2008年6月定例市議会 あべ孝二議員の個人質問
入札制度について
企業誘致と常用雇用について
福祉労働者の人材確保と処遇改善について
入札制度について
二十四番、日本共産党市議団阿部孝二です。
市民が主人公の市政、福祉・教育の充実、営業と生活を守る立場から質問します。明快な答弁をお願いします。
最初に、入札制度についてお尋ねします。
自民党・公明党与党の福田内閣の下で、貧困と格差の拡大が大きな問題になっている一方、資本金十億円以上の大企業はばく大な利益を上げています。トヨタ自動車はこの一年間で二兆二千七百三億円の利益、経団連会長の御手洗氏のキャノンでもばく大な利益を上げています。大企業と高額所得者には長期にわたって法人税減税と高額所得者減税、そして不公平税制による減税が行われています。
不公平な税制を考える会の試算によれば、国税関係で不公平税制の是正、各種引当金・準備金の廃止などで九兆三千三百十八億円、大企業からの増収で、法人税率四十二パーセントに戻せば三兆九千七百一億円、高額所得者からの増収一兆二千三百七十億円、同じように地方税関係で七兆三千百五十九億円、大企業・大金持ち優遇税制をやめれば、国税と地方税を合わせれば二十一兆八千五百四十八億円の増収になると告発しています。
私たち市民や年金暮らしのお年寄り、そして中小零細業者は特別減税の廃止、控除の削減、国保料・介護保険料の負担増、消費税の免税点引下げなどで暮らしと営業が破壊され、自殺や倒産に追い込まれている人もいます。
最近、建設事業者の倒産に伴う二件の相談を受けました。一社は、社長二代で経営をしてきました。もう一社は、親子で長期にわたる経営をしてきた会社であります。それが倒産の状況になりました。市の公共事業の発注は地元の事業者を優先し、その営業と生活を守ることが求められると思います。
平成十七年一月、四町村との合併が行われました。合併四町村管区内工事における地元事業者の落札状況を調べていただきました。十九年度の土木・舗装工事の条件付き一般、事後調査型一般、指名競争、随意契約のこの合計でいきますと、豊野では百八件中、地元事業者が八十八件、件数で八十一・四八パーセント、契約金額では十四・三四パーセント。戸隠では九十九件中、地元事業者が五十六件、件数で五十六・五七パーセント、契約金額では十七・二〇パーセント。鬼無里では九十九件中、地元事業者が七十七件、件数で七十七・七八パーセント、契約金額では七十七・五四。大岡では百二十四件中、地元事業者百四件、件数では八十三・八七パーセント、契約金額では七十八・二八パーセント。
そして、十九年度の四地区の土木・舗装工事の随意契約、この合計で見ますと、三百四十三件中、地元事業者が二百七十件、件数で七十八・七二パーセント、契約金額では六十・四一パーセント。そのうちの設計額一件百万円未満のものでいきますと、三百三十四件中、地元事業者が二百六十六件、件数で七十九・六四パーセント、契約金額では七十八・八一パーセント。
入札制度では総合評価方式や地域貢献度を入札参加条件とする事後審査型一般競争入札において、地元事業者の地域貢献、ボランティア、公益活動、災害時協力協定、除雪協力の評価を加算しています。地域の事業者が地元の仕事をもっと行えるように改革し、事業者の育成、仕事の確保を進めることが求められていると思います。
そこで、幾つかの提案を行います。
アとして、入札ランクの制限で中小事業者の仕事確保についてお尋ねします。
土木一式工事ではA、B、C、D、Eランクに分かれ、工事金額によって入札参加します。一番低いEランクは、工事金額五百万円未満の工事しか入札できません。しかし、Dランクは千三百万円未満、Cランクは二千五百万円未満の工事に入札できます。百万円クラスの工事にC、D、Eランクの企業が参加することになります。そこで、工事金額百万円以下及び随意契約工事分は一番低いランクの企業に発注する、土木一式はEランク、建築一式はEランク、舗装工事はCランク、電気・通信工事はCランク、管・その他工事はCランクに行うことを提案します。御答弁をお願いしたいと思います。
それに関連しますが、入札参加業者登録の促進についてお尋ねします。入札登録しても指名されない、仕事も来ないでは参加業者は増えません。提案した小さな工事はランクの低い業者に仕事を回すことで参加業者が増えると思いますがお答えください。
ウとして、地域別工事の促進についてお尋ねします。
合併四町村を初め三十の行政区に分かれて、地元の入札登録業者が百万円以下の工事や随意契約分の工事を行えるようにし、身近な事業者の仕事確保を促進すべきではないでしょうかお答えください。
