2007年9月定例市議会 永井みえこ議員の一般質問
鷲澤市長の政治姿勢について
NTTコールセンターについて
第四次総合計画と環境問題について
教育行政について
指定管理者制度の導入後の実態について
介護保険の問題点について
後期高齢者医療制度について
おでかけパスポートについて
二十六番、日本共産党長野市議団永井巳恵子です。
市長を初め理事者の皆さんの明快で納得のいく答弁を期待するものです。
初めに、新潟県中越沖地震で新潟県はもちろん、長野市内でも被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げますとともに、早く元気になられますよう心から御祈念を申し上げ、質問に入ります。
市長の政治姿勢について
まず、市長の政治姿勢についてお伺いをいたします。
最初に、平和憲法と人権についてであります。
自公政権の下での参議院選挙の結果を見て、国民の怒りが表れたのかと強く感じています。年金の問題、税金の問題、政治と金の問題、憲法の問題、どの問題でももう自民・公明の政治には愛想が尽きたというのが、国民の多くの皆さんの気持ちだったのではないでしょうか。
今度の選挙ほど国民の皆さんの生活の痛み、何とかしてほしいという声が、たくさん寄せられた選挙はなかったのではないでしょうか。貧困と戦争から国民の命を守る、日本共産党の初心に立って今後も頑張っていきたいと決意しています。
安全不安の広がりのほかに今、憲法を変えようとする動きもあって、多くの憲法に詳しいという人たちの中にこれに対して危機感が強く広がって、新聞などの記事でも目に留まります。生存権を定めた二十五条を中心に憲法が社会保障の発展に果たした役割は大きい、憲法九条によって日本が戦争に参加できなかったように、二十五条があったことで社会保障制度を一定の水準まで整備してきました。
今、貧困と不平等拡大の中で万一病気になって仕事ができなくなったり、リストラで仕事がなく生活ができなくなっても貧困状態にならないように、医療や介護、年金などの社会保障制度を充実させ、生活を安定させるのが行政の責任ではないでしょうか。しかし、今の政治は生活保障制度を改悪し、九州などであったように餓死もしています。
金沢大学の教授がある記事で言っているように、新しい豊かな人権を保障することは、憲法を変えなくても可能であること、一九六六年にできた国際人権規約の下に女性差別撤廃条約や子供の権利条約、昨年、障害のある人の権利条約ができて、より高水準の人権保障を各国の政府に求めています。こうした条約を批准してきちんと守れば、憲法をより豊かにできます。
教授は、憲法の優れた点として二つの点を強調されていました。一つは九十七条です。基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、現在と将来の国民に永久の権利として信託されたものであると述べられ、アメリカの押し付けではない人類全体の歴史的な努力でかち取ってきた成果だとおっしゃっております。壮大な歴史観が盛り込まれていると思うとのこと。
もう一つは、十二条で憲法が保障する自由と権利は、国民の不断の努力によって保持しなければならないとうたっています。国民に対して、憲法を守り発展させるという厳しい義務を課しているのです。平和なくして社会保障なし、社会保障と人権の発展なくして平和なし。今こそ国民が総力を挙げて憲法改正を阻止し、人類が築いてきた人権保障をより発展させるために不断の努力をするときだと思いますが、市長の御見解をお伺いいたします。
◎鷲沢正一市長
永井巳恵子議員さんからの御質問のうち、初めに平和憲法と人権についてお答えをいたします。
憲法は、御承知のとおり我が国の最高法規であり、我が国の平和と繁栄は憲法を遵守することによりもたらされたものと考えております。ただし、将来にわたりいつまでも変えられないものではなく、国会での議論はもとより、国民主権として国民の間で様々な議論が交わされ、改正する必要が生じた場合には改正されるべきものであると考えております。
NTTコールセンターについて
次に、NTTコールセンターについてお伺いをいたします。
