2006年12月定例市議会 野々村博美議員の一般質問(12/12)
保育園の民営化について
浅川問題について
障害者福祉について
まちづくりについて
二十九番、日本共産党長野市議団の野々村博美でございます。
後期高齢者医療制度については割愛し、その他については時間がありましたら自席で行わせていただきます。
1.保育園の民営化について
最初に、保育園の民営化について伺います。
去る九月議会で発表された保育園民営化のスケジュールによると、三輪保育園については、委託を受けようと準備しているミツワ会との話合いが保護者との間で行われ、今年度中に委託先を決め、来年度から引継ぎ保育、二十年度に委託するという計画になっていました。
ところが、九月の時点では、保護者会はミツワ会との話合いは行っておらず、飽くまで市長陳情をした報告を受けただけということで、保護者の皆さんは口々に、この記述は誤りですと話されていました。その後、十月号の広報ながのに九月議会で示されたスケジュールが掲載されるということに対して、保護者会の代表の方が、納得できないと抗議に来られ、三輪保育園の民間委託は二十年度以降ということで、以降という二文字がつけられ、発表されました。
民主的な手続も踏まず、保護者の皆さんの合意もない中で強行することのないよう強く求め、御見解を伺います。
その後、ミツワ会は保護者会との話合いを行ったとのことですが、この社会福祉法人ミツワ会の定款案によれば、事務所は現三輪保育園に設置されていますが、現段階では社会福祉法人の資格を持たない任意団体が、三輪保育園の住所を使って、三輪保育園の運営委託を前提に社会福祉法人を立ち上げるという流れですが、公正公平な行政の在り方としてはいかがなものでしょうか。
また、他の市立保育所についても、地域の有志による経営という動きがあるようですが、長野市の都市内分権の動きと併せ、このような地域が支える保育所を模索するのであれば、なし崩し的に進めるのではなく、しっかりとした政策的な方向を市民に示し、市民と地域の合意を得た上で慎重に進めるべき重要な課題です。
日本の保育制度は、児童福祉法第二条で、「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」とし、公的責任を明確にし、保育に欠ける乳幼児の保育保障、最低基準以上の保育保障、市町村、国、都道府県の財政保障をそれぞれ義務として課しています。この公的責任を持つ保育行政を、安易な形で地域に責任を課していくようなやり方は慎むべきであります。受託をしようとする団体も、その公的責任をしっかりと自覚し、担い得るだけの実績を示していただかなければなりません。
また、民営化の条件は、競争原理が働く、サービスの低下を招かない、コストの削減というものでしたが、現段階での三輪保育園の流れは、この市長自らの公約にも反していると思います。御見解を伺います。
さて、さきの小林義和議員の代表質問でも取り上げましたが、長野市の保育行政の大きな特徴が正規職員の少なさです。党市議団として、過日、船橋市の保育行政を視察してきました。船橋市では、保育士の八十五パーセントが正規職員で、各園に正規の看護師と栄養士が配置されています。保育園児一人当たりにかかる年間の運営費は、公立私立合わせた平均で百二十七万円です。長野市の場合はどうでしょうか。公立で一人当たり約八十万円、民間で約七十三万円です。いかに長野市が公立私立を問わず保育にお金をかけていないか明らかではないでしょうか。
長野市は、民営化している以上に安上がり保育を現に行っているのです。今、長野市の保育行政に必要なことは、これ以上の安上がり保育を追求するのではなく、公民格差の是正と嘱託職員の待遇改善であります。公民格差是正についての見解を伺います。
次に、無認可保育所について伺います。
長野市には、かつて家庭保育制度がありましたが、なくなってしまいました。病院の院内保育所を初め、現段階で幾つもの認可外保育施設がありますが、その実態についてどのように把握されていますでしょうか。
先日、無認可保育所の皆さんと懇談しましたが、様々な御家庭のお子さんを預かり、家庭的な雰囲気の中で保育をされていました。二重保育が必要なお子さんや病気の子供さん、深夜労働のお母さんなど、様々なニーズに合わせて受け入れ、献身的に頑張っておられます。子育てや家庭の悩みなど、たくさんの相談が寄せられるとのことです。
