議会報告

2008年3月定例市議会 宮崎利幸議員の代表質問

行革路線推進から市民のくらし重点への転換について

後期高齢者医療制度の中止、撤回について

長野市の国保料の値上げの撤回を求めることについて

道路特定財源の一般財源化と暫定税率の廃止について

信州新町、中条村の合併問題について

都市内分権における、まちづくり条例の制定と支所機能充実について

指定管理者制度における労働者の待遇など契約を義務化することについて

雇用問題、ワーキングプア、派遣会社など、実態調査と指導の改善について

福祉灯油等、石油高騰対応について

長野マラソン、スケート、駅伝など条件を生かしたスポーツのまちづくりについて

中山間地域直接支払制度の充実について

地産地消推進と荒廃農地の解消、ユメアサヒ(ラーメン)の普及、特産物の推奨について

農業公社の活用について

総合的森林づくりについて

鳥獣被害対策について

綾部市「水源の里条例」について

長野駅前A3地区市街地再開発事業と中心市街地活性化まちづくりについて

企業誘致について

広域消防化について

図書館の利用拡大を

 二十八番、日本共産党長野市議団宮崎利幸です。
 私は、党市議団を代表して質問いたします。理事者各位より明快なる答弁を求めます。

行革路線推進から市民のくらし重点への転換について

 まず、市長の政治姿勢について伺います。

 貧困と格差の拡大が進み、労働者、高齢者、障害者、農民、中小零細企業者などあらゆる層の暮らしと営業が底が抜けてしまったかのような不安と危機に見舞われております。大企業は、昨年度はバブル期の一・七倍に当たる三十三兆円の利益を上げ、今年度も大幅に利益を伸ばしている。ところが好調な企業業績が家計に波及しないと言われ、本来大企業が利益を上げればいずれは巡り巡って一般家計にも及ぶものが、そうなっていない。国が進めてきた構造改革路線の下で、大企業の競争力を強くすれば日本経済は強くなると言って財界・大企業を応援し、一方で国民には容赦なく増税や社会保障の負担増と給付削減を押し付けてきました。その結果、日本経済は、国民の所得と消費は伸びず、内需が低迷し続けている。
 このような中で、市内でも一千万円以上の負債で倒産した数は三十五件、百五億三千二百万円となっており、地元でも有力な会社が倒産をしている。これは倒産会社だけの自己責任か、市長の見解を伺います。

 このような中で、一昨年からの定率減税の廃止、税源移譲などで市民には三十六億円の影響になっております。加えて、原油価格の高騰によってガソリン代は九十円台から百五十円台に、灯油は六十円台から百円台にと一年間に倍近くの値上がり、医療費負担の増大、障害者自立支援法による利用料の導入、また米価の暴落等々により、市民の暮らしと営業は本当に大変です。
 長野市はこの間、オリンピックを開催し、この運営施設や施設周辺の道路整備、新幹線・高速道等のハード事業、東口開発や市内再開発事業など大型開発事業に取り組み、基盤整備を大きく発展させてきたが、財政的な負担は大きく残され、実質公債費比率十八・六パーセントと危険領域の十八パーセントを突破しました。今後の財政運営をどう進めていくか、重要な課題となっております。
 今後、小・中学校の耐震化工事の推進、長野広域のごみ処理場建設、引き続き下水道建設や東口開発の取組等があり、加えて市役所、市民会館の建て替えと、中条、新町との合併問題等事業は山積されております。今度の予算編成に当たって六つの優先事業を中心に推進されようとしておりますが、市民の暮らしと営業を守り、広大になった市全体を視野に、お年寄り、子供、障害者児に光を当て、安全・安心な福祉のまちづくりをしっかりと据えて進めていただきたいと思います。

◎鷲澤正一市長

 宮崎利幸議員さんの御質問にお答えをいたします。
 私は、経済のグローバル化の中にあって、日本経済が発展していくためには構造改革、規制緩和は必要な施策であったと考えております。そして大企業・中小企業の縦系列が崩れ、中小企業は正に自立することが求められている時代であるというふうに考えております。
 議員さんからは中小企業の倒産は自己責任かという御質問でありますが、当然のことながら企業活動は自己判断、自己責任で営まれるものであります。しかし、長期化した景気低迷を経て、民需の中でも個人消費の減少や、国、地方共に財政の健全化に伴う公共事業関連予算の縮減など需要が減少し、難しい経営を強いられていることもまたこれ事実でございます。
 しかし、資本主義社会において、あるいは自由主義社会においてはですね、ある一定の企業のとうたは避けられないものであろうというふうにも思います。松本電鉄の例でもそういうことが言えるわけでございまして、切磋琢磨しながら、そういう中で敗者が出てくることについては私は仕方がないことだというふうに思っております。
 また、当然そういう中にあって必要なことは、やはり可能な限りセーフティーネットを用意するということが大事なのではないかなと、こんなふうに思います。それがどこまで可能か非常に難しい問題はありますが、いわゆる公平性とか公正性、そういったものが保たれなければいけないというような問題は当然出てくるわけでございますが、私は、例えば一つは産業再生法というようなものができてきたことによって、このセーフティーネットがいろんな意味ででき始めているのではないかなと。個々の企業にとってみると、その企業が社会でどの程度の有用性があるのか、あるいはどのくらいの社会の中に影響があるのか、あるいは雇用にどんな影響を与えるのか、そんなようなことをそれぞれ勘案しながらセーフティーネットというのは動いていくものであろうと、こんなふうに思っております。

 こうした中、行政の果たす役割はそんなところで、行政が果たす役割ということよりも、社会全体がそれを果たしていくことになるのではないかなと。行政とすれば、いずれにしても安定した経営の維持や、あるいは新たな産業の創出、あるいは人材育成などの経営強化を図るための支援を行うことにあるのだろうというふうに思います。低利の融資や保証料の補給、あるいは市独自の借換制度等の継続による金融支援といったものを初め、ものづくり支援センターを核とした産学連携あるいは産産連携による経営革新や研究開発の支援など、中小企業の取組を積極的に応援をして、地域企業の活力ある発展を図ってまいりたいと考えております。

 次に、新年度の当初予算における六つの優先施策事業に関する御質問にお答えをいたします。
 本市のまちづくりの指針となる第四次長野市総合計画が昨年四月からスタートしたわけでございますが、この計画策定に当たりましては、総勢六十名の市民の皆様と共に市民フォーラム21と称する六つの作業部会を設け、約一年にわたり延べ八十四回の会議を開催し、市民と職員とが熱く議論を重ね、計画づくりに取り組んできたものであります。
 総合計画そのものの底流に流れているものは、高齢者、障害者などのいわゆる社会的弱者を含む幅広い市民の暮らしを守り、安心・安全で元気なまちづくりを推進するということにほかなりません。そうした視点で本計画は策定されており、その計画を着実に実行し成果を上げていくことが、市に課せられた責務であると考えております。
 そこで、昨年六月に庁内に私を本部長とする長野市重点施策推進本部を設置し、総合計画を積極的に推進していく体制を整え、実効性のある計画の推進に向け取り組んでまいりました。この推進本部では、総合計画と行政評価、予算編成など一連の行政経営のマネジメントにおいて、その時々の情勢を加味し、推進本部として選択と集中に基づく年度ごとの実施方針を決定していくものとし、施策優先度評価に基づく新年度優先施策の決定、併せて予算編成方針の決定や重点事業ヒアリング等を行ってきたものであります。
 このような中で、二十年度予算においては、特に民生費につきましては、前年度比四・四パーセント増、一般会計の二十四・九パーセントを占める最大の項目となっております。安全・安心な福祉のまちづくりを着実に推進していくための予算となっているものと考えております。
 優先施策につきましては、第四次長野市総合計画に盛り込んだ多くの施策のうち、特に来年度早期に重点的に取り組むべき施策として、都市内分権の推進、子育ち・子育て支援の推進、防災体制の整備、快適で安全な教育環境の整備、訪れてみたくなる地域づくり、企業立地の推進という六つの施策を優先施策と位置付け、それらの施策に優先的に財源を配分したところであります。
 また、第四次総合計画におきましては、基本施策に市民アンケートによる指標を設定し、計画の進ちょくに市民の評価の視点を導入しております。これは行政への市民の満足度を毎年まちづくりアンケートで調査し、市民から見た施策評価のツールとして総合計画の進ちょく管理の中で活用していく予定であります。今年度のアンケートは既に一月に実施し、現在集計しているところであります。
 今後も市民の目線に立って、これらの指標を含めた適切な進行管理を行い、市民福祉の更なる向上を図るとともに、選択と集中により、限られた財源を効果的、効率的に配分しながら、まちづくりの目標である善光寺平に結ばれる、人と地域がきらめくまちながのの実現に向けて努めてまいります。再質問
 それから、最後ですが、さっき市長は憲法の問題で他国から攻められたときには困ると、そのための対応で憲法を変えなければいけないというふうに言われましたけれども、結局は武器を持ってもよろしい、あるいは戦争はやむを得ない、こういう見地の改正をしてもしようがないというふうに聞こえましたが、私は断じて認められないというふうに思います。

後期高齢者医療制度の中止、撤回について

 このような状況の中で、四月から後期高齢者医療制度が導入、実施されようとしています。このねらいは何か。医療給付費八兆円の削減であります。いわゆる団塊の世代が高齢化のピークを迎える二〇二五年に向けて、いかに医療費を削減するかに国のねらいがあります。このため七十五歳以上のお年寄りを後期高齢者医療として独立させ、いろいろと条件を付け、保険料は別建てとし、病院や医者にかかりにくいようにしていく制度を作って費用を削減しようとするものであります。
 これについて全国各地から制度の中止、撤廃を求める運動が広がっております。既に全国で五百十、県内でも十二を超す自治体から中止や撤廃を求める請願に基づく意見書が国へ上げられている。市長は、後期高齢者医療制度の実施を中止し、撤廃を求めていくべきと思いますが、いかがか伺います。