市長は、もんぜんぷら座について誘致できれば新たな雇用が見込まれ、商店街への経済的な波及効果もあり、まちづくりにも期待できるとおっしゃっています。しかし、市民の財産であるもんぜんぷら座改修には、約六億六千万円も公的資金が投入され、民間企業に賃貸します。当然、賃貸契約は、長野市に負荷のない厳格なものでなければなりません。
六月議会では、NTTと協議中で賃貸の期間も家賃も不透明のまま補正予算を決めてしまいました。早期撤退時の担保についても不透明で、今後協議中としていました。協議中で、契約も不透明のまま補正予算を決めてしまったことには納得できません。改めて賃貸期間、家賃、早期撤退時の担保など契約はどうなっているのか、責任ある答弁を求めます。
◎鷲沢正一市長
次に、NTTのコールセンターについてお答えをいたします。
NTTコールセンターにつきましては、本年度に入り浮上してきたものでございます。正式な申込みについては、七月九日、NTT東日本からもんぜんぷら座の五階から八階まで借りたいとして申込書を頂いたものでございます。
御質問の賃貸期間、家賃、早期撤退時の担保などを盛り込んだ賃貸契約につきましては、現在NTTと協議中でございます。本市といたしましては、改修のため相応の投資が必要となりますので、長期間の契約を申し入れており、NTT側としてもコールセンターとして必要な間仕切り、二重床等の工事を独自の工事として自己投資を行うことから、早期撤退の意思はないものと考えております。
家賃につきましては、基本的には、現在のもんぜんぷら座及び近隣の状況を踏まえたものとなり、現在検討・協議中でございます。また、早期撤退時の担保とのことでございますが、できるだけリスクを回避することが必要であると考えており、契約条項についてNTTと協議を行っており、契約内容につきましては、今後、御報告申し上げていきたいと考えております。
なお、今回の工事は店舗仕様のものを事務所用に改修する工事でございます。たとえNTTが撤退したとしても、他の入居希望があった場合、すぐに対応が可能なはん用性のある状態をつくり出すものと考えております。
したがいまして、本市といたしましては、NTTコールセンター入居が良い機会ととらえ、改修を実施することはもちろん、もんぜんぷら座の利活用を考えた場合、有益であると考えております。
第四次総合計画と環境問題について
次に、第四次総合計画と環境問題についてお伺いをいたします。
長野市の第四次総合計画、善光寺平に結ばれる、人と地域がきらめくまちながのを見まして、基本構想の中の第二章まちづくりの方針の中で、二の豊かな自然環境と調和した潤いのあるまちの中で、まちづくりの方向性として地球温暖化対策として温室効果ガスの削減が急務となっており、地球規模での様々な環境問題への取組が求められている中において、市民・事業者・行政のパートナーシップにより、豊かな自然環境を保全し、限りある資源が循環する、環境に調和した長野らしいまちを目指します、となっておりますが、あの自然の美しい地である浅川上流の今でもその付近で地滑りが起きていて、水抜きしている危険なところにコンクリートの穴あきダムを造ることが、この計画構想とどう一致するのか、市長の見解を分かりやすく御説明いただきたく思います。できる限り、子供たちに負の遺産を残さないために、地球温暖化対策としての配慮を私は考えます。
◎鷲沢正一市長
次に、第四次総合計画と環境問題についてお答えをいたします。
総合計画は、市民と行政のまちづくりにおける基本方針となるもので、平成二十八年度を目標年度として第四次総合計画が今年度からスタートをいたしました。これを実現するための基本方針は、行政経営、環境、防災・安全などの七つの分野からなり、これらは個々のファクターとして重要なことはもとより、それぞれの方針が機能的に一体となって長野市のまちづくりを目指すものでございます。
御質問の浅川につきましては、ダム建設を含めた治水対策の早期実施が、幾度となく洪水被害を受けた流域住民にとり、安全で安心して暮らせる環境を実現する上で必要不可欠なものであり、防災・安全分野の視点からは最も重要な施策であります。
一方、治山・治水事業の防災施設であっても、でき得る限り自然環境の保全に配慮がなされるべきものと考えますが、今回の穴あきダム計画は川が自然の流れのため水質や水温に変化を与えないこと、また貯水でダム湖となる箇所の樹木伐採が避けられることなど、環境への負荷を最小限に抑えたものとなっており、自然環境との調和を図っているものであります。
