議会報告

2008年3月定例市議会 野々村ひろみ議員の個人質問

三輪保育園の民営化について

認可外保育所への支援について

浅川ダムの安全性と説明責任について

トリアージの導入について

乳幼児を持つ保護者への救急医療講習会について

特定健診について

ごみ有料化と報奨金の引下げについて

地元中小建設企業の活性化について

三輪保育園の民営化について

 二十六番、日本共産党長野市議団野々村博美でございます。

 まず、保育行政について伺います。
 三輪保育園がミツワ会に委託されることが決まり、四月から一年間の引継保育が行われます。

 そこで伺いますが、ミツワ会は社会福祉法人の認定を正式に受けるのはいつになるのでしょうか。また、この社会福祉法人の認定は、長野市社会福祉法人審査会で行われているとのことです。この設置要綱によると、審査会の会長は保健福祉部長で、委員は保健福祉部の各課長となっています。社会福祉法人の資格を持たないミツワ会を三輪保育園の民営化計画の当初から特別に扱い、さらに法人資格の認定は長野市が行うという一連の流れを見た場合、お手盛りになりはしないかと疑問が持たれます。
 さいたま市などでは、この審査会の委員には学識経験者を外部委員として任命しています。長野市でもそのような対応が必要ではなかったでしょうか。どのような審査がされたのか公開されるべきと思います。早急な組織の改善と公開について求めます。御見解をお願いします。

 この間の三輪保育園の民営化の経過を見ると、選考委員会が公開とされながらも選考基準の検討以降は非公開となり、詳細な評価については発表されず、強い熱意と意欲というあいまいな選考理由となっています。選考基準は公開すべきです。御見解をお願いいたします。

 公立保育園の民営化に対しては、今なお、多くの保護者、関係者が合意をしていません。保育の質の低下につながるのではないかという不安があるからです。三輪保育園の民営化に当たっても、不安を解消するために長野市が特別に配慮したことはあったのでしょうか、具体的にお答えいただきたいと思います。

 また、現三輪保育園の嘱託保育士をミツワ会の正規職員として雇用されるとのことですが、正規雇用にふさわしい待遇となっているのでしょうか。さらに、今後委託から移管へと計画されていますが、委託に当たっては、この保護者の願いに一定お答えしたとしても、移管後は責任を持ちませんという態度では困ります。移管後も、公立並みの保護者負担、人の配置やベテラン保育士の確保、直営給食などが存続される保障を担保していただきたいと思います。御見解をお願いします。

◎鷲澤正一市長
 野々村博美議員さんの御質問のうち、初めに三輪保育園の民営化についてお答えをいたします。
 社会福祉法人の設立認可については、社会福祉法により、中核市の場合は所轄庁である市長が認可を行うこととされております。ミツワ会の社会福祉法人の設立認可につきましては、一月四日付けで市に認可申請書が提出されましたので、社会福祉法等に定める手続によりまして認可審査を行い、三月三日付けで認可したところでございます。
 長野市社会福祉法人審査会については、社会福祉法第三十二条の規定による社会福祉法人の設立の認可に係る審査を的確に行うために、平成十二年十二月の厚生省部局長連名通知、社会福祉法人の認可についての法人認可審査の手続で示されております、法人認可担当、施設整備担当以外の関係各課、各部局を加えた庁内審査会を設置するに基づき設置しております。また、長野県におきましても審査会には外部委員はいないとのことでございます。

 審査内容の公開ですが、本審査会につきましては、審議等の適正な意思決定の確保と個人情報等が含まれますことから、従前どおり非公開としておりますが、審査結果につきましては本市のホームページで、今回の結果も含め公開してまいります。

 次に、三輪保育園委託・移管先選考委員会での選考基準については、既に本市ホームページで、三輪保育園運営委託関係の項目の中で公開しております。

 なお、選考委員会の審議過程の情報公開につきましては、市の審議会等の会議の公開に関する指針に基づき、選考委員会において公開・非公開について、その都度諮った上で進められたところであります。特に、選考の過程において、審議の公開により選考委員会として、公正かつ円滑に評価することが妨げられ、審議に支障を来すおそれがあることから、選考委員会において選考基準について検討していく段階から非公開と決定されたものであります。
 また、選考結果の公表についても、選考委員会において非公開と決定されたものですが、三輪保育園の委託・移管先としてふさわしい団体を選考するもので、応募された三団体のうち二団体については現に保育園を運営している団体であって、その実績や保育方針、保育内容等を結果的に否定するものではありませんので、社会的観点から慎重に取り扱う必要があると考えており、選考委員会での非公開の決定を尊重しております。