◎鷲澤正一市長

 次に、後期高齢者医療制度についてお答えをいたします。

 後期高齢者医療制度は、高齢者の医療の確保に関する法律が四月一日から施行されることに伴い、同日から開始されますので、円滑に移行できるよう、現在、制度周知や事務的準備に万全を期しているところでございます。
 後期高齢者医療制度の概要につきましては、これまでにも御説明してまいりましたが、医療給付の点につきまして、二月十三日に中央社会保険医療協議会が診療報酬の改正案を答申しました。この中で、後期高齢者の医療については、必要な医療は制限されず、後期高齢者を総合的に見る取組を導入することで、心身の特性に即した医療を提供する内容となっております。
 検討の過程で、新たな診療報酬体系の構築の考え方が示されたり、主治医の登録制度や診療報酬の包括払いも議論されたため、後期高齢者は必要かつ十分な医療が受けられなくなるのではないかといった疑問や不安が一部に生じたようでありますが、答申による医療給付は七十四歳以下の方と同様に十分な診療が受けられること、自分で医療機関を選択でき、また医師を変更しても構わないなど現在と変わらない内容となっておりまして、後期高齢者医療制度が創設されることによって必要な医療が受けられなくなるというようなことはないものと受け止めております。
 この制度の廃止、撤回を求める請願・陳情が県内八十一市町村のうち十二議会で採択されましたが、六十の議会では不採択あるいは継続審査となっております。後期高齢者医療の診療報酬が不透明な中で不安や疑問を解消することができなかったために、請願・陳情が採択されたものと思っております。
 また、国では年金制度改革、介護制度改革に引き続いて医療制度改革に取り組んでいますが、対象となる高齢者にとっては、これらの矢継ぎ早の改革の流れが生活不安につながっているのではないかと感じております。
 しかしながら、現実に目を向けますと、団塊の世代がここ一、二年で六十歳を超え、更に十五年もたつと後期高齢者医療制度の被保険者になってまいります。高齢者の人口増加に伴う年金、介護、医療の給付の問題とその財源の問題、この大きな問題を整理しないことには安心して暮らせる社会を持続させることは困難であると思っております。
 少子高齢化が進展し、今までの社会保障制度のままではやっていけない大変な時期を迎えようとしております。社会保障の財源問題を将来世代へ先送りすることなく、社会保障制度を持続可能なシステムとする責任が私たちにはあるわけで、医療制度改革に伴う後期高齢者医療制度は、時期を逸することなく開始することが必要な制度であると考えております。

長野市の国保料の値上げの撤回を求めることについて

 長野市では、二十年度より国民健康保険会計が収支で十億円不足する。このため保険料値上げを進めております。今回の値上げ分は加入者一人当たり平均十三・八パーセント、調定額で七万五千八百五円となり、年間平均九千百六十九円の値上げとなります。二十一年度は更に五パーセント引き上げ、調定額で七万九千五百六十七円、年平均三千七百六十二円の値上げを予定しており、合計で平均二年間では十八・八パーセント、一万二千九百三十一円の値上がりとなります。
 既に長野市の国保料滞納者は一万二千三百九十五世帯、五年前に比して一・二七倍となっております。市長は、国保料の不足分財源を補充し、市民の暮らし、営業が大変なこのときに、このような市民負担増になるやり方をやめ、市民の暮らしを第一に考えて予算の編成をしていくことが必要と思いますが、いかがか伺います。

◎鷲澤正一市長

 次に、長野市の国保料の改定についてお答えします。

 医療保険制度の将来にわたる持続的かつ安定的な運営を確保するため、平成二十年度から大幅な医療制度改革が実施されることとなっております。このため、平成二十年度の国民健康保険特別会計の予算編成に当たりましては、大幅な変更となっております。新たに、後期高齢者医療制度が創設され、七十五歳以上の国保加入者がこの制度へ移行することとなり、約三万七千四百人の方が国保から離脱となる見込みであります。
 歳入面での影響を見ますと、七十五歳以上の加入者が国保から離脱すること等により、保険料収入は平成十九年度に比べ二十六億七千万円の減収となります。また、退職者医療制度が原則廃止となり、六十五歳から七十四歳の前期高齢者の加入者数に応じて、新たに各保険者間の財政調整制度として交付される前期高齢者交付金として約七十億五千万円が交付され、従来の退職者分として交付される療養給付費等交付金に比べ約十一億円の収入増となります。一方、歳出面では、七十五歳以上の加入者に係る老人保健拠出金が新たに後期高齢者支援金に変更となることにより、対前年度比約五億五千万円の減額となります。
 このように、歳出は減額となるものの、歳入においては保険料の減収分が大きく影響し、全体では約十億五千万円の収支不足となります。この収支不足額に対し、平成二十年度に保険料の一括の改定をお願いすると、一人当たり一万二千九百三十一円、平均十九・四パーセントの値上げが必要となりますが、加入者の急激な負担増を考慮し、激変緩和を図るため、基金から三億五千万円の繰入れを行い、来年度一人当たり九千百六十九円、十三・八パーセントの値上げに抑え、二か年に分けての段階的な改定とする予算編成といたしました。
 平成二十年度末での基金残高の見込みは、平成十八年度末に十億円ほどあった基金も、平成十九年度でも取崩しを予定しているため、約七億六千万円の見込みとなり、平成二十年度に三億五千万円を取り崩しますと、約四億二千万円にまで減少いたします。これは、突発的な医療費の急増等に備えるために必要と考える基金の額、約七億四千万円を大きく下回る額となります。
 長野市の国民健康保険は、平成十六年度から毎年度基金からの繰入れを行っており、歳入から基金繰入金や前年度からの繰越金を除いた実質の収支は、平成十五年度からマイナスとなっており、赤字体質が続いております。また、長野市の一人当たりの保険料を見ますと、平成十八年度の中核市での状況は三十五番目と最も低い保険料となっております。医療制度改革の円滑、適切な執行や恒常的な赤字体質の改善のためにも、今回の改定はやむを得ないものと考えております。

 御指摘の市からの不足財源の補てんにつきましては、既に長野市では、低所得者への六割、四割の軽減に対する法定による繰入れのほか、市独自に二割軽減分や葬祭費、結核精神通院分の保険給付等にも繰入れを行っており、平成二十年度予算案では一般会計繰入金は総額約二十一億円を計上いたしました。なお、平成十九年度では二十一億七千八百万円の繰入れを見込んでおります。
 保険事業の運営は、国・県補助金等決められた公費以外は加入している皆様からの保険料で賄うことが原則とされており、また国民健康保険以外の他の保険制度である社会保険などや後期高齢者医療制度の加入者との市民全体のバランスを考えると、国民健康保険に対し保険料抑制のため、これ以上公費負担をすることは適切ではないと考えておりますので、よろしく御理解をお願いいたします。

道路特定財源の一般財源化と暫定税率の廃止について

 次に、道路特定財源制度を一般財源化し、暫定税率の廃止を求めることについて伺います。

 衆議院では野党の反対を押し切って三月二十九日、強行採決を行いましたが、道路特定財源制度は、一九五四年、昭和二十九年、日本国内の道路整備が遅れており、舗装や新設、改良、改修が進んでおらず、国民生活の支障となっており、財源を特別に保障していくために揮発油税等がつくられてから五十四年間、さらに財源保障のためにこの税率を暫定的に引き上げる特別税率を決めて、一九七四年、昭和四十九年から三十四年間も続けられているものです。この間に道路の舗装率は九十パーセントを超え、高速道路、地域高規格道路の整備も進んでいるにもかかわらず、更に国は向こう十年間の道路建設計画中期計画を立てて、高速道や高規格道路合計二万一千キロ、五十九兆円を投入して大型道路を中心に造ろうとしています。
 このうち、住民が最も切実に求めている通学路の整備やバリアフリー化、防災対策など住民生活密着の財源に回す分の合計は一割にも満たないものとなっております。
 暫定税率を堅持せよとの地方自治体からの要求は、その背景には、小泉内閣と自公両党の進めてきた地方交付税の大幅減額にあります。全国知事会でも、地方財政の危機的状況をもたらし地域間の財政力格差を拡大させた最大の原因は、地方交付税の大幅削減であると厳しく指摘しております。
 自治体の財政基盤を再建するには、地方交付税の財源保障、調整機能を強化する、高速道よりも生活道路を優先する、大型道路よりも病院を優先する、大規模プロジェクトよりも住民の暮らし、社会保障を優先するなど、地方自治体と住民が予算の使い方を選択できるようにすることが大切です。
 よって、暫定税率の延長をやめ、道路特定財源の一般化を求めていくべきと思いますが、いかがか伺います。

◎鷲澤正一市長

 次に、道路特定財源の暫定税率を廃止し、一般財源化を求めていくべきと思うが、これについてどう考えるかとの御質問についてお答えをいたします。
 現在開会中の国会は、ガソリン国会と言われるように、揮発油税などの暫定税率の延長問題や道路特定財源を一般財源化すべきかどうかについて与野党の激しい攻防が続けられており、先月二十九日夜には平成二十年度予算案と税制関連法案が衆議院で可決されたところであります。今後、参議院での審議を経て、今年度内の採決に持ち込めるかどうかが正念場ということで、市政を預かる立場から最大級の関心を持ってその動向を注視しているところであります。
 仮に暫定税率が廃止された場合には、道路整備のための貴重な財源が大幅に減少することになり、県による平成十八年度の決算ベースでの試算では、県と市町村を合わせて約三百四十六億円、本市は約十六億円の減収になるとされており、国はもとより、地方の道路整備が大きく遅れることは明らかであります。
 また、今三月市議会定例会に提出している平成二十年度一般会計予算案につきましては、国の方針に基づき、暫定税率の延長を前提に、道路関係事業については譲与税や各種交付金を見込んだ予算編成をしていることから、仮に暫定税率が廃止された場合には、本市の財政に深刻な影響を及ぼし、道路、都市計画、区画整理、駅周辺整備事業などが大幅に滞る事態が想定され、さらには市民生活や地域経済への影響も懸念されます。
 私は、今の国や地方の財政状況下では税収を下げるという選択肢はないと考えており、また暫定と言いながらも三十年以上も続いているということは、そもそも暫定ではないことから、現状の税率水準を本則税率として、環境という視点を取り入れながら、代替エネルギーの開発などにも使えることを検討してもよいのではないかと考えております。
 いずれにせよ、どのような形であれ、現時点では本市の財政運営に必要な財源を最大限確保することが私の責務であり、あえてこの時期に道路特定財源の一般財源化を議論するのではなく、この三月末には暫定税率を一定期間延長し、平成二十年度に入ってから国政の場において徹底した議論をして決定していくことが妥当であると考えております。

信州新町、中条村の合併問題について

 次に、合併問題について。

 信州新町と中条村は二月二十日、長野市への合併を正式に申し入れ、市長は真しに受け止め、議会と十分協議した上で、市民の理解を得られるように慎重に進めたいと回答されたようですが、新合併特例法期限内二〇一〇年に実現するには今後どのような手順が必要か、両町村の意向を尊重しつつ、長野市民の意見も聴き、何よりも平成十七年の一町三村との合併の総括、教訓を明らかにし、市民にも公表していかなければならないと思うが、伺います。

 合併によって地域住民は将来に夢や希望が持てるのか、国が進めてくる三位一体の改革の中で、地方自治体はますます苦しくなってきている中での今回の合併申入れであります。
 信州新町、中条村においては、住民一人当たりの普通会計からの支出は今までに比べて二割から四割ぐらいに減り、地域は広くなり、老齢化が進む中で、地区住民は引き続き今までどおりの生活をしていかなければなりません。それぞれの地区住民の自治を守り育てていけるよう、また安全・安心を確保し、住み続けられていくようにしていかなければならないと思います。市長はこれらの点についてどのようなお考えか伺います。