このような今計画は、まちづくりのために本市が緊急に解決しなければならない治水という課題への対応と、環境保全の双方を実現させた最も効果的な、かつ、優れた手法と考えます。
私からは以上です。
教育行政について
次に、教育行政について伺います。
教育基本法と子供観についてです。
すべての子供が幸せに育つことができますように、子供の権利条約はそうした願いを込めて国連で一九八九年に採択されてから十八年、我が国で批准されたのは一九九四年五月、それから十三年が経過しました。がしかし、この間、日本の子供たちを巡る姿はどうでしょうか。いじめや自殺、子供が犠牲になる痛ましい事件が次々と報道されており、これで子供たちが健やかに育っていけるのか心配される状況にあります。
このような時期にこそ、条約の精神が発揮されなければなりません。子供や子育てを巡る事件や問題を逆手にとって、一部の人たちからはあからさまな子供の権利へのバッシングが組織されています。国家による教育への管理、統制を目指して教育基本法が改正され、罪を犯した子供たちに厳罰主義で臨むという少年法改正も強行されました。
安倍首相直属の教育再生会議の報告に書き込まれた奉仕活動の義務化や徳育の教科化などを見ても、国の政策・施策のレベルにおいて子供の権利条約の精神とは逆行しています。子供たちが自由に伸び伸びと学べ、自分らしく育ち、自由に活動でき、豊かな心を醸成できるような、子供たちにとって優しい環境の下での教育が必要かと思うのですが、御見解はいかがでしょうか。
◎小泉敬治教育委員会委員長
私から、教育基本法と子供観についてお答えを申し上げます。
教育基本法や関連法の改正は、国による教育への管理、統制を目指すものではなく、新しい時代に求められる教育理念を明確にし、学校教育の一層の充実を図り、学校、家庭、地域による相互の連携協力を促進するなどの方向で進められているものと受け止めております。
子供の健やかな成長のためには、安心・安全な環境、学ぶ意欲が高まる環境、そして豊かな心がはぐくまれる環境が大切であります。環境において子供たちは基礎・基本の力が確かに身につき、個性を伸ばすとともに、自らを律しつつ他人を思いやる感動する心を身につけていくものと考えております。
教育に当たる者の子供観、指導観に関しましては、子供は一人一人学ぶ早さも得意とする学び方も違います。ものの感じ方、考え方も異なります。一人一人の人格を尊重しながら、その子らしさやその子の育ちを温かく見詰めながら、個に即した指導を進めていくことが大切であるということを考えております。
私からは以上でございます。
次に、全国一斉学力テストの問題点についてお伺いをいたします。 全国一斉学力テストが行われ、私たち当市議団が議会質問や委員会の審議を通じて表明しておりますように、競争の教育を一層厳しくし、全国の学校と子供たちを序列化するものと考えざるを得ません。既に学力テストが実施されている東京都などの自治体では、学校選択制とリンクされ、学校の序列化、統廃合などが進み、教育現場に混乱と荒廃をもたらしています。この間も不正があったとのこと、子供たちの心を傷つける重大な問題です。
長野市としては愛知県の犬山市のように、全国学力テストを実施しないでほしいと願うものですがいかがでしょうか。学力テストを強行する場合は、小学校六年生についても番号方式で実施し、結果は公表しないよう要望をいたしますが、お考えをお聞かせください。
◎立岩睦秀教育長
教育行政についてのうち、全国一斉学力テストと問題点についてお答えいたします。
全国学力・学習状況調査は、国語と算数・数学の二教科において、主に知識に関する問題と活用に関する問題が出題されております。
これらは、本市が独自に実施しておりますNRT標準学力検査で評価できる学力に加えまして、読解力や活用能力等を評価するもので、本市の児童・生徒が身につけておくべき確かな学力の一つととらえておるところでございます。
