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28番、日本共産党市議団 小林義和でございます。
私は、地方自治、住民自治発展の立場から、通告にしたがって質問いたします。
1.市長の政治姿勢について
- 県知事選への市長の態度について
知事選で松本市長に出馬要請した問題が、自治体の責任者としての見識を問われ、市民からも批判の声が聞こえてきます。長野市長が松本市民の頭越しに松本市長に働きかけるなど松本市民に大変失礼です。4年前の知事選と同じ轍を踏んだ訳です。
松本市長は「市民や県民に誤解を与えてはならない。重要課題が山積する市政に全力で取り組むのが私の使命。職員から市長職を続けるよう申し入れがあって非常に励まされた」と見識を示しました。この際、自ら知事選に出馬し、「脱ダムかダム推進か」県民の選択を求めたらどうでしょうか。との天の声も聞こえてきます。この間の一連の言動と知事選出馬に対して、市長として政治家としてのお考えを伺います。
- 貧困と社会的格差の拡大への地方自治体の長の見解
いま貧困と社会的格差が著しく拡大し、マスコミも連日大きく報道、日本の重大な政治問題になってます。原因が小泉構造改革路線にあるのは明らか、格差拡大の指標、日本のジニ係数は、0.4983に上昇。これは上位25%の富裕層が国民所得全体の75%を得ている意味で、日本は世界でも有数の貧富の差が激しい国です。
格差と貧困の根底には「人間らしい雇用の破壊」があります。
小泉内閣5年間で正社員が270万人減少し、非正規雇用が287万人増加し全労働者の3人に1人、若者や女性では2人に1人が低賃金で無権利状態の非正規雇用です。全国でフリーターが213万人、ニートは64万人、自己破産申請者24万人、ホームレスが2万5000人、貯蓄残高ゼロ世帯が全体の23.8%です。生活保護世帯は104万世帯、就学援助率は12.8%、自殺者は1998年以来毎年3万人を超え、4人に1人が経済生活問題での自殺です。
小泉政治は、介護保険・障害者自立支援法改悪、医療改悪と追い打ちをかけて、低所得者や高齢者などへのさらなる過酷な負担増を押しつけ、いわゆる下流社会・介護難民・医療難民を増やし続けています。
長野市の指標を見てみましょう。生活保護世帯は、6年間で684世帯から1,114世帯に激増、保護率も2.47から3.68に急上昇。就学援助は小学生で7年前の1,484人が2,575人に、率で6.92%が11.43%に、急増です。母子世帯数も7年間で1,000世帯も増加、3892世帯です。自殺者は毎年60~95人。直接「いのちの格差」につながる国民健康保険の滞納者数は5年間で8,615世帯から12,125世帯へ激増、短期保険証交付件数も436件が2倍以上の1,001件に、資格証明書もついに5件発行。市役所の臨時嘱託職員も10年間で954人から1,415人に激増しています。
市長としてこの貧困と社会的格差の拡大の原因や背景をどのように認識されているのか、市政と市民に広がる貧困と格差に自治体の長としてどう対応するのか、見解を伺います
- 教育基本法改悪に対する見解
教育基本法第1条を朗読します。「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」 政府与党は、教育と子どもをめぐるさまざまな危機の根源は、教育基本法にあると言って改定案を押し通そうとしています。しかし、教育をめぐる様々な問題は、この教育基本法の民主的な理念をふみにじってきた政治にこそあり、教育基本法の改変は教育の危機を一層深刻にするのは明らかです。市長の見解をお聞きします。
政府の改定案では、第一に、「教育の目標」をつくって「国を愛する態度」など20に及ぶ「徳目」を列挙、その目標の達成を国民全体に義務づけ、憲法19条が保障する思想・良心・内心の自由を侵害するものです。第二に、あの侵略戦争に教育勅語などで国民を総動員していった反省から生まれた教育基本法第十条「教育は不当な支配に屈することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」との規定は、教育内容に対する国家的介入を抑制し、教育の自主性、自立性、自由を保障する法全体の「いのち」です。
改定案は、「国民全体に対し直接に責任を負って」を削除し、「教育振興基本計画」をつくり、国家権力が教育内容と方法に無制限に介入できる道を開きました。この二つの憲法違反の具体的な現れである福岡市などで使われていた愛国心をABC3段階で評価する通知表。東京都で行われている教育現場への「日の丸・君が代の強制」、子ども達を競争に追い立て勝ち組負け組にふり分ける「全国一斉学力テストと学区制の廃止・学校選択制」「習熟度別指導の画一的な押しつけ」。これら憲法違反の改定について市長の考え方を伺います。
市長(鷲澤正一君) |
