2008年3月定例市議会 佐藤久美子議員の個人質問
「おでかけパスポートを電鉄にも適用を」の声にこたえて
中山間地からのバス通学への通学費補助について
今後の公共交通の在り方について
浅川治水:遊水地について県との協議はどのように進めているか
長沼一号幹線排水路の問題について
雨水の流出抑制対策について
排水機場の能力アップと地元負担の問題について
地元中小建設企業の活性化について
「おでかけパスポートを電鉄にも適用を」の声にこたえて
二十三番、日本共産党市議団の佐藤久美子です。
市民の生活移動手段の確保・充実に向けて、本会議初日に市長の施政方針で最初に述べられた公共交通の問題を取り上げます。明確な御答弁をお願いいたします。
朝陽地区から出ておられました前議員の永井さんが、四年間一貫して取り上げてこられた問題に、電車でもおでかけパスポートをという地域要求がありました。最初にその問題から伺います。
おでかけパスポートは、平成十三年の当時、バス会社二社から平均運賃を出してもらい、二百七十円を利用者負担分百円、市の負担分九十円、バス会社八十円、これは三割の割引率ということで、会社と協議する中で決定したと聞いております。七十歳以上の方には、またバスが運行されている地域の皆さんには大変喜ばれておりますし、合併町村の中でも、合併していいことはなかったが、これだけはよかったと言われている制度でもあります。
十二月議会の所属委員会で、利用者が増えてきたので見直しをしていきたいとの説明を受け、非常に先行きを危ぐしていましたが、市長の何としても守っていかなければという決意を聞き、大変心強く感じたところであります。
高齢化社会における暮らしの移動手段、まちなかに歩く人を増やし、活力あるまちづくりへ、そして環境負荷の軽減策としても有効な地域の公共交通政策を充実してほしいというのが、多くの市民の願いであると考えます。
さて、この制度を長野電鉄に適用できないかというのが、朝陽・柳原・古里・第三地区の電鉄沿線の市民の声であります。担当課の説明によりますと、平成十五年から十七年までの間、七回にわたって市と電鉄側との協議で明らかにされた相手側の意向は、ほかの市への乗り入れがあること、無人駅があること、割引までして行うことはできないなど、幾つかの理由で実現に至っていないというものでありました。
ただ、協議の中で一か月何回乗っても六千円という、お達者パスという商品が開発され、例えば朝陽駅から長野駅までは往復六百四十円ですので、十回以上乗れば得になると説明がされました。しかし、実際に沿線の高齢者にお話を聞きますと、月に十回以上電車に乗る人は恐らくいないねという声であります。また、六千円のお金はそう簡単に出ないよとも言われました。結局、市には精一杯交渉していただき、新しい商品は出たけれども、地域の人は余り喜んではいない。使い勝手が悪いということでもあります。
先日、この問題で地域の高齢者を含め、市民の声を直接伺う懇談会が南堀集会所であり、三十人ほどの人がお集まりになりました。中には、病気の後遺症で歩行に障害がある人も参加されました。大雪の中ではありましたが、期待と関心が高いことを改めて感じた次第であります。
集まった皆さんの声を紹介します。運動公園まで来ているバスを南堀団地まで運行できないものか、せっかくパスポートをもらってもバスが走っていないので使えない、市街地まで行けるぐるりん号が欲しい、昼間の時間帯には電鉄はかなり利用者が減るようだが、こうした制度ができれば利用促進にもなるのではないか、おでかけパスポートを見せれば割引乗車券を買えるようにしたらどうか、電鉄の駅はどこも障害者には苦労だけれどもぐるりん号は運転手さんが丁寧で安心だ、また中には私が千の風になる前に何とかしてほしいとの声も出されておりました。
私は、今のおでかけパスポートをそのまま電鉄に利用する制度にすることは、様々な事情で当面は困難かもしれませんが、しかし市民の長い間の強い要望にこたえ、長野駅から柳原駅までに区間を限定し、高齢者に限り、また時間帯も限定し、そしてたとえわずか片道百円でも割引がされれば、利用促進につながり、地域の活力につながり、市民からも歓迎されると思いますがいかがでしょうか。また、そうした柔軟な対応を電鉄側に求めて交渉を願いたいと思いますがどうでしょうか。