本調査の実施に当たり、実施要領には市町村教育委員会は個々の学校名を明らかにした公表は行わないと明記されておりまして、学校間の序列化や過度な競争等につながらない配慮をするよう述べられております。また、本市では、全国学力・学習状況調査の生かし方や結果の公表につきまして、NRT標準学力検査に準じてと考えておりまして、教師や学校が検査結果から授業改善や指導改善、教育課程改善に役立てることを大切にし、長野市全体の結果につきましては、児童・生徒の学力の実態や課題を文書にて公表してまいりたいと考えております。
したがいまして、永井議員さん御指摘のような競争の教育を一層激しくするもの、学校と子供たちを序列化するものになるとは考えておりません。
なお、御要望の氏名・個人番号対照方式につきましては、検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
次に、学校のトイレがにおうという声をお聞きいたします。改善と障害のある子供たちが車いすで安心して学べる学校のバリアフリー化も希望をいたします。現在、市内には何校に何人いてどのように対応しているのですか、現状把握とふさわしい対応をお願いいたします。
◎島田政行教育次長
私から、学校のトイレの水洗化及びバリアフリー化についてお答えをいたします。
トイレのにおいにつきましては、既に水洗化されている一部の学校からも指摘がされておるところでございまして、その原因につきましては、施設が供用開始されてから現在までの経年によるにおいの原因物質の付着、あるいは建築時期の構造そのものの問題であると考えております。この問題解決には、施設の改修が一番効果的でありますが、一校当たりの改修費用が数千万円と見積もられ、早急な対応が困難な状況であります。そこで、各学校の実情に応じ換気扇の設置、消臭剤の使用、排水管の清掃など対応を検討しているところでございます。
次に、学校のバリアフリー化についてですが、現在、長野市内におきましては、小・中合わせまして十四校に十五人の車いすを使用する児童・生徒が就学しております。肢体不自由児が小・中学校への就学が適切であるとされた場合に、学校長と保護者の相談を通して必要な改修箇所の要望が市教委の方へ提出されます。教育委員会といたしましては、その要望に基づきまして、当該就学希望者の入学に間に合うようできる限り施設改修を行っております。なお就学に当たりましては、施設の改修のみならず教員補助員等により、学校生活全般についてそれぞれに適した対応に努めておるところでございます。
以上でございます。
指定管理者制度の導入後の実態について
次に、指定管理者制度が導入されてどうなったかという点での実態も含めての市の御見解をお聞かせください。
鬼無里にあります鬼無里の湯が指定管理者になったために、今まで行ってきたサービスを行うことができなくて、リピーターの人たちが県外から来ていたのに、客が減っているとのことです。コストダウンによって、そば打ち体験などができなくなったために、せっかく鬼無里は県外からのお客さんを呼ぶことができたのに残念がっておりました。市としては、そういう問題点を把握しておられるのでしょうか。市が任せっきりではなく、かかわって指導してほしいと望みますがいかがでしょうか。委託先も変わっているとのことです。働いている方たちの大変さも伝わっていますので、市の指導をお願いいたします。
◎鈴木栄一産業振興部長
私から、鬼無里の湯における指定管理者へのかかわりにつきましてお答えを申し上げます。
御指摘のとおり、本年四月から指定管理者制度を導入しておりますが、移行直後、支配人や調理師の突然の退職によりまして、特に食事を中心としたサービス面での低下を招きました。その結果、四月から七月までの利用者数は昨年度を三割ほど下回ってまいりました。
こうした結果を重く見まして市といたしましても、その間数回にわたり、現地調査やモニタリングを実施してまいりました。その際、施設長からは、今後十分な体制をとり、職員の接客教育に力を入れる。食事メニューの改善や鬼無里の湯のイメージ回復に努める旨の文書での回答がありました。その結果、食事につきましては、山菜や地元食材を加えた新しいメニューの提供など、地域の特色を生かした名物料理や季節に応じた料理の検討を始めております。
