2007年12月定例市議会 佐藤くみ子議員の個人質問
児童館・児童センターの充実と放課後子どもプランについて
りんごの湯の指定管理者の選定について
学校図書館司書の充実について
地域福祉と社会福祉協議会の果たす役割について
私は、一九八七年、昭和六十二年から十六年間、豊野町の時代に町会議員として地方政治に携わってきました。いつも心掛けていたことは、主権者としての住民こそが主人公の立場で、身近な住民の声を議会で取り上げ、切実な要望実現のために議会内外で力を合わせることでありました。このたびの長野市議会議員選挙におきまして初当選させていただきましたが、今改めて、地方公共団体の果たす役割は何か、自治体はだれのためにあるのかを考えさせられているところであります。
本日は、選挙期間中に寄せられた市民の声や今後の地域づくり、まちづくりのために見過ごしにできない指定管理者の問題など、四項目にわたり質問を行いますので、よろしくお願いいたします。
児童館・児童センターの充実と放課後子どもプランについて
現在運営されている児童館、児童センターは、多くのところで定員を超え、過密状況にあると聞いています。対象者が希望しても入れない、近くに祖父母がいる場合は入れないなど、深刻な状況であります。市はこの過密解消にどう取り組むのか説明をお願いします。
豊野東部児童館は、今から八年前の平成十一年十一月一日、働きながら子育てをしている保護者の強い希望により開館され、三十五平方メートルの空き教室に、当時は五人の登録児童ということで始まりました。
ところが、年々ニーズが高まり、同じ部屋でありながら、今年度は五十七人の児童が利用する児童館になっております。一人当たりの平均面積は、たったの六十平方センチメートルという状況であります。机も足りず、リノリウムの床にノートを広げて宿題をしていると、手足を踏まれることは日常茶飯事、室外でおやつを食べたり、雨天であっても部屋に入れず軒下で弁当やおやつを食べ、少し体調が悪くてもパイプいすを並べて横になっているなど、放課後児童健全育成には程遠い実態であります。
十月二十三日に、東部児童館を考える会の代表四人が、地元住民の六百九十名の署名を添えて、一日も早く過密解消をと担当課に要望書をお渡ししたところでありますが、改善策について御答弁を頂きたいと思います。
安全・安心な居場所づくりが、働きながら子育てをする親に限らず全社会的な課題となってきた中で、この課題とニーズの高まりに対して追い付かない学童保育拡充の課題を、共に解決する方策として登場したのが、いわゆる学童保育を統合した全児童対策事業であります。
政府の方針の一体化、連携とは違い、長野市も放課後児童健全育成事業と放課後子ども教室推進事業を一本化し、全児童対策の一つの事業として拡充するという市の方針を打ち出しました。
しかし、目的も役割も事業内容も違う二つの事業を一本化するのは、無理があると考えます。学童保育は、低学年の子供たちの放課後の生活の場として、何よりも安心が実感できる場として重要でありますが、放課後子ども教室は、一つの遊び場として利用する子供たちも参加するところとなります。当然、利用希望者の人数が膨らむことが予想されます。
場所の確保は、空き教室がなければ、ふだんの教室も利用するとの説明がありましたが、児童個人の所有物もある教室でそうしたことが可能なのか。見守る人の確保も必要になってきます。
厚生労働省は、指導員に教室事業との兼務はさせない、学童保育の水準を下げることはさせないと説明していますが、拙速に進めることなく、地区の実情に合った中で十分協議する必要があると考えます。また、学校の中にすべての居場所づくりを求めること自体、見直しが必要だと思いますが、所見を伺います。
佐藤久美子議員さんの御質問のうち、初めに児童館、児童センターの充実と放課後子どもプランについてお答えをいたします。
留守家庭の児童を対象とする放課後児童健全育成事業と、希望するすべての児童を対象とする放課後子ども教室推進事業は、確かに定義上の目的等は違っています。しかし、長野市においては、両事業をそれほど区別することなく、地域の実情に合わせた運営をしているのが現状であります。
このことは幼稚園と保育園の関係にも似ておりますが、放課後子どもプランにおいては、保護者の就労状況によって子供の行き先を区別するのではなく、放課後も友達と過ごすことを希望する児童は、だれでも参加できるようにしていこうというものであります。こうした考え方により、既存の児童館、児童センターの施設を存続させた上で、新たな居場所を小学校内に設けていこうというのが、長野市版放課後子どもプランであります。
対象児童の拡大に伴い、確かに場所の確保、人材の確保が必要になりますが、現在ある児童館・児童センターに加え、学校教育に支障が生じない工夫をしながら、学校側との調整を行う中で、小学校の施設を有効に活用するとともに、常勤の指導員や様々な有償ボランティアを確保し、異学年の児童や地域の大人と接する中で、豊かな人間性をかん養してまいりたいと考えております。
