議会報告

2006年12月定例市議会 小林義和議員の代表質問(12/8)

市長の政治姿勢について

市財政運営と集中改革プランについて

同和行政の完全終結について

非正規労働と雇用問題について

市民の福祉・暮らしを守る施策について

子育て支援の自治体施策充実について

教育問題について

駅東口区画整理事業について

 二十八番小林義和でございます。私は、日本共産党長野市会議員団を代表して質問をいたします。市長初め理事者の明快な答弁を求めます。
 先月二十八日、日本共産党市議団は、三百五十六項目の予算要求書を市長に提出いたしました。いずれも住みよい長野市をつくる提案と、市民の切実な要求であります。来年度予算に反映されますよう強く要望し、質問に入ります。

1.市長の政治姿勢について

■長野市平和の日について

 本日十二月八日は、六十五年前、日本軍国主義が無謀な太平洋戦争に突入していったその日であります。アジアの二千万人の命を奪い、三百十万人の日本人が犠牲になりました。十二月一日、神戸地裁は残留日本人孤児に帰国や自立支援を怠ったと、国の責任を認める画期的な判決を出しました。今日八日、全国一、満蒙開拓団や青少年義勇軍を送り出した長野県裁判が長野地裁で行われております。十二月八日、市長には改めて平和と憲法、教育基本法への思いをお聞きいたします。

 次に、私は市長に何度でも提案し続けますが、日本非核宣言自治体協議会への加盟です。これまでの答弁は、負担金の支出、協議会の総会、全国大会、研修会への出席が長野市の平和活動に有意義か判断し難い、当面加入は見送るとの繰り返しでした。十月、長崎市で開催された核兵器廃絶地球市民集会の分科会、非核宣言自治体フォーラムを協議会が担当。自治体担当者や外国NGOは、自治体の平和活動は、財政難で後回しにするのでなく行政の中心に位置付けるべき、日本の非核自治体宣言に励まされるなど、活発な議論がされました。
 そこで、長野市制百十周年の来年度二月七日を公式に長野市民平和の日とし、非核自治体フォーラムなどを開催することを提案いたします。長野市長にはその資格も義務もある、三度目の踏み込んだ質問です。世界に大きな一歩を踏み出した答弁を求めます。

◎市長(鷲澤正一君)
 小林義和議員さんからの御質問の市長の政治姿勢についてのうち、初めに十二月八日に当たっての平和に対する市長の思いについてお答えいたします。
 私は、多数の尊い命が犠牲となった戦争の惨禍が二度と繰り返されないことを切に願うとともに、オリンピック開催都市としてオリンピック憲章に定める平和の精神を実現させるため、世界平和の実現に向け、あらゆる機会を通じて平和の尊さを訴えていきたいと考えております。
 現行の教育基本法では、戦前の社会ではあいまいであった個の確立と、平和で民主国家建設の担い手となる個としての人間の育成を目指したものですが、現代のように価値感の多様化、社会システムの複雑化が進み、さらには家庭や地域の教育力の低下が叫ばれる中で、今回の改正案のように家庭教育等について一定の方向性を明らかにすることは必要であります。
 平和への思いについては、改正案の前文において「世界の平和と人類の福祉の向上に貢献すること」、また第一条の教育の目的においては、「平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質」の育成が規定されております。これを真しに受け止め、平和で民主的な国家を形成する市民としての資質を育成する教育を一層推進しなければなりません。
 また、第二条の第五項で述べられている伝統、文化の尊重や郷土を愛し、他国を尊重する態度を養うことは国際化が進む現在社会の中で、日本人として平和を希求する心の育成に大きく寄与するものと考えております。

 次に、世界に平和を発信することについての提案について申し上げます。
 長野市は、昭和六十年に平和都市宣言を行い、核兵器の廃絶を初め非核三原則の厳守、すべての兵器による戦争の放棄を訴え、全世界の恒久平和を希求してまいりました。日本非核宣言自治体協議会につきましては、以前にもお答えしたとおり、協議会の趣旨には賛同いたしますが、協議会の主な事業であります総会や全国大会、研修会への出席などが、長野市の推進する平和運動にとって有意なものであるかどうか判断し難いところがありますので、加入については見送ってまいりたいと考えております。
 本市は、平和都市宣言を行って以来、毎年長野市民平和のつどいを開催してまいりました。平成十年には、平和と友好の祭典である長野オリンピックを開催し、平和の大切さを世界にアピールしましたが、この開会式が行われました二月七日を長野オリンピック記念平和とスポーツの日と定め、以後毎年世界平和の願いを込めて、市民の皆様と共に長野市民平和の日のつどいを開催しております。
 オリンピックムーブメントの目的の一つに、世界平和の構築が掲げられておりますが、今後ともオリンピック開催都市としてオリンピックムーブメントの高揚を図り、長野で誕生した一校一国運動や国際スポーツ大会の開催など、国際交流の輪を広げ、平和の大切さを世界にアピールするとともに、子供たちの豊かな未来を願い、平和な世界の実現に尽くしてまいりたいと考えております。

■浅川ダムの安全性に対する市長発言について

 浅川ダムについてお伺いいたします。
 市長は、浅川ダムの安全性は県の地すべり等技術検討委員会で確認されていると繰り返し表明し、治水・利水ダム等検討委員会は、専門家でも何でもない人たちが集まった意見交換会とやゆしたと報道されました。
 一方、村井知事は、地すべり等技術検討委員会は安全と答申、治水・利水ダム等検討委員会は安全確認が必要と答申した、慎重に対応すると、六日、現地視察も行いました。一定の客観性と科学性を持った態度です。治水・利水ダム等検討委員会は、現地調査で活断層の存在を認め、再調査を促していました。市長は、なぜ地すべり等技術検討委員会の答申のみを根拠として安全だと言い切るのですか。専門家も入った治水・利水ダム等検討委員会が安全確認が必要と答申した事実は認めますか。その上で、なお安全確認は必要ない、改めて検証する必要もないと言うのか、お伺いいたします。

◎市長(鷲澤正一君)
 続きまして、浅川ダムの安全性に対する発言についてお答えをいたします。
 まず、地すべり等技術検討委員会の答申のみを根拠として安全と言い切れるのかという御質問でありますが、地すべり等技術検討委員会は、浅川ダム建設の安全性を理学的、工学的見地から検討するために県が設置した専門家十名による委員会でございます。平成十一年七月二十八日の第一回委員会から現地調査を含め七回にわたる委員会を開催し、それまで県が行ってきた、これは学識経験者、建設省土木研究所、財団法人ダム技術センター、あるいはコンサルタント等のそういった調査結果や地形、地質学的議論を踏まえ、浅川ダム建設における貯水池周辺の地滑り及び第四紀断層等に関する検討が行われました。
 平成十二年二月二十二日には、委員会の意見書として、これは十名の委員のうち一名は合意に達しませんで、九名の賛成ということだそうですが、「浅川ダム建設予定地には、ダム建設に支障となる第四紀断層は存在しない」との答申を得、ダムの安全性についての確認がなされたものと聞いております。このことは、権威ある学者の皆さんにより検討がなされたもので、十分信頼に値するものと考えております。

 次に、治水・利水ダム等検討委員会が安全確認が必要と答申した事実は認めるのか、また改めて安全確認の検証をする必要があるのかについてお答えいたします。
 治水・利水ダム等検討委員会における各委員さんは、学識経験者、市町村長、県議会議員、市町村議会議長等であり、地質を専門とする委員さんは少ない構成となっておりました。本委員会においては、ダム計画地及びダム周辺の地質、ダムサイトの安全性について多くの議論がなされ、安全性を疑問とする意見と安全とする意見とが二律背反となった中で、答申ではダムを実施する場合には、一部の断層について再調査を必要とするとの報告がなされたことは承知しております。
 市といたしましては、ダムの安全性の確保は当然のことであり、このような地質とダムの安全性にかかわる技術的な判断につきましては、地すべり等技術検討委員会における理学的、工学的知見を有する真の専門家の意見や判断が最も適切であり、また尊重されるべきものと考えております。

■子ども達の「にとはちさま」公演と市長の役割について

 先日、恒例にとはちさまの公演が古牧小で行われました。恒例、伊藤議員と私は肩を震わせ、青いハンカチで涙を絞ったのでした。今年は初めて助弥と名主たちが幕府に直訴する場面が挿入され、観客は重い年貢に苦しむ民百姓と自らを重ね、命を懸けて闘う助弥に大きな拍手を送りました。
 私は、市長がもしこの時代の人であったなら、善光寺平の民百姓のため命を懸けた助弥だったか、名主だったか、はたまた松代藩のお殿様だったかなどと考えておりました。
 日本共産党が行った何でもアンケートに、長野市では九百通に迫る回答が寄せられ、年金の減額、所得税・住民税の大増税、医療費、国保料、介護保険料など耐え難い負担増で生活が悪くなった、やや悪くなったが七十五パーセントを占めました。市民は、重税と社会保障切捨ての国の悪政から暮らしを守ってと市役所に駆け込んでいます。市長は、国の庶民大増税や社会保障の切捨てをどう考えていますか、国の悪政から市民を守る防波堤となって行動されますか、見解をお伺いいたします。

◎市長(鷲澤正一君)
 次に、社会的格差と貧困の拡大に対する市長の役割についてお答えいたします。
 まず、私は現在のような厳しい財政状況の下で財源の確保を図ることは、市政をつかさどる者としての責務であり、入りなくして市民の皆様に対し公共サービスの提供に努めることは困難であると考えております。
 御指摘の税制については、地域経済や景気に悪影響を及ぼさないよう国において十分な検討と議論が必要と考えており、税財政構造全体の中で慎重に検討されるべきものと考えております。また、社会保障制度についても、国レベルにおいて受益と負担の関係等も含め、将来の社会保障制度全体を見据えた中で、十分な検討が必要であると考えております。
 私は、市長会等を通じて地方都市の現状や施策提言を国や県に申し上げるとともに、今後とも健全な自治体運営に努めてまいります。言われるまでもなく、市民生活を守る上で、地方都市の実情に合致しないような国の政策については、安易に傾注するつもりはございません。今後とも市民の幸せや郷土の発展を第一に考え、市政運営に努めてまいる所存であります。

■最近の鷲沢市長の言動について

 最近の市長の言動には大変驚かされます。私ども市議団が保育園の民営化問題で市長と懇談した席上で、市長は、民営化は市長選で当選したのだから、何が何でもやるとの意味のことを述べました。民主主義を履き違えています。市長選に勝ちさえすれば、市民がすべて市長に委任したとでもお考えなのでしょうか、お伺いいたします。

◎市長(鷲澤正一君)
 次に、最近の市長の言動についてお答えをいたします。
 まず、共産党市議団と懇談した席上での私の発言についてでございますが、民営化は市長選で当選したのだから、何が何でもやると私が発言した。また、市長選に勝ちさえすれば、市民がすべて市長に委任したとでもお考えなのかと御質問されておりますが、私の真意が全く伝わっていないようでありますので、改めて説明させていただきます。
 民間活力の導入については、私にとっては、歴史的使命であると訴え続け、選挙に当選させていただいたわけでありますから、確固たる信念と勇気を持って聖域なく進めていくことが、私の責務であると思っております。今後も積極的に推進してまいります。
 また、私の政治姿勢については、市民との合意形成の構築に最大限の力を注ぎ、そのための説明責任、説得責任をしっかり果たすとともに、情報公開を進め、分かりやすい行政に努め、そして市民とのパートナーシップによる元気なまちながのを目指してまいりますと、かねてから議会でも申し上げております。

■北陸新幹線完成後の在来線の市長発言についてお尋ねいたします。

 市長は、まちづくり市民会議などで、豊野以北の在来線を廃止しなければならない旨の発言をしたが本当かと、市民の疑問の声を聞きました。そのような発言をされたのか、発言の真意はどこにあるのか、どの程度検討された上での発言なのか、お尋ねいたします。
 豊野以北の在来線は、毎日多くの通勤・通学客が利用する大事な足です。決まってもいない在来線の行く末を市民の前で廃止するなどと言ったとすれば、重大問題です。市長の答弁を求めます。