市といたしましても、今後もモニタリングの実施を強化し、随時立入調査を行い、管理運営状況や利用者の声を十分把握し、問題点の洗い出しを更に進めるとともに、改善点の再チェックをしていきたいと考えております。
いずれにいたしましても、地域の皆さんを初め多くの観光客に愛される施設になるよう努めてまいりますので、御理解をいただきたいと思います。
私からは以上でございます。
豊野東部児童館の件について伺います。
豊野東部児童館も指定管理者になりました。五人から五十九人になって増えたので、拡充をしていただきたく伺います。
◎下條年平保健福祉部長
私から、豊野の児童館及び福祉行政についてお答えをいたします。
豊野東部児童館につきましては、当初五人の登録児童からスタートいたしまして、その後、順次登録児童が増加をいたしまして、本年四月末現在は五十七人となっておるものでございます。児童館の専用教室の面積につきましては三十五平方メートルでございまして、私どもでも過密であるというふうに認識をしております。したがいまして、教育委員会及び小学校と特別教室の利用の可能性について協議を続けてまいりました。
しかしながら、授業に支障があることや多額の改修費がかかるなどの課題があることから、学校内での活動場所の確保ができない状況となっております。
一方、本年度から国におきまして放課後子どもプランが実施をされておりまして、本市でも、本年四月に長野市放課後子どもプラン推進委員会を設置したところでございます。本年秋を目途に長野市放課後子どもプランを策定する予定でございます。今後は、この長野市放課後子どもプランに基づきまして、小学校施設の活用を図るとともに、放課後子ども教室との連携を図る中で、児童館、児童センターの登録児童数の増加に対応してまいりたいと考えております。
介護保険の問題点について
五人に一人以上が六十五歳以上の今日にあって、高齢者に対する施策は重要になっております。安倍自公政権は、貧困と格差を拡大しています。昨年四月に全面実施された改悪介護保険法も例外ではありません。介護の社会化という理念は投げ捨てられ、高齢者の生活を介護取上げや負担増などが襲いました。その結果、必要な公的介護サービスを受けられず、社会から見えない形で困難を抱えて暮らす介護難民が急増しています。家族介護の負担を苦にした悲惨な事件や孤独死なども絶えません。今こそすべての高齢者の人権を尊重し、人間らしい生活を保障してあげる制度を市独自としても考えていただきたくお願いをするものです。
改悪介護保険法の一年を振り返ってみますと、第一は食費、居住費の全額自己負担など高齢者の負担増です。負担増に耐えられない高齢者が施設を退所する、ショートステイやデイサービスが利用できなくなるなど、深刻な事態が広がりました。
第二は、新予防給付の実施など、自立支援や介護予防を口実に軽度と決めつけた人から介護取上げが進められています。介護ベッド、車いす、福祉用具を、要支援一、二、要介護一という軽度者は、原則として利用できなくなりました。その結果、介護ベッドの利用者は、〇五年十一月で二十七万四千人から一万人へと二十六万人も減少しました。福祉用具全体では、利用者は四十四万人から十六万人へと二十八万人の減少です。実に三人に二人の福祉用具が取り上げられたのです。
また、要支援一、二と判定された人が利用する新予防給付の訪問介護では、介護保険を使えるのは、本人が自力で家事等を行うことが困難な場合であって、家族や地域による支え合いや、ほかの福祉施設などの代替サービスが利用できない場合という原則が設けられました。介護保険で介護や支援が必要と認定されても、介護保険のサービスを使えない人が大量に生まれています。
第三は、介護予防や高齢者の保健福祉の事業を、地域支援事業として介護保険に吸収したことなど、高齢者福祉における公的責任の後退です。社会的支援を必要としている人を地域の中で発見し、適切な支援が受けられるようにつなげていく機能が低下しています。
取り分け、介護保険の対象者となる前の高齢者を対象にした介護予防事業の実態は深刻です。当初、六十五歳以上の高齢者の五パーセントが対象とされていましたが、特定高齢者と決定された人は、昨年十一月三十日時点で〇・四四パーセントにすぎません。しかも、事業への参加を希望しない人も多くいるとのこと、政府が特定高齢者の要件緩和など対応変更に追われています。恐ろしいのは、そのように介護保険の認定者自体はすでに減少が始まっていることです。第一号被保険者に占める要介護認定を受けた人の割合は、〇六年七月の十七・一パーセントをピークに減り続けています。認定者自体も〇六年十月の四百四十八万九千人をピークに、その後は減少しています。
