2008年3月定例市議会 小林よしかず議員の個人質問
市長の交際費について
市役所がつくるワーキングプアと公契約条例等について
学童保育充実と長野市版放課後子どもプランについて
フィンランドの教育と全国学力テスト不参加について
広域連合ごみ焼却施設計画の見直し等について
人が住み続けられる長野駅東口のまちづくりについて
パラリンピック10年、その後のユニバーサルデザインのまちづくりについて
二十五番、日本共産党市議団小林義和でございます。
通告に沿って質問いたします
市長の交際費について
平成十四年九月議会、私は市長が出身大学の私的同窓市長会なるものに交際費で出席した問題で、私的な支出がほかにもあるか、すべてガラス張りにすべきと質問したことがありました。市長は、公務だと言い、他の支出は明らかにされませんでした。昨年十二月、住民訴訟に対して、長野地裁は市長交際費の一部返還の判決を下しました。
市ホームページを見ると、一月定例記者会見で、交際費の支出には線引きをした方がよいのではとの記者の質問に、市長は、あいまいでよい。線引きしてきちんと決めるような筋合いのものではない。お付き合いの問題で普通の経費と違う。きちんとした社会をつくることは、ある意味で大事だが、きちんとし過ぎたために面白くない社会になっていく。市長交際費の範囲は、もうちょっと広げることも適宜考えていかなければ。地裁判決が出たからといって態度を変えるつもりはないなどと答えております。
そこで伺います。市長就任後、今日まで、地裁で違法とされた七件と同様、政治家との政治的な会合、議員の議長就任や当選祝い、労働組合や職員同窓会の懇親会、宮司就任など祭事・宗教儀式、特定の個人の記念式典などに使った件数と金額を年度別に明らかにしていただきたい。
朝日新聞によりますと、他市では交際費支出にはルールが必要とし、松本市長は支出目的に十四の付加項目を定めています。上田市、飯田市、佐久市は、迷ったら支出しないとのこと。それでも市長は記者会見のとおり積極的に交際費を使うお考えですか。お伺いいたします。
既に大阪高裁では奈良県現五條市、最高裁は武蔵野市、各住民訴訟で行政の政治的中立性の要請に反するとの違法判決が確定しています。今、市長がやるべきことは、控訴を取り下げ、違法な七件分は返還し、きっちりと交際費のルールを作り、市民に分かりやすくガラス張りにすることではありませんか。市長の判断を求めます。
小林義和議員さんの御質問のうち、初めに市役所交際費についてお答えいたします。
一点目の長野地裁判決で違法性があるとされた七件と同様の事例の年度別執行状況についての御質問ですが、そもそも交際費は、地方公共団体の長又はその他の執行機関が、行政の円滑な執行を図るため、あるいは当該団体の利益のために、当該団体を代表し外部とその交渉をするために要する経費であるとされており、分類、線引きが非常に難しい経費であります。
違法とされた同様の事例のとらえ方が極めて不明確であいまいであるため、しかも私は違法性がないとして裁判で争っているところでもあり、ここで金額等をお示しすることは適当ではないと考えております。
なお、平成十八年四月からは、すべての交際費の執行状況を月ごとに市ホームページ上で公開しておりますので、そちらを御覧いただきたいと思います。
次に、交際費支出の線引きはしないで、これからも積極的に交際費を使うのかとの御質問にお答えをいたします。
もとより交際費の執行に当たっては、平成十四年に支出基準を制定し、現在は見直し後の執行基準に基づき適正な執行に努めておりまして、年々厳格に対処してまいりました。今後も引き続き努める方針に変わりはございません。私の記者会見等でのコメントを引用されておりますが、その前後の脈絡を踏まえて全体的に解釈すべきであります。
三点目の控訴を取り下げることについてでありますが、この判決文を精査したところ、一部事実の誤認と矛盾、判断の誤りがあり、主張が認められなかったため、このまま判決を確定させるべきではないと判断し、敗訴にかかわる部分について取消しの判決を求める控訴をしたものであります。
交際費の定義から、個々の具体事例に対する支出に当たっての線引きは非常に難しく、また判断基準となる社会通念のとらえ方も明確な通説はありません。違法性があるかどうかは、飽くまでも個々の事例ごとに目的、内容、立場、状況等を十分精査しなければ断定できるものではありません。係争中のため、個々の事例には触れませんが、裁判では争点を明確化し、違法性のないことを主張してまいります。