子供を取り巻く社会環境並びに現在の両事業についての保護者及び関係者からの要望を考慮いたしますと、拙速に進めることはいたしませんが、できるだけ早い時期に、この長野市版放課後子どもプランを実施していく必要があると考えております。
◆下條年平保健福祉部長
私から、二点についてお答えを申し上げます。
児童館、児童センターの充実と放課後子どもプランのうち、初めに児童館、児童センターの過密解消についてお答えをいたします。
現在本市では、市内の四十二か所に児童館、児童センターを設置しており、未設置の小学校区や登録児童数が増加している小学校区などにおきましては、小学校の余裕教室や公民館などを活用した児童クラブを十七か所に設置しております。市内の児童館や児童センター等では年々登録児童数が急増しておりまして、特に大規模な小学校区にある児童館や児童センターでは入館の申込みに応じ切れない状況となっております。
こうした中、現在策定中の長野市放課後子どもプラン素案は、小学校三年生以下の留守家庭の児童については従来の児童館、児童センターにおいて、四年生以上の留守家庭の児童と一年生から六年生までの留守家庭以外の希望児童については学校内に新たに設ける拠点施設において対応することを基本とし、安全で安心な居場所を確保しながら児童館、児童センター等の過密解消を図っていこうとするものであります。
また、学校内に設ける拠点施設につきましては、学校教育に支障が生じないよう工夫しながら、学校側との調整を行う中で、できるだけ広いスペースを確保していきたいと考えております。
子どもプランでは、各小学校区ごとに運営委員会を設置し、児童館、児童センターと校内の拠点施設を統合管理することとしております。各小学校区ごとに施設や児童の状況は様々ですので、それぞれの実情に応じ、児童館、児童センターと校内施設との児童のすみ分けなど、運営委員会において運営方針を検討していただきたいと考えております。
来年度はモデル的に小学校区を指定し、長野市版の放課後子どもプランをスタートさせてまいりたいと考えておりますが、モデル校区での実施状況を踏まえ、各小学校区ごとの実情に応じた実施方策を検討しながら、できるだけ早期に市内全小学校区において実施を目指してまいります。
次に、豊野東部児童館の過密解消についてお答えをいたします。
豊野東部児童館は、豊野東小学校の教室の一部を利用して設置されておりますが、児童館専用教室の面積は三十五平方メートルでありまして、五十人を超える児童の育成環境の面からは過密であると認識をしており、小学校の協力を得て、校庭、中庭や体育館を使用し、運営を工夫している状況であります。
この過密状況を解消するため、これまでも教育委員会及び小学校と特別教室などの利用の可能性について協議を続けてまいりましたが、授業に支障があることや多額の改修費がかかることなどの課題があることから、学校内での活動場所の確保ができない状況となっております。
しかしながら、子供たちの新たな居場所の確保は急務であると認識をしておりますので、今後、放課後子どもプランの実施に伴い定められます小学校施設の開放基準にのっとりまして、小学校施設の利用について、小学校や地区関係者と協力しながら、この過密状態の解消を図ってまいりたいと考えております。
東部児童館の過密解消は、これは余りにもひどい状況で、一日も早い改善が求められるところであります。私は、この現状を一刻も早く改善するために、関係者の協力を得て、対策委員会等を早期に立ち上げて検討に入ることが必要かと思いますが、その点について市の見解を伺います。
◆下條年平保健福祉部長
東部児童館の過密の関係につきましては、従来から学校関係者等と協議をしながら進めておるところでございますが、現在、放課後子どもプランの実施に伴って定められます小学校の統一的な開放基準を校長会と協議をしておるところでございまして、この開放基準が出来上がり次第、それにのっとりながら学校、それから地区関係者と協力をしながら、早急にこの過密解消の方策について検討をさせていただきたいと思っておるところでございます。
以上でございます。
市は、原則的には児童館については増設をしないという考え方を示していますし、また予算措置については、まだ明快な方針が出されておりません。しかし、東部児童館については、こうした状況を考えて必要な予算措置を講ずるよう求めるものであります。
りんごの湯の指定管理者の選定について
市長は、今議会のあいさつで市制百十周年にも触れ、先人たちが培い、地域の皆さんが守りはぐくんできた伝統、文化、自然を大切にしながらうんぬんと述べておられます。私は、市制百十周年の十月二十七日の記念式典での武田徹さんのナレーションで、三十地区のそれぞれの伝統、文化、産業などを紹介した映画に、長野の地域の個性と魅力を実感いたしました。
ところが、地域の独自性が生かされない、個性を持つ地域づくりを否定しているのが指定管理者制度とその選定であります。言っていることとやっていることが、全く正反対ではないかというのが私の実感であります。