エとして、施工体制台帳及び施工計画書に基づく賃金、下請代金の調査についてお尋ねします。
市では、落札業者が下請業者を使っている場合、下請金額に応じて施工体制台帳及び施工計画書の提出を義務付けています。落札価格では直接工事費と安全費などを入れた価格で制限を行っています。直接工事費には下請の工事代金、労務費が価格に保障されています。しかし、現実には下請業者は工事に見合った代金を受け取っていないと聞いています。市として、下請業者を泣かせない、ピンはねなどさせないため調査を行うべきではないでしょうかお答えください。
◎久代伸次財政部長
私から、入札ランクの制限などに関する御提案、御質問についてお答えいたします。
本市におきましては、工事の種類ごとに、事業者を経営規模などに応じて等級格付し、受注できる工事の範囲を事前に定めております。これを等級別発注基準と申しますが、これにより効率的で適切な発注を行うとともに、中小企業者の受注機会の確保を図っているところでございます。
予定価格百万円未満の工事につきましては担当課が直接発注しておりますが、この場合も地元及び近傍の事業者の中から、等級別発注標準によりまして、土木一式工事を例に取りますと、ランクがC、D、E級の事業者から、できるだけ下位の事業者を選定するように努めているところでございます。ただ、以前施工した付近の工事で現場を熟知しているとか、重機等機動力が必要、早急な対応が求められるなどといった場合や、近隣に下位の事業者がいらっしゃらないときは上位の事業者に発注する場合もございます。
議員さん御提案の百万円以下及び随意契約の工事を一番低いランクの事業者へ発注することについてでございますが、少額とはいえ一定の技術力が求められる場合もありますし、短期間に仕上げなければならない場合などもございます。したがいまして、最下位のランクの事業者のみに発注することは困難と考えております。しかしながら、議員さんのおっしゃるとおり、中小企業者の仕事の確保も必要と考えておりますので、工事内容を判断しつつ、今後もできるだけ下位の事業者を選定するよう努めてまいりますので、御理解をお願いいたします。
次に、入札参加登録業者を増やす取組についてでございますが、現在も建設業許可及び経営事項審査を有していることを建設工事の競争入札参加資格要件としていないなど、他の地方公共団体に比べ門戸を広げておりますが、今後とも参加申請書の添付書類をできるだけ簡略化するよう見直すなど、より多くの事業者に登録していただけるよう検討してまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
◎内山秀一建設部長
私から、入札制度についてのうち地域別工事の促進についてと、施工体制台帳及び施工計画書に基づく賃金、下請代金の調査についてお答えいたします。
最初に、地域別に地元事業者の仕事確保を促進すべきとの点についてお答えします。
予定価格百万円未満の小規模な工事の入札参加指名業者の選定につきましては、特別な技術を要するものなどを除き、主に地元及び近傍の事業者の中から等級別発注標準に基づき選定するよう心掛けております。
御提案のように、市域を機械的に三十行政区に分けますと、工事種別によりましては入札登録事業者が存在しない地区もあり得ることから、事実上、事業者の選定ができず入札が困難な場合も出てまいります。したがいまして、発注工事の事業者選定につきましては、従来どおりの方式によりまして、できるだけ多くの事業者が入札に参加できるよう配慮しながら、できる限り地元事業者が仕事を確保できるよう努めてまいりますので、御理解をお願いいたします。
次に、施工体制台帳及び施工計画書に基づく賃金、下請代金の調査についてお答えいたします。
建設業法第二十四条の七では、建設工事を施工するために締結しました下請契約の総額が、土木一般工事では三千万円、建築一式工事では四千五百万円以上になる場合には、公共工事におきましては、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の規定によりまして施工体制台帳を作成し、その写しを発注者に提出しなければならないとなっております。
この写しの中には、一次下請との契約書の写し、あるいは二次下請以下の下請負人が締結したすべての請負契約書の写しも含まれ提出することになっておりますが、このことから、長野市におきましては工事担当監督員及び担当部局におきまして、元請とどこが下請であるかの関係を確認し、監督しているところでございます。