 また、合併算定替えあるいは合併推進債、合併特例債等々を予定して、新たに大型建設事業等を入れた合併建設計画を立てるお考えはありますか。また今後の財政予想シミュレーションを作成し明らかにすべきと思いますが、いかがか伺います。

◎鷲澤正一市長

 次に、信州新町、中条村の合併問題についてお答えをいたします。

 まず、今後どのような手順が必要かとの御質問でございますが、三市町村による合同研究会を今月中に設置し、合併に関する基本的事項等の調査研究を進め、合併を進めるかの判断材料を作成してまいります。併せて、様々な機会を通じて市民の皆様へも随時情報を提供し、議員の皆様に御相談申し上げた上で、法定合併協議会を設置するかどうかを判断していきたいと考えております。

 次に、前回の一町三村との合併の総括教訓を明らかにすべきとの御質問でありますが、前回の合併につきましては、その効果や課題等を把握し今後の市政運営の参考とするため、平成十八年八月に長野市・豊野町・戸隠村・鬼無里村・大岡村合併後調査報告として作成し、議会会派総会、記者会見、広報ながのやホームページにおいて既に広く公表しているところであります。

 次に、合併により地域住民が将来に夢や希望を持てるのかなどについてのお考えをとの御質問ですが、地方財政が悪化している中で、持続可能すら危ぶまれる自治体が存在していることは事実であり、将来の国と地方の形を見据えたとき、市町村合併の更なる推進が必要ではないかと感じております。
 しかしながら、市町村合併はだれのためかといえば、住民のための市町村合併ということにほかならないと思います。合併は国のためにやるものでもなく、無理やりさせられるものでもありません。住民の皆さんが安全・安心でずっと住み続けられるよう、自治体の行財政基盤を強化する一つの選択肢として市町村合併があるわけであります。
 今回、両町村からは住民総意の下での合併協議の申入れがあったわけでございますから、まずはそれを重く受け止め、合同研究会において調査研究を行い、住民の皆さんの御理解をいただきながら慎重に進めてまいりたいと考えております。

 次に、合併建設計画につきましては、新合併特例法では合併市町村基本計画と名称が変わりました。これは、合併協議会により作成されるものであり、合併市町村の将来に関するビジョン、合併市町村のマスタープランとしての役割を果たすものであります。新合併特例法では、合併特例債は廃止されているところでありますが、この基本計画に基づき実施する合併後のまちづくりのための事業で一定の条件を満たすものについては、合併推進債を充てることができるとされております。この基本計画にどのような事業を盛り込むのかにつきましては、法定合併協議会が設置された後、法定合併協議会の中で十分議論していただくものと考えております。

 次に、財政予想シミュレーションにつきましては、今後設置いたします合同研究会の中で、財政計画を含めた将来像などを検討してまいりたいと考えております。そして、その情報はホームページで公開し、広報ながのや市民会議等で積極的に情報提供していきたいと考えております。

都市内分権における、まちづくり条例の制定と支所機能充実について

 次に、都市内分権について伺います。

 今年度の予算編成に当たって、長野市の重点施策推進本部において、特に優先施策の第一位に順位付けられておりますこの都市内分権事業は、それぞれの市内の地域の持つ特性を生かし、地域住民の連帯を深め、地域の個性を大切に生かしながら住民と行政との協働を推進し、地域住民に密着した総合的サービスを迅速かつ適切に提供することにより、真の住民自治の確立を目的とするとして、都市内分権を進めることによって地域の活性化を図り、元気なまちながのを実現していく原動力にしたいと言っております。
 この方針の下に、市内三十地区に二十一年度を目標に住民自治協議会を作り推進し、最終目標は平成二十六年度としております。市内には既に十六地区に自治協議会が結成され、具体的に事業に取り組まれております。
 この三月一日に、篠ノ井地区住民自治協議会が二百名ほどの参加の下に発足し、目標、活動の方針、役員、予算等々を決定し、いよいよ活動を開始いたします。この結成総会の席上でいろいろと積極的な意見や質問が提案されました。主なものを紹介いたしますと、規約や方針等を事前に一般住民に知らせてほしかった。情報を全戸配布や全区で説明会、学習会等を開いて、住民の理解、協力を得て進めていくべきではなかったか。今後これを進めるに当たって、特に人口が多く広いこの篠ノ井地域では、事務局体制の強化、支所機能の強化が必要であるなどなど積極的な意見が提案され、活発な討論がなされました。
 これら市民の要望、要求を実現していくためにも、全市で統一した方針が必要であります。現在このまちづくりに当たっては、長野市都市内分権調査・研究報告書、また審議会答申書に基づいて、それぞれの地域でこれを指針として具体的に取り組まれております。

 私は先ごろ、木曽町を視察し、木曽地方四町村が合併するに当たって、どのようなまちにしていくかというまちづくりについて調査をしてまいりました。木曽町では、地域自治組織を設置し、まちづくり条例を作り、この条例を木曽町の憲法と位置付けて、地域自治を進めておりました。旧町村四地域ごとにそれぞれの特色ある地域づくりを、木曽町まちづくり条例に基づいてその活動が進められておりました。
 長野市においても、既に幾つかの地域に住民自治協議会は組織され活動に取り組まれておりますが、今後これらの活動を一層発展させていく上で、自治基本条例とかまちづくり条例等を制定して、この条例に基づいて都市内分権を進めていくようにしたらと思いますが、いかがでしょうか。

 また、今の事業を推進していく上で、既に方針上では取り上げられておりますが、補助金の一括交付はいつからどのようにして実施されていくのか、また各自治協議会が設立されてくる中で地区会議はどう進めていくのか、審議会の中でもそれぞれの住民自治協議会さらに地区会議、地域総合事務所等と推進体制の強化の方向を示されておりますが、事業の途上でありますので、篠ノ井のような規模の大きな自治協議会を持つ支所については、組織の運営上も、取組を強化推進していく上でも支所機能の充実が必要であります。この点について伺います。

◎鷲澤正一市長

 次に、都市内分権に関する御質問のうち、まず、まちづくり条例についてお答えをいたします。

 地方分権の時代を迎え、地方自治体には自主・自立の自治体運営が求められている中で、まちづくり条例は、自治基本条例などの名称で全国の自治体で制定されつつある住民自治における最高規範になるものと認識しております。このことにつきましては、都市内分権審議会でも十分に議論いただき、平成十八年一月の答申の中では、住民自治がほう芽期から育成期へと進展した段階においては、今後の長野市における自治の在り方を定める指針として自治基本条例を制定することを提案します。その際、住民自治協議会の役割等について記載していくことを併せて提案しますとされております。
 また、他の自治体において制定された条例の中には、市民投票あるいは公益通報などについて規定された条文もありますことから、その制定につきましては、自治体行政や住民自治の在り方について、行政はもとより、市民や議会の皆さんと十分議論を尽くすことが必要であると考えており、その意義や目的にかんがみて、行政主導で行うことは好ましくないものと考えております。
 現在、各地区で順次設立されつつある住民自治協議会やその活動については、まちづくり条例の制定が早急に必要という状況にはありませんので、今後、住民自治協議会の活動の成熟度を見極めつつ、適切な時期における制定を皆さんと考えてまいりたいと思います。

 次に、補助金の一括交付についてお答えをいたします。
 補助金の一括交付につきましては、平成二十二年度からの実施を予定しておりますが、これは各種団体の見直しに合わせ、これまでそれらの団体へ交付していた補助金等をまとめて住民自治協議会へ一括交付するものであります。現在、各種団体等へ交付されている補助金は特定の目的に沿った活動以外には使うことはできませんが、一括交付に当たっては、基本的には使途を限定せず、地域の皆さんの総意により決定できるよう検討を進めているところでございます。

 次に、支所機能の充実などについてお答えをいたします。
 まず、地域会議や地域総合事務所の設置などにつきましては、都市内分権審議会で御議論をいただき、住民自治協議会の成熟状況等を見極め、市民の意見を十分に聴取する中で、今後改めて議論することが適当であるとの御判断をいただいております。当面は平成二十一年度までに市内全地区へ住民自治協議会を設置することを最優先課題として取り組み、住民自治協議会の設置状況や成熟状況などを総合的に勘案し、改めて審議会において検討してまいります。

 現在、住民自治協議会が設立された地区につきましては、地区活動支援担当である支所長を中心に協議会の活動を支援させていただいておりますが、活動が軌道に乗るまでの間は支援する必要があります。その際にも、これまで支所で担っていた各種団体事務の多くが住民自治協議会の事務局に統合されることになるため、支所業務が特に増加するものではないと考えております。
 また、平成二十二年度からは住民自治組織としての機能を強化するために、一括交付金を活用して住民自治協議会独自で事務局職員を雇用したりするなど、それぞれの地域に合った個性あるまちづくりが可能になるものと考えており、支所機能の充実などを含めた住民自治活動全般に対する市としての支援の在り方については、地区の広さなどとともに、各地区における住民自治協議会の成熟度や活動内容等を総合的に勘案する中で、歩調を合わせながら進めていくことが重要であると考えております。

再質問
 それから、若干時間もございますが、それぞれ質問に対してお答えを頂いたわけでありますけれども、回答をしていれば時間もないと思いますので、要望させていただきたいと思いますけれども、都市内分権の問題でね、先ほどこれからの指針で総合事務所やいろいろやっていくというふうなことは言っていましたが、例えば先ほども申し上げましたように、篠ノ井支所はね、旧七つの町村が一緒になって、そしてそれぞれの部会も作るというふうなことで、事務量もそれから体制もほかとは違って、特別必要なんです。今回の設立総会のときにも多くの皆さんからそういった意見も出されて、それで今、行政改革の中で篠ノ井支所は今年度、一人だか二人だか知らないけれども、人員が減らされるというふうな計画だと、こんなことも聞いているんですよ。そうすれば支所の強化をね、機能を一層強化していくというふうな点から見ても、これは当たらないと思うんで、どうしても人員の配置を、やっとよちよち歩き始めたところですから、しっかりとやっていただきたい。

指定管理者制度における労働者の待遇など契約を義務化することについて

 次に、指定管理者について伺います。

 指定管理者制度が導入されてから四年が経過し、長野市においては二百九十五施設に導入され、〇八年度はその契約期限が満了し、再契約をしなければならないものが百四十予定されています。
 この行政改革推進に当たって市長は、競争の原理、経費の節減、市民サービスの低下を招かないという原則と、民間にできるものは民間に委託をするという方針で進めてきました。この三年間の経過の中でどれだけの経費の節減ができたのか、市民へのサービスは向上したのか、公平な競争の原理はどのように作動したのか伺います。