同じ長野市内で、しかも平たんな地域で、長野駅に行くのに目の前の電鉄を利用したい、当然おでかけパスポートに匹敵するサービスを保障すべきとの訴えは、道理のあることと考えますが見解を伺います。
◎鷲澤正一市長
佐藤久美子議員さんの御質問のうち、初めにおでかけパスポートを電鉄にも適用をの声にこたえてについてお答えいたします。
おでかけパスポート事業は、高齢者福祉施策として高齢者の健康づくり、生きがいづくりの推進と積極的な社会参加を促すとともに、バスの利用促進を図るため、市内全地区の一般路線バスを対象として実施している事業でございます。
これまでも、おでかけパスポート事業が対象とする公共交通機関を、長野電鉄の電車にも拡大してほしいとの御要望に基づき、平成十五年以来、長野電鉄と協議を行ってまいりましたが、次のような課題があり、実施が困難な状況でございます。
長野電鉄からは、バス会社が平均運賃の約三十パーセントを負担している長野市のおでかけパスポート事業と同様に運賃の一部を負担することはできないこと、また路線が他市を通過していることから、乗り換えの確認、無人駅での乗車時・降車時の確認及び料金精算の方法等の運行実務面からの実施困難な問題、さらに沿線他市で実施している高齢者乗車券給付制度との整合性、公共交通の観点から、長野市を営業エリアとする他の鉄道会社との足並みをそろえた中での取組としたいこと等から、対応は困難との回答を頂いているところでございます。
おでかけパスポート事業は、高齢者福祉施策としてバス会社にも御負担をいただきながら、市内全地区の一般路線バスを対象として実施していることから、長野電鉄につきましても、同様に高齢者福祉の観点から、市内を通過する全路線を実施対象として協議してまいったものでございます。
一方、高齢化の進展に伴っておでかけパスポートの利用回数が伸びており、市及びバス会社の負担額も増加を続けておりますことから、バス会社と財政面から協議、研究を重ねている状況でございます。このような中で、現行のおでかけパスポート事業と別の制度を導入することは、現在御協力をいただいているバス会社の負担との均衡を失することにもなります。
したがいまして、松代・若穂地区も通過をしている長野電鉄について、朝陽・古里・柳原地区の住民の利便のために特定の区間を対象として割引運賃で乗れる制度は、長野電鉄から運賃の一部負担がいただけないこと、またバス会社との均衡もとれないこと、さらに広く高齢者を対象として、市が実施すべき高齢者福祉施策としてはそぐわないことから、実施は考えておりません。
なお、おでかけパスポート事業の在り方については、今後、バス再生に向けての総合的な交通体系を検討する中で研究してまいりたいと考えております。
中山間地からのバス通学への通学費補助について
次に、中山間地からのバス通学への通学費補助について伺います。
大岡・鬼無里・戸隠地区からの高校通学のために、バス代補助制度を求める立場で質問を行います。十二月議会で、同僚の丸山議員が大岡地区から長野市内の学校に通う通学費の補助を求める声を紹介されていましたが、戸隠からも三か月定期では八万八千円になり、二人の子供が通うと経済負担が大変と訴えられました。若い人々が住み続けられる施策として、バスのほかに公共交通機関がない地域で中山間地を支えるためにも、合併前は実施されていた補助制度が必要と思いますがいかがでしょうか。
大岡、鬼無里、戸隠の中学校の卒業生の合計は、この春の卒業生で六十七人、来年は五十三人、翌年は五十一人となっています。定期代の補助として一か月五千円の補助なら、年間総額四百二万円です。三千円なら二百七十三万六千円です。何とか補助制度を作り、若い世代の負担軽減を進めるべきと考えますが見解を伺います。
◎島田政行教育次長
私から、公共交通についてのうち、中山間地からのバス通学への通学費補助につきましてお答えいたします。
高等学校の通学区が拡大いたしまして、周辺中山間地域から市域の中心部に、また逆に市内から市外の学校への通学も可能となりまして、行きたい学校の選択の幅が広がる中で、議員さんが御提案の、特定の地域からの通学や特定の高校への通学に対してのバス通学補助をするということにつきましては、公平性の観点から困難というふうに考えてございます。