繰り返しますが、交際費は従来から適正執行に努めており、住民の皆様に誤解を持たれることのないよう引き続き執行してまいります。
再質問
市長は大阪高裁、最高裁の判決を知っていたのかどうか、大変私は疑問であります。ほかの市長は、この判決を受けて返還をしておりますので、市民のためにも、市長自身のためにも、これを取り下げていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
市役所がつくるワーキングプアと公契約条例等について
平成十九年労働力調査では、非正規労働者の割合が三十三・五パーセントと前年を〇・五パーセント上回り、過去最高。依然として正規社員から非正規社員への置き換えが続いています。長野市役所では、正規職員二千八百十七人、代替・アルバイトを除く嘱託、臨時、五時間四十五分パートなど非常勤職員は一千四百三十二人、労働力調査の比率以上です。
特に公立保育園は異常で、正規保育士は三十七・二パーセント、園長、主任を除く毎日保育の現場で働く保育士は、正規百二十一人、三十一・一パーセント、嘱託二百六十七人、六十八・九パーセント。ある正規保育士は、嘱託の先生も担任として子供の命と成長、発達、保護者対応に全責任を持ち、嘱託給食調理員さんもノロウイルス対策、離乳食、アトピー食など気を遣って調理する毎日、命と健康に全責任を負っています。全く補助的な仕事ではありませんと言います。
しかし、嘱託保育士は月給十五万五千百円、勤続十一年の人で月給は平成十七年に三千円上がっただけ、嘱託調理員は月給十四万五千九百五十円。母子家庭やひとり暮らし、夫が不安定雇用等一家の家計を担っている人ばかりです。年収二百万円、正にワーキングプア。責任の重さに見合った賃金、生活できる賃金と言えるでしょうか。
松本市の嘱託保育士は十六万七千円。かつて部長は、正規の負担を大きくして嘱託の負担を減らす。保育園で正規が半分以下は問題、正規の採用を進めると私に答弁しました。四月、正規はまた五人減ります。各園で半数を大きく割る正規への負担押し付けなど不可能。現場を知らない発言です。
二月二十七日、衆議院予算委員会分科会で日本共産党議員が、大阪府の一自治体で非正規保育士の割合が五割を超えていることを指摘し、子供たちの成長と発達にかかわる保育士が安定的に働けるようにすべきだと求め、舛添厚労相は、自らも子育て中であると述べ、保育士は常用雇用すべきと思うと答弁しました。
そこで何点かお聞きします。約束どおり各園過半数の正規保育士にする採用をどう進めるのか。
ほかにも、十年間賃上げなしの市嘱託事務職十三万四千四百円、嘱託図書館司書十五万円。市長は、自分の市役所の非常勤職員の劣悪な実態を御存じですか。同一労働同一賃金の原則に合った賃金の引上げ、待遇改善を平成二十年度にも緊急に行うべきです。
市役所が公務を次々にアウトソーシングして生み出された外郭団体、指定管理者、民間委託先、公共工事従事労働者などの賃金、労働条件は、更に劣悪。ところが、公契約条例を求めた十二月議会の阿部議員の質問に、財政部長は、一自治体の問題ではなく適切でないなどと答弁しました。しかし、根拠はILO九十四号条約。住民の税金を使ってワーキングプアをつくってはならないという考え方の条約です。
滋賀県や和歌山市、熊本市は、指定管理者公募要件に、労働者の賃金基準や、また人件費単価表などを設定しています。西東京市、国分寺市、千葉県白井市などは公契約条例策定に動き出しています。そこで、長野市も自治体の責任で市内労働者の生活と権利を守る公契約条例策定を検討されるよう提案をいたします。
今朝の新聞を見ますと、千代田区では区内の介護施設の非正規職員を正規職員に引き上げたり、パート職員の時給を引き上げる等区独自に待遇改善のために助成をするということを三月議会に提案しているそうであります。
◆鷲澤正一市長
次に、市役所がつくるワーキングプアと公契約条例等についてお答えをいたします。