制度の改悪のために、社会的援助を必要としている人が公的介護制度、社会福祉制度の網の目から漏れることが多くなり、孤立して地域の中に埋もれているのではないかと非常に心配です。その点からも、新設された地域包括支援センターの役割は重要です。
介護予防プランを作成してもらえないケアプラン難民が現実になっているように、いまだに介護予防プラン作成で手いっぱいというところが少なくありません。特に、介護予防作成の介護報酬の低さは深刻です。一件当たり四千円、四百単位と従前の八百五十単位の半額以下にされたからです。そのためにセンターに介護予防プラン作成を担当する職員を十分に配置できません。職員一人当たりの介護予防プラン担当件数は、〇六年九月末には二十一・九件でしたが、〇七年四月には三十八・三件まで増加しました。これに対して高知県須崎市、高知市のように、一件当たり二千円を市の一般財源から独自に上乗せしてセンターを支援している自治体もあります。
第四は、介護を支える人の労働条件がますます悪化し、人材不足の深刻化が進んでいることです。今回の改悪は介護取上げで、ヘルパーなどの仕事を奪っただけでなく、介護報酬も在宅で一パーセント、施設四パーセント、全体で二・四パーセント切り下げました。その一方で、サービス質の向上を図るためにと創設された特定事業者加算としての利用は、訪問介護では〇・五パーセント、居宅介護支援では〇・〇一パーセントと低調です。当初から指摘されているように加算の条件が厳しく、中小事業者は満たすことができないからです。これでは介護労働者や事業者が将来に展望が持てなくなるのも当然です。
こういう中で、福祉を志した人にバーンアウトが広がり、辞めていく人が後を絶たず、大変な人材不足となっていることは深刻でもあります。劣悪な労働条件を改善し、人材不足を解消することは、もはや公的介護制度の存続にかかわる国民課題と私は思います。第一から第四までの現状をお聞かせください。
◎下條年平保健福祉部長
次に、福祉行政についてお答えをいたします。
介護保険の問題点につきまして、最初にお答えをいたします。
最初に、施設サービス利用におきます食費、居住費の自己負担による影響についてでございますが、本市の平成十七年十月に介護保険施設を利用した人、二千五百五十二名中二名が自宅に戻っております。また、個室から多床室に移られた方が二名、ショートステイを利用していた一千三百九十五名中、利用回数を減らした人が二十三名、通所介護を利用していた五千五百七名中、利用回数を減らした人が十四名おりまして、合わせて四十一名に影響が出たということでございます。なお、非課税世帯などの低所得者の方につきましては、食費、居住費の負担限度額を低く抑えるために、所得に応じて三段階の軽減措置を行っておるところでございます。
次に、新予防給付におきます福祉用具の利用についてでございますが、要支援一、二と要介護一の認定を受けた軽度者に対します福祉用具貸与につきましては、平成十八年四月施行の改正介護保険法によりまして、利用者の状態像からはその利用が想定しにくい福祉用具の貸与については、保険給付の対象外とされたところでございます。
しかし、国におきまして運用の一部を見直した結果、本年四月からは疾病その他の原因によりまして、医師の医学的な所見に基づき必要と判断された人については、保険給付の対象とするように改善が図られたところでございます。
本市の場合は、この例外規定に基づきまして、利用者の状態像などを確認し、必要不可欠な場合には給付を認めております。現在までの例外規定に基づく申請状況につきましては、合計八十件ございまして、そのうち承認が七十件、非承認が十件という状況でございます。非承認につきましての主な理由は、疾病等による身体への危険性や重篤化に影響が生じない場合、また通院及び買物以外の日常生活範囲内の使用において必要性が認められない場合がございます。
