議会報告

2011年9月定例市議会 野々村ひろみ議員

市役所第一庁舎・長野市民会館の建て替えの是非を問う住民投票条例

◆野々村博美
 28番、日本共産党長野市議団野々村博美でございます。
 議案第75号市役所第一庁舎・長野市民会館の建て替えの是非を問う住民投票条例を否決すべきものとした総務委員会委員長報告に反対の立場から討論を行います。

 この条例案は、市民の2万2,843名の署名とともに、直接請求によって提出されました。日本共産党長野市議団は、市役所第一庁舎と市民会館を合築で建設するという基本計画に対して、震度5強で倒壊の危険性があると指摘されている市役所第一庁舎については、直ちに耐震補強で安全性を確保すべきであり、耐震診断すら実施されていない長野市民会館については、まずは耐震診断をした上で、時間をかけて検討する必要があるという立場で、この計画に関する予算については反対をし、白紙に戻して検討し直すよう強く求めてきました。
 しかし、残念ながら、今年1月臨時会での三分の二条項という慎重審議が求められる市民会館の廃止条例も、また今年3月の2施設の建て替え基本計画を盛り込んだ2011年度長野市予算案も、日本共産党長野市議団と無所属丸山香里議員のみの反対で可決をされました。ですから、この計画は鷲澤市長とともに、長野市議会も一貫して推進をしてきた経過があります。

 このような事態の中で、建設計画に疑問を持つ市民の思いと鷲澤市長、長野市議会の間に大きなかい離が生まれました。長野市議会は2008年の6月議会の常任委員会終了後の懇親会で、酒気帯び運転の上に当て逃げをした議員がいたことが発覚し、これを契機に、議会は襟を正して市民の負託に応えられるよう議会基本条例が制定をされました。
 基本条例前文では、「多様な住民の意思を把握し、議会における審議及び審査を通じて地方公共団体の運営に反映しつつ、地方公共団体の意思の決定を行う機能と首長その他の執行機関の監視を行う機能とを担っているが、十分にその機能を果たしていないのではないかとの指摘もある。住民を代表し、これらの機能を担う議会及び議員は、その役割及び責務を再認識するとともに、その機能をより充実強化し、住民の信託にこたえることが求められている。
 市議会は、これまで市民に分かりやすく、開かれた議会運営に努めるとともに、政務調査費の透明性の向上を初めとする議会の改革・活性化に取り組んできた。市議会は、これまでの取組を更に進め、より市民に身近な議会運営に努めるとともに、常にその機能を充実強化し、最大に発揮し、併せて、議員間の討議等を通じて合意形成を図り、政策立案、政策提言等に努めなければならない。
 ここに、市議会は、市民の意思を反映する市議会及び議員の在り方を改めて明らかにし、市民が市長及び市議会の議員を直接選挙するという二元代表制の下、市長その他の執行機関と互いに切磋琢磨しつつ、市民全体の福祉の向上及び市政の発展に寄与することを決意し、この条例を制定する。」と、その理念を高らかに宣言しました。
 この原点に立ち返り、議員各位に本条例案を採択するという見識ある判断を期待いたします。

 そもそもなぜ多くの市民が、この計画に疑問を持つことになったのでしょうか。
 まず第1に、本当に市庁舎と市民会館を建て替えなければならないのだろうかという疑問です。震度5強で倒壊のおそれがあると指摘されていますが、長野市が示した資料でも、耐震補強であれ、免震工法であれ、安全性を確保することは可能です。基礎免震工法によれば、高い耐震安全性を確保できると評価されています。

 第2の疑問が財政的にどうかです。基礎免震工法によれば、約16億円です。単独建て替えと比較すると3分の1の額です。

 第3は合併特例債の問題です。起債の9割が対象となり、7割が地方交付税に算入され、大変有利であり、市の負担が少ないから使わなければ損をする。平成26年度までに造らなければ、対象から外れてしまうという説明がされてきました。
 しかし、市民の方が情報公開を請求して大きな問題が分かりました。それは合併特例債を活用するには、合併時に建設計画に事業計画が示されていなければなりませんが、支所庁舎の拡充という言葉はあっても、本庁舎についての記述はなかったのです。2008年12月に庁内で行われた政策会議で当時の財政部長は、無理やりこじつければ読めなくはないという程度、地方債課の職員に使えるよね、使えるよねという感じで聞いたら、駄目ではないでしょうねという反応であると報告された記述があります。
 全国も地方も、今ばく大な借金を背負って、孫子の代までその影響があると言われ、新たな増税が検討され、その上、今回の東日本大震災と福島第1原発の事故、国民が心から1日も早い復興のために国は全面的な支援をしてほしいと願っているのに、このようないいかげんな扱いでこれ以上の借金を重ねていいのでしょうか。
 そもそもこの間、長野市に合併をした地域の皆さんが、合併特例債を使えることを理由に、中山間地域から遠く離れた本庁舎や市民会館の建設を強行することをどのような思いで御覧になっているでしょうか。合併前にはあった支所の宿日直が廃止され、職員数は減り、地場の企業は仕事が減り、寂れていくばかりです。何のための合併特例債なのか、疑問が膨らむのは当然です。
 また、支所機能について、庁内で検討中とされていますが、本庁舎の規模は現在1万2,000m2ですが、計画によれば、新しくした建物は1万2,000から1万6,000m2規模となり、拡張の計画となっています。市民会館に至っては、現在の規模の2倍が計画されています