しかし、長野市には、既に無認可保育所への補助制度は例外を除いてありません。県内の他市町村の無認可保育所は、長野県の単独補助制度がありますが、長野市は中核市のため適用されません。鷲澤市長は公立保育園の民営化には熱心だけれども、民間で頑張っている無認可保育所には何の援助も行っていないという姿勢を改めていただき、補助の復活を求めます。御見解をお願いします。
また、県単の補助制度として、民間の認可保育所について一歳児の保育士の配置は四対一の基準ですが、中核市の長野市は五対一です。私立保育協会からの強い要望もありますので、県並みの補助を行っていただきたいと思います。御見解をお願いします。
◎市長(鷲澤正一君)
野々村博美議員さんの御質問のうち、初めに保育行政についてお答えいたします。
公立保育所の民営化については、平成十五年度に民営化計画を提示して以来、約三年間にわたり保護者の皆さんと話合いを続けてまいりました。その話合いの中で、民営化した場合に、公立とは違って保育方針や内容が大きく変わっていくのではないか、保育士が全員替わってしまうことへの不安などが強く感じられたため、子供たちへの影響がないように保育園の設置・運営をすべて私立に任せる移管方式から、設置主体は市のまま運営を委託する公立民営方式としたい旨、保護者及び地域関係者に説明し、理解を求めてきました。
この間、今日の保育所及び幼稚園に関する様々な状況変化を踏まえ、これからの公立保育所の在り方、すなわち公立保育所の運営を市が直接行うことを見直して、社会福祉法人等への運営委託・移管を進めていくという方針を示し、今年度、公立保育所に入所された新規及び継続児童の全保護者に対して説明会を実施したところでございます。
また、広報ながのの六月十五日号に、市立保育園の設置・運営を見直しますとした記事を掲載し、市民にお知らせし、さらに公立保育所のある地域での区長会や民生児童委員協議会など、地域関係者への説明を順次実施してきました。
民営化スケジュールについては、こうした保護者の皆さんとの話合いで積み重ねてきたことを基本として、具体的なスケジュールを示してほしい、これから入所する人にも示すべきだという御意見もあって、提示したものであります。
広報ながの十月一日号に来年度の入園案内を掲載するとともに、入園希望者を選ぶに当たり、民営化予定園を掲載し、十月十五日号には、三輪、川田、下氷鉋及び城東保育園について、平成二十年度以降に委託又は移管する予定である旨周知し、その他の各園で今後取り組む際の基本的な民営化スケジュールもお示ししたところでございます。
御指摘のミツワ会については、五月に要望を受け、その際には、地元有志により三輪保育園を運営したいとする熱意を受け止めた上で、公平性の面から他の社会福祉法人等の動向も注視したいとお答えしました。ミツワ会の動きは、自発的に保育園運営を目指すもので、社会福祉法人設立の準備を始めたとのことから、これからのモデルとなり得る形であり、歓迎すべきものとして感じてきたところであります。市としては、ミツワ会の機運の高まりから、その可能性を前向きに受け止めつつ、民営化の受皿となり得るのか見守っております。
今後は、学識経験者や保護者代表も含めた委託先選考委員会を設置し、選考方法を含め検討し、委託先を決定していこうと計画しております。市としては、公募を前提とした手続を行うことを予定しておりますし、より良い保育園づくりを目指して、委託の具体的な条件についても選考委員会の中で十分審議していただくよう考えておりますので、公約に反するとは考えておりません。
また、私は民営化について、一つの方法や形に決めなくとも、地域の実情や保護者を含めた関係する皆さんの様々なお考えや御意見を聴くことによって、柔軟性があってよいと考えております。要は私立の良いところも公立の良いところも生かして、より良い保育ができるよう効率的・効果的に保育行政を進めてまいりたいと考えております。
◎保健福祉部長(宮尾和榮君)
最初に、保育行政について、民営化についての御質問のうち、公民格差の是正についてお答えいたします。
保育園児一人当たりにかかる年間の運営費について、公立と私立で格差が生じる大きな要因は、職員の人件費であると考えられます。そのため、国において民間施設における公・私立施設間の職員給与格差の是正などを目的とした民間施設給与等改善費によりまして、私立保育所に対しての補助制度があります。