◎市長(鷲澤正一君)
 次に、市民会議における並行在来線についての私の発言についてお答えをいたします。
 私は、市民会議において豊野以北の並行在来線について廃止しなければならないとは申し上げておりません。新駅設置の要望にこたえる中で、新幹線が延びたときには、並行在来線をどうするかという問題があり、長野から上越までの並行在来線をJRはやらないと言っている。しかし、やらないというわけにはいかない、それをどうするかということで、県が中心になってようやくこれから研究が始まるという状況である。今、鉄道会社は不採算路線をやめることができる--これは法律的にできるわけであります--具体的に長野電鉄では、信州中野から先の木島線を廃止にしたように、そういう可能性を頭に置いてこの並行在来線を考えていかなければならないとのことを申し上げたものであります。
 いずれにいたしましても、北陸新幹線の開業に伴い、長野以北の並行在来線は、JRから経営分離されます。県が存続の責任を持つことではありますが、篠ノ井・長野間の問題、あるいは長野以北の経営の問題、すなわちしなの鉄道が受け持つのかどうか等の基本的な問題を解決する必要があります。
 困難な状況を打破してどのように並行在来線の存続を図っていくのか、本年五月三十日には、長野以北並行在来線対策協議会が立ち上がり、県が並行在来線の存続に向けて歩み出し、協議する体制ができたわけであります。まずは協議会の場で、様々な角度から研究、検討し、問題解決に向けて努力をしていく必要があると考えております。

2.市財政運営と集中改革プランについて

 市長は、来年度予算編成方針と議案説明で、集中改革プラン等による大胆な歳出の削減を行うと述べました。集中改革プランは、市民の暮らしを直撃します。PFI手法、指定管理者制度、業務委託、市場化テスト、市民ファンドなどを徹底的に導入する。公立保育園の民営化、就学援助制度の縮小、文化ホールなどの統廃合、公民館・働く女性の家・勤労青少年ホームの統廃合、各種使用料・手数料の引上げ、福祉医療費給付金の所得制限見直し、ごみ処理の有料化、児童館・児童センター等に受益者負担導入、独居老人等緊急通報システムに利用者負担導入、市正規職員の百四十人削減、退職金の役職による格差導入で引下げ、人事評価制度で成果主義を給与に反映させ、競争させる。市民の中に格差と貧困を際限なく拡大する道に踏み込んだと言わざるを得ません。
 市民は、市民の安全と命、暮らしを最優先にする集中改革を求めていると思いますが、市長の見解を伺います。

◎市長(鷲澤正一君)
 次に、市財政運営と行革大綱--集中改革プランのことですが--の見直しについてお答えをいたします。
 長野市では、民間の良いところを行政にも取り入れ、市民サービスの向上と簡素で効率的な行政運営を目指すため、平成十五年三月、行政改革を推進するための指針として長野市行政改革大綱を策定しました。この大綱は、総合計画との整合を図り、市民との役割分担を明確にし、組織及び運営の合理化に努めるとともに、市民サービスの増進と最少の経費で最大の効果を上げられるよう、三つの視点を設定しております。
 この視点の一つ目として、市民と市の役割分担を明らかにし、パートナーシップに基づくまちづくりの推進、二つ目として、民間の発想を取り入れた行財政経営への転換、そして三つ目として、市民の目線で良質なサービスを迅速に提供でございます。
 また、国の行政改革に係る新たな指針が示されたことや社会経済情勢などの変化に適切に対応できるよう、行政改革大綱実施計画を集中改革プランとして位置付け、本年四月に公表いたしました。この集中改革プランでは、既に平成十八年度以前から取り組んでいる項目に、昨年度策定いたしました財政構造改革プログラムに基づく項目などを新たに追加し、さらに目標値等具体的な指標を設定し、改革に取り組んでいるところでございます。
 私は、市長就任以来、行政改革を進めるに当たって、一貫して主張し続けてまいりましたのが、民間活力の導入であります。この民間活力の導入に当たっては、一つ目として、住民サービスの質が上がること、二つ目として、市場における競争原理が働くこと、三つ目として、行政コストが削減されることの三条件を挙げておりますが、民間活力の導入を推進することが、結果として市民の皆様の利益とならなければ、その改革は無意味なものとなってしまいますので、やみくもに進めるのではなく、市民の皆様にとって真に必要性が高いものに民間委託や民営化などの民間の力を活用させていただくことが、最も大切であると考えております。
 このような考えの下、私は今後も良好な市民サービスが維持できるよう、市民の皆様の更なる御理解と御協力を頂きながら、安全・安心を目指し、最少の経費で最大の効果が得られるよう行政の効率化、スリム化に努めてまいりたいと考えております。

■次は、財政構造の問題です。

 中核市三十六市の平成十八年度予算において、性質別歳出を比べてみました。人件費比率は長野市十七・二パーセント、三十六市の中で低い方から三番目、全国職員減らしワーストスリーです。では、職員を減らした分、市民のために使われているか。扶助費比率、これは福祉給付などに使われる割合、長野市十二・四パーセント、下から二番目、福祉に冷たい全国ワーストツーです。では、どこに使われているか。過去の借金返し、公債費比率十七・一パーセント、大きい方から四番目。ところが、建設事業費の比率も十四・九パーセント、大きい方から十一番目、公共事業にも使っている。これが長野市の財政構造です。この財政構造と財政運営は異常ではないですか、財政部長に伺います。

◎財政部長(板東正樹君)
 私から、本市の財政運営に関する御質問と今年度の税制改正に関する御質問にお答えいたします。
 まず、財政運営に関してでございますが、他の中核市と比較しても、歳出総額に占める割合の高い公債費につきましては、議員さんも御存じのとおり、冬季オリンピックの開催に伴う関連施設の建設によりまして、市債借入れが多額となり、現在、その償還が大きな負担となっているところでございます。
 しかしながら、この償還も平成十六年度をピークに当面はほぼ横ばいで推移いたしますが、平成二十四、五年ごろからは順次償還が終了いたしますことから、毎年度一定程度減少していくものと見込んでおるところでございます。
 また、建設事業費につきましては、現在の厳しい財政状況の中、高齢化の進展など社会構造の変化や多様化する市民ニーズに最大限こたえていくため、これら建設事業を抑制してきておりまして、平成十七年度決算では、昭和六十二年度ごろの水準まで減少してございます。今後も市民にとって真に必要な事業を厳選した上で、必要な額を確保してまいりたいと考えてございます。
 さらに、人件費につきましては、国、地方それぞれの財政の健全化を図るため、政府からも国と歩調を合わせ総人件費の抑制や定員の適正化について強く求められているところでございます。市におきましても、事務事業の効率化を図ることにより、人件費の抑制につなげ、その抑制した財源によって新たな行政サービスが展開できるよう、計画的な定員の削減に取り組んでいるところでございます。
 いずれにいたしましても、それぞれの中核市におきましては、地域経済の構造の違いや社会資本整備の進ちょくの度合い、さらには行政改革の取組の度合いに差がありますことから、一概に各経費の比率によっての単純な比較はできませんが、毎年度の予算編成に当たりましては、扶助費を初め市民にとって何が必要なのか、そして行政として何をすべきなのかを十分に見極めて施策の選択と集中を図りながら各種施策を展開し、併せて市民の皆様が将来にわたり安心してこの長野市で暮らしていただけるよう、健全財政の確保に努めてまいる所存でございます。

3.同和行政の完全終結について

 人権を尊び差別のない明るい長野市を築く審議会答申が出され、五年が経過しました。昨年六月議会、部落解放同盟などが同和対策の復活をねらった旧同和地区生活実態調査を行うなと求めた私の質問に、市長は特別対策は終了したと答弁され、き然として実施しませんでした。今、京都、奈良、大阪などで部落解放同盟に行政が屈服し、驚くべき癒着と民主主義破壊の実態が明るみに出て、国民的な批判を浴びています。平成十九年度予算では、当然団体補助金も廃止と思いますが、どうされるか伺います。
 担当部署も不要です。人権同和対策課、人権同和教育課の廃止により生み出される職員は、市民サービス部門などに配置するよう求めます。人権同和教育指導主事も不要、きめ細かな教育指導のために、例えば教育センターへの配置や教育現場への加配を行うべきです。隣保館の名称も変え、地域住民の生涯学習施設として位置付ける、市民や市職員の大きな負担になっていた人権同和研修は見直すべきです。
 そして、同和対策事業のバックボーン、市条例と部落解放都市宣言を廃止し、市制百十周年を機に、例えば人権憲章などへ発展させるよう提案をいたします。市長の明快な答弁をお伺いいたします。

◎市長(鷲澤正一君)
 次に、同和行政の完全終結と担当部局、部落解放都市宣言及び条例の廃止についてお答えします。
 まず、団体補助金につきましては、平成十三年十二月に人権を尊び差別のない明るい長野市を築く審議会から、市における他の補助金交付団体との均衡を考慮し、五年以内の経過措置で漸減されたいとの答申を頂き、平成十四年度から平成十八年度までの五年間に補助金の減額を図ってまいりました。
 市で実施しております個人給付関係の特別対策も、平成十八年度に終了することから、同和行政を補完する協力費としての役割が終了した等の理由により、団体補助金につきましても、平成十九年度から廃止をしてまいりたいと考えております。
 本市では、平成八年に公布された人権を尊び差別のない明るい長野市を築く条例の目的に沿って、市民の人権尊重意識の高揚を図るため、学校、家庭、地域、職場等あらゆる場や機会を通じて人権同和教育を推進しております。長野市職員に対しましても、階層別の研修や各所属の職場研修の中に、人権同和教育を取り入れて実施をしております。
 人権同和教育は、憲法の重要な柱である基本的人権の尊重を基盤に、あらゆる差別をなくす実践力を持った人間の育成を目指して行われる教育であります。各種の人権同和研修により、地域住民や市職員の人権尊重意識は確実に高まっていると認識しております。
 しかし、部落差別にかかわる差別事象が依然として発生していることや様々な人権問題が社会問題として取り上げられている今日の現状を踏まえたとき、今後も同和問題、女性、子供、高齢者、障害者等の人権にかかわる研修を通じて、人権尊重の精神をかん養していくことが大事であると考えております。そのため人権に関する担当部署は必要であると考えております。
 なお、人権同和対策課と人権同和教育課については、市民にとって分かりやすい組織とするため、窓口を一本化して平成十九年度からは、保健福祉部に人権教育・啓発・施策等の業務に取り組む課を設置してまいりますので、御理解をお願いいたします。

 次に、隣保館の名称変更につきましては、平成十三年十二月に人権を尊び差別のない明るい長野市を築く審議会から、隣保館等の活用について、周辺住民に親しまれる施設として市民の理解を得ながら、名称を含め検討されたいとの答申を頂き、大豆島、若穂、豊野の各隣保館については、地域住民の方々で構成されている運営委員会において、名称変更について検討いただくよう提起させていただいております。
 中央隣保館につきましては、運営委員会の設置がされておりませんが、市内四館の隣保館が名称変更できますよう、今後も関係者と協議してまいります。

 次に、部落解放都市宣言、人権を尊び差別のない明るい長野市を築く条例の見直しについては、本年十月に長野市のシンボル等見直し検討委員会要綱が施行され、調査及び検討が行われております。また、今後、国の人権侵害を救済するための人権擁護法案等の動向を見定めながら、総合的に検討してまいりたいと考えております。

4.非正規労働と雇用問題について

■まず市職員の労働条件の改善について伺います。

 今、市正規職員は二千八百五十二人、非正規職員一千九百五十八人、職員全体の四十・七パーセント、労働力調査の全国数字の三十三・四パーセントを大きく上回っています。特に、市民に身近な福祉・教育分野で非正規職員が増え、保育園は正規職員二百十三人、嘱託三百十八人、パート四百五十一人、学校や教育施設は正規三百人、嘱託四百二人、臨時百七人、さらに指定管理者制度の人件費削減で、市全体に低賃金不安定労働者を広げ、地域経済にも深刻な影響を与えています。来年四月から三百一施設になりますが、全体で何人が指定管理者の職員に替わりますか、まず伺います。