 第4は長野市の財政状況です。小・中学校の耐震化、大型焼却炉の建て替え、斎場建設、東口区画整理事業の推進、駅前整備など、これからの3年間に大型プロジェクトが集中します。その後、平成27年度から合併10年が経過して、地方交付税の一本算定となり、地方交付税が毎年減らされていきます。大型プロジェクトの借金返済とも重なります。さらに、東日本大震災の復興事業が地方財政にどのように影響してくるのか、影響がないなどということはあり得ない事態です。
 この間の経済の低迷は深刻な事態であり、さらに大震災と原発事故による日本経済と国民生活への打撃は計り知れません。慎重には慎重を期しての財政運営が求められます。

 そして、第五の問題がこの間のう余曲折です。市民会館建設地について、イトーヨーカドー長野店案から権堂東街区に変更になり、さらに現地になりました。山岸代表は、活性化のためには権堂地区に建設することが必要と説明していたのに、現地建て替えになった経緯が市民には見えてきませんと指摘をされました。
 この問題は、鷲澤市長の議会の同意を取り付けるための苦渋の選択だったのではないかと推察されます。そして、その代替として、権堂B1地区への再開発ビルの建設です。一部地域、一部民間会社への偏った施策の展開という懸念が残ります。

 このような経過の中で、多くの市民が疑問を深めていったのです。鷲澤市長は、繰り返し市民に説明してきた、幅広く意見をお聴きしてきたとされていますが、市民会館を権堂に建設したいという、建設先にありきの姿勢が多くの市民の不信を招き、さらに現地での建て替え変更についても、その理由が市民には理解されていませんでした。
 昨年11月に行われた県民主権を進める会が長野県世論調査協会に委託して行ったアンケート調査で、事業の変更に当たって、市民の意見を広く聴くことについてどう思いますかという問いに、大いに必要62・1%、必要31・6%、合計で93・7%が市民意見を聴くことを求めていました。
 鷲澤市長は、文化芸術の拠点として市民会館が必要という説明を繰り返されてきましたが、長野市は昨年、子供たちの芸術鑑賞費補助金を削減してしまいました。コンクリートをたくさん使った箱物を建設しても、文化薫る都市とはなりません。
 直接請求制度は、首長と議会という選挙された者が行った判断が、選挙をした住民の意思とは異なると認められた場合、これを調整するために設けられた直接参政制度で、住民が発議する権利を認めた制度です。鷲澤市長は2年前の市長選挙で、この建て替え計画は白紙に戻すと公約しましたが、勝利するや否や、約束をほごにし、選挙戦術と言われても仕方がないと居直り、計画を進めた責任があります。
 また、議会側は、今年3月議会に市民からアンケート調査をしてほしいという請願が出されましたが、これを不採択とした経緯があります。もし約束を実行していれば、もし請願を採択し、市民アンケート調査を実行していれば、市民が多大な労力と時間を費やして直接請求という権利を行使しなくても済んだでしょう。
 請求人代表の山岸さんが総務委員会に出席され、参考人として意見を述べられましたが、その中で、この条例制定は議会との信頼関係を築く上でも大切とされました。失いかけている信頼を取り戻すことが必要です。
 まちづくりは市民が主役です。市民の声が長野をつくるのです。その市民の声を排除する姿勢を市長も議会も続けることは、長野市にとって決して良いことではありません。市政に関心を持つ多くの市民の力を引き出していくことがまちの活性化につながります
 山岸代表は、本会議の意見陳述で、市民の意思を無駄にしないでください、この長野市に芽生えた市民の力を市政発展のために生かしてくださいと訴えられました。堂々と市民の賛否を問うべきです。
 8月13日付け信濃毎日新聞は、総務委員会で住民投票条例を求める3案が全て否決すべきものとなったことに対して、市民の意思表示の機会が認められなかったことは残念。各市議はもう一度よく考え、成立に努めてほしいと書きました。長野市民のみならず、多くの県民が長野市議会の一人一人の判断を注視しています。
 大震災、原発事故という国難とも言える事態の中で、市民は今までの社会の在り方、政治の在り方を問い直しています。この住民投票条例の制定は、新たな希望を市民の皆さんに示す第一歩になると確信いたします。
 改めて議員各位に本条例案を可決するという見識ある判断を期待して、私の討論といたします。

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