本市においても、国の民間施設給与等改善費に市負担分を加えて、更に市単独で私立保育所特別運営費補助金を上乗せして補助をしております。厳しい財政状況の中、公立保育園の運営については、サービス低下をさせずに効率的に保育の充実を図ることが市民から理解を得られるものであり、格差是正につながるものと考えております。
また、嘱託職員の待遇改善については、できる範囲で改善に努め、正規職員の役割分担をより大きくし、嘱託職員の負担を減らすよう工夫してまいりたいと考えております。
次に、無認可保育所についてお答えいたします。
認可外保育施設につきましては、平成十八年四月一日現在、長野市内に二十三か所あり、うち事業所内施設は十一か所でございます。児童福祉法第五十九条の二により、六人以上の乳幼児を預かる施設には届出義務があり、開設の一か月以内に長野市へ届出をいただくよう指導をしております。
また、事業所内の保育施設や五人以下の乳幼児を預かる施設については、届出義務はありませんが、開設者からの問い合わせや各方面からの情報により把握に努めております。
これら認可外保育施設につきましては、国から出されている認可外保育施設指導監督の指針に基づき、年一回、認可保育施設と同様の運営状況報告の提出を求めるとともに、年一回の立入調査の実施により、国の指導監督基準に基づき施設の状況を調査し、必要に応じて保育士の配置や施設、保育内容等について改善を求めています。
認可外保育施設への補助については、御指摘のとおり、現在原則として行っておりません。長野市は、待機児童を出さないよう努めており、第一希望の保育園へ入園できない児童もおりますが、入園可能な保育園への入園をお願いし、対応している状況です。
また、一時的に保育を必要とする場合についても、一時保育指定園として、柳町保育園ほか八園の認可保育園で実施をしております。
中核市の多くは多数の待機児童を抱え、補完的に認可外保育施設で対応せざるを得ない状況で、それに併せて補助事業を実施していると聞いております。また、長野県の補助事業につきましても、すべての認可外保育施設を対象とするものではなく、国の指導監督基準を満たすような施設に対して交付されるものであると認識しております。
長野市としましては、今後、児童の保育所への入所状況や様々な保育ニーズを踏まえ、民間の認可保育所の柔軟な機能を生かしながら、必要に応じて新たな施策を検討していきたいと考えております。
次に、一歳児担当保育士の配置基準につきましては、国基準の六対一に対し、民間の認可保育所が市の公立保育所と同様に五対一の基準で保育士を配置した場合に、市単独で補助事業を行っております。
この基準を更に四対一にという御要望は長野市私立保育協会より頂いておりますが、三歳児担当保育士についても、国及び県の基準の二十対一に対し、市の公立保育所と同様に十八対一の基準で保育士を配置した場合に、市単独で補助事業を行っておりますので、長野市といたしましては、当面現状を維持しながら、今後、少子化の進行、幼保一元化、三位一体改革による行財政改革の動向など、保育所や幼稚園を取り巻く状況の変化を踏まえて検討していきたいと考えております。
2.浅川問題について
村井県政がスタートして、未解決のまま残された浅川の治水の在り方は、長野市の問題にとどまらず、脱ダムと県政改革の象徴として今後の展開が注目されているところです。党市議団として、十二月六日に国土交通省に伺い、現在の県と国との協議の状況について伺ってきましたが、小規模ダムとため池、遊水地を組み合わせる案を軸に協議されているということではなく、村井知事が言われているようにダムなしからダムありまで検討しているということでした。
事実をゆがめ、意図的に小規模であってもダム建設が有力になっているかのような言動は、マスコミも鷲澤市長も慎んでいただきたいと思います。
さて、十一月十八日、十九日と、村井知事が参加して開かれたご意見をお聞きする会には、五百人近い市民が参加しました。この中で、地滑りの危険性や、中越地震で甚大な被害を被った旧山古志村と重ね合わせて、巨大地震への不安も相次いで出され、脱ダムの治水方針が求められました。
