2007年6月定例市議会 原田のぶゆき議員の代表質問
鷲澤市長の政治姿勢について
穴あきダムと浅川河川整備計画について
福祉と暮らしの問題について
介護保険について
妊婦健診の公費負担について
就学援助について
市営住宅の明渡し裁判について
「コミニテイ若槻」の活動拠点について
29番、原田のぶゆきです。日本共産党長野市議団を代表して質問します。
1.市長の政治姿勢について
はじめに、市長に伺います。
日本共産党長水地区委員会と党長野市議団は、今、「市民アンケート」を行っています。郵送されてくる回答書には「憲法9条を守ってほしい」が8割以上、読売新聞の世論調査でも年々増え6割を超えています。「住民税増税は止めてほしい」もほぼ同じく、圧倒的多数の市民が、平和や民主主義、暮らしを守ってほしいと、切実な思いが手書きで寄せられています。
そこで、まず市長に、安倍首相の歴史観と憲法9条を守ることについてうかがいます。
安倍首相は、アメリカと肩を並べて戦争のできるように、憲法改定を現実の政治日程化し、それに必要な悪法を次々強行、平和と民主主義破壊の暴走を始めています。安倍内閣の取り巻きは、過去の日本の侵略戦争は「正しい戦争だった」と思いこんでいる勢力が政権の中枢を握り、アジア諸国民を植民地化した侵略戦争で申し訳なかった、と謝罪した「村山談話」や従軍慰安婦は軍部の責任と認めた「河野談話」を覆(くつがえす)ことをねらった活動を行ってきたもの達です。
この内閣の中枢を握っている「靖国派」は、「過去の戦争は正しかった」との、歴史をゆがめる戦争観だけでなく、あの戦争をした日本は「美しい国」だったとして再建を求めているのです。
安倍首相を中心とした「靖国派」内閣の、歴史逆行の思想、価値観を日本の政治と社会、国民に押し付けることは断じて許されるものではありません。
憲法改定は、このような背景の中で起こっているのです。安倍内閣のこのような姿勢に、多くの市民は、不安と警戒感を抱いています。市長は、この市民の平和への思いを代弁し、市民とともに「憲法守ろう」の声を発信すべきであります。見解をうかがいます。
次に、住民税増税始め国民いじめの政治についてうかがいます。
格差と貧困が深刻な社会問題となっている時、大儲けしている財界・大企業には1兆七千億円もの大減税、国民には定率減税や老年者控除の廃止で、住民税倍増、年金にも重い税金がかけられ、庶民の負担増は一兆七千億円、ところが、庶民増税分が大企業の減税分に消えてしまうという、庶民いじめむき出しの、財界大企業優遇の税制改悪を自公政権が強行しました。長野市でもこの6月からの増税分は、昨年の十一億円と今年の定率減税廃止分九億円が見込まれ、4人家族で二万円以上の負担増となります。低所得者への影響と救済等はどうするのか。納税通知書に書き込むなど、減免制度の周知徹底が求められます。お答えください。
また、「暮らしが大変、何とかしてほしい」との切実な声を市長はどう受け止めるのか。見解をうかがいます。
2.次に、穴あきダムと浅川河川整備計画についてうかがいます。
わが党の「市民アンケート」では、「穴あきダムでも浅川にダムはいらない」との回答が42%、時間をかけて検討が34%、ダムは必要が8%です。地滑り地帯で軟弱なところに、効果のないダム建設は「やめてほしい」との世論が大きな流れであります。
そこで先ず、市長に伺います。
長野県は、穴あきダムを前提の「浅川河川整備計画原案」発表し、流域協議会や住民説明会、公聴会を開催して来ました。どこの会場でも、ダムに賛成、反対の意見は伯仲で、一方に決め難い二分したものとなっていました。
とりわけ、多くの時間をかけて激論を重ねてきた、浅川流域協議会は、賛否両論を十分に保障した議論を重ね、民主主義の貴重な財産を生み出した全国でもまれに見る協議会でありました。この大激論を重ねた中で、ダムの賛否で一致できなくても、内水被害緩和のための遊水地の設置や、千曲川の抜本的な改修を願う2点で提言できたことは貴重であります。見解をお聞きします。
市長が会長で総会の議長であった、浅川改修期成同盟会総会では、穴あきダムを前提の、河川整備計画促進の事業計画案に対して、遊水地や千曲川の抜本改修を求め、事業計画の見直しと意見書の提案があったが、ろくな議論もなしで会議を打ち切った議事運営には、いささかの民主的手続きさえ放棄した行動で、参加者から手厳しい批判の声が聞こえてきました。