 保育園の実態は異常です。四十園中、小規模園以外の二十四園で圧倒的に嘱託保育士が正規を上回っています。ある園では、担任十三人中、嘱託が九人、正規が四人、未満児保育七人全員嘱託保育士、超過勤務は原則子供の保育に限られ、保育準備、行事準備、掃除などはサービス残業。日々の日誌、クラスだより、月案ほか書類作成は持ち帰り残業で、休日や平日の夜間に家でやっています。担任として正規職員同等の責任ある仕事をし、若い保育士の指導、全体の目配りまでやっています。しかし、賃金は月給十五万五千百円、ボーナスもわずか。勤続九年で月給は三千円上がっただけ。嘱託一般事務職は月給十三万四千四百円、臨時事務職員は日給六千二百円、通勤費が一日百円、二十日まで、交通機関利用はどんなに遠くから通っても一日五百円以内、療養休暇も雇用保険もありません。この嘱託職員の現状と労働条件をどう認識しているのか、緊急の待遇改善をすべきです。
 特に、正規と同一労働を行っている嘱託保育士は、正規職員として採用すべきです。以前、部長は保育園の嘱託職員が半数を超えることは問題だと、正規の採用を行うと答弁しましたが、どのように採用を進めていくのですか。新規採用の嘱託職員は今年から三か月間臨時職員扱いですが、当初から嘱託採用とすべきです。さらに、市職員百四十人を削減する計画は暴挙です。むしろ正規職員比率を他市並みに引き上げるべきです。見解をお伺いいたします。

 また、正規職員の健康もむしばまれています。平均年休取得は五年前の十・四日が今九日に減り、保育園は最低で年間五日です。三十日以上の病気休業者は、五年前の四十一人が今七十八人、うち精神障害が十二人から三十四人に三倍、カウンセラーに相談している職員は百人近く、病気治療中が三百五十四人。職員が減らされ、休みもとれず、超過勤務とサービス残業の連続、そこに成果主義の人事評価制度の導入によるストレス、膨大な事業評価や人事評価の仕事が増えていることも重大です。市役所職場の現状の原因と対策について見解をお伺いいたします。

◎総務部長(増山幸一君)
 私からは、非正規労働と雇用問題についてのうち、市職員の労働条件の改善についてお答えいたします。
 初めに、何人が指定管理施設の職員になるかとの御質問についてお答えいたします。
 今年度の指定管理者への移行に伴い、約四十人の非常勤職員が指定管理者に雇用され、引き続き勤務しております。また、来年度から指定管理者へ移行される予定の施設に勤務する非常勤職員は、短期の季節雇用職員を含めて約百二十人でございますが、指定管理者には担当課から現職員をできるだけ雇用していただけるよう、お願いしてまいりたいと考えております。

 次に、嘱託職員等、非常勤職員についてお答えいたします。
 非常勤職員は、月額で賃金を設定し、通年の任用とする嘱託職員と日額で賃金を設定し、年度内で原則十か月の任用を限度とする臨時職員に大別されます。また、本年度からは各所属の業務の繁閑や就労ニーズの多様化に対応するため、一日五時間四十五分の勤務時間とするパート職員の任用を開始したところであります。
 非常勤一般事務職員の賃金については、近年の人事院勧告において正規職員の給与改定のうちマイナス改定が三回、据置きが二回行われ、また各種諸手当の削減が行われたことなどにかんがみまして、平成十一年度以降据置きとしているところでございます。
 また、他都市における平成十七年度の調査結果によりますと、本市と同様の勤務形態と推定される中核市八市の嘱託職員の賃金について、本市の人口規模は六位であり、賃金についても六位となっております。臨時職員については、同様に中核市二十七市中人口規模十八位、賃金額については十位であることから、非常勤職員の賃金について、現状では改善する必要はないものと考えております。
 いずれにしましても、嘱託職員等、非常勤職員につきましては、その役割や責任の度合い、他市の賃金状況等を勘案しながら、適切に処遇してまいります。

 次に、職員を平成十七年度から五年間で百四十人削減することについてお答えいたします。
 本市では、合併により増加した職員数分を削減すること、現行の総合計画に示した職員一人当たりの市民の数百四十五人を目途とすること、十年間の退職予定者数五百四十六人に対しその約半数を採用抑制すること、国が地方公務員数について示した五年間で四・六パーセントを上回る削減率とすることなどの指標から、集中改革プランにおいて平成十七年度から五年間で職員を百四十人削減する目標を策定しております。
 本年六月に施行されたいわゆる行政改革推進法においても、職員数の厳格な管理が求められており、今後の厳しい財政状況の下、持続可能な社会を実現するためにも、民間活力の導入を推進し、事務事業の委託等の改革を行うことで、市民サービスの低下を招くことなく、最少の経費で最大の効果が得られるよう適正配置を進め、市民の皆様から御理解いただける職員体制にしてまいりたいと考えております。

 次に、職場の現状と対策についてお答えいたします。
 本市では、家庭生活と職業生活の両立ができるよう、昨年二月に次世代育成支援対策推進法に基づく特定事業主行動計画を策定いたしました。この計画では、休暇や時間外勤務縮減のための枠組みを作るだけでなく、職員一人一人の意識改革や業務遂行体制の工夫、見直しを通して年次休暇取得率の向上や時間外勤務縮減などに積極的に取り組む職場環境を目指しております。
 計画策定に当たっては、事前に行った職員アンケートの結果が大きく反映されておりまして、特に時間外勤務の縮減に関しては、時間外勤務を減らすために効果的と思うことは何かとの質問に対し、最も多い回答は事務の簡素化、合理化の二十四・八パーセントでありましたが、続く二番目、三番目の個々の職員の心掛け・意識、職場全体の雰囲気づくりとする意識改革に係る回答が合わせて三十二・七パーセントとなったことから、職員が意識改革の必要性を感じていることが分かりました。
 この結果を踏まえまして、今年六月からは職員一人一人が意識的に勤務を行う中、全庁的に時間外勤務縮減に取り組んでおりまして、成果を上げつつあるところでございます。
 また、減少傾向にあった年次休暇の取得日数は、平成十七年度にはわずかに増加しましたが、ここ数年、年次休暇の取得日数が減少した理由といたしましては、年五日間まで取得できる子の看護休暇を平成十四年十二月から実施したことや職員の健康管理意識の変化によりインフルエンザ等の伝染性の疾病や数日間の療養等についても療養休暇を取得するなど、年次休暇に代わる特別休暇の充実や療養休暇の取得増にも、その一因があるものと推測しております。
 なお、今年七月には、男性職員の育児参加のための休暇を新設し、休暇を取得しやすい職場環境づくりにも努めているところでございます。
 職員の心の健康管理対策といたしましては、平成十六年度から産業カウンセラーによるカウンセリングを平成十七年度からは医務保健室の保健師を二人体制とするなど、相談しやすい体制の整備を行い、メンタルヘルスの充実強化に努めたことで、相談件数の増加や早期発見、早期治療に結び付くなどの成果を得ております。また、今年七月からは、長期療養休業職員が円滑に職場復帰できるよう、職場復帰支援制度を実施しているところでございます。
 地方分権が進み、情報化が急速に進展して市民ニーズが多様化する中、市職員には今まで以上の役割が期待され、また迅速な対応、専門的な知識が求められております。新たな市民ニーズを的確に把握して素早く対応していくためには、行政評価や人事評価等は、施策の選定や職員の適正配置に当たり、欠くことのできないものと考えております。
 市民ニーズに的確に対応しながら、職員が健康で生き生きと仕事をし、家庭生活と職業生活の両立ができるよう、今後も体制づくりに取り組んでまいります。
 私からは以上でございます。

◎保健福祉部長(宮尾和榮君)
 何点か御質問を頂きましたので、順次お答えをいたします。
 最初に、非正規労働と雇用問題のうち、保育園に関する部分についてお答えいたします。
 本年四月一日現在、公立保育園の正規保育士数は二百五名、嘱託保育士数は二百四十八名で、嘱託職員の比率は五十五パーセントであります。この比率は、平成十六年度から五十パーセントを超えましたが、その背景には園児数の増加、特に三歳未満児の増加があり、それに対応するため保育士を増員し、配置しております。特に、公立保育園の園児に占める未満児の割合が平成十五年度から増加しており、それだけ多くの職員の配置が必要になっております。また、最近、増加傾向にある障害児保育にも保育士数を増やす等の手厚い対応をしております。これらの増員分を補うのに、総人件費の抑制基調の中にあって、退職者数を上回るよう正規職員の採用に努めているところであります。また、嘱託職員についても、雇用して効率的に保育の充実を図っておりますので、御理解をお願いいたします。
 労働条件等については、厳しい財政状況の中ですが、できる範囲で改善に努めて、正規職員の役割分担をより大きくし、嘱託職員の負担を減らすように工夫してまいりたいと考えております。
 なお、新規採用の嘱託職員は一般的には、従来から試用期間の意味合いで三か月間は臨時職員として任用しており、保育士につきましては、一か月間としております。

■青年の雇用対策であります。

 十二月一日、総務省発表資料では、二十四歳以下の完全失業率が他の世代の二倍、非正規社員は急増、三十三・四パーセントと過去最高です。多くが月収十万円以下、要らなければ捨てるという働かせ方です。長野市は、適切な雇用対策等の基礎資料にすると、満十八歳から三十四歳までの市内在住の若者の就業意識の実態を調査しました。具体的な若者雇用対策、市内企業の若者の雇用者数や労働時間、派遣、パートなど非正規社員の数、労働条件などの分析をお伺いいたします。
 もんぜんぷら座に開設した若者の仕事探しや労働条件など、総合相談窓口の状況はどうか。開設場所、日時の拡大、労働条件に関する相談への対応など、機能の充実及び若者向け生活資金貸与制度など、経済的な自立支援策も拡充すべきです。また、労働基準法や労働組合法など労働者の権利と雇用主の義務などを知らせる冊子を成人式や市内企業新入社員激励大会などで配布することを提案いたしますが、見解を伺います。
 非正規労働者の拡大が大きな社会問題となっているときに、労働行政を担う課が室に格下げになり、正規職員が室長一人だけ、ほかは嘱託職員二名、臨時職員一名の体制、勤労青少年ホームは株式会社の指定管理者委託、一体これでどんな労働行政ができるというのか、労政課の復活など体制の強化をすべきです。見解を伺います。

◎産業振興部長(小池睦雄君)
 私から、市独自の青年の雇用対策強化と労政課の復活についてお答えをいたします。
 まず、平成十六年十二月に実施いたしました若年者就業実態調査についてでありますが、この調査を分析した結果でありますが、定職に就いていない人が就職をするときに必要な支援として最も多かった回答が、自分に向いている職業や能力開発などを相談できる窓口の設置であり、親身になって相談に乗ってくれる窓口を必要としているということから、本年十月から職業相談総合窓口を設置したものであります。
 また、一刻も早く定職に就きたいと思っている人が定職に就かない最大の理由は、自分に何が向いているか分からないということであり、また就職した人が会社の選択に当たっては、職場見学あるいは職場実習、インターンシップを挙げた人が多かったという分析から、本年度から就業体験事業を実施することといたしました。
 お尋ねの市内企業の若者の雇用者数、あるいは労働時間、派遣やパートなどの非正規職員の数、労働条件につきましては、平成十六年の調査事項としておらず、また労働局等においても、具体的な資料がない状況であります。

 次に、長野市職業相談総合窓口の利用状況でありますが、まず若年者についてでありますが、就労意欲の向上、あるいは就労に向けた生活改善などについて二名の産業カウンセラーが個別に来所した人一人当たり約一時間程度のカウンセリングに当たっておりまして、相談者数でありますが、電話相談も含めまして、十月が九十三人、十一月が七十九人となっております。
 一方、高年齢者相談は、長野公共職業安定所の職員二名が職業紹介を行っておりますが、十月が三百七十四人、前年対比六十三パーセント増、十一月が五百八十二件、九十パーセント増となっており、大変多くの皆様に御利用をいただいております。
 この職業相談総合窓口は、従来からもんぜんぷら座や北部・南部勤労青少年ホームで行っておりました仕事に関する何でも相談、それから、しなのきで行っておりました労働相談に加えまして、本年十月一日からもんぜんぷら座四階で、若年者を対象とした職業相談窓口と従来ふれあい福祉センターにおいて行っておりました高年齢者職業相談室を併せまして、常設の長野市職業相談総合窓口を設置したものでございます。
 相談窓口の拡充をということでありますが、今後は一層の広報周知を図ってまいりますとともに、若年者と高年齢者にとどまらず、幅広い対象者をこの長野市職業相談総合窓口で受けられるよう、体制の整備を図ってまいりたいと考えております。

 次に、若者向けの生活資金貸付制度の拡充でありますが、現在、勤労者生活資金融資事業につきましては、県の労働金庫に原資を預託し、勤労者に住宅や生活資金等の貸付けを行っております。十月末現在の状況でありますが、融資件数が七百五十一件で、前年対比九・四パーセント減、融資金額で六億九千万円、十五・九パーセント減となっておりますので、全体的には減少傾向にありますので、当面は現状で御理解をいただきたいと思います。