高校への通学手段といたしまして、バス以外の公共交通機関のない地域は、大岡、鬼無里、戸隠だけではなくて信更、七二会、芋井などの旧市の山間地域なども同様の状況でございまして、またバス料金が高額であるという経済的負担の観点につきましても、周辺部から中心部への通学、またその逆方向への通学など、バス通学費の多寡に地域特性というものは該当しないものというふうに考えてございます。
なお、合併時におきましても、旧大岡村・鬼無里村では、中山間地域という地理的条件を考慮し、教育の公平性等に配慮した施策として、バス料金の助成をしておりましたが、合併協議の中におきまして、特定地域のみを対象とした補助制度を継続していくということは、公平性、また長野市が高校の通学援助をしていくことの妥当性の観点から困難であるといたしまして、三年間の経過措置を経て、平成十八年度をもって廃止をした経過がございます。
高校につきましては、各自がそれぞれの通学手段等も考慮した上で学校を選択したものであること、また通学補助の必要性の基準をどこに求めるかが非常に困難であることから、一部の特定地域の通学に対しまして通学補助をしていくことは、現在考えておりません。是非御理解をいただきたいと思います。
以上でございます。
今後の公共交通の在り方について
今後の公共交通の在り方について伺います。
平成二十一年度に向けての地域の公共交通の在り方を見直す調査研究を進めるということですが、考え方の基準は何か伺います。また、具体的な進め方についても説明を願います。
先般、共産党市議団で木曽町における公共交通の取組について視察を行ってきました。三岳村、開田村、日義村、木曽福島町の四か町村の合併による生活交通確保策をどう練り上げたかを中心に研修してきました。
私が長野市にとって参考になると思った点は、決定までの審議過程であります。三年間にわたっての基礎調査、計画策定、事業調整、試験運行を行い、十九年四月からの本格運行を始めました。もちろん長野市と合併の形態は全く違うのですが、広大な面積を持つまちを形づくる上で、この交通網の整備と充実は不可分なものであったと感じました。
マイカーなし、免許なしなど、公共交通に頼らざるを得ない人を交通不便者と定義付けし、アンケートによる利用者ニーズの把握に努めています。そして、一日のバスの運行本数と町中心部までの運賃の設定、バス停までの距離について、住民が許容できる数字をまとめました。
その結果、運行本数は、日中時は一時間に一本程度で七割の住民が許容し、朝夕時には一時間に一本では五割程度しか許容できずに、四十分に一本程度の運行が望ましい。中心部までの運賃では、国道沿いの地区では二百円で、七割の住民が許容、そのほかの地区は三百円でも七割の住民が許容、五百円でもおおむね半数が許容。バス停までは、徒歩七分から八分で七割の住民が許容との結果を受けて計画を立てました。つまり、最低限確保すべき水準--シビルミニマムの設定については、住民のニーズを完全にカバーする整備は費用的に不可能ですが、ある程度の許容水準には達するようにレベルを設定したということです。そして、幹線バスと支線バスをつなげて乗り継ぎも考慮して路線を決定しています。運賃設定も普通、定期、回数券ごとに細かく定めています。
長野市の場合は、もっと複雑で簡単ではないと思いますが、CO2排出削減など環境問題にとっても、公共交通の役割は更に重要になります。市の方針を具体的にお示し願いたいと考えます。
◎根津伸夫企画政策部長
私から、公共交通についてのうち、今後の公共交通の在り方についてお答えいたします。
市営バスの運行につきましては、平成十七年一月合併の一町三村が運行しておりました町村営バスを長野市が引き継ぐ中で、経費の削減を図りつつ運行の継続に努めてまいりました。しかしながら、市営バスの利用者は年々減少傾向にございまして、バス運行の効率化など地域の実情に応じた運行への見直しが課題となっております。
市営バスの再編に当たりましては、平成十七年三月に作成しました長野市バス路線網再編基本計画の基本方針にありますとおり、小型車両を使用した個別対応による輸送、公共交通機関のネットワーク化、利便性の向上、地域と一体となったバス交通の実現、これらを基に地域の特性に合ったバス路線の再編を目指しておるところでございます。