正規保育士の採用につきましては、ここ三年間で退職者二十四人に対して二十七人を採用するなど、長期的な保育需要を勘案しながら職員採用に努めてまいりました。ここ数年、保育士全体に占める嘱託職員の割合が増加しておりますが、これは三歳未満児の増加や一時保育、地域子育て支援センター相談業務など未就園児を対象とした新規事業への対応に当たり、嘱託職員を採用することで効率的な保育の充実を図ってきているものでございます。
正規職員の増員につきましては、集中改革プランに基づき職員の削減を進めている中で、極めて厳しい状況にありますが、今後の少子化の進行による保育需要や保育園の民営化などの状況を見極めながら、保育士の採用確保に努めてまいります。
次に、非常勤職員の労働条件についてお答えいたします。
非常勤職員は、業務の繁閑に応じて柔軟に職員を配置するなど、行政事務を最少の経費で円滑かつ効率的に進めるため任用する一般事務職のほか、保育士や保健師など有資格の専門職に任用しているもので、その責任の度合いや職務の内容などを判断する中で勤務条件を定めてきたものでございます。
非常勤職員の賃金につきましては、正規職員の給与を引き下げてきた中においても、一般事務職については据え置きとし、専門職については、その業務の専門性などを考慮して必要の都度引き上げてきたものでございます。また、中核市における本年度の賃金額を調査したところ、一般事務職、保育士とも人口規模に見合った賃金額となっております。
しかしながら、県内市においては、保育士賃金を見直す動きもありますので、その専門性や責任の度合いなどを考慮しながら、他都市の動向も勘案する中で、今後改めて見直しを検討してまいります。
次に、公契約条例の策定を検討し、契約や指定の要件に賃金、労働条件を定めるべきではないかとの御提案にお答えをいたします。
まず、業務委託や工事請負の契約などは、その方法が地方自治法や市の契約規則などに詳細に定められており、本市の入札・契約事務もこれらの規定に基づいて実施しているところであります。また、事業費の要素である賃金、労働条件につきましては、契約の相手方である事業者の裁量によって、関係する法令等の範囲内で決められるべきものですが、過当競争による低価格入札によって労働環境が悪化することのないよう、最低制限価格制度や低入札価格調査制度を設け、必要となる最低限の経費が確保されるよう努めているところであります。
その上で、日本国の法令を遵守し、この契約を履行しなければならないとの条項を盛り込んだ契約書を取り交わしているところであり、また指定管理者の指定に関しましても、一般的な法令遵守の規定を協定書等に明記しているところであります。
したがいまして、賃金、労働条件に関する諸問題につきましては、最低賃金法や労働基準法などによって対応すべきであり、現時点では公契約条例の制定は考えていないところであります。
再質問
要望いたしますが、保育士以外のほかの職員についても御検討いただきたい。
学童保育充実と長野市版放課後子どもプランについて
私は昨年九月議会で、長野市版放課後子どもプラン案に対し、学童保育と全児童対策の一本化はよくない、国のガイドライン案に沿って学童保育の充実こそ必要と指摘しました。策定されたプランは、残念ながら指摘したとおり。品川区を視察しました。一本化した小学校のすまいるスクールの指導員、これは教育委員会の正規職員ですが、毎日固定しない大規模集団で、以前の学童保育のような名前を呼び信頼関係を結ぶつながりが難しくなった。ボランティアも集まらず、民間会社の派遣社員が日替わりで来る状況と語りました。以下、幾つか伺います。
モデル実施の小学校名、実施時期、施設・職員など体制、運営委員会設置状況。また、現行の児童館、センター、クラブの職員の賃金・労働条件の改善はされるのか。放課後子ども教室の職員の賃金、労働条件はどうなのか。
厚生労働省のガイドラインに沿って独自の運営基準を策定する自治体も増えています。プランは、事業内容、開設日、開設時間、利用児童のすみ分けなど、基本的なことは各運営委員会にお任せ。市の公的責任として、すべての学童保育にひとしく保障すべき運営基準の策定を行うべきですが、いかがでしょうか。
国民生活センターの学童保育の実態調査では、一施設七十一人以上が二十三・三パーセント、長野市は四十二施設中三十一施設で七十四パーセント。今、保護者や地域の一番の願いは、満杯の施設、あふれる待機児童の解決です。しかし、プランは新たな施設は造らない前提で構築されています。それでは、緑ケ丘小学校は学校内児童クラブに八十三人、学校から遠く離れた日詰児童館に九十一人、七十一人以上は補助金が廃止される平成二十二年度までに新たな施設を造らずにどうなるのか、どう分割するのか。