 次に、成人式や新入社員激励大会等において労働者の権利、あるいは雇用者の義務などを知らせる冊子を配布したらどうかとの提案でありますが、今後、研究をしてまいりたいと考えております。

 次に、労政課の復活など体制の強化についてでありますが、雇用対策を初めとする労働行政は産業の育成や企業誘致など、様々な分野と連携し、推進していくことが重要でありますので、昨年四月、機構改革により旧労政課を廃止し、新たに産業政策課を設置いたしまして、その中に雇用促進室を設置したものであります。
 今後も産業政策の大きな柱として雇用拡大や労働者福祉の向上に積極的に取り組んでまいりたいと考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
 なお、現在長野市産業振興ビジョンを策定しているところでありますが、この中で重点プランといたしまして人材育成推進プラン、もう一つが若年者就業支援プランを指定する予定であります。今後、これらを着実に実施していくことによりまして、雇用促進を強力に推進してまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。

5.市民の福祉・暮らしを守る施策について

 年金は減らされているのに、なぜ税金がこんなに上がるの、国保料も介護保険料も上がった、年寄りは死ねというのか。公明党が提案した定率減税半減、公的年金控除の縮小、そして老年者控除の廃止、高齢者の非課税限度額の廃止の影響です。長野市で、昨年非課税から今年課税された人数と総税額、その中で六十五歳以上の高齢者はどのぐらいいますか、まずお聞きをいたします。

 そして次は、市民税の少額所得者減免制度などについてお伺いいたします。
 九月議会の阿部議員の税等の負担の軽減策などを求めた質問に、部長は高齢者が特別に優遇されていた措置が見直されたものなどと答弁しました。ならば、法人税率引下げ、所得税の最高税率引下げ、毎年何千万円もの配当を得ている大資産家に十パーセントしか課税されない。これを優遇と言わないで何と言うのか。川崎市や鎌倉市などが実施する少額所得者減免制度創設を提案いたします。川崎方式では、長野市では六十五歳以上の低所得者の何人程度が免除されますか、財政部長に答弁を求めます。
 障害者に準ずるとして障害者控除対象者認定書を交付されれば、障害者控除の対象となり、税金は減額や非課税になります。鹿児島市は介護保険の認定が要介護一以上で、今年住民税が非課税から課税になった人に個別通知を出しました。多くの市が認定書を郵送で交付、要介護一以上で認定しています。そこで提案します。今年度分もまだ申請できるとの周知、また来年の申請は十二月末でなく確定申告までとすること、認定基準は介護保険の要介護一以上は認定し、認定書も対象者に郵送すべきです。見解を伺います。

 次に、税制度に関しての御質問にお答えいたします。
 まず、平成十八年度の税制改正に伴い、個人市民税が本年度から新たなに課税となった方々の人数と税額でございますが、新たに納税義務者となった方々の総数は一万九千人余り、市民税調定額の総額は約三億一千八百万円でございます。また、そのうち六十五歳以上の方々は一万百人余りで調定額は約二億二千四百万円と見込んでございます。
 本年度の税制改正の考え方につきましては、さきの九月定例会において御答弁いたしましたとおり、少子高齢化が急速に進展しているこの社会において、国民が元気で、そして安心して暮らしていくためには、高齢者も含めたすべての国民で社会を支えていく必要があり、そのためにもお年寄りと若い世代での世代間の税負担の公平性の確保や所得に格差のあるお年寄りの世代内の税負担の公平性の確保を目的といたしまして、これまで年齢だけを基準に若い世代と比較して優遇されていた措置が見直されたものと考えてございます。
 また、御質問にもありました平成十一年度より改正されました法人税率の引下げは、法人課税の税率を国際的な水準まで引き下げ、我が国の企業が国際競争力を十分発揮できるようにするという観点から見直されたものと認識してございます。
 さらに、所得税の最高税率の引下げにつきましても、国民の勤労意欲や事業意欲の維持・向上の観点から国際水準並みに引き下げられたものであり、併せてあらゆる所得階層に減税効果が及ぶよう定率減税と組み合わせ改正されたものと認識してございます。
 いずれの改正も、我が国の将来を見据え、またその時々の社会経済情勢を踏まえ、かつ、十分な議論がなされた上で見直しされたものと認識してございます。
 ただ、このたびの改正によりまして、高齢者の方々の御負担が増え、これまでに比べて生活が苦しくなったと感じておられる方が多いものと認識してございますが、所得に応じてみんなで国を支えていくという今回の改正の趣旨や考え方を御理解いただきたいと考えてございます。

 次に、新たな市民税少額所得者減免制度の創設の御提案につきましては、現在、本市の条例におきましても、災害や生活保護はもとより所得が皆無となったため、生活が著しく困難になった方などに対しての減免制度を設けてございますが、今回の制度改正の考え方や今後も高齢化に伴う扶助費などの社会保障関係経費が増加していくことを考えますと、現時点におきましては、議員御提案の更なる市独自の軽減策は難しいものと考えてございます。
 最後に、当市において川崎市方式をとった場合、減免の対象となる六十五歳以上の方々の人数につきましては、川崎市方式の少額所得者減免制度は、実際の所得と扶養親族の数に応じて理論的に算出された額との比較によりまして該当するか否かを判定しているものでございまして、現在の市のシステムに保有しております課税データだけでは該当者の把握は困難な状況にございます。
 私からは以上でございます。

◎保健福祉部長(宮尾和榮君)
 次に、障害者控除対象者認定書についてお答えいたします。
 申請の周知につきましては、広報ながの十一月一日号への掲載、市内三十地区の民生児童委員協議会の十一月定例会での説明、周知依頼及び介護保険フレッシュ情報十二月五日号へ掲載するなど、各方面からの周知に努めてまいりました。
 障害控除認定は、申請を受け、決裁の日付で認定しておりますので、平成十八年分所得の申請に使用する場合は、十二月末までに申請をお願いしておりますが、一月以降についても申請は可能であります。ただし、認定日は申請日以降となります。本年四月から十一月末日までの認定書交付件数は十八件で、そのうち十一月が十一件となっております。
 要介護一以上は認定し、認定書を送付すべきとの御提案ですが、本市では、厚生労働省からの通知に基づき認定基準を定め、対象者から提出いただいた資料等により心身の状況を勘案し、認定基準に合致する場合に認定書を交付しているところでございます。要介護認定と障害認定は、その判断基準が異なるものでありますので、要介護認定の結果のみをもって一律に判断することは困難なものと考えております。
 また、認定書の送付については、認定基準が対象者の心身の状況に基づいており、要介護度を基準としておりませんので、認定書送付対象となり得る障害認定対象者を把握することができないため、現時点での認定書の郵送交付は考えておりません。

■障害者自立支援法施行後の実態調査と市独自の支援策について

 十月から障害者自立支援法が本格実施され、新たに障害程度区分の認定、補装具や障害児施設にも一割負担が導入されました。九月議会で部長は、一割負担は市民に定着してきているなどと言いました。障害者団体などの全国調査でも、大幅な利用者負担増、サービス利用の手控え、施設退所の実態が明らかです。施設は、報酬も激減し、経営存続が危ぶまれる事態に直面しています。五割以上の人が月一万円以上の負担増、生計中心者の年収が八十万円未満の低所得者層でも負担増が一万円から三万円が三割以上、サービスを減らす傾向は低所得者層ほど強く、障害が重いほど負担が重くのしかかる応益負担制度の問題が浮き彫りになっています。
 朝日新聞社が全国九十自治体の大規模な調査を行いました。県庁所在都市、中核市、特別区七十五自治体中四十二自治体、五十六パーセントが軽減策を実施か実施の方針を決定しています。障害児についても、長崎県や川崎市などが、利用が抑制されれば子供の療育が阻害されると、現在の個人負担額を超えた分を全額補助し、既に十三自治体が軽減を決めています。
 そこで伺います。これだけ多くの自治体が独自支援策を実施している中で、いまだに一割負担は定着しているとお考えなのか、障害児者の現状や施設の実態調査を行い、市独自の負担軽減策を実施すべきです。実施を予定しているならば、その内容についてお尋ねします。また、障害児者や自治体にさえ負担を押し付けるこの欠陥法の抜本的見直しを国に要求すべきです。見解を伺います。

◎保健福祉部長(宮尾和榮君)
 次に、障害者自立支援法施行後の実態調査と市独自の支援策の実施についてお答えいたします。
 最初に、サービス利用の一割負担についてお答えいたします。
 障害者自立支援法による制度改正に当たって、増大する福祉サービス費用に対し安定した制度を維持するためには、利用者を含めてみんなで支え合うこととともに、国の財政責任が明確化されました。サービス費用をみんなで支え合うことは、介護保険制度導入以来、サービス利用者や市民の皆さんの間に定着してきていると感じているところであります。原則一割の利用者負担については、低所得の方には負担軽減制度が用意され、さらに個別減免、社会福祉法人減免などが適用されていますので、安定して継続性のある制度にするために、おおむね適正な負担割合ではないかと考えております。
 しかしながら、急激な利用者負担の増に対して改善を求める声が大きくなってきていることから、利用者の実態に応じた国の負担軽減策が必要であると感じております。

 次に、障害児者の利用実態や施設の実態調査と市独自の負担軽減策についてお答えいたします。
 障害児者個々への調査につきましては、本年六月から七月にかけまして、障害福祉計画の策定に伴い実施した障害者千五百人を対象にしたアンケート調査のほかは特に行っておりませんが、施設を通じての聞き取りや福祉サービス利用状況の調査で把握している中では、利用者負担の増を理由として、サービス利用をやめた人が一人おります。今後も必要に応じて実態を把握してまいりたいと考えております。
 市独自の負担軽減策についてでありますが、障害者自立支援法は全国どこでも平等に福祉サービスが受けられる制度であり、地域によって格差があってはならないものであります。特に、法定サービスにおいては、利用者負担の軽減策等の対策はそれぞれの自治体により独自の軽減策を講ずるのではなく、国において全国共通の対策を講ずるべきものと考えております。
 なお、市町村事業である地域生活支援事業については、障害者の利用状況や国の今後の動向を注視しながら、必要に応じて市独自の対策についても研究してまいりたいと考えております。
 また、施設の運営については、報酬が月額制から日額制に変更されたため、健康状態などで利用者が通所しない日があり、施設の収入が不安定になることが心配されていますが、報酬の支払方法の変更と同時に利用定員の柔軟化も実施されております。先般、障害福祉計画の策定に当たり、施設、事業者からの聞き取り調査を行った中で、それぞれの事業者が複数の事業の組合せなどによる法人全体での採算の確保などの経営努力をされていることも承知しております。
 障害者自立支援法により新体系へ移行した施設に対する市独自の激変緩和措置といたしましては、日常的に介護や医療ケアの必要な重度障害者が入居しているケアホームの運営費に対して加算補助をしております。また、旧法による運営についての経過措置がなく、十月から新体系へ移行した精神障害者地域生活支援センター四施設については、九月議会で可決いただきました補正予算の中で、国が示す標準的な経費に激変緩和のための加算をしているところであります。
 次に、法の抜本的見直しを国に要求すべきとの要望についてお答えいたします。
 現在、国において利用者負担の軽減や収入が減少した施設への補てんの拡大等について検討しているところでございます。障害者自立支援法は、すべての人々が人格と個性を尊重し、安心して暮らすことのできる地域社会の実現を目指し、そのために必要な様々な施策を実施する根本的な法律であります。また、施行されて間もないこと、全国市長会においても実態に即した対策の見直しを要望していることなどから、法の抜本的な見直しでなく、政省令等による柔軟な対応で足りるものと考えております。
 なお、この法は多くの附帯決議を付した上で可決されており、今後、障害者福祉に関する制度全般についての見直しがされるものと思います。長野市といたしましては、国の政策に沿って対応してまいりたいと考えております。

■介護保険について伺います。

 九月議会で部長は、保険給付は適切でない、独自に福祉用具貸与等の支援は考えていないと答弁しました。冷酷な福祉用具貸しはがしに、今までどおり使わせてと悲鳴が上がっています。十月一日、猶予期間が切れ、ある人は中古ベッドを十数万円で、自分で購入しました。そこでまず、十月の利用者の実態をお聞きいたします。厚労省は、機械的・一律に福祉用具の回収をしないようにとの事務連絡を出しました。それでも部長は、必要としない保険給付と言うのでしょうか、伺います。港区は、手すり付き簡易ベッドを月額五百円で貸し出し、北区や新宿区でもレンタル料の一部を補助するなど、支援する自治体がどんどん増えています。今こそ緊急の市独自の支援策を実施し、国へ福祉器具取上げ中止を要求すべきです。見解を伺います。