 次に、民営化に当たっての保護者の不安解消につきましては、これまでの間、じっくりと保護者の不安や要望について率直に耳を傾けてまいりました。民営化によって、より良い保育園を目指すため、昨年三月に三輪保育園保護者会と市が合同で意向調査を実施いたしましたが、その結果を委託・移管先選考委員会に報告し、委託先募集要項等に反映するよう努めるとともに、保護者の代表二名に選考委員に就任いただき、選考に携わっていただいたところでございます。

 また、民営化することにより、保育士全員が一斉に替わってしまうのではないか、保育方針や内容が大きく変わってしまうのではないかといった不安に対しては、当面の間、移管ではなく委託とし、委託の前年度には一年間の引継保育期間を設け、現在の保育環境が継続できるようにしたところであります。

 委託先決定後には、市とミツワ会から保護者に説明会を開催し、さらに今後に向けて具体的な話合いを進めるため、保護者、ミツワ会、市との三者懇談会を定期的に開催することとし、これまでに三回開催したところであります。三者懇談会は、平成二十年度の引継保育期間中においても引続開催し、平成二十一年度の円滑な委託に向けて意見交換等を行い、万全を期してまいります。

 次に、現在の三輪保育園の嘱託保育士がミツワ会の正規職員として雇用されるに当たり、正規雇用にふさわしい待遇が確保されているかについては、今回の委託先募集要項の中で、雇用に当たっては市嘱託職員の賃金を最低賃金とするとしておりますので、これを遵守していただくものと考えております。また、ミツワ会の職員採用に当たっては、雇用条件等を説明した上で採用を決定したとお聞きしております。

 移管後も、公立並みの保護者負担、職員配置、直営給食が存続される保障の担保をという御要望でございますが、委託先募集要項の中で、新たな保護者負担が生じないように努めることとし、委託後に新たな負担が生じる場合には、事前に保護者と協議することとしております。

 職員配置についても公立保育園に準ずることとし、園長又は主任保育士については児童福祉施設で幹部職員として三年以上の経験がある者又は保育士として勤務経験が二十年以上ある者であること、保育士は三年以上の経験がある者が三分の一以上含まれ、未経験者は三分の一以下とすることとしておりますので、移管後もこれらについて遵守していただくものと考えております。

 また、給食については、現在認可保育所は自園の調理室で調理し提供することとされておりますので、これを継続するとともに、食育や衛生管理などについても引き続き市の栄養士の指導を行ってまいります。

再質問

 時間もありませんので、要望だけしておきたいと思います。

 まず最初に、社会福祉法人の認定についてですが、確かに法律的にはそのような手続でいいことになっております。これは規制緩和の流れの中でこういう形になったものと思われますが、今のようなやり方ですと、公開もされず、必要に応じて行政側から新たな社会福祉法人を設置するような働き掛けもできるわけであって、やはりきちんと学識経験者など外部の委員を任命して公開する。個人情報ということになりますけれども、個人情報であったとしても、大切な子供たちを扱うことになるわけですから、それは最大限公開されてしかるべきものと思いますので、直ちにその組織の改善と公開を求めたいと思います。