小林義和議員さんの御質問にお答えをいたします。
初めに、市長の政治姿勢についてのうち、県知事選への市長の態度についてお答えをいたします。
まず、知事選に関する一連の言動についてでございますが、私が県知事選の候補者として松本市長のお名前を出させていただいたことについては、五月八日配信のメルマガで申し上げたとおり、輝く明日の長野県を考える会の議論の中で、松本市長が候補者として名前が挙がっていた状況を受けて、候補者擁立に当たっては、密室の談合と言われないよう県民の前に候補者像を示し、できるだけオープンな形で議論を進めていただきたいとの思いからでありましたが、その反響が意外に大きくて、松本市長などに無用な御迷惑を掛けてしまったことについては、配慮が足りなかったというふうに思っております。ただ、私が申し上げることで議論が次のステージへ進むのではないかということを予測をしておりまして、その点では良かったのではないかと、こんなふうに思っております。
また、私は、記者会見などにおける知事選に関する質問には、そのときの思いを素直に申し上げるよう心掛けております。もちろんその発言の重さや責任については、十分認識しておりますが、市長として、一人の政治家として自分の考え方やスタンスを明確に示し、多くの皆様に知っていただくことが大切であると考えております。そして、時には温かい、時には厳しい御意見をちょうだいし、それを謙虚に受け止めることが民主主義の健全な姿であるというふうに思っております。
次に、私の知事選出馬についてでございますが、現在の県政を憂慮している県民が求めている新たなリーダー像は、混乱した現長野県政をまとめ、引っ張っていける人だというふうに考えております。私は、今後も長野市の発展のために揺るぎない信念を持って市長としての責務を果たしてまいりたいと考えております。
次に、貧困と社会的格差の拡大への地方自治体の長の見解についてお答えをいたします。
経済のグローバル化による社会経済の情勢の変化や自由主義経済による競争社会の中で企業が勝ち抜いて発展していくためには、生産性の向上や事業効率性の向上が求められます。そうした社会的背景の中で、雇用形態の多様化などによる社会格差が生じてきているということは認識をしております。
私は、自由主義経済による競争社会は、公正な条件の下に定められたルールに従って互いに競うことにより、その結果、努力が報われ、次のステップに向かう意欲と努力を生み出すことから、社会の発展のためには必要不可欠であると考えております。そのため勝ち負けが生まれ、ある程度の格差が生じてくることも容認せざるを得ないのではないかと考えております。
重要なことは、その格差の程度であり、格差が大きく拡大しないように、また格差が固定化することのないように、失敗しても何度でも挑戦することができる社会の実現に向けて、制度をいろいろな意味で整備をしていくこと、あるいはみんなの意識を改革していくことが大切であろうというふうに思います、そして、教育制度や雇用対策、福祉、医療など、社会保障制度のいわゆるセーフティーネットを構築することであり、国が主体となって積極的にその役割を果たしていくことが必要であると考えております。
次に、教育基本法改正についての所見をということでございますが、我が国の教育の基本となる法律の改正には、当然のことながら、私も大きな関心を持つところでございます。教育基本法の改正については、御承知のとおり、本年四月二十八日に政府が改正案を閣議決定して国会に提出したことによって国会での審議が始まりまして、五月二十三日には、民主党より日本国教育基本法案が対案として提出され、国会終盤の焦点となったところであります。
国会での審議は六月八日に終結し、改正論議は次期国会へ持ち越しとなりましたが、この国会で改正案を基にした具体的な議論が行われたことにより、教育基本法の改正は幅広く国民的な議論となっているわけでございます。私としては、現行の教育基本法が成立以来五十年以上を経過した今日、物事が目まぐるしく変化し、国際化の進展も著しい社会となっておりますことや、その中で子供のモラルや学ぶ意欲の低下、大人の倫理観が問われる事件さえ起こるなど、家庭や地域の教育力低下が指摘されることから、現在の議論の広がりや深まりを通して教育の在り方を社会全体で考え直すことが重要だと考えますし、この議論を踏まえて現行教育基本法の普遍的理念として残すものは残し、変えるべきは変えて、教育改革を進める必要があると考えます。
次に、政府改正案の二つの内容についてでございますが、一つ目は、国と郷土を愛する態度等の目標について、二つ目は、教育や教育行政の自立性に関する内容について憲法違反ではないかとのお尋ねでございました。いずれも改正反対、改正賛成のそれぞれの立場から議論されている点でございます。