 次に、要支援一、二、そして要介護一、二の高齢者でケアプランが作成できていない人が増えています。九月末で要支援一、二の作成率は五十一パーセント、要介護一、二の七十四パーセント、要介護三、四、五の八十四パーセントと比べて異常に低い率です。ケアプラン作成の介護報酬が要支援一、二で半減したためと指摘されています。介護保険のサービスが利用できないことは重大な権利侵害です。市の地域包括支援センターの責任で作成されています。なぜこれほど低いのか、原因と対策を伺います。
 次に、介護保険を使わないようにと導入された介護予防事業が開店休業状態と聞いております。事業の対象となる特定高齢者の把握状況、ケアプラン作成に至った人数、介護予防を受けている人数などお聞きいたします。この事業が進まない理由、今後の方針を伺います。

◎保健福祉部長(宮尾和榮君)
 次に、介護保険要介護一、要支援一、二対象者から取り上げた介護ベッド等に対する市独自の支援策の実施についてお答えいたします。
 最初に、福祉用具の貸与関係についての御質問にお答えいたします。
 まず、十月の利用者の実態はどうかとの御質問でありますが、九月との比較で、十月の主な種目ごとの利用者数の実態でございますが、移動用リフトが百三十一人から四人に、車いすが二百三十八人から百八十人に、特殊寝台が五百七十二人から八人、床ずれ防止用具が十五人からゼロ人となっております。
 今回の介護保険制度改正により福祉用具の貸与については、要支援、要介護一といった軽度者にとって特殊寝台や車いすなど、一部の福祉用具についてはその状態像から必要性が想定しにくいことなどを理由に、原則、保険給付の対象外とされたところであります。
 ただし、要支援等の軽度者であっても、特殊寝台については、要介護認定調査項目で寝返りか起き上がりができない場合、車いすにあっては、歩行ができない場合には、利用できることとされております。また、車いすについては、歩行ができる状態であっても、日常生活範囲における移動の支援が特に必要と認められる者にあっては、認定調査結果では判断できないことから、主治医の意見を踏まえましてサービス担当者会議などの開催により、適切なケアマネジメントを通じてケアマネジャーの判断により利用できることとされております。
 御質問の厚生労働省からの事務連絡、福祉用具貸与費の取扱いについてでありますが、要点は二つありまして、一つ目は介護保険事業において日常生活動作の支援を目的とした特殊寝台等の福祉用具の貸与について、先ほど申し上げた例外的に利用できる場合の認定調査項目の判断基準があいまいであったことから、介護保険における福祉用具がより適切に利用されるようにとする観点から行われました。
 二つ目は、保険給付の対象外となっても、福祉用具の使用の自由までも制限するものではないことを示したものであり、従来の国の方針を転換したということではないと考えております。
 以上のことから、本市といたしましては、独自に支援する予定はございません。
 なお、九月議会でお答えしました福祉用具の貸与等に代えて理学療法士等の専門家による支援の状況でありますが、一例を紹介いたしますと、昇降座いすを利用されていた方が、制度改正により利用できなくなるため、地域包括支援センターに相談がありました。介護保険課の理学療法士が自宅を訪問し、心身の状況や日常の生活状況をお聞きした上で、市販のいすを利用した環境設定にすることにより、今までとほぼ変わりなく自立した生活を送ることができることをアドバイスしております。また、併せて介護予防のため、自宅で簡単にできる運動も紹介しております。

 次に、新予防給付のケアプランを作成できない方が増えている等の御質問にお答えいたします。
 御質問のように、要支援一、二と認定された方が介護予防サービスを利用するに当たって作成するケアプランにつきましては、地域包括支援センターの責任において行うこととされております。このため本市におきましても、本年四月から直営で三か所のセンターを設置し、対応するとともに民間のケアマネジャーが受託可能なケースについては、委託により実施しております。また、要支援一、二の認定を受けたすべての方に地域包括支援センターから連絡を取っておりますので、サービス利用ができないといったことは生じておりません。
 御質問の要介護一以上の認定者に比べ、要支援認定者のケアプランの作成率が五十パーセント程度と低いとのことでありますが、制度改正直前の平成十八年三月時点の要支援認定者のケアプランの作成状況が五十八・一パーセントでございますので、それに比べても大きな変動は見られません。この要因といたしましては、軽度認定者については、すぐにはサービス利用の必要はないが、念のため認定だけ受けておくという方がかなりいる状況にあること、また今回制度が変わり、予防を重視したサービス内容となったことで、様子を見ている方もいるのではないかと考えております。

 次に、制度改正に伴い、この四月から実施しております介護予防事業の状況等についてお答えいたします。
 本市の特定高齢者の把握状況ですが、十一月末現在、特定高齢者として決定した方は六百八十七人で、市民健康診査を受診した高齢者二万三千六百九十三人の二・九パーセントとなっております。そして、特定高齢者として決定した六百八十七人に介護予防事業について通知するとともに、連絡をした上で事業の説明に理解いただいた百四十四人の方を訪問しましたが、介護予防事業の利用者又は利用予定者は二十五人でありました。内訳は、運動器の機能向上事業が十二人、認知症予防事業が六人、訪問栄養事業が五人などとなっております。
 制度創設後まだ半年余りでありますが、利用者が少ないのは特定高齢者と決定しても元気な高齢者が多いことから、予防に対する意識が低く、事業に対する理解が得られにくいためではないかと考えております。このため、今後も介護予防の必要性について理解していただけるよう周知に努めてまいります。

■生活保護行政についてです。

 生活保護申請を二度拒否され餓死した北九州市事件、申請を拒否され自ら命を絶った函館市事件など、生活保護を巡る事件が各地で噴出しています。生活保護法第二条は、生活保護の申請権を国民に保障しています。長野市では、親戚がいる、援助してもらえ、若いから働ける、働けないなら医師の診断書を持ってくるか、ハローワークに通って面接に落ちた記録を持ってこいなどと事前指導がされています。
 平成十四年度は相談件数三百七十二件で、申請件数が二百十五件、申請率五十七・八パーセント、十七年度は五百九十三件相談で、申請二百九件、三十五・二パーセントの申請率、今年十月末現在で、五百五十三件の相談で、百五十件の申請、率は二十七・一パーセント、申請率は激減です。相談者に活用資産がある、申請意思がない場合もありますが、多くは考えに考えた末、申請に来るのです。申請書は窓口に置き、申請の意思のある人には申請書を渡し、申請権を保障しなければなりません。見解を伺います。
 北九州市のケースワーカーは、生活保護にも申請受付数や廃止数の目安や目標がある。どれだけ保護を減らしたかで成績が評価される。年度ごとに生活保護業務運営方針等資料を作って、前年度実績を基に保護の相談、申請、開始、廃止見込みを設定し、保護率や保護人員を定めていたというのです。長野市でもこのような取扱いをしているのか伺います。
 そもそも保護が必要な人を発見したら、職権で保護しなければならないのが福祉事務所の仕事。経費は自治体が優先で支出する義務的経費です。特に、保護費の半分を占める医療扶助は、医師が治療内容を決め、行政のコントロールは不可能です。ところが、長野市第四次総合計画案では、生活保護の適正な運用を図ると称して、生活保護率を平成二十三年度に四・五パーミル、生活保護自立更生率七・七パーセントと目標値を定めています。総合計画の目標数字は、北九州市のてつを踏むことになります。撤廃すべきですが、見解を求めます。
 さて、多くの職員は専門職のケースワーカーとして一人一人に十分時間をとって親身に相談に乗り、その人の生活が安定したり、自立できたときに、きっと喜びと誇りと働きがいを感じるのではないでしょうか。ところが、平成十四年のワーカー一人当たりの担当世帯数七十七・四世帯が、十八年十月現在、九十一・九世帯、国基準の八十世帯を大幅に超えています。これではとても小まめな訪問もできません。また、十七人の職員中、経験年数三年未満が十四人、うち一年未満は五人です。緊急に国基準に見合った二人以上の職員増と、少なくとも福祉事務所には常に三年以上の経験を蓄積した職員が半数以上は占めるような職場配置にすべきであります。明快な答弁を求めます。

◎保健福祉部長(宮尾和榮君)
 次に、生活保護行政の充実についてお答えいたします。
 初めに、相談時の申請書の交付についてお答えいたします。
 生活保護制度は、生活に困窮する者に対し、その困窮の程度に応じ必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに、自立助長を目的としております。また、保護は生活に困窮する者が利用し得る資産、能力、その他あらゆるものを活用することを要件とするとともに、扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべて保護に優先して行われるものという補足性の原理が生活保護法に規定されております。
 このため生活保護を受けるためには、各自がその持てる能力に応じて最善の努力をすることが先決であり、そのような努力をしてもなお最低限度の生活が営めない場合に初めて保護が行われるものであります。しかし、窓口にお見えになる方の中には、生活保護が受けられるかどうか聞きたいという方や生活保護の受給要件をよく理解していないと思われる方からの相談も増えております。この方々には、生活保護制度の補足性について説明し、他の法律や他の制度の活用と就労等の自助努力を求めておりますが、生活保護が最後のセーフティーネットである以上、必要なことと考えております。
 窓口では、個々の状況に応じて親身になって相談を受けておりますが、不動産や自動車、生命保険などの資産を保有している場合、相談即申請ということにはならないこともございますので、すべての方に申請書を渡すということはしておりませんので、御理解をお願いいたします。

 次に、ケースワーカーの申請受付件数の目標等職員の成績評価でありますが、先ほど申し上げましたように、窓口では個々の状況に応じて親身になって相談を受けており、お尋ねにあるような取扱いは長野市では行っておりません。
 次に、総合計画の目標数字を撤廃すべきとの御質問でございますが、今回の基本計画の特徴として施策の体系化と行政全体の経営管理の道具として活用できる基本計画を目指しており、この基本計画を基にして毎年度PDCAサイクルによる施策・事業の効率化や重点化を図っていく予定であります。したがいまして、今回の基本計画の施策それぞれに最低一指標項目を掲げ、目標を設定することとしていることから、生活保護の関係につきましても、何らかの指標と目標値を設定することとしております。
 御質問の生活保護の指標につきましては、生活支援を受ける生活保護世帯の状況を見る指標として生活保護率を、また経済的な自立に向けた取組の指標として生活保護自立更生率を掲げたものであります。
 いずれにいたしましても、生活保護対象者を切り捨てるような取組を行うという意味ではなく、生活相談や指導を充実するなど、自立へ向けた支援の取組を推進していくことが主眼でありますので、御理解をお願いいたします。
 次に、国の基準に見合った職員の増員と経験を蓄積した職員配置でございますが、本市の被保護人員は、平成十三年度以降高い伸び率で推移しており、平成十八年十月末現在では、職員一人当たりの担当数も九十一・九世帯と国の定める標準を超えております。
 職員の増員については、平成十七年度、十八年度と一名ずつ増えているほか平成十八年度は嘱託の面接相談員を一名増員しており、今後も職員数の確保に努めてまいりたいと考えております。また、経験を蓄積した職員の配置につきましては、研修会への参加等により知識や能力の習得に努め、資質の向上を図るほか本人の資質や意欲、在職年数も考慮し、適正配置に努めてまいりたいと考えております。