一方、水害に苦しんだ者の言うことしか聞くべきではないとか、早急に従来の基本高水計画に沿った整備計画が示されなければ新幹線用地は絶対に売らないという激しい意見も出され、県知事が替わっても、浅川治水の混乱は容易に解決できないのではないかと不安を感じたのは、私たちだけではなかったと思います。
混乱の原因となっているのは、新幹線車両基地の建設の条件として出されたダム建設が約束された確認書の存在ですが、確かにその対策が求められるのは当然です。しかし、下流域の災害は内水によるものが主要で、ダムでは解決されません。長野県が浅川の河川整備計画案に内水対策を明確に盛り込み、排水機場の能力アップと新たな遊水地の設置などを提案したことは、本来、長年水害に苦しんできた地域住民にとって、ダム以上に歓迎されるべきものだったはずです。
ところが、ここまで問題がこじれた背景には、脱ダムの方針を明確にした後も関係住民に早期に説明しなかったことなど、幾つかの問題もありましたが、県と住民との対立をあおり続けた鷲澤市長にも大きな責任があると言わざるを得ません。
村井知事は、改めて毎秒四百五十トン、百年確率の治水計画とし、現代の最高の技術によって対応すると表明されました。この方針で具体的にどのような計画が示されるのかは分かりませんが、現段階で多くの住民が合意できる計画は、平成九年に改正された河川法に基づく河川整備計画、要するに今後二十年から三十年間で行う河川整備でどこまで安全度を高めるかを、緊急を要するものから優先し、住民の合意を得て具体化するというものしかあり得ません。これは既に計画が認可された砥川と同じで、六日の国土交通省との懇談の際にも改めて確認しましたが、浅川も決して例外ではなく、この河川法に基づく整合性のある河川整備計画案であれば、当然認可するということです。
長野県財政がますますひっ迫している現状は、多くの県民が知るところです。また、ダム予定地の危険性や長沼、豊野地域の水害にダムの効果が少ないということも、県民はこの間の論戦を通して学んでいます。しかし、この問題でも鷲澤市長は、さきの代表質問で、ダムの安全性について、地すべり等技術検討委員会の専門家が出した結論が最も適切な判断としました。村井知事が、治水・利水ダム等検討委員会の出した安全性の確認が必要という結論も尊重し、反対派の住民の案内で現地を視察するという姿勢を示していることとは対照的です。
市長でありながら、毎秒四百五十トン、百年確率の安全度だけは重視し、上流域に暮らす住民の安全性に対する不安に心を寄せない態度とともに、住民参加で治水の在り方を考えてきた治水・利水ダム等検討委員会や流域協議会、高水協議会を評価しようとしない姿勢にも、市民から怒りの声が上がっています。信濃毎日新聞でも、論点は幾つもあるが、旧ダム予定地の安全性は外せない一つとし、慎重な対応を求めました。
村井県政になり、ダム建設が強行されたら、県政改革の後戻りは困るという世論が再び大きく盛り上がっていくことは明らかであり、長野県政だけではなく鷲澤市長の姿勢も厳しく問われることになります。よって、三点について伺います。
一つとして、ダム予定地の危険性については、地すべり等技術検討委員会だけが専門家の結論と決めつけることは、住民の命を預かる市長として不適切な発言です。危険性があると指摘している専門家の意見も尊重し、小規模であってもダム建設を行う場合は徹底的な調査を県に求めること。
二つとして、関係住民に新幹線用地問題と浅川治水については分けて対応するよう求め、早急に用地問題を解決し、その上に立って、下流域の水害被害緩和のために何が効果的で優先すべきことなのかという立場で住民の声を聴き、計画に反映するよう県に求めること。
三つとして、浅川ダムの建設は福島県の談合事件に深く関与していた前田建設工業が受注していました。そして、浅川でも談合疑惑がありました。今、全国で談合事件が大問題となり、改めて公共事業の在り方が厳しく問われています。県財政が非常にひっ迫している現状の下で、県都長野市の市長として、ダムや河道内遊水地など、効果の少ない治水対策を強引に求めることは、住民の不信を広げるばかりです。有効で経済効率の高い治水対策を求めていただきたいと思います。
以上、御答弁をお願いいたします。
◎市長(鷲澤正一君)
次に、浅川の治水についてお答えをいたします。