りんごの湯は、平成元年のふるさと創生一億円の交付がきっかけで、地域資源の活用ということで、このうち一千万円で町内四か所を試験箇所として調査したのがそもそもの始まりです。その後、県単事業で調査も行い、当時の国の農林省の補助事業、地熱水開発調査事業、これは全国でたった一か所の採択しか認められなかった事業でありますが、この事業に何とか採択され、国、県が四千万円、町が四千万円で平成十年に掘削を開始し、翌年、十一年二月に一千メートル掘ったところで毎分四百リットル、四十二度の自噴が確認され、町中本当に喜び合った温泉であります。
地熱水利用のイチゴハウス栽培も二反歩行われ、毎年十一月から四月までの半年間、地熱水の熱をイチゴ栽培に回すため、温泉温度が三十六度になり、加温している状態であります。熱交換器は、JAの管轄になっています。
このようにJAとの連携、また農産物直売所も含め、農業振興、地域振興に大きな役割を負ってきた施設であります。運営は平成十六年二月からJAながのサービスが指定管理者として、シルバーや障害者の地元雇用も図り、利用客も順調に伸び、経営的にも問題なく、地域住民の信頼が寄せられてきた施設であります。
その施設の管理者が替わるとの報に、地域住民は大きな落胆ぶりを示しています。なぜ管理者を替えなければならなかったのか。せっかくここまで積み上げた関係者の努力やノウハウが、無用のものになってしまうという怒りがあります。
選定の理由が、プレゼンテーションを行った結果、直営レストランでの収益増が見込めることと集客の拡大を挙げていますが、採算だけを優先させて一体地域づくりができるのか、見解を問うものであります。地域資源を生かしたこうした施設の管理運営に指定管理者制度はなじまないし、見直しをすべきだと思いますがいかがですか。
しかも、新たに選定された管理者が県外の小さくない企業ですが、地元住民は全く納得できません。住民には豊野の地にわき出ているおらが温泉という誇りがありますが、新しい管理者が地域振興や農業振興にどれほどの理念があるのかといった、疑念の混じった思いであります。地域で盛り立てようと様々な人がかかわってきた、その頑張りを応援するのが行政本来の在り方ではないでしょうか。再考を望むものであります。
次に、豊野温泉りんごの湯の指定管理者の選定についての御質問にお答えをいたします。
指定管理者制度は、これまで地方自治法により外郭団体や公共的団体しか管理委託することができなかった管理委託制度の改正により、民間の能力を活用しつつ住民サービスの向上や経費の節減を図るため、民間の企業なども参加できる指定管理者制度が新たに創設されたものであります。
私は、公の施設の管理運営は、今までのすべて市が行うものという概念を取り払い、民間でも同種の事業を展開している時代であることから、競争、サービス、効率の三点セットで民間活力をより導入していくことが、これからの行政運営には不可欠であると認識しております。
豊野温泉りんごの湯につきましては、十六年三月に当時の豊野町において公募、選定され、町議会で議決された指定管理者の指定期間が来年二月末で満了することに伴い、豊野町と同様に公募による指定管理者の選定を行ったものであります。
今回の選定に当たっては、民間からの学識経験者等も入った指定管理者選定委員会におきまして、提案内容や運営の姿勢等について書類審査及びプレゼンテーションを行い、他の申請団体からの提案よりも積極的な事業展開による利用拡大、広域的な誘客が期待されるなどの点が特に評価されたものであり、採算面だけでなく管理運営全般にわたり優れた提案をされた団体を選定したものであります。
しかし、私は、この施設の運営に当たっては、市の厳しい財政状況の中で、積極的な誘客を展開することにより市民の健康増進に寄与するとともに、経営においても効率化を追求し、健全な運営に努めることで持続的な施設運営が図られるものと考えており、採算面も重要な評価ポイントの一つであると認識しております。
現在の指定管理者が落選されたことは大変残念でありますが、更に力を付けて、次回の選定の際には優れた提案を出していただければ、そして頑張っていただきたいと、こんなふうに思います。
次に、地域資源を生かした施設の管理に指定管理者制度はなじまない、見直しをすべき、また地域の頑張りを応援するのが行政の在り方ではないかとのことでありますが、豊野温泉りんごの湯につきましては、地域資源である温泉を生かして、広く市民、さらには市外の皆様にも御利用いただくことを目的とした温泉入浴施設であります。
正に公募方式で競争原理に基づいて選定を行う典型的な公の施設でありますので、地元企業だけに絞ってやっていくつもりはなく、現状ではこれを見直すつもりはございません。
第二学校給食センターにおける調理業務委託事業者のプロポーザルの際にも、県外事業者の方が給食センターの豊富な実績や充実した職員体制、安全衛生面、危機管理体制の充実の点で勝っており、安全でおいしい学校給食の調理を任せられることを最優先としたものであります。