 再契約に当たって生かすべき点は、業者選定の基準の公開、選定委員の公募等が必要と思います。新たに指定管理者に移行していく計画をどのように進めていこうとしているのか伺います。

 私は、公施設を直営か民営委託か選択する場合、本来自治体が果たしていかなければならないもの、地方自治法、教育基本法、社会教育法、図書館法、博物館法等々の国民の教育、福祉、基本的人権を守り育てていくために作り上げて蓄積されてきたものについては、基本的に法律の目的を生かせるようにしっかりと据えて合否を決め、民間に任せるのではなく、市が直接責任を持って雇う等をして進めていかなければならないと思います。そしてまた市民の暮らし、環境を守っていけるように進めていかなければならないのではないでしょうか。
 指定管理者や民間への委託によって、そこで働いていた労働者、地域の経済にプラスかマイナスになるかということは重大な問題であります。
 大岡村村営バス労働者の給料は、村営時平成八年度約三十万円、平成十七年度合併時には二十七万円、十八年度民間委託時二十五万円、十九年度は日給一万円で月二十万円前後、三人の子供の子育て中で本当に大変だ。共稼ぎをするといっても大岡では仕事がない。一年一年の雇用契約なので、不安で見通しも持てない。こうした問題についても何とかならないのかとの訴えであります。ほかにも労働者の問題、地域と業者の関係など幾つもの問題が指摘されております。
 そこで、これからの再契約あるいは新規契約に対して、指定管理者に雇用責任を求める。雇用確保協定を結ぶとか、公募等の選考の折に労働者の労働条件を引き下げることなく働き続けられるような雇用の継続を明記させる。継続性、専門性を生かせるようにしていくとか、公の施設で働く労働者の労働条件を地方自治体があらかじめ定め、管理者に遵守させる等の方法も考えられます。こうしたことを考慮していくことが大切と思いますが、いかがか伺います。

 同時に、選考に際して、地元の業者の育成、経済効果が上がるような基準を入れていく工夫はできないものか伺います。

◎松倉一紀行政改革推進局長

 私から、指定管理者制度についての幾つかの御質問にお答えをいたします。

 まず、制度導入による経費の削減についてでございますけれども、本年度実施した指定管理者適用施設のモニタリング評価の結果におきましては、平成十八年度において適用となった百七十八施設の決算について、前年度決算との比較で、九千七百万円の削減が図られたということで確認したところでございます。それから、予算額での比較でございますけれども、昨年の四月から新規導入した百十七の施設では約四千万円、それから本年四月から新たに予定をしている九施設では約一千万円の削減効果が生ずるものと考えておるところでございます。

 次に、市民サービスは向上したのかということでございますけれども、指定管理者による施設の開館時間の延長や回数券の発行、新規の講習会とかイベントの開設などの自主事業が実施されるなど、おおむね各施設において市民サービスが向上できたものと考えております。
 しかしながら、昨年度を見ますと、モニタリング評価とか、あるいは随時、定時のモニタリング評価結果では、提案のあった事業が一部実施されていなかったとか、あるいは仕様書において定めた内容が実施されないなど、事業実施や施設管理運営面で適切さを欠いた事例も散見されました。
 また、御承知のとおり、一部の施設では、支配人や調理師の交代によるメニュー数の激減とか地元産品の利用取りやめなど、サービス低下の事例も出てきておりますけれども、施設の所管課において指定管理者に対する徹底した指導、改善を図り、市民サービスの向上に努めておるところでございます。

 次に、公平な競争原理はどのように作動したのか、それから業者選定の基準の公開についてということの御質問でございますが、指定管理者制度は、公の施設の管理運営に広く民間のノウハウを活用していくということで、競争原理に基づいた公募を原則に取り扱ってまいりました。それから審査基準につきましても、これまでもホームページ等により公開をしてきたところでございます。

 次に、指定管理者候補団体の選定に当たってですけれども、指定管理者選定委員会において、提案者の事業計画等の提案内容に基づいて、市民サービスの向上、それから施設の有効活用、コスト削減が図られているか、さらには団体の財務状況等も踏まえた総合的な審査を行い、安全性に優れた、指定管理者としてふさわしい候補を選定しております。このことから指定管理者制度の趣旨に沿った競争原理が働き、公の施設の管理運営に民間活力の活用が随時図られてきたものと認識しております。

 次に、再契約に当たって生かすべき点についてでございますけれども、モニタリング評価結果を基として、平成二十年度に再選定を行う百四十の施設、それから新規に来年度から導入する三施設の選定に当たりましては、審査基準を見直し、市民サービス向上や利用者の増加を図る魅力的な提案があるか、それから地域や地元との連携策として地元を活用した提案であるかどうかについて、より明確化した基準として取り組んでいく予定でございます。

 それから、選定委員の公募についてどうかという御質問でございますけれども、現在選定委員会は、大学の教授それから公認会計士など学識経験者四名と、それから副市長及び部局長の四名で構成しておりまして、専門性、中立性を有する学識経験者を適切に選任して行っていると考えております。選定委員会では総合的な審査を行い、先ほども申し上げましたとおり、安定性に優れた指定管理者としてふさわしい候補を選定する役割を担っていただくものであり、そういう意味で専門性、中立性が必要となるということから公募は考えておらないところでございます。

 次に、指定管理に移行していく計画についてでございますけれども、この二月に決定、公表いたしました二十年度公の施設の管理運営方針に基づきまして、二十一年度は戸隠交流集会施設、松代体育館及び青垣テニスコートの三施設について新たに導入し、残りは二十二年度以降、百十六施設ございますけれども順次導入していく予定でございます。

 次に、指定管理者に雇用責任を求める雇用確保協定の締結、それから公募等の選考の折に、労働者の労働条件を引き下げることなく働き続けられるような雇用継続を明記させ、継続性、専門性を生かせるようにしていくなど、労働者の労働条件を自治体が定め、指定管理者に遵守させることが考えられるがいかがかとの御質問でございます。
 各施設における雇用や労働条件等につきましては、これは指定管理者の裁量の範囲であるということで考えてございまして、雇用主の責任として法令等を遵守することは当然の責務だと考えております。これまでも、協定書等における一般的な法令遵守の規定は明記してございますので、市が公の施設で働く労働者の労働条件を定めるということは予定をしてございません。

 最後に、選考に際して地元業者の育成、経済効果が上がるような基準を入れる工夫はできないものかとのことでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、基準の中で地元を活用した提案であるかどうかについて、より明確化して取り扱っていく予定でございます。
 以上でございます。

再質問
 それから、指定管理者についてはね、現に先ほど私も申し上げましたけれども、労働者のいわゆる賃金というのは、例えば大岡のバス運転手の話を具体的に言いましたけれども、もう三十万円から十万円に減っているわけですよ、これは事実。大変なんです。ですから、そういう実情をしっかりと踏まえてですね、そしてその地域住民の皆さんの暮らしを守るとか、そういうことも位置付けてね、是非しっかり考えてこれを実施できるような形に入れるようにしていただきたいということも要望を申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

雇用問題、ワーキングプア、派遣会社など、実態調査と指導の改善について

 次に、雇用問題について。

 自公政権によって繰り返されてきた労働法制の規制緩和によって、低賃金年収二百万円以下、無権利の労働者が一千二十三万人、二十二・八パーセントに上っています。安定した雇用と人間らしく働けるルールの整備が必要になっている。政府は派遣を常用雇用の代替にはしないと言明してきたが、一九九九年、労働者派遣の原則自由化以降、派遣労働者が二百十四万人にも増える一方で、正社員は三百四十八万人に減少、正社員から派遣社員への大規模な置き換えが進んでいる。こうした中で、低賃金、労働条件の悪化、貧困と格差が広がり、ワーキングプアからの脱出が今強く求められています。
 長野市におけるニート対策、労働相談、労働者福祉、青少年対策等々はどのように行われているのか伺います。

 また、市として、労働者の実態調査等も行いながら、これらへの対応もしていかなければ、市民の暮らしを守る上からも必要なことではないでしょうか伺います。

◎鈴木栄一産業振興部長

 何点か御質問をいただきましたが、最初に雇用問題につきましてお答えをいたします。

 我が国の非正規雇用の割合は、総務省労働力調査によりますと、平成十八年は雇用者のうち三十三パーセントとなっており、長期的に非正規雇用の割合が上昇している状況でございます。この非正規雇用の内訳は、パート、アルバイトがその三分の二、派遣、契約等が三分の一となっており、派遣、契約等の割合が近年増加傾向にあります。しかしながら、若者のライフスタイルの多様化など、派遣やパートなどの労働形態を労働者自らが選択する場合も多いわけでありますので、この数字をもって一概に論ずることはできないものと考えております。
 また、主婦や学生を除く三十四歳以下で仕事に就かず求職活動も行わない、いわゆるニートと言われる若者は、総務省の推計によると、平成十二年から十七年までは六十四万人と横ばい状態でありましたが、平成十八年は六十二万人とわずかながら減少しております。しかしながら、この問題は若年者、若者自身の問題にとどまらず、今後の経済社会の維持・発展に大きな影響を与えるものと懸念されております。
 このため、長野市では、若年者の常用雇用を目指して、試行的に雇用する企業に奨励金を交付し、就労機会の拡大に努めております。
 また、若年者を初め、高年齢者、障害者の就労相談を総合的に対応する職業相談総合窓口を平成十八年十月にもんぜんぷら座四階に開設いたしました。この職業相談総合窓口の実績といたしましては、設置から本年一月末までに高年齢者四千八百三十六人、若年者六百九十一人、障害者六百八人の相談に応じ、このうち高年齢者三百十一人、若年者六十四人、障害者三十二人が就職に結び付けることができました。
 また、労働条件等の相談といたしましては、毎月二回、社会保険労務士が労働関係全般の相談に応じており、本年度は一月末までに二十一件の相談がありました。相談内容は、労働時間や解雇、賃金未払等に関するものでございます。

 次に、労働者福祉につきましては、市内の中小企業従業員の福祉向上を行う長野市勤労者共済会等への補助を行うとともに、自動車購入や住宅資金などの生活資金を労働金庫と協調して融資をする勤労者生活資金融資制度を実施しております。
 また、中高年労働者がスポーツや教養講座等を受講できる中高年齢労働者福祉センターの運営を行い、勤労青少年を対象としては市内三か所に勤労青少年ホームを設置し、働く青少年のために各種講座やクラブ活動を行うことができる健全な余暇活動の場を提供しております。