私は、国と郷土を愛する態度を初めとする幾つかの目標は、教育の目的である人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身共に健康な国民の育成を実現するために大切であると考えております。また、教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、その基本的な方針及び講ずべき施策等の基本計画を教育振興基本計画として定めることは、教育行政を推進するに当たり必要なことであると考えます。
いずれにいたしましても、教育基本法の改正については、今後も多方面から議論を尽くして、国民的な合意を形成することが大事であると考えるところでございます。
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2.市職員を蝕む成果主義人事制度の見直しと健康問題について
市の労働安全衛生委員会の資料は、市職員の健康がむしばまれている実態を現しています。ここ5年間で30日以上の長期休業者が1.9倍、その内心因性疾患者は2.7倍。市民のために一生懸命働く職員が次々に倒れています。
健康診断結果総合判定で職員の1割を大幅に越える354名が治療中。年平均約9日しか休んでいないのです。そのような中で、今年を全職員への人事評価制度導入最終試行年としています。
トヨタ自動車の城下町豊田市では能力・成果主義の徹底を掲げて、係長以上の勤勉手当で最大22万円の差を付け、千代田区では勤勉手当の格差を、部長級で年間約13万円から114万円にしました。
昨年6月議会では、人事評価を給与に活用する予定との答弁でした。「頑張ったものが報われることに市民も職員も異論はないはず」と言う「頑張った」とはどういう意味でどう評価しどう給料格差をつけるつもりなのか伺います。
また、あの豊田市でさえ「子どもの保育を扱う仕事には目標は立てにくい」「保育に点数を付けよかった悪かったと言えるのか」と批判が出て実施していない保育主任にまで長野市は業績評価を拡大する。なぜですか、労働組合との合意はあるのか伺います。
最近、あの富士通でさえ目標管理制度への信頼が著しく低下し、簡略化した目標シートさえ提出しようとしない社員が増え、「社員一人一人について真面目に評価を検討していたらノイローゼになる」と訴える管理職も出てきて制度は形骸化しているようです。
そもそも公務員の仕事は、営利が目標ではありません。市民の命や安全、暮らしや営業を命がけで守り発展させ、子どもの保育や教育を豊かにしていく専門性を持った市民全体に奉仕する集団で行う仕事です。だからこそ私は昨年、資格による任用や公平・公正な任用をはかれる公開の試験制度や不当な評価を救済する第三者機関の設置などを提案し、個人の評価の開示方法も質しました。どのように検討されたか伺います。
市は、今年度予定した管理職の業績評価実施を見送り、試行を継続しましたが、この際、むしろ劣悪な職員の健康対策にこそ緊急に取り組み、民間でさえ見直している、成果で競争を煽る目標管理型人事評価制度そのものの導入をストップし、もっと職員や市民の声を良く聞くべきです。そして職員が健康で生き生きと働き市民に喜ばれる市役所にふさわしい人事制度を検討すべきです。見解を伺います。
総務部長(増山幸一君) |
私からは、人事制度の見直しと健康問題についてお答えいたします。
初めに、頑張ったという言葉についてでございますが、人事評価マニュアルでは、評価結果の活用の項目において、評価結果を処遇に反映することは、頑張った者が報われることであるとしております。これは、職員一人一人が期待される職務行動と成果に向かって努力し、その結果を評価基準に照らし、評価することを通じて処遇に反映することを意味するものでございます。
なお、給料への反映につきましては、昨年度の人事院勧告での給与構造改革を踏まえまして、今後、具体的に検討してまいります。
次に、保育主任にまで業績評価を拡大すること及び労働組合との合意についてでございますが、本市の業績評価は、目標管理の手法を活用することとしております。目標管理は、PDCAサイクルを自らの職務において実践することで職員が組織目標等を明確に意識し、主体的に職務遂行することを促すもので、計画的な人材育成に当たっては、どの職位においてもこうした考え方を取り入れていくことが重要であると考えております。
現在、業績評価の試行対象は、課長補佐級以上の管理職、係長級職及び保育主任としておりますが、試行対象外としている主査以下の職員については、能力評価において職務遂行におけるPDCAサイクルの実践状況を確認する着眼点を設け、目標管理による仕事の習慣付けを促すこととしております。
なお、業績評価の実施に当たっての対象者につきましては、試行の状況を見ながら、今後検討してまいります。
また、評価制度自体については、管理運営事項ではありますが、制度の構築経過は原則としてすべて公開し、必要の都度、職員労働組合へ情報提供を行っております。