私としても、地元企業や団体に市の施設の指定管理や業務委託をお願いしたいところでありますが、現在のところ、地元企業の事業実績や経営ノウハウ、また提案内容やプレゼンテーションの力量には、市外、県外の事業者との差は縮まりつつありますが、いまだ差があることは事実であり、地元企業にもレベルアップを図る一つのステップとして考えていただき、今後、地元ならではの優れた提案をされ、施設の管理運営をお願いしたいと考えております。
私からは以上です。
学校図書館司書の充実について
この問題については、以前から共産党市議団としても取り上げてきたことでありますが、是非充実を求めるものです。
図書館司書の身分保障、専門職員の計画的配置を、今後どのように進めるか説明願います。久しく活字離れが指摘されていますが、子供の知りたい、分かりたい意欲を引き出すには、図書館司書の存在は決定的です。是非充実を願います。
学校図書館の御質問にお答えいたします。
学校図書館は、読書を通じて児童・生徒が国語力、理解力や創造力を培うことができるなど、その役割は学校教育において非常に重要であると考えております。このため本市では、蔵書数を増加するなど学校図書館の充実に努めているところであります。
市立小・中学校の学校図書館司書につきましては、学校長が委員長を務める図書館運営委員会において独自に職員を雇用し、勤務日数や勤務時間、賃金などの雇用形態については、各学校の実情に応じ設定しているところでございまして、学校により勤務日数等は相違しておりますが、現在すべての学校において専任の図書館職員が配置されております。
このため本市では、学校における負担を軽減するため、図書館司書職員の雇用に対しまして、学校図書館運営費補助金を交付し、学校を支援しているところであります。この補助金の交付に当たりましては、児童・生徒が学校にいる間は学校図書館を開けておき、子供たちの読書活動の充実につなげるようにするとともに、学校において図書館職員を安定的に雇用できるよう、学校図書館職員の勤務形態について、一日五時間、年間二百十日勤務を将来の基本目標としております。
これに対する現在の補助金の達成状況は、二十四学級以下が約六十パーセント、二十五学級以上が約八十パーセントとなっておりまして、大変厳しい財政事情ではありますが、目標を達成できるよう学校図書館運営費補助金の増額に努めてきているところでございます。
以上でございます。
地域福祉と社会福祉協議会の果たす役割について
長野市の地域福祉の担い手として、社会福祉協議会の果たす役割が大きいと思いますが、今年九月に出された外郭団体(重点見直し団体)における中・長期的な経営計画の検討状況を見ますと、市街地での介護サービス部門の縮小など位置付けが変わることが予想されますが、どのようになるのか説明願います。
また、現在住民の一番身近なところで、福祉の現場で相談窓口になって調整役を担っている社協のコーディネーターを市職員と位置付け、地域福祉でのかなめの役割を負うにふさわしい体制にすべきではないでしょうか。見解を伺います。
次に、地域福祉と社会福祉協議会の果たす役割、コーディネーターの役割についてのうち、初めに外郭団体の見直しによる位置付けについてお答えをいたします。
長野市は平成十八年十一月に長野市外郭団体見直し方針を示し、今年八月に決定をされました市社会福祉協議会としての対応、経営計画でございますが--におきましては、地域福祉推進に関する分野での直接的な見直しはなく、その位置付けについてはこれまでと変わることはございません。
市は、引き続き市社会福祉協議会の地域福祉に係る活動を支援するとともに、連携・協働体制を継続してまいりたいと考えております。
次に、市職員のコーディネーターとしての配置についてお答えをいたします。
市では、平成十七年六月に策定いたしました長野市地域福祉計画に基づき、市内三十地区において各地区独自の課題を見付け、その解決に向けて取り組むための地区地域福祉活動計画の策定に対する支援を行っております。
また、各地区での地域福祉活動の推進のために、現在、市内九地区で地域福祉ワーカーが地区社会福祉協議会により雇用をされ、活動をしております。
地域福祉ワーカーは、悩みや不安、困り事等を解決につなげる地域密着型のお手伝い役でございます。住民から寄せられた相談や課題を、そのニーズに応じた様々な支え合い活動につなげたり、支え合い活動の仲間づくりを進める役割を持っていることから、地域福祉活動をより身近な立場で住民と共に推進する地域福祉ワーカーの配置が、今後も必要と考えております。市内一律の公的福祉サービスだけでは解決のできない地域特有の新たな福祉ニーズに対応できる地域をつくることが、新しい福祉、すなわち地域福祉であり、地域住民が主体となって取り組んでいただくものと考えております。
このことから、市職員としてのコーディネーターを配置するのではなく、地域のコーディネーターとしての役割も持つ現在の地域福祉ワーカーの雇用の促進や資質向上への取組などに、市及び市社会福祉協議会で支援を行い、地域福祉活動を支えていくことが重要と考えております。
私からは以上でございます。