そのような中、平成十七年度には、市営バス運行四地区の一般家庭全世帯を対象として、市営バス交通需要市民アンケート調査を実施するとともに、定期的に実施しております乗降調査を参考に、具体的な市の見直し案をたたき台として作成し、各地区の区長会、地域審議会へお示しし、見直し案に対する御意見を頂いているところでございます。
また、本年一月には、利用者の声を直接お聴きするため、利用者アンケート調査を実施し、これらのアンケート調査結果を各地区区長会などに説明を開始させていただきました。このアンケート調査結果の中でも、幹線バスと地域内の支線バスとの乗り継ぎの要望は高く、これらも十分考慮してまいりたいと考えております。また、二月からは、住民の皆さんに御理解を深めていただくため、各地区において順次住民説明会を開始させていただいたところでございます。
いずれにいたしましても、市営バスは、車を運転できない高齢者の皆さんや子供たちの移動手段を確保する大切な事業でありますので、今後ともアンケート調査結果や説明会で出されました御意見等を参考に、更に見直し案を詰めてまいりたいと考えております。その上で、利用状況などの課題についても御理解をお願いする中で、地域の皆さんと十分に協議を重ね、平成二十一年度からの再編を目指してまいりたいと考えております。
以上でございます。
再質問
日本経済でさえ、家計部門と個人消費に軸足を移していかないと、先行きが見えない状況と言われています。長野市の経済にとっても同じことが言えると私は思います。
子育て世代の家計への支援、これは私は非常に引っ掛かる言葉として、できないときの口実に公平さを挙げておられますが、非常にこの点については、私は疑問に思っています。子育て世代の家計への支援、それから町へもっと出かけていきたいという高齢者の要望にこたえて移動手段の整備をすることが、個人消費の促進にもつながるわけであります。
私は、こういう観点から再検討を求めまして、私からの一般質問を終わります。
以上です。
浅川治水:遊水地について県との協議はどのように進めているか
さて次は、浅川治水について伺います。
私が住む豊野町の中央組は、昭和五十八年の浅川水害の後、当時の町土地開発公社によって宅地分譲され、今では百四十戸の集落になっています。周辺地域の字名、あるいは小字名は沖とか土浮、これは土が浮かぶという字でありますが、こういう地名になっています。既に以前から浅川の遊水地の役割を果たしていた土地柄であったところであります。
ここでは、ほとんどの家が万が一の場合に備えて、道路から数段の階段を付けて玄関に入る構造にして、水害から居住部分を守ろうと自衛策を講じています。私は、雨が大降りになったり、何日も降り続くと、まず見に行ってみるのが浅川の大道橋であります。それから、長沼の新幹線車両基地の上に架かるアップルブリッジの周辺であります。水の出方と周辺の状況を把握するのが重要だからであります。
昭和五十六年、五十七年、五十八年と続いた豊野町の浅川の水害被害は、堤防が決壊したものではなく、浅川のいっ水によるものでした。千曲川に流れる浅川が流れ込めずにあふれた内水災害でありました。二〇〇三年、平成十五年の夏から開かれた浅川流域協議会での議論も、浅川の内水対策について活発に議論がされたところであります。遊水地の設置、機場の能力アップ、放水路などが提案され、協議されました。
結局、現在は穴あきダムを造る方向で水理模型実験も行われるようですが、正直、浅川下流の住民にとってはダムから遊水地、ダムから千曲川へのスムーズな流れが重要なのであって、台風のたびに被害が生じる内水対策を早急に講じていただきたいと願うものであります。
まず、平成十八年度の台風被害でも、被害が出たところがアップルブリッジの周辺であります。遊水地として真っ先に対策が必要と思いますが、県との協議はどのようになっているか説明を願います。ほかに遊水地の場所については、いろいろ議論の分かれるところでありますが、浅川に支流が流れ込む合流地帯、田子川から下流の三念沢までの間、また低地である大道橋の付近も含めて、家屋の被害を避ける意味で必要かと思いますがどうでしょうか。
実は、二〇〇四年の平成十六年十月の台風の折、百年に一度と言われるその確率に相当する時間雨量百三十ミリの雨が降りました。千曲川合流部で基本高水毎秒四百五十トンに想定された雨量でありますが、富竹で二百六十トンの予想が、実際は何と五分の一の四十四トンの流量でありました。浅川の上流部からの水よりも、大道橋付近で合流する市街地の排水が問題との認識を私は持っています。