まず、ダム予定地について危険性があると指摘している専門家の意見も尊重し、小規模なダムであっても建設を行う場合は徹底的な調査を県に求めることとの御質問についてでありますが、私の考えにつきましては、本議会の代表質問でお答えしたとおりで、権威ある学者の皆さんによりなされた検討は十分信頼に値するものであると考えているところであります。
村井知事も今月六日に現地視察をした際に、いろいろな見解をどうすり合わせるか、国土交通省を含めた専門家に議論してもらうと述べておりますので、近いうちに専門家により十分に議論された上での結論が出てくるものと考えております。
次に、新幹線用地問題と浅川治水は分けて対応し、下流域の水害被害緩和には何が効果的で優先すべきか住民の意見を聴き、河川整備計画に反映するよう県に求めることとの御質問についてでありますが、新幹線用地問題は、本市にとっても北陸新幹線長野・金沢間の二〇一四年度開業に影響しかねない大きな課題であり、緊急な対応が必要であると認識しております。
新幹線建設に関連して、平成五年に交わされた確認書は、長年水害に悩まされてきた地元の要請にこたえ、浅川ダム建設が盛り込まれて、ようやく合意されたものであります。しかしながら、脱ダム宣言後、浅川ダムに代わる治水対策、すなわち国の認可が得られる河川整備計画を地元に説明できないまま今日に至っているのが現状であり、長野車両基地建設に伴い、双方信義の上に交わした約束を県が一方的にほごにしている事態となっております。
したがって、確認書により密接不可分となっている新幹線用地問題と浅川治水対策を切り離すことなく、早急かつ一体的に解決することが行政の責任であると考えております。
浅川治水対策については、度重なる水害に悩む沿川地区からの強い改修要望を受けて、昭和五十年当時、最初に県が示した治水計画案は、そもそも河川改修のみによるものでありましたが、用地幅が下流部では約八十メートルと広く、三百ヘクタールにも及ぶ優良農地がつぶれるとともに、二十ないし三十戸の家屋移転が伴うことから、地元合意には至りませんでした。その後、長い年月をかけた協議の結果、川幅を狭くするため上流にダムを配置し、洪水調整をするダムと河川改修と排水機場の増設による治水対策案により、ようやく流域住民の合意が得られた経過がございます。
このため、長沼地区においては、受け入れる新幹線施設が内水被害に影響があるとの懸念も含め、浅川の治水対策において、当時未着手であったダムの促進を要望したものであります。したがって、これらの問題は同時に解決する方法を模索するべきであります。
なお、河川整備計画の策定に当たっては、外水対策はもとより、排水機場の能力アップや遊水地等の内水対策も重要であることから、流域住民の声を聴く中で、県に対し双方の対策が十分に反映するよう要請するとともに、地域の安全を早期に発現させるため、効果的かつ緊急性を要するものから事業化が図られるよう求めていくことは、地元自治体の長としては当然のことであると考えております。
最後に、県財政がひっ迫している現状の下、ダムや河道内遊水地など効果の少ない治水対策を求めるのではなく、有効で経済効率の高い治水対策を求めることとの御質問についてお答えをいたします。
治水対策上、最も洪水調節効果が高く、経済効率の高い手法としては、一般的に上流での貯留であると言われております。すなわち、洪水の流下に必要となる大きな河川幅の改修や広大な土地を確保し遊水地のみによる洪水調節を行うよりも、費用対効果から見て有利であるということであります。したがって、治水安全度百分の一、基本高水毎秒四百五十トンに耐え得る治水計画として、上流部の小規模なダムとため池や遊水地を組み合わせる案を軸に、国との調整に入った県の判断は的確であると評価しております。
村井知事も当選後の初会見で、必要な公共事業ができる環境にしていくと述べています。地方財政の悪化等により公共事業の見直しが迫られている現況下で、選択と集中の理念の下に市民の生命・財産を守るため、必要な公共事業を効率的に実施することは、行政の責任を果たす上で非常に重要なことであると考えております。
御質問の中で、公共事業に関する談合事件についても触れられておられますので、一言申し上げます。
最近、全国各地で談合事件が問題となっておりますが、自治体の長として、なお一層の公共事業の適正化や透明性の確保を進めなければならないと考えております。
私からは以上です。