■多重債務者対策について伺います。

 今年のノーベル平和賞は、貧しい農村の女性たちに無担保融資を行い、社会参加を援助してきたバングラデシュのグラミン銀行と総裁に決まり、大きな反響を呼んでいます。日本では、ようやく世論と運動で多重債務者の温床になっていた灰色金利が改正貸金業法の公布後、三年をめどに基本的に撤廃、利息制限法を超した金利は刑事罰か行政処分の対象です。しかし、今後適正金利で市民が融資を受けられる公的制度も必要です。県社協の緊急小口資金は連帯保証人不要ですが、上限五万円、市民は余り知りません。制度の周知と新たな公的融資制度が必要です。見解を求めます。
 次に、多重債務者対策ですが、消費生活センターによると、多重債務相談者は、平成十五年度の百七十三件から十七年度は三百四十四件と大幅増。鹿児島県奄美市の取組は教訓的ですので紹介いたします。
 市民課市民生活係が多重債務者の相談を受けると、コーディネーターとなって生活保護担当、収納対策課、国民健康保険課、福祉政策課等関連課と連携をとって、債務整理以外の問題も解決するよう支援し、対象者の生活再建を図っているというのです。昨年度相談件数は七百八十七件、うち百件は市役所各課からの紹介で、その半分は生活保護担当からとのことです。受任依頼している弁護士、司法書士が債務整理をし、税金等の滞納者は返還された過払金から税金等の滞納分を支払う。昨年半年で回収過払金は二億七千五百万円にも上っています。多重債務者の問題解決は、債務者の生活再建ができて、同時に自治体収入や地域経済活性化につながっていくのです。
 金融庁の資料では、二〇〇四年度のサラ金などの貸付残高は十五兆円、国民一人当たり十一万八千円、長野市で計算すれば、四千四百八十四億円以上の貸付残高がある計算。払い過ぎの金利分を単純計算すると、約四十一億円のお金が市内経済と市財政に回ります。奄美市のように、行政の責任で関係課が連携をとって、多重債務者の生活再建を支援していくネットワークを作るよう提案しますが、いかがでしょうか。

◎生活部長(堀内修君)
 私から、自治体の責任による多重債務者対策と自立支援についてのうち、消費生活センターの対応についてお答えをいたします。
 本市消費生活センターに寄せられる多重債務の相談件数は、平成十六年度は二百三十三件、平成十七年度は三百四十四件、平成十八年度十一月末現在は二百六十八件と増加傾向にあります。消費生活センターの相談員は、債務整理の方法として任意整理、特定調停、民事再生手続、自己破産等について説明した上で、専門家である弁護士、司法書士の相談を受けることをお勧めしております。これらの相談には、市の無料相談もあり、緊急の場合は、県司法書士会のクレサラ一一〇番を紹介しております。
 議員さん御提案の奄美市は、先進的な取組で、債務者の生活の再建と自治体の収入増が図られているということでございますが、幾つかの課題があります。一つは、多重債務者が荒いざらい借入れの状況の資料を市に提供していただけるのか、また返還された過払金を市が優先して差押えすることができるのか。さらには、債務整理を図れば、生活保護が適用されるのかといった懸念があります。
 したがいまして、今後は法律問題の道案内役として本年十月、もんぜんぷら座にオープンいたしました日本司法支援センターのより積極的な取組を働き掛けるとともに、関係団体及び庁内の関係部局と研究をしてまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。

◎保健福祉部長(宮尾和榮君)
 次に、自治体の責任による多重債務者対策と自立支援のうち、緊急小口資金貸付けについてお答えいたします。
 緊急小口資金貸付けは、所得の少ない世帯や高齢者世帯などに対し、経済的自立と生活意欲の助長、社会参加の促進を図る目的で行われており、長野県社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度の一つで、平成十五年七月に創設されたものでございます。
 御質問の本制度の周知につきましては、貸付主体が県社会福祉協議会であるため、市では特別な広報を行っておりませんが、消費生活センターや厚生課等の相談窓口では、本制度に該当しそうな場合に申込者の受付を行っている長野市社会福祉協議会に案内するなどにより、制度の活用を図っております。
 また、長野市市民小口融資制度の廃止の理由には、利用件数の減少が掲げられておりましたが、緊急小口資金の貸付件数も年間十五件に満たないことから、融資に対する大きな需要はないものと思われるため、新たな公的資金融資の創設は、今のところ考えておりません。
 緊急小口資金との重複借入れはできませんが、長野市社会福祉協議会の単独事業として助け合い資金貸付けという制度もありますので、この既存制度を御活用いただきたいと思います。

6.子育て支援の自治体施策充実について

■まず、放課後子どもプランについてです。

 国は、来年度から放課後子どもプランを実施します。市長は、古牧地区まちづくり市民会議で、児童館・児童センターが学校から離れたところにあることが一番不合理、これで全部学校を使ってやれると発言しました。午前中、議論がありましたが、児童館ができないのは、旧田中県政の責任であるかのような発言は慎むべきであります。厚生労働省は、放課後児童クラブの役割・機能は後退させない、現在のサービス水準を守り、量的、質的に拡充を図るとの方針を示しており、市長の見解は誤りです。
 二つの事業の連携はあっても、一つの教室内や一人の職員が一体化してできる事業ではありません。児童福祉法は、学童保育を昼間保護者が家庭にいない児童に遊び及び生活の場を与えて健全育成を図る事業と位置付けています。長野市のプラン策定の位置付けも同様かどうか。また、放課後子ども教室推進事業はどのように進めるのか。厚労省は七十一人以上の補助ランクを廃止して、大規模学童保育の規模の適正化、分割化の計画です。長野市は登録児童一日平均七十一人を超す児童館・児童センターが二十六あります。未設置校の解消や適正化、分割化をどう進めるのか伺います。
 さらに、施設や運営基準、厚生員の労働条件整備も急務です。厚生員は一日五時間、週六日、年二百六十日勤務で月給八万四千円、ボーナス一・五か月、年収百二十万円程度、年次休暇は労基法水準、社会保険なしという劣悪な労働条件で頑張っています。非常勤厚生員は更に大変。館長は週二十時間未満勤務で月給六万二千五百円、この給料で毎日勤務している館長もいます。児童クラブは児童館・児童センターと仕事は同じでも、時給七百七十五円の委託料で、地区社協が上乗せをしても、とても生活できる賃金ではありません。学童保育の専門職員にふさわしい待遇改善を求めます。見解を伺います。

 働く多くの保護者の皆さんは、六時の閉館でなく、働く時間に合った延長を切望しています。六月議会の私の質問に、部長は関係者の意見をお聴きし、時間延長を研究すると答弁しました。どのように検討したかお伺いいたします。

◎総務部長(増山幸一君)
 次に、学童保育の拡充と放課後子どもプランについてお答えいたします。
 まず、長野市の放課後子どもプランの策定における本市が児童館・児童センター、児童クラブで行っている放課後児童健全育成事業の位置付けについてでございますが、長野市では、共働き家庭など留守家族のおおむね十歳未満、これは小学校一年生から三年生までということですが、この十歳未満の児童を対象として、放課後に適切な遊びや生活の場を与えて、その健全な育成を図ることを目的とした児童福祉法に基づく放課後児童健全育成事業を市内の四十三児童館、児童センター及び小学校の余裕教室等を活用した十七児童クラブで実施しております。
 また、児童館、児童センターの設置に当たっては、一小学校区に一施設を目指して設備を進めており、最近では、小学校の改築時に校舎と合築するか、小学校敷地内に建設するなど、できる限り学校施設と一体となるよう進めております。
 なお、ここ数年、児童館・児童センター、児童クラブを利用する登録児童は、増加傾向が続いております。この要因としては、近年の核家族世帯の増加とともに、共働き世帯が増えたこと、母子家庭も増加していること、また少子化により隣近所に子供同士の遊び相手がいないこと、不審者等に対する保護者の不安感などが背景としてあるものととらえております。
 このような状況下において、国が放課後の安全で健やかな活動場所の確保を図るため、平成十九年度より厚生労働省と文部科学省が連携して、放課後子どもプランとして総合的な放課後対策事業を実施することを公表いたしました。
 この放課後子どもプランは、文部科学省が創設する原則としてすべての小学校区で小学校の余裕教室など、学校諸施設を弾力的に活用し、放課後のすべての子供の安全で健やかな居場所の確保を図る放課後子ども教室推進事業と厚生労働省の放課後児童健全育成事業を一体的、あるいは連携して実施するものであります。
 このことから、現在、策定を検討しております長野市放課後子どもプランの中に、放課後児童健全育成事業を位置付けるとともに、放課後子ども教室推進事業と一体的に取組が図られるよう検討しております。
 次に、放課後子ども教室推進事業をどのように進めるかとの御質問にお答えをいたします。
 放課後子ども教室推進事業につきましては、放課後に地域の方などに参画していただき、子供たちとの様々な活動を実施する事業でございます。庁内プロジェクトチームでの検討課題の一つであり、はっきり方向性が定まっておりませんが、現在実施中の地域子ども教室推進事業を更に発展させた形で、地域の受入れが整った小学校区から、放課後子ども教室推進事業を実施してまいることになろうかと考えております。
 最後に、児童館・児童センター、児童クラブの未設置校の解消及び大規模化解消の施設適正化、分割化をどのように進めるのかとの御質問にお答えをいたします。
 現在、市内の全小学校区に児童館・児童センター、児童クラブを設置しておりますので、未設置校はございません。また、大規模化解消の施設適正化、分割化につきましては、長野市放課後子どもプランの策定の中で地域の状況を十分把握し、対応していきたいと考えております。
 私からは以上です。

◎保健福祉部長(宮尾和榮君)
 次に、子育て支援の自治体施策充実についてお答えいたします。
 初めに、児童館・児童センター、児童クラブに勤務する職員の待遇改善についてお答えいたします。
 児童館、児童センターの職員は、現在、館長が一名と厚生員及び非常勤厚生員並びに厚生員が研修や休暇などで不在のときに代わりとなる代替職員で構成されております。賃金につきましては、館長は平成十六年度までは週四日勤務で月額五万円だったものを実態として週五日勤務している状況であったので、平成十七年度に月額六万二千円に増額したところであります。
 厚生員については、平成十五年度にそれまでの月額七万六千四百円から八万四千円に、また非常勤厚生員については、体力指導員として週二日勤務で月額三万一千円だったものを平成十六年度から非常勤厚生員として週四日勤務で月額六万一千五百円にそれぞれ改善を図ったところであります。児童クラブにつきましては、各児童クラブの状況により違いはありますが、常時二名から五名ぐらいの指導員が配置されております。
 賃金につきましては、運営している地区社会福祉協議会により違いはあるものの児童館、児童センター職員と同様一時間当たりおおむね七百七十五円で支給をしている状況であります。
 大切な児童をお預かりするという非常に責任の重い仕事でありますので、賃金を初めとして、職員の待遇改善については運営主体である指定管理者や地区社会福祉協議会と協議しながら、職員が安心して働けるような環境づくりに努めていきたいと考えております。

 次に、開館時間の延長についての検討でありますが、中核市の状況を調査研究して検討を進めている状況であり、開館時間の延長も含めて更なるサービスの向上を図るために新たな財源の確保を図ることが必要であると考え、現在無料となっている児童館・児童センター、児童クラブの利用料の負担について検討を進めております。開館時間の延長については、利用料負担も含め、市民ニーズや他市の状況を分析しながら、検討していきたいと考えております。

■児童虐待問題についてです。

 十一月は児童虐待防止推進月間でしたが、虐待事件は後を絶たず、全国の児童相談所の相談件数は三万四千四百七十二件、過去最高。秋田県藤里町、大仙市の園児虐待殺害事件は、全国に衝撃を与えました。市福祉事務所、保育園、児童相談所に虐待のシグナルは発せられていましたが、関係機関が情報を集約し、兆候をチェックし、事件を未然に防止することができなかったとの指摘もあります。
 私は、平成十六年三月議会で、市の対応として、関係機関の虐待防止ネットワークの設置を求めました。昨年四月、法改正で、長野市要保護児童対策協議会を設置、相談対応システムが動き始めました。虐待の相談件数は、平成十六年度八十件が平成十七年度百八十八件と大幅増、対応ケースは三十八件、虐待と分かる園児も増えているとの保育園の声も聞きます。
 そこで、長野市要保護児童対策協議会がどのように機能しているのか、児童福祉司などの体制も不十分と思いますが、正規職員、専門職の配置や関係機関、地域との連携の現状と対策の強化についてお伺いいたします。