豊野に入ってからの浅川は、こう配がなく土砂ばかりがたまる川でありますが、特に大道橋から千曲川の浅川水門までの二・七キロメートルは、こう配が千二百分の一から千三百分の一と言われています。しかも両側に住宅地が迫っているのです。遊水地の設置に向けて是非県と協力し、早期に実現されることを強く求めるものであります。
◎和田智建設部長
私から、浅川治水についての御質問のうち、何点かについてお答えいたします。
まず、遊水地について県との協議はどのように進めているかとの御質問についてでありますが、県では、平成十八年二月に浅川の内水対策に関する基本的な考え方を公表しており、整備の目標を既往最大内水被害となった昭和五十八年九月の台風十号による洪水と同規模の出水に対して、床上浸水被害を防止するとしております。
この台風による長沼・豊野地区での被害は、浸水面積二百四十八・五ヘクタール、床上浸水三百三十一棟、床下浸水百八十八棟と甚大なものとなりました。また、現在同規模の出水が発生したと仮定した場合の試算では、ポンプ増強等当時との変化を考慮しても、二百二十五棟程度の床上浸水被害の発生が予想されます。したがって、この被害を防止する対策をどのように構築していくかが課題でございます。
内水対策において検討される対策は、排水機場のポンプ能力増強が遊水地の位置や規模等と連動して変化するなど、関連して一体的な効果を発揮することから、経済性、効率性等において、バランスのとれた施設能力が求められております。このため、内水対策で最も効果が見込める浅川排水機場の増強を具体化していくためには、まず遊水地の位置と規模等を特定し、ポンプ能力を確定していく必要があると考えます。
このような状況下で、昨年八月二十二日に河川整備計画が国の認可を受けたことから、遊水地計画等の内水対策につきましては、現在、県、市、小布施町による調整に入っておりますが、最も効果的な計画となるよう、今後とも関係機関が連携する中で検討を重ねてまいりたいと考えております。
そこで、アップルブリッジ周辺での遊水地の必要性についてでありますが、市といたしましても、浸水対策の必要性を理解しており、この周辺においては、新幹線建設に伴う鉄道・運輸機構との協議の中で、車両基地内の雨水調整池の付け替えに併せ、調整池の増設を要請し、その結果付近の代替道路建設に伴う用地を活用して、機構により既存も合わせ約五千平方メートルの雨水調整池が建設されることとなり、増設分につきましては、市に引き渡されることとなっております。
次に、浅川に支流が流れ込む合流地帯、田子川から下流の三念沢までの間、また低地である大道橋の付近に遊水地はどうかとのことにつきましては、県としても、この地区での遊水地の必要性は十分認識しておりますが、計画の素案づくりにおいては関係機関と調整を行い、必要となる貯留量や実施可能な位置について、御提案の候補地を含めて多角的な面から検討するとともに、詳細な技術的資料に基づく提案説明によって、地権者や地元関係者の理解と合意を得ていくことが重要であると考えます。
今後、市といたしましては、県、市、町との連携をとる中、遊水地計画が地元の皆様の合意を基に早期に策定でき、一日も早い排水機場の増強や遊水地の事業化ができるよう県に要望してまいります。
長沼一号幹線排水路の問題について
次に、長沼一号幹線排水路の問題についてです。
雨が続いて水害が心配のとき、大道橋の橋の上で水の出る状況を見ていますが、浅川本線だけなら何とか流れるかと思っているところへ、長沼排水機場からどんどん浅川に排水される状況です。本当に狭いところへきて、しかも住宅地にきて、浅川に負担を増大している長沼一号幹線排水路の水を上流で直接千曲川へ排水できないかと考えるのですがどうでしょうか。
私は、犀川より北部、そして裾花川から南東に向かう用水路、排水路の状況を見たり、地図で確認しながら、歴史的経過の詳しい人から学ぶ機会がありました。市街地の発展は、そのまま治水の歴史であるとの認識を深めたところであります。