 次に、労働者の実態調査につきましては、市独自の実態調査は行っておりませんが、毎年県と合同で市内の民間企業労働者の賃金、労働時間、初任給等に関する賃金実態調査を行っており、この中に雇用形態を調査事項に加えるよう県に要望しているところでございます。
 なお、本市においての雇用に関する調査といたしましては、平成十七年に若年者の職業意識を把握するため若年者就業実態調査を実施いたしましたところ、パート、アルバイト、派遣等で働いている人は全体の十六パーセント、働いていない人は十七パーセントという結果が出ております。今後も必要に応じ労働調査を実施、検討してまいりたいと考えております。
 なお、派遣社員やワーキングプア等の労働行政につきましては、広範囲に統一的な施策が必要なこと、権限が市町村にないことなどから、国及び県の施策の動向を注視してまいりたいと考えておりますので、御理解をお願いいたします。

福祉灯油等、石油高騰対応について

 次に、石油高騰、福祉灯油対応について伺います。

 昨年から石油、ガソリン等の高騰によって、市民の暮らし、営業を継続していく上で大きな影響が生まれております。中小零細企業あるいはハウス農業者、キノコ栽培農家、福祉施設等では、石油、素材高騰のため、ブドウのハウス架け替えはやめ普通の露地栽培にした。特養ホームでは石油値上がり分の経費をこれ以上料金の上乗せはできないと、経営継続の困難さを訴えています。これらの声を聞くにつけても、道路特定財源とされている税の一般化、揮発油税の暫定税率を廃止するとか、備蓄石油の放出、石油元売に費用価格情報を公開させ、差益の還元を求めるなど価格の引下げの運動を進めることが必要です。
 また、緊急に対応しなければならない問題として、福祉灯油の活用ですが、既にその対策を決め、長野市においても取り組まれておりますが、対象者全員に配布ができるよう、締切日の延長や更なる徹底について、様々な方策を駆使して対象者全員に届くようにしていただきたい。また小・中学校への対応についてどのようになっておりますか。またハウス農業者や障害者あるいは高齢者用の福祉施設等々に対する支援、対応はできないものかどうか伺います。

◎下條年平保健福祉部長

 福祉灯油等、石油高騰対応についてお答えをいたします。
 本市では、原油価格高騰に対する市の単独施策として、その影響を強く受ける低所得世帯の経済的負担を軽減するために、灯油等購入費助成を行っております。この制度は、高齢者、重度心身障害者、一人親などの世帯のうち、市民税非課税等一定要件を満たす世帯又は生活保護世帯からの申請を受け、市が五千円の助成金を交付するもので、二月末までを期限として一月二十一日から受付を開始いたしました。
 この制度は、緊急的なものとして始めたために周知の期間が短かったことから、市の広報紙への掲載や報道機関の皆様の御協力による各種報道、有線放送やチラシの全戸回覧などにより周知を行う一方で、市の民生児童委員協議会を通じて、各地区の民生委員さんに該当と思われるお宅に声を掛けていただき、また介護保険事業者や障害者の通所施設等へ情報提供するなど、関係者の皆様の御協力の下に、地域や施設を通じた広報活動も進めてまいりました。
 しかしながら、二月後半に至っても申請率は四割を割っている状態だったため、二月下旬に申請期間の一か月間延長を決定し、三月末までの受付期間とし、現在も厚生課や支所窓口で受付を行っております。これに併せて市の広報紙や各報道機関への情報提供を行い、同時に民生委員さんへ再度の協力依頼を行ったほか、福祉事業者等への周知など、現在も広報、周知に努めておるところでございます。

 次に、原油価格高騰に対する福祉施設等への支援についてでございますが、今回の灯油助成の制度では入居の福祉施設は対象になりませんが、これらの施設では他の経費を切り詰めるなどの工夫により、それぞれの施設が経営の問題として対応していると考えております。
 なお、灯油助成の制度では世帯ごとに助成することになっておりますので、高齢者や障害者を対象としたいわゆるグループホームで生活をされている方も要件を満たせば申請が可能でございますので、グループホームの入居者への支援は行っておる状態でございます。
 私からは以上でございます。

◎鈴木栄一産業振興部長

 次に、石油高騰に伴うハウス農業者に対する支援、対応につきましてお答えを申し上げます。
 農林水産省では、原油価格高騰の緊急対策の一環として、施設園芸省エネルギー化推進緊急対策を実施し、エネルギー利用効率を高め、加温に用いる燃料使用量の低減を図るため、施設改良等に補助を行っております。
 また、県では、農業改良普及センターに原油価格高騰に伴う技術・経営相談窓口を設置し、施設園芸の省エネルギー化の技術指導や、農業近代化資金などの制度資金あるいは燃油の高騰に伴う運転資金の活用を含めた経営相談を行っております。市におきましても、省エネルギー機器等の購入に伴う制度資金の活用による利子補給を行っております。
 いずれにいたしましても、市内には野菜、花き等の施設栽培も多いわけでありますので、今後も国・県の動向を注視しながら、活用が可能な資金があれば紹介するとともに、制度資金や農協の融資制度など更に充実が図られるよう要望してまいりたいと考えております。

◎島田政行教育次長

 私から、二点についてお答えをいたします。
 初めに、福祉灯油等、石油高騰対応のうち、小・中学校の暖房費の対応についてお答えをいたします。
 灯油価格につきましては、一回の購入量が四千リットル未満の場合の本市の契約単価は、現在一リットル当たり九十四円となっておりまして、昨年同時期と比較いたしますと約二十円の値上がりとなっているものでございます。
 平成十九年度の予算につきましては、ある程度の灯油価格の上昇を見込みまして予算編成を行っておりますが、原油価格の高騰によるガソリンや灯油の値上がりは憂慮すべき問題と認識しております。
 そこで、地球環境の保全や厳しい本市の財政状況を考慮し、だれもいない教室ではストーブや照明を小まめに消すなど、子供たちの健康や授業などに支障が生じない範囲で、従来から節約に努めているところでございます。しかしながら、予想を上回る灯油の高騰となったため、一月に、昨年の灯油の使用実績を考慮し、灯油に要する予算の不足が見込まれる学校へ追加配当を行ったところでございます。
 さらに、本年は、昨年に比べ二月の冷え込みが厳しかったことから灯油の使用量が多くなってきておりまして、現在の配当予算では不足する見込みであるとの報告を受けている学校もございます。このため、暖房費につきましては、今後の灯油価格の動向や予算の執行状況を見極めながら、必要に応じて既決予算の流用等により、児童・生徒の学校生活に支障がないように対応してまいります。

長野マラソン、スケート、駅伝など条件を生かしたスポーツのまちづくりについて

 次に、スポーツのまちづくりについて伺います。

 今年度予算編成に当たって、優先事業や長期的に取り組むもの等々、計画的、効率的に取り組む計画となっております。この中で、長期的取組の中にスポーツを軸としたまちづくりがあります。スポーツの振興は元気なまちにする源であり、スポーツを通じて活力に満ちた明るく豊かな生活を送る、だれもがスポーツに取り組める環境整備を進めるとしています。このため、スポーツ施設の建設、大会の開催、地域スポーツの振興のための組織づくり等に取り組むとしています。
 私は、前回の議会で長野マラソンの拡大、充実強化を求め、その経済効果等についても訴えてきました。今年も既に申込みを締め切り、八千五百名の申込みです。地方マラソンでは人気ナンバーワンです。二月一日の申込み一千名分は十六分間で打切りの人気です。
 今、長野市では、新たにスケート、アイスホッケー、相撲のクラブやチームが生まれ強化されてきた。一方では野球の信濃グランセローズやサッカーチームのAC長野パルセイロへの支援協力体制などもつくられ、スポーツを軸としたまちづくりが進み始めております。
 長野県、長野市でも今、駅伝が全国大会や県大会等で優勝、準優勝、女子も最近強くなってまいりまして、市民も注目しているところです。昨年、オリンピック記念南長野運動公園を中心に、中学校駅伝大会が開かれ、関係団体の協力をいただく中で、男子二十五チーム、女子十九チームが参加し、盛大に開催され、大きな成果を収めています。一本のたすきをつなぐ、心をつなぐ、チームワークと連帯と個人責任をもって頑張る、子供たちの育成にも非常に良い競技の一つです。更にこれを大きく成長発展させていくことが求められております。
 この駅伝の位置付けをしっかりとして、オリンピック記念会場を生かした事業の一つにしていくことが大切と思いますが、いかがか伺います。

 そしてまた、犀川の河川敷に造られたランニングコースが大変好評で、利用者も増えております。関係者の間から飯綱高原にもこのようなランニングコースを造ってほしいという要望もございます。標高が高く、ランニングの専門家などからも場所的には非常に恵まれた環境と言われております。戸隠や野尻湖にも近く、観光とスポーツを結ぶスポーツのまちづくりの一つに位置付けて検討をいただきたいと思いますが、いかがか伺います。

 また、スケートの専門指導員も配置し強化の方向ですが、全体として進めていく上でのコーチや指導員の育成、活用が求められます。どのように進めていくのか伺います。

◎島田政行教育次長

 次に、長野マラソン、スケート、駅伝など条件を生かしたスポーツのまちづくりについてお答えをいたします。
 長野オリンピック・パラリンピック開催から十年を迎え、本市ではスポーツを軸としたまちづくりを重点事業に掲げ、多くの資産を活用したスポーツ振興事業の取組を実践しております。長野オリンピックを記念して翌年から開催されている長野オリンピック記念マラソンは、長野冬季オリンピックの感動を末永く記憶にとどめ、オリンピックムーブメントの推進を図るとともに、長野オリンピックの理念を継承することを目指して、毎年四月に長野市で開催され、今年は十回目の記念大会となります。
 本大会は、市内外から多くのランナーと家族や関係者を大勢迎えることで、宿泊も伴い、観光振興にもつながる春の一大イベントとして定着しております。今後とも一層大会を充実させ、より満足度の高い大会に育て、スポーツイベントの交流人口の拡大による地域活性化につなげてまいりたいと考えております。

 スケートにつきましては、昨年五月にエムウェーブが国のナショナルトレーニングセンターに指定され、身近においてトップクラスの選手が競技力を磨く高機能のトレーニング施設として運用が開始されたことは、ウインタースポーツの聖地を目指す本市にとりましても大変有益なことであります。本市のスポーツ振興とスポーツ文化の発展、ジュニア育成などスケート人口の底辺拡大につながるよう積極的な施策を進めてまいります。

 また、昨年開催されました中学駅伝大会でございますが、県縦断駅伝や市町村対抗駅伝では中学生も活躍をされておりまして、次世代を担う中学生の駅伝競技の競技力向上や底辺拡大を図ることは大変重要なことと考えております。長野マラソンと同様、地域の活性化と交流人口の拡大も同時に定着させることができるイベントと位置付けられるよう、関係団体の皆様と協力し検討してまいります。