総会の場で要望のあった遊水地については、長野市として県に要請していくとの積極答弁であったのに、本会議の施政方針で市長は、このことを一言も触れなかったのは、問題軽視と言わざるを得ません。
ともあれ、ダム賛成、反対、双方が納得し、歩み寄れる「遊水地の設置と千曲川の抜本的改修」を前提として「浅川河川整備計画」を作るよう県に積極的に要請すべきであります。答弁を求めます。
次に、益田川の穴あきダムと浅川についてであります。
わが党市議団と党県議団は、国土問題研究会の奥西先生とともに、両ダムの視察を行ってきました。
同穴あきダムは、昨年完成したばかりで、試験湛水で水没した範囲の植物はすべて枯れていましたが、環境にやさしいのか。洪水の際の効果はあるのかどうかは完成したばかりで検証はされていません。明らかとなったのは、益田川ダムと浅川ダムは、ダム堤体の高さも、幅もほぼ同じ大きさなのに、益田川ダムに比べ浅川ダムは貯水量が6分の1と少ないのに、本体建設に使用するコンクリートの量は約2倍、建設費も約2倍となっています。益田川には地滑り地や活断層もありませんが、浅川は地滑り地で軟弱な地盤がゆえに、膨大な量のコンクリートを使い、強固なダムを造らないと安全上問題点が多くクリアーできない。つまり、貯水量は少ないが、建設費だけは他のダムの何倍も必要とするダムであることは明瞭です。
検証はこれからという、益田川ダムよりもなお、危険な場所への浅川ダム建設に本体のみで百億円では済まないのでは、との指摘もあります。
さらに、浅川の穴あきダムについて、専門家は様々な角度から問題点を指摘しています。
益田川の穴あきダムは、百万トン当たり4,5平方メートルの穴なのに、浅川の穴あきダムは、百万トン当たり1,2平方メートルと極めて小さい穴で、流木などによって閉塞した場合には、洪水調節の機能を果たさないのではないか。また、上流で土石流や崩壊が発生した場合、極めて危険となる。さらに、水面下40メート下にあるので、障害物の除去は困難である。また、「ダムの堆砂はない」と説明しているが、洪水減衰時に流されるのは一部との指摘もあります。問題点が多く、浅川の穴あきダムについては、深い検証が求められております。見解をうかがいます。
次に、大滝ダムの教訓を浅川にどう生かすかについてであります。
大滝ダムは2003年に完成、試験的に水をためたところ、ダムサイトから4キロ上流の白屋地区に地割れや亀裂が生じたもので、調査の結果、試験湛水が原因でした。
白屋地区の約50戸は全戸移転を余儀なくされ、すでに重機が入り解体作業中でした。新たな地滑り対策に約250億円、2年後の完成時までに160億円で計410億円の大規模な地滑り対策を行っています。
この白屋地区は地滑り指定地でも地すべり防止区域でもありません。国土交通省の専門官とダム管理事務所副所長の説明では、事前調査で確認された地滑りは対策を十分に講じたとのことでありました。
ところが、これまで動いたことのない斜面が貯水の影響で動き始めたのです。この地滑りは事前に把握することは困難な「初生地滑り」だと説明がありました。
大滝ダムの場合、深度25mの地滑りブロックは発見できたが、70mの地滑りブロックは発見できず、この深いブロックが試験湛水で地滑りを引き起こしたのです。
住民は深い地滑りの心配を表明していましたが、国土交通省は浅い地滑り対策のみで、「安全だ」と太鼓判を押して建設したものです。
この視察に同行してくれた、奥西先生は、吉村知事時代の地滑り等検討委員会でただ一人、安全性について検証のための再調査を主張し、確認されていなかった深い地滑りの存在の可能性を指摘。その後、県は再調査して指摘を認め地滑り対策費として70億円がダム建設に追加されました。
奥西先生は、大滝ダムの視察中の検討会の特別報告で、「大滝ダムは安全性に対する事前の考えの甘さが問題だった。浅川ダムについても十分な検討が必要だ」と指摘しています。
鷲沢市長は「ダムの危険性は、素人にはわからない。専門家の判断にゆだねるしかない。専門家が安全だとしているので大丈夫」と議会でも答弁をしていますが、学者・専門家の指摘を市長は軽視してはいけません。