一方、大豆島では、まちづくりの提案に市が小学校敷地内に児童センター新築を検討すると回答していると聞きました。これは一体どういうことか。先日、担当課長もパネラーとなり、市民シンポジウムが開かれました。一本化で学童保育がどうなるのか大変心配というのが、多くの市民の声です。長野市版放課後子どもプランは、拙速な実施は凍結し、もっと市民の声を聴き、直面している学童保育の改善こそ重点にすべきです。以上、見解をお伺いいたします。
私から、二点についてお答えをさせていただきます。
初めに、学童保育充実と長野市版放課後子どもプランにつきましてですが、昨年十一月の長野市版放課後子どもプラン素案発表以来、関係団体の皆様に対しまして、プランの趣旨等について説明をさせていただいてまいりました。また、幾つかの運営委員会にも出席をさせていただきまして、職員の処遇の問題、校外施設と校内施設のすみ分け、小学校施設の利用などの課題等につきまして一緒に話合いをさせていただいてまいりました。
現段階では、まだ協議中のものでありまして、モデル小学校区をお知らせする状況にはありませんけれども、小学校区ごとの実情に照らして検討を進め、受入体制が整い次第、このプランを開始してまいりたいというふうに考えております。
長野市における児童館等の厚生員の雇用につきましては、指定管理者及び地区社協が行いますので、実際の雇用条件や賃金は各運営団体にお決めをいただいておりますけれども、市の来年度の予算におきまして、子どもプランの指導員賃金の積算単価は、校外施設・校内施設にかかわらず同一にしてございます。また、現行のまま児童クラブを行う場合におきましても、児童館職員との均衡を図るために、若干の賃金単価の改善を予定しているところでございます。
なお、現行のまま放課後子ども教室を行う場合につきましては、安全管理員等への謝礼につきまして、文科省基準ということでございますので、本年度と同様、同一の内容として考えているところでございます。
さて、学童保育の運営基準を策定すべきであるという点につきましては、留守家庭の児童を対象とした場合は、日曜日、祝日、年末年始を除く年間二百九十四日、午後六時までの開館を目指しているものでございます。
厚生労働省が昨年十月に発表いたしました放課後児童クラブガイドラインは、放課後児童クラブの質の向上を図るため、国として初めて基準を示したものですが、各自治体や運営主体によって多様な運営が行われていることから、最低基準という位置付けではなく、運営に当たって必要な基本的事項を示し、望ましい方向を目指したものとされております。
なお、狭あい化が課題になっている児童館等の中には、本来の対象者である留守家庭児童以外の児童も受け入れているところがあります。今後、対象外児童の受入れにも配慮をしながら、留守家庭児童とそうでない希望児童のすみ分けを進める中で、校外施設では今よりも余裕が生まれるものと考えているところでございます。そのため、現時点で七十一人を超える児童館についても、新設・増改築は考えておりません。
以上のことから、来年度はモデル小学校区におきましてプランを実施していく中で、問題が生じた場合は改善策を講じながら、子供たちにとってより良い環境になるよう努めてまいります。
フィンランドの教育と全国学力テスト不参加について
先日、私は善光寺大勧進で二十一世紀ニュービジネス協議会主催の在日大使ヨルマ・ユーリン氏のフィンランドの教育の講演をお聞きいたしまして、大変感動いたしました。今、フィンランド教育は国際学習到達度調査PISAでトップの成績を上げ、競争をやめたら学力世界一、格差なくせば子供の学力は伸びると世界から注目されています。
なぜ成功したか。大使は、権利としての教育機会均等、義務教育はすべて公立、教育は基本的に無料、選別の教育ではなく平等な総合教育、塾はない、全国テストもなく、学校ランキングも作らない、ストレスのないゆとり教育、教員は大学院修士課程を卒業して高い知識と自主性を持つ、研修もしっかり行うなどと話されました。
日本では、発表された学習指導要領改訂案は、ゆとり教育の転換、厳しい学校現場への国の指導など自主性を奪う内容。フィンランド教育について、教育委員長は見識をお持ちと思います。我が国の教育の現状をかんがみ、一言御見解をお伺いいたします。