認可外保育所への支援について

 次に、認可外保育所への支援について伺います。

 党市議団では、この間、長野市が打ち切った無認可の小規模保育所に対する補助金の復活を求めてきました。この補助金は、長野県が行っている認可外保育所への県単独補助金を、中核市となった長野市が引き継いだものでしたが、待機児童がいないということを理由に打ち切りました。
 昨年の夏、北九州市の小倉で、認可外保育所に通う園児が炎天下の車中に放置され、熱中症で死亡するという痛ましい事件が発生しました。利益優先と強い批判が集まり、この園は廃園となりました。少子化が進む中、公的助成がほとんどなく、経営が追い詰められていた事実も明らかになっております。
 北九州市では、無認可保育所に健康診断費として、年間で園児一人当たり千五百円、職員一人当たり千三百円を補助しています。たくさんの子供たちが通う無認可保育所は、児童を預かるにふさわしい最低限の施設整備と人的確保が求められますが、さきに御紹介した例のように悲惨な事件は後を絶ちません。しかし、無認可保育所の多くは、子供たちが大好きな保育士さんたちが、厳しい経営であっても、不規則な時間で働く親たちの実情を踏まえ、温かく子供たちを保育しています。
 現在、長野市の認可外保育施設は二十九園で二百九十六人が在籍しています。必要性があるからこそ多くの子供たちが在籍しているにもかかわらず、待機児童がいないからという態度は、余りにも冷たいのではないでしょうか。
 厚生労働省では、認可外保育所に対する指導監督基準を示し、立入調査を関係自治体に義務付けました。基準をクリアした場合は住民に対しても公表するように指示し、また利益を出す施設ではなく、児童福祉法に基づく福祉施設という扱いで、消費税が免除される制度に変わりました。
 長野市でもこれに基づき調査、指導が行われてきましたが、指導によって改善を図っても、認可保育所と同じ施設整備が行われなければ基準をクリアしたことにはならないと、証明書の交付は行われていません。厳しい経営条件の中でも、努力して精一杯の施設整備をして、温かな保育、安全でおいしい給食やおやつを出しても駄目出しばかり。その上補助金は一切出さない。これでは子育て支援とは言えませんし、結局その犠牲になるのは子供たちです。
 昨年九月議会で鷲澤市長は、国の示す基準を基に一定の保育水準を保つよう指導していくとともに、施設環境の改善や保育士の増員につながるような補助制度について、その必要性を含めて検討していると答弁されています。早急に具体化されるよう要望します。御見解をお願いします。

◎下條年平保健福祉部長

 私から、保育行政についてのうち、認可外保育所への支援についてお答えをいたします。

 これまでも議会でお答えをしておりますが、本市は認可保育所を中心に保育機能を充実させていく考えであり、待機児童を出さないように努めているところであります。
 認可外保育施設に対する市の取組としては、認可外保育施設が児童に対して適切な保育を実施するよう指導を行っております。今年度、国の指導監督基準に基づき、十月から十一月まで年一回の立入調査を実施し、設備や保育内容等について詳細に調査を行いました。その結果、基準に満たないものについて改善するよう指摘事項として通知し、改善報告の提出がありましたが、すべての基準を満たす施設はありませんでした。
 国の指導監督基準は、入所児童の安全や健康、健全な発達を図るために詳細に定められたものであり、認可保育所の最低基準に準ずるものでございます。現に在籍する児童の処遇を適切に確保するためには、最低必要とされる基準であり、この基準を満たすことで、初めて認可外保育施設指導監督基準を満たす旨の証明書を交付することができるとされております。
 補助制度の検討に当たっては、劣悪な施設を排除するためにも一定の基準が必要であり、市といたしましては、国の指導監督基準がそれに当たると考えております。
 したがいまして、認可外保育施設が指導監督基準を満たすよう継続的に指導監督を行い、入所児童の処遇改善を図ることを第一の目標としてまいりますとともに、補助制度の必要性などについても引き続き検討してまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。

再質問
 それから、無認可保育所の問題ですけれども、すべて基準を満たしている施設はなかったということですが、だからこそ補助が必要ではないのでしょうか。厳しい経営の中でも頑張ってやっている施設を、今のようなやり方だと、劣悪な施設を排除するのではなくて、頑張ってやっている施設まで排除してしまうことになるわけです。頑張ってやっている施設を応援して、認可保育所に行けない子供たちに対してもきちんとした保育をやってほしいというそういう思いを込めてきちんと補助制度を新たに作り出すべきと思いますので、是非これは、早急に検討をして結論を出していただきたいと思います。