次に、公開の試験制度等についてどのように検討したかについてでございますが、現在、人事制度改革では、人事評価制度の定着を最優先に進めておりまして、職員が意欲を持って主体的な能力開発と職務遂行に取り組める体制の整備に努めているところでございます。公開の試験制度等につきましては、公平・公正な任用を図る上から、その必要性等について引き続き検討してまいります。
また、不当な評価を救済する第三者機関の設置については、人事評価制度の実施に合わせ(仮称)人事評価委員会を設置し、その仕組みを整備する予定でございますが、具体的には評価制度の実施段階で、今後検討してまいります。
個人の評価の開示方法につきましては、試行段階では、被評価者本人の請求に基づき、第一評価者が対応することとしております。
次に、職員の健康管理についてお答えいたします。
本市では、健康診断の充実を図り、職員の健康管理に積極的に取り組むとともに、保健師の増員や産業カウンセラーによる相談など、産業医、健康管理医と連携しての相談体制の充実も図ってまいりました。その結果、平成十六年度以降は、相談件数の増加とともに従前に比べ早期発見、早期治療に結び付いたと考えており、引き続き健康管理の充実を図り、職員の健康管理に努めてまいります。
今後も職員一人一人がその能力を最大限に発揮し、働きがいや使命感を持って職務を遂行することにより、市民に信頼される市役所の実現を目指し、人事制度改革を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。 |
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3.市民のための交通災害等共済制度の継続と改善について
3月末、古牧地区区長会は、2日間徹底議論し他市の視察も行い、区長会の総意として「交通災害等共済事業の継続を求める要望書」を市長に提出しました。市交通対策審議会が事業の廃止を答申し、市長が答申を尊重するとしたからです。要望書は、(1)万一の災害の際の備えとして住民に定着している。 (2)会費を負担する加入者も住民の半数いる。 (3)民間保険ではこれほど低廉な金額で加入できるものはほとんどない。 (4)高齢者等の公費負担もあるが市の施策として公費投入も意義ある、として廃止の再考と事業の継続を求めています。区長さん達は大事な加入金と申込書を各家庭から集め、住民の生活実態と共済への思いをよく知っているからでしょう。
審議会は「民間保険が充実・普及し、交通共済の役割は薄れた。自己管理責任の拡大。行政改革大綱・行政構造改革懇話会から事業の見直し意見があった。」とし、先に廃止ありきの議論をしたと言わざるを得ません。
全国の中核市35市中16市は制度を存続し、廃止は13市。政令市は半数の7市が実施。長野市のまちづくりアンケートでも53.4%が継続を望み、将来的には廃止・市でやる必要なしは36.9%。私は、古牧区長会が求めるように、安易な廃止ではなく、むしろ加入率の向上や制度の充実等について十分検討すべきと思います。
他市では様々な工夫をしています。掛け金は少し上げても不慮の災害をセットにして選択制にする。2口以上の加入を認める。父母のどちらかが死亡、重度障害になった時に遺児に対して奨学援護金を支払う制度を付加する。申し込み窓口を金融機関などにも拡大する。農業共済事業のように運営を広域連合や一部事務組合で広域的に行う、など検討したらどうか、見解を求めます。
市長(鷲澤正一君) |
次に、市民のための交通災害等共済制度の継続と改善についてお答えをいたします。
交通災害等共済事業は、自動車の急激な普及とともに多発する交通事故が社会問題となり、その救済制度が十分でなかった昭和四十年代に交通事故の被害者を救済するため全国的に各自治体で開始され、本市においても、昭和四十二年十月から事業を発足させたものであります。
共済事業は、事業開始から三十九年が経過し、事業発足当時に比べ、自賠責保険も充実してきているほか、自賠責保険を補う自らが加入する任意保険の普及率も事業開始時の三十八・五パーセントから八十五パーセントを超えるまでに普及しており、被害者が必要とする治療費は、慰謝料等を含め保険で補償されております。
本事業は、それらで補償された事故に対し、更に見舞金を支払っているような状況であり、本事業を取り巻く社会情勢は大きく変化してきております。これらの社会情勢を踏まえ、昨年十一月長野市交通対策審議会に対し、今後の交通災害等共済事業の在り方について諮問を行いました。
その結果、審議会では答申案の内容についてパブリックコメントを実施した上で、自賠責保険や任意保険等の民間保険が充実してきた現在、行政が果たしてきた役割や必要性は薄れている、一定の役割を果たしてきた交通共済事業の廃止もやむを得ない状況であるとの答申を本年三月に頂いたところであります。