 また、駅伝やマラソン競技等の推進に係る飯綱高原でのランニングコースの設置についてでございますが、現在、市道・県道等を活用したウォーキングコースが設定されておりまして、大自然の中でのウォーキングが楽しめるようになっております。市街地から近いこと、そして環境面からもスポーツ活動には絶好のエリアであると思われますが、ランニングコースの設置につきましては、これらと共用ができるかどうか、関係競技団体や住民の皆様と十分協議しながら、市民の皆様にとって有意義な事業となるよう研究してまいりたいと考えております。
 このように、スポーツイベント等により地域をPRし観光振興にもつなげることは、まちづくりの効果的な方策であると考えておりますので、今後も効率的かつ一体的な事業の推進に努めてまいりたいと考えております。

中山間地域直接支払制度の充実について

 次に、農林業問題について伺います。

 日本の食料自給率は世界でも異常な三十九パーセントにまで低下し、米価の暴落、農産物価格の低迷、耕作放棄地の拡大、担い手の減少、高齢化が進む一方で、飼料の高騰により、政府がモデルとして進めてきた大規模農家でさえ経営が維持できないという危機に直面しています。
 小農家を切り捨てる水田・畑作経営所得安定対策--旧品目横断対策は中止して、持続可能な農業経営を続けていけるよう価格保障・所得補償制度を抜本的に整備する。米を初め、麦、畜産、野菜、果樹などの価格保障を行い、国土・環境保全などの農業の多目的機能を配慮した所得補償制度などを作ることが求められております。
 このような状況の中で、既に取り組まれてきた中山間地域等直接支払制度は第二期目に入り、市内の百六十六地域集落単位で七百四十三ヘクタールを対象にこの事業が取り組まれてまいりました。十九年度実績で、地域に支払われた金額は一億一千七百十一万円であります。この事業を継続していくために何が必要か。十七年度に協定し二十一年度までの五年間と、更にこの制度を継続していくことが求められると思います。広大な中山間地を擁する長野市として、どのように中山間地の活性化を図っていくために、この制度を活用するか、お考えを伺います。

◎鈴木栄一産業振興部長

 次に、農業問題について何点か御質問にお答えをいたします。

 まず初めに、中山間地域等直接支払制度の充実についてお答えいたします。
 長野市ではこの制度に基づく協定数が百六十六件、協定面積は七百四十三ヘクタールに上り、中山間地域の農業の振興や生活改善に大きな役割を果たしております。交付額は一億一千七百十一万円で、そのうち五十四パーセントが集落の共同活動として水路、道路の管理や林地の下草刈りなど、農業の持つ多面的機能の増進や地域づくりに役立てられております。
 平成十九年度は当制度の第二期、五年間の中間年に当たり、国からの指導により中間評価を実施いたしました。その結果、百六十六協定のうち八十一協定に対し、活動項目を再検討あるいは共同取組活動の更なる充実など助言を行ったものであります。また、計画に遅れがある集落に対しては、平成二十年度以降の取組について今後指導してまいりたいと考えております。
 なお、こうした反面、直接支払制度の交付金を積極的に活用し、地域農業の活性化につなげている集落もあります。例えば七二会地区では、三つの協定集落が生産組合を立ち上げ、地域奨励作物である大豆を栽培し、遊休農地の解消に努めております。また芋井地区でも、遊休農地を生かしながら、協定農用地の九パーセントを大豆の作付けに充てている集落もあります。さらに、野生鳥獣による被害に対し、電気さくやイノシシガードを設置し、農地全体を囲う事業を行った集落も幾つかあります。
 また、芋井地区では小学校に、若槻地区では育成会にそれぞれ農地を提供し、試食や交流会を開催するなど農作業体験交流を実施している集落や、浅川地区では直売所を開設して高齢者にも可能な少量多品目の野菜を栽培、販売するなど、それぞれ工夫しながら中山間地域の特性を生かし、地産地消の推進と遊休農地の解消につなげているケースもあります。
 いずれにいたしましても、市の七十パーセントを占める中山間地域の活性化は、市の重点施策として全庁を挙げて取り組んでいる課題であります。この施策を進める重要な支援策として、この中山間地域等直接支払制度は、集落が共同して自らの地域づくりに取り組む基盤として大いに機能しております。先ほど申し上げました先進的、独創的な取組例とともに、地域奨励作物支援事業、優良農地復元事業など市の諸施策と組み合わせながら、意欲的にまた創意工夫により中山間地域の活性化を一歩でも進めることができることを考えております。

地産地消推進と荒廃農地の解消、ユメアサヒ(ラーメン)の普及、特産物の推奨について

 次に、地産地消、安全な食料の生産と地域農産物のブランド化促進、荒廃地の解消の取組について伺います。

 中国からの輸入冷凍ギョーザ等への農薬混入事件、小麦の三十パーセントの値上げ、トウモロコシ等飼料の値上がりは、海外に依存する日本の食料供給のぜい弱さを改めて示しました。
 このような状況の中で、安全・安心な食料は地元からと、地産地消の取組はますます重要となっております。市はこの間、地域奨励作物を指定し、これによって小麦、大豆、ソバの作付面積は小麦で三十ヘクタール、大豆四十ヘクタール、ソバ七十ヘクタールと拡大し、遊休農地四十ヘクタールほどが解消され、大きな役割を果たしております。更にこの事業を拡大し、自給率向上と農家所得の増大を図っていくことが重要であります。
 長野市の小麦粉の消費量は全国一であることからも、今後の奨励作物の拡大を図っていくことが求められます。特に善光寺平は小麦の生産には適しており、優良な生産ができます。新たに開発された小麦のユメアサヒは硬質小麦で、パンやラーメンの原料として最適です。うどん、そば、おやきに次いで、ラーメン、パン等についても長野の特産としてブランド化を促進し、原料の小麦作付面積を増加させながら、安全・安心な食料は地元からの施策を強力に進めていくべきと思いますが、いかがか伺います。

 大豆、ソバ、トウガラシ等についても、加工原料を地元で賄えるよう、産業振興の面からも関係者との協働、協力を進めていくことが求められています。

◎鈴木栄一産業振興部長

 次に、地産地消推進と荒廃農地の解消を図るため、ユメアサヒを普及、奨励しブランド化を図ることについてお答えをいたします。
 小麦は、平成十六年度から地域奨励作物として生産振興を図っており、平成十六年度の出荷量〇・六二トンが平成十八年度では六十・六トンと大きく増加しております。このうちユメセイキが九十八パーセントの五十九・四トンを占めております。このユメセイキは、長野県が育成した品種で、うどんとして食感が特に優れ、おやきにも適していることから、農業改良普及センターや長野市、JA、製粉業者等が産地化推進協議会を立ち上げ、長野市南部から千曲市周辺での生産振興とブランド化を進めております。

 一方、ユメアサヒは、平成十六年から松本市で本格的に栽培が始まり、パン用として優れていることから、松本市が地産地消推進事業の一環として学校給食に取り入れるなど、地元では生産拡大と知名度アップに取り組んでおります。
 このように、ユメアサヒに限らず、近年、小麦の品種改良が進んでおり、各地域で新品種を取り入れた生産、販売の拡大が図られております。
 市といたしましては、こうした動向を十分注視し、有望な品種について検討いたしますが、当面はユメセイキを中心に生産と消費の拡大を図り、地産地消の推進と遊休農地の活用にもつなげてまいりたいと考えております。

農業公社の活用について

 次に、農業公社の活用について伺います。

 長野市農業公社が設立されて二年目を迎えます。数々の農家支援の対策を打ち出してその役割を果たしてきておりますが、合併に伴い中山間地が拡大し、中山間地農業を守り継続していく上でも役割は重くなってきています。今後、豊かな自然を生かし水源のかん養や国土保全、高齢化が進む中で、信州ながのふるさと里山地域ブランド化計画など、どのように推進していくのかお伺いをいたします。

◎鈴木栄一産業振興部長

 次に、農業公社の活用につきましてお答えを申し上げます。
 長野市農業公社は、昨年七月に設立し、農作業支援、農地流動化の推進、多様な担い手の育成、都市と農村との交流、マーケティングの拡大、法人化の推進など諸事業を推進しております。
 平成二十年度には幾つかの新規事業を計画しておりますが、その中に議員さん御質問の(仮称)信州ながのふるさと里山地域ブランド化計画があります。御案内のように、本市の約七割を占める中山間地域には、恵まれた自然や豊かな風土から生まれた伝統野菜や特産品が少量ながら守り育てられ、現在まで継承されております。
 例えば、辛味大根、おやき、戸隠そばなど個人や地域のグループが生産、加工、販売しているものがほとんどでありますが、小さくてもビジネスとして成立するようなシステムを構築していく必要があると考えております。具体的には、地域素材を活用したみそ、漬物、おやきなど、こだわり商品の開発や地域ブランド化による付加価値の向上、ふるさとナガノ応援団などを活用した独自販路の確立、また事業を進める活動団体相互のネットワーク化などを進めてまいります。
 これらの事業を推進するため、公社内に新たに農業法人推進部及びマーケティング部を設置し、専門の職員を配置します。マーケティング部では、情報発信、新商品の開発、商品のネーミングなどを総合的にコーディネートし、農業公社が主体となって事業を展開することによる信頼性を担保に、高付加価値化やブランド化を進めてまいります。同時に農業法人推進部では、ブランド化に取り組む個人や地域のグループに対し、法人化に向けた経営指導を行い、ビジネスとしての確実な発展を支援しながら、地域ブランド化計画を強力に推進してまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、新年度は農業公社の本格稼働の年となります。関係機関との連携強化を図りながら、公社の持つ特徴と機能を十二分に活用し、各種事業を展開しながら収益性の高い、いわゆるもうかる農業を推進してまいります。

総合的森林づくりについて

 次に、総合的な森林づくりについて伺います。

 今問題になっている人工林の間伐を進め、その間伐材の活用について、まきストーブの燃料や、地元材を使っての木造住宅の材料として使う場合への補助制度をつくるなど、活用方法を広げていくことが重要かと思います。
 そして、造林の方法では、里山づくりについては、松くい虫対策に対応した樹種転換事業のように、針葉樹に代わって広葉樹、ナラやクヌギ、トチ、エンジュ、クリ、シナノキ等の実のなる木を植樹をし、野生動物のえさにもなるようにして、釣合いのとれた総合的な森林づくりを進めていくことが重要かと思いますが、いかがか伺います