浅川ダムの安全性と説明責任について

 次に、浅川ダムについて伺います。

 先日の信濃毎日新聞で、信州大学教育学部の学生さんが卒業研究で、北信地方のお寺や神社の灯ろうの損壊状況を調べ、一八四七年の善光寺地震の揺れの推察に取り組んだという記事が掲載されていました。その結果は、やはり長野盆地西縁断層周辺と断層西部で揺れが強いという従来の説を裏付ける結果となったということです。
 浅川ダムは、正にこの長野盆地西縁部に建設されるもので、学生を指導している赤羽教授はかねてから、工学的にはダムの建設は可能かもしれないが、本来、大型構造物を造ることは避けるべき地域と指摘していました。改めて、危険性に対する鷲澤市長の見解を伺います。

 さて、現在開会中の長野県議会において、ダムの構造が、今まで住民に説明してきた内容と異なっていることが、和田あき子県議の質問や土木住宅委員会の審議の中で明らかになりました。ダムの穴は取入口と出口は一・一メートル四方より大きくなり、途中を一・一メートル四方に絞るという、砂時計を横にしたような形になるということです。
 また、試験たん水では、放流のときは、本来の下の穴から放流するのではなく、バルブ付きの別の穴から放流するとのこと。なぜかという問いに、三十トン放出すると下流が大変になるからという答弁だったとのことです。
 既に浅川は基本高水毎秒四百五十トンで設計され、河川整備も行われているのに、どうして試験たん水では流すことができないのか。また、急激な放流により、ダム湖周辺の地滑りがどうなるのか、本来、試験たん水で検証しなければならないはずです。一・一メートル四方の穴が六十六メートルも続くということに住民はびっくり仰天でしたが、今回は前代未聞のダムの構造に変えられるとのこと。また、試験たん水も本来の検証の意味をなさないことなど、一体どうなっているのかますます不安は募るばかりです。
 この質問と答弁のやりとりを聞いていた県議会本会議では、他派の議員からも、そんな話は聞いていないとか、ますます穴が詰まりやすくなるんではないかなど不規則発言が多数あったとのことです。
 このようなダム本体の構造の変更、また試験たん水と放流について鷲澤市長は説明を受けているのでしょうか。二十一年度本体着工の予定としきりに強調されていましたが、まだ検証もされていない穴あきダムであること、小さな穴が六十六メートルも続き、地滑り地帯、ぜい弱な地盤で大量のたい砂が予想されているのに、穴が詰まらないのかという大きな疑問も解消されていないうちに、全国どこを探しても一つもない構造に変えられようとしているのです。地滑り地帯密集地、大揺れになる活断層の直近、その上全国的にも検証されたことがない新種のダム構造。改めて、長野県に対して説明責任を果たすよう市長は求めるべきと思いますが御見解を伺います。

 また、長野市が浅川ダム事業に参加してきたのは水道事業のためでした。しかし、水需要は当面ないということで撤退しました。今まで負担してきた約五億円の費用について返還を求めた経過がありましたが、その後どうなっているのでしょうか。

 先日、浅川の地元対策委員会との温泉利用についての確認書の質問がありましたが、この確認書の内容は、温泉利用にとどまらずスポーツ施設や団地造成なども含まれていますが、長野市がダム事業から撤退した以上、この確認書の扱いは以前とは違ってくるのではないでしょうか御見解をお願いいたします。

◎鷲澤正一市長

 次に、浅川ダムの安全性と説明責任についてお答えします。

 初めに、ダムの安全性についてでありますが、これまで議会等においてお答えしてまいりましたように、県は既にダム建設に関する十分な地質調査を実施し、長野盆地西縁断層等の状況についても考慮する中でダムの安全性について検討を行った結果、ダムを支持する岩盤、ダム付近の断層、地滑りのそれぞれについて安全性は十分に確保できるものと判断されております。
 また、河川整備計画の策定に際しましても、説明会等で地域の皆様から疑問として挙げられた点を含め、河川法に基づき、学識経験者の方々から地質学的、工学的な見地で御議論をいただき、浅川ダムの安全性に関しては、問題ないことを再度確認がなされたものと考えております。