本市といたしましては、交通対策審議会からの答申を尊重し、共済事業については、民間保険の充実等社会情勢の変化や全国中核市の本事業の廃止状況、事業継続市の今後の状況も勘案した上で、あえて自治体が交通災害等共済事業を行う必要性は薄れていると考えており、本年九月議会に交通災害等共済条例の廃止についてお諮りしてまいりたいと考えております。併せて、今月長野市区長会常任理事会、長野市男女共同参画団体連絡会において、事業廃止についての考えを説明し、御理解をいただいたところであります。今後は、引き続き関係団体等への説明責任を果たしてまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
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4.急がれる学童保育の拡充計画と午前中の子ども広場の活用拡大について
昨年の合計特殊出生率1.25。5年連続で最低を更新、少子化傾向に歯止めがかかりません。背景として不安定雇用の広がりと異常な長時間労働、増税と出産・育児・教育などの経済的負担の増大、子育ての社会的環境の悪化などが指摘されています。
学童保育について質問します。元児童館の先生は「192人の登録児童で先生5人、大豆島は今年202人とのこと。ケガをしないように見ているのが精一杯の毎日。センターの過密状態は大変深刻です。将来の日本を背負う子どもたちのために早急に対応してほしい」と言っていました。
先頃の国会で、学童保育を受けていない待機児童が、1万1360人いると明らかになりました。長野市では、湯谷や篠ノ井西児童センターでは3年生は入所できません。実際、保育が必要な待機児童は何人いるのか、対応が必要な施設はいくつあるのか。児童館・センターの面積基準に対して超過入所の状況はどうか。児童クラブを設置したくても空き教室がない学校が増えています。
私共市議団の3月議会代表質問に対し、児童センター・児童クラブの施設整備は早急に検討するとの答弁でしたが、状況が厳しい新年度を迎え、公民館や民間の空き家などの活用も含めて緊急の対応が急務ですが、具体的な整備方針を伺います。また、奈良市では児童の事件もあり、開所時間を7時まで延長しました。長野市の6時は労働時間と会わず、時間延長を求める働く父母の声は切実です。見解を伺います。
次に、昨年6月議会で私は、民生児童委員が中心になって午前中を子ども広場として活用する古牧児童センターの事例を紹介し、こども広場事業として位置づけ、財政支援すべきと質問しました。すると他の地域のお母さんからも希望の声が寄せられています。そこで、可能な所から全市的に広める、人的支援として、一日5時間勤務の児童館・センターの厚生員を午前中のこども広場の指導員として可能なところから8時間勤務にしてもらい、賃金・労働条件を改善するよう提案します。見解を伺います。
保健福祉部長(宮尾和榮君) |
私から、急がれる学童保育の拡充計画と午前中のこども広場の活用拡大についてお答えいたします。
長野市の児童館、児童センターは、保護者の不在等の理由により放課後に保護、育成が必要な低学年児童に健全な遊びを提供して、児童の健全育成を図ることを目的として設置した施設であります。
初めに、学童保育の必要な待機児童数は何人いるかとの御質問ですが、現在、児童館、児童センターは、原則定員は定めておりませんので、待機児童数の具体的な人数は把握しておりませんが、比較的規模の大きな小学校区に設置した児童館、児童センターでは、入館希望者があっても入館できない児童がいることは認識しております。
次に、対応が必要な児童館、児童センターの施設はどのくらいあるか、また、児童館、児童センター面積基準に対して超過入所の状況はどうかとの御質問ですが、施設内での児童の安全の確保や地域の実情等を考慮して、各児童館、児童センターで児童の受入れを制限していることなどから、現在のところ対応すべき施設は十か所程度と把握しております。
なお、今年度、登録児童の受入れの制限のおそれがありました柳町児童センター及び古牧児童センターについては、城東小学校と古牧小学校の教室に児童クラブを設置して対応を図りました。
次に、本市の児童館、児童センターの整備については、基本的に一小学校区に一施設を目指して整備を進めておりますが、既存の児童館、児童センターの増改築につきましては、敷地の確保の問題などから現状では困難でありますので、新たに小学校の教室や公民館等を活用する児童クラブの設置などで対応をしてまいりたいと考えております。