大滝ダムの建設に当たり専門家が調査し、日本の土木技術の創意を集めて造ったものであるにもかかわらず、住民が犠牲となり、膨大な税金が投入され続けているのです。
「ダムに反対する普通の住民が存在しても当然」と、胸を張るのではなく、市民の命や財産を守り、安全・安心のまちづくりに責任ある市長として、謙虚に大滝ダムの教訓や住民の声に耳を傾けるべきであります。
市長は、これらの教訓を謙虚に受けとめ、住民の納得や合意のできる遊水地や千曲川の抜本的改修を前提に、県に対し、「ダムなし」で整備計画を策定し、国へ認可申請するよう、意見を言うべきであります。見解をうかがいます。
3.次に、福祉と暮らしの問題について伺います。
まず、福祉に冷たい「集中改革プラン」についてであります。
わが党が行っている「市民アンケート」では、「暮らしが悪くなった」は75%、「住民税の増税は困ります」80%、「議員の海外視察はじめ、税金の無駄遣いをやめてほしい」など、切実で率直な思いが寄せられています。
長野市のまちづくりアンケートでも、同様に、高齢者福祉サービスの充実は連続1位など、福祉や暮らし、子育てへの市民の思いは痛切であります。
生活保護世帯は6年間で1.6倍、就学援助は1.7倍、国保料の滞納者は1.4倍、2年生までと、足切りまでしても学童保育は飽和状態となっています。
こういう時こそ、市民の暮らしや福祉、子育てなど、まさに、市政が地方自治の精神である「住民の安全や福祉・健康」を守る本来の施策を手厚く行うことが求められております。
ところが、長野市は「集中改革プラン」により、市民に対する福祉施策の削減と、「官から民へ」と、市民サービスを民間委託や民営化を市民の納得や合意のないまま推し進めてきました。
事務事業の見直しを理由に削減し、市民サービスを後退させたものは、1種・2種で2000人に支給していた、在宅介護で苦労している家族への在宅介護福祉料を半減、1500人に支給していた敬老祝い金は廃止、障害者の有料道路助成金の削減、小規模保育所運営費補助の廃止、国民健康保険料4,5%値上げ、成人学校受講料40%の大幅引き上げ、老人いこいの家の使用料20%や市立高校授業料3.1%引き上げなど、列挙したものはごく一部であります。
さらに、今後、就学援助の見直し、児童館、児童センターの有料化、ごみの有料化などが、受益者負担前提で検討しようとしています。
市民にこのような冷たい施策を押しつけながら、中心市街地活性化のためとして、撤退相次ぐ、見通しの見えないトイーゴやその駐車場に30億円という莫大な市税を投入。市民から税金の無駄遣いではなかったかと、厳しい批判が今でも寄せられています。市民の声をどのように受け止めているのか、市の姿勢をただすとともに、見解をうかがいます。
4.次に、介護保険について伺います。
まず、訪問介護の利用についてです。
同居者がいる場合に、同居者が傷病や障害がないかぎり、介護保険では訪問介護の生活援助を利用することができなくなりました。
たとえば、夫が倒れ、妻が早朝から夜の9時頃まで働いて生活しているが、独居でも、介護者が病気でもないので、生活援助での訪問介護はできません。
日中独居の場合、生活援助が利用できなくなり、食事も温められず、冷たいみそ汁と同居の息子が買っておいたコンビニのおにぎりで過ごすようになり、食欲が減るなど、介護保険が現状では使いにくくなっているとの指摘は深刻です。市の独自の支援策を検討すべきではないでしょうか。
次に、訪問介護における散歩の介助についてであります。
現状では、訪問リハビリの範囲で、機能の維持が目的の散歩については、介助は無理としています。ヘルパーさんの派遣が中止された、4月以降は外へも出られず、生きがいを失ってしまい、閉じこもりがちになっている。ひきこもり防止を言っているのに介護保険で見てくれないで、誰が見てくれるのですか。
と改善してほしいとの切なる要望です。
次に、福祉用のレンタルについてです。
夜間頻尿なので調節できるベットがいいのだが、安い物を購入したが介助が必要で転倒の危険が高まり困っている。介護度1では、ベットレンタルできないので制度改善してほしいとのことです。
次に、低所得者対策についてであります。
老年者控除の廃止で課税世帯となり、収入がかわりないのに出費が増えたため、入浴回数を減らすなどサービスの抑制をせざるを得ず、弱者へのしわ寄せとなっています。国への要請と、低所得者への対策を講じる必要があります。見解をうかがいます。