残念ながら浅川については、ダムを建設する場合に徹底的な調査を求めてほしいという要望に対してさえ、市長からはそういう御答弁はありませんでした。上流域の危険性について、是非認識を改めていただきたいと思います。
3.障害者福祉について
障害者自立支援法がスタートしましたが、厳しい競争社会の下、ノルマに追われ、利潤の追求のみに走る日本の企業社会の中で、障害者雇用が遅々として進まないのが実態です。
授産施設や共同作業所の平均賃金は、月額一万円ほどです。福祉ネットが結成されて、仕事の確保も連携して受け入れるような体制の準備も始まったとのことですが、長野市としても是非積極的に仕事を発注する。あるいは、企業から仕事を請けることができるよう心ある企業家に働き掛ける。商工会議所などにも依頼して、雇用の拡大、仕事の確保に積極的に取り組むなどが必要と思います。御見解をお伺いいたします。
また、指定管理者制度に移行した施設で、今まで障害者団体が運営していた売店が閉鎖されたとのことです。競争社会の中では予想された冷たい仕打ちでありますが、市としてはこのようなやり方を認めるべきではありません。指定する条件の中に障害者雇用や障害者団体への仕事の発注など盛り込むべきではないでしょうか。
さらに医療についても、自立支援医療に一本化され、原則一割負担となり、利用料の一割負担と共に大きな負担増となっています。長野市は精神通院医療については負担軽減措置をとってきました。是非これを継続していただくとともに、低所得者の負担の軽減を拡大していただくよう求め、御見解を伺います。
◎保健福祉部長(宮尾和榮君)
次に、障害者福祉についてお答えいたします。
最初に、障害者雇用の拡大と仕事の確保の取組についてお答えいたします。
本市では、障害者授産施設等において製作された物品を買い入れる場合に、障害者施設等と特命随意契約ができることとしています。これは、平成十六年十一月に地方自治法施行令が改正され、可能となったもので、平成十七年三月に契約規則を改正し、対応をしています。対象物品のカタログのようなものが作成できれば、購入の輪も広がると思いますので、長野市障害ふくしネットへ提案したいと思います。
障害者の雇用促進につきましては、中小企業が試験的に障害者等を雇用し、引き続き常用雇用をした場合、長野市では事業主に奨励金を交付する特定求職者雇用促進奨励金事業を実施しております。
また、障害者や高齢者の雇用を促進するため、地方公共団体や事業所、商工会議所等の関係団体が会員となって設立した社団法人長野県雇用開発協会において、長野市も会員の一員として企業などに障害者雇用の促進を働き掛けております。
なお、市といたしましても、障害者雇用企業の受注機会の確保を図る取組といたしまして、地域への貢献度等を入札参加条件へ反映させるため、平成十七年十月から試行中の事後審査型一般競争入札において、障害者雇用にかかわる評価点を条件に加えております。対象事業者は、当初からの土木一式工事A級及びB級事業者に加え、本年九月から電気・舗装・管工事の各A級事業者にも拡大したところであります。
いずれにいたしましても、障害者の雇用、就労に関しては、国や県の施策として実施されているものが多く、公共職業安定所、障害者職業センターなどの関係機関及び県の設置した障害者就業支援ワーカーなどとも連携を図りながら、また長野市障害ふくしネットの機能を活用しながら進めてまいります。
次に、指定管理者を指定する条件の中に、障害者雇用や障害者団体への仕事の発注などを盛り込むべきことについてお答えいたします。
本市では、本年度から指定管理者制度を導入したところですが、長野市障害者福祉センターの指定管理者として、社会福祉法人長野市身体障害者福祉協会を指定しております。
また、指定管理者制度では、公募によらない指定管理者選定に関する指針に基づき、公募ではなく事業者を指定することも可能ではありますが、指定管理者制度は、公の施設の管理に当たって、民間事業者の能力を活用して、施設の有効活用とサービスの向上、経費の節減を図ることを目的としていますので、運営に当たっての制約条件はなるべく付さずに、事業者の創意と工夫を最大限に引き出すことが求められています。
したがいまして、指定管理者に対して障害者雇用や障害者団体への仕事の発注などの条件付けをすることは、指定管理者制度の趣旨にそぐわないと考えますが、障害者福祉施策を推進する上で、今後、関係部局で障害者の雇用の拡大、促進に向けて、どのような方策が可能なのか研究してまいりたいと考えております。