フィンランドにない日本の全国学力テストは、昨年都道府県ごとに結果が公表され、平均点でランク付けされました。東京都足立区では学力テスト不正問題も起きています。長野市では、ある小学校長が全国学力テストの結果を受けて、うちの学校はどこそこの学校より何点点数が低い。まず自己批判しうんぬんと教職員に訓示したと聞きました。学校ランクが公表され、このようなことがあったのか、どう対処されたのか、お聞きをいたします。
十二月議会経済文教委員会で、教育次長は、全国学力テストと市の学力テストの結果は似ている。小六、中三の全国学力テストは、結果が十月末発表。指導に生かす時間はない。もっと早く結果が判明するよう国に要望したいとの趣旨の発言をされました。全国では、採点集計したベネッセが学校を通じて親に教材の宣伝をしている。生徒数以上の個人票が返された。欠席者に点数が付いてきた。七か月も答案用紙も返さず、マル・バツ個人票だけ返却されても、どこで間違ったのか本人も教師も分からないなど、現場は大混乱です。
市教委は文科省にどんな改善を要望されたのか。結果はどうか。このような、ずさんで格差と競争の教育を強める全国学力テストは、国に中止を求め、来年度は不参加とすべきですが見解をお伺いいたします。
私から、フィンランドの教育と全国学力テスト不参加につきましてお答えを申し上げます。
フィンランドの教育は、OECD--経済協力開発機構による学習到達度調査の結果、大変好成績を収めておりまして、世界的に大変な注目を集めているところであります。
フィンランドにおける子供の学力の高さは、その特色ある教育によるものではないかというふうに考えております。
その主な特色でございますけれども、一つ目には、一九八〇年代から就学前教育、そして義務教育での授業の在り方を、教えることから学ぶことへ移行させ、子供たちに考える力を養う教育を行ってきていることでございます。
そして、二つ目には、指導する教師の質の高さでございます。ただ今議員さんも触れておられましたように、フィンランドの教師は、そのすべてが大学院修士課程を修了していることが求められているのであります。
そして、三つ目には、教員の採用や指導内容の決定など、自治体ごとに運営を任されているその教育の制度にあるように考えております。
このたび、文部科学省から示されました学習指導要領の基本理念は、一つには生きる力の育成であります。もう一つは、基礎・基本的な知識や技能の確実な定着とそれらを活用して課題を解決するための思考力、表現力の育成であります。この日本の生きる力をはぐくむ教育は、フィンランドの考える力を養う教育と目指す方向は全く同じであります。
本市といたしましては、フィンランドの教育の優れた点を参考にしながら、今後とも児童・生徒が確かな学力を身に付け、自らの課題を持ち、主体的に追求していく力の伸長を目指して、お互いに磨き合い、高め合っていく授業の創造、各学校が主体性を発揮しながら、地域に根ざした特色のある教育を具現してまいります。
次に、お尋ねの今年度実施されました全国学力・学習状況調査についてお答えを申し上げます。
調査結果の取扱いにつきましては、教師の指導力の向上、授業改善に生かすためのものでありまして、本市で五年間実施をしてまいりました標準学力検査--NRTでございますが、この標準学力検査の結果の取扱いと全く同じでございます。
今年度の全国学力・学習状況調査の結果につきましては、市内の子供たちの学力の実態や傾向を分かりやすい文章にまとめまして、公表をさせていただいております。各学校のランク付けにつながるような数値の公表は行っておりません。
次に、国への改善要望につきましてでございますが、調査結果の早期返却、これは結果をその後の指導に生かすということで大変重要なものであります。調査結果の早期返却と個人情報の保護、この二点についてお願いを申し上げました。
来年度は、結果の返却につきましては一か月ほど早めて、九月に結果が返ってくるということでございます。個人情報の保護につきましては、小・中学校とも解答用紙に氏名を記入しない形式を採用するという連絡を国からいただいております。