次に、児童館、児童センターの開館時間の延長についてでありますが、児童クラブにおいては、本年度から開館時間を三十分間延長し、児童館、児童センターと同様に午後六時までといたしました。保護者の中には、更に開館時間の延長や開館日数の増加を望む声もございますが、関係する皆様のいろいろな御意見をお聴きしながら、開館時間の延長については研究してまいりたいと考えております。また、今後の児童館、児童センターのサービス向上と利用者の負担などを含めた児童館、児童センターの在り方について、今年度から検討してまいります。
最後に、午前中の児童館、児童センターを活用したこども広場事業についての御提案ですが、こども広場など地域の子育て支援の場として、児童館、児童センターの空いている午前中を活用していただくとともに、親子を対象として様々なサークルの要請に応じて保育士、保健師、栄養士によります出前講座を実施しておりますので、積極的に御利用いただきたいと考えております。
また、厚生員を午前中のこども広場の指導員と位置付け、勤務時間を延長し、賃金・労働時間を改善することの御提案については、厚生員の生活の変化が生じる点や人件費などに多額の経費がかかることなどから、現状においては難しいと考えておりますが、厚生員の賃金や労働条件の改善などについては、児童館、児童センターの在り方の中で検討していきたいと考えております。
以上でございます。
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5.「住まいは人権」を保障する市営住宅の充実と直営の堅持について
長野市のある県営住宅では3月~4月、4人のお年寄りが次々と亡くなったが、発見は数日後、3人は一人暮らしでした。北九州市では、4月~5月、同じ地区の市営団地で次々に餓死した遺体が発見された。4月は女性2人が餓死し同居の女性1人が飢餓状態で発見。5月には老夫婦の遺体が発見され、夫は5月中旬、妻は3月上旬死亡。別の56才の男性は、電気、水道、ガスを止められて、二度も生活保護を求めたが、申請書さえもらえず餓死した遺体が発見された。死亡したのは約4ヶ月前だった。
住居は生活の基本であり、憲法25条が保障する生存権の土台です。「住まいは人権」という考えは世界人権宣言や国際人権規約でも認められています。そこで、質問します。
公営住宅法改正等に伴い、子育て世帯・DV世帯も含む犯罪被害者・父子世帯などの目的外利用の範囲は拡大されました。が、入居収入基準のオーバーで民間並み家賃にする、家族が減った場合の家賃の値上げを検討する、死亡や離婚による名義変更を原則配偶者だけにする、申し込み時の預金などの資産調査強化と同意書の義務化をするなどという人権無視の措置は見送るべきです。見解を伺います。
長野市は来年から一気に全市営住宅に指定管理者制度を適用、東急・鹿島グループと長野県住宅供給公社の2社が応募しました。9月議会で指定管理者を議決、12月議会で条例改正を行う方針です。
「長野市営住宅管理業務仕様書」によると、指定管理者の仕事は、管理事務所を設置し、現在市嘱託職員がやっている監理員に替わる職員を配置、入居者からの相談、要望、苦情を受けたら現地調査もやる、入居者等個人情報も取り扱う、募集、入居手続き、入居者等に対する調査、指導、財産管理、施設・設備の保守点検及び応急修繕、退去関係、家賃決定、収入調査、明け渡し関係、滞納家賃の督促も含めた家賃収納、損害賠償金徴収、団地の巡回等々これまで市が公的責任でやってきたほとんど全てです。一人暮らし高齢者や障害者の生活の状況を把握し親族や福祉事務所・民生委員等への通報や連絡調整さえ行います。管理経費等は指定管理者から事業計画書で指示のあった金額を参考に年度ごとに予算の範囲内で支払う。言い値です。さらに、3月末の現年度住宅使用料の収納率が過去3年間の平均値を上回った場合、上回った収納率分の額の10%を報奨金として支払う、過年度分は収納額の5%、損害賠償金の収納額の50%を報奨金とする。収納率を上げれば上げるほど儲かるシステム。これで、「住まいは人権」を守り、公営住宅法に課せられている健康で文化的な最低限度の生活を営むための住宅行政が実現できるのでしょうか。いったい市営住宅居住者や管理人の意見は聞いたのか、聞いたのであればどのような意見だったか、伺います。
性急な実施は中止し、住宅審議会などをを開催し十分議論すべきです。見解を求めます。
建設部長(和田智君) |
私から、住まいは人権を保障する市営住宅の充実と直営の堅持についてお答え申し上げます。
最初に、今回の公営住宅法の改正につきましては、少子高齢化の進展、家族形態の変化、社会的弱者の多様化、国民所得水準の変化等の社会情勢を踏まえ、真に住宅に困窮する低額所得者に対し地域の実情を反映しつつ、より公平、的確に公営住宅を供給できるように見直しされたものであります。
議員さん御指摘の入居者の収入が基準を超えた場合、家族が減った場合の家賃の値上げ、名義変更の措置、申込時の資産調査などはいずれも住宅に困窮する低額所得者や障害者世帯等、本来、公営住宅を必要とする世帯の入居を促進するためのもので、より効果的な公営住宅行政の運営に配慮した措置であります。市営住宅は、市民の財産であり、特定の世帯のみ利益を享受し続けるという状況を解消するためにも、制度の見直しに沿った管理を行っていきたいと考えております。