 次に、ダム本体の構造の変更について説明を受けているのかとの御質問についてでありますが、ダムの常用洪水吐きの穴の大きさ一・一メートル四方については出入口ではなく、流量三十トンに調整する部分の大きさのことであり、県が従来から説明しているとおりと承知しております。
 また、試験たん水等の際には別の穴を使うことも可能性としてはあり得るとされ、その方法の詳細については、今後国や関係機関等の御指導を受けながら決定されていくものと考えております。
 今後、県が本体工事を着工するまでの間に、地域の皆様に説明を行う機会があると聞いておりますので、こうした機会をとらえて、ダム本体の詳細な構造を含め、浅川ダムが安全であることについて御理解をいただくよう、引き続き努めてまいりたいと考えております。

 次に、旧ダム計画で市が水道事業者として負担した費用約五億六千万円の返還につきましては、昨年から県との協議を開始したところであります。なお、返還については、多目的から治水専用ダムへの全体計画の変更認可が必要であることから、その手続を見極めながら、今後返還方法の詳細について県と詰めてまいりたいと考えております。

 最後に、確認書の扱いについての御質問でありますが、浅川の地元対策委員会と取り交わした確認書は、地域の皆様との信頼関係に基づき、地元と行政において約束の履行を確認したものであり、水道事業がダムから撤退しても、基本的にその扱いは変わるものではありません。
 したがいまして、確認書の内容につきましては、要望事項全体について、地元対策委員会の皆様と十分協議を重ねる中で、ダムの構造変更あるいは時間の経過に伴う状況変化等も考慮しつつ、誠意を持って対応してまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、浅川治水対策につきましては、今後とも県と連携、協力し、ダム建設や内水対策としての排水機場の増強はもとより、遊水地設置等の検討を含めた総合的な治水対策が速やかに実施されるよう、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 私からは以上です。

再質問

 それから、浅川ダムのことですけれども、多目的から治水専用になったということで、まだこれは認可の途中だと、変更の途中だということでお金の返還が決まっていないということですが、その間にどんどんと話が進んでいること、それがおかしいと思います。認可の手続が途中である……

トリアージの導入について

 次に、消防行政について伺います。

 救急搬送が大幅に増加する中で、長野市は災害時の大量のけが人が出た際に優先順位を決めて搬送するトリアージの制度の導入を検討していると報道されました。高齢化が急速に進んでいる中で、救急車の出動件数が増えるのは当然のことと思いますが、緊急性がないケースもあり、救急業務に支障が出るような事態にもなりかねないと懸念が広がっているとのことです。
 今議会の中で、軽症の割合は四十数パーセントとの報告がありましたが、緊急性がないというのは、気が動転している時点では、だれでもが判断できることではありません。悪質な利用者に対しては個別にきちんと対応すれば良いことであって、良心的な市民の利用に制限を加えるような制度の運用では困ります。
 昨年六月から半年間、トリアージの試行を行った東京消防庁では、出動した約三十四万件のうち百六十二件は緊急性がないと判断され、このうち百件は同意を得て搬送しなかったということです。三十四万件の百六十二件、わずか〇・〇五パーセントです。
 長野市の場合、年間一万五千件の出動として、わずか七・五人。この約八人への対応のために、万が一重大な判断ミスを犯すことの方が、よほどマイナスのことと思います。東京消防庁と長野市のトリアージの運用は違うということですが、運用方法と慎重な対応を求めたいと思います。御見解を伺います。

◎安川哲生消防局長

 私から、消防行政についてお答えいたします。
 最初に、議員さん御質問のトリアージの導入についてでございますが、東京消防庁で行っているトリアージは、緊急性が低い場合、患者の同意を得た上で搬送しない判断を現場で行うものであり、救急需要適正化対策を目的としているものでございます。
 当局で一部の医療機関と試験運用を行っているトリアージはスタートトリアージと申しまして、搬送することを前提としているもので、結果で搬送をお断りするものではございません。医師と救急隊員が同じ項目をチェックすることにより、早期に医療機関へ収容が可能となるよう取り組んでいるものでございます。今後、試験運用したデータを検証し、増大する救急需要への対応について、東京消防庁のトリアージも参考に検討してまいりたいと考えております。