◎保健福祉部長(宮尾和榮君)
 次に、児童虐待問題への市としての対応強化についてお答えいたします。
 児童虐待については、大きな社会問題となっております。本市における児童虐待にかかわる相談件数についても、昨年度の同時期に比べて百七件の増加となっております。増加の要因としては、児童福祉法の一部改正により、児童相談の業務が市町村の業務として明確に位置付けられたことに伴い、市民の皆様からの相談や児童虐待の通報などが多くなったものととらえられます。
 次に、本市の虐待防止ネットワークである長野市要保護児童対策協議会がどのように機能しているかとの御質問にお答えいたします。
 要保護児童の情報交換や支援策の検討を図る目的で、昨年度設置した長野市要保護児童対策協議会は、児童虐待の防止や要保護児童の支援などについて意識の共有を図っております。協議会の具体的な取組としては、児童にかかわりのある関係者が集まる個別ケース検討会議を必要に応じて随時開催しているところであり、今年度は十一月までで延べ四十九回開催し、対応いたしております。このような状況から、本市に設置した長野市要保護児童対策協議会は、児童虐待の防止に関しての一定の成果を上げているものと考えております。
 正規職員、専門職の配置や関係機関、地域との連携の現状と対策の強化についてどのように取り組むかとの御質問ですが、本市におきましては、相談体制の充実を図るため、昨年四月に専任の正規職員二名を増員し、現在、兼任の職員も含めて五名の正規職員と二名の家庭児童相談員で児童相談、児童虐待に対応するとともに、困難事例や判断に迷うケースなどについては、直ちに児童相談所に通告し、指導を仰ぐなど、常に児童相談所と連携し、対応しております。
 今後も児童相談所など関係機関と連携を図りながら、現在の職員体制で迅速な対応を図るとともに、長野市要保護児童対策協議会の機能を十分に活用し、積極的に児童虐待の防止に努めてまいります。

7.教育問題について

■教育基本法改定・教育再生プランについて。

 教育委員長は、三月議会、野々村議員の質問に、教育基本法は五十年以上経過、改定すべきと答弁しました。痛ましいいじめ自殺事件、科目未履修、タウンミーティングのやらせ質問、校長の自殺など相次ぎ、教育基本法改定は教育再生プランと併せて徹底審議が必要です。
 東大基礎学力研究開発センターが、学力問題や教育改革について、全国の小・中学校長に意見を聴き、政府の教育基本法改正案は賛成できないが六十六・一パーセント、学校が直面する問題に教育改革は対応していないが七十九・八パーセントです。信濃毎日新聞社説は、戦後教育の根幹を成す重要な法律、なぜ変えるのかまだ納得できる説明がない。教育を巡る問題は基本法の改正で解決するものではない。新しい憲法の理念を実現するため教育基本法が作られた。戦前の軍国主義教育への反省が根底にある。それをないがしろにするような改正の動きは、個人の尊厳や内心の自由に踏み込むものだ。改正はすべきでないと論陣を張っています。それでも改定すべきとお考えか、教育委員長として明快な答弁を求めます。

◎教育委員会委員長(久保健君)
 私から、教育基本法改定についての見解を申し上げます。
 教育基本法改正案は、十一月十六日には衆議院の本会議で可決されまして、その後、参議院特別委員会で審議が重ねられてまいりました。去る四日には、特別委員会による地方公聴会が長野市でも開催されたところでございます。今後、政府・与党は十一日以降の参議院本会議で採決、成立を図るという、そういうことを聞いておったわけでございますけれども、今日の新聞報道によりますと、十五日に採決、成立するという、そういう見通しだということが報道されておることは御案内のとおりでございます。
 この間、政府主催のタウンミーティングのやらせ質問や必修教科の履修漏れ問題、いじめ自殺問題なども関連して審議されてきました。一方、内閣府に設けられました教育再生会議におきましては、安倍首相が掲げる美しい国づくりに向けた教育改革の議論を開始したこともありまして、教育問題への国民的な関心が一段と高まってまいりました。この背景には、社会状況が大きく変化しまして、教育全般にわたる様々な問題が生じている今日、教育の根本に立ち返った改革が求められていることがあると考えております。
 このような経過の中で、基本法改正案につきましては、「教育や学校に問題が多いことは間違いないが、その問題は基本法のせいなのか、改正すればどうよくなるのか、国民の声を丁寧に聴くときであり、採決を急いではならない」、また、「愛国心を法案に盛り込むことについては、国を愛する心は人々の自然な気持ちであり、法律で定めるものではない。法律で定めれば、国を愛せと画一的に教室で教えることにならないか」といった疑問や反対の意見、一方、「基本法には公共の精神や伝統は盛り込むべきだ。学校での今日見られるいじめや家庭での虐待など、荒廃する教育現場、子育てを根本から再生することが必要だ」という改正案の早期成立を求める意見が出されて、国民的な議論が高まってまいりました。
 このような議論の内容や現在の社会状況から、教育基本法は改正の時期に来ていると、私は考えております。青少年の規範意識の低下や倫理観の喪失等を見たとき、学校教育の規定はもちろん改正案に盛り込まれました学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力の条項は大切でありますし、家庭の教育力低下が叫ばれる中で、教育の第一義的な責任を家庭教育とし、国と地方公共団体がそれを支援するとの改正案の条項等も重要であると考えます。
 教育課題が山積する今日、ややもすると改革ということで多くの施策や方向が矢継ぎ早に出されておりますが、このような中、将来に向けて新しい時代の教育の基本理念を明確にし、我が国の未来を切り開く教育を実現していくことが求められているときと考えます。
 以上でございます。

■いじめ問題の対策について伺います。

 教育再生会議が八項目のいじめ問題の緊急提言を出しました。提言は、学校が問題を起こす子供に対して指導、懲戒の基準を明確にし、き然とした対応をとる。教員は、子供を見守り、触れ合い、コミュニケーションを図る。教育委員会はいじめにかかわったり、放置、助長した教員に懲戒処分を適用するなどです。き然とした対応の例として、社会奉仕、別教室での教育を挙げ、教員の懲戒処分を明記するなど、懲罰的な対応が目立ちます。この緊急提言を教育長はどう評価しますか。文科省自身がいじめ自殺をなくすには、学校を挙げた対応が大事として、いじめの早期発見、教師集団が協力し合って問題を解決することが重要と述べています。
 ところが、現在、いじめの件数が多いか少ないかで、学校と教員を評価する事態が全国で起きています。中央教育審議会教育振興基本計画にいじめを五年間で半減という数値目標があり、いじめがあってもいじめゼロと報告する学校が出てくる。これがいじめに教師集団が協力して対処することを困難にさせているのではないか。国会で日本共産党の志位氏が指摘をしたことであります。
 長野市のいじめの実態、報告は正しくされているか、いじめの解決に当たって学校、教職員が職場集団としてどのように取り組んでいるか。数値目標があって、自己管理シートなどで目標管理や成果主義人事管理が行われていないかなどをお伺いいたします。

◎教育長(立岩睦秀君) 
 まず、学校現場でのいじめ問題の対策についてお答えいたします。
 政府の教育再生会議が、いじめ問題への緊急提言ということで、児童・生徒がいじめが原因で自ら命を絶つということはあってはならず、いじめは許さない、学校、教育委員会、家庭、地域等の大人がいじめ問題に真剣に向き合うといった緊急のメッセージを示したことは、非常に重要なことと受け止めております。
 メッセージは、問題を起こす子供へのき然とした対応や教員の懲戒処分など、懲罰的な考え方が目立つとの御指摘を頂きましたが、いじめの実態は様々でありまして、一律に扱うのではなく、個々のケースに応じ、いじめの未然防止と解決に最も適切と考えられる対応をとることが肝要だと考えております。
 次に、いじめの実態についてでありますが、文部科学省の基準に基づく調査、これは自分より弱い者に対して一方的に身体的、心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているものを基準としておりますが、この調査では、昨年度に学校がいじめとして把握した件数は、小学校十二件、中学校八件、計二十件で、このうち十九件は年度内に解決しておりまして、四月以降までいじめが継続した一件についても、解決した旨の報告を受けております。
 また、今年度十一月末までに、市教育委員会で学校と連携していじめ問題に対応したものは六件ございます。いずれも学校として把握した件数のすべてについて報告を受けたものと考えております。
 次に、学校の職場集団としての取組でございますが、いじめ問題の解決は一人の教師に任せるのではなく、学校体制で組織的に対応することが必要で、隠さず校内で情報を共有して校長のリーダーシップの下に素早く対応するよう再徹底の指示をいたしております。
 さらに、現在、市内の全小・中学校には、いじめ対策委員会が設置されておりまして、委員会内ではいじめの情報交換、教師のいじめ対応相談、いじめ発生時の対応方針と役割分担等を行いまして、関係の保護者と連絡を取りながら、学校と家庭が連携していじめ解決に当たるようにいたしております。また、いじめに遭っている児童・生徒の心のケアにつきましては、担任、スクールカウンセラー等が対応いたしております。
 また、市教育委員会といたしましては、いじめ問題に関しまして各学校にいじめを何年間で何パーセント減らす等の数値目標を定めさせ、自己管理シート等で目標管理や成果主義により人事管理をするということは考えておりません。
 いずれにいたしましても、すべての子供にとって学校は安心・安全で楽しい場所でなくてはなりません。学校並びに教育委員会は、いじめに遭っている児童・生徒の立場に立って早期発見、早期対応に誠実に取り組むことの責任を改めて強く自覚し、いじめ防止に努めてまいります。

■学校選択制と中心市街地の小学校統廃合についてであります。

 学校選択制を全国に広げる安倍首相の教育再生プランなるものの一つです。長野市は、中心市街地三校に市内どこからでも通える選択通学区制度を導入しました。大規模校の解消を目的に限定隣接学校選択制度も拡大、選択通学区制度で平成十八年度の入学者の見込みが出たため、市教委は廃校を決めました。結果的に人気がなく小規模校になる後町小を廃校にして、学校統廃合を進めることに使われました。欧米では常識の小規模校が良くないとの理論的な説得力もなく、ただクラス替えができないから一学年二学級にならなければ廃校にすると最初から公表し、施設改修も不十分で人気が上がるはずはありません。この論理が通るなら、他地域にも長野市版選択通学区制度を導入すれば、一学年二学級できない学校の統廃合は進んでしまいます。
 そこで伺います。入学がゼロの学校も出ている品川区など東京都下で進める学校選択制に対する評価及び長野市の選択通学区制度は飽くまで特例で、限定隣接学校選択制度は飽くまで大規模校解消の目的に適用するものなのか、教育委員会の見解をお聞きします。

◎教育次長(島田政行君) 
 まず、学校選択制と限定隣接学校選択制及び中心市街地の小学校統廃合についてでございますが、フリー通学区制など保護者の希望による学校選択制は、対象となる学校の中から就学希望校を選択できることから、選択した学校への愛着心、愛校心、学校を選択したことによる向上心や自立心、そして責任感が生まれるなどの教育的な効果が期待できます。また、選択される学校では、教職員の意識改革や資質向上が図られ、それぞれの学校規模や環境に合わせた特色ある学校づくりが期待できることから、子供に適した教育を受けさせたいという保護者の希望に沿える制度であると考えております。
 一方、義務教育におきましては、就学すべき学校の保障が必要でありますし、市域の広い本市の学校規模や学校配置の状況から、現に教室不足の見込まれる大規模校があること、特定の学校に就学希望が集中した場合の対応、また通学距離や通学手段の確保等多くの課題がございますので、現段階ではすべての学校で学校選択制を導入することは困難であるというふうに考えております。
 しかし、通学区域制度の弾力的な運用を図り、特色ある学校づくりの推進と学校の活性化を図るとともに、子供たちがより良い教育環境の下で学習できるよう学校規模の適正化を図ることは、重要な課題であると考えており、通学区域特例校制度は、当面中心市街地の三小学校が適正規模を維持していくために必要な制度でありますし、限定隣接学校選択制度は大規模校等を中心とした学校規模の適正化のための制度でありますので、今後も可能な地域につきましては、制度の導入の検討を行ってまいりたいと考えております。

■全国一斉学力テストについて伺います。

 文科省は全国一斉学力テストを来年四月二十四日に行うと決定、既に東京都は一斉学力テストが行われ、結果が公開されています。点数で学校が序列化され、点数が高いいわゆる良い学校には子供が集まり、悪い学校には子供が来なくなる東京都の実態について、教育長も承知していると思いますが、まず見解を伺います。
 三月議会で教育委員長は、全国的な学力調査の実施方法等に関する専門家検討会議の報告や具体的な実施方法が明らかになった段階で対応を考えると答弁しました。
 そこで伺います。教育再生プランなるものは、結果を公表し、全国の学校に点数で序列を付けるとしています。専門家検討会議は、たたき台として先ごろ全国的な学力調査の結果を学校評価における重要なデータの一つとして活用するとの趣旨を示しました。過去に実施された全国一斉学力テストは、過度な競争を招き廃止、今回も犬山市は既に不参加を決めています。それでは、長野市はどう対応するのか見解を伺います。