その中で、気が付いた一つとして、南八幡、北八幡の機場から千曲川下流においては、浅川排水機場までありません。浅川の本線より南側の水は、一手に長沼一号幹線排水路に入ります。新幹線の車両基地の地下に広大な貯水施設を造るべきだったとの意見や、信大附属の周辺で遊水地が必要ではないかと言う人もいますが、どこでためるか、カットすることが必要ではないでしょうか。
◎和田智建設部長
次に、長沼一号幹線排水路の流入量の一部を上流で直接千曲川へ排水できないかとのことについてお答えいたします。
長沼一号幹線排水路は、柳原や長沼地区を流下し、浅川に注いでおります。降雨時には、鐘鋳川、北八幡川を初めとする農業用水路や雨水排水路により、都市部から多くの雨水を集めて浅川に流出する雨水排水処理における基幹的な役割を持つ排水路であります。しかしながら、地形が平たんでこう配がなく、浅川との水位差が少ないことから、滞水しやすい状況にあります。
このため、幹線排水路の流入量の一部を千曲川に直接排水することができれば、浅川にとっても負担を軽減することになることから、以前県では、浅川の内水対策手法における事業の取組として、長沼一号幹線排水路のバイパス計画となる千曲川への放水路案を検討した経緯がございます。
しかし、高低差のない地形上、千曲川へ自然流下できず、常時ポンプが必要となることから、建設費やその後の維持管理を考慮した結果、断念したものであります。市でも、千曲川へのショートカット案について検討した経緯がありますけれども、検討結果は県と同様の結論に至っております。
このため、長沼一号幹線排水路に関する浸水対策としましては、貯留対策に重点を置き、北八幡、長野運動公園、石渡などの雨水調整池により雨水の流出を抑制しているところであり、さらには信大附属小学校北側において、雨水調整池の新設を検討しております。
なお、県において北八幡川から柳原二号幹線排水路へバイパス建設事業を行っており、また長沼一号幹線排水路のバイパスでもある準用河川北八幡川排水機場の増強事業を市で実施していることから、これらによりまして、長沼一号幹線排水路への流入量の負担軽減が図られるものと考えております。
雨水の流出抑制対策について
次に、雨水の流出抑制対策について伺います。
今年から来年にかけて、長野運動公園地下への貯留のための施設整備が行われるとの予算説明がありましたが、具体的にどのような整備が行われるのか説明を願います。また、雨水や都市型排水への対応策を更に積極的に進めるために、公共施設への雨水貯留施設を今後どう計画的に行うか説明をいただきたいと思います。
◎和田智建設部長
次に、三点目の雨水の流出抑制対策についての御質問のうち、初めに長野運動公園雨水調整池設備の具体的内容についてお答えいたします。
市では、都市化の進展に伴う浸水被害防止のため、総合的な雨水排水対策として、都市排水路や雨水調整池の整備、水門集中制御システムの拡充等による効率的な雨水対策事業を推進しております。このうち、雨水調整池整備事業は、治水対策の大きな柱と考えておりまして、長野運動公園地下に平成六年三月完成した六千トンの雨水調整池に隣接して、更に二万二千トンを増設する事業を進めております。
施設概要といたしましては、南北方向に約百メートル、東西方向に約六十メートル、内空の高さが四・六メートルから五・四メートルの鉄筋コンクリートによる地下式調整池でございます。
事業の進ちょくにつきましては、今年度に基本設計が完了し、現在詳細設計を進めており、工事着手は平成二十年度の秋ごろを予定し、二十二年度中の完成を目指しております。この調整池が完成しますと、下流域に位置する朝陽、古里や長沼地区の浸水被害解消に向けて大きな効果が発揮されるものと考えております。
次に、公共施設への雨水貯留施設設置をどう計画的に進めるかについてお答えいたします。
現在、雨水の流出をできるだけ抑制するために、市内の小・中学校、公民館、保育園等の公共施設において雨水貯留施設の設置事業を行っており、各家庭への助成事業とともに全市的な流出抑制対策を進めております。この事業は、市所有三百二施設に対しまして、五百リットルの雨水貯留タンクを平成十六年度から計画的に設置しているものでございまして、平成二十五年度ごろには完了したいと考えております。