乳幼児を持つ保護者への救急医療講習会について

 次に、乳幼児を持つ保護者への救急医療講習会について伺います。

 先日、世田谷区の児童館を視察した折、たくさんのお母さんたちが赤ちゃんを連れて、乳幼児の救急医療についての講習を受けていました。若い消防士さんが人工呼吸の仕方を、子供の人形を使って指導していました。
 乳幼児は熱性けいれんややけど、誤飲、けがなど心配なことがたくさんあります。いざというときどういう対応をしたら良いのか、日ごろから講習することは大切です。是非、定期的に多くの地域や保育園で、子育て支援センターなどで実施していただきたいと思います。厳しい職員体制の中ですが、是非とも御検討をお願いいたします。

◎安川哲生消防局長

 次に、乳幼児を持つ保護者への救急医療講習会についてお答えいたします。
 平成十六年から保健福祉部児童福祉課で作成し、対象者に配付している子育てガイドブックの中で、救命講習会の受講案内を掲載しております。子育てサークルやマタニティサークルなどから緊急時の対処法の講習会開催については随時対応しております。昨年は保育園、子育て支援センターで十一回の救命講習会を開催し三百九名が参加しております。このほか、公民館などで二百八十六名の乳幼児を持つ保護者の皆さんが受講し、保育士二百八十名が受講しております。幼い尊い命を守るためや、救急車の適正利用の観点からも救命講習会は必要と考えております。
 議員さん御意見の講習会の定期開催についてでございますが、定期開催が良いのか随時開催が良いのかなど開催方法等について子育て支援センターなど関係機関と協議をしながら、緊急時の対処法や乳幼児に対する心肺そ生法など救命講習会の開催をしてまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。

特定健診について

 次に、特定健診について伺います。

 今までは老人保健法に基づき、個別疾患の早期発見・治療のために基本健康診査が行われてきましたが、四月からは、腹囲や肥満度を重視したメタボクリニックに焦点を当てた特定健診、特定保健指導が行われます。長野市の市民健診では身体計測、血圧、尿検査、二十五項目の血液検査が行われてきましたが、特定健診では八項目の血液検査と腹囲と血圧のみとなり、心電図やレントゲンは医師が必要と認めなければ対象となりません。
 このような健診の在り方に対しては、医師の間からも疑問が出され、従来と同じ項目の健診がされるよう、一般財源で予算を組んだ自治体もあります。県内では、木曽町が今までどおり実施するとのことです。他都市でも、今後この動きは広がってくるのではないでしょうか。
 長野市は、今まで市民健診に約五億円の費用がかかっています。その三分の二は国、県の負担でしたが、約一億七千万円は長野市と市民が負担してきました。成人病予防に特化した今回の特定健診では不十分という立場に立ち、健康課サイドでこの分を負担するか、あるいは国保会計に繰り入れ、今までの水準が維持できるようすべきと考えます。御見解を伺います。

◎芝波田利直生活部長

 私から、特定健診についてお答えをいたします。

 平成二十年四月から国民健康保険を初め、それぞれの医療保険者は、四十歳から七十四歳までのすべての加入者を対象に、特定健診、特定保健指導の実施が義務付けとなりました。
 従来から市町村が実施している市民健康診査は、生活習慣病の早期発見、早期治療が主な目的でしたが、今回の特定健診制度は、従来の目的に加え、メタボリックシンドロームに着目した健診を行い、生活習慣病のリスクを有する人を早期に発見し、適切な保健指導を行い、自らの生活習慣の行動を変えていただくよう促すことによって、医療費の抑制を図ることが大きな目的となっております。
 この目的達成のための健診項目につきましては、国の規定で、必須項目としての基本的な健診の項目と、医師の判断により必要とされる方のみ追加受診する詳細な健診項目に分かれております。
 基本的な健診項目につきましては、すべての受診者に対し、服薬歴や喫煙習慣などの問診調査のほか、体重や腹囲などの身体計測、肝機能や血糖など八項目の検査を行う血液検査及び尿検査の実施が定められております。
 一方、詳細な健診項目につきましては、貧血検査、心電図検査及び眼底検査となっており、追加受診が必要となる判断基準は、前年度の特定健診の結果等により、性別、年齢等を踏まえ医師が個別に判断することとなっており、平成二十年度の結果を基に、平成二十一年度から該当者が受診することとなります。
 長野市の国民健康保険では、血液検査の必須項目八項目に対し、さらに詳細な健診項目にある貧血検査なども加えて、合わせて十三項目の血液検査を実施し、より充実した健診とするよう医師会とも再三にわたり検討を重ね決定をしたものであります。
 また、七十五歳以上の後期高齢者につきましては、長野県後期高齢者医療広域連合からの依頼を受け、国保加入者と同じ健診項目により実施の予定であります。また、社会保険等の被扶養者につきましては、国が定めた基準に沿った方向で長野県医師会と調整中とのことであります。
 なお、健診項目についての他都市の状況でありますが、中核市における調査結果では、三十五都市中、回答のあった三十一市において、何らかの追加健診を予定する市が、長野市も含めまして二十一市、国の基準どおりとする市が十市であります。
 いずれにいたしましても、平成二十年度は受診しやすい環境づくりと制度の定着に努め、健診項目につきましては、今後初年度での実績や効果等を検証しつつ、国や他市の動向にも傾注しながら、引き続き医師会とも検討してまいりたいと考えておりますので御理解をお願いいたします。
 私は以上でございます。