賃金、下請代金の実態調査を行うことにつきましては、国あるいは県におきましては建設業法に基づきまして、関係会社間の支払内容等につきまして一定の調査をすることも考えられますが、市にはこのような権限もなく、調査を実施することはできないと考えております。
私からは以上でございます。
企業誘致と常用雇用について
二番目に、企業誘致と常用雇用についてお尋ねします。
全国商工団体連合会、民商発行の商工新聞五月十九日付けには、一面に、キャノンが進出した自治体の実態は、アパート急増でも入居は派遣社員、住民登録もせず住民税も入らずと書いています。大分県連は、大企業誘致より地域振興をと訴えています。
キャノンと大分県、市が交わした立地協定書では、第七条、従業員の採用、県及び市は工場従業員の充足について協力し、会社は従業員の採用について地元優先に配慮するものとする。第八条、地域振興に関する協力、会社は工事の建設及び運営に伴う所要の資材、物資及び設備の調達に当たっては、できる限り地元事業者を利用するよう努め、その活用を図るものとする。第九条、地域社会との融合、会社は地域社会と融合・協調に努めるものとすると書かれています。
安岐町三月議会で共産党の白石議員は、安岐町だけでも千人以上のアパートがある、市の税務課の試算によれば、月給三十万円ぐらいの千人がちゃんと住民税を払ってくれるだけで一億二千万円もの税収になる、立地協定で約束したのに、非正規雇用は八割、大半は県外の派遣社員を使ってぼろもうけしている、ちゃんと正社員を雇用し、地元に定着するよう申し入れるべきだと追及し、野田市長も賛同しました。
大分県知事は、税収も上がり雇用も改善していると言いますが、大分県の大企業二十一社が納めた二〇〇六年の税金が九億七千八百六十三万円に対し、立地補助金は九億九千三百二十九万円で補助金の方が多い。大分市内の食堂の方は、大企業が来ても景気が良いという実感がないと言っています。
働く労働者の実態も深刻です。派遣社員の三十一歳の女性は教育係からいじめを受け休みがちになり、寮費など引かれ、振り込まれた一か月分が三千五百八十円しかなかったと報じられています。
長野県は、県内の事業所における正社員、非正社員の処遇に関する実態調査を行いました。県内九業種、回答事業所は千四百八十二社、労働者九百四十九人の結果で、全従業員八万九百八十六人中、正社員は六万一千二百五十五人、非正規社員は二万八千七百三十一人、非正規社員の雇用理由は、断トツが賃金コストを削減するためでした。正社員になりたい男性は八十・三パーセント、女性では七十三・六パーセントにも達しています。
そこで、アとして、企業誘致及びNTTコールセンターの常用雇用の促進についてお尋ねします。
企業誘致したNTTソルコ、NTTコールセンターには、市の改修費と雇用創出に関する助成と施設改修に関する助成で、最大七億六千万円の税金投入になります。パートタイマーの募集を行っていると聞きましたが、これだけの税金投入を行うのであれば、大分県の教訓に学び協定書の締結を行い、長野市内の常用雇用を行うべきではないでしょうかお尋ねします。
イとして、二十名以下の地元企業の常用雇用の補助についてお尋ねします。
産業振興ビジョンの次世代を担う人材の育成の中では、現況を低収入で不安定なパート、アルバイト、契約社員、派遣労働者など様々な名称を持った非正規雇用が増加し、就業形態が増加していると指摘しています。雇用創出に関する助成の適用条件では、十名以上の雇用がなければ受けられません。市内の事業所は、従業員二十名未満が九割です。この事業所が、一度に十名以上の募集を行うことは考えられません。その結果、助成は一切受けられません。三人以上の採用から助成が受けられる制度に変えるべきではないでしょうかお答えください。
◎米倉秀史産業振興部長
私からは、企業誘致と常用雇用についてのうち、二十名以下の地元企業の常用雇用の補助についてお答えを申し上げたいと思います。
常用雇用に関します本市の助成制度といたしましては、市内への企業立地促進を図る観点から、事業所の新設、移設、増設に伴いまして、新たに長野市民を常用雇用として採用した事業者に対しまして助成します雇用創出企業立地支援事業を平成十八年度から設けているところでございます。この制度は、事業所の新設など設備投資費用が必要となる企業を資金面でバックアップすることで、企業立地の促進と市内の雇用創出を目的としたものでございます。
交付要件といたしましては、三年以内に長野市内から新規の雇用を、中小企業の場合は十五人以上、それ以外の場合は三十人以上、都市計画区域外の場合は十人以上を一年以上雇用することとしておりまして、実際に助成金の対象となるのは翌年度以降となるところでございます。なお、十九年度の実績は、三事業所で百一人が対象となっております。