5.次に、妊婦健診の公費負担についてであります。
厚生労働省は妊婦健診公費負担について、必要回数を10数回中、5回程度の公費負担実施が原則であるとの通達を出しています。長野市も5回までの公費負担とするようですが、秋田市では10回にするとしています。長野市でも重要性を広報等で市民に周知するとともに、公費負担の回数を秋田並に順次拡大するよう要望しますが、見解をお伺いします。
6.次に、就学援助についてであります。
格差と貧困の広がりは、就学援助にも影響しており、全国では約13%、長野市も小・中合わせて3761人で11%と急増しています。
ところが国は、補助金を増額すべきなのに、税源移譲を理由に国庫補助金を極端に減額し、自治体への負担転嫁をしています。
市は自らの負担分が重くなっても、就学援助を受けている児童・生徒への影響のないように、教育の機会均等の原則は保障しなければなりません。
そこで、修学旅行にかかわりお尋ねをします。
就学援助の上限は55,900円となっていますが、修学旅行代金がそれ以上となれば、家庭の自己負担が増え修学旅行に参加しにくくなります。
就学援助対象の生徒には、必要な経費は公費負担とすべきであります。また、就学援助を受けている生徒のうち、20人ほどは修学旅行に不参加と聞きますが、参加のため、どのような努力をしているのか、お尋ねします。
7.次に、市営住宅の明け渡し裁判についてであります。
市営住宅の明け渡しと滞納家賃の支払いを求め、18世帯に対する訴訟の議案が提出されています。格差と貧困が際立ち、ワーキングプアからネットカフェ難民など社会的大問題となっており、衣食住がままならない世帯は、世代を超えて拡大する一方です。
衣食は生きていく上での絶対条件で、住(じゅう)にお金が回らない事態は深刻です。18世帯の中には、乳幼児や児童を抱えた母子世帯も含まれています。
母子世帯の収入状況は、幼児を抱えた女性では10万円前後で、生活保護世帯と同等水準の暮らしであります。子育てしながら必死で働き、暮らしている母子世帯に対する明け渡し請求は、過酷過ぎます。
子らを抱えた世帯が、強制執行で追い出されればどこへ行くのか。雨・風しのぐことができなければ、乳幼児は救われず、児童は学校へ行けるのでしょうか。ホームレスに追い込むような仕打ちは、社会的弱者を救うどころか、路頭に迷わせるだけであり棄民の市政です。
強制執行の後、母子共に暮らしていける保障をどうするのか。これまで強制執行で、市営住宅を出された世帯の行方について心配です。状況を把握しているのですか。
さまざまな事情のある世帯もいるようですが、生活保護も考慮し、ケースワーカーなど福祉や生活の専門分野の対応も必要ではないでしょうか。
建設部、保健福祉部、生活部など関係する担当の部・課が連携した対応も検討すべきであります。
また、和解の条件に、未納額の半額以上を納入としていますが、ハードルが高すぎます。支払いたいとの意思があれば、本人が支払いできる範囲で請求するのが妥当と思います。
以上について、見解をうかがいます。
8.次に、「コミニテイ若槻」の活動拠点についてであります。
住民自治協議会「コミ若」の活動は、試行錯誤はあっても日々前向きとなって住民に根付きつつあります。
自然環境部会では、蛍の講演会を開き、若槻に蛍を棲息させようとの意気込みが見えます。ボランテヤによる弁当の配達もご苦労のいる地道な活動ですがつづけられています。ボランテヤコーナーでは、寄付された500冊の小どもの本を利用して、月1回の読み聞かせもあり、親子で7~8組、20人ほどで定着、好評と聞きます。本を借りに来て、畳の部屋でゆっくりと、子育てなど話し合いもでき、静かな広がりを見せているようです。
社協の福祉自動車への期待もひろがり、コミニュティーを中心とした、住民自治協議会の活動は盛んです。しかし、盛んであればある程、駐車場が手狭で、限界に来ている状況です。それでも、融通しあいながら、「コミ若」活動のよりどころとして頑張っています。住民自治が7千戸、2万人に草の根で根付き、いっそう広がることを期待するなら、長野市は駐車場確保に、最善の努力をしてもいいのではないでしょうか。再三の要望となりますが、お伺いします。
以上で質問を終わります。