ごみ有料化と報奨金の引下げについて

 次に、ごみ収集の有料化問題と報奨金の引下げについて伺います。

 長野市は平成二十一年度からごみ収集の有料化を行うと発表しました。しかし、パブリックコメントの市民の意見を見ても、有料化が減量化につながるのかという疑問が多く出されています。
 全国の有料化のごみ減量効果の研究も行われていますが、排出するごみ袋の数では減量が見られるが、絶対量で見ると減っていない。つまり、袋の数を少なくするためにぎゅうぎゅうに詰めて排出するということです。当然の結果です。減量化を本格的に進めるには、資源ごみの分別や生ごみのたい肥化など、市民の協力が一層大切です。

 長野市は、団体による資源回収の報奨金単価がキロ七円で、全国でも長野県下でも最も高い報奨金を出している都市となっています。全国的にも資源ごみの回収率は高い方ではないでしょうか。地域やPTAによる廃品回収など多くの団体が積極的に取り組み、それぞれの貴重な財政源となっています。
 しかし、来年度この報奨金の単価が一円引き下げられることになっています。減量化の促進を願うのであれば、高い報奨金となっていることを大いに市民にPRして、一層の協力を訴えるべきではないでしょうか。

 報奨金の単価を引き下げ、ごみ袋の有料化を行うということであれば、今回の有料化のねらいは残念ながら減量化ではなく、市民負担の強化がねらいであると言わざるを得ません。有料化の見直しと報奨金の引下げの撤回を求めます。御見解をお願いします。

◎関保雄環境部長
 私から、ごみ問題についてのうち、まず初めに有料化についてお答えをいたします。

 平成十七年度に策定した、ごみ処理基本計画では、平成二十二年度の目標の一つに、市民一人当たりの家庭系一般廃棄物の可燃ごみ量を年百六十キログラムにすることとしております。平成十五年度は百七十九キログラム、平成十六年度はプラスチック製容器包装の分別もあり百六十一キログラムに減少いたしましたが、平成十七年度百六十四キログラム、十八年度百六十六キログラムと増加傾向にあり、その達成は難しい状況となっております。
 このようなことから、長野市廃棄物減量等推進審議会で検討を重ねていただいた結果、ごみの排出者としての自覚と責任を明確に意識してもらうためには、経済的インセンティブが働く家庭ごみ処理手数料の有料化制度が必要であるとの答申がなされました。この答申を受け、現在ごみの減量、リサイクルの意識を常に持っていただき、ごみの排出量に応じたごみ処理費用の一部を負担していただくことで公平性を確保できる制度を検討しているところでございます。
 抽出による家庭ごみの組成調査の結果、可燃ごみの中には資源物として分別できる紙類が十七・九パーセント、プラスチック製容器包装が五・九パーセント含まれていることから、これらの分別も含め、平成二十年度に計画している各地域での説明会の中で、より具体的な減量、分別方法を説明し、市民の皆さんに減量、リサイクルできることを認識していただきながら、ごみの分別の徹底、減量、リサイクルへの御協力をお願いしてまいりたいと、こんなふうに考えているところでございます。