次に、市営住宅等指定管理者制度の導入についてお答えいたします。
指定管理者制度は、多様化する市民ニーズにより効果的、効率的に対応するため、民間の能力を活用して住民サービスの向上と経費の削減等を図ることを目的としたもので、平成十六年十二月一日の行政改革推進審議会からの提言を受け、市としての管理運営方針を検討した結果、取組を決定したものであります。
市営住宅等指定管理者には、入居者募集事務、家賃徴収、施設修繕等の業務を委託する予定でありますが、ほとんどの業務の最終的な決定は、指定管理者から報告された資料に基づき、長野市が行うことにしております。
よって、管理形態は異なるものの従来の内容は継続されること、あるいはサービス向上が図れることから、居住者からの意見聴取や住宅審議会の開催は必要ないものと考えております。
なお、指定管理者の選定に当たりましては、住宅に困窮する低額所得者、高齢者、障害者等に配慮された運営がなされるよう応募者から提出された事業計画を詳細に検討し、指定管理者選定委員会にお諮りしたいと考えております。
以上でございます。 |
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6.芹田小児童のためのプールと芹っ子広場再築と学校の耐震診断について
3月議会の永井議員の質問への答弁は「プール移転改築について地元関係者と協議し学校運営に支障のないように進める」でした。その後、児童、保護者や教職員、芹田小学校卒業生有志の会などから、みどりのはがきやメール、地域全戸ビラの配布、教育長への要望書の提出と懇談など様々な形で、芹っ子広場の維持保存、校舎に斜めのプール建設への疑問や不安、平成17年1月実施の第二体育館耐震診断の内容に対する不安など多くの意見が出されています。卒業生と保護者の有志の会からは、教育委員会当初案の採用で第二体育館の場所へのプール再築、地域にも開かれた多目的ホールのミニ体育館機能を付加した建設、芹っ子広場の樹木の移転も含めた現在地周辺への拡充復元案などが提案され、教職員や保護者、児童の間でもこの提案が話題になっていると聞いています。
教育委員会当初案は、当時最良と考えて提案されたものと思いますが、当初案への見解を伺います。
次に、当初案変更時点では未実施の第二体育館耐震診断の結果は学校など関係者に知らされていません。このまま体育館として使用して大丈夫なのか、地震災害時には地域の避難所に指定されているが問題ないのか、耐震補強工事は可能なのか、可能であるならばどのような計画で行われるのか、費用対効果はどうか、等について答弁を求めます。また、当初案の多目的ホールは裾花小学校でも地域に開かれた施設として建設中ですが、バレーボールコート1面がとれる程度のミニ体育館にできないか、見解をお伺いします。また、市内の学校には例のないほぼ45度の角度で校舎に斜めの位置に建設されるプールがもたらす発達過程にある児童の身心への影響について指摘する専門家もいるようですが、教育委員会としての科学的な見解を求めます。
また、環境部局と共同で市内小学校のフィールドを使って、環境教育教職員研修講座を実施しますが、そのような観点からも現行芹っ子広場への教育委員会の評価と再築計画を伺います。
有志の会との懇談で教育長は、「教育委員会として最終的にどういう方針で進めていくかは地域の説明会を開いて地元の合意を図っていきたい。」と述べました。
耐震性のない第二体育館の安全性を確保する明確な方針も示ない、芹っ子広場の教育的位置づけと再築方針も示さない、児童を始め関係住民に大きな意見の相違を残したまま、第二体育館を残し、校舎に斜めのプールを建築し、芹っ子広場を壊す計画を強行するのでは、市民の理解と納得は得られません。今後の合意形成のプロセスについて考え方をお伺いします。
教育長(立岩睦秀君) |
二点についてお答えいたします。
まず、芹田小児童のためのプールと芹っ子広場再築及び学校の耐震診断についてお答えいたします。
平成十六年に地元関係者の皆様方にお示しをしましたプールの移転改築案につきましては、素案として提示し、関係者の皆様方から具体的な意見を頂くためのたたき台としてお示ししたものでございます。この案を提示後、学校、PTA、地元関係者等で組織します芹田小学校環境整備推進協議会と話合いを重ねてまいった中で、現在の案となったものでございます。
第二体育館の耐震診断の結果につきましては、阪神・淡路大震災級の地震が発生した場合において倒壊する可能性があるとの判定が出ておりまして、既に学校及び地元代表者の方々にお知らせをしてございますが、これらは限られた資料を基に安全率を最大にとって判定したものであり、通常の使用で倒壊するという意味合いではございません。