そして、長野市で実施をしております標準学力検査--NRTは、小学校五、六年生では、国語、社会、算数、理科、この四教科でございます。中学校二年生では、国語、社会、数学、理科に英語を加えまして五教科でございます。それぞれの学年で身に付けるべき基礎学力の定着状況を評価しております。
一方、国で行っております全国学力・学習状況調査は、小学校六年生と中学校三年生を対象に、国語と算数・数学、この二教科のみで実施されております。したがいまして、NRTで評価されております基礎学力の評価に加えまして、読解力や表現力、活用力も評価されるようになっております。したがいまして、長野市といたしましては、教師の指導課題を明確にし、児童・生徒一人一人に学力の定着を図るためにも、平成二十年度も引き続き全国学力・学習状況調査を実施してまいりたいと考えております。
以上でございます。
広域連合ごみ焼却施設計画の見直し等について
来年度予算は、事務事業見直しで三億円もの市民サービス切下げ、国保料を初め使用料、手数料引上げなどで財政健全化を進めるとするこの大本には、将来のごみ処理施設建設など大型公共事業があります。広域連合のごみ処理施設の当初計画は、建設費が約三百十五億円、管理運営費が年間約二十五億円であります。検討中の建設費負担割合による長野市の負担額を伺います。
広域連合が建設スケジュールを見直す際に、地球温暖化問題や財政健全化などの角度から、施設規模の縮小も検討すべきであります。国の第二次循環型社会形成推進基本計画の家庭ごみと事業所ごみ、二〇〇〇年に比較して二〇一五年二十パーセント削減をする目標、長野市第四次総合計画の目標の減量値、最新の国立社会保障・人口問題研究所の推計人口等を加味して施設規模を再計算すべきです。試算を伺います。
大豆島住民から資料を頂きました。大豆島地区区長会から市長あてに環境第一課経由で出されたまちづくりの提案です。前文に、今後の長野市行政当局の当地区に対する姿勢を計る意味でのある種の踏み絵的な意義も含めたものとあり、大豆島小学校移転新築要望で、長野市の迷惑施設を一手に引き受けている大豆島地区の影響を受けている学童には、せめて広々とした学校環境で学習させたいと書かれています。市長は、この踏み絵を踏んだのでしょうかお伺いいたします。
さらに、都市内分権制度確立のため、今、全地区で住民自治協議会設立の努力をしておりますが、大豆島はスケジュールから外れています。なぜか。ごみ焼却施設建設や提案と関係があるのかお伺いいたします。
次に、大豆島地区からのまちづくりの提案をどのように受け止めているのかについてお答えします。
大豆島地区の皆様には、市民生活を支える諸施設を設置運営させていただいておりますことに、まずもって感謝申し上げます。
平成十七年十一月に、ごみ焼却施設の建設候補地として大豆島松岡二丁目サンマリーンながの及びその周辺部を選定し、建設に向けた協力を要請した際、市民生活に欠くことのできない重要な施設をお願いすることから、それまでに地区から寄せられている要望にこたえなければならないという判断により、市からまちづくりにつながる事業を提案させていただいたものでございます。
その後、大豆島地区区長会から、大豆島まちづくりの提案をいただきましたが、これを真しに受け止め、大豆島地区の皆様と協議を重ねているところでございます。まちづくりにつながる事業は、ごみ焼却施設受入れの交換条件や見返り事業ではございませんが、全庁を挙げて取り組んでいる市の姿勢を含め、施設建設について御理解をいただけるよう努めているところでございます。
次に、住民自治協議会設立がスケジュールから外れているが、ごみ焼却施設建設やこの提案と関係があるのかについてお答えいたします。
大豆島地区区長会では、昨年七月に住民自治協議会設立研究会を立ち上げられ、市といたしましても都市内分権に関する研修会など地区からの要請に対する支援を行っております。また、十一月に開催しました三十地区の代表者会議にも御出席をいただいており、スケジュールから外れているとは考えておりません。今後も平成二十一年度までに大豆島地区の住民自治協議会を設置していただけるよう支援してまいりたいと考えております。
私からは以上です。
◆関保雄環境部長
私から、広域連合ごみ焼却施設計画の見直し等についてのうち、初めに、ごみ処理施設の建設費のうち長野市の負担割合についてお答えをいたします。