◎鈴木栄一産業振興部長

 次に、総合的森林づくりについての御質問のうち、まず間伐材の利用について、助成制度により活用促進につなげてはどうかとの御提案についてお答えをいたします。
 現在、長野市の人工林は二十一年生から五十年生までのものが七十パーセントを占めており、間伐の適期となっております。そのため市では、長野市森林整備計画に基づき、平成十九年度には五百ヘクタールの間伐を実施しておりますが、その大部分が切り捨て間伐であります。これは森林所有者にとって搬出の手間や経費がかかるため利用されず放置されているものであります。
 なお、市有林においては、間伐材を無償で希望者に払下げを行っておりますけれども、御提案のまきストーブの原料としての使用に対する助成につきましては、間伐材の多くは針葉樹であり、針葉樹のまきはストーブの煙突部分を腐食させるため、利用者は非常に少ないのが現状であります。今後、広葉樹の利活用を更に検討する中で、支援策についても研究してまいりたいと考えております。
 また、地域材を木造住宅に使う場合の助成につきましては、県産材の使用が五十パーセント以上又は工事床面積一平方メートル当たり〇・一立方メートル以上となる木造住宅を建設する場合、県では五十万円を助成しております。
 また、長野市など北信地域の市町村が加入している千曲川下流流域林業活性化センターにおいても、顔の見える家づくり事業として、木造住宅建設に対し、北信地域で生産された杉柱三十本をプレゼントする事業を実施しております。
 今後、利用者ニーズの多様化に伴って、これらの中に間伐材を含めるかどうか、関係団体と研究してまいりたいと考えております。

 次に、広葉樹を植栽して釣合いのとれた総合的な森林づくりを進めていくことが重要との御提案にお答えを申し上げます。
 市内では現在、杉、カラマツ等の針葉樹を伐採し、広葉樹を植栽する森林所有者はごくわずかであります。これは、広葉樹は植栽後三年ないし五年、下草刈りが必要となり、高齢化による労力と経費、将来の広葉樹の利用価値が不透明なことなどの理由から、広葉樹の植栽が進まないものであります。
 御提案のように、多様な森づくりには針広混交林化を進めることが重要であります。長野市では、飯綱高原の大座法師池周辺の市有林間伐跡地に、平成十七年度、市民参加によるミズナラ、コブシ、山桜、カエデ等五千本を植栽したのを初め、本年五月には長野県植樹祭を開催し、広葉樹の植栽による多様な森づくりへのPRに努めるとともに、今後も引き続き森林所有者に理解を求めながら針広混交林化を進めてまいります。

鳥獣被害対策について

 次に、鳥獣被害対策について伺います。

 農作物への鳥獣被害は年々、面積、被害額も増大し、中山間地においては、人口の流出、高齢化の進む中で深刻な問題となっております。長野市でも議会ごとに取り上げられ、様々な対策を講じてきておりますが、自然との共存を図りながら、イノシシやシカ、猿、クマ、ハクビシン等々の頭数を減らしていくことをしていかなければならないと思います。このための調査や対策を進めていく上で、その一番の現場で仕事をする猟友会の皆さんの協力と援助等について考えていかなければならないと思います。
 県は現在、県内に八万二千頭いるニホンカモシカを五年間で三万一千頭に減らす、つまり五年間で五万一千頭、年間約一万頭ずつ減らしていく計画ですが、これは、わなや鉄砲等を使用して進めていく大変な事業であります。長野市としても取り組んでいかなければなりません。
 今、各地域ごとに対策委員会を組織して取り組まれておりますが、一番の現場で仕事をする猟師の皆さんの力が大きいものです。いかに力を発揮していただくか。今、長野市猟友会の会員は十七支部で四百七十人と言われております。これら猟師の方々はそれぞれ狩猟免許、登録、様々な経費もかさみ、負担もかかり、クマ狩りなど出動してもボランティアという状況で、大きな危険な仕事をしていただくにふさわしい処遇になっていない。対策委員会、猟友会等と相談をしながら、十分力が発揮できるよう対応を強化していく必要があります。これらの点について伺います。

◎鈴木栄一産業振興部長

 次に、猟友会が十分に力を発揮できるよう対応を強化する必要があると思うがいかがかとの御質問にお答えをいたします。
 市内では野生鳥獣による農作物被害が十八年度だけで七千三百四十万円に達しております。猟友会は平成十九年四月現在、十一支部、会員二百八十九名、年齢で見ますと五十歳代が二十八パーセント、六十歳代が四十四パーセント、七十歳以上が十七パーセントと、高齢化が進んでおります。
 長野市では、鳥獣被害に対応するため、十四地域に有害鳥獣対策協議会が設置をされており、鳥獣捕獲業務に約半数近い百三十名の会員がボランティアとして協力をいただいております。
 また、狩猟を行おうとする場合、年間の免許維持費として税などで五万六千円の経費がかかるため、何らかの支援をというお話でございますけれども、本来はこの免許等の費用は狩猟を楽しむための経費でありまして、免許所有者に対し助成をすることは難しいものであります。市といたしましては、代わりに有害鳥獣として駆除、個体数調整が行われた場合、イノシシ一頭につき一万五千円、猿一頭二万円、ニホンジカ一頭一万五千円を対策協議会に支払いますので、それらを猟友会と協議して有効に活用していただきたいと考えております。

綾部市「水源の里条例」について

 次に、先ごろ京都の綾部市に、水源の里条例を制定し中山間地対策を進めている状況を視察してまいりました。市長を先頭に、限界集落と言われている山間地集落の継続維持をどう進めていくか、地元住民が希望や夢を持って住み続けていけるようにするか、大変教訓的な条例づくりでした。
 この条例を策定しようとしたきっかけは、平成十七年末から十八年にかけて綾部市を襲った二十数年ぶりの大雪。高齢者が集落の大半を占め、生活道路の除雪は追い付かず、軒先の雪が屋根までつながり、自宅の雪かきすらままならない状況で、住民は降りしきる雪に翻ろうされました。高齢者ばかりの集落、十年、二十年先はどうなってしまうのか、何とかしなければということで、集落の存続について考え、水源の里の持つ機能や資源を活用した活性化策を地域住民と一体となって進めることが急務として、課題の掌握や解決策を検討する場を設け、水源の里を考える会を設置し、現状の課題掌握や解決策を検討し、最終的に水源の里条例を五年間の期限付き条例として、十九年四月一日より実施しています。
 条例では、一つ、空き家の有効活用で定住対策の促進、二つとして、農林業体験事業の開催による都市との交流の促進、三つとして、特産品の開発などによる地域産業の開発と育成、四つとして、水洗化や情報網整備など地域の暮らし向上、四振興の目標を掲げ、対象となる集落の条件も決めるなど、市として条例を制定して対応しているところにその特徴があります。
 そして、全国に共通した課題を持つ市町村に働き掛け、共に協力、共同してこの問題を解決していこうと、全国水源の里連絡協議会の設立を呼び掛け、十九年十一月三十日に百四十六自治体の参加の下に連絡会を結成しています。長野県下でも幾つかの自治体が参加しています。この会では、水源の里再生支援交付金を創設するよう国に働き掛けていく等の方針を持って活動をしています。
 我々長野市もこの会に参加をして、中山間地活性化の一助にしていけると思いますが、見解を伺います。

◎根津伸夫企画政策部長

 私から、農業問題についてのうち、水源の里条例制度を生かした中山間地対策についてお答えいたします。

 全国水源の里連絡協議会につきましては、過疎・高齢化が進行し、コミュニティの維持など地域活動が困難な状況に直面している集落が全国各地に拡大し続けている状況の中、この課題を国民運動として展開することや、国などに政策の提案や支援の呼び掛けを行う全国の水源の里の活性化を図るための組織として、昨年十一月に設立されたものでございます。
 協議会では、水源の里の理念の全国展開、水源の里活性化のための政策提起、会員相互の情報交換などであり、事業計画によりますと、シンポジウムの開催支援や国を初めとする関係機関との協議・要請、アンケート調査の実施、情報誌の発行などを行うようでございます。
 また、昨年の総会では、国に対し、過疎地域自立促進特別措置法の見直しに合わせ、活性化に取り組む自治体にモデル事業を実施し、その財政措置として、水源の里再生交付金制度を創設するよう求めることなどを盛り込んだアピールを採択したとお聞きしております。
 現段階では、この協議会に直ちに参加する必要性を感じているわけではございませんが、本市といたしましても新年度から、過疎化、高齢化が進展した集落で生活していくために必要な支援の在り方を探るための中山間地域自治活動モデル事業を、また地元の農産物を加工、販売している住民グループのネットワーク化による地域ブランド化を目指す中山間地活性化対策事業を行ってまいりたいと考えているところでございますので、今後もこうした協議会を初め、同じ課題を共有する全国の市町村や国の動向を注視しつつ、中山間地域の効果的な活性化対策に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。

長野駅前A3地区市街地再開発事業と中心市街地活性化まちづくりについて

 次に、長野駅前A3地区市街地再開発事業と中心市街地活性化まちづくりについて伺います。

 長野駅前西口には、善光寺への参拝客、県庁、諸官庁、団体、会社、買物客等々の乗降客でにぎわうまちであります。このため、中央通り歩行者優先道路化事業、歩いて善光寺へ買物などをしながら行かれるように、長野駅善光寺口顔づくり事業等々も取り組まれております。
 善光寺と結び付けたにぎわいのある特色あるまちづくり、このような中で駅前A3地区の再開発事業に市補助金二億九千九百八十万円を投入されますが、商業施設とホテルも入り、複合再開発業務ビルとして進められていますが、今市内にはオリンピック時に建設されたホテルも多くあり、この上さらに必要なのかどうか、市内におけるホテルの利用率はどうなのか。

 また、中心市街地に次々とマンション建設計画が進められ、新田町地区に優良建築物等整備事業補助金、本年度六千八百四十万円が投入されておりますが、新しいまちづくりとの関係からして、善光寺門前町としてのまちづくり、長野市景観計画や善光寺口顔づくり事業を進める上で、どかっと大型のビルばかり建てて問題点はないでしょうか伺います。

◎伝田耕一都市整備部長

 私から、長野駅前A3地区市街地再開発事業と中心市街地活性化まちづくりについてお答え申し上げます。

 長野駅前A3地区市街地再開発事業につきましては、長野駅前という立地条件の良さを生かし、長野のランドマークとして、多くの人々に訪れてもらえるような機能を導入した市街地再生を目指して行うものでございます。
 長野駅前A地区全体は、昭和四十九年に再開発事業区域として都市計画決定され、様々な理由により、三地区に分割され再開発事業が行われることとなり、既に二つの再開発ビルが完成し、業務と商業あるいは住宅と商業の複合ビルという形でまちの活性化に寄与しております。
 今回、A3地区ではそれらにない交流という視点から、ホテルを主体に商業、業務を併せ持つ再開発ビルの整備を行うものでございます。
 御質問のホテルの利用率につきましては、現在市内には約三十のホテルがあり、全体の客室数は三千余室で、その客室利用率に関する確たる数値の把握はできていませんが、新聞報道等によれば、ホテル経営は大変厳しい状況下にあると聞いております。
 今回のホテル計画では、既存施設への大きな影響をできる限り抑えるため、計画区域内にあった元ホテルや経営中止となる近隣ホテルが持っていた客室数を大幅に上回らないように、当初計画の二百室から百五十室に客室数を縮小したり、ビジネス型に特化するなど、既存ホテルとできる限り競合しないように要望してまいりました。
 しかし、長野新幹線の金沢までの延伸が迫る中、これまでの首都圏からの観光・ビジネス客だけでなく、北陸圏からの誘客効果を上げ、立地条件を生かし、機能性に富む質の高いホテルの更新はこれからも必要であると考えております。また、新たなホテルの参入は、市内の既存ホテル業界の競争意識を高め、全体の質の向上にもつながり、市全体の観光イメージアップにもなると考えております。