今年度までに、支所及び小学校など六十三施設に設置し、総貯留量は約三十一トンになっております。市といたしましても、下流域の浸水被害を防止するためには、都市部の雨水の流出抑制対策が最も重要かつ効果的であると考えており、今後も引き続き雨水調整池整備など貯留事業に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
排水機場の能力アップと地元負担の問題について
次に、排水機場の能力アップと地元負担の問題について伺います。
浅川の排水機場は、昭和四十三年に十四トンポンプを国営事業、当時の農林水産省直轄事業で設置し、昭和五十六年から五十八年までの三年続きの大災害の後、平成元年に十五トンを二基三十トンを設置し、これは県営たん水防除事業で、県の補助事業で造り、管理、財産は、長野平土地改良区へ贈与されたものと理解しています。この能力を二十五トンアップする計画でありますが、実際にその維持管理費、稼働時の電気料も長野平土地改良区の組合員負担とお聞きし、浅川流域協議会でも議論されたところです。農家組合員への負担増にならないよう求めるものですがいかかでしょうか。
また、幾らポンプの能力をアップしても、千曲川の水位が計画水位を超えると、千曲川の堤防を守るために稼働停止になります。そんな事態を生じることのないよう、千曲川のしゅんせつを国に積極的に働きかけていただきたいと思いますがどうでしょうか。
千曲川下流管理事務所では、河川の河床上昇はないと言われますが、こんな数字があります。昭和三十四年九月、伊勢湾台風の影響で、明治以降最大の被害があったと言われていますが、このときの立ヶ花の最大流量と昭和五十八年の最大流量はほぼ同じでありますが、水位は十・四四メートルから十一・一三メートルと六十九センチメートル上がっていますし、平成十八年の流量は、昭和三十四年、五十七年のいずれに比べても小さいのに、水位は十・六八メートルと比較年次の中では最高になっています。つまり、河床が上がっていると思わざるを得ない数字であります。
是非、市当局としても、国へ千曲川のしゅんせつを強く働きかけていただきたいと考えますが市の見解をお伺いいたします。
以上です。
◎鷲澤正一市長
次に、浅川治水についてのうち、浅川排水機場の能力アップにかかわる地元負担についてお答えいたします。
御案内のとおり、現在の浅川排水機場は、農林水産省所管の土地改良事業として国営及び県営事業により建設された施設でありまして、それぞれ国又は長野県よりその施設を贈与され、長野平土地改良区で維持管理しているものであります。長野平土地改良区で行う排水機場の維持管理及び排水時の運転の費用は、国営造成施設管理体制整備促進事業により、国及び県より補助金が交付されますが、土地改良区にも負担していただいております。
なお、豪雨などで増水が頻発し、排水機場の運転時間が増えた場合には、維持管理費用の増加が見込まれますが、長野市では、長野平土地改良区の負担が増えないよう、更に追加して補助金の交付をしております。
今後、予定されている排水機場の能力アップを行う事業は、国土交通省所管の浅川河川整備計画に沿って、長野県が主体となって実施される事業であります。土地改良事業ではないため、直接には長野平土地改良区への維持管理の依頼はないと思われます。よって、長野平土地改良区の負担が増えることはないと考えております。
現在、長野平土地改良区には、土地改良事業で建設された長野市東北部四か所の排水機場の維持管理をしていただいておりますが、近年、田畑など受益地が減ってきていますので、土地改良区の運営に支障が出てきております。特に、費用のかかる排水機場維持管理を長野平土地改良区に任せておくこともできなくなるのではないかと懸念しているところであります。
いずれにいたしましても、今後、長野平土地改良区の負担が増加しないよう体制を整備してまいりたいと考えております。
次に、千曲川の水位との関係で、ポンプの稼働ができない事態が生じないよう、千曲川のしゅんせつを国に積極的に働きかけるべきではないかとのことについてでありますが、河床しゅんせつについては、従来から河床の状況を踏まえつつ国で対応いただいており、近年では、浅川の堤外水路、立ヶ花橋上流、それから小布施橋下流などにおいて実施されたと聞いております。
市といたしましては、今後とも千曲川に関係する同盟会などを通じ、河床のしゅんせつ等を要望してまいりたいと考えております。
私からは以上です。