次に、障害者の医療についてお答えいたします。
まず、精神通院医療についてですが、国民健康保険加入者については、昭和四十四年から精神科での通院医療費の窓口で自己負担がないようにしてまいりました。長期間継続されてきたものでありますので、当面継続してまいりたいと考えておりますが、早期に公平な負担軽減制度ができるよう国・県へ働き掛けてまいりたいと考えております。
また、低所得者の負担軽減についてですが、自立支援医療では、指定の医療機関で医療を受けた場合、医療費の一割が原則として自己負担となっていますが、所得や疾病等の状況に応じて負担上限月額が決められ、負担が重くなり過ぎないように配慮されています。このうち育成医療については、更に所得中間層について別途上限月額が設定され、激変緩和措置がとられています。
これらの負担軽減策に加え、障害の種別ごとに対象範囲は異なりますが、福祉医療制度の対象となることから、現在のところ新たな軽減を行うことは考えておりません。
以上でございます。
4.まちづくりについて
SBCが移転し、ジャスコ長野店が閉店するとの発表に、治安の悪化とまちの衰退に住民は大変不安になりましたが、ジャスコが当面存続するということで、ほっとしています。今後、地域ニーズにこたえる新たな店舗づくりが始まるとのことですが、中心市街地ばかりでなく地元商店街の活性化は、高齢者社会を支えていくためには大変重要なことです。
しかし、今までのような再開発の手法で新たな税金を投入することのないよう要望したいと思います。商売繁盛は何より安定したお客様の暮らしがあってこそであり、お金がないと福祉を後退させながら、一部民間企業に税金を投入するようなまちづくりは、もう終わりにしていただきたいと思います。
また、SBCの跡地については、長野市に寄附してもらいたいと交渉してはいかがでしょうか。御答弁をお願いいたします。
次に、生涯学習センターについて伺います。
新しい生涯学習センターを使った方から、入り口が分かりにくい、駐車場が有料で使いにくいなど、苦情が寄せられました。生涯学習センターやもんぜんぷら座の利用者は、車の利用を控え、公共交通を使う人も増えると思いますが、そうであれば、百五十台もの駐車場を長野市が税金を投入して確保する必要があったのかという疑問が改めて浮かびます。生涯学習センター利用者の駐車料金の改善を求めます。
開店当時は大変なにぎわいを見せていたトイーゴ周辺でしたが、最近の動向が心配です。いかがでしょうか。また、トイーゴの管理運営はどのようなシステムになっているのかをお伺いし、質問を終わります。
◎企画政策部長(鈴木栄一君)
私から、まちづくりについてのうち、SBC跡地についてお答えいたします。
現在、SBCからは、「旧本社の跡地利用については地元の要望を十分踏まえた上で、これまで受けた各種の提案を整理し、精力的に検討している。現在、具体的な方針を示せる段階には依然として至っていないが、今後検討を進め、年明けにも利用方針を決定していきたい。その後、地元へ説明する機会を設けていく。また、旧本社の建物については、今年度中に解体工事に着手したい」との説明を受けております。
よって、現時点で市が寄附を求めるなど、新たな交渉をすることは考えておりませんので、御理解をいただきたいと思います。
私からは以上でございます。
◎都市整備部長(中村治雄君)
私から、まちづくりについてお答えいたします。
最初に、生涯学習センターの利用者への駐車料金改善についてですが、現在一時間百円で二時間分まで最大二百円の割引補助をしており、その対象は有料で学習室を利用されたグループ、サークル等の団体の会員の方とさせていただいております。
このことから、展示会を御覧にお越しいただいた方や講演会などの参加者、またフリースペースである交流サロンの利用などを含む生涯学習センターにお越しいただいたすべての方に割引補助をすることについては、予算上からも困難でありますので御理解をお願いいたします。
次に、トイーゴの最近の動向ですが、去る九月二十二日のグランドオープニングセレモニーの時や十月に行われた表参道秋まつりには、長野オリンピックのにぎわいをほうふつさせる大勢の皆様に朝早くからお越しいただき、市民の皆様の中心市街地再生に対する