また、国では、中・高年齢者や若年者等の特定の求職者の早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることを目的に、試行雇用、いわゆるトライアル雇用といたしまして、三か月間雇い入れた事業主に対しまして試行雇用奨励金を支給しているところでございます。
さらに、本市の単独事業といたしまして、この国のトライアル雇用事業により、試行的に雇用した特定求職者を引き続き常用雇用した事業主に対しまして、長野市特定求職者常用雇用促進奨励金を支給をしております。
なお、本年七月一日からは交付要件をトライアル雇用後六か月以上から十二か月以上に変更しまして、より雇用の常用化の促進を図ることを目的としているところでございます。平成十九年度の実績は、十七事業所で二十一人が対象となっております。
また、国においては、平成二十年度--今年度から新たにパートタイム労働者を含みます有期契約労働者を正社員へ転換させた場合に奨励金を支給します中小企業雇用安定化奨励金制度を設けたところでございます。このガイドラインの周知、啓発等、また詳細につきましては、今後ハローワークが中心となり雇用管理指導を行っていく計画となっております。
議員さんの御提案でありますが、こうした制度の状況を見極めながら、当面は現行制度の中で常用雇用の促進が効果的に図られるよう、今後とも国、県と連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
私からは以上であります。
◎伝田耕一都市整備部長
私から、企業誘致と常用雇用についてお答えいたします。
最初に、もんぜんぷら座の状況についてお答えします。
もんぜんぷら座の未利用階であった五階から八階までの改修工事は昨年九月に着工して以来順調に進み、本年六月をもって完了する運びとなり、NTTコールセンターも、改修工事が終了した階から順次入居し、現在ではすべての階で入居が終わっております。
なお、NTTコールセンター誘致後の改修に要した費用は五億七千万円となり、このうちNTTコールセンターに係る費用は四億四千万円となりました。この金額は、賃料などにより五年以内に回収できる金額でございます。
なお、雇用創出と施設改修に関する助成につきましては、今後一年間の実績に基づき助成申請される予定でございます。
次に、NTTコールセンターの雇用状況についてお答えします。
現在の雇用状況につきましては、職員二百四十名のうち正規職員が百五名、派遣職員は九十名、パート職員は四十五名となっております。今後も職員数は増えて、九月から十月までには四百五十名程度の規模になり、派遣職員及びパート職員につきましては、順次正規雇用へ変更していく予定とお聞きしております。
そのため、御提案の協定書につきましては、本来こういう協定というのは誘致する前に行うものであるというようなこと、またこの誘致につきましては、この長野市の中心市街地での雇用創出に大変大きな効果があったこと、またこの事業がもう終了間近である、そのような各種の理由から、新たに協定を締結する必要はないと考えております。
以上でございます。
最近若い建設事業者の職人さんと行き合って話をしたことがありますが、仕事があるときだけ呼ばれると。そうすると収入が減って、今後建設関係で五年、十年になれば建設業が大変なことになってしまうということもありますので、是非御協力いただきたい。
福祉労働者の人材確保と処遇改善について
三番目に、福祉労働者の人材確保と処遇改善についてお尋ねします。
日本共産党国会議員団は、国民の願う高齢者・障害者福祉の実現、深刻な人材不足を打開するための緊急提言を〇七年十二月に発表しました。長野市議団はこの提言を持って、障害者施設などに訪問対話を行ってきました。施設の方々から、月額払い制から日額払い制で運営が大変だ、専門職、看護師を募集しても応募がない、職員の募集をしても集まらないなどの意見が寄せられました。上田市の介護学校の入学希望者が定数割れのニュースを聞きました。これらの状況は長野市だけではなく全国共通のことだと思います。
財団法人介護労働安定センターの調査では、介護職員の離職率は二十・三パーセントで、一年間に五人に一人の割合で離職しています。福祉人材確保研究会の福祉労働者の賃金実態調査では、常勤の看護職員の平均給与は月額二十二万七千円で、全労働者平均の三十七万三千円の六割程度にすぎません。若年の正規職員や常勤のパートでも、年収二百万円に満たない労働者が多く存在し、ワーキングプアと言える実態が浮き彫りになっています。