現在、建設費の市町村負担割合につきましては、長野広域連合において協議し、人口割で十パーセント、ごみ量割で九十パーセントということで検討をされているところでございます。この割合で試算をいたしますと、三施設の建設費に交付金等を考慮した広域連合の支出額約三百十五億円のうち、長野市の負担分は約二百二十八億円の見込みとなるわけでございます。この負担割合につきましては、今後各市町村議会におきまして、長野広域連合規約の変更ということで提案をさせていただく予定でございます。
次に、国のごみ削減目標、最新の推計人口等を加味し、広域連合の施設規模を再計算すべきについてお答えをいたします。
長野広域連合では、平成十五年度を基準といたしまして、平成二十二年度までに家庭系のごみ十パーセント、そして事業系のごみ十五パーセントの可燃ごみ減量目標の達成を前提といたしまして、施設規模を算定しているところでございます。
平成十八年度には、広域管内からは十四万九千百六十七トンの可燃ごみが排出されましたが、二十二年度の目標でございますけれども、十四万五百七十三トンということで、更に約九千トンの減量が必要ということになっているところでございまして、現時点では焼却施設規模の見直しは考えておらないところでございます。
国の削減目標や市町村の人口推移をどのようにごみ量の推計や減量目標に反映するかについてでございますが、今後広域連合において施設建設スケジュールを見直す際に併せて検討されるものと、こんなふうに考えておるところでございます。
私からは以上でございます。
人が住み続けられる長野駅東口のまちづくりについて
ずっと前から住み続けてきた借地、借家、アパート居住者、高齢者、障害者世帯や生活保護世帯などの方の願いは、引き続き安心してふるさと東口に住み続けることではないでしょうか。私もずっと人に優しい住み続けられる街を願って議会でも質問してきました。生活再建措置として国土交通省も要綱を示し、市条例で入居を保障するのが従前居住者用住宅です。
ところが、一部を利用できる規定を使って、集団移転の仮住まいに替えて、本来の権利者の入居を排除して、地域外に移転してもらっている。根本的な解決は、まちなか居住促進の点からも、安価で間取りも多様な新たな従前居住者用住宅の建設であります。当面、家の持てる仮住まいの人には民間アパート等を市が借り上げて、今ある従前居住者用住宅は住宅を失う人に戻すべきです。答弁を求めます。
以前から公営住宅法で、公募によらずに市営住宅に入居できるとの規定により、住宅課との調整に局の職員が大変努力をされております。これまでの取組状況と今後の対応を伺います。
この巨額な区画整理事業費は、今後の市財政運営に大変大きな負担になるのは明白です。そこで、東口ペデストリアンデッキや複合交通センター等の関連事業計画を市民参加で再評価・検証するよう提案をいたしますが見解をお伺いいたします。
◆竹前正人駅周辺整備局長
私から、人が住み続けられる長野駅東口の街づくりについて、何点か御質問をいただいておりますので、順次お答えをいたします。
一点目の新たな従前居住者用住宅を建設すべきとの御質問につきましては、議員さんも御指摘のとおり、中心市街地活性化基本計画におきましては、まちなか居住の促進が目標として掲げられておりまして、駅周辺整備局におきましても、この目標に沿って本事業を進めているところでございます。
しかしながら、新たに従前居住者用住宅を建設することは、用地的にも、また本市の健全な財政運営の面からも、極めて困難でございまして、既存の公営住宅若しくは民間の住宅を御利用いただきたいと考えております。
また、緊急措置として、仮住宅のためには民間アパートを借り上げ、住宅に困窮されている方を優先して従前居住者用住宅に入居させてはとの御質問ですが、民間アパート等を仮住宅として継続的に借り上げることは、一定期間、市が全室分の家賃を補償しなければならないため、事業費を増大させる要因となることから、これもまた難しいと考えておるところでございます。
現在、駅周辺整備局では事業を効率的、効果的に推進することが可能な集団移転整備を実施しておりまして、この集団移転のため、当面従前居住者用住宅を仮住宅として活用してまいりたいということで御理解をお願いしたいと思います。
二点目の御質問の公営住宅法に定める特定入居の状況につきましては、最近でいえば二件の事例がございます。