◎教育長(立岩睦秀君)
 次に、全国学力テストについてお答えいたします。
 小林議員さんから御指摘のありましたように、東京都では学力テストの公開と学校選択制によって成績の良い学校は人気があり、子供が集まる傾向にあると聞いております。また、学校現場では、学力テストの点数を上げるために繰り返し類似問題や過去の問題を学習させる授業や指導が行われ、問題になったという報道もされております。
 義務教育におきましては、児童・生徒が幅広く教科を学び、健全な心身をはぐくみ、深く豊かな人間性を育成するということが最優先でありまして、学力テスト結果の公開が児童・生徒の健全な育成や教育の機会均等の保障に支障を来し、また学校間格差の拡大につながるとするならば、慎重に対応していかなければならないと考えております。

 次に、平成十九年四月二十四日に行われます平成十九年度全国学力・学習状況調査についてお答えいたします。
 同調査の公表の方法につきましては、昨年十月の中教審の答申の中で、「学校間の序列化や過度な競争等につながらないよう十分な配慮が必要である」としておりまして、これを受けまして、文部科学省の実施要領では、県教育委員会は、個々の市町村名、学校名を明らかにした公表は行わない。市町村教育委員会は、個々の学校名を明らかにした公表は行わないとしておりまして、長野市教育委員会といたしましても、その方向で考えております。
 なお、現在長野市ではNRT学力検査を実施いたしておりますが、その検査の結果と国の調査の結果を有機的に機能させまして、今後も児童・生徒の学力向上に努めてまいる所存でございます。具体的な方法につきましては、今後の調査実施に向けての動向や提供される調査結果の内容等の情報を収集して検討してまいります。

■教職員の長時間労働について伺います。

 参議院で共産党議員が、小・中学校教員が月六十六時間以上の残業に追われているとの文科省調査を示し、教育基本法改悪と教育改革はこの子供と向き合う時間もない異常事態に拍車をかけると指摘。長野県教組の実態調査は、将来について不安が四十一・二パーセント、教師を辞めたいが十三・二パーセント、理由は超過勤務、部活や研究授業とのこと、一週に六日から七日部活があるが八十パーセントに上っています。月平均超勤時間は八十四・一時間、厚労省の基準過労死ライン八十時間を超えています。超勤で犠牲にされているのは休息、睡眠四十一パーセント、教材準備十七・九パーセント、悩みのトップが中学校では生徒理解二十・八パーセント、小学校では授業のこと二十二・六パーセント、超勤が子供たちに直接影響している実態がよく分かります。
 そこで教育長に伺います。これらの実態をどう受け止め、どう改善するのか、部活は土・日どちらかを休むとの内規の存在、一定の時間を過ぎた部活がボランティアにされているのか伺います。また、以前の議会で教育課程当番校や指定研究発表校の教職員の指導案作成は労働過重との指摘に、答弁は指導案は一枚でもよいでしたが、改善されていません。各学校に通達を出し徹底すべきです。改めて答弁を求めます。

◎教育長(立岩睦秀君)
 次に、教職員の長時間労働と研究授業等の指導書作成などの改善策についてお答えいたします。
 小林議員さんから文部科学省や教職員組合の調査から、教職員の超過勤務等の実態のお話を頂いたわけでございますが、将来のある青年教師が教職を辞めたいという思いを抱くことは、誠に残念でありますし、月の平均超過勤務時間が八十時間を超えるということは、改善しなければならない課題と受け止めております。
 時間外勤務の要因といたしましては、学級事務や校務の処理、成績処理や教材研究に加えて生徒指導や家庭連絡等の増加、外部の指導協力者の方々との連絡・調整時間の増加などが挙げられますが、生徒理解や教材研究、指導に必要な教材づくりにかける時間には際限がありませんし、個々の教職員によっても、勤務形態は様々でございます。
 市教育委員会では、教職員の健康の維持や福祉増進という観点から、時間外勤務の縮減及び年次休暇の使用促進について、校長会や学校訪問等で指導いたしております。
 具体的な取組といたしましては、会議の回数や内容の精選、ノー残業デーの設定や日課の工夫、ICTの活用など、各学校の実情に応じた工夫をしていただくよう指示いたしております。
 中学校の部活動では、主担当の教員の時間外勤務が多くなる状況にございます。平成十四年度の県教育長通知、中学校における部活動の適正な実施についてでは、土・日について原則部活動を行わないこと、やむを得ず行う場合は連続する週休日のいずれか一日のみとすることなどといたしております。
 しかしながら、保護者や生徒の要望や土・日に開催される各種大会の増加もありまして、どちらか一日は部活動をしている学校が大半でございます。昨年三月には、県教委から中学校における今後の運動部活動改革の方向についてが示されていますが、市でも解決の必要な課題であると考えております。
 研究授業等の指導案作成につきましては、教科課程研究協議会に関し、学習指導案は要を得た簡潔なものにすることが県教委の文書で明示されております。市教育委員会におきましても、校長会等で指導案は一枚でもよいということを指導いたしております。教職員が互いの授業実践に学び合うことで、子供の見方を深めたり、指導力を向上させたりすることは、大変重要なことでありますが、指導案づくりが過重な負担となることのないよう、今後も指導してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

■一校一国運動についてであります。

 徳間小学校が一校一国運動相手国ルーマニアのHIV感染孤児施設の医薬品購入費を支援するため、長年空き缶や新聞紙をリサイクルして集めた収益金を贈る活動を続けていることが評価され、環境美化教育優良校表彰リサイクル活動部門最優秀校に選ばれました。明日表彰されるそうであります。
 八月末、私は第七回国際教育運動推進ネットワーク会議に出席しました。パネラーの古牧小の担当の先生は、イギリスの小学校を訪問し交流、ホームステイも経験、多くの子供たちが積極的になり、自信を持ち、グローバル感覚も身についてきたと発言。この先生が、にとはちさま公演にも取り組み、子供たちは世界を見ながら、足元の地域と歴史にも目を向けています。
 その一方で、運動推進組織つなぐ・もとめる一校一国運動委員会の調査では、小・中学校の半数以上で交流が途絶えています。先生が忙し過ぎることも原因です。ネットワーク会議では、自己負担できる家庭の子供だけの参加でなく、全校児童・生徒が何らかの形で交流できるよう活動補助金の引上げ、養護学校の交流も実現したい、国際交流のコーディネーターの設置や国際室と国際親善クラブの連携強化など多くの意見が出されました。一校一国運動の現状と成果、ネットワーク会議の要望について答弁を求めます。

◎教育次長(島田政行君)
 次に、一校一国運動の発展と支援についてでございますが、一校一国運動は長野オリンピックから始まり、その後シドニー、ソルトレーク、トリノ、そして北京への各大会へ引き継がれ、世界へ羽ばたいたわけでございます。教育委員会では、一校一国運動を一過性のものではなく異文化理解や多文化共生に対する子供たちの理解の深化を図るとともに、自分自身の地域を見詰め直すきっかけとなり、国際化教育はもとより他の分野にも波及する効果があるものとして、この活動を支援してまいりました。
 活動を通じて、子供たちはその人に会って初めてその強さ、情熱の深さを感じたり、その国を訪れることにより文字や映像だけでは分からない過去を乗り越えて生きるたくましさ、パワーを肌で感じることができるなど、通常の学習では学べない多くのものを得ていると学校から報告を受けております。
 長野オリンピック開催から八年が経過し、学校ごとに活動にばらつきが見られ、平成十七年度の一校一国運動活動補助金は、その交付が小学校九校で十二事業、中学校二校で三事業にとどまりましたが、すべての小・中学校におきまして、何らかの形で一校一国運動や国際理解教育に取り組んでおります。
 教育委員会では、今までも活動マニュアルの全校配布や補助限度額及び補助率の引上げを行い、活動の促進を図ってまいりました。学校の国際交流は教諭の知識や経験によるところが大きく担当者の異動により交流が左右されるという状況もあるとお聞きしておりますが、国際交流活動とは学校が主体となって進めるべきものであり、相手国の選定、折衝、交流という一連の流れが交流活動であり、学習となると考えております。
 人的にも経費的にもコーディネーターの設置は困難でありますので、これまでのように長野国際親善クラブの御協力をお願いするとともに、校長会を中心として各校の知識や経験、情報の共有を図ることで、各学校の継続的な交流活動につながると考えております。
 また、一校一国運動活動補助金の補助率や限度額の引上げにつきましては、平成十六年度に引上げを図ったところでありますので、子供たちの国際交流基金を財源とし、取り崩しながら交付をしておりますので、将来にわたっての事業継続を考えますと、困難というふうに考えます。
 なお、補助対象校は長野市内の小・中学校及び自律教育学校でありますし、補助対象の活動は海外派遣だけでなくて、学校への招待活動、準備経費、交渉のための事務的経費等となっており、一部の子供だけでなく全校の児童・生徒が交流活動に参加できるものとなっておりますので、御理解をいただきたいと思います。
 以上でございます。

8.駅東口区画整理事業について

 今、地区計画の手法で、低層で日当たりが良く住民が住み続けられる陽だまり街区を模索しています。また、駅南幹線暫定二車線化で高齢者も障害者も子供も安心して暮らせて、若者が街にあふれた人と環境にやさしい道づくりが求められています。そのためには、住民の知恵を生かす市職員の専門性と力量が必要です。現在の進行状況及び今後の取組について伺います。
 また、借地、借家、アパート居住者、高齢の一人・二人世帯などが安心して住み続けられるよう保健福祉部の支援も必要です。そこでお聞きします。家主がアパート経営を継続しなかったり、新築しても家賃の高騰などで低所得者が入れない状況があります。アパート居住者、ひとり暮らし、二人暮らし世帯の世帯数の現況、それらの住民が現在どのように暮らしているのか、さらに現在も借家人が入居している従前居住者用住宅の活用、県では認めている公営住宅への区画整理対象者優先入居枠の確保、介護が必要な人への対応、低廉で住める共同住宅の建設など検討すべきであります。見解を伺います。
 阪神・淡路大震災では、住居を失い、隣近所の付き合い、コミュニティを失った高齢者が次々に亡くなっていきました。人生と生活が崩壊し、格差と貧困を生み出すようなまちづくりにしてはならないと思います。希望の持てる答弁をお願いいたします。
 以上で質問を終わります。時間の中で再質問を行わせていただきたいと思います。

◎駅周辺整備局長(江原文男君)
 長野駅周辺第二土地区画整理事業につきましては、事業開始から十四年が経過しており、住民の高齢化が進行する中、住宅の早期移転を望む声が高まっており、この要望にこたえるため平成十四年度から、一定の区域の住民の皆様が一年から二年の間、一時的に仮住宅に住んでいただいて、その区域を集中的に整備した後、住宅を新築していただく集団移転の手法を導入して事業の一層のスピードアップに取り組んでおります。
 同時に、議員さん御質問の陽だまり街区等の街づくりについてですが、住民の皆様が主体的に街づくりに取り組んでいただけるよう長野駅東口まちづくりサポート事業を実施しております。現在までに、建築相談に関して三十一回、相続や借地権などに関する法律及び税制の相談に十回、地区計画等の街づくりに関して十回、商店街の活性化に関して二回といったように活用していただいております。
 東口地域の住民によって組織されております長野駅東口地域街づくり対策連絡協議会におきましては、本年度この制度を利用して現在、全世帯を対象としたアンケートを実施しております。今後、この集計結果を基に各種街づくり課題について住民と行政による検討委員会などを設置した上で、更にこのサポート事業を活用し、住民が我がまちと誇ることができる住民参加の街づくりを推進してまいりたいと考えております。
 次に、当事業区域内には、今後移転が必要となる借家にお住まいの方が約四百四十名、このうち六十五歳以上の方が約七十名、さらにこの中でひとり暮らしの方が二十三名と把握しております。当整備局が管理する栗田及び七瀬の従前居住者用住宅と整備局周辺の仮住宅の計百二十一戸につきましては、先ほど御説明いたしました集団移転により、本年度中にほぼ埋まる予定となっております。今後、仮住宅の不足が予想されますので、今から移転交渉の折、民間の住宅をお願いしているところであります。
 したがいまして、従前居住者用住宅は、一時的な仮住宅として当面活用してまいりますので、御理解をお願いします。事業地内の住宅困窮者については、公募によらない申込方法とすることはできるとの規定が公営住宅法にあります。市営住宅につきましても、個々に担当者が御事情を伺い、担当課と調整させていただいております。
 さらに、低廉な使用料で住める共同住宅の建設を検討すべきとの御指摘でありますが、既存の公営住宅若しくは民間の住宅を御利用いただきたいと考えております。
 私からは以上でございます。

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