特別養護老人ホームや障害者施設に対して、措置制度の下での賃金では、公私格差を是正するとして、民間施設給与改善費が支払われていました。これが介護保険制度の発足、障害者支援費の発足に伴って措置制度が廃止され、民間事業者と同じ土俵で経営してもらうとし廃止しました。これによって経営が大変になってまいりました。
しかし、厚生労働省は、十四年ぶりに福祉人材確保指針--社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針を二〇〇七年八月二十八日に告示しました。給与等の関係では、キャリアと能力に見合う給与体系の構築を図るとともに、他の分野における労働者の給与水準、地域の給与水準等も踏まえ、適切な給与水準を確保すること、なお給与体系の検討に当っては、国家公務員の福祉職給表等も参考にすることとしています。福祉は人と言われています。障害を持っている人、介護を必要とする人は職員を頼りにしています。
党の提言では、高齢者や障害者の介護、支援は憲法で保障された暮しと人権を守る仕事ですと述べ、働きがいのある魅力ある職業として社会的に評価することが大切であると強調しています。
そこで、市としても職員の実態調査を行い、人件費の補助など国に働き掛け、そして市からも支援を行うべきではないでしょうか。国の動向を見ているのではなく、国に積極的に働き掛け、市が独自に支援を行うということを是非御答弁をお願いしたいと思います。
以上で質問を終わります。
◎鷲澤正一市長
阿部孝二議員さんから御質問の福祉労働者の人材確保と待遇改善についてお答えをいたします。
福祉労働者の人材確保と待遇改善につきましては、国が社会福祉法の規定に基づき、いわゆる福祉人材確保指針を平成十九年八月に改定し、人材不足の深刻さや離職率の高さ、社会福祉事業の就業の動向、人材確保の基本的考え方、労働環境整備の推進及びキャリアアップの仕組みなどについて定めておるわけでございます。
また、社会福祉事業を経営する者はこの指針に規定する社会福祉事業従事者に係る処遇の改善などの措置を講ずるよう、あるいは必要な協力を行うよう努めなければならないものと規定しております。
また、本年五月には、いわゆる介護従事者処遇改善法が制定され、平成二十一年四月一日までに介護労働者の賃金などの処遇改善策を検討し、その結果に基づいて必要な処置を講ずることとなりました。さらに現在、介護サービスの費用については、国において平成二十一年の介護報酬改定に向けてサービスの種類、事業所の規模などの様々な観点からの分析を行うこととしており、障害福祉関係につきましても同様に、平成二十一年四月に障害福祉サービスの報酬額の改定が予定されており、国においてこの改定に向け、事業者の経営実態調査に着手することになっております。
福祉・介護サービスの現場においては全国的に離職率が高く給与水準も低く、人材の確保・定着が大変困難であることは承知しております。本市としても、福祉現場の待遇改善は大変重要なことと認識しておりますが、ただ今申し上げたように、現在、国において福祉人材確保指針や介護従事者処遇改善法などに基づき、福祉現場の実態を詳細に把握し、必要な処置を講ずるよう準備を始めたことでもあり、また福祉現場の状況は全国的にも共通していることなどから、本市独自の実態調査を行うことは考えておりません。
また、人件費の補助などの市の支援でありますが、労働者の賃金額の設定は事業主と従業員との間の契約で決められるものであること、また長野市が特定の事業所などに人件費分の補助をすることは、福祉分野以外の事業所などとの公平性に欠けること、さらに介護現場の処遇改善は、介護報酬の引上げ、ひいては介護保険料の引上げにつながるなどの課題もあり、介護保険制度の運営にも影響を及ぼすものでありますので、慎重な対応が必要と考えております。
いずれにしても、国の仕組みの問題でありまして、市財政の中で対応できる小さな問題ではない、あるいは限定的な問題ではないというふうに私は考えております。
したがいまして、当面は本市としての働き掛けや支援は行わず、平成二十一年度の介護報酬額及び障害福祉サービスの報酬額の改定に向けた国の動向を期待感を持って注視してまいります。根本的にはスタート時の仕組みづくり、あるいは、その後の骨太方針の中でもあるわけでございますが、いわゆる社会福祉費用全体が減額をされてきた事実、そういうものがこれから先、改めて出てくるのだろうなという、今現在出てきてる、それをどう変えるかという問題であろうというふうに私は思っております。
私からは以上でございます。