 次に、資源回収報奨金の引下げについてでございますが、市では、行政回収による紙類や瓶などの資源回収と合わせまして、資源物の排出機会の拡大や廃棄物処理量の減少を図るため、再生利用が可能な古紙類や缶類などの回収を行った団体に対し、回収量に応じて報奨金を交付しておりますが、平成二十年度にこの報奨金単価をキログラム当たり七円から六円に見直しをするものでございます。
 現在、古紙類の売却価格は、平成十八年度の平均と比較し、平成十九年は九月時点の平均で二円十銭から二円九十銭ほど値上がりし、今年に入りましても、更に値上がり傾向が続くなど高値で推移している状況でございます。
 また、県内他市の状況を見ましても、平成十九年十一月現在、他市の平均は約四円七十銭で、長野市は七円と突出してる状況でございますので、これらを考慮し、このたび改定することとしたものでございますので、御理解をお願いいたします。
 私からは以上でございます。

地元中小建設企業の活性化について

 さて、今議会でも景気の悪さが多くの議員から語られたところですが、実態は本当に深刻です。特に長野市はオリンピック後、大型公共事業は激減し、建設関連企業は苦境に立たされてきました。さらに、個人消費の落ち込みで住宅建設も減少傾向。地元中小建設企業はますます厳しい状況です。
 しかし、その一方で多くのマンションが建設されてきました。そのほとんどが県外大手資本です。また、低価格のプレハブメーカーの進出も盛んで、腕の良い職人さんたちは安い単価で下請に入らざるを得ない事態となっています。
 長野市は、これら県外資本のマンションに対しても、まちづくりの一環として多額の補助金を出してきました。しかし、もう見直しが必要ではないでしょうか。県外資本に補助金を出すことより、県産材を使った戸建て住宅に補助を出す。あるいは、耐震補強の工事への補助を増やすなど地元事業者の仕事が増えるような対策をとるべきです。御見解をお願いいたします。
 以上です。

◎和田智建設部長

 私から、地元中小建設企業の活性化についてお答えをいたします。

 最初に、市は県外資本のマンション建設に対し、再開発事業として多額の補助金を出してきたことを見直し、地元事業者の景気が良くなるような対策をとるべきではないかについてお答えをいたします。
 中心市街地における人口減少は、地域コミュニティの喪失や防犯機能低下等を招いていることから、まちなか居住を推進していくことが重要と考えております。
 近年の中心市街地におけるマンション等の立地は、居住人口の回復に一定の効果をもたらしており、今までの実績で、約二千八百戸の住宅が供給されておりますが、その多くは、民間が独自の資金で施工したものでございます。このうち、再開発事業等の公的補助金を導入して供給された集合住宅は十八件、約八百戸で、県外資本に対する補助は二件、百二十戸に過ぎず、ほかはすべて地元事業者に対する補助であります。
 今後も、中心市街地において更なる居住人口の増加を図るための手法として、再開発事業等による共同住宅建設の支援は継続してまいりたいと考えております。

 次に、県産材を使った戸建て住宅への補助あるいは耐震補強工事への補助を増やすなど地元事業者の仕事が増えるような対策をとるべきではないかについてお答えをいたします。
 県産材を使った戸建て住宅の補助につきましては既に県で行っており、今年度は県全体で約三百戸ほどの利用があるとお聞きしております。制度の重複を避けるため、市での補助制度は考えておりませんが、今後融資制度の利用促進を積極的にPRするなど持家建設の促進に努めてまいりたいと考えております。

 また、耐震補強工事への補助を増やすことについてでありますが、戸建て住宅の耐震補強工事は昭和五十六年以前の旧基準の木造住宅を対象に、基本工事費百二十万円の二分の一以内かつ六十万円を限度に補助を行っております。今年度の利用者は三十一戸で、調査によりますと、すべて地元事業者の対応となっております。
 この補助の増額につきましては、平均的工事費が百二十万円程度と試算されていることから、現段階での増額は考えておりませんが、この二月に策定いたしました耐震改修促進計画により建築物の範囲が拡大されたことから、地元事業者の需要が更に高まるものと考えております。

 なお、市では建築関連の公共事業において、専門性を有する案件につきましては地元中小事業者へ依頼するなど受注機会の均等に努めております。
 私からは以上でございます。

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