪水吐きから先の空洞部分を管理しやすい構造にしたものであり、飽くまで水理学的な検討結果によるものでございます。
なお、ダムの詳細形状や寸法については、水理模型実験や詳細設計の結果により、今後変更することがあるとされております。
次に、浅川ダムの建設地が長野盆地西縁断層帯の真上にあるとのことにつきましては、既に地質の安全性や断層などの課題につきまして、長年にわたり十分に時間をかけ、慎重に調査と検討がなされており、浅川ダム地すべり等技術検討委員会の意見書や国の認可に当たっての協議で、ダム建設予定地には、ダム建設に支障となる第四期断層、いわゆる活断層は存在しないとの結論を得ております。
住民への説明責任につきましては、今後県では本体工事を着工するまでの間に、地域の皆様に説明を行う機会を設けると聞いておりますので、市としましては、県と協力して、住民の皆様に十分な説明をしてまいりたいと考えております。
私からは以上でございます
先ほどダムに支障になる断層はないという結論が得られているということでしたが、既にその後、この結論を得た後、たくさんの地震が起き、多くの犠牲が生まれています。柏崎刈羽の原発の事故が起きた後も、断層についての見直しは真剣に行われているわけですから、自治体の長として、責任のある対応をとっていただきたいと思います。
以上、終わります。