2007年9月定例市議会 野々村ひろみ議員
請願第八号子どもの医療費無料制度の創設を求める国への意見書提出の請願を不採択とした福祉環境委員会委員長報告に反対の立場から討論
二十九番、日本共産党長野市議団の野々村博美でございます。
請願第八号子どもの医療費無料制度の創設を求める国への意見書提出の請願を不採択とした福祉環境委員会委員長報告に反対の立場から討論を行います。
少子化が大きな社会問題となり、二〇〇一年五月三十一日に国による義務教育就学前までのこどもの医療費無料制度の創設を求め、乳幼児医療費無料制度を国に求める全国ネットワーク乳幼児医療全国ネットが結成されました。この会の賛同国会議員は、今年六月の時点で衆議院で五十一名、自民党、民主党、日本共産党、社民党、無所属、参議院で四十八名、自民党、公明党、民主党、日本共産党、社民党、国民新党です。衆議院では、公明党さんだけは賛同をいただいていないようですが、衆参を通せば、すべての主要政党の皆さんに賛同をいただいており、一日も早く乳幼児医療費の無料化を国の制度にという世論が急速に広がっています。
残念ながら、本請願の委員会での審議の中では、新友会の議員さんからは、無料化にすれば安易に子供を病院に連れていく母親が増え、医療費の負担が増えるとか、子供がせきをしただけで医者に連れていくような親が増えるなどという議論が行われました。核家族が増え、地域や家族で子育てを支える体制が弱まっている今日、子供の健康について不安なことがあったら、いつでも気軽に相談できる、医療が受けられるという体制を強化していくことは当然のことです。
また、新風会の議員さんからは、国から地方へという時代、税源移譲を強化して地方が責任を持ってやっていくべき課題だという意見も出されましたが、窓口無料を行えばペナルティーを科すような厚生労働省の姿勢がある限り、真の地方分権の時代が来るのはまだ先のことでしょう。さらに、地域格差がますます広がっている今日、深刻な少子化傾向に歯止めをかけるには、最低限の子育て支援を保障するという観点が必要で、国の制度としていくことが急務です。
最後に、公明党の女性議員さんからは、子育て支援策としては働く女性の方が出生率が高く、専業主婦の方が子供の数が少ないという統計が出ており、働きやすい職場環境を作ることが求められており、この要求は今ずれている。実のある子育て支援が必要という主張が行われました。
私も過去何回か、議会でも子育て世代の働く職場環境の整備をと要求してきましたが、長時間労働、非正規雇用の拡大など、労働環境は依然大変厳しいものがあり、早急な改善が求められているのは当然です。しかし、それをもって子どもの医療費無料制度の創設を求める国への意見書提出の請願はずれているとか、実のある子育て支援ではないかのように主張し、本請願に反対するのは、ためにする議論ではないでしょうか。
平成十六年、内閣府が少子化対策に関する子育て女性の意識調査を行いました。子供のいる二十歳から四十九歳の四千人の女性を対象に五項目の調査を行い、その一項目で今後の少子化対策について意見を聴いています。少子化対策として重要であると考えているものでは、経済的支援措置が六十九・九パーセントと断然トップでした。二番目は、保育所の充実を初めとした子供を預かる事業の拡充三十九・一パーセント、出産・育児のための休業・短時間勤務三十七・九パーセント、出産・子育て退職後就業を希望する者に対する再就職支援三十六・一パーセント、仕事と育児の両立の推進に取り組む事業所への支援三十三・一パーセントとなっています。
さらに、経済的支援措置について望ましいものは何かと聴いたところ、一位は保育料又は幼稚園費の軽減六十七・七パーセント、二位が乳幼児、例えば六歳未満の医療費の無料化四十五・八パーセント、児童手当の金額の引上げ四十四・七パーセント、児童手当の支給対象年齢の引上げ四十二・五パーセントとなっており、乳幼児医療費の無料化の要求は非常に高く、特に年齢の低い層ほどこの要求が高いという顕著な傾向が出ています。
日本共産党市議団は、この間市民の皆さんにアンケートをお願いしてきましたが、千百通を超える返答が返されました。子育て支援策として求められたのは、医療費の無料化三十六・九パーセント、子供を産み育てやすい職場の環境づくり三十五・八パーセントで、内閣府の調査とほぼ同じ傾向です。
既に、長野県議会では全会一致で請願は採択され、意見書が上げられ、村井知事でさえ国に行ってもらいたいと議会で答弁されています。当然のことでしょう。長野市議会の見識が問われる問題と思います。
御賛同をお願いし、反対討論といたします。