 次に、新田町地区優良建築物等整備事業につきましては、競売にかかり空きビルとなった跡地に、共同住宅七十六戸と、店舗を核として児童用デイサービス、福祉住宅四戸も取り込んだ再開発事業を行い、併せて生み出された空地に公共用通路、チャレンジショップ、緑地等を整備するものでございます。中心市街地において質の高い共同住宅を供給すること、にぎわい施設や公共用通路を整備することによりまちなか居住が推進され、中心市街地活性化基本計画の目標にある、住みたくなるまち、歩きたくなるまちにも資する事業となるものと考えております。
 これらの点からも、今回の再開発事業は、善光寺の門前町として品格、景観を損なうことなく、中心市街地活性化に寄与するものと考えております。
 私からは以上でございます。

企業誘致について

 次に、企業誘致について。

 市内に産業集積を図り経済の発展と雇用の拡大にと、新たに南部浄化センター跡地、長野木工団地に工業用地を造成し分譲を計画しております。これらに対する引き合い、進出希望企業等々がどのくらいあるのか、また地元等との環境問題等での合意はなされているのか、万全を期していくことが大切と思います。今、大型工業団地等を用意し、工場誘致を見込んで開発計画を持っているところもありますが、当市においてもそのような構想、計画はあるのでしょうか伺います。

 また、市の所有地、市内空き地等有効利用のため、中小零細企業等々に対する用地の提供など、情報の交換と積極的な指導も必要かと思いますが、いかがか伺います。

◎鈴木栄一産業振興部長

 次に、企業誘致問題についてお答えをいたします。

 初めに、旧南部終末処理場跡地の活用についてお答えいたします。
 旧南部終末処理場は、地域の皆さんの御理解と御協力をいただき昭和三十四年、施設を建設いたしましたが、平成九年に東部終末処理場が完成したことに伴い、終末処理場としての役割を終え現在に至っております。この施設は現在水道局が所有しており、来年度に水道局が施設の解体撤去工事を行う予定となっております。
 市では企業立地の推進を重点事業として進めておりますが、現在保有する産業用地が残りわずかとなっております。こうしたことから、この跡地の活用につきましては、今後、過去の経緯も踏まえ、地域の皆さん方と十分協議を重ねる中で、地域の発展にもつながる秩序ある産業用地を整備することで御理解と御協力をいただいてまいりたいと考えております。
 また、御案内のとおり、産業用地の確保が大変難しくなっている中、産業集積が可能な既存工業団地の再整備を行い、その機能の充実、発展を図ることも必要となっております。こうしたことから、長野木工団地につきましては、団地内に二区画を整備するほか、隣接する市道の拡幅や水路の改修を行い、企業活動がしやすい環境を整えてまいりたいと考えております。
 現在、東京に本社のある金属加工の製造・販売企業と、市内のステンレス加工業の二社から引き合いがあります。これらの立地につきましては、地域への説明を行い、平成二十年度以降に造成工事及び分譲を行ってまいりたいと考えております。 次に、新たな産業団地の整備につきましては、総合的な土地利用や都市計画との整合性を図りながら、庁内関係各課で構成をする土地利用検討調整会議等で議論を重ね、財政負担を含めた整備計画の検討を引き続き進めてまいりたいと考えております。
 また、議員さん御提案の空き用地等の現状の把握やその有効利用につきましては、既存産業団地の自治会との情報交換や企業訪問を行い、情報収集に努めるとともに、新年度策定する企業誘致戦略の中で、長野県宅地建物取引業協会等との連携を図り、工業用地の利用状況や現状を的確に把握し、事業拡大や立地を希望している企業に対して、情報提供やマッチング等の仕組みを整えてまいりたいと考えております。

広域消防化について

 次に、広域消防化について伺います。

 消防組織法の三十一条、三十二条、三十三条に基づいて、平成十八年七月十二日公示で市町村の消防の広域化に関する基本指針が示され、長野県はこれに基づいて、一月十六日付けをもって県下の消防広域化推進計画を作成し、その案を提案してきています。これについて今自治体で検討されておりますが、長野市ではどうするのか。
 例えば、この一番の現場で働く消防署職員のアンケート調査では、遠距離通勤、単身赴任等で不安七十三パーセントなど、望ましい広域化の規模は人口三十万以上の規模をという回答が三十九・九パーセントと一番多いわけであります。
 県の案では二本化、東北信エリアと中南信エリアというようなことが示されております。いろいろな理由や現状も示されての統合とされていますが、地域住民の声をよく聴いて慎重に対応すべきものと考えますがいかがか、見解を伺います。

 その他について、時間がありましたら図書館の活用の問題、それからトリアージについては質問はいたしません。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。

◎安川哲生消防局長

 私から、消防広域化についてお答え申し上げます。

 まず、一点目として、長野県消防広域化推進計画への長野市の対応についてでございますが、県は、現行の十四消防本部管轄エリアを分割せずに、均衡のとれた広域化後の各消防本部の規模でできるだけ大きな枠組みとするため、東北信、中南信の県内二つの消防本部体制の計画を示しました。この計画決定過程においては、有識者による推進検討委員会での協議、県下十四消防本部の管理者への意見照会がございましたが、長野市といたしましては、広域行政の在り方とともに、消防体制は効率的かつ効果的に向上させる必要があると判断し、県内四ブロック体制の推進が望ましいとの内容を回答いたしました。
 県の推進計画、また他の市町村との考え方に現在相違はございますが、来年度から本格的に市町村レベルでの協議が開始されますので、地域住民への消防サービスの向上、行財政の効率化に重点を置きながら、県都である長野市としてのリーダーシップを発揮し、県や関係市町村との協議に臨んでまいります。

 次に、二点目の地域住民の声をよく聴いて慎重に対応すべきとの御指摘についてでございますが、今後広域化を進めるに当たっては、関係市町村で構成する協議機関の設置が必要となります。この協議機関で消防本部の管轄エリアや組織の運営方式など、基本的な方向性を早い段階で協議していく必要があると判断しております。取り分け、消防力の整備計画や消防部隊の運用方法などは住民の生命、身体及び財産に直接かかわることから、市民の皆さんから貴重な御意見を頂きながら十分検討していくことが重要であると考えております。また、ホームページなどで情報提供するほか、長野市消防委員会などを通じて意見反映できるよう、十分な配慮をしてまいります。
 私からは以上でございます。

図書館の利用拡大を

再質問

 若干時間もございますので、その他といたしまして、長野市の南部図書館ではですね、現在、市内に二十六の支所、公民館一緒でやっているところがあるわけなんですが、そこへ南部図書館の本を貸出用に配置いたしましてですね、それで、市民の皆さんが利用しやすいような利便を図っているわけでございます。
 そういう中で、かなり支所あるいは公民館への本の注文やあるいは配置してほしいと、こういうふうな希望も届けられまして、それで南部図書館のほうから、いわゆる教育委員会の庁内文書配達用のメール便でもって届けているわけですね。これも非常に利用者も多くて、希望も多いわけなんです。そんな点で、今せっかく庁内LANだとか、あるいはインターネットだとかというふうなものがありますので、こういったものと図書館とをしっかりつないでですね、そしてそういうふうな要望を聴いたり、あるいは配置できるようなね、というふうにしていくためのシステムを完備していくことが大事ではないかと思うわけです。
 そして、それぞれの公民館におろすのにも、やっぱり独自の組織体制みたいなものを作って、そういうこう希望にこたえられていくような、そういうシステムというか、体制組織も作って、市民の皆さんの読書に対する要望、要求にこたえていくということが非常に大事ではないかと。特に今、本離れが多い中で、また北部などでは新たな図書館が欲しいというふうな希望もあるわけですけれども、そういったものをカバーする上でも非常に大きな効果があるんじゃないかと思うんです。
 そんな点で、このシステムと同時にまた組織体制の強化を考えていっていただきたいと、こんなふうに思うわけでございます。

 それと、今、移動図書館ということで車でずっと回って、今合併したところも全部行くようにしているんですけれども、引き続きこれを堅持して、これからも大いに利用できるような、そういう体制は続けていっていただきたいと思いますので、この点についてお答えをお願いしたい。

◎島田政行教育次長

 私から、その他で御質問のございました図書貸出等の利用拡大についてということで、南部図書館のことについてお答えを申し上げます。
 図書館の分室は、篠ノ井公民館を除く二十六の市立公民館に併設をされておりまして、随時配本を行っておるところでございますが、現在公民館分室とは図書館業務のネットワーク化がされておりませんので、図書の貸出等は公民館にある図書のみを貸出カードに記入をしていただいて、手貸しで貸出しをしていると、そういう状況でございます。
 現在、分室にない本で利用者の皆様が読みたい本はリクエストをいただいて、先ほどお話しのように南部図書館から教育委員会及び庶務課の使送便で送っているという状況でございまして、最近リクエスト数が増加しておりまして、分室全体で年間二千冊を超えておるという状況でございます。図書館二館と分室をネットワークで結ぶことができれば、御指摘のとおり、市民の皆様への図書館サービスが向上するとは考えられます。
 また、市立図書館では、今年の四月から個人のパソコンや携帯電話からインターネットを通じて図書の予約ができるよう準備をしているところでございますけれども、予約した本を近くの分室で受け取ることができれば利便性の向上が図れるというふうに考えておりますが、これには幾つかの実は課題がございまして、まず一つ目には、分室への図書館システムの導入が必要であるということ、当然お金がかかるわけでございます。それから二つ目に、導入したシステムを操作する職員が必要になるということ、そして三番目には、予約された本を図書館から分室へ配送するための手段が必要になるということでございまして、これには図書館と分室をネットワーク化した場合に、公民館のほうは土日が休みになるわけでございます。その点もありまして、土・日の配送が可能なように図書館独自の配送システムも考えていかなければいけないということでございまして、多くの図書を迅速に運ぶことは今の段階では困難ではないかなというふうに考えております。
 このような状況を踏まえまして、分室のネットワーク化につきましては、今後、財政面も含めまして研究をしてまいりたいというふうに考えております。

 また、移動図書館につきましては、年間十三万冊の御利用をいただき非常に好評でございますので、これにつきましては引き続き実施をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 私からは以上でございます。

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