次に、新予防給付の訪問介護についてでございますが、要支援一、二と認定された方を対象といたします介護予防訪問介護につきましては、改正前から自立支援を目指したものとなっておりまして、このために同居家族がいますと、現状では日中独居となる場合でも、生活援助の対象とはなっておりません。
次に、地域支援事業の現状についてお答えをいたします。
地域支援事業のうち、いわゆる特定高齢者のサービスにつきましては、特定高齢者として決定をされた御本人や御家族の皆さんが、介護予防の必要性を強く感じていただくことがサービス利用に結び付くものと考えております。今年度、国は特定高齢者のサービス利用の拡大を図るために決定基準の緩和を行ったところでございます。本市の場合は、対象者が昨年の七倍から八倍になるというふうに推測をされております。一人でも多くの方がサービス利用に結び付くように戸別訪問等を重点的に行うために、職員体制を整備いたしまして、サービス利用の拡大に努めてまいりたいと考えております。
また、要支援一、二の認定を受けた人を対象に介護予防給付を実施しておりますけれども、この介護予防給付につきましては、地域包括支援センターで介護予防ケアプランを作成しております。介護報酬の改定によりまして、ケアプラン作成料の減額からケアプランの作成ができない、いわゆるケアマネ難民と言われる部分が心配をされておりましたが、本市の場合は、地域包括支援センターの増設や職員の増員などの対応を図りまして、サービス提供につなげてまいったところでございます。
次に、人材不足の深刻化についてでございますが、平成十八年度の介護報酬の改正におきまして介護報酬が低く抑えられたために、介護の現場においては依然として仕事の割に給与水準が低く、人材が集まらないということはお聞きをしております。
しかしながら、介護報酬額の引上げにつきましては、介護保険料の負担の引上げということにつながるという問題がございます。介護保険制度につきましては、高齢者の暮らしの安心を守る社会保障制度でありますので、介護保険制度が将来にわたって持続可能な制度として、適正に運営されていくことが重要であると考えておるところでございます。
次に、ローカルルールについて伺います。
ローカルルールとは、国の基準で決まっていないことを自治体が勝手に規制する問題です。東京都では、日中独居問題でのローカルルールが深刻になっています。介護保険の訪問介護サービスのうち掃除、洗濯、炊事などの生活援助が利用できるのは原則として独居世帯とされています。しかし、この原則の例外は、独居家族に疾病や障害のある場合を初めとして国は広く認めており、家族が例えば心身が健康であって家事ができる状態で勤務されていたり、日中、要介護の高齢者が一人のような場合については、介護保険の給付の対象となるという国会答弁もあります。
日中独居でも介護保険が使えることは、家族介護の負担軽減、介護の社会化という介護保険の当初の看板から言えば当たり前のことです。また、生活援助が単なる家事ではなく、高齢者の人権や生涯発達を保障する役割を持っているということを考えても当然ですのに、ところが家事は家族がやるものと言って、ひどい場合には、親族が近所に住んでいるだけで介護保険の給付を認めない自治体もあるという実態もあります。長野市はそのようなことはしていないかとは思いますがいかがでしょうか。
◎下條年平保健福祉部長
次に、ローカルルールについてでございますが、訪問介護の生活援助につきましては、日中独居の理由のみで一律に保険給付をすることはできませんけれども、本市においては家族等の障害、疾病や地域の支援、ほかの代替サービスの利用が困難で在宅生活を維持することができないなど、個々のケースにおける状況を勘案いたしまして、保険給付を行っておるところでございます。
なお、本市におきましては、議員さん御指摘の親族が近所に住んでいることを理由に、サービス利用ができないという状況はございません。
後期高齢者医療制度について
次に、後期高齢者医療制度について伺います。
来年四月から始まる新たな保険制度で、七十五歳以上の高齢者から毎月六千二百円ほどの保険料が年金から差し引かれます。年金に税金が重くのし掛かり介護保険料が引かれ、さらに保険料です。しかも滞納をすれば、資格証明書の発行も言われています。高齢者からは、もう医者にかかれないとの声が聞こえてきます。苦労してきたお年寄りが老後を安心して過ごせるような仕組みが必要です。いかがでしょうかお伺いをいたします。