従来からは、住宅移転をお願いする際には、個別に御事情を伺いながら担当課と調整しておりますが、駅に近く同等の家賃で住めることといった条件を求められるケースもございます。このように条件に合わない場合には、幾度となく民間住宅の情報をお伝えする等懇切丁寧な対応に心掛けているところでございまして、今後もより一層親身な応対に努めてまいります。
三点目のペデストリアンデッキや複合交通センター等の関連事業を市民参加で見直すべきではとの御質問でございますが、東口ペデストリアンデッキは、平成八年一月に都市計画決定され、三千二百平方メートルのうち約半分が完成しているところでございます。
今後建設予定の同デッキは、長野駅東口周辺の新たなシンボルゾーンとなる市民プラザ及び近隣公園への歩行者動線として計画しておりますので、事業完了までには整備したいと考えております。また、今後整備が予定されている関連事業は、市民プラザ、複合交通センター、都市軸道路部分の地下駐車場整備の計画があります。このうち都市軸道路部分の地下駐車場につきましては、周辺に相当数の民間駐車場の立地が進んでいることから、今後需要予測の再検証を行いながら計画を見直したいと考えております。
いずれにいたしましても、これらの関連事業の整備に当たりましては、長野駅東口地域街づくり対策連絡協議会を初めとする市民の皆様の御意見をお聴きしながら進めてまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
パラリンピック10年、その後のユニバーサルデザインのまちづくりについて
最後に、パラリンピック十年、その後のユニバーサルデザインのまちづくりについて伺います。
本議会に、障害者が安心して暮らせるまちづくりのためにバリアフリー化を積極的に推進してほしいと市身体障害者福祉協会から陳情が出されています。パラリンピック開催十年、スペシャルオリンピックス開催三年、障害のある人たちがまちに出ている姿が増えたでしょうか。そこでお伺いしますが、市民の生涯学習や住民自治協議会の大変大事な自治の拠点で、地域住民の交流の場でもある市立公民館のバリアフリー化についてであります。
古牧に住む足の不自由な方が、私は何とか手すりを伝って階段を上がれるが、エレベーターもなく、車いすでは二階の会議室にも住民自治協議会の事務室にも行けない。ところが、二階に車いす用のトイレがある。笑いも凍るような、この不条理。市はいつも、予算がない、公民館は年次計画で改築しているとの答えだ。怒りも限界と言っています。古牧にエレベーターはいつ付けられるのか。市立公民館全体の現状とバリアフリー化計画について伺います。
以上で私の質問を終わります。前向きな答弁を求めます。
◆島田政行教育次長
次に、市立公民館のバリアフリー化についてお答えをいたします。
長野市では、本館二十七館、分館三十一館の市立公民館を設置しておりまして、現在公民館を建て替える場合には平家建てを原則としておるところでございまして、敷地等の関係で二階建て以上の建物となる場合は、エレベーターを設置するようにしておるところでございます。ただし、平成八年度以前に建設した公民館につきましては、二階建て以上であってもエレベーター設置を行っていないという状況でございます。
御質問のありました古牧公民館につきましても、昭和六十二年十二月にしゅん工した建物でございまして、二階に会議室が多いことから、障害をお持ちの方や高齢者の方に御不便をお掛けしておりまして、大変申し訳ないこととおわびを申し上げるところでございます。
市といたしましても、どなたでも公民館を不便なく御利用いただくためには、二階建て以上の建物へのエレベーターの設置は必要なことと考えておりますけれども、既存の施設への設置は、大きな面積と、そして相当の大規模な改修工事を施工しないと設置ができないという状況でございます。
現在、老朽化が進んでいる公民館などから計画的に建て替えを進めている中にございまして、当面建て替えを予定していない公民館につきましては、階段やトイレへの手すりの設置など、できることから鋭意進めているところでありまして、御指摘のエレベーターの設置につきましては、今後施設整備を進める中で総合的に検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
私からは以上でございます。