なお、耐震性確保の手法につきましては、築後長期間を経ていることから、今後、専門的な見地から再検討をし、その整備に当たっては、学校施設の平成二十九年度耐震化完了の目標に合わせて、順次進めてまいりたいと考えております。
なお、避難場所の指定は、学校施設すべてが指定されているものでありまして、第一体育館につきましては、耐震性が確保されております。
また、素案の中には、多目的ホールが含まれておりますが、これは集会室的なホールを想定したものでございまして、敷地面積等の制約から体育館的な広さを確保することは困難と考えております。
芹っ子広場は、児童の環境教育、そして情操教育の重要な場であると考えておりまして、この代替施設につきましては、場所等について現在、教育委員会と関係者の皆様方で、具体的な再築案を協議中でございます。
プールの改築案が校舎に対して斜めになっている件につきましては、市内の小・中学校のうち約二十校においてプールが校舎に対して斜めに設置されておりますが、現在のところ健康被害等の報告はございません。
いずれにいたしましても、芹田小学校におけるプールも含めた学習環境の整備につきましては、教育委員会といたしましては、芹田小学校環境整備推進協議会と協議する中で進めてまいりたいと考えておりますので、御理解をお願いいたします。 |
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7.市立博物館などの入場料の無料化について
博物館法第23条は、原則公立博物館の入館料や資料利用は無料と規定しています。新聞報道によると、最近住民サービスの観点から無料化に踏み切る館が増えつつあるようです。欧米では大英博物館を始め美術館や博物館は入館料を取らないのが常識。宮崎県では博物館と美術館の常設展を無料にしたところ年間入館者は有料時より3倍と2倍に増えたとのこと。「地方では都会より芸術に触れる機会が少なく所得も低い、無料が呼び水になり地域の文化を育む気運が高まれば」と言っています。
岐阜県でも、博物館・美術館・現代陶芸美術館を小中高生に無料開放しました。「文化に気軽に親しむ機会を与えたい、それが心豊な子どもを育てるのに大事だ」との考えからでした。小中高生の入場者数は、博物館が1.9倍、美術館が1.4倍になり、現代陶芸美術館は15.7倍、保護者など大人も含めた入場者は相乗効果で3.3倍で、心配した収入減も予想以下だったそうです。
逆に県立博物館・美術館を有料化にした千葉県は、180万人の入場者が105万人に減って驚いているとのこと。長野県立歴史館と信濃美術館は平成15年4月から小中高生は土日祝日、振り替え休日は無料にしました。長野市は戸隠地質化石館と門前商家ちょっ蔵おいらい館を除いて、市立博物館の常設展示室まで大人300円高校生150円小中学生100円を徴収するなど有料化のままです。
そこでお伺いします。博物館法の規定や設置の趣旨、全国の自治体で進む無料化の流れをどのように考えるのか、長野市も無料化を検討すべきでないか、当面、教育的見地からも各施設の小中高生完全無料化と博物館の常設展示の無料化から実施することを提案いたしますが、教育長の見解を伺います。
以上で私の質問を終わります。
教育長(立岩睦秀君) |
次に、市立博物館などの入場料の無料化についてお答えいたします。
現在、博物館の入館者数は、茶臼山自然史館、プラネタリウム、鬼無里ふるさと資料館、戸隠地質化石館を含めまして、平成十七年度で六万七千百四十三人、入館料収入は六百五万九千六百七十円となっております。
博物館法第二十三条には、「公立の博物館は、入館料その他博物館資料の利用に対する対価を徴収してはならない。但し、博物館の維持運営のためにやむを得ない事情のある場合は、必要な対価を徴収することができる」と規定されておりまして、市立博物館入館料収入は、博物館の施設運営維持費に充てておるところでございます。
現在、当市では、財政構造改革に取り組んでいる中で、平成十七年十一月十八日に財政構造改革懇話会より、受益者負担の適正化の提言を頂いております。現在、博物館の入館料の無料につきましては、こどもの日、敬老の日、秋分の日、文化の日等のほか毎週土曜日を子どもウエルカムデーといたしまして、小・中学生を無料としておりますし、小・中学生の社会見学及び市立公民館事業や育成会活動で利用する場合は減免としまして、学校教育、社会教育等に配慮した措置をしておるところでございますが、小・中・高生の完全無料化と常設展示の無料化につきましては、さきの財政構造改革懇話会の提言も頂いておりますので、受益者負担の原則等にのっとりまして、現在のところ困難と考えております。
以上でございます。 |
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