◎下條年平保健福祉部長
次に、後期高齢者医療制度につきましてお答えを申し上げます。
後期高齢者医療制度につきましては、急速な少子高齢化に伴いまして国民皆保険を堅持し、医療制度を将来にわたり持続可能なものとし、また高齢者世代と現役世代の負担を明確化するために、新たに創設された制度でございます。
議員さんの御質問にございます保険料の月額六千二百円につきましてはモデルケース、いわゆる標準的所得者年金二百八万円の方でございますが、このモデルケースによる国の試算の数値でございまして、被保険者がこの額で一律に賦課をされるというものではございません。長野県の対象者の保険料につきましては、長野県後期高齢者医療広域連合に今後データが集積された後に、広域連合議会で保険料条例の議決を経て決定をされるということでございますので、現時点では未定でございます。
なお、保険料につきましては、被保険者の所得水準に応じました軽減措置を講じることとされておりますし、また被用者保険の被扶養者として従来保険料を負担してこなかった方につきましては、激変緩和措置として加入時から二年間、均等割を五割軽減するなど、制度上高齢者への十分な配慮がされております。また、資格証明書につきましては、特別な事情がないにもかかわらず、保険料の納入をいただけない状態が一年以上続いている場合に限って発行するということとされておりますが、これを未然に防ぐために納付相談を十分に行って理解をいただいた上、納入いただくように努めてまいりたいと思っております。
おでかけパスポートについて
最後に、毎回質問させていただいてきましたおでかけパスポートについてですが、関係住民の皆さんへの配慮として電車にも是非適用していただけますよう、実現できるように前向きな検討を改めてお願いいたします。御見解をお伺いいたします。
最後になりましたが、長野市の発展と市民の皆様の御健勝を御祈念申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
いろいろありがとうございました。
◎下條年平保健福祉部長
最後に、おでかけパスポートの電車への適用に関しましてお答えを申し上げます。
おでかけパスポートの電車への適用に関しましては、これまでも再三御説明をしてまいりましたように、この事業の実施に当たって生じる長野電鉄の運賃一部負担、それから乗換えや無人駅での乗降確認と料金精算等の制度設計、さらには長野電鉄沿線他都市で実施しております乗車券給付事業と長野電鉄の運賃負担の整合性等多くの課題がございます。したがいまして、現時点の実施は困難でございますので、御理解をいただきたいと思います。
私からは以上でございます。
介護保険のことで御要望として、ヘルパーさんなんかも介護サービスが減らされて、今までやってきたのができないので、この患者さんは本当にこれが必要なのにどうしてなのかなって、やってやりたい気持ちはあるんだけれども、保険がとれないということで悩んでいらっしゃいますし、そういう現場の声をもう少し拾っていただくことが必要かなと思います。
それとおでかけパスポートのことは、私も車に乗れなくて、本当にバスも通っていないところで、長野まで来るにも一回乗り換えてまた行かなければいけないところに住んでおりまして、そういう地域の皆さんは、本当に切実な要望としてありますので、是非前向きに検討をしていっていただきたいなということであります。
私も本当に目も悪いし、生活弱者だと自分も思っていますので、そういう方々に光を当てることが、やはり政治の力とか政治の姿勢ではないかなと私自身も思っていますので、その辺の人たちに優しい心を持って接していただける長野市になってほしいなということと、それから先ほど穴あきダムのことも言いましたけれども、今環境問題なんかは本当に若い人たちもそれにはすごい関心がありまして、優しい心を持って職員の皆さんもやっているとは思うんですけれども、いかんせん国の政治が悪いもので、もう少し頑張ってやっていかなければいけないかなと考えております。
以上です。